JPH08106901A - 非水二次電池 - Google Patents

非水二次電池

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JPH08106901A
JPH08106901A JP6266263A JP26626394A JPH08106901A JP H08106901 A JPH08106901 A JP H08106901A JP 6266263 A JP6266263 A JP 6266263A JP 26626394 A JP26626394 A JP 26626394A JP H08106901 A JPH08106901 A JP H08106901A
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carbon
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battery
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房次 喜多
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  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 電解液に有機溶媒を用い、炭素材料を負極と
して用いる非水二次電池において、リテンションの小さ
い電池を得る。 【構成】 有機溶媒系の電解液を用いる非水二次電池に
おいて、炭素材料を負極とし、負極表面のXPS分析の
12kV−10mAの測定条件で、炭素の285eV付
近のピーク強度(I285 )とフッ素の685から689
eV付近のピーク強度(I688 )との比I688 /I285
が2.0以上である非水二次電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機溶媒系の電解液を
用いる非水二次電池に関し、さらに詳しくは、リテンシ
ョン(充電容量−放電容量)が小さく、高容量の非水二
次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】リチウム二次電池に代表される非水二次
電池は、放電容量が大きく、高電圧、高エネルギー密度
であることから、その発展に対して大きな期待が寄せら
れている。
【0003】この非水二次電池では、有機溶媒にリチウ
ム塩を溶解させた有機溶媒系の電解液を用い、負極活物
質としてリチウムまたはリチウム合金を用いているが、
それらの負極活物質による場合、電池特性の低下を引き
起こしたり、内部短絡を起こしやすいという安全性に問
題があった。
【0004】そこで、これまでリチウムまたはリチウム
合金に代えて、活性炭や黒鉛などの炭素材料を負極活物
質として用いることが、特公平4−24831号公報、
特公平5−17669号公報などにおいて検討されてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公知の炭
素材料は、いずれも、炭素表面で電解液が分解するため
リテンションが大きいという問題があり、高容量の電池
を得るためには、リテンションを小さくするのが有効で
ある。
【0006】特に、最近の二次電池においては、一定単
位体積当りのエネルギ−密度が300Wh/l以上の高
密度であることが望まれており、かかる電池において
は、電極の活物質を最大限に利用することが要求される
ため、リテンションのより小さい二次電池が必要とされ
ている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の特性を有
する炭素材料を負極に用いるときは、リテンションが小
さく、高容量の非水二次電池が得られることを見出し、
本発明を完成するにいたったものである。
【0008】すなわち、本発明は、有機溶媒系の電解液
を用いる非水二次電池において、負極表面のXPS分析
の12kV−10mAの測定条件で、炭素の285eV
付近のピーク強度(I285 )とフッ素の685から68
9eV付近のピーク強度(I688 )との比I688 /I
285 が2.0以上、より好ましくは4.0以上の炭素材
料を負極に用いることによって、リテンションが小さ
く、高容量の非水二次電池を提供するものである。
【0009】本発明において、負極に用いる炭素材料
は、重質油、コールタール、ピッチ系繊維などを加熱処
理して炭化し、微粉砕する工程を経ることによって得ら
れる。すなわち、上記の原料を加熱すると、温度の上昇
とともに芳香環が形成されて縮合多環芳香環構造とな
り、それをさらに2500℃以上に加熱して黒鉛類似構
造になるまで処理した後、粉砕し、それを乾燥し、負極
活物質前駆体として用いる。 また、これらの負極活物
質前駆体は、電池の高容量化の観点から、X線回折測定
で、(002)面の面間距離(d002)が好ましくは
3.35〜3.50Å、より好ましくは3.36〜3.
38Å、C軸方向の結晶子の大きさLcが好ましくは2
00Å以上、より好ましくは500Å以上、最も好まし
くは1000Å以上で2000Å以下、炭素の純度が9
9.9%以上、好ましくは99.99%以上のものを使
用することができる。
【0010】平均粒径は2μm以下では自己放電が大き
く、サイクル寿命も劣化し始める傾向にあり、30μm
では銅箔上に塗布しにくくなり出力特性も低下する傾向
にあるため、2μm〜30μm、好ましくは8μm〜1
5μm、最も好ましくは10〜15μmのものを使用す
ることができる。
【0011】このとき、Lcが2000Å以上になる
と、負極表面での反応性が高くなり、電解液が負極表面
で分解することとなり、リテンションの小さい二次電池
が得られないこととなる。
【0012】本発明に用いる負極炭素材料はXPS分析
の12kV−10mAの測定条件で、炭素の285eV
付近のピ−ク強度(I285 )とフッ素の685から68
9eV付近のピ−ク強度(I688 )との比I688 /I
285 が2.0以上である必要があるが、I688 /I285
の比が2.0より小さくなると、即ち、炭素材料表面で
のフッ素の存在量が少なくなりすぎると、リテンション
が大きく、高容量の電池が得られなくなる理由は明らか
でないが、おそらく以下の理由によるものと考えられ
る。
【0013】285eV付近のピ−クは、表面に主に存
在するC−H結合の存在を示すものであり、一方、68
5から689eV付近のピ−クは、炭素材料表面の保護
層に含まれるフッ素の存在を示すものであり、この表面
の保護層において、フッ素原子は主に、フッ素系のポリ
マ−や、界面活性剤を含む炭素表面のC−F結合に起因
するものと考えられる。
【0014】そして、これらC−F結合は、炭素材料表
面の保護層に存在すると、有機溶媒と炭素材料表面が直
接接触することを抑制することから、ピ−ク強度が大き
いほど、リテンションが小さい電池を得ることができ
る。
【0015】また、表面の保護層の炭素は主にC−H結
合によるものと考えられ、このC−H結合は有機溶媒と
一部が反応するため、リテンションの反応が起こる表面
においては、その存在を示すピ−ク強度は小さいほどリ
テンションが小さい電池を得ることができる。
【0016】従って、リテンションの小さい二次電池を
得るためには、上記炭素質材料表面を不活性化するC−
F結合と炭素質材料表面を活性化するC−H結合の存在
を示す、I688 /I285 の比が、一定値以上の炭素質材
料を用いる必要があり、このI688 /I285 の比が2.
0以上、好ましくは4.0以上の負極炭素材料を使用す
ることを見出したものである。
【0017】特に、体積エネルギ−密度が300Wh/
l以上になると、活物質を最大限に利用することが求め
られることから、リテンションのより小さい電池が重要
となる。
【0018】さらに、フッ素存在を示す、685から6
89eV付近のピークの中で685eV付近は主にLi
Fなどに基づく無機のフッ素化合物によるピ−クであ
り、一方、687から689eVは有機のフッ素化合物
によるピ−クであり、有機のフッ素化合物のほうが溶媒
との反応を抑制する効果が高いことから、フッ素のピ−
ク強度の合計の望ましくは50%以上、より望ましくは
80%以上が687から689eVのピ−クであること
が望ましい。
【0019】本発明の炭素材料を得るための表面処理の
方法としては、たとえば負極活物質前駆体またはそれを
負極の形態にしたものを後述のフッ素を含むカーボン処
理液に浸漬し、その中でアルカリ金属イオンをドープし
たり、少量のLiとO元素の含まれる雰囲気下で熱処理
する方法が挙げられるが、必ずしもこれによらなくても
コ−テイングでも可能であり、I688 /I285 の比が負
極活物質前駆体の表面層で一定に2以上となるようにす
るには、これらの中でもカ−ボン処理液で処理する方法
が好ましく使用される。
【0020】即ち、カ−ボン処理液による方法では、溶
液処理によるため溶媒と反応する表面を重点的に処理で
きるため、リテンションのより小さい電池を得ることが
できる。このとき、炭素材料表面のI688 /I285 の比
は2keV、7〜8μAのアルゴンイオンスパッタで1
0分エッチングした後の負極内部の前記同様の比I688
/I285 より大きくなるが、その度合いとしては、負極
表面の比I688 /I285 を1としたときに、負極内部の
比I688 /I285 が通常0.95以下、好ましくは0.
9以下、より好ましくは0.7以下となる程度であるの
がよい。
【0021】上記表面処理時の条件を、負極活物質前駆
体を負極の形態にしてカーボン処理液で処理する場合に
ついて説明する。
【0022】カーボン処理液は、有機溶媒に後述するよ
うな電解質を溶解させることによって調製される。
【0023】このカーボン処理液の溶媒としては、誘電
率の高いエステルや粘度の低いエーテルなどを用いるこ
とが好ましい。
【0024】誘電率の高いエステルとしては、たとえば
プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネー
ト(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ガンマ−
ブチロラクトン(γ−BL)、ジメチルカーボネート
(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)などが挙
げられる。
【0025】粘度の低いエーテルとしては、たとえば
1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジオキソラン
(DO)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチル
−テトラヒドロフラン(2Me−THF)、ジエチルエ
ーテル(DEE)などが挙げられる。 特にカーボン処
理液の溶媒として、高誘電率のエステルと低粘度溶媒を
用いると、それらが表面処理能力に優れていることか
ら、リテンションの減少効果が大きい。また、高誘電率
のエステルとしてはエチレンカーボネート(EC)を用
いるのが望ましい。低粘度溶媒としてはジオキソラン
(DO)を用いるのが望ましい。
【0026】処理液の電解質としては、LiPF6 、L
iBF4 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiCF3
3 、LiCF3 CO2 、Li2 2 4 (S
3 2 、LiN(CF3 SO2 2 、LiC(CF3
SO2 3 、LiCn 2n+1SO3 (n>=2)などの
フッ素を含む塩を単独でまたは2種以上混合して用いる
とよい。中でも有機含フッ素リチウム塩が望ましく特に
LiC4 9 SO3 が好ましい。
【0027】処理液中における電解質の濃度は、特に限
定されるものではないが、通常0.01〜4mol/
l、特に0.5〜1.5mol/l程度が好ましい。
【0028】上記のようなカーボン処理液中に前記負極
活物質前駆体を負極の形態にしたものを浸漬し、リチウ
ムまたはリチウム化合物を対極として通電し、負極活物
質前駆体中にリチウムをドープした後、さらに脱ドープ
し、カーボン処理液に使用されている溶媒で洗浄し、室
温あるいは加温条件で真空乾燥することによって、本発
明で用いる負極が得られる。
【0029】本発明の負極活物質と組み合わせて使用で
きる正極には、たとえば二酸化マンガン、五酸化バナジ
ウム、クロム酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウ
ムニッケル酸化物などの金属酸化物、あるいは二硫化モ
リブデンなどの金属硫化物、またはそれらの正極活物質
に導電助剤やポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤
などを適宜添加した合剤を、ステンレス鋼製網などの集
電材料を芯材として成形体に仕上げたものが用いられ
る。特にリチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸
化物、またはそれらに上記の結着剤などを添加したもの
を用いると、電池容量を向上させることができるので好
ましい。
【0030】また、電解液は、有機溶媒に電解質を溶解
させることによって調製されるが、その際の有機溶媒と
しては、リテンションの小さい電池を得るために、誘電
率20以上の高いエステルや粘度の低いエーテルなどを
用いることが好ましい。
【0031】誘電率が20以下の溶媒のみを用いると、
電解液中でのリチウムイオンの移動が困難となり、リテ
ンションが大きくなる傾向にある。
【0032】本発明に使用できる誘電率の高いエステル
としては、たとえばプロピレンカーボネート(PC)、
エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート
(BC)、ガンマ−ブチロラクトン(γ−BL)などが
挙げられる。
【0033】また、粘度の低いエーテルとしては、たと
えば1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジオキソラ
ン(DO)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチ
ル−テトラヒドロフラン(2Me−THF)、ジエチル
エーテル(DEE)などが挙げられる。
【0034】そのほか、イミド系有機溶媒や、含イオウ
または含フッ素系有機溶媒、リン酸トリアルキルなども
用いることができる。
【0035】電解液の溶媒としては、誘電率の高い溶媒
と粘度の低い溶媒との混合溶媒を用いることが好まし
く、特に誘電率の高い溶媒としてエチレンカーボネート
(EC)を用いることが好ましい。
【0036】粘度の低い溶媒としては、鎖状カーボネー
トやエーテルが好ましく、特にエーテルはリテンション
を増大する傾向があったが、本発明の負極を用いた場合
には、上記エーテルを使用した場合でもリテンションが
小さい電池を得ることができる。そして、本発明と好ま
しく使用できるエーテルとしては、環状エーテルが電池
の低温特性向上のために好ましく、なかでもジオキソラ
ンが特に好ましい。
【0037】電解液の電解質としては、たとえばLiC
lO4 、LiPF6 、LiBF4 、LiAsF6 、Li
SbF6 、LiCF3 SO3 、LiCF3 CO2 、Li
2 2 4 (SO3 2 、LiN(CF3 SO2 2
LiC(CF3 SO2 3 、LiCn 2n+1SO3 (n
>=2)などが単独でまたは2種以上混合して用いられ
る。特にLiPF6 、LiC4 9 SO3 が充放電特性
が良いことから好ましい。
【0038】なお、電解液中における電解質の濃度は、
特に限定されるものではないが、通常0.01〜2mo
l/l、特に0.05〜1mol/l程度が好ましい。
【0039】
【実施例】つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。
【0040】〈実施例1〉LiC4 9 SO3 (NF
B)をジオキソランに溶解させた後、エチレンカーボネ
ートを加えて混合し、0.5mol/l NFB/E
C:DO(体積比1:1)で組成が示されるカーボン処
理液を調製した。
【0041】上記カーボン処理液におけるNFBはLi
4 9 SO3 の略称で、ECはエチレンカーボネート
の略称であり、DOはジオキソランの略称である。した
がって、上記カーボン処理液を示す0.5mol/l
NFB/EC:DO(体積比1:1)は、エチレンカー
ボネートとジオキソランの体積比1:1の混合溶媒にL
iC4 9 SO3 を0.5mol/l溶解させたもので
あることを示している。 つぎに、負極活物質前駆体と
して、(002)面の面間距離(d002)が3.365
Å、C軸方向の結晶子の大きさLcが1334Å、平均
粒径が10μm、純度が99.999%の炭素を用意
し、ポリフッ化ビニリデンを結着材として9:1(重量
比)で混合して負極合剤とした後、これをN−メチルピ
ロリドンで分散してスラリー状にした。
【0042】このスラリー状負極合剤を厚さ18μmの
帯状の銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗付して
乾燥し、その後、ローラープレス機により圧縮成形し、
リード体を溶接して、帯状の電極体を作製した。
【0043】この電極体をカーボン処理液中でLiを対
極として48時間短絡させてリチウムをドープし、つぎ
に1.5Vの電圧を3日間かけて脱ドープし、ジメチル
カーボネートで洗浄した後、真空乾燥して、所望とする
負極を得た。
【0044】このようにして得た負極の炭素材料のXP
S分析を行った。その結果、フッ素の685から689
eVのピ−ク強度と光電子スペクトルの炭素の285e
V付近のピーク強度の比(I688 /I285 )は5.2で
あった。また、この負極表面を2keV、7〜8μAの
アルゴンイオンスパッタで10分エッチングした後の負
極内部のピーク強度の比(I688 /I285 )は3.1で
あり、表面のピーク強度の比(I688 /I285 )を1と
したときの負極内部のピーク強度の比(I688
285 )は0.6であった。フッ素のピ−ク強度の合計
の中での687から689eVのピ−クが占める割合は
93%であった。
【0045】つぎに、LiCoO2 に黒鉛を加え混合
し、N−メチルピロリドンで溶解してスラリ−にした。
この正極合剤スラリ−を厚さ20μmアルミニウム箔か
らなる正極集電体の両面に均一に塗付して乾燥し、その
後、ロ−ラ−プレス機により圧縮成形し、リ−ド体の溶
接を行なって、帯状の正極を作製した。
【0046】上記帯状正極に厚さ25μmの微孔性ポリ
プロピレンフィルムからなるセパレ−タを介して前記帯
状負極を重ね、渦巻状に巻回して渦巻状電極体とした
後、外径15mm、高さ40mmの有底円筒状の電池ケ
−ス内に充填し、正極および負極のリ−ド体の溶接を行
った後、電解液を電池ケ−ス内に注入した。
【0047】続いて、常法にしたがって、電池ケ−スの
開口部を封口し、図1に示す構造の筒形の非水二次電池
を作製した。
【0048】図1に示す電池について説明すると、1は
前記の正極で、2は負極である。ただし、図1では、繁
雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使
用された集電体などは図示していない。そして、3はセ
パレータで、4は電解液である。
【0049】5はステンレス鋼製の電池ケースであり、
この電池ケース5は負極端子を兼ねている。電池ケース
5の底部にはポリテトラフルオロエチレンシートからな
る絶縁体6が配置され、電池ケース5の内周部にもポリ
テトラフルオロエチレンシートからなる絶縁体7が配置
されていて、前記正極1、負極2およびセパレータ3か
らなる渦巻状電極体や、電解液4などは、この電池ケー
ス5内に収容されている。
【0050】8はステンレス鋼製の封口板であり、この
封口板8の中央部にはガス通気孔8aが設けられてい
る。9はポリプロピレン製の環状パッキング、10はチ
タン製の可撓性薄板で、11は環状でポリプロピレン製
の熱変形部材である。
【0051】上記の熱変形部材11は温度によって変形
することにより、可撓性薄板10の破壊圧力を変える作
用をする。
【0052】12はニッケルメッキを施した圧延鋼製の
端子板であり、この端子板12には切刃12aとガス排
出孔12bとが設けられていて、電池内部にガスが発生
して電池の内部圧力が上昇し、その内圧上昇によって可
撓性薄板10が変形したときに、上記切刃12aによっ
て可撓性薄板10を破壊し、電池内部のガスを上記ガス
排出孔12bから電池外部に排出して、電池の高圧下で
の破壊が防止できるように設計されている。
【0053】13は絶縁パッキングで、14はリード体
であり、このリード体14は正極1と封口体8とを電気
的に接続しており、端子板12は封口体8との接触によ
り正極端子として作用する。また、15は負極2と電池
ケース5とを電気的に接続するリード体である。
【0054】〈実施例2〉負極前駆体として、(00
2)面の面間距離(d002)が3.372Å、C軸方向
の結晶子の大きさLcが1328Å、平均粒径が11μ
m、純度が99.999%の炭素を用意し、フッ素化合
物を含むカ−ボン処理液を用いてLiと短絡させる時間
を3時間とした以外は実施例1と同様に処理した負極を
得た。
【0055】この負極のXPS分析のフッ素の685か
ら689eVのピ−ク強度と光電子スペクトルの炭素の
285eV付近のピーク強度の比(I688 /I285 )は
2.4であり、フッ素のピ−ク強度の合計の中での68
7から689eVのピ−クが占める割合は94%であっ
た。
【0056】この得られた負極を用いて、実施例1と同
様にして電池を作製した。
【0057】〈実施例3〉負極前駆体として、(00
2)面の面間距離(d002)が3.367Å、C軸方向
の結晶子の大きさLcが1330Å、平均粒径が10μ
m、純度が99.999%の炭素を用意し、負極前駆体
の処理を行うフッ素化合物を含むカ−ボン処理液の電解
質としてLiPF6を用いた以外は実施例2と同様に処
理した負極を得た。
【0058】ただし、XPS分析の結果、フッ素の68
5から689eVのピ−ク強度と光電子スペクトルの炭
素の285eV付近のピーク強度の比(I688
285 )は2.1であり、フッ素のピ−ク強度の合計の
中での687から689eVのピ−クが占める割合は4
5%であった。
【0059】この得られた負極を用いて、実施例1と同
様にして電池を作製した。
【0060】〈比較例1〉負極前駆体として、(00
2)面の面間距離(d002)が3.370Å、C軸方向
の結晶子の大きさLcが1331Å、平均粒径が12μ
m、純度が99.999%の炭素を用意し、カーボン処
理液により処理を施した負極に代えて、未処理の負極を
用いた以外は実施例1と同様にして筒形の非水二次電池
を複数個作製した。
【0061】この電池のうち1個から未処理の負極を取
り出し、そのXPS分析を行った。その結果、フッ素の
685から689eVのピ−ク強度と光電子スペクトル
の炭素の285eV付近のピーク強度の比(I688 /I
285 )は1.7であり、フッ素のピ−ク強度の合計の中
での687から689eVのピ−クが占める割合は95
%であった。
【0062】上記実施例1〜3の電池および比較例1の
電池について、0.1Cで、電圧2.7〜4.2Vの範
囲で充放電させ、3サイクル目のリテンションを調べ
た。また、実施例1の電池容量を100とし、各電池の
容量比を調べた。その結果を表1に示す。なお、リテン
ションは次の計算式によって求めた。
【0063】リテンション(%)=〔(充電容量−放電
容量)/(充電容量)〕×100
【0064】
【表1】
【0065】XPS分析の測定条件: 装置名 ESCALAB mark2 測定条件 12kV−10mA 測定時の真空度 7×10-7Pa、Arスパッタ−処理
なし 表1に示すように、実施例1〜3の電池は、いずれも、
比較例1の電池に比べて、リテンションが非常に小さ
く、容量も大きいものとなった。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、XP
S分析のフッ素の685から689eVのピ−ク強度と
炭素の285eV付近のピーク強度の比(I688 /I
285 )が2以上の炭素材料を負極に用いることによっ
て、リテンションの小さく、高容量の非水二次電池を提
供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水二次電池の一例を示す断面図
である。
【図2】実施例1で用いる負極活物質のXPS測定の2
85eV付近の炭素のスペクトルを概略的に示す図であ
る。
【図3】実施例1で用いる負極活物質のXPS測定の6
88eV付近の酸素のスペクトルを概略的に示す図であ
る。
【符号の説明】
1 正極 2 負極 3 セパレータ 4 電解液

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶媒系の電解液を用いる非水二次電
    池において、炭素材料を負極とし、負極表面のXPS分
    析の12kV−10mAの測定条件で、炭素の285e
    V付近のピーク強度(I285 )とフッ素の685から6
    89eV付近のピーク強度(I688 )との比I688 /I
    285 が2.0以上である非水二次電池。
  2. 【請求項2】 有機溶媒系の電解液を用いる非水二次電
    池において、炭素材料を負極とし、XPS分析の12k
    V−10mAの測定条件で、I687 からI689 のピ−ク
    強度が、I685 からI689 のピ−ク強度の50%以上で
    ある請求項1記載の非水二次電池。
  3. 【請求項3】 負極表面のI688 /I285 の比が負極内
    部の値に比べ大きいことを特徴とする請求項1または2
    記載の非水二次電池。
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