JPH08117060A - 椅 子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】椅子に関し、ロウバック位置からミドルバック
位置またはミドルバック位置からハイバック位置までバ
ックシート部の高さを調整することができるようにして
使い勝手を良好にすることを目的とする。 【構成】上部分割部１０と下部分割部２０とに分割され
たバックシート部３０を有し、上部分割部１０は、下部
分割部２０の上端を上部分割部１０の下端に当接させた
状態で、腰部上側背中部に対応するロウバック位置また
は肩胛骨下側近傍に対応するミドルバック位置から、肩
胛骨下側近傍に対応するミドルバック位置または上端部
が頭部近傍に対応するハイバック位置まで引き上げ可能
に構成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、椅子に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】バックシート部を備えた椅子は、バック
シート部の高さにより、ロウバック（腰上部背中近傍位
置）、ミドルバック（肩胛骨下側近傍位置）、およびハ
イバック（肩胛骨上部近傍位置から頭部位置）に分類さ
れる。そして、オフィス等においては、ハイバック仕様
の椅子を並べた場合には、椅子自体が比較的大型になる
ために、座席間等の移動がしにくく、さらに、バックシ
ート部が視界の妨げとなって、例えば椅子越しの会話が
しにくくなる等の不具合があるために、ロウバック、あ
るいはミドルバック仕様のものが使用される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、ロウバック、
ミドルバック仕様の椅子においては、バックシート部に
もたれたリラックスした姿勢を取りにくいという欠点を
有する。

【０００４】本発明は、以上の欠点を解消するために、
ロウバック位置からミドルバック位置、またはミドルバ
ック位置からハイバック位置までバックシート部の高さ
を調整することができるようにして使い勝手を良好にし
た椅子を提供することを目的とする。

【０００５】さらに、本発明の他の目的は、椅子にハン
ガー部を形成することを可能にして、上着の着脱時にロ
ッカールームや、所定のハンガーのある場所まで行き来
する煩わしさを解消することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明によれば上記目的
は、上部分割部１０と下部分割部２０とに分割されたバ
ックシート部３０を有し、上部分割部１０は、下部分割
部２０の上端を上部分割部１０の下端に当接させた状態
で、腰上部背中近傍に対応するロウバック位置または肩
胛骨上側近傍に対応するミドルバック位置から、上部分
割部１０が肩胛骨上部近傍または頭部近傍に対応するハ
イバック位置まで、また同様にロウバック椅子のバック
シート部３０の上部分割部１０が肩胛骨下側近傍に対応
するミドルバック位置まで引き上げ可能とされた椅子を
提供することにより達成される。

【０００７】

【作用】本発明において、椅子のバックシート部３０
は、上部分割部１０と下部分割部２０に分割されてお
り、上部分割部１０が下部分割部２０上に載置された状
態でのバックシート部３０の高さがロウバック仕様の椅
子またはミドルバック仕様の椅子のバックシート部の高
さに略一致する。上部分割部１０は、当該位置から上方
に引き上げ可能であり、引き上げた状態でのバックシー
ト部３０の高さがミドルバック仕様の椅子またはハイバ
ック仕様の椅子のバックシート部の高さに略一致する。
必要に応じてバックシート部３０の高さを変えられるよ
うにすることで、椅子の使い勝手を飛躍的に向上させる
ことが可能となる。

【０００８】また、上部分割部１０は、下部分割部２０
の後方まで移動させてハンガーとして利用することも可
能であり、椅子に座っても椅子に掛けた背広等に背が当
たることがないため、背広等に皺が寄ることがない。

【０００９】

【実施例】本発明の椅子は、図１ないし図３に示すよう
に、下端にキャスタ４１が設けられた脚部４０と、支軸
４２を介して脚部４０に連結される座板４３と、支持部
４４を介して支軸４２に連結されるバックシート部３０
を備える。バックシート部３０は、座板４３に座った状
態でその上部が腰上部背中部に当接するいわゆるロウバ
ック高さと、肩胛骨下側近傍に当接する、いわゆるミド
ルバックの高さとがあり、身体の動きに自然に対応する
ように支持部４４を中心として回転するように形成され
ている。なお、本実施例ではキャスタ４１を備えたもの
が示されているが、必ずしもキャスタ付きでなくてもよ
い。

【００１０】上記バックシート部３０は、該バックシー
ト部３０の大半の面積を占める下部分割部２０と、バッ
クシート部３０の上端縁部を構成する上部分割部１０に
分割されており、下部分割部２０には、ステー構造体５
０が埋設、固定される。

【００１１】ステー構造体５０は、下部分割部２０への
固定作業が容易になるように、予め断面コ字形状のベー
ス部材５１に組み込まれており、ベース部材５１に固定
されるガイド部材５２と、ガイド部材５２に対して相対
移動自在な摺動杆５３と、摺動杆５３に対して回転自在
で、かつ、上端に上部分割部１０が連結される回転リン
ク５４とから構成される。摺動杆５３は、ストッパ部５
３ａをガイド部材５２の長穴５２ａに挿通させた後、ス
トッパ部５３ａにナット等の止め輪５３ｂを装着してガ
イド部材５２に連結されており、ベース部材５１の立ち
上がり壁５１ａに沿って上下方向摺動自在とされる。こ
の摺動杆５３の摺動ストロークは、ガイド部材５２側の
長穴５２ａにより規制されており、その一側壁部下端、
および中央部には、後述するクリックボール６１が弾発
嵌合するＶ字状のノッチ５３ｄが形成される。摺動スト
ローク、すなわち、長穴５２ａの長さ、および位置は、
摺動杆５３をストローク一杯まで引き上げた際に、後述
する回転リンク５４の枢軸位置が下部分割部２０の上端
近傍に達するように決定され、ノッチ５３ｄの位置は、
上記ストローク終端位置と、上部分割部１０がミドルバ
ック位置またはハイバック位置に対応する位置が後述す
るリンクストッパ手段６０の装着位置に合致するように
決定される。

【００１２】なお、図２、図３において５２ｂはガイド
部材５２の長穴５２ａ形成領域に凹設される肉逃げ部を
示すもので、ストッパ部５３ａの自由端とベース部材５
１との干渉を防止し、かつ、止め輪５３ｂの収納スペー
スを確保するために設けられる。

【００１３】一方、回転リンク５４は、摺動杆５３上に
積層状に配置されて、ベース部材５１の立ち上がり壁５
１ａに沿った摺動動作が可能であり、その下端は、図
２、図３に示すように、枢軸７０により摺動杆５３の上
端に枢支される。なお、図２において５４ａは枢軸７０
の頭部７０ａを収納するために回転リンク５４の枢支部
位に凹設される肉逃げ部、７０ｂは枢軸７０の抜け止め
を行うナット等の止め輪、５３ｃは摺動杆５３に凹設さ
れた肉逃げ部を各々示す。

【００１４】また、下部分割部２０には、リンクストッ
パ手段６０が設けられる。リンクストッパ手段６０は、
摺動杆５３のノッチ５３ｄに弾発的に嵌合して摺動杆５
３を対応位置に保持するためのクリックボール６１と、
クリックボール６１を摺動杆５３の側壁側に付勢する圧
縮スプリング６２とから構成される。このリンクストッ
パ手段６０は、クリックボール６１がベース部材５１の
立ち上がり壁５１ａに開設されたボール進退孔に対応す
る位置に配置され、下部分割部２０側に別途装着するこ
とも、あるいはベース部材５１に予め組み込むことも可
能である。さらに、リンクストッパ手段６０は、図示の
クリックボール６１を使用したものに限られず、摺動杆
５３、あるいは回転リンク５４を所定位置に保持させて
おくことができれば、種々の機構を採用することが可能
である。

【００１５】したがってこの実施例において、図１
（ａ）において実線で示す位置から上部分割部１０を上
方に引き上げると、図４（ａ）に示すように、該上部分
割部１０に連結されている摺動杆５３がガイド部材５２
に対して上方に摺動し、摺動ストローク終端位置に至る
手前で、クリックボール６１が摺動杆５３のノッチ５３
ｄに嵌合して第１の安定位置に停止する。図１（ａ）に
おいて鎖線で示すこの位置において上部分割部１０は、
ロウバック仕様の椅子の場合はミドルバック仕様のバッ
クシートに、ミドルバック仕様の椅子の場合はハイバッ
ク仕様のバックシート高さに対応しており、該位置での
休憩が可能である。

【００１６】この状態から、図４（ｂ）において鎖線で
示すように、上部分割部１０をストローク終端位置まで
さらに上方に引き上げると、クリックボール６１は再び
摺動杆５３のノッチ５３ｄに弾発嵌合し、上部分割部１
０は、第２の安定位置で停止する。この状態において、
回転リンク５４は略全体が下部分割部２０から露出した
状態であり、この後、実線で示すように、上部分割部１
０を後方に倒すと、回転リンク５４は、下部分割部２０
に形成された受け面２１、およびベース部材５１の立ち
上がり壁５１ａを一部切り欠いて形成した受け部５１ｂ
に当接するまで回転し、図１（ｂ）において鎖線で示す
姿勢に移行する。この状態では、上部分割部１０の表面
は下部分割部２０の表面の延長面より後方に配置される
状態となっており、上部分割部１０に背広等を掛けても
背中で押されて皺がよることはなく、ハンガーとして利
用可能である。

【００１７】なお、上部分割部１０を回転リンク５４に
対して自由回転自在に枢支し、かつ、該上部分割部１０
の重心を回転リンク５４との枢支部位より下方に設定し
た場合には、回転リンク５４が回転しても、上部分割部
１０の姿勢は自重により一定に保たれ、上部分割部１０
をハンガーとして使用する際に、回転リンク５４の操作
後に上部分割部１０の姿勢を矯正する必要をなくすこと
ができるが、ハイバック位置における上部分割部１０の
姿勢を固定するために、特別な固定手段を設けることも
可能である。

【００１８】また、以上の説明においてステー構造体５
０は、板材により構成されているが、このほかに、後述
するように、パイプ材により構成することも勿論可能で
ある。

【００１９】図５ないし図７に本発明の第２の実施例を
示す。この実施例におけるステー構造体５０は、下部分
割部２０に固定されるベースパイプ５５と、このベース
パイプ５５内に摺動自在に挿入される摺動パイプ５６と
から構成される。摺動パイプ５６の中央部には、図６に
示すように長穴５２ａが開設されており、ベースパイプ
５５を横断するようにして該ベースパイプ５５に固定さ
れるキーピン５５ａを長穴５２ａに挿通させることによ
り摺動パイプ５６の摺動ストロークが規制される。さら
に、ベースパイプ５５の外壁には、開口から摺動パイプ
５６側に飛び出すクリックスプリング５５ｂが固定され
ており、摺動パイプ５６が上部ストローク終端部まで引
き上げられた際に摺動パイプ５６のクリック開口５６ａ
に弾発的に係止する。

【００２０】上記摺動パイプ５６の上端には、回転リン
ク５４を保持したキャップ体８０が固着される。回転リ
ンク５４は、図６に示すように、キャップ体８０の中心
位置に回転、および上下方向に摺動自在に挿入される挿
入部５４ｂと、該挿入部の上端から側方に延設される横
杆部５４ｃと、上部分割部１０の底面に回動自在で、か
つ、引き抜き不能に挿入される上部分割部対応部５４ｄ
とを有してクランク状に形成されており、横杆部５４ｃ
からは、下方に向けて係合突起５４ｅが突設される。

【００２１】一方、キャップ体８０の表面周縁には、嵌
合溝８０ａが切欠状に凹設される。この嵌合溝８０ａ
は、上記回転リンク５４の係合突起５４ｅを受容して回
転リンク５４の不用意な回転を防止するために設けられ
るもので、対向位置２カ所に形成される。なお、図６に
おいて５３ｂは挿入部５４ｂがキャップ体８０から離脱
するのを防止するための止め輪を示す。

【００２２】したがってこの実施例において、図５にお
いて実線で示す位置、すなわち、上部分割部１０が下部
分割部２０上に当接した位置は、ロウバック位置または
ミドルバック位置に対応しており、この位置から上部分
割部１０を上方に引き上げると、回転リンク５４の挿入
部５４ｂに装着された止め輪５３ｂがキャップ体８０に
衝接した後、摺動パイプ５６を上方に引きあげる。摺動
パイプ５６がストローク終端位置まで引き抜かれると、
クリックスプリング５５ｂがクリック開口５６ａに弾発
的に嵌合してその位置が保持される。摺動パイプ５６の
上部摺動ストローク終端位置に対応する上部分割部１０
の位置は、ロウバック仕様の椅子がミドルバック仕様の
バックシート部３０に、またミドルバック仕様の椅子が
ハイバック仕様のバックシート部３０の高さに対応す
る。

【００２３】次いで、この状態から上部分割部１０を上
方にわずかに引き抜くと、回転リンク５４の係合突起５
４ｅがキャップ体８０の嵌合溝８０ａから離脱して回転
リンク５４の回転操作が可能となり、さらに、図７
（ｂ）、（ｃ）に鎖線で示すように上部分割部１０を移
動させることにより、上部分割部１０は下部分割部２０
の後方に移動させることができる。図７（ｃ）の状態に
おいて、回転リンク５４の係合突起５４ｅは、キャップ
体８０の嵌合溝８０ａに対応しており、該嵌合溝８０ａ
に嵌合させることにより上部分割部１０の不用意な回転
が防止され、図５に示すように、ハンガーとしての利用
が可能となる。

【００２４】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、必要に応じてバックシート部の高さを自由に
変更することにより、ロウバックからミドルバック椅子
のように、またはミドルバックからハイバック椅子のよ
うに使用することができるので、椅子としての使い勝手
および椅子の移動等が容易で、その使い勝手を飛躍的に
向上させることができる。

【００２５】また、上部分割部をハンガーとしても利用
することができるために、ロッカー等への移動が不要と
なり、椅子による作業性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す図で、（ａ）は正面図、
（ｂ）は側面図である。

【図２】図１の要部断面図で、（ａ）はバックシート部
の断面図、（ｂ）は（ａ）のＢ−Ｂ線断面図、（ｃ）は
（ａ）のＣ−Ｃ線断面図である。

【図３】ステー構造体の要部分解斜視図である。

【図４】ステー構造体の動作状態を示す図で、（ａ）は
ミドルバック状態またはハイバック状態を示す図、
（ｂ）はハンガー位置への移行状態を示す図である。

【図５】本発明の第２の実施例を示す図である。

【図６】図５の要部断面図で、（ａ）はバックシート部
の断面図、（ｂ）は（ａ）のＤ−Ｄ線断面図である。

【図７】回転リンクの動作を示す図で、（ａ）はミドル
バックの時またはハイバック時、（ｂ）はハンガー位置
への移行途上時、（ｃ）はハンガー位置を示す。

【符号の説明】

１０ 上部分割部 ２０ 下部分割部 ３０ バックシート部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上部分割部と下部分割部とに分割されたバ
   ックシート部を有し、 上部分割部は、下部分割部の上端を上部分割部の下端に
   当接させた状態で、ロウバック位置またはミドルバック
   位置から、 上端部がミドルバック位置またはハイバック位置まで引
   き上げ可能とされた椅子。
2. 【請求項２】前記上部分割部を下部分割部後方に後退さ
   せて、該上部分割部をハンガーとして利用可能とした請
   求項１記載の椅子。