JPH08116692A - 永久磁石形３相ステップモータおよびその駆動装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は永久磁石形３相ステップモータ及び
その駆動装置の改良を目的とするもので、従来より実施
されているものにおいては星状結線の３相ステップモー
タと６個の通電制御素子をブリッジ接続した通電制御装
置と、各相の電流を検出する３個の絶縁形の電流検出器
とを含む構成であった。このような従来技術の構成は多
くの高価な部品を必要とするもので本来安価に位置決め
システムを構築可能なステップモータの応用を制限する
という問題があった。本発明は簡単な構成で高性能のス
テップモータ及びその駆動装置を提供するのが目的であ
る。 【構成】 本発明においては、星状接線の永久磁石形ス
テップモータの３個の巻線を接続した中性点より一個の
リード線を引出す４本リードの構造とし、該中性点リー
ドへ所定値で一定の励磁電流を供給する総電流制御手段
と、Ｕ相、Ｖ相、Ｗ相の各リードに直列に接続されたス
イッチ素子と、駆動パルスの到来毎に励磁シーケンスの
従って該スィッチ素子を制御する相電流制御手段とを備
えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は，星状に結線した３相励
磁巻線を有する固定子と，永久磁石を有する回転子から
成る永久磁石形３相ステップモータと，その駆動に適し
た駆動装置の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来より，永久磁石形３相ステップモー
タを含む多相負荷に流す駆動電流を所望の電流値に制御
する場合，各相に双方向の電流を流せるようにブリッジ
接続した主回路を構成し，この主回路に於けるスイッチ
ング操作によって負荷に流れる電流値を制御している。
その電流制御の方法は，負荷に流れる電流を電磁変換素
子などを利用した電流センサで検出して電流指令値と比
較し，比較結果に基づくパルス信号によってパルス幅制
御（以下，ＰＷＭと略称する）方式で電流制御が行われ
ており，社団法人電気学会発行の書籍「半導体変換回
路」１５０頁等にも開示されている。図７は，従来から
用いられている３相ステップモータの電流制御装置の一
例を示している。同図で，３３がＵ相とＶ相とＷ相の巻
線をスター結線した永久磁石形３相ステップモータを示
す。この永久磁石形３相ステップモータ３３は回転子に
永久磁石を備え，固定子の極歯と回転子の極歯の関係が
最適に構成されたモータで，その詳細説明は日本国公開
特許公報の平２−２６９４５８号等に開示されている。
また図７で，４７が駆動電源，３４〜４５がインバータ
の主回路を構成する各相スイッチ素子と環流素子，４８
〜５０が永久磁石形３相ステップモータ３３の各相に流
れる駆動電流を検出するために設けられた絶縁型電流検
出器を示している。これらの絶縁型電流検出器４８〜５
０で検出されたモータ駆動電流は，電流処理回路５１で
レベル変換等の処理が行われ，誤差増幅回路５２で外部
から入力されるステップ信号に応じた各相の電流指令Ｉ
refu，Ｉrefv，Ｉrefwと突き合わせが行われる。その結
果の差分電圧が比較回路５４へ入力され，三角波発生回
路５３で発生される三角波状キャリア信号とレベルの比
較が行われて前記差分電圧のレベルに応じたパルス幅を
有するパルス信号が生成される。このパルス信号は，ゲ
ート駆動回路５５で各相スイッチ素子を駆動するのに適
したレベルへ変換され，この変換されたゲート信号によ
って各相スイッチ素子のオン・オフ制御が行われる。こ
の結果，永久磁石形３相ステップモータ３３のＵ相，Ｖ
相，Ｗ相巻線には，前記パルス信号のパルス幅に見合っ
た駆動電流が通電される。以上のようなループで構成さ
れる電流制御装置においては，永久磁石形３相ステップ
モータ３３の各相へ流れる駆動電流をモニタするため
に，インバータ主回路と永久磁石形３相ステップモータ
３３の間に高価な絶縁型電流検出器を設ける必要があ
り，また，永久磁石形３相ステップモータ各相の駆動電
流を双方向に通電して所望のステップ角を得るために，
インバータ主回路は６個のスイッチ素子と６個の環流素
子で構成されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このような構成による
永久磁石形３相ステップモータとその駆動装置では，永
久磁石形３相ステップモータの各相に双方向の駆動電流
を通電することからインバータの主回路を構成するスイ
ッチ素子や環流素子の数が多くなり，また駆動電流の検
出に高価な絶縁型電流検出器を必要としている。その結
果，従来例の構成では，本来安価に位置決めシステムを
構築可能なステップモータの応用で，上述のようにシス
テム全体が複雑且つ高価となる場合があり，安価に同期
運転可能な永久磁石形３相ステップモータとその駆動装
置の実現が望まれている。従って本発明では，永久磁石
形３相ステップモータとその駆動装置の構成を改良し，
安価に同期運転および位置決め可能な永久磁石形３相ス
テップモータとその駆動装置を実現することを目的とし
ている。

【０００４】

【問題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため本発明による永久磁石形３相ステップモータとそ
の駆動装置では，星状結線の３相励磁巻線を施した固定
子と，該固定子と所定の空隙をもって対向し且つ永久磁
石を含む回転子とで構成した永久磁石形３相ステップモ
ータとその駆動装置において，該永久磁石形３相ステッ
プモータを動作させるリード線が，前記星状結線の各相
に接続されたＵ相リード，Ｗ相リード，Ｖ相リードの３
本と，前記星状結線の中性点に接続された１本の中性点
リードの合計４本リードで構成され，該中性点リードへ
所定値で一定の励磁電流を供給する総電流制御手段と，
Ｕ相リード，Ｗ相リード，Ｖ相リードの各リードに直列
に接続されたスイッチ素子と，駆動パルスの到来毎に励
磁シーケンスに従って該スイッチ素子のオン・オフを制
御する相電流制御手段を備えている。また，前記総電流
制御手段によって前記中性点リードを経由する総合電流
値を一定に制御し，駆動パルスの到来毎に前記相電流制
御手段が，現在励磁中の相電流を斬減し且つ次期励磁相
の相電流を斬増するように，前記スイッチ素子のオン・
オフ比率を可変とするように構成されている。

【０００５】

【実施例】本発明による一実施例の全体構成を図１に示
す。図１で，１が永久磁石形３相ステップモータを示し
ており，内部ではＵ相，Ｖ相，Ｗ相巻線が星状結線さ
れ，それぞれ１ｕ，１ｖ，１ｗのリードと更にその中性
点Ｎからも中性点リードが引き出されている。図４〜図
６が，この永久磁石形３相ステップモータ１の内部構成
を説明した図である。

【０００６】図４で，２８は固定子ハウジング，２２は
固定子鉄心で，これは図５に示す磁極３１−１〜３１−
６を構成している。これらの磁極内周面には所定の歯幅
を有する極歯が，所定のピッチで備えられている。２６
は固定子巻線で，前記磁極へ図５の３２−１〜３２−６
で示すように巻かれており，各々１８０度ずれた磁極が
同極となるように巻線が施されている。この場合，固定
子鉄心２２は所要枚数の電磁鋼板をその極歯ピッチが重
なるよう同一方向に積層して構成するのが通例である。

【０００７】２７ａ，２７ｂはエンドブラケット，３０
ａ，３０ｂは軸受けである。２９は回転子軸，２４ａ，
２４ｂはそれぞれ回転子磁極，２５は軸方向に着磁され
た永久磁石を示しており，前記回転子磁極２４ａ及び２
４ｂの外周面にも所定の歯幅を有する極歯が所定のピッ
チで備えられている。また，回転子磁極２４ａと回転子
磁極２４ｂの極歯形状は同一で，相互に１／２ピッチず
らして永久磁石２５を狭持するように回転子軸２９へ装
着されて回転子２３を構成している。これら固定子鉄心
２２に設けられた極歯数とピッチ，及び回転子磁極２４
ａ，２４ｂに設けられた極歯数とピッチの関係は，日本
国公開特許公報の平２−２６９４５８号に開示された構
成を採用している。

【０００８】図６に，固定子巻線２６の内部結線を示
す。Ｕ相巻線３２−１及び３２−４は固定子磁極３１−
１と３１−４に巻かれ，その１端がリード１ｕとなり他
端が中性点リードＮとなる。Ｖ相巻線３２−２及び３２
−５は固定子磁極３１−２と３１−５に巻かれ，その１
端がリード１ｖとなり他端が中性点リードＮとなる。同
様に，Ｗ相巻線３２−３及び３２−６は固定子磁極３１
−３と３１−６に巻かれ，その１端がリード１ｗとなり
他端が中性点リードＮとなる。

【０００９】このような構成の永久磁石形３相ステップ
モータ１は，従来のＵ相リード，Ｖ相リード，Ｗ相リー
ドの３本の他に中性点リードを加えた４本リードを備え
ているので，図１に示した駆動装置でユニポーラ運転が
可能となる。図１で，１４が駆動電源，２〜４が永久磁
石形３相ステップモータ１の各相駆動電流をオン・オフ
制御するスイッチ素子，５が該スイッチ素子のオン状態
からオフ状態へ移行する時に発生するサージ電圧を吸収
するツェナーダイオード，６〜７が該サージ電圧吸収回
路を構成する環流素子，１２が総電流制御用スイッチ素
子，１１がスイッチ素子１２のオフ時環流素子，９がチ
ョークコイル，１０が平滑コンデンサ，１３が総電流検
出抵抗，１９が総電流制御ＰＷＭ回路，２０が基準電圧
源，１５がスイッチ素子２〜４のベース駆動回路，１６
が３相分配回路，１７が励磁モード設定装置，１８が駆
動パルス入力回路，２１が駆動パルス入力端子を示して
いる。

【００１０】駆動パルス入力端子２１を経由して外部か
ら入力されたパルス信号は，駆動パルス入力回路１８で
レベル変換等の処理が行われ，３相分配回路１６へ送ら
れる。この３相分配回路へはスライドスイッチ等で代表
される励磁モード設定装置１７も接続されており，励磁
方式の選択が可能となっている。また，３相分配回路１
６は主に論理素子群で構成されるが，後に図３で説明す
る電流制御方法を考慮してマイクロプロセッサを搭載す
る場合もある。このような構成による３相分配回路１６
を経た信号は，励磁モード設定装置１７で予め設定され
たシーケンスに従ってスイッチ素子２〜４のオン・オフ
信号に変換され，ベース駆動回路１５に送られる。

【００１１】例えば，スイッチ素子２及びスイッチ素子
４がオンでスイッチ素子３がオフとなると，中性点Ｎか
ら流入した駆動電流がＵ相及びＷ相へ流れ，合計の総電
流が総電流検出抵抗１３を経由して駆動電源１４へ戻
る。この時，総電流検出抵抗１３に生じる電圧が総電流
制御ＰＷＭ回路１９へ入力され，この検出電圧が基準電
圧源２０の設定電圧と比較される。この比較で総電流検
出抵抗１３よる検出電圧が大の場合，総電流制御ＰＷＭ
回路１９から出力される総電流制御用スイッチ素子１２
のベース信号は，オフとなる。この結果，直前までオン
状態となっていた総電流制御用スイッチ素子１２がオフ
となり，その後は，チョークコイル９に蓄えられた磁気
エネルギの放出が環流素子１１を経由して行われる。

【００１２】更に総電流検出抵抗１３による検出電圧と
基準電圧源２０の設定電圧との比較が継続され，この比
較で総電流検出抵抗１３よる検出電圧が小の場合，総電
流制御ＰＷＭ回路１９から出力される総電流制御用スイ
ッチ素子１２のベース信号がオンとなる。この結果，直
前までオフ状態となっていた総電流制御用スイッチ素子
１２がオンとなる。その後，この動作が繰り返され，永
久磁石形３相ステップモータ１へ通電される総電流値
が，所定の電流値すなわち総電流検出抵抗１３の抵抗値
と基準電圧源２０の設定電圧値の関係で決定される電流
値に制御される。

【００１３】図２は，このように総電流が一定電流値へ
制御された状態でＵ相，Ｖ相，Ｗ相の励磁が切り替えら
れていく様子を示している。この図で，駆動パルスの到
来に応じて各相の電流切り換えが行われるが，常に２相
が励磁されるようになっている。一方，永久磁石形３相
ステップモータ１の各相は，その巻線抵抗値がほぼ同一
となるように巻線が施されているので，駆動電流の最大
値は前記総電流のほぼ１／２となる。この励磁方式にお
いては，励磁電流が一方向のユニポーラ運転となるの
で，モータのステップ角はバイポーラ運転の場合の２倍
となる倍ステップ駆動となるが，微小な位置決めを必要
としない同期運転では十分実用的な性能が得られる。

【００１４】微小な位置決めを必要とする場合は，励磁
モード設定装置１７の設定によって励磁方法をマイクロ
ステップモードに設定できる構成としてある。このモー
ドでは，３相分配回路１６に搭載されたマイクロプロセ
ッサにより，駆動パルスの到来に応じて現在励磁中の相
電流を斬減し且つ次期励磁相の相電流を斬増するよう
に，スイッチ素子２〜４のベース信号のオン・オフ比率
を可変とするように制御する。この時，総電流は前述の
ように予め所定の値に制御されており，この所定総電流
を隣接相に斬増減する電流分配を行ってマイクロステッ
プ駆動を行っている。

【００１５】図３は，駆動パルスと各相電流波形の関係
を示している。この結果，永久磁石形３相ステップモー
タ１の回転子２３は，ステップ動作毎に各相のステップ
状駆動電流で発生されるトルクの平衡によって停止位
置，すなわちステップ角が決まる。図３の例では本来の
基本ステップ角を１／５に分割した位置で停止可能とな
り，微小な位置決めを必要とする応用にも使用可能とな
る。

【００１６】

【発明の効果】以上の説明のように本発明による永久磁
石形３相ステップモータとその駆動装置においては，永
久磁石形３相ステップモータを動作させるリード線が，
星状結線の各相に接続されたＵ相リード，Ｗ相リード，
Ｖ相リードの３本と，前記星状結線の中性点に接続され
た１本の中性点リードの合計４本リードで構成されてい
るのでユニポーラ運転が可能であり，また，該中性点リ
ードへ所定値で一定の励磁電流を供給する総電流制御手
段と，Ｕ相リード，Ｗ相リード，Ｖ相リードの各リード
に直列に接続されたスイッチ素子と，駆動パルスの到来
毎に励磁シーケンスに従って該スイッチ素子のオン・オ
フを制御する相電流制御手段を備えているので，従来例
に比べてモータ駆動に必要なトランジスタを減らすこと
が可能となる。この結果，安価に同期運転可能な永久磁
石形３相ステップモータとその駆動装置を提供すること
が可能となる。

【００１７】また，前記総電流制御手段によって前記中
性点リードを経由する総合電流値を一定に制御し，駆動
パルスの到来毎に前記相電流制御手段が，現在励磁中の
相電流を斬減し且つ次期励磁相の相電流を斬増するよう
に，前記スイッチ素子のオン・オフ比率を可変とするこ
とが可能であるから基本ステップ角を電気的に分割した
位置でも位置決め可能であり，安価に微小位置決め可能
な永久磁石形３相ステップモータとその駆動装置を提供
することも可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による永久磁石形３相ステップモータと
その駆動装置の接続図である。

【図２】２相励磁モードにおける駆動パルスと各相電流
の関係を示す図である。

【図３】マイクロステップ駆動における駆動パルスと各
相電流の関係を示す図である。

【図４】永久磁石形３相ステップモータの内部構成を示
す図である。

【図５】図４のＡ−Ａ矢視断面図で，固定子巻線および
固定子磁極の極歯と回転子磁極の極歯を示す図である。

【図６】永久磁石形３相ステップモータの固定子巻線の
内部結線を示す図である。

【図７】従来例による３相ステップモータの電流制御装
置の一例を示す図である。

【符号の説明】

１ 永久磁石形３相ステップモータ ２，３，４ スイッチ素子 １２ 総電流制御用スイッチ素子 １３ 総電流検出抵抗 １４ 駆動電源 １５ ベース駆動回路 １６ ３相分配回路 １７ 励磁モード設定装置 １８ 駆動パルス入力回路 １９ 総電流制御ＰＷＭ回路 ２０ 基準電圧源 ２１ 駆動パルス入力端子 ２２ 固定子 ２３ 回転子 ２５ 永久磁石 ２９ 回転子軸

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】星状結線の３相励磁巻線を施した固定子
   と，該固定子と所定の空隙をもって対向し且つ永久磁石
   を含む回転子とで構成した永久磁石形３相ステップモー
   タとその駆動装置において，該永久磁石形３相ステップ
   モータを動作させるリード線が，前記星状結線の各相に
   接続されたＵ相リード，Ｗ相リード，Ｖ相リードの３本
   と，前記星状結線の中性点に接続された１本の中性点リ
   ードの合計４本リードで構成され，該中性点リードへ所
   定値で一定の励磁電流を供給する総電流制御手段と，Ｕ
   相リード，Ｗ相リード，Ｖ相リードの各リードに直列に
   接続されたスイッチ素子と，駆動パルスの到来毎に励磁
   シーケンスに従って該スイッチ素子のオン・オフを制御
   する相電流制御手段を備えたことを特徴とする永久磁石
   形３相ステップモータとその駆動装置。
2. 【請求項２】前記総電流制御手段によって前記中性点リ
   ードを経由する総合電流値を一定に制御し，駆動パルス
   の到来毎に前記相電流制御手段が，現在励磁中の相電流
   を斬減し且つ次期励磁相の相電流を斬増するように，前
   記スイッチ素子のオン・オフ比率を可変とすることを特
   徴とする請求項１に記載の永久磁石形３相ステップモー
   タとその駆動装置。