JPH08114531A - 管の肉厚減少量または余寿命の計算による推定法 - Google Patents
管の肉厚減少量または余寿命の計算による推定法Info
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- JPH08114531A JPH08114531A JP27698594A JP27698594A JPH08114531A JP H08114531 A JPH08114531 A JP H08114531A JP 27698594 A JP27698594 A JP 27698594A JP 27698594 A JP27698594 A JP 27698594A JP H08114531 A JPH08114531 A JP H08114531A
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Abstract
成および成長と、この腐食ピットからの疲労亀裂の生成
とが交互に繰返されて肉厚が減少する火力発電用ボイラ
の水壁管の肉厚減少量または余寿命を計算により正確に
推定する。 【構成】 2回目以降の起動により腐食ピット底部の応
力拡大係数が疲労亀裂発生限界値になる時の腐食ピット
の深さapit を腐食ピット成長則から求め、1回の起動
による応力付加によって発生する疲労亀裂の進展深さa
f1を積分形のパリス則の式により求めて全深さa1 を求
め、この全深さa1 に達するまで腐食のみであると仮定
した場合の仮想成長時間を求めることから腐食によって
進行する腐食ピットの深さac1を求めて全深さa1 ´
を求める。以下、このような計算を繰返すことにより、
水壁管の肉厚源少量または余寿命を求める。
Description
学プラント用のボイラの水壁管のような、内部を高温の
流体が流れることによる腐食に起因する腐食ピットの生
成および成長と、起動および停止が多数回繰返されて繰
返し熱応力が作用することによる腐食ピットからの疲労
亀裂の生成とが交互に繰返されて亀裂が発生して肉厚が
減少する管の肉厚減少量または余寿命の計算による推定
法に関する。
側では、酸素イオンを微量含有する五百数十℃程度の高
温の水が流れるため、起動および停止を多数回繰返され
て運転されるのに伴って、特にパネル溶接部の内部側で
は腐食に起因して腐食ピットが生成および成長する。こ
のようにして腐食ピットがある大きさにまで成長する
と、起動および停止による温度変動で生じる繰返し熱応
力により腐食ピットの底部に応力集中が発生して疲労亀
裂が生成し、以下、腐食に起因する腐食ピットの成長お
よび疲労亀裂の生成が交互に繰返され亀裂が成長し、管
の肉厚が減少する。
定することができれば肉厚が設計最小肉厚になる時であ
る管の余寿命を正確に把握できるため、管の交換を寿命
の範囲内で無駄なくかつ効率的に行うことができる。
まで大きな問題が生じなかったこともあり、腐食疲労亀
裂の成長速度の推定に関する研究例は少なく、報告され
たものは以下の二つ程度である。
進展速度式 APTECH社(米国)は孔食生成と疲労亀裂伝播とを
組合せて次のような腐食ピット深さaの推定式を提案し
た。
度式(日本機械学会〔No 920-72 〕材料力学部門講演会
講演論文集、1992、423〜424頁) 塩田氏らはAPTECH社の式を参考にして、腐食疲労
亀裂の成長に影響を及ぼす因子として運転時間t、熱応
力σ、起動停止回数Nを考え、次のような腐食ピット深
さaの推定式を提案した。
疲労亀裂による肉厚減少量とを個別に求め、それぞれに
影響率を適当に乗じてからこれらを加算する加算則を用
いることにより管の肉厚減少量または余寿命を推定して
いた。
に運転パターンが著しく異なるものの、運転時の管にお
いては腐食と疲労亀裂とはそれぞれ交互に連続して発生
し、亀裂が成長する。すなわち、実際には、腐食→亀裂
(腐食ピットの生成および成長)→亀裂の限界寸法まで
の成長→孔食底に疲労亀裂の生成という順序で腐食ピッ
トおよび疲労亀裂の生成が生じ、以下、起動および停止
を繰返されることにより、腐食→亀裂→疲労亀裂→・・
・・・という連続的な形態で腐食および疲労亀裂が進行
するため、疲労亀裂の発生には腐食の程度が影響すると
いう相互作用がある。
互いに独立した腐食および疲労亀裂の和としてとらえて
おり、腐食および疲労亀裂の間の相互作用については全
く考慮していないために推定精度が低かった。また、式
中の腐食ピット成長速度da/dt や腐食割れ速度dN/dt に
具体的にどのような式や値を用いるか説明されていない
ため、具体的にどのような演算処理を行うのかが不明で
あり、直ちに実機に適用できるものではなかった。
ているデータに関しては比較的高精度で推定を行うこと
はできるものの、腐食と疲労亀裂との相互作用を全く考
慮していないため、形式や運転形態が異なるプラント
(例えば起動および停止の繰返し回数が多いプラント)
に適用した場合には推定精度が著しく低下してしまうと
いう問題があった。また、式の形式から分かるように、
運転時間と起動回数とがいずれも小さい場合には求めた
腐食ピットの深さが負の値を呈することがあり、現実に
則さないという問題もある。
問題に鑑みてなされたものであり、例えば火力発電用ま
たは化学プラント用のボイラの水壁管のような、内部を
高温の流体が流れることによる腐食に起因する腐食ピッ
トの生成および成長と、起動および停止が多数回繰返さ
れて繰返し熱応力が作用することによる腐食ピットから
の疲労亀裂の生成とが交互に繰返されて亀裂が発生して
肉厚が減少する管の肉厚減少量または余寿命を計算によ
り正確に推定する方法を提供しようとするものである。
減少量または余寿命の計算による推定法は、内部を流れ
る高温流体による腐食ピットの生成および成長と、起動
および停止に起因した繰返し熱応力による腐食ピットか
らの疲労亀裂の生成とにより亀裂が成長する管の肉厚減
少量または余寿命を推定するに際し、疲労亀裂の進行開
始限度を腐食ピットの底部における応力拡大係数を用い
て定め、運転開始時から応力拡大係数に達するまでの間
は運転時間の経過に伴って腐食のみが進行するとしてそ
の運転時間および腐食による亀裂深さを算出し、腐食の
みが進行する運転時間を経過した後は、運転時間の経過
時点における亀裂深さを基準として起動による繰返し熱
応力の変動に伴う疲労亀裂の進展量を算出するとともに
疲労亀裂の進展量を加えた亀裂深さを基準として次回の
起動までの運転時間における腐食のみによる腐食ピット
の生成量を算出することを、目標運転時間または目標亀
裂深さに達するまで繰返し行うことにより、目標運転時
間経過時の肉厚減少量または目標亀裂深さに達するまで
の余寿命を推定することを特徴とするものである。
余寿命の計算による推定法は、より具体的には、内部を
高温の流体が流れることによる腐食に起因する腐食ピッ
トの生成および成長と、起動および停止が繰返されて繰
返し熱応力が作用することに起因する腐食ピットからの
疲労亀裂の生成とが交互に繰返されて亀裂が発生して肉
厚が減少する管の肉厚減少量または余寿命を、下記第1
工程ないし第6工程からなる計算により推定することを
特徴とするものである。
ット底部における応力拡大係数が疲労亀裂発生限界値に
なる時の腐食ピットの深さapit を式:Newman & R
ajuの式を用いて求める。そして、求めた腐食ピットの
深さapit を、1回目の起動後の腐食により生成および
成長する腐食ピットの深さと最初の起動からの経過時間
との間の関係式である式:apit =A×tQ(A,
Q:定数、t:最初の起動からの経過時間)に代入し
て、疲労亀裂発生時までの腐食ピット成長時間t0を計
算する。
って発生する疲労亀裂の進展深さaf1を、式:da/dN
=Bc(ΔK)m (da/dN:疲労亀裂進展速度、ΔK:応
力拡大係数範囲、B :補正係数、c ,m :定数)で表さ
れる積分形のパリス則の式により求め、第1工程で求め
た腐食ピットの深さapit を加算することにより亀裂深
さa1 を求める。
に達するまで腐食のみで腐食ピットが成長したと仮定し
た場合の仮想成長時間ti1を式を用いて求め、この
値を用いて、次の起動までの経過時間Δtに腐食によっ
て進行する腐食ピットの深さac1を、ac1=A・(t
i1+Δt)Q−a1 として求め、第2工程で求めた亀
裂深さa1 を加算することにより亀裂深さa1 ´を求め
る。
´を基準として第1工程および第2工程と同様にして、
発生する疲労亀裂の進展深さaf2を求め、第3工程で求
めた亀裂深さa1 ´を加算することにより亀裂深さa2
を求める。
を基準として、第3工程と同様にして次の起動までの経
過時間Δtに進行する腐食ピットの深さac2を求め、第
4工程で求めた亀裂深さa2 を加算することにより亀裂
深さa2 ´を求める。
る計算を繰返し行うことにより、予め定めた1回目の起
動からの経過時間Nが所定値になった時の全深さである
管の肉厚源少量、または、全深さが予め定めた所定値に
なった時の経過時間である管の余寿命を求める。
計算による推定法では、従来法のように腐食に起因する
腐食ピットの深さと疲労亀裂に起因する腐食ピットの深
さとを個別に求めて加算することにより亀裂深さを求め
るのではなく、各プラントの実際の運転パターン毎に水
壁管にどのくらいの損傷が発生しているかを計算してこ
の計算結果を順次積み上げることにより、最終的な亀裂
深さを算出する。すなわち、腐食により腐食ピットが生
成し、この腐食ピット底部における応力拡大係数が疲労
亀裂発生限界値に達して疲労亀裂が発生した後の腐食に
よる腐食ピットの進行速度を、直近の亀裂深さに基づい
て補正して算出する。
作用が計算に加味され、その時の亀裂深さに応じた正確
な腐食速度を求めることができるようになる。
を計算により正確に推定できるようになる。
は余寿命の計算による推定法の一実施例を添付図面を参
照しながら詳細に説明する。
たは余寿命の計算による推定法の具体例の概要を、第1
工程ないし第6工程に分けて示す工程図である。
ピット底部における応力拡大係数が亀裂発生限界値にな
る時の腐食ピットの深さapit を、半楕円亀裂に対する
応力拡大係数を与えるNewman & Raju の式(式)を
用いて求める。そして、求めた腐食ピットの深さapit
を、1回目の起動後の腐食により生成および成長する腐
食ピットの深さと最初の起動からの経過時間との間の関
係式:apit =A×tQ(A,Q:定数、t:最初の
起動からの経過時間)に代入して、疲労亀裂発生時まで
の腐食ピット成長時間t0 を計算する。この第1工程で
算出する腐食は、疲労により腐食ピット底部から亀裂が
生成するまでの間連続して成長する。
食により時間の経過とともに生成および成長する腐食ピ
ットの深さapit は、式:apit =A×tQ(A、
Q:定数、t:最初の起動からの経過時間)により計算
する。
値に基づいて決定した。すなわち、定数Qは1/2乗則
よりも小さくなることも考えられるが、安全率を見込ん
で1/2とした。
裂深さ測定値との関係をグラフで示す。図3は、経験的
に疲労亀裂発生のおよその限界値と考えられる深さ100
μmまでの成長時間を経験値から2×104 〜105 (hr)と
仮定した時の式の定数Aを図示するように3.162 ×10
-4〜7.070 ×10-4の5段階で変更することにより作成し
た5本の曲線I〜Vを示すが、実機(ドラムボイラ、定
圧貫流ボイラおよび変圧貫流ボイラ)のデータをプロッ
トして比較すると、100 μmの深さの亀裂は数万時間以
内に発生していることが推定され、このことと最も符合
するのは曲線III である。そこで、曲線III (定数A=
4.08×10-4)を選定した。
き、apit =4.08×10-4t1/2 とした。
an & Raju の式を図4を参照しながら簡単に説明す
る。図4はNewman & Raju の式の前提となる半楕円表
面亀裂の概念図であり、符号aは楕円形の半楕円表面亀
裂の短径を、符号L は半楕円表面亀裂の長径を、符号W
は板幅を、符号φは半楕円表面亀裂中心からの角度を、
符号THは肉厚をそれぞれ示しており、亀裂が板厚方向に
進展する場合を示している。ここで、板の長手方向にσ
の応力が作用しており、腐食ピットの先端での応力拡大
係数として、短径aの長さが腐食ピットの深さと一致す
るところの半楕円表面亀裂の最深点Bにおける応力拡大
係数を適用するとすれば、この応力拡大係数Kは、
の起動停止回数の繰返し回数の増分に対して計算を行
う。すなわち、Newman & Raju の式によって、aの値
を少しずつ変更しながら応力拡大係数ΔKを算出し、そ
の結果が限界値ΔKpit になるaの値apit を求める。
本実施例では、文献から、
とにより、疲労亀裂発生時までの腐食ピット成長時間t
0 =(apit /A)1/Qを求める。
よって発生した疲労亀裂の進展深さaf1を、式:da/
dN=Bc(ΔK)m (da/dN:亀裂進展速度、ΔK:応力
拡大係数範囲、B:補正係数、c ,m :定数)で表され
る積分形のパリス則の式により求め、第1工程で求めた
腐食ピットの深さapit を加算することにより、疲労亀
裂進展後の亀裂深さa1 =apit +af1を求める。
補正なしの状態とした。また、定数c、mはボイラ材の
材料データがないことから、図5に示したASME Sec. XI
の水中疲労亀裂進展曲線の最加速曲線を用いて、c=5.
32×10-6、m=1.95と決定し、式をda/dN=5.32
×10-6(ΔK)1.95とした。
1 に達するまで腐食のみで腐食ピットが成長したと仮定
した場合の仮想成長時間ti1を式を用いて求め、こ
の値を用いて、次の起動までの経過時間Δtに腐食によ
って進行する腐食量ac1を、ac1=A・(ti1+Δ
t)Q−a1 として求め、第2工程で求めた亀裂深さa
1 を加算することにより、腐食進行後の亀裂深さa1 ´
=apit +af1+ac1を求める。
1 ´を基準として第1工程および第2工程と同様にし
て、発生した疲労亀裂の進展深さaf2を求め、第3工程
で求めた亀裂深さa1 ´を加算することにより疲労亀裂
進展後の亀裂深さa2 =apit +af1+ac1+af2を求
める。
2 を基準として、第3工程と同様にして次の起動までの
経過時間Δtに進行する腐食ピットの深さac2を求め、
第4工程で求めた亀裂深さa2 を加算することにより、
腐食進行後の亀裂深さa2 ´=apit +af1+ac1+a
f2+ac2を求める。
なる計算を行うことにより、予め定めた1回目の起動か
らの経過時間tが所定値になった時の亀裂深さである管
の肉厚減少量または亀裂深さが予め定めた所定値になっ
た時の経過時間である管の余寿命を求める。
は余寿命の計算による推定法を演算機を用いて実施する
場合の具体的な手順を図2に示すフローチャートを参照
しながら説明する。
値とを設定する。係数の決定は実験値や将来の予定値を
用いて行う。
成長則、亀裂進展則および亀裂発生限界応力拡大係数を
入力する。
厚thtsr 、運転時間t realおよび起動停止回数n realを
実際の条件に応じて入力する。
Δσを実測値から入力する。
pit =A・tQ(apit :腐食ピット深さ、t:時間、
A:係数、Q:乗数)のAとQを入力する。本実施例で
は、前述のように、Aは4.08×10-4と、Qは1/2 乗則か
ら0.5 とそれぞれ決定した。
亀裂進展速度、B:補正係数、c:係数、ΔK:応力拡
大係数範囲、m:定数)のB、c、mを入力する。本実
施例では、Bには1を、cとmは、前述のように、ASME
Sec XIの水中疲労亀裂進展曲線の最加速曲線からc=
5.32×10-6、m=1.95とそれぞれ決定した。
応力拡大係数ΔKpitの値を入力する。本実施例では文
献から得た
であり、実プラントの現在の運転実績に達したら終了す
る(f=1) 。実プラントの起動停止間隔(Δt=運転
時間treal/起動停止回数nreal)で運転時間t
real(=目標時間tlim )となるまで計算を行う。
間を知る場合であり、亀裂深さが目標値に達したら終了
する(f=2)。計算結果の亀裂深さが目標亀裂深さa
lim に達するまで計算を行う。
(管の将来の肉厚)を知る場合であり、運転時間が目標
値に達したら終了する(f=3)。計算上の経過時間が
目標時間tlim に達するまで計算を行う。
(f=4)。現在からある時間経過した時の管の肉厚を
知る場合であり、計算上の起動回数が目標回数nlim に
達するまで計算を行う。
1)。計算条件の入力の項目であるのでここでは入力項
目無し。
(f=2)。目標亀裂深さalim として例えば設計最少
肉厚を入力するとともに(2)計算条件の入力の項で求
めた起動停止間隔Δtを入力することで、亀裂深さがあ
る値になるまでの経過時間を知ることができる。
(f=3)。目標運転時間tlim として、例えば1000時
間入力するとともに(2)計算条件の入力の項で求めた
起動停止間隔Δtを入力することで、1000時間運転後の
管の肉厚を知ることができる。
(f=4)。目標起動回数nlim としてある回数を入力
するとともに(2)計算条件の入力の項で求めた起動停
止間隔Δtを入力することで、ある回数の起動および停
止を繰返した場合の管の肉厚を知ることができる。
を予め入力しておき計算を開始する。計算開始時点で存
在する亀裂深さaini を入力する。亀裂深さaini は余
寿命予測等を行う際における、検査によって検出された
値である。また、その亀裂が腐食のみによって生成した
と仮定した場合の腐食時間を計算する。
深さまで成長するために必要な仮想的な時間 astart :初期亀裂深さ
算終了条件との比較 腐食ピットが亀裂発生条件に達する場合の限界の亀裂
深さapit を求める。
出関数 Δσ:応力振幅 apit :亀裂発生下限界亀裂深さ という式を繰返し計算によって数値的に解いて亀裂深さ
apit を求める。
pit まで成長する時間tpit を求める。腐食ピット成長
則を時間に関して解いて、tpit =(apit /A)1/Q
よりtpit を求める。
・・・・・計算終了条件のf=1、3、4の場合、b)
apit >alim ・・・・・計算終了条件のf=2の場合
のいずれかが成立する場合は計算終了時でも亀裂は発生
せず、計算開始時から終了時まで腐食のみにより孔食が
進行するので(8)へ進む。
(亀裂深さ:astart )から計算終了時点(亀裂深さ:
alim )まで継続して腐食が続き、疲労亀裂は発生しな
い場合であるので、 計算終了条件のf=1、3、4の場合 alim =A(tstart +tlim )Q によって計算終了時の亀裂深さalim を算出する。
は腐食のみにより亀裂が成長し時間tpit から疲労亀裂
と腐食による亀裂とが交互に発生する場合であり、計算
開始時点では亀裂発生条件に達していないので(10)
へ進む。
start )の場合は、図8に経時的な亀裂深さを示すよう
に初期(亀裂深さ:astart )から計算終了時(亀裂深
さ:alim )まで疲労亀裂と腐食とが交互に発生する場
合であるので(11)に進む。
の間に行われる起動停止の回数の算出 tini =tpit −tstart によって計算開始から亀裂発生までに要する時間tini
を算出し、nini =int(tini /Δt) からその間
に行われる起動停止の回数を求める。
びそれまでに成長する腐食ピット深さの算出 次回の起動停止はnini の次なので、 n´ini =(nini +1) その時までの経過時間は t´ini =n´ini ・Δt であるから、その時の腐食ピット深さは a´ini =A・(t´ini )Q で求められる。
ini を次の(12)で行われる疲労による亀裂進展計算
の現在値ntmp 、ttmp 、atmp として用いる。
熱応力により疲労亀裂が進展する量Δaをparis 則の積
分形から求め、亀裂深さの現在値をその分だけ増加させ
る。
裂の長さ a´tmp :疲労亀裂進展後の亀裂深さ
の成長の計算 図9に示すように、現在の亀裂深さまで腐食のみでピッ
トが成長したと仮定した場合の仮想成長時間timg を計
算する。
裂深さa´´tmp を腐食ピット成長則から求める。 a´´tmp =A・(timg +Δt)Q
過時間の計算 図9に示すように、次の起動停止の回数、時間を計算
し、亀裂深さとともに次の現在値として設定する。
tmp ・Δtとし、求めたn´tmp およびt´tmp から、
n´tmp 、t´tmp およびa´´tmp をそれぞれ現在値
として設定する。すなわち、n´tmp =ntmp +1、t
´tmp =n´tmp ・Δtから、ntmp =n´tmp 、t
tmp =t´tmp およびatmp =a´´tmp を求める。
腐食ピットからの疲労亀裂の発生とを交互に繰返し、各
計算条件で前述の計算終了条件を満足しているかを調べ
る。そして、 計算終了条件がf=1、3、4の場合 ttmp ≧tlim を満たしていれば、計算結果を出力した後に終了する。
厚減少量または余寿命の計算による推定法により求め
た、亀裂深さ(mm)と運転時間(hr)との関係の一
例を図10にグラフで示す。
時刻t1 までの間は腐食のみにより腐食ピットの亀裂深
さ(mm)が増加し、時刻t1 を過ぎると、
と腐食量Δa=A(Δt)Qにより表される腐食による
腐食ピットの成長とが交互に繰返されて、亀裂深さが経
時的に増加する。
転時間毎の亀裂深さが求められるため、運転開始前にお
ける管肉厚から本発明により求めた亀裂深さを減ずれ
ば、各運転時間毎の管肉厚を求めることができる。した
がって、図11にグラフで示すように、本発明にかかる
管の肉厚減少量または余寿命の計算による推定法により
管の余寿命は管肉厚が設計最少肉厚になる時として求め
ることができるようになる。
流ボイラおよび変圧貫流ボイラ)について、以上の本発
明にかかる管の肉厚減少量または余寿命の推定法に基づ
き計算機を利用して推定した推定亀裂深さと、実際に測
定した実機測定亀裂深さとの相関関係を調査した。結果
を図12にグラフにまとめて示す。
以上が±0.2mmの範囲に入っており、従来の推定法
に比較すると、極めて高精度で推定を行うことができた
ことがわかる。特に、本発明にかかる管の肉厚減少量ま
たは余寿命の計算による推定法では低応力領域では疲労
亀裂が発生しないことになるが、これは図12のグラフ
における実測結果に良く符号しており、本発明にかかる
管の肉厚減少量または余寿命の計算による推定法によれ
ば、現実に則した推定を行うことができることがわか
る。
量または余寿命の計算による推定法を利用して、下記
(a)および(b)が可能となる。
傷の推定 現在稼動中のプラントの管について設計時の予定運転パ
ターンや実際の運転履歴等に基づいて、計算対象とする
ある特定の時点までにどの程度の腐食疲労損傷が発生し
ているかを推定することにより、プラントの安全な運転
を確保することができる。
って管が晒される環境が異なることから、腐食疲労損傷
が蓄積しやすいと予想される部位の損傷量を、本発明に
かかる管の肉厚減少量または余寿命の計算による推定法
で予め推定し、損傷量が多いと推定された部位を、定期
検査時等に重点的に検査すべき部位として絞り込むこと
が可能となり、検査精度向上による安全性の向上や検査
費用の節減等に貢献する。
て、現在の損傷の蓄積状況(腐食ピット/亀裂深さ等:
新規では損傷なし)や今後に予定される運転パターン・
条件に基づいて腐食疲労損傷の発生を推定することによ
り、管の使用限界(設計最少肉厚thtsr との比較によ
る)の予想や交換時期の推定が可能となり、プラント運
転の安全性や経済性の向上に寄与すると考えられる。
かる管の肉厚減少量または余寿命の計算による推定法で
は、各プラントの実際の運転パターン毎に水壁管にどの
くらいの損傷が発生しているかを計算してこの計算結果
を順次積み上げることにより、最終的な亀裂深さを算出
するため、腐食および疲労亀裂の間の相互作用が計算に
加味され、その時の亀裂深さに応じた正確な腐食速度を
求めることができるようになり、内部を高温の流体が流
されるとともに起動および停止を繰返される管の肉厚減
少量または余寿命を計算により正確に推定できることと
なった。
は余寿命の計算による推定法では、式ないし式によ
り示された理論式を用いるとともにこれらの理論式にお
ける定数に実験値を用いているため、実際の孔食現象に
矛盾しない高精度の推定を行うことができることとなっ
た。
計算による推定法の概要を示す説明図である。
計算による推定法を計算機を用いて行う場合のフローチ
ャートの一例である。
値で示すグラフである。
亀裂の概念図である。
ラフである。
に示すグラフである。
の亀裂深さを経時的に示すグラフである。
的に示すグラフである。
り疲労亀裂が進展する量を求めることを説明するグラフ
である。
の計算による推定法により求めた亀裂深さと運転時間と
の関係の一例を示すグラフである。
の計算による推定法の利用例を示すグラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 内部を流れる高温流体による腐食ピット
の生成および成長と、起動および停止に起因した繰返し
熱応力による腐食ピットからの疲労亀裂の生成とにより
亀裂が成長する管の肉厚減少量または余寿命を推定する
に際し、 前記疲労亀裂の進行開始限度を前記腐食ピットの底部に
おける応力拡大係数を用いて定め、運転開始時から前記
応力拡大係数に達するまでの間は運転時間の経過に伴っ
て腐食のみが進行するとしてその運転時間および腐食に
よる亀裂深さを算出し、 腐食のみが進行する前記運転時間を経過した後は、前記
運転時間の経過時点における亀裂深さを基準として起動
による繰返し熱応力の変動に伴う疲労亀裂の進展量を算
出するとともに前記疲労亀裂の進展量を加えた亀裂深さ
を基準として次回の起動までの運転時間における腐食の
みによる腐食ピットの生成量を算出することを、目標運
転時間または目標亀裂深さに達するまで繰返し行うこと
により、 前記目標運転時間経過時の肉厚減少量または前記目標亀
裂深さに達するまでの余寿命を推定することを特徴とす
る管の肉厚減少量または余寿命の計算による推定法。
Priority Applications (1)
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- 1994-10-17 JP JP27698594A patent/JP3376725B2/ja not_active Expired - Lifetime
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WO2011136242A1 (ja) * | 2010-04-27 | 2011-11-03 | 株式会社日立製作所 | 金属材料の腐食疲労寿命診断方法 |
JP2011232114A (ja) * | 2010-04-27 | 2011-11-17 | Hitachi Plant Technologies Ltd | 金属材料の腐食疲労寿命診断方法 |
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