JPH08109453A - 導電性および耐摩耗性にすぐれた鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製集電用パンタグラフすり板材 - Google Patents
導電性および耐摩耗性にすぐれた鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製集電用パンタグラフすり板材Info
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- JPH08109453A JPH08109453A JP27459294A JP27459294A JPH08109453A JP H08109453 A JPH08109453 A JP H08109453A JP 27459294 A JP27459294 A JP 27459294A JP 27459294 A JP27459294 A JP 27459294A JP H08109453 A JPH08109453 A JP H08109453A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 導電性および耐摩耗性にすぐれた鉛含浸Ｆｅ
基焼結合金製集電用パンタグラフすり板材を提供する。 【構成】 集電用パンタグラフすり板材が分散相形成成
分としてＴａＢ2 、ＮｂＢ2 ，ＺｒＮ，ＴａＣ、および
ＷＣのうちの１種以上：５〜２０％、同じく分散相形成
成分としてＴｉＳｉ2 ，ＷＳｉ2 、およびＭｏＳｉ2 の
うちの１種以上：５〜２０％、以下いずれも素地形成成
分として、Ｎｉ，Ｃｕ、およびＭｎのうちの１種以上：
０．１〜７％を含有し、さらに必要に応じてＣｒおよび
／またはＭｏ：０．０５〜３％、並びにＣ：０．０５〜
０．５％のいずれか、または両方を含有し残りがＦｅと
不可避不純物からなる組成（以上重量％）、並びに５〜
１５％の気孔率を有するＦｅ基焼結合金に、Ｐｂまたは
Ｐｂ合金を含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合金からな
る。
基焼結合金製集電用パンタグラフすり板材を提供する。 【構成】 集電用パンタグラフすり板材が分散相形成成
分としてＴａＢ2 、ＮｂＢ2 ，ＺｒＮ，ＴａＣ、および
ＷＣのうちの１種以上：５〜２０％、同じく分散相形成
成分としてＴｉＳｉ2 ，ＷＳｉ2 、およびＭｏＳｉ2 の
うちの１種以上：５〜２０％、以下いずれも素地形成成
分として、Ｎｉ，Ｃｕ、およびＭｎのうちの１種以上：
０．１〜７％を含有し、さらに必要に応じてＣｒおよび
／またはＭｏ：０．０５〜３％、並びにＣ：０．０５〜
０．５％のいずれか、または両方を含有し残りがＦｅと
不可避不純物からなる組成（以上重量％）、並びに５〜
１５％の気孔率を有するＦｅ基焼結合金に、Ｐｂまたは
Ｐｂ合金を含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合金からな
る。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】この発明は、すぐれた導電性と耐
摩耗性を有し、したがって高集電能力を可能とした状態
で、長期に亘ってすぐれた性能を発揮する鉛含浸Ｆｅ基
焼結合金製集電用パンタグラフすり板材に関するもので
ある。
摩耗性を有し、したがって高集電能力を可能とした状態
で、長期に亘ってすぐれた性能を発揮する鉛含浸Ｆｅ基
焼結合金製集電用パンタグラフすり板材に関するもので
ある。
【０００２】
【従来の技術】従来、一般に電気車の集電用パンタグラ
フすり板材として、素地に硬質粒子が分散分布した組
織、並びに５〜３０％の気孔率を有するＦｅ基焼結合金
に、ＰｂまたはＰｂ合金を含浸してなる各種の鉛含浸Ｆ
ｅ基焼結合金が提案され、実用に供されている。
フすり板材として、素地に硬質粒子が分散分布した組
織、並びに５〜３０％の気孔率を有するＦｅ基焼結合金
に、ＰｂまたはＰｂ合金を含浸してなる各種の鉛含浸Ｆ
ｅ基焼結合金が提案され、実用に供されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】一方、近年の電気車の
大型化および多連結化、さらに高速化はめざましく、こ
れに伴ない、集電用パンタグラフすり板材には、できる
だけ多くの電流を取り入れることのできる特性、すなわ
ち高い導電性と、一段の耐摩耗性向上が要求されるが、
現在提案され、実用に供されている鉛含浸Ｆｅ基焼結合
金製集電用パンタグラフすり板材（以下、単に集電すり
板材という）においては、耐摩耗性にすぐれるものは導
電性が低く、反対に導電性の良好なものは耐摩耗性が劣
り、導電性と耐摩耗性の両特性を兼ね備えたものでない
ために、これらの要求に満足に対応することができない
のが現状である。
大型化および多連結化、さらに高速化はめざましく、こ
れに伴ない、集電用パンタグラフすり板材には、できる
だけ多くの電流を取り入れることのできる特性、すなわ
ち高い導電性と、一段の耐摩耗性向上が要求されるが、
現在提案され、実用に供されている鉛含浸Ｆｅ基焼結合
金製集電用パンタグラフすり板材（以下、単に集電すり
板材という）においては、耐摩耗性にすぐれるものは導
電性が低く、反対に導電性の良好なものは耐摩耗性が劣
り、導電性と耐摩耗性の両特性を兼ね備えたものでない
ために、これらの要求に満足に対応することができない
のが現状である。
【０００４】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
上述のような観点から、導電性および耐摩耗性のすぐれ
た集電すり板材を開発すべく研究を行なった結果、集電
すり板材を、重量％で（以下、組成に関する％は重量％
を示す）、分散相形成成分として、Ｔａほう化物、Ｎｂ
ほう化物、Ｚｒ窒化物、Ｔａ炭化物、およびＷ炭化物
（以下、それぞれＴａＢ2 ，ＮｂＢ2 ，ＺｒＮ，Ｔａ
Ｃ、およびＷＣで示し、これらを総称して「硬質分散粒
子」という）のうちの１種または２種以上：５〜２０
％、同じく分散相形成成分として、Ｔｉ，Ｗ、およびＭ
ｏのけい化物（以下、それぞれＴｉＳｉ2 ，ＷＳｉ2 、
およびＭｏＳｉ2 で示し、これらを総称して「中間硬さ
分散粒子」という）のうちの１種または２種以上：５〜
２０％、以下いずれも素地形成成分として、Ｎｉ，Ｃ
ｕ、およびＭｎのうちの１種または２種以上：０．１〜
７％、を含有し、さらに必要に応じて、（ａ） Ｃｒお
よび／またはＭｏ：０．０５〜３％、（ｂ） Ｃ：０．
０５〜０．５％、以上（ａ）および／または（ｂ）を含
有し、残りがＦｅと不可避不純物からなる組成、並び
に、５〜１６％の気孔率、を有するＦｅ基焼結合金に、
ＰｂまたはＰｂ合金を含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合
金で構成すると、表１に示される通り、上記硬質分散粒
子と中間硬さ分散粒子は、例えばＴｉ炭化物（ＴｉＣ）
が６１μΩ・cmの比抵抗をもつのに対して、いずれも相
対的に低い比抵抗を有するので、これが分散相として含
有しても素地の主要構成成分であるＦｅによってもたら
されるすぐれた導電性の低下が抑制され、かつ上記硬質
粒子は高硬度を有するので、これによってすぐれた耐摩
耗性が確保され、さらに中間硬さ分散粒子は、素地と硬
質粒子の中間の硬さを有することから、硬質分散粒子に
よる相手攻撃を緩和する作用を発揮し、したがってこの
結果の集電すり板材は、導電性のすぐれたものとなるば
かりでなく、低い相手攻撃性で、すぐれた耐摩耗性を発
揮するという研究結果を得たのである。
上述のような観点から、導電性および耐摩耗性のすぐれ
た集電すり板材を開発すべく研究を行なった結果、集電
すり板材を、重量％で（以下、組成に関する％は重量％
を示す）、分散相形成成分として、Ｔａほう化物、Ｎｂ
ほう化物、Ｚｒ窒化物、Ｔａ炭化物、およびＷ炭化物
（以下、それぞれＴａＢ2 ，ＮｂＢ2 ，ＺｒＮ，Ｔａ
Ｃ、およびＷＣで示し、これらを総称して「硬質分散粒
子」という）のうちの１種または２種以上：５〜２０
％、同じく分散相形成成分として、Ｔｉ，Ｗ、およびＭ
ｏのけい化物（以下、それぞれＴｉＳｉ2 ，ＷＳｉ2 、
およびＭｏＳｉ2 で示し、これらを総称して「中間硬さ
分散粒子」という）のうちの１種または２種以上：５〜
２０％、以下いずれも素地形成成分として、Ｎｉ，Ｃ
ｕ、およびＭｎのうちの１種または２種以上：０．１〜
７％、を含有し、さらに必要に応じて、（ａ） Ｃｒお
よび／またはＭｏ：０．０５〜３％、（ｂ） Ｃ：０．
０５〜０．５％、以上（ａ）および／または（ｂ）を含
有し、残りがＦｅと不可避不純物からなる組成、並び
に、５〜１６％の気孔率、を有するＦｅ基焼結合金に、
ＰｂまたはＰｂ合金を含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合
金で構成すると、表１に示される通り、上記硬質分散粒
子と中間硬さ分散粒子は、例えばＴｉ炭化物（ＴｉＣ）
が６１μΩ・cmの比抵抗をもつのに対して、いずれも相
対的に低い比抵抗を有するので、これが分散相として含
有しても素地の主要構成成分であるＦｅによってもたら
されるすぐれた導電性の低下が抑制され、かつ上記硬質
粒子は高硬度を有するので、これによってすぐれた耐摩
耗性が確保され、さらに中間硬さ分散粒子は、素地と硬
質粒子の中間の硬さを有することから、硬質分散粒子に
よる相手攻撃を緩和する作用を発揮し、したがってこの
結果の集電すり板材は、導電性のすぐれたものとなるば
かりでなく、低い相手攻撃性で、すぐれた耐摩耗性を発
揮するという研究結果を得たのである。
【０００５】
【表１】
【０００６】この発明は、上記の研究結果にもとづいて
なされたものであって、分散相形成成分として、上記硬
質分散粒子のうちの１種または２種以上：５〜２０％、
同じく分散相形成成分として、上記中間硬さ分散粒子の
うちの１種または２種以上：５〜２０％、以下いずれも
素地形成成分として、Ｎｉ，Ｃｕ、およびＭｎのうちの
１種または２種以上：０．１〜７％、を含有し、さらに
必要に応じて、（ａ） Ｃｒおよび／またはＭｏ：０．
０５〜３％、（ｂ） Ｃ：０．０５〜０．５％、以上
（ａ）および／または（ｂ）を含有し、残りがＦｅと不
可避不純物からなる組成、並びに、５〜１５％の気孔
率、を有するＦｅ基焼結合金に、ＰｂまたはＰｂ合金を
含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合金で構成してなる、導
電性および耐摩耗性のすぐれた集電すり板材に特徴を有
するものである。
なされたものであって、分散相形成成分として、上記硬
質分散粒子のうちの１種または２種以上：５〜２０％、
同じく分散相形成成分として、上記中間硬さ分散粒子の
うちの１種または２種以上：５〜２０％、以下いずれも
素地形成成分として、Ｎｉ，Ｃｕ、およびＭｎのうちの
１種または２種以上：０．１〜７％、を含有し、さらに
必要に応じて、（ａ） Ｃｒおよび／またはＭｏ：０．
０５〜３％、（ｂ） Ｃ：０．０５〜０．５％、以上
（ａ）および／または（ｂ）を含有し、残りがＦｅと不
可避不純物からなる組成、並びに、５〜１５％の気孔
率、を有するＦｅ基焼結合金に、ＰｂまたはＰｂ合金を
含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合金で構成してなる、導
電性および耐摩耗性のすぐれた集電すり板材に特徴を有
するものである。
【０００７】つぎに、この発明の集電すり板材におい
て、これを構成するＦｅ基焼結合金の成分組成および気
孔率を上記の通りに限定した理由を説明する。 （ａ） 硬質分散粒子 これらの成分は、相対的に低い比抵抗を有するので、こ
れの含有によってすり板材の導電性が低下するのが抑制
されて高い状態に保持され、かつ相対的に高硬度を有す
るので、耐摩耗性の向上効果も著しく、したがってこれ
らの成分の含有によってすり板材は高い導電性とすぐれ
た耐摩耗性をもつようになるが、その含有量が５％未満
では所望の耐摩耗性を確保することができず、一方その
含有量が２０％を越えると、すり板材の強度が低下する
ようになることから、その含有量を５〜２０％と定め
た。なお、望ましくは７〜１５％の含有がよい。
て、これを構成するＦｅ基焼結合金の成分組成および気
孔率を上記の通りに限定した理由を説明する。 （ａ） 硬質分散粒子 これらの成分は、相対的に低い比抵抗を有するので、こ
れの含有によってすり板材の導電性が低下するのが抑制
されて高い状態に保持され、かつ相対的に高硬度を有す
るので、耐摩耗性の向上効果も著しく、したがってこれ
らの成分の含有によってすり板材は高い導電性とすぐれ
た耐摩耗性をもつようになるが、その含有量が５％未満
では所望の耐摩耗性を確保することができず、一方その
含有量が２０％を越えると、すり板材の強度が低下する
ようになることから、その含有量を５〜２０％と定め
た。なお、望ましくは７〜１５％の含有がよい。
【０００８】（ｂ） 中間硬さ分散粒子 これらの成分は、上記の通り相対的に比抵抗が低く、か
つ硬質分散粒子と素地の中間的硬さを有し、もって集電
すり板材の導電性を高い状態に保ったままで相手攻撃性
を抑制する作用をもつが、その含有量が５％未満では前
記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が２０
％を越えると強度が低下するようになることから、その
含有量を５〜２０％と定めた。なお、望ましくは７〜１
５％の含有がよい。
つ硬質分散粒子と素地の中間的硬さを有し、もって集電
すり板材の導電性を高い状態に保ったままで相手攻撃性
を抑制する作用をもつが、その含有量が５％未満では前
記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が２０
％を越えると強度が低下するようになることから、その
含有量を５〜２０％と定めた。なお、望ましくは７〜１
５％の含有がよい。
【０００９】（ｃ） Ｎｉ，Ｃｕ、およびＭｎ これらの成分には、素地に固溶して、これを強化すると
共に、分散相を構成する硬質粒子の素地に対する密着性
を向上させる作用があるが、その含有量が０．１％未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量
が７％を越えると靭性が低下するようになることから、
その含有量を０．１〜７％と定めた。望ましくは１．５
〜４％の含有がよい。
共に、分散相を構成する硬質粒子の素地に対する密着性
を向上させる作用があるが、その含有量が０．１％未満
では前記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量
が７％を越えると靭性が低下するようになることから、
その含有量を０．１〜７％と定めた。望ましくは１．５
〜４％の含有がよい。
【００１０】（ｄ） ＣｒおよびＭｏ これらの成分には、素地に固溶して、これの強度を一段
と向上させると共に、耐熱性を向上させ、もってすり板
材の耐摩耗性向上に寄与する作用があるので、必要に応
じて含有されるが、その含有量が０．０５％未満では前
記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が３％
を越えると、分散相形成の硬質粒子の素地に対する密着
性が低下し、この結果として耐摩耗性の低下をもたらす
ようになることから、その含有量を０．０５〜３％と定
めた。望ましくは０．３〜１．５％の含有がよい。
と向上させると共に、耐熱性を向上させ、もってすり板
材の耐摩耗性向上に寄与する作用があるので、必要に応
じて含有されるが、その含有量が０．０５％未満では前
記作用に所望の効果が得られず、一方その含有量が３％
を越えると、分散相形成の硬質粒子の素地に対する密着
性が低下し、この結果として耐摩耗性の低下をもたらす
ようになることから、その含有量を０．０５〜３％と定
めた。望ましくは０．３〜１．５％の含有がよい。
【００１１】（ｅ） Ｃ Ｃ成分には、素地に固溶して、これを強化し、かつ焼結
性を向上させる作用があるので、必要に応じて含有され
るが、その含有量が０．０５％未満では前記作用に所望
の効果が得られず、一方その含有量が０．５％を越える
と靭性が低下するようになることから、その含有量を
０．０５〜０．５％と定めた。望ましくは０．１〜０．
３％の含有がよい。
性を向上させる作用があるので、必要に応じて含有され
るが、その含有量が０．０５％未満では前記作用に所望
の効果が得られず、一方その含有量が０．５％を越える
と靭性が低下するようになることから、その含有量を
０．０５〜０．５％と定めた。望ましくは０．１〜０．
３％の含有がよい。
【００１２】（ｆ） 気孔率 その割合が５％未満では、Ｆｅ基焼結合金に含浸される
ＰｂまたはＰｂ合金の割合が少なすぎて、このＰｂおよ
びＰｂ合金によってもたらされるすぐれた潤滑性を確保
することができず、一方その割合が１５％を越えると、
Ｆｅ基焼結合金の強度、すなわちすり板材の強度が低下
するばかりでなく、耐アーク性も低下するようになるこ
とから、その割合を５〜１５％と定めた。望ましくは７
〜１２％がよい。
ＰｂまたはＰｂ合金の割合が少なすぎて、このＰｂおよ
びＰｂ合金によってもたらされるすぐれた潤滑性を確保
することができず、一方その割合が１５％を越えると、
Ｆｅ基焼結合金の強度、すなわちすり板材の強度が低下
するばかりでなく、耐アーク性も低下するようになるこ
とから、その割合を５〜１５％と定めた。望ましくは７
〜１２％がよい。
【００１３】
【実施例】つぎに、この発明の集電すり板材を実施例に
より具体的に説明する。原料粉末として、いずれも１〜
１５０μｍの範囲内の所定の平均粒径を有するＴａＢ2
粉末、ＮｂＢ2 粉末、ＺｒＮ粉末、ＴａＣ粉末、ＷＣ粉
末、ＴｉＳｉ2粉末、ＷＳｉ2 粉末、ＭｏＳｉ2 粉末、
Ｎｉ粉末、Ｃｕ粉末、およびＭｎ粉末、さらにいずれも
８０メッシュ以下の所定の粒度を有するアトマイズ鉄
粉、Ｆｅ−Ｃｒ合金（Ｃｒ：６５％含有）粉末、Ｆｅ−
Ｍｏ合金（Ｍｏ：６５％含有）粉末、および３２５メッ
シュ以下の粒度を有する黒鉛粉末を用意し、これら原料
粉末を表２，３に示される配合組成に配合し、混合した
後、３〜６ton ／cm2 の範囲内の所定の圧力で圧粉体に
プレス成形し、この圧粉体を、アンモニア分解ガス雰囲
気中、１１３０〜１２００℃の範囲内の所定温度に１時
間保持の条件で焼結して、実質的に配合組成と同一の成
分組成並びに表２，３に示される気孔率をもったＦｅ基
焼結合金Ａ〜Ｔを形成し、ついでこれらのＦｅ基焼結合
金Ａ〜Ｔに、表４に示す通り純鉛またＰｂ−３０％Ｓｎ
の組成をもったＰｂ合金を含浸させることにより、幅：
２５mm×長さ：８０mm×厚さ：１０mmの寸法をもった本
発明集電すり板材１〜１７および比較集電すり板材１〜
３をそれぞれ製造した。なお、比較集電すり板材１〜３
は、Ｆｅ基焼結合金の硬質分散粒子の含有量がこの発明
の範囲から低い方に外れた組成をもつものである。
より具体的に説明する。原料粉末として、いずれも１〜
１５０μｍの範囲内の所定の平均粒径を有するＴａＢ2
粉末、ＮｂＢ2 粉末、ＺｒＮ粉末、ＴａＣ粉末、ＷＣ粉
末、ＴｉＳｉ2粉末、ＷＳｉ2 粉末、ＭｏＳｉ2 粉末、
Ｎｉ粉末、Ｃｕ粉末、およびＭｎ粉末、さらにいずれも
８０メッシュ以下の所定の粒度を有するアトマイズ鉄
粉、Ｆｅ−Ｃｒ合金（Ｃｒ：６５％含有）粉末、Ｆｅ−
Ｍｏ合金（Ｍｏ：６５％含有）粉末、および３２５メッ
シュ以下の粒度を有する黒鉛粉末を用意し、これら原料
粉末を表２，３に示される配合組成に配合し、混合した
後、３〜６ton ／cm2 の範囲内の所定の圧力で圧粉体に
プレス成形し、この圧粉体を、アンモニア分解ガス雰囲
気中、１１３０〜１２００℃の範囲内の所定温度に１時
間保持の条件で焼結して、実質的に配合組成と同一の成
分組成並びに表２，３に示される気孔率をもったＦｅ基
焼結合金Ａ〜Ｔを形成し、ついでこれらのＦｅ基焼結合
金Ａ〜Ｔに、表４に示す通り純鉛またＰｂ−３０％Ｓｎ
の組成をもったＰｂ合金を含浸させることにより、幅：
２５mm×長さ：８０mm×厚さ：１０mmの寸法をもった本
発明集電すり板材１〜１７および比較集電すり板材１〜
３をそれぞれ製造した。なお、比較集電すり板材１〜３
は、Ｆｅ基焼結合金の硬質分散粒子の含有量がこの発明
の範囲から低い方に外れた組成をもつものである。
【００１４】
【表２】
【００１５】
【表３】
【００１６】
【表４】
【００１７】この結果得られた各種集電すり板材につい
て加速摩耗試験を行なった。加速摩耗試験は、モータの
水平回転軸に中心を固定することにより直立支持された
外径：２．２ｍの円板の前記固定側とは反対側面に、模
擬トロリ線として外径：２ｍ×幅：５mm×厚さ：１５mm
の硬銅リング（ＪＩＳ・Ｃ１１００・ＢＢ−Ｈ）を５０
mm偏心して取付けた装置を用い、上記硬銅リングの直径
線上の両側にそれぞれ集電すり板材を５kgの押付力で長
さ：８０mm×幅：２５mmの寸法面を面接触させ、上記模
擬トロリ線と集電すり板材間に１００Ａの電流を流しな
がら、上記円板の回転を６分で２６０km／hrの回転速度
に上げ、この速度に５分間保持した後、６分かけて停止
を１サイクルとし、これを４回繰り返すことにより行な
い、集電すり板材の比摩耗量と相手材である模擬トロリ
線の摩耗深さを測定した。この測定結果を表４に示し
た。また表４には導電性を評価する目的で集電すり板材
の比抵抗の測定結果も示した。
て加速摩耗試験を行なった。加速摩耗試験は、モータの
水平回転軸に中心を固定することにより直立支持された
外径：２．２ｍの円板の前記固定側とは反対側面に、模
擬トロリ線として外径：２ｍ×幅：５mm×厚さ：１５mm
の硬銅リング（ＪＩＳ・Ｃ１１００・ＢＢ−Ｈ）を５０
mm偏心して取付けた装置を用い、上記硬銅リングの直径
線上の両側にそれぞれ集電すり板材を５kgの押付力で長
さ：８０mm×幅：２５mmの寸法面を面接触させ、上記模
擬トロリ線と集電すり板材間に１００Ａの電流を流しな
がら、上記円板の回転を６分で２６０km／hrの回転速度
に上げ、この速度に５分間保持した後、６分かけて停止
を１サイクルとし、これを４回繰り返すことにより行な
い、集電すり板材の比摩耗量と相手材である模擬トロリ
線の摩耗深さを測定した。この測定結果を表４に示し
た。また表４には導電性を評価する目的で集電すり板材
の比抵抗の測定結果も示した。
【００１８】
【発明の効果】表２〜４に示される結果から、本発明集
電すり板材１〜１７は、硬質分散粒子の含有にもかかわ
らず、低い相手攻撃性を示し、かつ高い導電性ですぐれ
た耐摩耗性を示すのに対して、比較集電すり板材１〜３
に見られるように、硬質分散粒子の含有割合がこの発明
の範囲から外れた低い含有量であると所望のすぐれた耐
摩耗性を確保することができないことが明らかである。
上述のように、この発明の集電すり板材は、すぐれた導
電性と耐摩耗性を具備し、かつ相手攻撃性も低いので、
電気車の著しい進歩にも十分満足に対応することができ
るなど工業上有用な効果をもたらすものである。
電すり板材１〜１７は、硬質分散粒子の含有にもかかわ
らず、低い相手攻撃性を示し、かつ高い導電性ですぐれ
た耐摩耗性を示すのに対して、比較集電すり板材１〜３
に見られるように、硬質分散粒子の含有割合がこの発明
の範囲から外れた低い含有量であると所望のすぐれた耐
摩耗性を確保することができないことが明らかである。
上述のように、この発明の集電すり板材は、すぐれた導
電性と耐摩耗性を具備し、かつ相手攻撃性も低いので、
電気車の著しい進歩にも十分満足に対応することができ
るなど工業上有用な効果をもたらすものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ６０Ｌ 5/00 Ａ Ｃ２２Ｃ 33/02 Ｇ 38/16 38/50
Claims (4)
- 【請求項１】 重量％で、 分散相形成成分として、Ｔａほう化物、Ｎｂほう化物、
Ｚｒ窒化物、Ｔａ炭化物、およびＷ炭化物のうちの１種
または２種以上：５〜２０％、 同じく分散相形成成分として、Ｔｉ，Ｗ、およびＭｏの
けい化物のうちの１種または２種以上：５〜２０％、 素地形成成分として、Ｎｉ，Ｃｕ、およびＭｎのうちの
１種または２種以上：０．１〜７％、 を含有し、残りがＦｅと不可避不純物からなる組成、並
びに、 ５〜１５％の気孔率、を有するＦｅ基焼結合金に、Ｐｂ
またはＰｂ合金を含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合金で
構成したことを特徴とする導電性および耐摩耗性にすぐ
れた鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製集電用パンタグラフすり板
材。 - 【請求項２】 重量％で、 分散相形成成分として、Ｔａほう化物、Ｎｂほう化物、
Ｚｒ窒化物、Ｔａ炭化物、およびＷ炭化物のうちの１種
または２種以上：５〜２０％、 同じく分散相形成成分として、Ｔｉ，Ｗ、およびＭｏの
けい化物のうちの１種または２種以上：５〜２０％、 以下いずれも素地形成成分として、 Ｎｉ，Ｃｕ、およびＭｎのうちの１種または２種以上：
０．１〜７％、 Ｃｒおよび／またはＭｏ：０．０５〜３％、を含有し、
残りがＦｅと不可避不純物からなる組成、並びに、 ５〜１５％の気孔率、を有するＦｅ基焼結合金に、Ｐｂ
またはＰｂ合金を含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合金で
構成したことを特徴とする導電性および耐摩耗性にすぐ
れた鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製集電用パンタグラフすり板
材。 - 【請求項３】 重量％で、 分散相形成成分として、Ｔａほう化物、Ｎｂほう化物、
Ｚｒ窒化物、Ｔａ炭化物、およびＷ炭化物のうちの１種
または２種以上：５〜２０％、 同じく分散相形成成分として、Ｔｉ，Ｗ、およびＭｏの
けい化物のうちの１種または２種以上：５〜２０％、 以下いずれも素地形成成分として、 Ｎｉ，Ｃｕ、およびＭｎのうちの１種または２種以上：
０．１〜７％、 Ｃ：０．０５〜０．５％、を含有し、残りがＦｅと不可
避不純物からなる組成、並びに、 ５〜１５％の気孔率、を有するＦｅ基焼結合金に、Ｐｂ
またはＰｂ合金を含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合金で
構成したことを特徴とする導電性および耐摩耗性にすぐ
れた鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製集電用パンタグラフすり板
材。 - 【請求項４】 重量％で、 分散相形成成分として、Ｔａほう化物、Ｎｂほう化物、
Ｚｒ窒化物、Ｔａ炭化物、およびＷ炭化物のうちの１種
または２種以上：５〜２０％、 同じく分散相形成成分として、Ｔｉ，Ｗ、およびＭｏの
けい化物のうちの１種または２種以上：５〜２０％、 以下いずれも素地形成成分として、 Ｎｉ，Ｃｕ、およびＭｎのうちの１種または２種以上：
０．１〜７％、 Ｃｒおよび／またはＭｏ：０．０５〜３％、 Ｃ：０．０５〜０．５％、を含有し、残りがＦｅと不可
避不純物からなる組成、並びに、 ５〜１５％の気孔率、を有するＦｅ基焼結合金に、Ｐｂ
またはＰｂ合金を含浸してなる鉛含浸Ｆｅ基焼結合金で
構成したことを特徴とする導電性および耐摩耗性にすぐ
れた鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製集電用パンタグラフすり板
材。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27459294A JPH08109453A (ja) | 1994-10-13 | 1994-10-13 | 導電性および耐摩耗性にすぐれた鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製集電用パンタグラフすり板材 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP27459294A JPH08109453A (ja) | 1994-10-13 | 1994-10-13 | 導電性および耐摩耗性にすぐれた鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製集電用パンタグラフすり板材 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH08109453A true JPH08109453A (ja) | 1996-04-30 |
Family
ID=17543894
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP27459294A Withdrawn JPH08109453A (ja) | 1994-10-13 | 1994-10-13 | 導電性および耐摩耗性にすぐれた鉛含浸Ｆｅ基焼結合金製集電用パンタグラフすり板材 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH08109453A (ja) |
Cited By (2)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102071360A (zh) * | 2011-01-14 | 2011-05-25 | 华南理工大学 | 一种碳化钨颗粒增强的铁基粉末冶金材料及其制备方法 |
| CN111360243A (zh) * | 2020-04-24 | 2020-07-03 | 长沙迈特锐新材料有限公司 | 一种高性能的自润滑铜基受电弓滑板材料及其制备方法 |
-
1994
- 1994-10-13 JP JP27459294A patent/JPH08109453A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN102071360A (zh) * | 2011-01-14 | 2011-05-25 | 华南理工大学 | 一种碳化钨颗粒增强的铁基粉末冶金材料及其制备方法 |
| CN111360243A (zh) * | 2020-04-24 | 2020-07-03 | 长沙迈特锐新材料有限公司 | 一种高性能的自润滑铜基受电弓滑板材料及其制备方法 |
| CN111360243B (zh) * | 2020-04-24 | 2022-04-01 | 长沙迈特锐新材料有限公司 | 一种高性能的自润滑铜基受电弓滑板材料及其制备方法 |
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