JPH08110533A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

エレクトロクロミック素子

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JPH08110533A
JPH08110533A JP6246263A JP24626394A JPH08110533A JP H08110533 A JPH08110533 A JP H08110533A JP 6246263 A JP6246263 A JP 6246263A JP 24626394 A JP24626394 A JP 24626394A JP H08110533 A JPH08110533 A JP H08110533A
Authority
JP
Japan
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thin film
electrolyte
transition metal
electrode
electrochromic device
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Application number
JP6246263A
Other languages
English (en)
Inventor
Natsuko Shimizu
奈津子 清水
Yuzo Izumi
祐三 出水
Keiichi Koseki
恵一 古関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ビオロゲン系エレクトロクロミック素子の駆
動寿命及び低温保存性を改善すること。 【構成】 本発明によるエレクトロクロミック素子は、
ビオロゲン誘導体を有機溶媒に溶解させた電解質溶液を
一対の電極間に配置したエレクトロクロミック素子にお
いて、前記電極の一方と前記電解質溶液との間に、クロ
ム、マンガン、コバルト及びニッケルから成る群より選
ばれた遷移金属の酸化物の層が配置されていることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエレクトロクロミック素
子に関する。詳細には、本発明は、ビオロゲン系エレク
トロクロミック素子の電極と電解質との間に特定の遷移
金属酸化物層を配置することに関する。
【0002】
【従来の技術】電圧によって物質の色が可逆的に変化す
るエレクトロクロミック(EC)現象を応用した素子に
関心が高まっている。エレクトロクロミック素子(EC
D)は明るく見やすい、大面積表示が可能である、メモ
リー性がある(消費電力が少ない)などの特徴を有し、
このような特徴を活かした応用として、株価表示、メッ
セージボード、案内板などの大型表示板、また自動車の
防眩ミラー、調光ガラス(窓)、サングラスなどの調光
素子がある。
【0003】典型的なECDの構造は、エレクトロクロ
ミック電極(WO3 )と対極の間に電解質を配置して成
り、両電極間に電圧を印加するとWO3 が電解質からの
イオンと電源からの電子でカソード還元されて着色する
ものである。その際、対極の材料として酸化着色し且つ
還元消色するEC材料を使用すると両方の電極で着色す
るいわゆる相補型素子が構成され、着色効率の向上が可
能となることが知られている。
【0004】ECDのEC材料には、上記の無機系の
他、有機系としてヘプチルビオロゲンをはじめとするビ
オロゲン誘導体が研究されている。本出願人は、先に特
願平6−29822号明細書において、ビオロゲン類を
有機溶媒に溶解させた溶液を一対のITO電極間に挟む
だけで構築したECDを開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
有機溶媒系ビオロゲン誘導体のECDは低電圧駆動であ
り、サイクル特性にも優れるが、例えば防眩ミラーや調
光ガラスに用いることを目的とした場合には、その駆動
寿命(サイクル特性)や低温保存性がまだ十分ではな
く、長期間使用すると消色時に色残りが生じる等の問題
があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、上記
課題を解決するために、 (1)電解質溶液が一対の電極間に配置されているエレ
クトロクロミック素子において、前記電解質溶液が、下
記一般式 (I) :
【0007】
【化3】
【0008】〔式中、R1 及びR2 は、各々独立して、
脂肪族系炭化水素含有基、芳香族系炭化水素含有基から
選ばれる〕で表わされるN,N′−置換4,4′−ビピ
リジル(ビオロゲン誘導体)を有機溶媒中に溶解させた
溶液であり、そして前記電極の一方と前記電解質溶液と
の間に、クロム、マンガン、コバルト及びニッケルから
成る群より選ばれた遷移金属の酸化物の層が配置されて
いることを特徴とするエレクトロクロミック素子、並び
に (2)電解質薄膜が一対の電極間に配置されているエレ
クトロクロミック素子において、前記電解質薄膜が、下
記一般式 (I) :
【0009】
【化4】
【0010】〔式中、R1 及びR2 は、各々独立して、
脂肪族系炭化水素含有基、芳香族系炭化水素含有基から
選ばれる〕で表わされるN,N′−置換4,4′−ビピ
リジルを有機溶媒中に溶解させた溶液を多孔質薄膜に含
浸固定化した薄膜であり、そして前記電極の一方と前記
電解質薄膜との間に、クロム、マンガン、コバルト及び
ニッケルから成る群より選ばれた遷移金属の酸化物の層
が配置されていることを特徴とするエレクトロクロミッ
ク素子を提供する。
【0011】本発明の好ましい実施態様を列挙すると下
記の通りである。 (3)溶媒が、下記一般式(II):
【0012】
【化5】
【0013】(上式中、R3 はR5 又はOR5 であり、
4 は水素原子、R5 又はOR5 であり、R5 は直鎖状
又は分岐状アルキレン基である)で示される化合物の少
なくとも1種を含む、(1)項又は(2)項記載のエレ
クトロクロミック素子。
【0014】(4)溶媒が、一般式(II)で表される化合
物のうちR4 が水素原子で且つR3がR5 又はOR
5 (R5 は直鎖状アルキレン基である)である化合物の
少なくとも1種を含む、(3)項記載のエレクトロクロ
ミック素子。
【0015】(5)溶媒が、一般式(II)で表される化合
物のうちR4 が水素原子で且つR3がメチレン、エチレ
ン、プロピレン、ブテン、ペンテン又はヘキセンである
化合物の少なくとも1種を含む、(3)項記載のエレク
トロクロミック素子。
【0016】(6)溶媒が、一般式(II)で表される化合
物のうちR4 が水素原子で且つR3がOR5 (式中、R
5 メチレン、エチレン又はプロピレンである)である化
合物の少なくとも1種を含む、(3)項記載のエレクト
ロクロミック素子。
【0017】(7)溶媒が、一般式(II)で表される化合
物のうち2−フェニルエタノール(R3 =C2 4 、R
2 =H)、2−フェノキシエタノール(R3 =OC2
4 、R4 =H)又はこれらの混合物である、(3)項記
載のエレクトロクロミック素子。
【0018】(8)溶媒が、下記一般式(III) : HO(CH2 CH2 O)n 6 (III) 〔上式中、R6 は低級アルキル基であり、そしてnは1
〜3の整数である〕で示される化合物の少なくとも1種
を含む、(1)項又は(2)項記載のエレクトロクロミ
ック素子。
【0019】(9)溶媒が、一般式(III) で表される化
合物のうちR6 が水素又はC1 〜C 4 の直鎖アルキル基
である化合物の少なくとも1種を含む、(8)項記載の
エレクトロクロミック素子。
【0020】(10)溶媒が、一般式(III) で表される
化合物のうち2−メトキシエタノール(R6 =メチル、
n=1)又は2−エトキシエタノール(R6 =エチル、
n=1)である、(8)項記載のエレクトロクロミック
素子。
【0021】(11)一般式 (I) においてR1 =R2
である、(1)項〜(10)項のいずれか一項に記載の
エレクトロクロミック素子。 (12)一般式 (I) においてR1 =R2 であり、且つ
1 とR2 が炭素原子数1〜8の直鎖状又は分岐状のア
ルキル基である、(11)項記載のエレクトロクロミッ
ク素子。 (13)R1 とR2 がヘプチル基である、(12)項記
載のエレクトロクロミック素子。
【0022】(14)R1 =R2 であり、且つR1 とR
2 がフェニル基、ベンジル基、又はこれらの基の任意の
位置がハロゲン原子、シアノ基、もしくは炭素原子数1
〜4のアルキル基で置換されている基である、(11)
項記載のエレクトロクロミック素子。 (15)R1 =R2 であり、且つR1 とR2 がフェニル
基、ベンジル基、4−シアノフェニル基である、(1
1)項記載のエレクトロクロミック素子。
【0023】(16)電解質溶液中の一般式 (I) のビ
オロゲン誘導体の含有量が1〜35重量%である、
(1)項〜(15)項のいずれか一項に記載のエレクト
ロクロミック素子。 (17)電解質溶液中の一般式 (I) のビオロゲン誘導
体の含有量が4〜30重量%である、(16)項記載の
エレクトロクロミック素子。
【0024】(18)求電子試薬を含むことを特徴とし
た、前記(1)項〜(17)項のいずれか一項に記載の
エレクトロクロミック素子。 (19)前記求電子試薬がルイス酸である、(18)項
記載のエレクトロクロミック素子。 (20)前記求電子試薬がプロトン放出性のブレンステ
ッド酸である、(18)項記載のエレクトロクロミック
素子。 (21)求電子試薬が硝酸、塩酸及び硫酸から選ばれ
た、(18)項記載のエレクトロクロミック素子。 (22)求電子試薬が硝酸であることを特徴とする、
(18)項記載のエレクトロクロミック素子。
【0025】このようなビオロゲン誘導体を用いたEC
Dにおいて一方の電極と電解質溶液又は電解質薄膜の間
に上記特定の遷移金属酸化物の層を配置すると、ビオロ
ゲン誘導体の優れた着色特性を保有したまま、サイクル
特性が向上し、また低温保存性も改善される。
【0026】電解質薄膜の場合には、安定な固体多孔質
薄膜中に電解質が含浸固定化されるので、溶液系であり
ながら固体として取扱うことが可能であり、従ってハン
ドリングが容易であり、壊れても溶液が飛び散るなどの
問題を抑制でき、また、大面積では均一なギャップが得
られ、液だれによるシール破損が抑制できる。
【0027】本発明のECDでは、一方の電極上に、ク
ロム、マンガン、コバルト及びニッケルから成る群より
選ばれた遷移金属の酸化物からなるEC層が配置されて
いる。しかしながら、着消色反応に必要な電荷の受渡し
が可能であり且つビオロゲンの消色時に透明であるなら
ば、他のEC材料物質を使用することは可能である。本
発明のECDでは、単位面積当たりの電荷量が大きく、
しかも消色時の光透過率及び着色時の着色効率が高いこ
とから、ニッケルの酸化物(NiO)を使用することが
最も好ましい。
【0028】本発明で使用する遷移金属酸化物は電極上
に、好ましくは真空蒸着法又はスパッタ法で積層され
る。この遷移金属酸化物層の厚さは一般に0.1〜1.
0μmである。遷移金属酸化物の層厚が0.1μm未満
であると、着消色反応時の電荷の受渡しに必要な電流量
が過少となり、一方、1.0μmを上回ると消色時の着
色(色残り)が顕著になり、どちらの場合も実用に供し
難い。遷移金属酸化物の好ましい層厚は0.3〜0.6
μmである。
【0029】遷移金属酸化物が積層される電極には、当
該技術分野で知られている透明導電性膜であればいずれ
のものでも使用できる。透明導電性膜として好適な材料
には酸化インジウム・スズ(ITO)や酸化スズ(Sn
2 )などが含まれる。この透明導電性膜を通常ガラス
その他の透明基板上に、好ましくは真空蒸着法で積層す
ることによって透明薄膜電極を形成する。透明薄膜電極
の厚さは、当業者であれば用途に応じて適宜設定するこ
とができるが、一般には0.1〜0.8μm、好ましく
は0.1〜0.2μmの範囲にある。
【0030】本発明のECDは、ビオロゲン誘導体の還
元着色性を利用するものである。ビオロゲン誘導体は
4,4′−ビピリジンの誘導体で、酸化型は無色、還元
型は青色〜紫色を示す酸化還元型化合物であり、下記一
般式 (I) で表わされる。
【0031】
【化6】
【0032】上記式中、R1 とR2 は、各々独立して脂
肪族系炭化水素含有基又は芳香族系炭化水素含有基から
選ばれる基から選択されるが、R1 とR2 は同一である
ことが好ましい。脂肪族系炭化水素含有基として好まし
くは直鎖状又は分岐状のアルキル基、より好ましくは炭
素原子数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、特に
n−ヘプチル基である。あるいは、芳香族系炭化水素含
有基として、フェニル基、ベンジル基、又はこれらの基
の任意の位置がハロゲン原子、シアノ基もしくは炭素原
子数1〜4のアルキル基で置換されている基、より好ま
しくはフェニル基、ベンジル基、4−シアノフェニル基
である。より具体的には、4,4′−ビピリジンをメチ
ル化、ベンジル化した誘導体、下記化合物が例示され
る。このビオロゲン誘導体は、誘導体の種類を選択する
ことにより多色を実現できる利点がある。
【0033】
【化7】
【0034】このようなビオロゲン誘導体を有機溶媒中
に溶解することによって電解質溶液を調製する。この有
機溶媒は、ビオロゲンの着色特性が得られる限り特に限
定はされないが、下記一般式(II)で表される化合物の少
なくとも1種を含むことが好ましい。
【0035】
【化8】
【0036】上式中、R3 はR5 又はOR5 であり、R
4 は水素原子、R5 又はOR5 であり、そしてR5 は直
鎖状又は分岐状アルキレン基である。好ましい化合物と
しては、R4 が水素原子であり且つR3 のR5 が直鎖状
アルキレン基、特に低級アルキル基(メチレン、エチレ
ン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン)である
ものであり、さらに具体的にはベンジルアルコール(R
3 =CH2 )、2−フェニルエタノール(R3 =C2
4 )、3−フェニル−1−プロパノール(R3=C3
6 )、4−フェニル−1−ブタノール(R3 =C
4 8 )、5−フェニル−1−ペンタノール(R3 =C
5 10)、6−フェニル−ヘキサノール(R3=C6
12)、フェノキシメタノール(R3 =OCH2 )、2−
フェノキシエタノール(R3 =OC2 4 )、3−フェ
ノキシプロパノール(R3 =OC3 6)の1種以上が
好ましい。特に、2−フェニルエタノール(R3 =C2
4 )、2−フェノキシエタノール(R3 =OC
2 4 )又はこれら2種の混合物が好ましい。
【0037】さらに、上記のビオロゲン誘導体は、上記
一般式(II)で表される化合物の代わりに下記一般式 (II
I): HO(CH2 CH2 O)n 6 (III) 〔上式中、R6 は低級アルキル基であり、そしてnは1
〜3の整数である〕で表わされる化合物の少なくとも1
種を含む溶媒に溶解させてもよい。好ましい化合物は、
上記式中、R6 が水素又は直鎖状低級アルコール(特に
炭素原子数1〜4)のアルコール、さらに好ましくはR
6 がメチル又はエチルであり且つn=1である2−メト
キシエタノール、2−エトキシエタノールである。
【0038】上記一般式(II)又は (III)で表される化合
物を含む溶媒中におけるビオロゲン誘導体の含有量は1
〜35重量%、より好ましくは4〜30重量%である。
この含有量が1重量%より少ないと、着消色動作を行な
う時の着色側の透過率が十分に下がらない欠点があり、
また35重量%よりも多い場合は溶媒に溶けにくく、し
かも色残りし易い欠点がある。含有量が4〜30重量%
の場合は着消色動作を行なう時の透過率が10%以下と
なり、ビオロゲン誘導体の溶解性も良好なため、最も好
ましい。
【0039】上記のように調製された電解質溶液は、必
要に応じて、特願平6−95170号明細書に記載のよ
うに求電子試薬を含有することができる。求電子試薬を
添加することで、電解質溶液を広い透過率変化(7〜7
0%)でサイクル特性に優れたものとすることができ
る。これは、求電子試薬がビオロゲンの二量化によるサ
イクル特性の低下を抑制するためであると考えられる。
【0040】求電子試薬としてはルイス酸が好ましく、
中でもプロトン放出性のブレンステッド酸、特に硫酸、
塩酸、硝酸などの無機酸がより好ましい。最も好ましい
求電子試薬は硝酸である。
【0041】求電子試薬の添加量は一般に0.05〜2
重量%、好ましくは0.08〜1重量%である。求電子
試薬の量が上記範囲よりも少ないと所望の効果が得られ
ず、一方、上記範囲よりも多いとビオロゲン電解質の着
色時の透過率低下が不十分となる。
【0042】本発明では、N,N′−置換4,4′−ビ
ピリジルを、上記一般式(II)で表される化合物の少なく
とも1種を含む溶媒に、或いは上記一般式 (III)で表さ
れる化合物の少なくとも一種と当該化合物よりも屈折率
の高い化合物とを含む混合溶媒に溶解させることにより
調製した電解質溶液を、特開平3−67227号公報と
同様に、固体高分子多孔質薄膜の空孔中に充填して電解
質薄膜を構成することができる。これらの溶媒は、屈折
率が1.45〜1.53の間にあり、高分子多孔質薄膜
の一般的な屈折率である1.49〜1.53に近いの
で、含浸固定化後の薄膜のヘイズ率を低下させる効果が
ある。一般式 (III)で表される化合物の少なくとも一種
と混合させる溶媒としては、当該化合物よりも屈折率が
高ければ特に種類は問わないが、芳香族ニトリル、たと
えば、ジフェニルプロピオニトリルなどが挙げられる。
この電解質薄膜は、固体高分子多孔質薄膜の強度を保有
し、薄膜化、大面積化が可能である。
【0043】電解質薄膜の母材となる固体高分子多孔質
薄膜としては、膜厚が0.1μm〜50μm、空孔率が
40%〜90%、破断強度が200kg/cm2 以上、平均
貫通孔径が0.01μm〜0.7μmのものが好ましく
使用される。
【0044】薄膜の厚さは一般に0.1μm〜50μm
であり、好ましくは1.0μm〜25μmである。厚さ
が0.1μm未満では支持膜としての機械的強度の低下
および取り扱い性の面から実用に供することが難しい。
一方、50μmを超える場合に実効抵抗を低く抑えると
いう観点から好ましくない。多孔質薄膜の空孔率は、4
0%〜90%とするのがよく、好ましくは60%〜90
%の範囲である。空孔率が40%未満では電解質として
のイオン導電性が不十分となり、一方90%を超えると
支持膜としての機械的強度が小さくなり実用に供するこ
とが難しい。
【0045】平均貫通孔径は、空孔中にイオン導電体を
固定化できればよいが、一般に0.01μm〜0.7μ
mである。好ましい平均貫通孔径は高分子膜の材質や孔
の形状にもよる。高分子膜の破断強度は一般に200kg
/cm2 以上、より好ましくは500kg/cm2 以上を有す
ることにより支持膜としての実用化に好適である。
【0046】本発明に用いる多孔質薄膜は上記のような
イオン導電体の支持体としての機能をもち、機械的強度
のすぐれた高分子材料からなる。
【0047】化学的安定性の観点から、例えばポリオレ
フィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニ
リデンを用いることができるが、本発明の多孔構造の設
計や薄膜化と機械的強度の両立の容易さの観点から好適
な高分子材料の1例は、特に重量平均分子量が5×10
5 以上のポリオレフィンである。すなわち、オレフィン
の単独重合体または共重合体の、結晶性の線状ポリオレ
フィンで、その重量平均分子量が5×105 以上、好ま
しくは1×106 〜1×107 のものである。例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン
共重合体、ポリブデン−1、ポリ4−メチルペンテン−
1などがあげられる。これらのうちでは重量平均分子量
が5×105 以上のポリエチレンまたはポリプロピレン
が好ましい。ポリオレフィンの重量平均分子量は、得ら
れる透過膜の機械的強度に影響する。超高分子量ポリオ
レフィンは、超延伸により極薄で高強度の製膜を可能と
し、実効抵抗の低い高イオン導電性薄膜の支持体とす
る。重量平均分子量が5×105 未満のポリオレフィン
を同時に用いることができるが、重量平均分子量が5×
105 以上のポリオレフィンを含まない系では、超延伸
による極薄高強度の膜が得られない。
【0048】上記のような多孔質薄膜は次のような方法
で製造できる。超高分子量ポリオレフィンを流動パラフ
ィンのような溶媒中に1重量%〜15重量%を加熱溶解
して均一な溶液とする。この溶液からシートを形成し、
急冷してゲル状シートとする。このゲル状シート中に含
まれる溶媒量を、塩化メチレンのような揮発性溶剤で抽
出処理して10重量%〜90重量%とする。このゲル状
シートをポリオレフィンの融点以下の温度で加熱し、面
倍率で10倍以上に延伸する。この延伸膜中に含まれる
溶媒を、塩化メチレンのような揮発性溶剤で抽出除去し
た後に乾燥する。
【0049】別の好適な高分子材料の例はポリカーボネ
ートで、この場合の固体高分子多孔質薄膜はポリカーボ
ネート薄膜に対し原子炉中で荷電粒子を照射し、荷電粒
子が通過した飛跡をアルカリエッチングして孔を形成す
る方法で作製することもできる。このような薄膜は例え
ばニュークリポアー・メンブレンとしてポリカーボネー
ト及びポリエステル製品が上市されている。
【0050】そのほか、ポリエステル、ポリメタアクリ
レート、ポリアセタール、ポリ塩化ビニリデン、テトラ
フルオロポリエチレン等を用いることができる。
【0051】高分子薄膜中にイオン導電体を充填する方
法としては、溶媒に溶解させたビオロゲン誘導体、ま
たは溶媒中にゾル状またはゲル状に微分散させたビオロ
ゲン誘導体を固体高分子多孔質薄膜に含浸させるか、塗
布またはスプレーした後溶剤を除去する、多孔質薄膜
の製造工程でビオロゲン誘導体の溶液または、そのゾル
またはゲル状の分散溶液を混合した後製膜する、ビオ
ロゲン誘導体の単量体や可溶性プレカーサーを固体高分
子多孔質薄膜に含浸させるか、塗布またはスプレーした
後、空孔内で反応させる、等の方法を用いることができ
る。
【0052】上記の如き電解質溶液又は電解質薄膜を用
いて本発明のECDを構成するには、これらの電解質を
一対の透明薄膜電極間に挟み、その一方の電極と電解質
との間に遷移金属酸化物層を挿入する。
【0053】ビオロゲン誘導体が透明薄膜電極からエレ
クトロンを受けると還元されて着色する。この際、遷移
金属酸化物層が、ビオロゲン誘導体の着色反応に釣り合
った電流量を提供すると考えられる。このとき、透明薄
膜電極にITO膜を用いた場合、あまり高い電圧を印加
するとITOが還元されてしまうので印加電圧は3V以
下が望ましい。
【0054】図面を用いてエレクトロクロミック素子の
製作例を説明する。図1に、本発明のECDを利用した
防眩ミラーの一例を示す。この積層構造では、下から順
に銀鏡1、ガラス板2、透明薄膜電極3、電解質4、遷
移金属酸化物層5、透明薄膜電極6及びガラス板7が配
置されている。もちろん、電解質4と遷移金属酸化物層
5の順序を入れ換えることは可能である。また、銀鏡1
及びガラス板2、7の種類や厚さは当業者であれば用途
に応じて適宜選定することができる。
【0055】電解質4は、上記した電解質溶液であって
も電解質薄膜であってもよいが、後者は、電解質が高分
子膜中に固定化されているため、実質的に固体膜として
取扱え、しかも組立て時の取扱いも容易であり、かつ組
立後も破損しても液漏れの心配がないので、液体の電解
質溶液よりも便利である。
【0056】図1のECD(防眩ミラー)は、透明薄膜
電極3を負極にし、透明薄膜電極6との間に1〜3V程
度の電圧を数秒間印加すると着色し、銀鏡によって反射
される反射光が減少する。着色したECDを消色するに
は、上記透明薄膜電極3、6の間に逆の電圧(同様に、
1〜3V程度)を十数秒間印加する。
【0057】図2に、本発明のECDを利用した調光ガ
ラス(ECウィンドー)の一例を示す。この積層構造で
は、下から順にガラス板12、透明薄膜電極13、電解
質14、遷移金属酸化物層15、透明薄膜電極16及び
ガラス板17が配置されている。図1の場合と同様に、
ガラス板12、17の種類や厚さは当業者であれば用途
に応じて適宜選定することができる。
【0058】図2の構造では、透明薄膜電極13を負極
にし、透明薄膜電極16との間に1〜3V程度の電圧を
数秒間印加すると着色し、ECDを透過する光が減少す
る。着色したECDを消色するには、上記透明薄膜電極
13、16の間に逆の電圧(同様に、1〜3V程度)を
十数秒間印加する。
【0059】
【実施例】本発明のECDを以下の実施例でさらに説明
する。
【0060】実施例1 1)溶液の調製 2−メトキシエタノール10gを取り、ヘプチルビオロ
ゲン20重量%、特級硝酸0.4重量%を添加した。ス
ターラーを用いてビーカー中で良く攪拌混合させた。
【0061】2)素子製作(防眩ミラー) 2枚のガラス基板(40mm角)を用意し、一方のガ
ラス基板の片面に厚さ0.16μmのITO膜を、続い
てそのITOの表面に厚さ0.5μmのNiO層を順に
真空蒸着法で付着させた。もう一方のガラス基板の片面
に厚さ0.16μmのITO膜を同様に付着させ、その
反対側に銀鏡を付けた。NiO側とITO側とを向かい
合わせて配置したこれら2枚のガラス基板の間にスペー
サを介在させ(間隔25μm)、周囲をシールしてセル
を形成した。このとき一箇所、溶液の注入口を開けてお
いた。 電解質溶液を真空チャンバーを用いてセルに注入し
た。全体を真空500Pa以下程度に引き、溶液に浸して
から常圧に戻し注入した。 溶液注入後、注入口をシールした。
【0062】3)素子駆動評価 以下の条件で素子駆動耐久性(サイクル特性)を評価し
た。素子構成 NiO層の厚さ:0.5μm 電解質溶液の組成:ヘプチルビオロゲン(20重量%) 硝酸(0.4重量%) 2−メトキシエタノール(残部) 試料サイズ:5×5cm角駆動条件 着色:−1.5V 5秒 消色:+1.0V 15秒評価方法 消色時の色残りを目視で確認した。その結果を以下の表
1に示す。
【0063】実施例2 実施例1を繰り返したが、但し、電解質溶液の組成を以
下に変更した。 電解質溶液の組成:ヘプチルビオロゲン(5重量%) 硝酸(1.0重量%) 2−フェニルエタノール(残部) その結果を以下の表1に示す。
【0064】比較例1 実施例1を繰り返したが、但し、素子構成からNiO層
を除外した。その結果を以下の表1に示す。
【0065】比較例2 実施例2を繰り返したが、但し、素子構成からNiO層
を除外した。その結果を以下の表1に示す。
【0066】 表1:エレクトロクロミック素子のサイクル特性 例番号 NiO層の有無 色残りしないサイクル数(回) 実施例1 有 100000 比較例1 無 3000 実施例2 有 5000 比較例2 無 100
【0067】表1から明らかなように、NiO層が電解
質溶液とITO電極との間に存在すると、ECDのサイ
クル特性、すなわち駆動耐久性が向上したことが分か
る。
【0068】実施例3 NiO層を用いたECD(ガラス/ITO/NiO/電
解質溶液/ITO/ガラス/銀鏡)の反射率を測定し
た。電解質溶液の組成は、ヘプチルビオロゲン20重量
%/硝酸0.4重量%/2−メトキシエタノールとし
た。駆動電圧と反射率の関係を以下の表2に示す。
【0069】表2:駆動電圧と反射率の関係 ────────────────── 駆動電圧(V) 反射率(%) ────────────────── 0 82.3 1.50 35.6 2.00 30.2 2.50 28.4 3.00 15.4 ──────────────────
【0070】実施例4 実施例1と比較例1で製作したECDの低温保存試験を
行った。 試験方法:素子を−40℃中に保存し、1日1回、15
℃に昇温して100回駆動させた。 評価方法:消色時の色残りを目視で確認した。
【0071】NiO層を有する実施例1の素子(ガラス
/ITO/NiO/電解質溶液/ITO/ガラス/銀
鏡)は20日間以上にわたり色残りを生じなかったが、
NiO層の無い比較例1の素子(ガラス/ITO/電解
質溶液/ITO/ガラス/銀鏡)は10日以内に望まし
くない色残りを生じた。
【0072】
【発明の効果】本発明により特定の遷移金属酸化物を電
極と電解質の間に配置すると、ビオロゲン誘導体の優れ
たエレクトロクロミック着色特性を生かしつつ、サイク
ル特性を向上させ且つ低温保存性を改善することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレクトロクロミック素子を利用した
防眩ミラーを模式的に示した断面図である。
【図2】本発明のエレクトロクロミック素子を利用した
調光ガラスを模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
1…銀鏡 2、7、12、17…ガラス板 3、6、13、16…透明薄膜電極 4、14…電解質 5、15…遷移金属酸化物層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質溶液が一対の電極間に配置されて
    いるエレクトロクロミック素子において、前記電解質溶
    液が、下記一般式: 【化1】 〔式中、R1 及びR2 は、各々独立して、脂肪族系炭化
    水素含有基、芳香族系炭化水素含有基から選ばれる〕で
    表わされるN,N′−置換4,4′−ビピリジルを有機
    溶媒中に溶解させた溶液であり、そして前記電極の一方
    と前記電解質溶液との間に、クロム、マンガン、コバル
    ト及びニッケルから成る群より選ばれた遷移金属の酸化
    物の層が配置されていることを特徴とするエレクトロク
    ロミック素子。
  2. 【請求項2】 電解質薄膜が一対の電極間に配置されて
    いるエレクトロクロミック素子において、前記電解質薄
    膜が、下記一般式: 【化2】 〔式中、R1 及びR2 は、各々独立して、脂肪族系炭化
    水素含有基、芳香族系炭化水素含有基から選ばれる〕で
    表わされるN,N′−置換4,4′−ビピリジルを有機
    溶媒中に溶解させた溶液を多孔質薄膜に含浸固定化した
    薄膜であり、そして前記電極の一方と前記電解質薄膜と
    の間に、クロム、マンガン、コバルト及びニッケルから
    成る群より選ばれた遷移金属の酸化物の層が配置されて
    いることを特徴とするエレクトロクロミック素子。
JP6246263A 1994-05-09 1994-10-12 エレクトロクロミック素子 Pending JPH08110533A (ja)

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JP6246263A JPH08110533A (ja) 1994-10-12 1994-10-12 エレクトロクロミック素子
EP95106897A EP0682284A3 (en) 1994-05-09 1995-05-08 Electrochromic device.

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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001028276A (ja) * 1999-04-14 2001-01-30 Nippon Kayaku Co Ltd 高分子電解質の製造方法及び光電変換素子
JP2005189299A (ja) * 2003-12-24 2005-07-14 Sony Corp 電気化学表示装置
JP2010139541A (ja) * 2008-12-09 2010-06-24 Konica Minolta Holdings Inc 表示素子
US8947756B2 (en) 2010-03-23 2015-02-03 Samsung Electronics Co., Ltd. Electrochromic material and electrochromic device including the same
US9405165B2 (en) 2012-03-30 2016-08-02 Gentex Corporation Controller configured for an electro-optic device and method thereof

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