JPH0961857A - エレクトロクロミック素子 - Google Patents

エレクトロクロミック素子

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JPH0961857A
JPH0961857A JP21871495A JP21871495A JPH0961857A JP H0961857 A JPH0961857 A JP H0961857A JP 21871495 A JP21871495 A JP 21871495A JP 21871495 A JP21871495 A JP 21871495A JP H0961857 A JPH0961857 A JP H0961857A
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JP
Japan
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adhesive
electrochromic
electrolyte layer
sealing
electrolyte
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JP21871495A
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English (en)
Inventor
Keiichi Koseki
恵一 古関
Yuzo Izumi
祐三 出水
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Tonen General Sekiyu KK
Original Assignee
Tonen Corp
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Publication date
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  • Electrochromic Elements, Electrophoresis, Or Variable Reflection Or Absorption Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温耐久性に優れたエレクトロクロミック素
子を提供すること。 【解決手段】 エレクトロクロミック電極を表面に形成
した一対の透明基板の間に電解質層を挟持して封止した
エレクトロクロミック素子において、前記封止の少なく
とも一部にフッ素樹脂系接着剤を用いたことを特徴とす
るエレクトロクロミック素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はエレクトロクロミッ
ク素子に関する。
【0002】
【従来の技術】電圧によって物質の色が可逆的に変化す
るエレクトロクロミック(EC)現象を応用した素子に
関心が高まっている。エレクトロクロミック素子(EC
D)は明るく見やすい、大面積表示が可能である、メモ
リー性がある(消費電力が少ない)などの特性を有し、
このような特徴を活かした応用として、株価表示、メッ
セージボード、案内板などの大型表示板、また自動車の
防眩ミラー、調光ガラス(窓)、サングラスなどの調光
素子がある。ECDの構造はエレクトロクロミック電極
(例、WO3)と対極の間に電解質を配置して成り、両電極
間に電圧を印加するとWO3 が電解質からのイオンと電源
からの電子でカソード還元されて着色するものである。
対極は、これもエレクトロクロミック電極で構成して着
色表示に利用することもできる。
【0003】この電解質は、液体としてエレクトロクロ
ミック電極と対極の間に封入される場合が多いが、電解
質溶液に有機溶媒を用いた場合には、電解質溶液がエレ
クトロクロミック窓の封止部を溶解したり、破損するな
ど好ましくない事態を招来し、満足できる耐熱性が得ら
れないという欠点を有している。このため、エレクトロ
クロミック素子の封止剤には、耐有機溶媒性が強い熱硬
化性エポキシ樹脂系接着剤が一般に使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実際に
エポキシ樹脂系接着剤を用いてエレクトロクロミック素
子を製作し使用したところ、例えば車載用の防眩ミラー
など、80℃以上の高温環境下に長期にわたりさらされ
る場合には素子の封止耐久性に問題のあることがわかっ
た。そこで、本発明は、このような高温環境下における
封止耐久性に優れた接着剤を使用することによって、実
用に供するエレクトロクロミック素子を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、 (1)エレクトロクロミック電極を表面に形成した一対
の透明基板の間に電解質層を挟持して封止したエレクト
ロクロミック素子において、前記封止の少なくとも一部
にフッ素樹脂系接着剤を用いたことを特徴とするエレク
トロクロミック素子を提供する。
【0006】本発明の好ましい実施態様を列挙すると下
記の通りである。 (2)前記フッ素樹脂系接着剤が非晶質過フッ素化樹脂
を主成分とすることを特徴とする(1)に記載のエレク
トロクロミック素子。 (3)前記電解質層がビオロゲンと有機溶媒からなる電
解質溶液を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記
載のエレクトロクロミック素子。 (4)前記電解質層が無機系電解質溶液を含むことを特
徴とする(1)又は(2)に記載のエレクトロクロミッ
ク素子。 (5)前記電解質層が、前記電解質溶液を多孔質薄膜に
含浸固定化した薄膜であることを特徴とする(3)又は
(4)に記載のエレクトロクロミック素子。
【0007】(6)エレクトロクロミック電極を表面に
形成した一対の透明基板の間に電解質層を挟持して封止
するエレクトロクロミック素子の製造方法において、前
記封止の少なくとも一部にフッ素樹脂系接着剤を用いる
ことを特徴とするエレクトロクロミック素子の製造方
法。
【0008】このようにエレクトロクロミック素子の封
止部分の少なくとも一部にフッ素樹脂系接着剤を使用す
ると、80℃以上といった高温環境下で使用された場合
にもフッ素樹脂系接着剤と電解質層との反応性が極めて
低いため、エレクトロクロミック素子全体としての耐熱
性、耐久性が向上する。
【0009】本発明で用いられるフッ素樹脂系接着剤と
しては様々なものが挙げられるが、好ましくは主鎖が炭
素又はケイ素を含む非晶質フッ素樹脂を主成分とする接
着剤である。このような非晶質フッ素樹脂の例として、
テトラフルオロエチレン−プロピレン−グリシジルビニ
ルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオ
ロエチレン−プロピレン−グリシジルビニルエーテル共
重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン
−グリシジルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデ
ン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)−グリシ
ジルビニルエーテル共重合体、が挙げられる。本発明に
おいて有用な非晶質フッ素樹脂の分子量は、数平均分子
量で1000〜50000、好ましくは1000〜20
000である。必要に応じてエポキシ基、アミノ基、ア
ルケニル基を含有するシランカップリング剤を添加する
ことにより、接着性をさらに向上させることができる。
【0010】本発明のフッ素樹脂系接着剤は、フッ素樹
脂用の溶剤を含むことが好ましい。この溶剤は、該接着
剤の用途や使用法に合わせてその種類、使用量などを適
宜選定することができる。このような溶剤の例として、
芳香族や脂肪族の炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、
アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、及
びこれらいずれかの混合物、等が挙げられる。
【0011】本発明において有用なフッ素樹脂系接着剤
の粘度は、エレクトロクロミック電極面への侵入を防ぐ
ために、2〜100000センチポワズ(cP)、より
好ましくは100〜5000cPであることが好まし
い。この粘度は、フッ素樹脂の種類や分子量、接着剤に
おけるフッ素樹脂濃度又は溶剤濃度、等によって、当業
者であれば適宜調節することができる。特に好ましい非
晶質フッ素樹脂は、旭硝子社より商品名「サイトップ」
(登録商標)として市販されている非晶質過フッ素化樹
脂である。
【0012】本発明のエレクトロクロミック素子におけ
る電解質層は、ビオロゲンと有機溶媒からなる電解質溶
液を含むことが好ましい。ビオロゲンは4,4′−ビピ
リジンの誘導体で、酸化型は無色、還元型は青色〜紫色
を示す酸化還元型化合物であり、下記一般式 (I) で表
わされる。
【0013】
【化1】
【0014】上記式中、R1 とR2 は、各々独立して脂
肪族系炭化水素含有基又は芳香族系炭化水素含有基から
選ばれる基から選択されるが、R1 とR2 は同一である
ことが好ましい。脂肪族系炭化水素含有基として好まし
くは直鎖状又は分岐状のアルキル基、より好ましくは炭
素原子数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、特に
n−ヘプチル基である。あるいは、芳香族系炭化水素含
有基として、フェニル基、ベンジル基、又はこれらの基
の任意の位置がハロゲン原子、シアノ基もしくは炭素原
子数1〜4のアルキル基で置換されている基、より好ま
しくはフェニル基、ベンジル基、4−シアノフェニル基
である。より具体的には、4,4′−ビピリジンをメチ
ル化、ベンジル化した誘導体、下記化合物が例示され
る。このビオロゲン誘導体は、誘導体の種類を選択する
ことにより多色を実現できる利点がある。
【0015】
【化2】
【0016】このようなビオロゲン誘導体を有機溶媒中
に溶解することによって電解質溶液を調製する。この有
機溶媒は、ビオロゲンの着色特性が得られる限り特に限
定はされないが、下記一般式(II)で表される化合物の少
なくとも1種を含むことが好ましい。
【0017】
【化3】
【0018】上式中、R3 はR5 又はOR5 であり、R
4 は水素原子、R5 又はOR5 であり、そしてR5 は直
鎖状又は分岐状アルキレン基である。好ましい化合物と
しては、R4 が水素原子であり且つR3 のR5 が直鎖状
アルキレン基、特に低級アルキル基(メチレン、エチレ
ン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン)である
ものであり、さらに具体的にはベンジルアルコール(R
3 =CH2 )、2−フェニルエタノール(R3 =C2
4 )、3−フェニル−1−プロパノール(R3=C3
6 )、4−フェニル−1−ブタノール(R3 =C
4 8 )、5−フェニル−1−ペンタノール(R3 =C
5 10)、6−フェニル−ヘキサノール(R3=C6
12)、フェノキシメタノール(R3 =OCH2 )、2−
フェノキシエタノール(R3 =OC2 4 )、3−フェ
ノキシプロパノール(R3 =OC3 6)の1種以上が
好ましい。特に、2−フェニルエタノール(R3 =C2
4 )、2−フェノキシエタノール(R3 =OC
2 4 )又はこれら2種の混合物が好ましい。
【0019】さらに、上記のビオロゲン誘導体は、上記
一般式(II)で表される化合物の代わりに下記一般式 (II
I): HO(CH2 CH2 O)n 6 (III) 〔上式中、R6 は低級アルキル基であり、そしてnは1
〜3の整数である〕で表わされる化合物の少なくとも1
種を含む溶媒に溶解させてもよい。好ましい化合物は、
上記式中、R6 が水素又は直鎖状低級アルコール(特に
炭素原子数1〜4)のアルコール、さらに好ましくはR
6 がメチル又はエチルであり且つn=1である2−メト
キシエタノール、2−エトキシエタノールである。
【0020】上記一般式(II)又は (III)で表される化合
物を含む溶媒中におけるビオロゲン誘導体の含有量は1
〜35重量%、より好ましくは4〜30重量%である。
この含有量が1重量%より少ないと、着消色動作を行な
う時の着色側の透過率が十分に下がらない欠点があり、
また35重量%よりも多い場合は溶媒に溶けにくく、し
かも色残りし易い欠点がある。含有量が4〜30重量%
の場合は着消色動作を行なう時の透過率が10%以下と
なり、ビオロゲン誘導体の溶解性も良好なため、最も好
ましい。
【0021】上記のように調製された電解質溶液は、必
要に応じて、特願平6−95170号明細書に記載のよ
うに求電子試薬を含有することができる。求電子試薬を
添加することで、電解質溶液を広い透過率変化(7〜7
0%)でサイクル特性に優れたものとすることができ
る。これは、求電子試薬がビオロゲンの二量化によるサ
イクル特性の低下を抑制するためであると考えられる。
【0022】求電子試薬としてはルイス酸が好ましく、
中でもプロトン放出性のブレンステッド酸、特に硫酸、
塩酸、硝酸などの無機酸がより好ましい。最も好ましい
求電子試薬は硝酸である。求電子試薬の添加量は一般に
0.05〜2重量%、好ましくは0.08〜1重量%で
ある。求電子試薬の量が上記範囲よりも少ないと所望の
効果が得られず、一方、上記範囲よりも多いとビオロゲ
ン電解質の着色時の透過率低下が不十分となる。
【0023】本発明では、ビオロゲン化合物を、上記一
般式(II)で表される化合物の少なくとも1種を含む溶媒
に、或いは上記一般式 (III)で表される化合物の少なく
とも一種と当該化合物よりも屈折率の高い化合物とを含
む混合溶媒に溶解させることにより調製した電解質溶液
を、特開平3−67227号公報と同様に、固体高分子
多孔質薄膜の空孔中に充填して電解質薄膜を構成するこ
とができる。これらの溶媒は、屈折率が1.45〜1.
53の間にあり、高分子多孔質薄膜の一般的な屈折率で
ある1.49〜1.53に近いので、含浸固定化後の薄
膜のヘイズ率を低下させる効果がある。一般式 (III)で
表される化合物の少なくとも一種と混合させる溶媒とし
ては、当該化合物よりも屈折率が高ければ特に種類は問
わないが、芳香族ニトリル、たとえば、ジフェニルプロ
ピオニトリルなどが挙げられる。この電解質薄膜は、固
体高分子多孔質薄膜の強度を保有し、薄膜化、大面積化
が可能である。
【0024】電解質薄膜の母材となる固体高分子多孔質
薄膜としては、膜厚が0.1μm〜50μm、空孔率が
40%〜90%、破断強度が200kg/cm2 以上、平均
貫通孔径が0.01μm〜0.7μmのものが好ましく
使用される。
【0025】薄膜の厚さは一般に0.1μm〜50μm
であり、好ましくは1.0μm〜25μmである。厚さ
が0.1μm未満では支持膜としての機械的強度の低下
および取り扱い性の面から実用に供することが難しい。
一方、50μmを超える場合に実効抵抗を低く抑えると
いう観点から好ましくない。多孔質薄膜の空孔率は、4
0%〜90%とするのがよく、好ましくは60%〜90
%の範囲である。空孔率が40%未満では電解質として
のイオン導電性が不十分となり、一方90%を超えると
支持膜としての機械的強度が小さくなり実用に供するこ
とが難しい。
【0026】平均貫通孔径は、空孔中にイオン導電体を
固定化できればよいが、一般に0.01μm〜0.7μ
mである。好ましい平均貫通孔径は高分子膜の材質や孔
の形状にもよる。高分子膜の破断強度は一般に200kg
/cm2 以上、より好ましくは500kg/cm2 以上を有す
ることにより支持膜としての実用化に好適である。本発
明に用いる多孔質薄膜は上記のようなイオン導電体の支
持体としての機能をもち、機械的強度のすぐれた高分子
材料からなる。
【0027】化学的安定性の観点から、例えばポリオレ
フィン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニ
リデンを用いることができるが、本発明の多孔構造の設
計や薄膜化と機械的強度の両立の容易さの観点から好適
な高分子材料の1例は、特に重量平均分子量が5×10
5 以上のポリオレフィンである。すなわち、オレフィン
の単独重合体または共重合体の、結晶性の線状ポリオレ
フィンで、その重量平均分子量が5×105 以上、好ま
しくは1×106 〜1×107 のものである。例えば、
ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン
共重合体、ポリブデン−1、ポリ4−メチルペンテン−
1などがあげられる。これらのうちでは重量平均分子量
が5×105 以上のポリエチレンまたはポリプロピレン
が好ましい。ポリオレフィンの重量平均分子量は、得ら
れる透過膜の機械的強度に影響する。超高分子量ポリオ
レフィンは、超延伸により極薄で高強度の製膜を可能と
し、実効抵抗の低い高イオン導電性薄膜の支持体とす
る。重量平均分子量が5×105 未満のポリオレフィン
を同時に用いることができるが、重量平均分子量が5×
105 以上のポリオレフィンを含まない系では、超延伸
による極薄高強度の膜が得られない。
【0028】上記のような多孔質薄膜は次のような方法
で製造できる。超高分子量ポリオレフィンを流動パラフ
ィンのような溶媒中に1〜15重量%を加熱溶解して均
一な溶液とする。この溶液からシートを形成し、急冷し
てゲル状シートとする。このゲル状シート中に含まれる
溶媒量を、塩化メチレンのような揮発性溶剤で抽出処理
して10〜90重量%とする。このゲル状シートをポリ
オレフィンの融点以下の温度で加熱し、面倍率で10倍
以上に延伸する。この延伸膜中に含まれる溶媒を、塩化
メチレンのような揮発性溶剤で抽出除去した後に乾燥す
る。
【0029】別の好適な高分子材料の例はポリカーボネ
ートで、この場合の固体高分子多孔質薄膜はポリカーボ
ネート薄膜に対し原子炉中で荷電粒子を照射し、荷電粒
子が通過した飛跡をアルカリエッチングして孔を形成す
る方法で作製することもできる。このような薄膜は例え
ばニュークリポアー・メンブレンとしてポリカーボネー
ト及びポリエステル製品が上市されている。そのほか、
ポリエステル、ポリメタアクリレート、ポリアセター
ル、ポリ塩化ビニリデン、テトラフルオロポリエチレン
等を用いることができる。
【0030】本発明で用いるイオン導電体としては、上
記のようなビオロゲン/有機溶媒系の他、無機系電解
質、例えばアルカリ金属塩またはプロトン酸と、ポリエ
ーテル、ポリエステル、ポリイミン等の極性高分子との
複合体、あるいはこれらの高分子をセグメントとして含
有する網目状、又は架橋状高分子との複合体を用いるこ
とができる。ポリエーテル、例えばポリエチレングリコ
ールまたはポリプロピレングリコールあるいはそれらの
共重合体は分子量および重合度の異なる液状および粉末
状の試薬が市販されており、簡便に用いることができ
る。
【0031】これらの高分子化合物と複合体を形成する
ものとしては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩
またはプロトン酸を用いることができる。陰イオンとし
てはハロゲンイオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イ
オン、トリフッ化メタンスルホン酸イオン、ホウフッ化
イオン等がある。
【0032】高分子薄膜中にイオン導電体を充填する方
法としては、溶媒に溶解させたイオン導電体、または
溶媒中にゾル状またはゲル状に微分散させたイオン導電
体を固体高分子多孔性薄膜に含浸させるか、塗布または
スプレーした後溶剤を除去する、多孔性薄膜の製造工
程でイオン導電体の溶液または、そのゾルまたはゲル状
の分散溶液を混合した後製膜する、イオン導電体の単
量体や可溶性プレカーサーを固体高分子多孔性薄膜に含
浸させるか、塗布またはスプレーした後、空孔内で反応
させる、等の方法を用いることができる。
【0033】また、電解質溶液をそのまま電解質層とし
て使用する場合は、上記のイオン導電体を溶媒に溶解し
た電解質溶液を使用する。溶媒としては特に限定され
ず、例えば、プロピレンカーボネート、ジメトキシエタ
ン、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ベンゾニト
リル、ベンズアルデヒド、サリチル酸メチル、ベンジル
アルコール、α−トリニトリル、2,2−ジフェニルプ
ロピオニトリル、DL−2−フェニルブチロニトリル、
4−フェニルブチロニトリル、1−フェニル−1−シク
ロプロパンカルボニル、1−フェニル−1−シクロヘキ
サンカルボニトリルなどが使用される。
【0034】本発明のエレクトロクロミック素子の封止
部分の少なくとも一部にはフッ素樹脂系接着剤が用いら
れる。好ましくは、封止部分すべてにフッ素樹脂系接着
剤を適用する。具体的な封止構造は特に限定されず、例
えば、図1〜3のような構造とすることができる。図1
〜3のいずれも、エレクトロクロミック電極を形成した
一対のガラス基板1,2の間に電解質層3を挟んで、端
部(周囲)をフッ素樹脂系接着剤4で封止した構造であ
る。電解質層及びガラス基板の厚さは、当業者であれば
用途に応じて適宜選定することができるが、一般に、電
解質層の厚さは、10μm〜200μm、より好ましく
は25μm〜100μmであること、またガラス基板の
厚さは、0.5mm〜3mm、より好ましくは1.0m
m〜2.0mmであることが好ましい。
【0035】本発明のエレクトロクロミック素子は、電
解質溶液を採用した場合の電解質層の厚さを制御するた
めにスペーサーを含むことができる。スペーサーとして
は、ガラスビーズ、ガラス繊維、ポリスチレンビーズ、
等を利用することができる。こうしたスペーサーによっ
て設定される電解質層の厚さは、50〜150μm、よ
り好ましくは80〜120μmであることが好ましい。
【0036】エレクトロクロミック素子の電極は還元着
色するカソーディック材料と酸化着色するアノーディッ
ク材料の2種類ある。ガラス基板1又は2の少なくとも
一つには、カソーディック材料又はアノーディック材料
を必要とする。代表的な還元着色材であるWO3 では、WO
3 は電解質からのH+ (Li + ) と電源からの電子が注入
されるとWO3(無色)+x H + +xe=H x WO3(青色)の反
応を行なう。この反応は可逆的であるが、H x WO3 の状
態で電源回路を開放すると、青色(還元状態)は長時間
保持される。還元着色材としてはWO3 のほか、IrO X
MoO3,MoS2,V2O5,MgWO4 ,Nb2O5 ,TiO2,W4O8(C2O4)
x などを用いることもできる。EC電極は 500〜1500Å
程度の厚さであるが、これは透明導電膜上に形成する。
【0037】透明導電膜は集電電極であり、酸化インジ
ウム錫(ITO)、酸化錫などで形成する。厚さは1000〜20
00Åが一般的である。透明導電膜はガラス板等の透明基
板上に形成する。また、対極にはH2 ,O2 の発生の少
なく、電気化学的酸化還元反応に対して可逆性のよい、
電気容量の大きい材料が用いられる。具体的にはカーボ
ン、還移金属化合物とカーボンとの複合材または金属酸
化物とカーボンの複合材などがある。対極の厚さは1000
Å〜10μm程度である。
【0038】EC電極と対極との間に電源から電圧を印
加するが、カソーディック電極を使用する場合には還元
時に負の電圧をかける。電圧は1.3〜2.8V程度であ
る。また、対極側にもEC電極(電極II)を配すること
ができ、電極I(WO3)の還元着色に加えて、電極IIに酸
化着色型の電極材料、例えばIrO x などを用いると、着
色効率の高いECDを製作できる。また、電極IIにも結
晶状態の異なるWO3を用いてもよい。または NiOx 、 Co
Ox 、プルシアンブルー、ポリアニリンなどが用いられ
る。電圧は0.8〜2.5V程度である。
【0039】封止方法に特に制限はないが、好ましい方
法として、エレクトロクロミック電極を形成した一対の
ガラス基板の端部を、後に電解質溶液を注入するための
部分を残して紫外線接着剤又はフッ素樹脂系接着剤を適
用し加熱することにより封着し、次いでその注入口から
電解質溶液を注入した後、その注入口にフッ素樹脂系接
着剤を適用し、そして電解質溶液があまり加熱されない
ようにしながら(例えば、注入口以外の部分を水冷しな
がら)注入口部分の接着剤をスポット的に加熱すること
によって全体の封止を完了する方法が挙げられる。この
加熱処理は、温度80〜180℃、より好ましくは10
0〜150℃で、5〜70分、より好ましくは10〜6
0分間施すことが好ましい。また、加熱処理手段として
は、例えば、加熱送風式ドライヤー、赤外線ランプ、等
を利用することができる。
【0040】
【実施例】1.電解質溶液の調製 2−メトキシエタノール10gとプロピレンカーボネー
ト2gを取り、ヘプチルビオロゲン10重量%を添加し
た。これに特級硝酸0.1重量%を入れた。スターラー
を用いてビーカー中で十分に攪拌混合した。
【0041】2.素子の製作(防眩ミラー) 2枚のガラス基板(A,B)40mm角の間にスペー
サーを介在させ、周囲のシールをフッ素樹脂系接着剤
「サイトップ」〔登録商標;旭硝子株式会社〕(接着剤
1)を用いてシールした。ここで、ガラス基板A、ガラ
ス基板BともITO/ガラス基板とした。ガラス基板B
のITOと反対面に銀鏡を付けた。スペーサーは100
μmのガラススペーサーを使用した。このシールでは、
溶液の注入口として接着剤を塗布しない部分を一箇所残
しておいた。 残しておいた注入口から、先に調製した電解質溶液を
注入した。注入は、500Pa以下に減圧しておいた室
温(22℃)における真空チャンバー内で、で製作し
た注入口を有する素子を電解質溶液中に浸漬することに
よって行った。
【0042】電解質溶液の注入後、注入口に同様にフ
ッ素樹脂系接着剤「サイトップ」〔登録商標;旭硝子株
式会社〕(接着剤2)を適用した。次いで、この素子を
その接着剤適用部分が水面上に出るように水に浸し、加
熱送風式ドライヤーを用いて接着剤部分に約120℃の
熱を約20分間かけて注入口を封着した。
【0043】比較例として、エポキシ樹脂系接着剤を使
用したエレクトロクロミック素子を製作した。製作方法
はフッ素樹脂系接着剤を使用した場合と同様である。接
着剤1については熱硬化性エポキシ樹脂又は紫外線接着
剤を使用し、接着剤2については紫外線硬化性エポキシ
樹脂を使用した。
【0044】3.高温保存試験 本発明の素子と比較用の素子について、初期電流電圧特
性評価(2極式)を行った。素子の評価は、駆動電圧
2.5Vを10秒印加する着色と駆動電圧−0.4Vを
10秒印加する消色とを交互に10,000回繰り返す
サイクル試験を施し、その動作を目視で確認することに
よって行った。素子を80℃の恒温チャンバーに入れ、
240時間維持した後に室温に戻して上記の駆動試験を
行った。その結果を以下に示す。表中、○印はシール等
の剥離がなかったことを、×印は剥離があったことを示
す。また、動作試験における「合格」とは、サイクル試
験後の素子の着色時反射率が50%以下であったことを
示す。
【0045】
【表1】
【0046】上記データからもわかるように、比較例
1、比較例2ともに、80℃、240時間の保存試験に
よりシール部が何らかの損傷を受け、動作試験にも供す
ることができなかったのに対し、本発明によりフッ素樹
脂系接着剤を用いて封止した素子は、上記高温保存試験
後にも許容できるサイクル特性を示している。
【0047】
【発明の効果】本発明によるエレクトロクロミック素子
では、封止部分にフッ素樹脂系接着剤を使用すると、8
0℃以上といった高温環境下で使用された場合にもフッ
素樹脂系接着剤と電解質層との反応性が極めて低いた
め、素子全体としての耐熱性、耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエレクトロクロミック(EC)素子の
断面図である。
【図2】本発明の他の封止例のエレクトロクロミック
(EC)素子の断面図である。
【図3】本発明の他の封止例のエレクトロクロミック
(EC)素子の断面図である。
【符号の説明】
1,2…ガラス基板(EC電極) 3…電解質層 4…フッ素樹脂系接着剤

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エレクトロクロミック電極を表面に形成
    した一対の透明基板の間に電解質層を挟持して封止した
    エレクトロクロミック素子において、前記封止の少なく
    とも一部にフッ素樹脂系接着剤を用いたことを特徴とす
    るエレクトロクロミック素子。
JP21871495A 1995-08-28 1995-08-28 エレクトロクロミック素子 Pending JPH0961857A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012501007A (ja) * 2008-08-25 2012-01-12 ジェンテックス コーポレイション エレクトロクロミック化合物及び関連の媒体及び装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012501007A (ja) * 2008-08-25 2012-01-12 ジェンテックス コーポレイション エレクトロクロミック化合物及び関連の媒体及び装置

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