JPH08109180A - O→n分子内アシル転位型プロドラッグ - Google Patents

O→n分子内アシル転位型プロドラッグ

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JPH08109180A
JPH08109180A JP27295394A JP27295394A JPH08109180A JP H08109180 A JPH08109180 A JP H08109180A JP 27295394 A JP27295394 A JP 27295394A JP 27295394 A JP27295394 A JP 27295394A JP H08109180 A JPH08109180 A JP H08109180A
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JP
Japan
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acid
compound
mmol
group
thz
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Withdrawn
Application number
JP27295394A
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English (en)
Inventor
Toru Kimura
徹 木村
Hiroki Moriwaki
浩樹 森脇
Yoshiaki Kiso
良明 木曽
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Hamari Chemicals Ltd
Eneos Corp
Original Assignee
Hamari Chemicals Ltd
Japan Energy Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 HIVプロテアーゼ阻害活性を有するペプチ
ド誘導体へと生理的pHにおいて変化する性質を有す
る、水溶性に富んだ化合物を提供すること。 【構成】 一般式I、 【化1】 〔式中、Phはフェニル基を、t−Buは、tert−ブチ
ル基を表し、Rは、メチルチオメチル基、メタンスルホ
ニルメチル基、カルバモイルメチル基、若しくは分枝し
ていてもよい低級アルキル基を表すか、又は、複素環で
あってよい飽和若しくは不飽和の5〜7員環を表し、X
は、炭素又はイオウを、Yは、1−ナフチル基又は5−
イソキノリル基を、そしてnは、0又は1の整数を表
す。〕で示される化合物又はその薬理学的に許容し得る
塩。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、活性ペプチド誘導体の
プロドラッグに関し、より詳しくは、O→N分子内アシ
ル転位により該活性ペプチド誘導体へと変化するペプチ
ド誘導体に関する。特に本発明は、ヒト免疫不全ウイル
ス(HIV) プロテアーゼの、水に難溶な阻害薬のプロドラ
ッグとして有用なペプチド誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば高血圧治療のための経口のレニン
阻害剤や、後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療又
は感染予防のための、経口のヒト免疫不全ウイルス(H
IV)プロテアーゼ阻害剤のような、種々の経口プロテ
アーゼ阻害剤について研究が進められており、それらの
プロテアーゼに対して阻害活性を有するペプチド誘導体
が種々知られるに至っている。例えばHIVプロテアー
ゼ阻害剤としては、特開平5-170722に多数の活性なペプ
チド誘導体及びその製造方法並びにHIVプロテアーゼ
阻害活性が具体的に記述されており、また特開平6-1922
46、特開平6-220031にもそのような阻害薬及びその改良
された製造方法が開示されている。それらのペプチド誘
導体は、強力なHIVプロテアーゼ阻害作用を有し且つ
タンパク質分解酵素に対して安定であるため、AIDS
の治療及び感染予防に有用であると考えられている。
【0003】しかしながら、HIVプロテアーゼやレニ
ン等のプロテアーゼに対し阻害効果のあることが知られ
ている各種ペプチド誘導体は一般に水溶性が低く、この
ため経口投与では本来有する活性を十分に発揮させるこ
とが困難であるという問題があった。また水溶性の低さ
を補うためには特殊な製剤化技術の適用が必要となり、
製造面における負担及びコストを増大させるという不利
益もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、生理的pH
において分子内アシル転位してプロテアーゼ阻害活性、
特にHIVプロテアーゼ阻害活性を有するペプチド誘導
体へと変化する性質を有する、水溶性に富んだ化合物を
提供することによって、該活性ペプチド誘導体に関する
上記の問題点を解決することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、一般
式I、
【化2】 〔式中、Phはフェニル基を表し、tBuは、tert−ブ
チル基を表し、Rは、メチルチオメチル基、メタンスル
ホニルメチル基、カルバモイルメチル基、若しくは分枝
していてもよい低級アルキル基を表すか、又は、複素環
であってよい飽和若しくは不飽和の5〜7員環を表し、
Xは、炭素又はイオウを表し、Yは、1−ナフチル基又
は5−イソキノリル基を表し、nは、0又は1の整数を
表す。〕で示される化合物又はその薬理学的に許容し得
る塩(該化合物及び該塩を一括して以下「本発明の化合
物」という。)を提供する。
【0006】該分枝していてもよい低級アルキル基とし
ては、1〜5個の炭素原子よりなるものが好ましい。そ
のような基としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−
ブチル基、1−メチルプロピル基、ペンチル基、イソペ
ンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基そ
の他がある。これらのうちイソプロピル基は特に好まし
い。また、該複素環であってよい飽和若しくは不飽和の
5〜7員環としては、例えば2−テトラヒドロフリル基
が挙げられる。
【0007】上記薬理学的に許容しうる塩の例として
は、塩酸、硫酸等の無機酸、並びに酢酸、トリフルオロ
酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、コハク
酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、グルタル酸、安
息香酸、サリチル酸、ケイ皮酸、酒石酸、クエン酸、メ
タンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸との塩
が含まれる。これらの塩の形成は、例えば、対応する遊
離塩基をこれらの酸と混合し放置、冷却することによっ
て、行うことができる。
【0008】本発明の化合物は、それ自体としてはHI
Vプロテアーゼ阻害活性を有しないが、水溶性に富み、
且つ水溶液中において、次の一般式II、
【化3】 〔式中、各記号の定義は前記に同じである。〕で示され
るペプチド誘導体へと変化する。この変化は、一般式I
の化合物中のエステル結合を形成しているアシル基が酸
素からアミノ基の窒素へと分子内転位(本明細書におい
て「O→N分子内アシル転位」という。)することによ
り起り、速やか且つ実質的に100 %進行する。またこの
転位は、関係するO及びNの結合した炭素原子に関する
立体配置の如何にかかわりなく起こる。O→N分子内ア
シル転位により生じた一般式IIの該ペプチド誘導体は、
HIVプロテアーゼ阻害活性を有する(特開平5-17072
2、特開平6-192246、特開平6-220031及びO→N分子内
アシル転位反応確認試験の部参照)。
【0009】すなわち、本発明の化合物は、経口投与し
たとき、対応する活性なペプチド誘導体とは異なって、
溶解して水溶液中に完全に均一化でき、溶解後一定時間
内にHIVプロテアーゼ阻害活性を有するペプチド誘導
体へと変化することから、水溶性の低い当該活性ペプチ
ド誘導体を経口投与する場合に比してバイオアベイラビ
リティーの大幅な向上が期待できる。また、水溶性に富
むため、当該活性ペプチド誘導体に比して製剤化が容易
である。
【0010】更に、本発明の化合物は、特定の立体異性
体として提供してもよくまた立体異性体の混合物として
提供してもよい。転位して生じるペプチド誘導体のうち
HIVプロテアーゼ阻害活性の点で一般的に一層好まし
い立体異性体については、特開平5-170722号第13欄に記
載されており、本発明の化合物についていえば、式I中
において、3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル
ブタン酸残基(n=0のとき)の立体配置は(2S, 3S)
である。
【0011】本発明の化合物は、例えば次の経路に従っ
て合成できる。
【化4】
【化5】 〔式中、Zはアミノ保護基であるベンジルオキシカルボ
ニル基を、Boc はアミノ保護基であるtert−ブトキシカ
ルボニルを、DCC はN,N−ジシクロヘキシルカルボジ
イミドを、DMAPはジメチルアミノピリジンを、CDI はカ
ルボニルジイミダゾールを、iQOAは5−イソキノリニル
オキシ酢酸を、NOA は1−ナフチルオキシ酢酸を、BOP
はベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(N,
N−ジメチルアミノホスホニウム)ヘキサフルオロホス
ファートを、HOBtはN−ヒドロキシベンゾトリアゾール
を、NDPPは5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイ
ミド−ジフェニルホスフェートを、そしてAHは酸を、
それぞれ表す。Ph、tBu、R、X、Y及びnは、前
記定義に同じである。〕
【0012】すなわち、化合物III と、Boc 基によって
アミノ基を保護したアミノ酸とを、縮合剤としてCDI 又
はDCC-DMAPを用いて縮合させて化合物IVを得、化合物IV
を常法、例えば4N-HCl/ジオキサンにより脱Boc して化
合物Vを得る。化合物Vと、iQOA又はNOA とを、縮合剤
として DCC-HOBt, EDC・HCl 、NDPP等を用いて縮合させ
ることにより、化合物VIが得られる。化合物VIからのZ
基の除去は、例えば、トリフルオロ酢酸−アニソール系
を用いるPush-Pull 機構によって行うことができる。ま
た、化合物IVから化合物VIへの反応は、脱 Boc基及びiQ
OA (又はNOA)との縮合を1段階にまとめて行ってもよ
い。
【0013】上記合成の各反応は、合成材料として特定
の立体異性体材料を用いてもラセミ体を用いても、同様
に進行する。化合物Iとして特定の立体異性体を得よう
とする場合には、合成材料として対応する特定の立体異
性体を用いることが好ましいが、合成材料としてラセミ
体を用い、得られた化合物Iを常法により分割してもよ
い。
【0014】上記合成経路における出発化合物として用
いる化合物III は、特開平6-220031第6欄に記載の方法
に準じ、例えば次のようにして合成できる。
【化6】 〔式中、Z-OSu は、N−(ベンジルオキシカルボニル)
スクシンイミドを表す。Ph、tBu、XおよびZは、
前記定義に同じである。〕すなわち、一般式VIIで示さ
れる化合物を、Boc 基でアミノ基の保護された3−アミ
ノ−2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸又は4−ア
ミノ−3−ヒドロキシ−5−フェニルペンタン酸(VII
I)と縮合させ、得られた生成物IXからBoc 基を除去し
て化合物Xを得、次いで化合物Xのアミノ基をベンジル
オキシカルボニル基(Z基)で保護することによって、
一般式III で示される化合物が得られる。
【0015】〔本発明の化合物の水溶性〕本発明の化合
物は、HIVプロテアーゼ阻害活性を有する対応する活
性ペプチド誘導体に比して著しく高い水溶性を有する。
例として、それぞれ実施例1及び2に記載の化合物Ia
及びIb の20℃の水に対する溶解度を、それらがO→N
分子内アシル転位して生ずる対応活性ペプチド誘導体と
比較すると次の表1の通りである。
【0016】
【表1】
【0017】〔O→N分子内アシル転位反応〕本発明の
化合物は水溶液中においてO→N分子内アシル転位によ
りそれぞれ対応する活性なペプチド誘導体へと変化す
る。例えば後述の実施例に記載の化合物1a 、1b 及び
Ic の場合、37℃のリン酸緩衝生理食塩水中(pH7.4
)において、化合物Ia は約15分、化合物Ib は約1
時間で転位反応が完了し、化合物Ic では10秒以内に完
了することが判明した(O→N分子内アシル転位反応確
認試験の部を参照)。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明する。本明細書において用いる各略号はそれぞれ次
の化合物(若しくはそれらに基づく残基)又は基を表
し、化合物中における相互の結合関係は次の通りであ
る。すなわち: (1) AHPBA は、3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェ
ニルブタン酸を表し、Thz との結合は、AHPBA のカルボ
キシル基と、Thz のチアゾリジン環の−NH−との間の
アミド結合による。 (2) AHPPA は、4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−フェ
ニルペンタン酸を表し、Thz との結合は、AHPPA のカル
ボン酸と、Thz のチアゾリジン環の窒素原子との間のア
ミド結合による。 (3) Boc は、アミノ保護基であるtert−ブトキシカルボ
ニル基を表す。 (4) BOP は、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリ
ス(N,N−ジメチルアミノホスホニウム)ヘキサフル
オロホスフェートを表す。 (5) CDI は、カルボニルジイミダゾールを表す。 (6) DCC は、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド
を表す。 (7) EDC は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプ
ロピル)カルボジイミドを表す。 (8) HOBtは、N−ヒドロキシベンゾトリアゾールを表
す。 (9) iQOAは、5−イソキノリルオキシ酢酸〔5-isoquino
lyl-O-CH2-COOH〕を表し、Mta 又はVal との結合は、iQ
OAのカルボキシル基とMta 又はVal のアミノ基との間の
アミド結合による。 (10) Mtaは、L−β−メチルチオアラニン〔CH3-S-CH2-
CH(NH2)-COOH〕を表し、AHPBA 若しくはAHPPA との結合
は、Mta のカルボキシル基と、AHPBA 若しくはAHPPA の
ヒドロキシル基との間のエステル結合(この場合O ←Mt
a と表示。すなわち←Mta は、左側にCO- が、右側に-N
H2が位置するように配向させてある。) 又は、AHPBA 若
しくはAHPPA のアミノ基とのアミド結合による。 (11) NOAは、1−ナフチルオキシ酢酸を表す。 (12) NDPP は、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキ
シイミド−ジフェニルホスフェートを表す。 (13) Thzは、1,3−チアゾリジン−4−カルボン酸を
表し、-NH-tBu との結合はアミド結合による。 (14) Valは、L−バリンを表し、AHPBA 又はAHPPA との
結合は、Mta のカルボキシル基と、AHPBA 若しくはAHPP
A のヒドロキシル基との間のエステル結合(この場合O
←Val と表示。すなわち←Val は、左側にCO- が、右側
に-NH2が位置するように配向させてある。) 又は、AHPB
A 若しくはAHPPA のアミノ基とのアミド結合による。 (15) Zは、アミノ保護基であるベンジルオキシカルボニ
ル基を表す。 (16) Z-OSuは、N−(ベンジルオキシカルボニル)スク
シンイミドを表す。
【0019】〔実施例1〕 (2S, 3S)-AHPBA(O←Mta ←
iQOA)-Thz-NH-tBu・2HCl(Ia )
【化7】 化合物Ia を、以下に示すように、化合物IIIaを出発化
合物として化合物IVa、化合物Va 、化合物VIa を順次
経由して合成した。
【0020】1. Z-(2S, 3S)-AHPBA(O←Mta ←Boc)-T
hz-NH-tBu (化合物IVa )の合成 以下の2種類の方法で行った。 a)CDI法による合成 窒素雰囲気下、Boc-Mta 2.35g(10 mmol) を、蒸留した
DMF 20 ml に溶かし、−5℃にてCDI の1.62g(10 mmo
l) を添加し、0〜5℃にて1時間攪拌した。TLC で活
性エステルの生成を確認した後、Z-(2S, 3S)-AHPBA-Thz
-NH-tBu ( 化合物IIIa)1.00g(2 mmol)のDMF 溶液5 m
l を滴下した。0〜5℃にて2時間攪拌し、その後室温
に戻して約20時間攪拌した。酢酸エチル200 mlを反応液
に加え、有機層を以下の順で洗浄した。10%クエン酸 4
0 mlで2回、10%NaCl 40 mlで1回、3%K2CO3 40 ml
で2回、10%NaCl 40 mlで2回。無水硫酸マグネシウム
で乾燥後、溶媒を溜去した。残渣を酢酸エチル10 ml に
溶かし、シリカゲル(2g,メルクNo. 7734) を加えて
溶媒を溜去し、シリカゲルに吸着させた後、n−ヘキサ
ン/酢酸エチル(4:1)で充填したシリカゲルカラム
(60g,メルクNo.7734)上に載せて、上部不純物を同混
合溶媒で溶出除去した後、n−ヘキサン/酢酸エチル
(1:1)で生成物を溶出させた。溶出部分の溶媒を溜
去し標記化合物0.91g(収率63.6%)を得た。1 H-NMR(CDCl3) δ: 1.23-1.31 (m, 9H, N-tBu), 1.44
(s, 9H, O-tBu), 2.04 (s, 3H, Mta-SCH 3), 2.10-2.16
(m, 2H,-CH 2-S-CH3), 2,86-3.07 (m, 2H, Ph-CH2 -), 3.
11および 3.43 (d, 2H, Thz S-CH 2-CH), 4,56 および4.
91 (d, 2H, Thz N-CH2 -S), 4.60-4.75 (m, 1H, Ph-CH2-
CH), 5.03 (s, 1H, Thz N-CH-CO), 5.34-5.67 (m, 2H,
Ph-CH2 -O), 7.16-7.36 (m, 10H)
【0021】b)DCC−ジメチルアミノピリジンによ
る合成 Z-(2S, 3S)-AHPBA-Thz-NH-tBu ( 化合物IIIa)6.0 g(1
2 mmol) 、ジメチルアミノピリジン 0.22 g(1.8 mmo
l)、Boc-Mta 4.23g(18 mmol) を塩化メチレン80ml に
溶かし、0〜5℃にてDCC 3.71g(18 mmol) の塩化メチ
レン溶液10 ml を滴下した。0〜5℃にて2時間攪拌
し、その後室温に戻して約20時間攪拌した。反応終了
後、ジシクロヘキシル尿素を濾別し、塩化メチレンでよ
く洗浄した。次いで有機層を以下の順に洗浄した。10%
クエン酸 40 mlで2回、10%NaCl 40 mlで1回、3%K2
CO3 40 ml で2回、10%NaCl 40 mlで2回。有機層を無
水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を溜去した。残渣を酢
酸エチル30 ml に溶かし、シリカゲル(10g,メルクN
o. 7734) を加えて溶媒を溜去し、シリカゲルに吸着さ
せた後、n−ヘキサン/酢酸エチル(4:1)で充填し
たシリカゲルカラム(200 g,メルクNo.7734)上に載せ
て、上部不純物を同混合溶媒で溶出除去した後、n−ヘ
キサン/酢酸エチル(2:1)で生成物を溶出させた。
溶出部分の溶媒を溜去し、残渣をn−ヘキサン50 ml で
粉末化して標記化合物7.57g(白色粉末、収率87.9%)
を得た。融点69〜72℃。〔α〕21=−66.07 (C=0.56 M
eOH) IR (KBr) cm -1: 3200-3600 (NH), 1640-1750 (CO-Oお
よびCO-N)1 H-NMR(CDCl3) δ: 1.27-1.34 (m, 9H, N-tBu), 1.43
(s, 9H, O-tBu), 2.11-2.17 (m, 5H, Mta CH 2-S-CH 3),
2.80-2.98 (m, 3H, Ph-CH2 -CH および-CH-O-CO-), 3.12
および3.46 (d, 2H, Thz S-CH2 -CH), 4.58および4.89
(d, 2H, Thz N-CH2 -S), 4.73-4.78 (m, 1H, Ph-CH2-C
H), 5.03 (s, 1H, Thz N-CH-CO), 5.30-5.56(m, 2H, Ph
-CH2 -O), 7.16-7.31 (m, 10H, Ph-CH2-OおよびPh-CH2-C
H)
【0022】2. Z-(2S, 3S)-AHPBA(O ←Mta)-Thz-NH-
tBu ・HCl (化合物Va )の合成 化合物IVa の 7.47 g(10.42 mmol)をアセトニトリル1
2.5 ml に溶かし、0〜5℃にて4N-HCl/ジオキサン 2
5.5 ml(104.2 mmol)を注入した。10℃以下で2時間攪拌
し、室温で1時間攪拌した。溶媒を溜去し、残渣を塩化
メチレンに溶かして溶媒溜去を2度繰り返し、冷却下に
n−ヘキサン約60 ml を注入して固化させた。1時間冷
蔵放置した後結晶を濾取し、真空乾燥して標記化合物7.
30g(白色粉末、収率100.0 %)を得た。融点116 〜11
9 ℃。〔α〕21=−92.85 (C=0.56 MeOH) IR(KBr) cm-1: 1660 (CO-NH), 1750 (CO-O-)1 H-NMR(CDCl3) δ: 1.27 (s, 9H, N-tBu), 1.98-2.11
(m, 5H, Mta -CH2 -S-CH3 ), 2.87-3.46 (m, 5H), 4.14
(m, Mta CO-CH-NH), 4.71-5.00 (m, 4H), 5.48-5.64
(m, 2H, Ph-CH 2-O), 7.11-7.40 (m, 10H, Ph-CH2-O 及
Ph-CH2-CH)
【0023】3. Z-(2S, 3S)-AHPBA(O ←Mta ←iQOA)-
Thz-NH-tBu(化合物VIa )の合成 次の2種類の方法で行った。 a)DCC−N−ヒドロキシベンゾトリアゾールによる
合成 化合物Va の 7.2g(10.26 mmol)、iQOA 2.29 g(11.29
mmol)、HOBt・H2O 1.73g(11.29 mmol)をDMF 50 ml に
溶かし、0 〜5 ℃にてトリエチルアミンを滴下しpHが
中性であることを確認した(メルク Art. 9533)。次い
でDCC 2.33g(11.29 mmol)のDMF 溶液10 ml を滴下し
た。0〜5℃にて1時間攪拌し、その後室温で終夜攪拌
した。反応の進行をチェックした後、ジシクロヘキシル
尿素を濾去し、溶媒を溜去した。残渣を酢酸エチル100
mlに溶かし、以下の順に有機層を洗浄した。10%クエン
酸 40 mlで2回、10%NaCl 40 mlで1回、3%K2CO3 40
mlで2回、10%NaCl 40 mlで2回。有機層を無水硫酸
マグネシウムで乾燥後、溶媒溜去した。残渣を酢酸エチ
ル20 ml に溶かし、不溶物(ジシクロヘキシル尿素)を
ひだおり濾紙で濾去した。溶媒を溜去し、残渣を酢酸エ
チル5 ml とエーテル50 ml に溶かし、冷却下n−ヘキ
サン50 ml を加えて結晶化させた。更に同様の操作によ
り再結晶し、標記化合物5.91g(淡黄白色の結晶性粉
末、収率71.8%)を得た。融点92〜95℃。〔α〕22=−
105.36 (C=0.56 MeOH) IR(KBr) cm -1 : 1670 (CO-NH), 1750 (CO-O-)1 H-NMR(CDCl3) δ: 1.31 (s, 9H, N-tBu ), 2.04-2.14
(m, 5H, Mta CH2 -S-CH3 ), 2.90-3.49 (m, 3H), 4.10-
5.08 (m, 7H, Thz N-CH 2-S およびThz N-CH-CO およびP
h-CH2-CH および-CH-O-COおよびPh-CH2 -O), 5.61 (d, 2
H, iQOA-O-CH2 ), 7.23-7.26 (m, 11H, Ph-CH2-OおよびP
h-CH2-CH およびiQOA-6位), 7.51 および7.61 (dd, 2H,
iQOA-7,8位), 8.03 (d, 1H, iQOA-4位), 8.57 (d, 1H,
iQOA-3位),9.24 (s, 1H, iQOA-1位)
【0024】b)NDPPによる合成 化合物Va の 0.653g(1 mmol)、iQOA 0.305g(1.5 mmo
l)、NDPP 0.617g(1.5mmol)を塩化メチレン15 ml に溶
かし、氷冷下トリエチルアミン 0.35 ml(2.5 mmol)を滴
下した。氷冷下に1時間攪拌し、その後室温で約20時間
攪拌した。反応液を3%K2CO3 10 ml で3回、10%NaCl
15 mlで3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。
溶媒を溜去し、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し
た後、n−ヘキサンで結晶化し標記化合物0.48g(淡黄
白色の結晶性粉末、収率59.9%)を得た。
【0025】4. (2S, 3S)-AHPBA(O←Mta ←iQOA)-Th
z-NH-tBu・2HCl(Ia )の合成 化合物VIa の3.21g(4 mmol)をジメチルスルフィド 11.
75 ml (160 mmol)、アニソール 4.35 ml (40 mmol)に溶
かし、−5℃に冷却した。トリフルオロ酢酸154 .0 ml
(2000 mmol) を10℃以下で注入した。10℃以下にて1時
間攪拌し、その後室温にて20時間攪拌した。反応液をエ
ーテルとの共沸を利用して減圧溜去し、残渣にエーテル
50 ml を加えデカンテーションした。トルエン50 ml と
酢酸エチル20 ml に溶かし、0℃にて4N-HCl/ ジオキサ
ン 3.0 ml(12 mmol)を滴下した。30分間攪拌し、結晶を
濾取し、アセトンでよく洗浄した後、真空乾燥した。こ
の粗結晶をメタノール20 ml に溶かし、活性炭2.0 gを
加えて1時間攪拌した。セライト濾過を行い、次いで溶
媒を約半分量まで濃縮した。冷却下、n−ヘキサン/酢
酸エチル(1:1)50 ml を注入し、結晶化した。15℃
にて1時間攪拌し結晶を濾取した。結晶をアセトンでよ
く洗浄して真空乾燥し標記化合物1.95g(淡黄白色の結
晶性粉末、収率70.4%)を得た。融点166 〜170 ℃。
〔α〕23=−131.87 (C=0.46 MeOH) 元素分析: C33H41N5O6S2 ・2HClとして 理論値 (%): C; 53.50 , H; 5.85 , N; 9.46 実測値 (%): C; 53.41 , H; 5.95 , N; 9.67 APCI-Mass : 668 (M+H)+ IR(KBr) cm-1: 1670 (CO-NH), 1750 (CO-O-)1 H-NMR(CDCl3) δ: 1.27 (s, 9H, N-tBu), 2.13 (s, 5
H, Mta CH2 -S-CH3 ), 2.90-2.98 (m, 3H, Ph-CH 2-CHおよ
び-CH-O-CO-), 4.72-5.05 (m, 7H, Thz N-CH 2-SおよびT
hz N-CH-CO およびPh-CH2-CH および-CH-O-CO及びiQOA-
CH2 -O), 7.24-7.49 (m, 5H, Ph-CH2-CH), 7.58-8.07
(m, 3H, iQOA-6,7,8 位), 8.65-8.75 (m, 2H, iQOA-3,4
位), 9.26 (d, 1H, iQOA-1位)
【0026】〔実施例2〕 (2S, 3S)-AHPBA(O←Val ←
iQOA)-Thz-NH-tBu・2HCL(Ib )
【化8】 化合物Ib を、以下に示すように、化合物IIIaを出発原
料として化合物IVb 、化合物Vb 、化合物VIb を順次経
由して合成した。
【0027】1. Z-(2S, 3S)-AHPBA(O←Val ←Boc)-T
hz-NH-tBu (化合物IVb )の合成 以下の2種類の方法で合成した。 a)CDI法による合成 窒素雰囲気下に、Boc-Val 4.19g(19.3 mmol) を蒸留し
たDMF 30 ml に溶かし、−5℃にてCDI 3.13 g(19.3 mm
ol) を添加し、0〜5℃にて1時間攪拌した。TLC で活
性エステルの生成を確認した後、Z-(2S, 3S)-AHPBA-Thz
-NH-tBu ( 化合物IIIa) 1.93 g(3.86 mmol) のDMF 5
mlの溶液を滴下した。0〜5℃にて2時間攪拌し、その
後室温に昇温し約16時間攪拌した。酢酸エチル200 mlを
反応液に加え、有機層を以下の順で洗浄した。10%クエ
ン酸 50 mlで2回、10%NaCl 50 mlで1回、3%K2CO3
50 ml で2回、10%NaCl 50 mlで2回。無水硫酸マグネ
シウムで乾燥後、溶媒を溜去した。残渣を酢酸エチル10
ml に溶かし、シリカゲル(4g,メルクNo. 7734) を
加えて溶媒を溜去し、シリカゲルに吸着させた後、n−
ヘキサン/酢酸エチル(4:1)で充填したしたシリカ
ゲルカラム(60g,メルクNo.7734)上に載せて、上部不
純物を該混合溶媒で溶出除去した後、n−ヘキサン/酢
酸エチル(2:1)で生成物を溶出させた。溶媒を溜去
し残渣をn−ヘキサンで粉末化して標記化合物1.866 g
(白色粉末、収率69.1%)を得た。
【0028】b)DCC−4−ジメチルアミノピリジン
による合成 Z-(2S, 3S)-AHPBA-Thz-NH-tBu (化合物IIIa) 6.0g(1
2 mmol) 、DMAP 0.22g(1.8 mmol)、Boc-Val 3.91g(18
mmol) を塩化メチレン80 ml に溶かし、0〜5℃にてD
CC 3.71g(18 mmol) の塩化メチレン溶液10 ml を滴下
した。0〜5℃にて2時間攪拌し、その後室温に戻して
約20時間攪拌した。反応終了後、ジシクロヘキシル尿素
を濾別し、塩化メチレンでよく洗浄した。次いで有機層
を以下の順で洗浄した。10%クエン酸 40 mlで2回、10
%NaCl 40 mlで1回、3%K2CO340 ml で2回、10%NaC
l 40 mlで2回。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥
後、溶媒を溜去した。残渣を酢酸エチル30 ml に溶か
し、シリカゲル(10g,メルクNo. 7734) を加えて溶媒
を溜去し、シリカゲルに吸着させた後、n−ヘキサン/
酢酸エチル(4:1)で充填したシリカゲルカラム(20
0 g,メルクNo.7734)上に載せて、上部不純物を同混合
溶媒で溶出除去した後、n−ヘキサン/酢酸エチル
(2:1)で生成物を溶出させた。溶媒を溜去し、残渣
をn−ヘキサン50 ml で粉末化して標記化合物6.95g
(白色粉末、収率82.7%)を得た。融点77〜80℃。
〔α〕22=−118.26 (C=0.58 MeOH) IR(KBr) cm-1: 3200-3500 (NH), 1650-1750 (CO-Oおよ
びCO-N)1 H-NMR(CDCl3) δ: 0.91-1.07 (dd, 6H, -CH-(CH3)2 ),
1.27-1.35 (m, 9H, N-tBu), 1.42 (s, 9H, O-tBu), 2.
22 (m, 1H, -CH-(CH3)2), 2.83-3.01 (m, 2H, Ph-CH2 -C
H), 3.14および3.46 (d, 2H, Thz S-CH2 -CH), 4.28 (m,
1H, Val CO-CH-NH), 4.62および4.97 (d, 2H, Thz N-C
H2-S), 4.81-4.91 (m, 1H, Ph-CH2-CH), 5.03 (s, 1H,
Thz N-CH-CO), 5.37-5.44 (m, 2H, Ph-CH2-O), 7.16-7.
31 (m, 10HPh-CH2-O およびPh-CH2-CH)
【0029】2. Z-(2S, 3S)-AHPBA(O ←Val)-Thz-NH-
tBu ・HCl (化合物Vb )の合成 a)化合物IVb の6.85g (9.78 mmol)をアセトニトリル
12 ml に溶かし、0〜5℃にて4N-HCl/ジオキサン 24.
5 ml (97.8 mmol)を注入した。10℃以下で2時間攪拌
し、次いで室温で1時間攪拌した。溶媒を溜去し、残渣
を塩化メチレンに溶かして溜去する操作を2回行い、冷
却下n−ヘキサン約60 ml を注入して固化させた。1時
間冷蔵放置し、結晶を濾取し真空乾燥して標記化合物6.
19g(白色粉末、収率99.6%)を得た。融点138 〜140
℃。〔α〕21=−70.37 (C=0.54 MeOH) IR(KBr) cm-1 : 1660 (CO-NH), 1750 (CO-O)1 H-NMR(CDCl3) δ: 1.09-1.16 (m, 6H, -CH(CH3)2 ),
1.27 (s, 9H, N-tBu), 2.45 (m, 1H, -CH(CH3)2), 2.85
-2.96 (m, 2H, Ph-CH 2-CH), 3.19-3.49 (m, 3H, Thz S-
CH2 -CH および-CH-O-CO), 4.13-4.44 (m, 1H, Val CO-C
H-NH), 4.81-5.01(m, 4H, Thz N-CH2-S およびThz N-CH
-CO 及びPh-CH2-CH), 5.55 (s, 2H, Ph-CH2-O), 7.18-
7.28 (m, 10H, Ph-CH2-O 及びPh-CH2-CH)
【0030】3. Z-(2S, 3S)-AHPBA(O ←Val ←iQOA)-
Thz-NH-tBu(化合物VIb )の合成 DCC−HOBtにより次の通りに行った。すなわち、
化合物Vb の6.09g(9.57 mmol) 、iQOA 2.14 g(10.53
mmol)、HOBt・H2O 1.61g(10.53 mmol)をDMF50 ml に
溶かし、0〜5℃にてトリエチルアミン1.33 ml (9.57
mmol) を滴下しpHが中性であることを確認した(メル
クArt. 9533)。次いでDCC 2.17g(10.53mmol)のDMF 溶
液10 ml を滴下した。0〜5℃にて1時間攪拌し、その
後室温で終夜攪拌した。反応の進行をチェックした後、
ジシクロヘキシル尿素を濾去し、溶媒を溜去した。残渣
を酢酸エチル100 mlに溶かし、以下の順に有機層を洗浄
した。10%クエン酸 40 mlで2回、10%NaCl 40 mlで1
回、3%K2CO3 40 ml で2回、10%NaCl 40 mlで2回。
有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を溜去し
た。残渣を酢酸エチル20 ml に溶かし、不溶物(ジシク
ロヘキシル尿素)をひだおり濾紙で濾去した。溶媒を溜
去し、残渣を酢酸エチル5 ml とエーテル50 ml に溶か
し、冷却下n−ヘキサン50 ml を加えて結晶化させた。
更に同様の操作により再結晶し、標記化合物5.98g(淡
黄白色の結晶性粉末、収率79.7%)を得た。融点98〜10
2 ℃。〔α〕22=−137.63 (C=0.47 MeOH) IR(KBr) cm -1 : 1670 (CO-NH), 1750 (CO-O)1 H-NMR(CDCl3) δ: 0.96-1.06 (m, 6H, -CH(CH3)2 ),
1.30 (s, 9H, N-tBu), 2.32-2.34 (m, 1H, -CH(CH3)2),
2.89-2.96 (m, 2H, Ph-CH2 -CH), 3.14-3.48 (m,3H, Th
z S-CH 2-CHおよび-CH-O-CO), 4.46-5.57 (m, 9H, Val C
O-CH-NH およびThz N-CH 2-S およびThz N-CH-CO および
Ph-CH2-CH およびiQOA -CH 2-およびPh-CH2 -O), 7.06-7.
29 (m 11H, Ph-CH2-O およびPh-CH2-CH およびiQOA-6
位), 7.52 および7.63 (d, 2H, iQOA-7,8 位), 7.96
(d, 1H, iQOA-4位), 8.60 (d, 1H, iQOA-3位), 9.25
(s, 1H, iQOA-1位)
【0031】4. (2S, 3S)-AHPBA(O←Val ←iQOA)-Th
z-NH-tBu・2HCl(Ib )の合成 化合物VIb の3.14g(4.0 mmol)をジメチルスルフィド1
1.75 ml (160 mmol) 、アニソール4.35 ml (40 mmol)
に溶かし、−5℃に冷却した。トリフルオロ酢酸154 .0
ml (2000 mmol) を10℃以下で注入した。10℃以下にて
1時間攪拌し、その後室温にて20時間攪拌した。反応液
をエーテルとの共沸を利用して減圧溜去し、残渣にエー
テル50 ml を加えデカンテーションした。トルエン50 m
l と酢酸エチル20 ml に溶かし、0℃にて4N-HCl/ジオ
キサン 3.0 ml(12 mmol)を滴下した。30分間攪拌し、結
晶を濾取し、アセトンでよく洗浄した後、真空乾燥し
た。この粗結晶をメタノール20 ml に溶かし、活性炭0.
5 gを加えて1時間攪拌した。セライト濾過を行い、次
いで溶媒を約半分量まで濃縮した。冷却下、n−ヘキサ
ン/酢酸エチル(1:1)50 ml を注入し、結晶化し
た。15℃にて1時間攪拌し結晶を濾取した。結晶をアセ
トンでよく洗浄して真空乾燥し、標記化合物2.28g (微
黄白色の結晶性粉末、収率82.9%) を得た。融点164 〜
170 ℃。〔α〕21=−124.77(C=0.55 MeOH) 元素分析: C34H43N5O6S2として 理論値 (%): C; 56.50 , H; 6.28 , N; 9.69 実測値 (%): C; 56.44 , H; 6.24 , N; 9.84 APCI-Mass : 650(M+H)+ IR(KBr) cm -1 : 1670 (CO-NH), 1750 (CO-O)1 H-NMR(CDCl3) δ: 0.92-0.99 (m, 6H, -CH(CH3)2 ),
1.28 (s, 9H, N-tBu), 2.25-2.30 (m, 1H, -CH(CH3)2),
2.96-3.04 (m, 2H, Ph-CH2 -CH), 3.41-3.48 (m,2H, Th
z S-CH 2-CH), 4.03 (t, 1H, Val CO-CH-NH), 4.66-5.22
(m, 7H, N-CH2-SおよびThz N-CH-CO およびPh-CH2-CH
およびiQOA-CH2 およびCH-O-CO), 7.52-7.54 (m, 6H, Ph
-CH2-CH およびiQOA-6位), 7.82 および7.99 (d, 2H, i
QOA-7,8 位), 8.51-8.68 (dd, 2H, iQOA-3,4位), 9.14
(s, 1H, iQOA-1位)
【0032】〔実施例3〕(3S, 4S)-AHPPA(O←Mta ←iQ
OA)-Thz-HN-tBu・2TFA(化合物Ic )
【化9】 次の手順で、化合物IIIcから化合物IVc 、化合物VIc の
合成を経由して化合物Ic を合成した。 1. Z-(3S, 4S)-AHPPA(O ←Mta ←Boc)-Thz-NH-tBu
(化合物IVc )の合成 Z-(3S, 4S)-AHPPA-Thz-NH-tBu (化合物IIIc) の200 mg
(0.389 mmol), Boc-Mta 138 mg(0.584 mmol) 、4−ジ
メチルアミノピリジン 5 mg (0.039 mmol)を、DMF −ジ
クロロメタン(1:1)に溶かし、氷冷下DCC 104 mg
(0.506 mmol) を加えその後室温にて14時下ン攪拌し
た。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチルを加
え、この溶液を10%クエン酸水溶液、5%重炭酸ナトリ
ウム、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥
した。溶媒を溜去し、残渣をクロロホルムで充填したシ
リカゲルカラムに通し、クロロホルムメタノール(40:
0.5 )の混合溶媒で溶出した。溶出液を減圧濃縮し、真
空乾燥して、標記化合物110 mg (収率39%) を得た 。
【0033】2. Z-(3S, 4S)-AHPPA(O ←Mta ←iQOA)-
Thz-NH-tBu(化合物VIc )の合成 化合物IVc の110 mg (0.151 mmol) にアニソール 33 μ
l (0.302 mmol)とトリフルオロ酢酸 2 ml を加え、氷冷
下1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、DMF 2 ml
に溶かし、トリエチルアミンを加えて中性にした。この
溶液にiQOA 92mg (0.452 mmol) 、BOP 200 mg (0.452 m
mol) 、トリエチルアミン 84 μl を加え、その後室温
にて14時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に
酢酸エチルを加え、この溶液を10%クエン酸水溶液、5
%重炭酸ナトリウム、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナ
トリウムで乾燥した。溶媒を減圧溜去し、n−ヘキサン
を加えて得られる結晶を濾取し、真空乾燥して標記化合
物110 mg(収率89%)を得た。
【0034】3. (3S, 4S)-AHPPA(O← Mta← iQOA)-T
hz-HN-tBu ・2TFA(化合物Ic )の製造 化合物VIc の110 mg (0.135 mmol) 、アニソール146 μ
l (1.35 mmol) 及びチオアニソール158 μl (1.135 mmo
l)の混合物に、トリフルオロ酢酸3 mlを加え、析出物を
濾取した。これを水に溶解しODS カラムを用いたHPLCで
0.1 %トリフルオロ酢酸−アセトニトリルの直線濃度勾
配法で溶出し、目的物を含む画分を凍結乾燥して標記化
合物91 mg(収率74%) を得た 。
【0035】〔実施例4〕 (2S, 3S)-AHPBA(O←Mta ←
NOA)-Thz-NH-tBu ・HCl (化合物Id) 次の手順で、化合物IVd から、化合物VId の合成を経由
して化合物Id を合成した。 1. Z-(2S, 3S)-AHPBA(O←Mta ←NOA)-Thz-NH-tBu
(化合物VId)の合成 Z-AHPBA(O ←Mta ←Boc)-Thz-NH-tBu (化合物IVd)の1
g(1.43 mmol)に4N塩化水素ジオキサン溶液5 ml (2
0 mmol) を加え、室温にて1時間攪拌した。反応混合物
を減圧濃縮し、n−ヘキサンを加えて得られる結晶を濾
取し、減圧乾燥した。この粉末をDMF 5 ml に溶解し、
NOA 318 mg (1.57 mmol)、HOBt 241 mg(1.57 mmol) 、
トリエチルアミン 240μl (1.72 mmol) 、EDC ・HCl 32
9 mg (1.72 mmol)を加え、その後室温で14時間攪拌し
た。反応混合物を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチルを加
え、この溶液を5%炭酸水素ナトリウム、10%クエン酸
水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウム
で乾燥した。溶媒を減圧溜去し、n−ヘキサンを加えて
得られる結晶を濾取し、次いでクロロホルムで充填した
シリカゲルカラムに通し、クロロホルム/メタノール
(20:1)の混合溶媒で溶出した。溶出液を減圧濃縮
し、n−ヘキサンを加えて得られる結晶を濾取し、真空
乾燥して標記化合物757 mg (収率67%) を得た。
【0036】2. (2S, 3S)-AHPBA(O←Mta ←NOA)-Thz
-NH-tBu ・HCl (化合物Id)の製造 化合物VId の640 mg (0.82 mmol)、アニソール 717μl
(8.2 mmol)及びジメチルスルフィド1.9 ml (32.8 mmol)
の混合物に、トリフルオロ酢酸26 ml を加えて溶解し、
その後、室温で14時間攪拌した。この反応混合液を減圧
濃縮し、氷冷下に4N塩化水素酢酸エチル溶液 820μl
(3.28 mmol) を加え、エチルエーテルを加えて得られる
析出物を濾取し、真空乾燥して粗生成物717 mg(粗収率
72%)をえた。該粗生成物50 mg を水に溶解しODS カラ
ムを用いたHPLCで、0.1 %トリフルオロ酢酸−アセトニ
トリルの直線濃度勾配法で溶出させ、目的物を含む画分
を凍結乾燥した。得られた粉末を酢酸エチル0.5 mlに溶
解し、氷冷下に4N塩化水素酢酸エチル溶液20μl (80
μmol)を加え、ジエチルエーテルを加えて析出する結晶
を濾取し、真空乾燥して標記化合物23 mg (収率45%)
を得た。
【0037】〔実施例5〕 (2S, 3S)-AHPBA(O←Val ←
NOA)-Thz-NH-tBu ・HCl (化合物Ie) 次の手順で、化合物IVe から、化合物VIe の合成を経由
して化合物Ie を合成した。 1. Z-(2S, 3S)-AHPBA(O←Val ←NOA)-Thz-NH-tBu
(化合物VIe)の合成 Z-(2S, 3S)-AHPBA(O←Val ←Boc)-Thz-NH-tBu (化合物
IVe)の832 mg (1.19 mmol)に4N塩化水素ジオキサン溶
液2ml (8 mmol) を加え、室温で1時間攪拌した。反応
混合物を減圧濃縮し、n−ヘキサンを加えて得られる結
晶を濾取し、減圧乾燥した。この粉末をDMF 2mlに溶解
し、NOA 265 mg (1.31 mmol)、HOBt 200mg (1.31 mmol)
、トリエチルアミン200 μl (1.43 mmol) 、EDC ・HCl
274 mg(1.43 mmol)を加え、その後室温で14時間攪拌し
た。反応混合物を減圧濃縮し残渣に酢酸エチルを加え、
この溶液を5%炭酸水素ナトリウム、10%クエン酸水溶
液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し
た。溶媒を減圧溜去し、n−ヘキサンを加えて得られる
結晶を濾取し、真空乾燥して標記化合物641 mg(収率61
%)を得た。
【0038】2. (2S, 3S)-AHPBA(O←Val ←NOA)-Thz
-NH-tBu ・HCl (化合物Ie)の製造 化合物VIe の300 mg (0.5 mmol) 、アニソール525 μl
(5.0 mmol)及びジメチルスルフィド1.47 ml (2.0 mmol)
の混合物に、トリフルオロ酢酸2mlを加えて溶解し、そ
の後、室温にて14時間攪拌した。この反応混合液を減圧
濃縮し、氷冷下に4N塩化水素酢酸エチル溶液1.38 ml
(5.5 mmol)を加え、エチルエーテルを加えて得られる析
出物を濾取し、真空乾燥して粗生成物198 mg(粗収率64
%)を得た。該粗生成物50 mg を水に溶解し、ODS カラ
ムを用いたHPLCで、0.1 %トリフルオロ酢酸−アセトニ
トリルの直線濃度勾配で溶出し、目的物を含む画分を凍
結乾燥した。得られた粉末を酢酸エチル0.5 mlに溶解
し、氷冷下に4N塩化水素酢酸エチル溶液18μl (72 μ
mol)を加え、ジエチルエーテルを加えて析出する結晶を
濾取し、真空乾燥して標記化合物27 mg (収率54%)を
得た。
【0039】〔O→N分子内アシル転位反応確認試験〕 1. 実施例1に記載の化合物Ia 〔(2S, 3S)-AHPBA(O
←Mta ←iQOA)-Thz-NH-tBu・2HCl〕の1 mg (1.35μmol)
を生理食塩水1 mlに溶解した溶液(pH3.74)の50μl
を37℃のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4 )300 μl に
加え、37℃にてインキュベートし、1、2、5、15、及
び60分後に10μl を採取しYMC AM-302 (ODS)カラムを用
い、流速1 ml/分、0.1 %トリフルオロ酢酸中アセトニ
トリルを20分間で30%から80%まで直線的に上昇させる
溶出条件を用いたHPLCにて分析した(測定波長230 n
m)。この条件における化合物Ia の保持時間は5.7
分、O→N分子内アシル転位体であるiQOA-Mta-(2S, 3
S)-AHPBA-Thz-NH-tBu(HIVプロテアーゼ阻害活性ペ
プチド誘導体)標品の保持時間は6.7 分である。各イン
キュベーション時間につき化合物Ia の残存率と活性ペ
プチドの生成率を、HPLCの保持時間及びピーク面積から
測定した。また、別に、37℃において、pH4.9 、5.5
及び8.0 の各リン酸緩衝生理食塩水中における転位によ
る化合物Ia の半減期をそれぞれ測定した。それらの結
果を表2及び表3に示す。なお該活性ペプチドのHIV
プロテアーゼ50%阻害濃度(IC50)は6.5 nMである〔Ch
em. Pharm. Bull., 40(8):2251-2253(1992) を参照(化
合物No.19)〕。
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】2. 実施例2に記載の化合物Ib 〔(2S,
3S)-AHPBA(O←Val ←iQOA)-Thz-NH-tBu・2HCl〕の1 mg
(1.38μmol)を生理食塩水1 mlに溶かした溶液(pH3.
89)の10μl を、37℃のリン酸緩衝生理食塩水 (pH7.
4) 600μl に加え、37℃にてインキュベートし、10、3
0、及び60分後に100 μl を採取して上記と同様の方法
で分析した(測定波長230 nm)。この条件において化
合物Ib の保持時間は7.0分、O→N分子内アシル転位
体であるiQOA-Val-(2S, 3S)-AHPBA-Thz-NH-tBu〔活性ペ
プチド誘導体〕標品の保持時間は7.6 分である。各イン
キュベーション時間につき化合物Ib の残存率と活性ペ
プチドの生成率を、HPLCの保持時間及びピーク面積より
測定した。また別に、37℃において、各pHのリン酸緩
衝生理食塩水中における活性ペプチドの生成率(pH4.
9 、5.5 )および化合物Ib の半減期(pH8.0 )を測
定した。結果は次の表4及び表5の通りである。なお該
活性ペプチドのHIVプロテアーゼ50%阻害濃度(I
C50)は7.8 nMである(N. Yanaihara編, Peptide Chemi
stry 1992(ESCOM Science Publishers. B.V.発行)p.4
39-441 を参照(Table 1 中第8番目の化合物)〕。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】3. 実施例3に記載の化合物Ic 〔(3S,
4S)-AHPPA(O←Mta ←iQOA)-Thz-HN-tBu・2TFA〕の1 mg
(1.10μmol)を生理食塩水1 mlに溶かした溶液10μl
を、37℃のリン酸緩衝生理食塩水 (pH7.4 )600 μl
に加え、1分後に100 μl を採取して、YMC AM-302 (OD
S)カラムを用い、流速1 ml/分、0.1 %トリフルオロ酢
酸中アセトニトリルを20分間で25%から60%まで直線的
に上昇させる溶出条件を用いてHPLCにて分析した(測定
波長230 nm)。この条件において化合物Ic の保持時
間は7.7 分、O→N分子内アシル転位体であるiQOA-Mta
-(3S, 4S)-AHPPA-Thz-NH-tBu(活性ペプチド誘導体)標
品の保持時間は9.3 分である。1分間のインキュベーシ
ョン後、活性ペプチド誘導体のみが検出された。インキ
ュベーション時間を短縮して実験を反復し、インキュベ
ーション時間を30秒間、10秒間と順次短縮して実験を繰
り返したが、何れの場合も化合物Ic は検出されず、活
性ペプチド誘導体のみが100 %の生成率で検出された。
このように、化合物Ic は、37℃のリン酸緩衝生理食塩
水 (pH7.4 )中において、対応する活性ペプチド誘導
体〔阻害活性:11.3%(5 μM)〕へと10秒以内に変化す
ることが判明した。
【0046】4. 実施例4に記載の化合物Id 〔(2S,
3S)-AHPBA(O←Mta ←NOA)-Thz-NH-tBu ・HCl 〕の1 m
g (1.42 μmol)をアセトニトリル1mlに溶解した溶液10
μl を、37℃のリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4 )に加
え、1,2,5及び10分後に各100 μl を採取して、YM
C AM-302 (ODS)カラムを用い、流速1 ml/分、0.1 %ト
リフルオロ酢酸中アセトニトリルを20分間で45%から10
0 %まで直線的に上昇させる溶出条件を用いたHPLCにて
分析した。この条件において化合物Id の保持時間は7.
24分、O→N分子内アシル転位体であるNOA-Mta-(2S, 3
S)-AHPBA-Thz-NH-tBu (活性ペプチド誘導体)標品の保
持時間は10.50 分である。各インキュベーション時間に
つき化合物Id の残存率と活性ペプチドの生成率を、HP
LCの保持時間及びピーク面積より測定した。結果は次の
表6の通りである。なお、該活性ペプチド誘導体のHI
Vプロテアーゼ50%阻害濃度(IC50)は3.2 nMである
〔Chem. Pharm. Bull., 40(8):2251-2253(1992) 、化合
物No.17 (KNI-217) 参照〕。
【0047】
【表6】
【0048】5. 実施例5に記載の化合物Ie 〔(2S,
3S)-AHPBA(O←Val ←NOA)-Thz-NH-tBu 〕の1mg (1.38
μmol)をアセトニトリル1 ml に溶解した溶液10μl
を、37℃のリン酸緩衝生理食塩水600 μl (pH7.4 )
に加え、5、10、30、60及び180分後に各100 μl を採
取して、上記4.と同様の条件にて分析した。この条件
において化合物Ie の保持時間は7.78分、O→N分子内
アシル転位体であるNOA-Val-AHPBA-Thz-NH-tBu(活性ペ
プチド誘導体)標品の保持時間は10.87 分である。各イ
ンキュベーション時間につき化合物Ie の残存率と活性
ペプチドの生成率を、HPLCの保持時間及びピーク面積よ
り測定した。結果は次の表7の通りである。
【0049】
【表7】
【0050】〔参考例〕 出発物質の合成 1. 化合物IIIaの合成 実施例1及び2において本発明の化合物Ia 、Ib 、I
d 及びIe の合成に使用した共通の出発物質である化合
物IIIa〔Z-(2S, 3S)-AHPBA-Thz-NH-tBu 〕は、次の通り
に工程1乃至3を経由して合成した。
【0051】(工程1) Boc-(2S, 3S)-AHPBA-Thz-NH-
tBu の合成 Thz-NH-tBu 4.71 g(25 mmol) 、Boc-(2S, 3S)-AHPBA
7.38 g(25 mmol) 、及びHOBt・H2O 3.83g(25 mmol)
を、DMF 4.5 ml、塩化メチレン27 ml よりなる混合溶媒
に溶解し、氷冷下DCC 5.42g(26.25 mmol)の塩化メチレ
ン溶液4.4 mlを滴下した。氷冷下に1時間攪拌し、その
後室温にて終夜攪拌した。反応終了後、塩化メチレン12
0 mlを加え、氷冷下に5%クエン酸溶液を120 ml滴下
し、0.5 時間攪拌した。析出したジシクロヘキシル尿素
を濾去し、有機層を5%NaHCO3水溶液、3%K2CO3 水溶
液、10%NaCl水溶液で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで
乾燥し、溶媒を溜去して標記化合物14.36 g(微黄白色
のオイル、収率100.0 %)を得た。
【0052】(工程2) (2S, 3S)-AHPBA-Thz-NH-tBu
の製造 上記工程1によって得られたBoc-(2S, 3S)-AHPBA-Thz-N
H-tBu の 14.35g(25mmol) を、塩化メチレン101.5 ml
とジオキサン23.3 ml とからなる混合溶媒に溶解し、氷
冷下にメタンスルホン酸12.54 g(130.5 mmol)を滴下し
た。氷冷下に1時間攪拌し、その後室温にて2時間攪拌
した。反応終了後、氷冷下にNaHCO3水溶液(8.43g/水
120 ml) を滴下し、分層した。水層にメタノール50 ml
を加え、氷冷下にNaHCO3水溶液(4.15g/水58 ml)を滴
下した。氷冷下に1時間攪拌した後、終夜室温放置し
た。析出した結晶を濾取し、真空乾燥して標記化合物7.
37g(収率80.6%)を得た。
【0053】(工程3) Z-(2S, 3S)-AHPBA-Thz-NH-tB
u (化合物IIIa)の合成 上記工程2によって得られた(2S, 3S)-AHPBA-Thz-NH-tB
u の 1.37 g(5.5 mmol)をDMF に溶かし、Z-OSu 〔N−
(ベンジルオキシカルボニル)スクシンイミド〕1.82g
(5 mmol)を添加した。氷冷下にトリエチルアミン0.77 m
l (5.5 mmol)を滴下し、室温にて2時間攪拌した。反応
液に酢酸エチル50 ml を加え、有機層を10%クエン酸溶
液、10%NaCl水溶液、3%K2CO3 水溶液、10%NaCl水溶
液の順に洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を
溜去して標記化合物2.19g(微黄白色のオイル、収率8
7.9%)を得た。
【0054】2. 化合物IIIcの合成 化合物Ic の合成の出発物質であるZ-(3S, 4S)-AHPPA-T
hz-NH-tBu (化合物IIIc)は、次の通り工程1及び2を
経て合成した。 (工程1) Boc-(3S, 4S)-AHPPA-Thz-NH-tBu の合成 Boc-Thz-NH-tBu 89 mg (0.309 mmol) にアニソール40μ
l (0.370 mmol)と4N-HCl/ジオキサン溶液1.5 ml (6 mm
ol) を加え、室温にて1時間攪拌した。反応混合物を減
圧濃縮し、ジエチルエーテルを加え、析出物を濾取し
た。これを氷冷下DMF 2 mlに溶解し、HOBt 47 mg (0.30
9 mmol) 、Boc-(3S, 4S)-AHPPA 100 mg (0.294 mmol)、
BOP 143 mg (0.324 mmol) 、トリエチルアミン85μl
(0.618 mmol)を加え、その後室温にて14時間攪拌した。
反応混合物を減圧濃縮し、残渣に酢酸エチルを加え、こ
の溶液を5%NaHCO3、1N塩酸水溶液、飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧溜去
し、n−ヘキサンを加えて得られる結晶を濾取し、真空
乾燥して標記化合物118 mg(収率76%)を得た。
【0055】(工程2) Z-(3S, 4S)-AHPPA-Thz-NH-tB
u の合成 上記工程1で得られたBoc-(3S, 4S)-AHPPA-Thz-NH-tBu
の 0.250g(0.521 mmol)にアニソール10μl (0.782 mmo
l)とトリフルオロ酢酸 2 ml とを加え、氷冷下1時間攪
拌した。反応混合物を減圧濃縮しDMF 2ml に溶解し、ト
リエチルアミンを加えて中性にした。この溶液にZ-OSu
172 mg (0.573 mmol) 、N−メチルモルホリン69μl
(0.521 mmol)を加え、その後室温にて14時間攪拌した。
反応混合物を減圧濃縮し残渣に酢酸エチルを加え、この
溶液を10%クエン酸水溶液、5%NaHCO3水溶液、飽和食
塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を
減圧溜去し、残渣を真空乾燥して、標記化合物204 mg
(収率76%) を得た 。
【0056】〔参考例〕 O→N分子内アシル転位体標
品の合成 水溶液中における本発明の化合物のO→N分子内アシル
転位による活性ペプチド誘導体の生成の確認に用いた各
活性ペプチド誘導体標品は、次の通りにして合成した。
【0057】1. 化合物Ia のO→N分子内アシル転
位体〔iQOA-Mta-(2S, 3S)-AHPBA-Thz-NH-tBu:化合物II
a 〕標品の合成 該転位体は本出願人の特開平6-220031の実施例1に記載
の化合物であり、当該記載の通り次のように工程1〜3
を経て合成したものである。 〔工程1〕 Boc-Mta-AHPBA-Thz-NH-tBuの合成 AHPBA-Thz-NH-tBu 54.0 g(148 mmol)をDMF 350 mlに懸
濁させ、氷冷下にメタンスルホン酸 9.62 ml (148 mmo
l) 、Boc-Mta 38.3g(163 mmol)、ジフェニルホスホリ
ルアジド 38.4 ml (178 mmol) 、トリエチルアミン45.3
ml (236 mmol)を順に加え、8℃以下で終夜攪拌した。
反応液にメタノール 1.5 Lと3%炭酸水素ナトリウム水
溶液750 mLを氷冷下に加え、析出物を濾取し、メタノー
ル−水 (10:3) で洗浄、真空乾燥して標記化合物 55.7
g (収率65%) を得た。
【0058】〔工程2〕 Mta-AHPBA-Thz-NH-tBuの製造 4N塩化水素ジオキサン溶液 79 ml (316 mmol) とアセ
トニトリル 37 mlの混液を氷冷し、Boc-Mta-AHPBA-Thz-
NH-tBu 24.5 g(42 mmol) を加え、10℃以下で4時間攪
拌した。反応混合物をジクロロメタン 180 ml と5%炭
酸ナトリウム水溶液 400 ml に分配し、水層をジクロロ
メタン90 ml で抽出した。全ジクロロメタン層を飽和食
塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧乾固
して標記化合物20.3g(粗収率100 %)を得た。
【0059】〔工程3〕 iQOA-Mta-AHPBA-Thz-NH-tBu
の合成 iQOA 0.24 g(1.2 mmol)、Mta-AHPBA-Thz-NH-tBu 0.52
g(HPLC 純度換算1.0mmol) 、DMF 2.5 mlの混合物を氷
冷し、ジフェニルホスホリルアジド 0.33 g(1.2 mmo
l)、トリエチルアミン0.12g(1.2 mmol)を順に加え、0
℃にて1時間、次いで室温にて終夜攪拌した。反応混合
物を酢酸エチルと5%炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出
し、有機層を10%食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウム
で乾燥、減圧乾固して標記化合物0.71gを得た。
【0060】2. 化合物Ib のO→N分子内アシル転
位体〔iQOA-Val-(2S, 3S)-AHPBA-Thz-NH-tBu :化合物II
b 〕標品の合成 該転位体は特開平6-192246の実施例15に記載の化合物
であり、当該実施例の記載に従って次の通り工程1〜2
を経て合成した。 (工程1) Boc-Val-AHPBA-Thz-NH-tBuの合成 AHPBA-Thz-NH-tBu 1.00 g(2.74 mmol) 、Boc-Val 0.60
g(2.74 mmol) 、HOBt0.37 g(2.74 mmol) をDMF 15 ml
に溶解させ、EDC 塩酸塩 0.58 g(3.01 mmol) を氷冷
下に加え、室温にて終夜攪拌した。反応混合物に5%ク
エン酸水溶液90ml を加えて析出物を濾取し、3%炭酸
カリウム水溶液、熱メタノールで順に洗浄、真空乾燥し
て標記化合物0.92g(収率60%) を得た。
【0061】(工程2) iQOA-Val-AHPBA-Thz-NH-tBu
の合成 Boc-Val-AHPBA-Thz-NH-tBu 0.92 g(1.64 mmol) を4N
塩化水素ジオキサン溶液 4.1 ml (16 mmol) に溶解さ
せ、室温にて1時間反応させた。反応液を減圧濃縮した
後にエーテルで希釈し、析出物を濾取し、真空乾燥し
た。これを DMF 10mlに溶解させ、氷冷下にトリエチル
アミン 230μL (1.64 mmol) 、iQOA 0.40 g(1.97 mmo
l) 、HOBt 0.30 g(1.97 mmol) 、EDC 塩酸塩 0.38 g
(1.97 mmol) を順に加え、室温にて終夜攪拌した。減圧
濃縮して酢酸エチルと5%炭酸水素ナトリウム水溶液に
分配し、有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウ
ムで乾燥、減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマト
グラフィーに付し、標記化合物0.65g(収率60%)を得
た。
【0062】3. 化合物Ic のO→N分子内アシル転
位体〔iQOA-Mta-(3S, 4S)-AHPPA-Thz-NH-tBu :化合物II
c 〕標品の合成 該転位体は、次の通り工程1〜2を経て合成した (工程1) Boc-Mta-(3S, 4S)-AHPPA-Thz-NH-tBu の合
Boc-(3S, 4S)-AHPPA-Thz-NH-tBu 118 mg (0.246 mmol)
にアニソール54μl (0.492 mmol)とトリフルオロ酢酸2
mlを加え、氷冷下1時間攪拌した。反応混合物を減圧濃
縮しDMF 2mlに溶解し、トリエチルアミンを加えて中性
にした。この溶液にHOBt 38 mg (0.246 mmol) 、Boc-Mt
a 70 mg (0.295 mmol)、BOP 142 mg (0.320 mmol) 、ト
リエチルアミン59μl (0.418 mmol)を加え、その後室温
にて14時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し残渣に酢
酸エチルを加え、この溶液を10%クエン酸水溶液、5%
炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、
無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧溜去し、n
−ヘキサンを加えて得られる結晶を濾取し、真空乾燥し
て標記化合物125 mgを得た (収率85%) 。
【0063】(工程2) iQOA-Mta-(3S, 4S)-AHPPA-Th
z-NH-tBuの合成 Boc-Mta-(3S, 4S)-AHPPA-Thz-NH-tBu 125 mg (0.209 mm
ol) にアニソール45μl (0.314 mmol)とトリフルオロ酢
酸2 ml を加え、氷冷下1時間攪拌した。反応混合物を
減圧濃縮しDMF 2 mlに溶解し、トリエチルアミンを加え
て中性にした。この溶液にiQOA 85 mg (0.419 mmol) 、
BOP 185 mg (0.419 mmol) 、トリエチルアミン90μl
(0.628 mmol)を加え、その後室温にて14時間攪拌した。
反応混合物を減圧濃縮し残渣に酢酸エチルを加え、この
溶液を10%クエン酸水溶液、5%炭酸水素ナトリウム水
溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸ナトリウムで
乾燥した。溶媒を減圧溜去し、n−ヘキサンを加えて得
られる結晶を濾取し、真空乾燥して標記化合物101 mgを
得た(収率71%) 。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07D 405/12 207 405/14 207 417/14 217 // A61K 31/40 AGB 31/425 31/47 ADY (C07D 417/12 217:02 277:04) (C07D 417/12 277:04 307:06) (C07D 401/12 207:16 217:02) (C07D 405/12 207:16 307:06) (C07D 405/14 207:16 217:02 307:06) (C07D 417/14 217:02 277:04 307:06)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式I、 【化1】 〔式中、Phはフェニル基を表し、 t−Buは、tert−ブチル基を表し、 Rは、メチルチオメチル基、メタンスルホニルメチル
    基、カルバモイルメチル基、若しくは分枝していてもよ
    い低級アルキル基を表すか、又は、複素環であってよい
    飽和若しくは不飽和の5〜7員環を表し、 Xは、炭素又はイオウを表し、 Yは、1−ナフチル基又は5−イソキノリル基を表し、 nは、0又は1の整数を表す。〕で示される化合物又は
    その薬理学的に許容し得る塩。
  2. 【請求項2】該分枝していてもよい低級アルキル基が1
    〜5個の炭素原子よりなるものである、請求項1に記載
    の化合物又はその薬理学的に許容しうる塩。
  3. 【請求項3】該複素環であってよい飽和若しくは不飽和
    の5〜7員環が2−テトラヒドロフリル基である、請求
    項1若しくは2に記載の化合物又はその薬理学的に許容
    し得る塩。
  4. 【請求項4】該薬理学的に許容し得る塩が、塩酸、硫
    酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉
    草酸、ピバル酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、マ
    ロン酸、グルタル酸、安息香酸、サリチル酸、ケイ皮
    酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、及びトルエ
    ンスルホン酸よりなる群より選ばれた酸との塩である、
    請求項1乃至3のいずれかに記載の化合物又はその薬理
    学的に許容し得る塩。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1999033795A1 (en) * 1997-12-24 1999-07-08 Vertex Pharmaceuticals Incorporated Prodrugs of aspartyl protease inhibitors
JP5097104B2 (ja) * 2006-02-22 2012-12-12 良明 木曽 新規イソジペプチド

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WO1999033795A1 (en) * 1997-12-24 1999-07-08 Vertex Pharmaceuticals Incorporated Prodrugs of aspartyl protease inhibitors
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