JPH08104135A - 車両のドア構造 - Google Patents

車両のドア構造

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JPH08104135A
JPH08104135A JP6242646A JP24264694A JPH08104135A JP H08104135 A JPH08104135 A JP H08104135A JP 6242646 A JP6242646 A JP 6242646A JP 24264694 A JP24264694 A JP 24264694A JP H08104135 A JPH08104135 A JP H08104135A
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door
inner panel
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door structure
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Yoichi Watanabe
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工性の向上を図りつつ、ドアウエスト部の
車幅方向の衝撃吸収作用を高める。 【構成】 ドアインナパネル40とドアアウタパネルと
からなり、ドアウエスト部41を有する車両前記側部の
ドア構造において、前記ドアウエスト部41の少なくと
もシートに着座した乗員の側部と対向する部分に、車両
前後方向の強度を大きく、車両幅方向の強度を相対的に
小さくした部材100を設定したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両衝突時に乗員がド
アに干渉した場合の衝撃を吸収できるようにした車両の
側部のドア構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のドア構造として、実開平
3−16514号公報に記載のものが知られている。
【0003】図35、図36に示すように、この従来の
ドア構造は、ドアインナパネル1とウエストインナレイ
ンフォースメント2とでできる閉断面形状(ボックス断
面形状)のドアウエスト部4を備えている。このドアウ
エスト部4の乗員の側部に対応する部分において、ドア
インナパネル1の上板部1aには、車両前後方向に延び
る凹状のビード5が形成されている。他の閉断面部の強
度よりも低くしたものである。
【0004】また、ドアインナパネル1の上板部1aと
縦板部1bとの角部にも、縦に延びる凹状のビード6が
形成されている。そして、これらビード5,6により当
該部分の強度が他の部分に比較して低下している。な
お、図36において、7はトリムである。
【0005】そして、このようなドア構造にあっては、
ビード5,6がきっかけとなって、ドアウエスト部4が
潰れやすくなるため、車両側方からの衝突時に乗員の肩
や腕等がドアに干渉した場合、乗員に働く反力を低下さ
せることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図37に示す
ように、ドアインナパネル1を雌型8と雄型9とでプレ
ス成形するとき、ビード5はインバース形状となるた
め、形抜きをすることができなくなるため、一度のプレ
ス加工だけでなく、ビード5を成形するための後加工が
必要になってしまうという問題がある。また、このよう
にビード5をドアインナパネル1のプレス加工の後で成
形したとしても、後加工であるが故に、ウエストインナ
レインフォースメント2との合わせフランジ1c(図3
5参照)が変形したり、フランジ1cの先端(トリム
端)が波打ってしまうという問題が生じる。つまり、従
来品は、強度低下部分であるビード5を、ドアを構成す
る構造体、つまりドアインナパネル1自体に形成してい
たので、加工性の点で改善すべき点があった。
【0007】本発明は、上記事情を考慮し、加工性の向
上を図りつつ、乗員の肩や腕等の側部がドアウエスト部
に干渉した場合の衝撃吸収作用を良好に発揮することの
できるドア構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、ドア
インナパネルとドアアウタパネルとからなり、ドアウエ
スト部を有する車両側部のドア構造において、前記ドア
ウエスト部の少なくともシートに着座した乗員の側部と
対向する部分に、車両前後方向の強度を大きく、車両幅
方向の強度を相対的に小さくした部材を設定したことを
特徴とする。
【0009】請求項2の発明は、請求項1記載の車両の
ドア構造であって、前記部材は、車両前後方向に沿うビ
ードが形成された板材からなることを特徴とする。
【0010】請求項3の発明は、請求項2記載の車両の
ドア構造であって、前記部材は、横板部を有し、該横板
部に前記ビードが上、又は下に突設されていることを特
徴とする。
【0011】請求項4の発明は、請求項2又は3記載の
車両のドア構造であって、前記ドアウエスト部の少なく
ともシートに着座した乗員の側部と対向する部分で前記
ドアインナパネルに切欠を設け、該切欠を覆うように、
前記部材を設けたことを特徴とする。
【0012】請求項5の発明は、請求項2又は3記載の
車両のドア構造であって、前記ドアウエスト部の少なく
ともシートに着座した乗員の側部と対向する部分で前記
ドアインナパネルに、凹部を形成し、該凹部を覆うよう
に、前記部材を設けたことを特徴とする。
【0013】請求項6の発明は、請求項4又は5記載の
車両のドア構造であって、前記部材は、前記ビードを該
部材の車両前後方向の中間部に所定長さ形成したことを
特徴とする。
【0014】請求項7の発明は、請求項4又は5記載の
車両のドア構造であって、前記部材は、前記ビードを、
該部材の前後方向全域にわたって形成したことを特徴と
する。
【0015】請求項8の発明は、請求項7記載の車両の
ドア構造であって、前記部材は、前記ビードをロール成
形したロール成形品であることを特徴とする。
【0016】請求項9の発明は、請求項4〜8のいずれ
かに記載の車両のドア構造であって、前記部材の縁部
を、前記ドアインナパネルに形成した切欠又は凹部の縁
部に溶接したことを特徴とする。
【0017】請求項10の発明は、請求項4記載の車両
のドア構造であって、前記ドアインナパネルは、前記部
材の縁部を前記ドアインナパネルに形成した切欠の縁部
に溶接した上でプレス成形したものであることを特徴と
する。
【0018】請求項11の発明は、請求項2〜10のい
ずれかに記載の車両のドア構造であって、前記部材は、
前記ドアインナパネルよりも材質強度が低い板材、又は
板厚が薄い板材の少なくともいずれかにより構成されて
いることを特徴とする。
【0019】請求項12の発明は、請求項2〜11のい
ずれかに記載の車両のドア構造であって、前記部材の裏
側に、車両前後方向の強度が車両幅方向の強度よりも高
いハニカム材を設定したことを特徴とする。
【0020】請求項13の発明は、請求項1記載の車両
のドア構造であって、前記部材を、前記ドアインナパネ
ルのドアウエスト部の表面又は裏面に沿って車両前後方
向全域にわたって設けたことを特徴とする。
【0021】請求項14の発明は、請求項13記載の車
両のドア構造であって、前記部材を、車両前後方向全域
に沿ったビードを有する板材で構成したことを特徴とす
る。
【0022】請求項15の発明は、請求項14記載の車
両のドア構造であって、前記部材は、前記ビードをロー
ル成形したロール成形品であることを特徴とする。
【0023】請求項16の発明は、請求項13記載の車
両のドア構造であって、前記部材を、車両前後方向の強
度が車両幅方向の強度よりも高いハニカム材で構成した
ことを特徴とする。
【0024】請求項17の発明は、ドアインナパネルと
ドアアウタパネルとからなり、ドアウエスト部を有する
車両側部のドア構造において、前記ドアウエスト部の少
なくとも乗員の側部と対向する部分で前記ドアインナパ
ネルに切欠又は凹部を設け、該切欠又は凹部を覆うよう
に、前記ドアインナパネルよりも材質強度が低い板材又
は前記ドアインナパネルよりも板厚が薄い板材の少なく
ともいずれかにより構成した部材を設けたことを特徴と
する。
【0025】請求項18の発明は、請求項17記載の車
両のドア構造であって、前記部材の縁部を、前記ドアイ
ンナパネルに形成した切欠又は凹部の縁部に溶接したこ
とを特徴とする。
【0026】請求項19の発明は、請求項17記載の車
両のドア構造であって、前記ドアインナパネルは、前記
部材の縁部を前記ドアインナパネルに形成した切欠の縁
部に溶接した上でプレス成形したものであることを特徴
とする。
【0027】請求項20の発明は、請求項17〜19の
いずれかに記載の車両のドア構造であって、前記部材の
裏側に、車両前後方向の強度が車両幅方向の強度よりも
高いハニカム材を設定したことを特徴とする。
【0028】請求項21の発明は、請求項12,16,
20のいずれかに記載の車両のドア構造であって、前記
ドアインナパネルのドアウエスト部に、ウエストインナ
レインフォースメントを接合し、前記ハニカム材を前記
ドアインナパネルとウエストインナレインフォースメン
トとの間に設定したことを特徴とする。
【0029】請求項22の発明は、請求項1〜21のい
ずれかに記載の車両のドア構造であって、前記ドアが車
両の最前列席側部のドアであることを特徴とする。
【0030】
【作用】請求項1の発明では、車両前後方向の強度を大
きく、車両幅方向の強度を相対的に小さく設定した部材
を、ドアウエスト部の少なくとも乗員の側部と対向する
部分に設定したので、該部材が、ドアウエスト部の車両
前後方向の強度を維持あるいは補強する。同時に、部材
の車両幅方向の強度が小さいことにより、部材が車幅方
向に潰れやすくなり、衝突時に乗員がドアと干渉した際
に、この部材が潰れることによって、その衝撃を吸収す
ることができ、乗員に対するドアからの反力を低下させ
ることができる。また、部材は、ドアインナパネルとは
別の部材であり、ドアインナパネルとは別に成形して配
設することができるので、ドアインナパネルの成形の支
障になることがない。例えば、部材に車両左右方向の強
度低下のための加工を施す場合でも、ドアインナパネル
側と切り離した状態で部材側の加工ができるので、ドア
を構成するドアインナパネル側に寸法的な影響が及ぶこ
とを回避することができる。また、部材は、車両前後方
向の強度が大きいため、車両前面衝突時に、衝突荷重の
一部をドアウエスト部を介して車体後方へ伝達し、分散
させることができる。
【0031】請求項2の発明では、部材である板材の車
両前後方向に沿うビードが、板材の前後方向の強度を高
めると共に、車両左右方向の強度を低くして潰れやすく
する。
【0032】請求項3の発明では、上下方向に指向した
上板部に車両前後方向に延びるビードがあるので、上板
部の車幅方向の座屈強度がビードの存在によって低くな
り、車両左右方向の強度が低下する。
【0033】請求項4の発明では、ドアインナパネルに
切欠を設け、該切欠を覆い隠すように部材を設けたの
で、切欠を設けた部分では、衝突時の初期の段階におい
て主に部材で荷重を受けることになる。そのため、部材
の左右方向の低い強度で乗員との干渉による荷重を受け
ることにより、衝撃吸収作用がさらに高まる。
【0034】請求項5の発明では、ドアインナパネルに
凹部を設け、それを覆うように部材を設けたので、切欠
を設けた場合と同様に、凹部のある部分では、衝突時の
初期の段階において主に部材で乗員からの荷重を受ける
ことになる。そのため、部材の左右方向の低い強度で乗
員からの荷重を受けることにより、衝撃吸収作用がさら
に高まる。但し、凹部はドアインナパネルの表面を凹変
形して形成したものであるから、切欠と異なり、凹部の
周辺の強度低下は切欠のある場合に比して小さく抑える
ことができる。
【0035】請求項6の発明では、部材のビードを車両
前後方向の中央部に部分的に設けたので、そのビードの
長さを変えることで、前後方向の強度と、左右方向の強
度の大きさを適当に調節することができる。この場合、
適当な長さのビードを複数配してもよい。
【0036】請求項7の発明では、部材の前後方向全域
にわたって連続的にビードを形成したので、前後方向の
強度と左右方向の強度の比率を大きく設定することがで
きる。
【0037】請求項8の発明では、ロール成形品により
部材を構成したので、ビードの形や位置を任意に設定す
ることができる。
【0038】請求項9の発明では、部材の縁部を切欠又
は凹部の縁部に溶接したので、部材とドアインナパネル
の接合部を連続した一枚の板のように加工することがで
きる。
【0039】請求項10の発明では、部材を予めドアイ
ンナパネルに溶接した上で、ドアインナパネルのプレス
成形を行うので、ドアインナパネルの成形の前に、部材
に強度低下のための加工を施しておけば、成形したドア
インナパネルの寸法等に強度低下部分の加工による影響
があまり出ない。
【0040】請求項11の発明では、部材の強度がドア
インナパネルの強度より低くなるので、部材が車幅方向
に一層潰れやすくなる。
【0041】請求項12の発明では、ハニカム材が、車
両左右方向の強度はあまり高めることなく、車両前後方
向の強度を大幅に高める。
【0042】請求項13の発明では、部材を、ドアイン
ナパネルの表面又は裏面に沿って車両前後方向全域にわ
たって設けたので、ドアウエスト部においてドアインナ
パネルと部材とが二重に存在することになり、その結
果、ドアウエスト部の車両前後方向の強度が高くなり、
車両左右方向の強度がそれよりも低くなる。従って、ド
アインナパネルを薄い材料で構成しても、補助材がドア
の前後方向の強度を維持あるいは補強する。それと同時
に、車両左右方向の強度はあまり高くならない。よっ
て、車幅方向にドアウエスト部が潰れやすくなり、ドア
と乗員とが干渉した場合の衝撃吸収作用が高まる。
【0043】請求項14の発明では、部材である板材に
形成したビードが、板材の前後方向の強度を高めると共
に、左右方向の強度を低くする。従って、この部材をド
アインナパネルの表又は裏に配設したことにより、ドア
ウエスト部が車両左右方向にはあまり補強されないもの
の、前後方向には大きく補強され、ドアウエスト部の前
後方向の強度と左右方向の強度に大きな差が出る。
【0044】請求項15の発明では、ロール成形品によ
り部材を構成したので、ビードの形や位置を任意に設定
することができる。
【0045】請求項16の発明では、部材としてハニカ
ム材を設けたので、ドアウエスト部の強度を車両前後方
向で極めて高く、車両左右方向で低くすることが容易に
できる。従って、車両左右方向の強度が低いことによ
り、ドアウエスト部が車幅方向に潰れやすくなり、乗員
がドアに干渉した場合、このハニカム材が潰れることに
よってその衝撃を吸収することができる。
【0046】請求項17の発明では、部材を、ドアイン
ナパネルよりも材質強度が低い板材又は前記ドアインナ
パネルよりも板厚が薄い板材の少なくともいずれかによ
り構成したので、部材の強度がドアインナパネルよりも
低くなり、潰れやすくなる。従って、ドアインナパネル
全体の板厚を薄くしたり、材質強度を落としたりして強
度低下を図ること無しに、必要部分のみを局部的に強度
低下させることができ、ドア全体の強度や部品取付け部
の強度を著しく低下させてしまうようなことがない。そ
して、ドアインナパネルに切欠又は凹部を設け、それを
覆うようにドアインナパネルの強度より低い強度の部材
を設けたので、切欠又は凹部を設けた部分では、衝突時
の初期の段階において強度の低い部材のみで乗員からの
荷重を受けることになり、これにより部材が潰れること
によって、乗員の干渉による衝撃を吸収することができ
る。
【0047】請求項18の発明では、部材の縁部を切欠
又は凹部の縁部に溶接したので、部材とドアインナパネ
ルの接合部を連続した一枚の板のように加工することが
できる。
【0048】請求項19の発明では、部材を予めドアイ
ンナパネルに溶接した上で、ドアインナパネルのプレス
成形を行うので、成形したドアインナパネルの寸法に溶
接による影響があまり出ない。
【0049】請求項20の発明では、部材の裏側にハニ
カム材を配設したので、このハニカム材によって、車両
左右方向の強度はあまり高められないが、車両前後方向
の強度が高められる。
【0050】請求項21の発明では、ドアウエスト部
に、ウエストインナレインフォースメントを接合し、ド
アウエスト部を閉断面に構成してハニカム材を設定して
いるから、ドアウエスト部の車両前後方向の強度が高ま
ると共に、車両幅方向の強度は相対的に小さくすること
ができる。
【0051】請求項22の発明では、最前列席のドアに
部材を設けたので、車両前面衝突時の衝突荷重に対し
て、ドアウエスト部が衝突荷重の一部を車体後方へ伝達
し、衝突荷重をセンタピラ等を介して車体全体に分散
し、前席の潰れを抑制する。同時に、ドアと乗員とが車
両幅方向に干渉した際の衝撃吸収作用が高いので、前席
搭乗者を安全に保護することができる。
【0052】
【実施例】以下、本発明の各実施例を図面に基づいて説
明する。
【0053】〔第1実施例〕図1〜図5は本発明の第1
実施例を示す。
【0054】この実施例は自動車の最前列席の側部のド
ア(図示のものは車両進行方向左側のサイドドア)に適
用されたものである。図1はドア30の外形(トリム等
は図示を省略してある)を車内側から見た斜視図、図2
はそのドア30のドアウエスト部32の一般部(後述す
る衝撃吸収板100を設けた部分以外のII−II矢視
断面部)の断面図である。
【0055】ドア30は、車内側のドアインナパネル4
0と車外側のドアアウタパネル70とからなり、乗員の
肩や腕に対応する高さのドアウエスト部32において
は、ドアインナパネル40の車外側の面にウエストイン
ナレインフォースメント50が接合され、ドアアウタパ
ネル70の車内側の面にウエストアウタレインフォース
メント80が接合され、これにより、それぞれドアイン
ナパネル40側のドアウエスト部41およびドアアウタ
パネル70側のドアウエスト部71が、閉断面形状(ボ
ックス断面形状)に形成されて、車両左右方向の強度ば
かりでなく、特に車両前後方向の強度が高められてい
る。
【0056】図2を用いながらより具体的に説明する。
【0057】ドアインナパネル40の基板部40aの上
端部(窓の下端縁に相当する位置)は、車外側に外向き
に折曲されて、板面がほぼ上下方向に指向した上板部4
0bとなっており、その先端はさらに上向きに折曲形成
されて、フランジ部40cとなっている。ウエストイン
ナレインフォースメント50は断面L字状に折曲形成さ
れたもので、上方に延ばされた上端部50aが、ドアイ
ンナパネル40の上端のフランジ部40cに合わせられ
て、スポット溶接されている。また、車内側に折れ曲が
った下端側の横板部50bの先端は、ドアインナパネル
40の基板部40aに沿って下向きに折曲形成されてフ
ランジ部50cとなっており、そのフランジ部50c
が、ドアインナパネル40の裏面に合わせられて、スポ
ット溶接されている。そして、これにより、ドアインナ
パネル40側のドアウエスト部41が、矩形の閉断面形
状に形成されている。
【0058】また、ドアアウタパネル70の基板部70
aの上端部は、車内側に湾曲されて湾曲部70bとなっ
ており、その先端はさらに上向きに折曲されて、ほぼ垂
直なフランジ部70cとなっている。ウエストアウタレ
インフォースメント80は、断面L字状に折曲されたも
ので、上方にほぼ垂直に延ばされた上端部80aが、ド
アアウタパネル70の上端のフランジ部70cに合わせ
られて、スポット溶接されている。また、車外側に折れ
曲がった下端側の横板部80bの先端は、ドアアウタパ
ネル70の基板部70aに沿って下向きに折曲されるこ
とでフランジ部80cとなっており、そのフランジ部8
0cがドアアウタパネル70の車外側の面(裏面)に合
わせられて、スポット溶接されている。これにより、ド
アアウタパネル70側のドアウエスト部71も閉断面形
状に形成されている。
【0059】そして、このように閉断面形状に形成され
て強度アップさせられたドアインナパネル40側のドア
ウエスト部41の乗員の側部と対向する位置に、図1に
示すように、ドアインナパネル40とは別部材によって
構成された衝撃吸収板(部材)100が設けられてい
る。
【0060】図3は図1のIII部の拡大図、図4
(a)は図3のIV−IV矢視断面図、図5は図3と同
部分の分解斜視図である。
【0061】衝撃吸収板100を接合した部分では、そ
の下側のドアインナパネル40がほぼ長方形状に切欠か
れている。切欠42は、衝撃吸収板100より若干小さ
めに形成されており、ドアインナパネル40のフランジ
部40cの上端縁から、ドアインナパネル40の上板部
40b、および基板部40aのウエストインナレインフ
ォースメント50のフランジ部50c上側までの範囲に
わたり、所定の幅(車両前後方向の寸法)で形成されて
いる。
【0062】これにより、ドアインナパネル40側のド
アウエスト部41に孔が開いた状態になっており、この
孔(切欠42)を塞ぐ形で衝撃吸収板100が車室内側
から接合されている。
【0063】衝撃吸収板100は、図3に示すようにド
アインナパネル40の基板部40aと上板部40bとの
交差部分である角部に沿った略L字状の断面形状に成形
されている。即ち、一枚の金属帯板をプレス成形するこ
とにより、ドアインナパネル40側の基板部40aに沿
った縦板部100aと、ドアインナパネル40側の上板
部40bに沿った横板部100bとが形成されている。
また、横板部100bの車外側の端部には、ドアインナ
パネル40側のフランジ部40cに沿ったフランジ部1
00cが起立して形成されている。
【0064】この場合、衝撃吸収板100のフランジ部
100cには段部100dが設けられている。これによ
り、ドアインナパネル40側のフランジ40cとウエス
トインナレインフォースメント50側の上端部50aと
の間の段差42pを吸収し、衝撃吸収板100側のフラ
ンジ部100cが、ドアインナパネル40側のフランジ
40cと、切欠42によって露出したウエストインナレ
インフォースメント50側の上端部50aとに、隙間な
く当接する。
【0065】そして、この衝撃吸収板100の横板部1
00bには、その車両幅方向中央に位置させて、車両前
後方向に沿って延びるビード101が形成されている。
このビード101は、外側から見た場合、図4(a)に
示すように断面半円形の凹みとして下方に突出した形で
形成され、衝撃吸収板100の車両前後方向の中央部に
所定長さに形成されている。また、この衝撃吸収板10
0を接合した部分に対応するウエストインナレインフォ
ースメント50側の横板部50bにも、前記衝撃吸収板
100側のビード101と平行な、上方に突出した形の
断面半円形のビード51が形成されている。
【0066】ドアインナパネル40に形成した切欠42
は、図4(a)に示すように、前記の如くウエストイン
ナレインフォースメント50のフランジ部50cを接合
した部分の上側まで及んでおり、衝撃吸収板100の下
端100dとウエストインナレインフォースメント50
のフランジ部50cとで、切欠42の周縁においてドア
インナパネル40を挟む形でスポット溶接されている。
【0067】また、衝撃吸収板100のフランジ部10
0cは、2つの段部100d,100dの外側の両端
が、ドアインナパネル40のフランジ部40cに合わせ
られてスポット溶接され、2つの段部100d,100
dの間の部分が、切欠42から露出したウエストインナ
レインフォースメント50のフランジ部50cに合わせ
られてスポット溶接されている。また、衝撃吸収板10
0の両側縁部は、ドアインナパネル40の切欠42の側
縁部に合わせられてスポット溶接されている。これによ
り、ビード101の形成された衝撃吸収板100が、切
欠42を完全に塞ぎ、切欠42を形成する前の板の代わ
りをなしている。
【0068】なお、図4(a)に示す例では、切欠42
の外側(車内側)つまりドアインナパネル40の表面側
に衝撃吸収板100を配置しているが、図4(b)に示
すように、切欠42の内側(車外側)つまりドアインナ
パネル40の裏面側に衝撃吸収板100を配置してもよ
い。この場合は、衝撃吸収板100の下端が、ドアイン
ナパネル40とウエストインナレインフォースメント5
0のフランジ部50cとで挟まれる形になる。また、図
示しないが、衝撃吸収板100を挟むことにより生じる
衝撃吸収板100とウエストインナレインフォースメン
ト50との間の段差は、上記のような段部100dをド
アインナパネル40側あるいはウエストインナレインフ
ォースメント50側に形成することで吸収するようにす
る。また、上記実施例では、ビード101の突出方向を
上向きにしたが、下向きにしてもよい。
【0069】次に作用を述べる。
【0070】衝撃吸収板100は、上板部100bに車
両前後方向に延びるビード101を形成したことによ
り、車両前後方向の強度が高くなり、車両左右方向の強
度が低くなっている。よって、ビード101をきっかけ
にして、車両左右方向つまり車幅方向に潰れやすくなっ
ている。特に、上板部100bにビード101があるこ
とにより、上板部100bが車幅方向に座屈しやすくな
っている。
【0071】従って、切欠42を設けたことにより低下
している車両前後方向の強度を、前後方向の強度が高め
られたビード101付きの衝撃吸収板100が補って、
強度を維持、あるいは補強している。従って、後述する
ように、車両前面衝突時に、衝突荷重の一部をドアウエ
スト部41を介して車両後方へ伝達し、センタピラ等を
介して車体全体へ分散させることができる。同時に、衝
撃吸収板100が車幅方向に潰れやすくなっていること
により、車両衝突時(主に側突時)に乗員の側部(肩や
腕など)がドア30に干渉(特に衝撃吸収板100に干
渉)した際に、この衝撃吸収板100がビード101を
きっかけにして潰れることによって、その衝撃を吸収す
ることができ、乗員に対するドア30からの反力を低下
させることができる。
【0072】この場合、切欠42を設けた部分では、衝
突時の初期の段階において衝撃吸収板100のみで乗員
からの荷重を受けることになる。そのため、衝撃吸収板
100の左右方向の低い強度で乗員からの荷重を受ける
ことができる。また、衝撃が強く、ドアインナパネル4
0まで潰れる場合にも、切欠42の存在で、ドアインナ
パネル40が変形し易くなっている。従って、乗員に対
する反力が小さく、且つ高い衝撃吸収作用を発揮する。
【0073】また、加工性の点では、ビード101の付
いた衝撃吸収板100がドアインナパネル40とは別の
部材からなるので、衝撃吸収板100とドアインナパネ
ル40とを別々にプレス成形した上で、衝撃吸収板10
0をドアインナパネル40あるいはウエストインナレイ
ンフォースメント50に溶接することができる。よっ
て、衝撃吸収板100の成形による影響が、ドアインナ
パネル40の成形時に出ることがなく、加工性が向上す
る。
【0074】また、ビード101を形成するだけで、衝
撃吸収板100の車両前後方向の強度と車両左右方向の
強度を自由に調整することができるので、加工が簡単で
調整範囲も広い。例えば、ビード101の長さを調節す
ることで、前後方向の強度や左右方向の強度を調節でき
る上、ビード101の形成本数や幅等を変えても、強度
の調整が可能である。また、ビード101の突出方向
は、上向きであっても下向きであっても強度上の性能は
変わりはなく、ドアウエスト部41の加工状況や外観性
等に応じて選択すればよい。
【0075】また、衝撃吸収板100がドアインナパネ
ル40とは別の部材からなるので、材質や板厚をドアイ
ンナパネル40と異ならせることも簡単にできる。
【0076】〔実施例のドア構造の有効性〕図6は車両
が前突した場合の衝撃荷重の入力の説明図である。図に
おいて、500は車両、501はフードリッジ、502
はフロントサイドメンバ、503は前側のホイール、5
04はサイドシルである。
【0077】前突時の車両の側部への衝突荷重の入力
は、主に図中A部へのフードリッジ501からの入力
と、図中B部へのフロントサイドメンバ502およびホ
イール503からの入力である。このとき、車両の側部
変形量を低減させたい場合には、A部、B部の入力をそ
れぞれ車両前後方向に延びる部材で受け、軸力で受ける
のが効果的である。
【0078】今、B部についてはサイドシル504がこ
の役目を担っているが、A部についてはドアのウエスト
部が担うのがよいと考えられる。よって、前突時の入力
に対してはドアウエスト部を強固にし、反力を高めるの
が効果的であると言える。
【0079】例えば、ドアウエスト部の車両前後方向潰
れ量Sに対するドアウエスト部の前後方向反力の関係を
調べて見てみると、ドアウエスト部を強固にした場合
と、強固にしない場合とでは、図7に示すような特性差
が生じて来る。
【0080】ところが、ドアウエスト部を強固にする対
策として、例えば単純にドアパネルの板厚アップを採用
した場合は、ドアウエスト部の車両左右方向の強度も上
がってしまうため、側突時にドアと乗員が干渉した際に
発生する反力も上昇して、乗員に対する衝撃が高くなっ
てしまう可能性がある。
【0081】図8は乗員とドアの干渉量Sとドアウエス
ト部に働く車両左右方向反力Fの関係を示す。この図か
ら分かるように、ドアウエスト部を板厚アップにより強
固に構成した場合は、車両左右方向の乗員に対するドア
からの反力が上がってしまう。
【0082】そこで、上に述べた本発明の実施例のよう
に、車両前後方向の強度よりも車両左右方向の強度が低
く設定された衝撃吸収板100をドアウエスト部に配設
する。この場合は、ドアウエスト部41が前後方向には
強固な構造になるが、車幅方向には潰れやすくなる。従
って、図9に示すように側面衝突時における乗員に対す
る反力が低減するようになる。
【0083】このように、実施例のドア構造を採用する
ことにより、車両前面衝突時の衝撃に対してこのドアが
有効に耐力を発揮し、車両全体に対する衝撃緩和作用を
発揮する。また、このドアの車両前後方向の強度が高い
ことから、前面衝突時に前席の潰れを抑制する。同時
に、側面衝突時にドアに乗員が干渉した際の衝撃吸収作
用が高いので、乗員を安全に保護することができる。よ
って、生産性を向上させながら、衝突時の安全性を高め
ることができる。
【0084】〔第2実施例〕図10〜図12は本発明の
第2実施例を示す。
【0085】この実施例では、ドアインナパネル40の
所定位置に、前記実施例の切欠42に代えて凹部43を
形成し、その凹部43を覆うように部材としての衝撃吸
収板100を接合している。
【0086】この場合の凹部43は、前記第1実施例の
切欠42(図3参照)と同じ位置にほぼ同じ大きさで形
成された直方体状のもので、ドアインナパネル40の基
板部40aの上部から上板部40bにかけての部分を表
面側から凹変形させることにより形成されている。この
凹部43は車内側の側面から上面にかけての部分が開放
し、底面43aが車内側に下り傾斜した斜面で構成さ
れ、両側面43b,43bが底面43aに向けて垂直よ
りやや傾斜した角度で交わる斜面で構成されている。
【0087】そして、衝撃吸収板100は、段部100
d(図3参照)も無くフラットに形成されたフランジ部
100cを、ドアインナパネル40の連続したフランジ
部40c(切欠42が無いのでこのフランジ部40cは
連続している)に合わせた状態で、同フランジ部40c
および上板部40b、基板部40aにスポット溶接され
ている。それ以外の点は、前記第1実施例と全く同様の
構成である。
【0088】この実施例のドア構造では、切欠42(図
3参照)を設けた場合と同様に、凹部43のある部分で
は、衝突時の初期の段階において衝撃吸収板100のみ
で乗員からの荷重を受けることになる。そのため、衝撃
吸収板100の左右方向の低い強度で乗員からの荷重を
受けることにより、衝撃吸収作用がさらに高まる。
【0089】但し、凹部43はドアインナパネル40の
表面を凹変形して形成したものであるから、前記第1実
施例の切欠42とは異なり、凹部43周辺の車両前後方
向の強度低下は切欠42のある場合に比して小さく抑え
ることができる。従って、ドアインナパネル40の強度
を高く保ちながら、乗員に対する大きな衝撃緩和作用を
得ることができる。
【0090】〔第3実施例〕図13、図14は本発明の
第3実施例を示す。
【0091】この実施例では、前記第1実施例の衝撃吸
収板100の代わりに、車両前後方向全域にわたって連
続したビード121を有する部材としての衝撃吸収板1
20を、切欠42を覆い隠すようにドアウエスト部41
に接合している。この場合のビード121は、ドアイン
ナパネル40の上板部40bとの干渉を避けるために、
上向きに突出した形に形成されている。
【0092】この実施例のドア構造では、ビード121
が衝撃吸収板120の前後方向全域にわたるから、車両
前後方向の強度と車両左右方向の強度の比率を前記第1
実施例以上に大きく設定することができ、車両前後方向
の強度を維持あるいは補強しつつ、車両左右方向の強度
を大幅に低下させることができ、車幅方向により潰れや
すくなる。従って、衝突時の乗員の干渉による衝撃を効
率良く吸収でき、乗員に対する反力をより小さくするこ
とができる。
【0093】〔第4実施例〕図15、図16は本発明の
第4実施例を示す。
【0094】この実施例では、前記第2実施例の衝撃吸
収板100の代わりに、車両前後方向全域にわたって連
続したビード121を有する部材としての衝撃吸収板1
20を、凹部43を覆い隠すようにドアウエスト部41
に張り付けている。この場合のビード121は、ドアイ
ンナパネル40の上板部40bとの干渉を避けるため
に、上向きに突出した形に形成されている。
【0095】この実施例のドア構造は、前記第2実施例
と第3実施例の効果を共に奏することになる。
【0096】〔他の例〕なお、以上の第1〜第4実施例
において、衝撃吸収板100,110,120の板厚を
ドアインナパネル40の板厚より薄く設定したり、衝撃
吸収板100,110,120の材質強度をドアインナ
パネル40の材質強度よりも低く設定したりしてもよ
い。
【0097】その場合は、衝撃吸収板100,110,
120の素材自体の強度がドアインナパネル40よりも
低下することになるため、衝撃吸収板100、110、
120が車幅方向により潰れやすくなる。従って、ドア
インナパネル40自体の板厚を薄くしたり、強度を落と
したりすること無しに、衝撃吸収板100,110,1
20を設けた部分を、局部的に強度低下させることがで
き、乗員に働く反力を低下させることができる。このた
め、ドアインナパネル40の強度を落として、ドア全体
の剛性や様々な部品取付部の剛性を低下させることがな
い。
【0098】このように強度を落とした衝撃吸収板10
0,110,120を切欠42や凹部43に張り付けた
場合は、その部分の車幅方向の強度を局部的に落とすこ
とができるので、必ずしも衝撃吸収板100,110,
120にビード101,121を設けなくても、乗員に
働く反力の低下効果が得られる。しかし、乗員に対する
反力低下をより顕著に行う点、および前後方向の強度ア
ップという点では、ビード101,121を設けること
が望ましい。
【0099】また、上記第1〜第4実施例では、衝撃吸
収板100,110,120を、ドアインナパネル40
に形成した切欠42や凹部43の上に被せたり、切欠4
2の裏側に挟むようにした場合を示したが、衝撃吸収板
100,110,120の周縁部(側縁部および下縁
部)をちょうど切欠42や凹部43の縁部に嵌まる大き
さにカットし、衝撃吸収板100,110,120の周
縁部を切欠42や凹部43の縁部に嵌め入れて、縁部同
士を突き合わせ溶接してもよい。
【0100】そうした場合は、衝撃吸収板100,11
0,120とドアインナパネル40の接合部を、連続し
た一枚の板のように加工することができるため、段差の
少ない表面を作ることができる。よって、途中で材質や
板厚が異なっていても、外見上その変化が分からなくな
り、トリムを取付ける際にも、特別の配慮がいらなくな
る。
【0101】〔第5実施例〕図17、図18(a)は本
発明の第5実施例を示す。
【0102】この実施例では、ドアインナパネル40に
形成した切欠42の大きさに部材としての衝撃吸収板1
40をカットし、衝撃吸収板140の周縁部を切欠42
の縁部に嵌め入れて、縁部同士を突き合わせて溶接、例
えばレーザ溶接している。この場合の衝撃吸収板140
は、板厚がドアインナパネル40より薄いものであり、
その他の構成は前記第1実施例のものと同様である。
【0103】この構造の作用効果は第1実施例とほぼ同
じで、それに板厚を小さくした場合の効果がプラスされ
る。
【0104】なお、図18(a)に示す例では、ドアイ
ンナパネル40の切欠42の下端位置を、ウエストイン
ナレインフォースメント50の下端のフランジ部50c
の接合位置よりも上側にした場合を示したが、図18
(b)に示すように、切欠42の下端位置をウエストイ
ンナレインフォースメント50のフランジ部50cの位
置よりも下側に設定し、同フランジ部50cを衝撃吸収
板140の垂直板部100aの裏面に接合してもよい。
【0105】このように切欠42に衝撃吸収板140を
嵌め込んで溶接する構造を得る場合は、ドアインナパネ
ル40をプレス成形した後に、予め成形した衝撃吸収板
140を、切欠42に嵌め込んで溶接するという製造方
法をとってもよいが、図19に示すように、予め衝撃吸
収板140に相当する板材140Aを、ドアインナパネ
ル40のプレス前の素材40A中の切欠42Aに嵌め込
んで溶接し、その後、この素材40Aをプレス成形し
て、ドアインナパネル40を製造するという方法をとっ
てもよい。
【0106】この場合、プレス型の関係で必要ならば、
予め衝撃吸収板140に相当する板材140Aに予めビ
ード101を形成しておくのがよい。ビード101は、
衝撃吸収板140の板厚がドアインナパネル40よりも
小さい場合は、上述したように必ずしも設けなくてもよ
い。また、ビード101の突出方向は、いずれであって
もよい。
【0107】ドアインナパネル40の成形の前に、衝撃
吸収板140に強度低下のための加工(ビード)を施し
ておく場合は、成形したドアインナパネル40の寸法等
にビード101の加工による悪影響があまり出ず、成形
したドアインナパネル40の寸法精度等を高めることが
でき、加工性の向上が図れる。
【0108】〔第6実施例〕図20、図21は本発明の
第6実施例を示す。
【0109】この実施例は、前記第3実施例のプレス成
形品からなる衝撃吸収板120(図13参照)の代わり
に、ロール成形品からなる部材としての衝撃吸収板15
0を用いたものである。ロール成形品である衝撃吸収板
150は、前記第3実施例の衝撃吸収板120(図1
3)とほぼ同様の構成を持ち、縦板部100aと横板部
100bとフランジ部100cとを備え、横板部100
bにビード151を有している。この断面形状はロール
成形によって得られたものである。
【0110】この場合のビード151は、上下に潰れた
断面S字形に形成されている。つまり、S字状に折り曲
げてできる3枚の板部151a,151b,151c
を、互いに密着するよう重ねて、折り曲げた部分の曲率
が最小となるような断面形状に形成されている。ここ
で、板部151a,151b,151bは、フランジ部
100cに近い側からこの順に形成され、この順に上か
ら重なっている。このビード151は、横板部100b
のフランジ部100c寄りの位置に形成されている。
【0111】また、ロール成形品は断面が一定であり、
フランジ部100cに段部(図13の100dで示すも
の)を形成することができないから、衝撃吸収板150
のフランジ部100cとドアインナパネル40のフラン
ジ部40cの段差42qを吸収すべく、ウエストインナ
レインフォースメント50側のフランジ部50aに段部
50qを設けて、ウエストインナレインフォースメント
50のフランジ部50aと衝撃吸収板150のフランジ
部100cとを密着させてスポット溶接している。
【0112】このようにロール成形品をそのまま衝撃吸
収板150として用いた場合は、コストが安く済むこと
はもちろん、ビード151を、プレス成形した場合より
も変化に富んだ形や位置に成形することができ、強度の
調整という点でも有利性を発揮できる。
【0113】図22、図23はビードの形を変えた場合
の変形例を示す。
【0114】図22の部材としての衝撃吸収板160で
は、ビード161が曲率を大きくした断面S字状に形成
されている。つまり、S字状に折り曲げてできる板部1
61a,161b,161cが、相互に間隔をおいて対
向する断面形状に形成されている。また、ビード161
の位置は縦板部100a寄りに設定されている。
【0115】また、図23に示す衝撃吸収板170で
は、ビード171が上に凸の逆U字状の断面形状に形成
され、ビード171の幅方向両側の横板部100bの高
さが段違いになっている。
【0116】このように、各種の変化に富んだビード1
51,161,171の形状を、ロール成形品の場合は
極めて簡単に得られるので、車両前後方向の強度と左右
方向の強度の差を出したい場合、特に有効である。
【0117】〔第7実施例〕図24、図25は本発明の
第7実施例を示す。
【0118】図24はこの実施例のドア構造の分解斜視
図、図25は図24の要部断面図である。この実施例
は、前記第2実施例の凹部43にハニカム材300に装
填したものである。それ以外の点は、第2実施例と全く
同様である。
【0119】このハニカム材300は、薄い金属隔壁か
らなる六角筒301を、軸線方向を揃えて多数隙間無く
集合させ一体化した形状のもの(作り方は限定されな
い)であり、車両前後方向に軸線方向を向けた姿勢で、
衝撃吸収板100の裏側の凹部43内に装填されてい
る。そして、ハニカム材300の前端と後端とが、凹部
43の両側面43b,43bに当接させられている。
【0120】このようなハニカム材300は、それ自身
が軸線方向に高い強度を持つと共に軸線方向と直交する
方向には低い強度を持つ。従って、ハニカム材300を
凹部43に装填したことにより、ドアウエスト部41の
うち乗員の側部に対応する部分については、車両幅方向
の強度を上げることなく、車両前後方向の強度のみを特
別高くすることができる。つまり、乗員とドアが干渉し
た際には、ドアウエスト部41と乗員との間に反力が発
生することになるが、ハニカム材300の影響はほとん
どなく、乗員に働く反力を上昇させることはない。これ
に対し、車両前後方向の強度は格段にアップする。
【0121】この場合、衝撃吸収板100側のビード1
01の突出方向は、上向きでも下向きでもよく、ハニカ
ム材300はそれに応じて成形するのがよい。
【0122】また、ビード101が無くても同様の効果
が得られる。つまり、ハニカム材300が、車両左右方
向の強度はあまり高めることなく、車両前後方向の強度
を大幅に高める。従って、車両前後方向の強度増加によ
り、前突時のドア部分の前後方向荷重伝達力を高めるこ
とができると共に、ハニカム材300が車両左右方向の
強度増加にはあまり寄与しないので、乗員の側部が干渉
した際の衝撃吸収作用を果たすことができる。
【0123】〔第8実施例〕図26、図27は本発明の
第8実施例を示す。
【0124】図26は実施例のドア構造の要部の外観を
示す斜視図、図27は図26のXXVII−XXVII
矢視断面図である。この実施例はサッシュ付ドアの場合
である。
【0125】この実施例では、ドアインナパネル40側
のドアウエスト部41の角部40kに沿って、ドアウエ
スト部41の前後方向の強度と左右方向の強度との間に
差を与えるためのビード付の補強板(部材)200を張
り付けている。この補強板200は、今まで説明した実
施例の衝撃吸収板とはその機能が若干異なるので、ここ
では補強板という。
【0126】この補強板200は金属板材のロール成形
品よりなり、ロール成形により形成された車両前後方向
(補強板200の長手方向)に沿うビード201を有す
ることにより、車両前後方向の強度よりも、車両左右方
向の強度の方が低く設定されている。そして、この補強
板200は、ドアインナパネル40の基板部40aから
上板部40bにかけての角部40kの表面に、車両前後
方向全域にわたって接合されている。この場合、ドアイ
ンナパネル40には、前記第1実施例から第7実施例で
述べたような切欠や凹部は形成されていない。
【0127】補強板200は、図27に示すように、ド
アインナパネル40の基板部40aの表面に合わせられ
る縦板部200aと、ドアインナパネル40の上板部4
0bに合わせられる横板部200bと、ドアインナパネ
ル40の角部40kに対応する角部200kとを持つ断
面略L字形のもので、横板部200bに断面S字形のビ
ード201が形成されている。この場合のビード201
は、ドアインナパネル40の上板部40bと基板部40
aの交差する角部40kのちょうど上側に位置してお
り、ドアインナパネル40の表面との間に、わずかな空
隙202(ビード201の初期段階の変形を吸収するた
めのもの)を確保するような形に形成されている。
【0128】すなわち、ビード201は断面S字形に成
形されることにより、第1、第2、第3の3枚の板部2
01a,201b,201cを有しており、縦板部20
0aに角部200kを介して連なる第1の板部201a
が一番上に位置し、横板部200bの先端側に連なる第
3の板部201cが一番下に位置し、第1の板部201
aと第3の板部201cの間の第2の板部201bが、
第1の板部201aと第2の板部201cとの中間に挟
まれている。
【0129】そして、補強板200の角部200kから
ビード201の第1の板部201aにかけての部分が、
ドアインナパネル40の角部40kを覆うように被さ
り、それにより、ドアインナパネル40の角部40kの
表面と、補強板200のビード201の第1の板部20
1aから角部200kにかけての部分との間に、前記空
隙202が確保されている。なお、図23において、9
0はトリムである。
【0130】また、図26に示すように、ドアインナパ
ネル40の後端側には、上方に延びたサッシュ縦枠部4
0sが設けられており、補強板200は、このサッシュ
縦枠部40sにまで延ばされている。そして、補強板2
00の端部の横板部200bは、そのままではこのサッ
シュ縦枠部40sに干渉するので、縦板部200aと同
じ面内にまで引き起こされた部分200cで、サッシュ
縦枠部40sに合わせられ、溶接されている。
【0131】このように、補強板200を接合した場
合、ドアウエスト部41においてドアインナパネル40
と補強板200が二重に存在することになり、その結
果、ドアウエスト部41の車両前後方向の強度は高くな
るが、車両幅方向の強度は高くなることはない。従っ
て、ドアインナパネル40を薄い材料で構成してドアイ
ンナパネル40自体の強度を落としても、補強板200
がドアウエスト部41を前後方向に補強する。それと同
時に、車両左右方向の強度はあまり高くならない。よっ
て、車幅方向にドアウエスト部41の潰れ易さは変わら
ず、ドアに乗員が干渉した場合の衝撃吸収作用が維持出
来、ドアから乗員に対する反力の上昇を抑えることがで
きる。また、補強板200によって、車両前後方向のド
アウエスト部41の強度を高めることができるので、前
突時のドアの反力を高めることができる。特に、サッシ
ュ縦枠部40sの付根が補強板200の部分200cに
よって補強され、前面衝突時にフロントピラーから入力
される荷重をもドアサッシュの部分を介して効果的に分
散させることができる。
【0132】また、ロール成形品の補強板200を用い
たので、低コスト化を図ることができる上、ビード20
1の形や位置を任意に設定することができ、その結果、
乗員と干渉した場合の衝撃吸収作用をより効果的に実現
することができると共に、前後方向の強度増加をより自
由に行うことができる。
【0133】また、加工性の点では、前記第1実施例〜
第7実施例と同様に、ドアインナパネル40と別に成形
して張り付けるだけであるから、ドアインナパネル40
の加工性を損なうことがない。
【0134】なお、この実施例では、ドアインナパネル
40の表面側にビード付きの補強板200を張り付けた
場合を示したが、ドアインナパネル40の裏面に補強板
を張り付けることが可能ならば、裏面に張り付けてもも
ちろん良い。
【0135】また、ビード201の形状や位置は任意に
変更可能であり、図24に示す補強板210のように、
縦板部200aと横板部200bの交差する角部200
kに、断面C字形の瘤のような形状のビード211を設
けてもよい。その場合も、ビード211とドアインナパ
ネル40の角部40kの表面との間には空隙202が確
保されている。
【0136】〔第9実施例〕図29は本発明の第9実施
例を示す。
【0137】この実施例は、第8実施例とドアのタイプ
が異なり、サッシュレスのドアの場合である。このタイ
プのドアの場合は、ドアインナパネル40の上板部40
bの終端まで補強板200が延びており、そこで補強板
200も途切れている。
【0138】この実施例のドア構造も、ドアサッシュの
部分を介した荷重伝達以外は第8実施例と略同様の作用
効果を奏する。
【0139】〔第10実施例〕図30,図31,図32
は本発明の第10実施例を示す。
【0140】図30はドアウエスト部41の分解斜視
図、図31は図30のXXXI−XXXI矢視断面図、
図32は図30のXXXII−XXXII矢視断面図で
ある。
【0141】この実施例では、補強板200を用いず
に、ドアウエスト部41の補強用の部材としてハニカム
材300を用いている。このハニカム材300は、構造
的には前記第7実施例のものと同じもので、車両前後方
向に軸線方向を向けて、ドアインナパネル40の上板部
40aの下側に配設され、ドアインナパネル40とウエ
ストインナレインフォースメント50とで構成されるド
アウエスト部41の閉断面内に装填されている。ハニカ
ム材300の端部は、ドアインナパネル40に接合され
たウエストインナレインフォースメント50の袋状端壁
50fに当たるように装填されている。
【0142】この構造では、ハニカム材300自身が軸
線方向に高い強度を持つと共に軸線方向と直交する方向
には低い強度を持つ。従って、ハニカム材300をドア
ウエスト部41の閉断面内に装填したことにより、ドア
ウエスト部41の強度を車両前後方向で極めて高く、車
両左右方向でそれより低くすることが容易にできる。つ
まり、乗員とドアが干渉した際には、ドアウエスト部4
1と乗員との間に反力が発生することになるが、ハニカ
ム材300の影響はほとんどなく、乗員に働く反力を上
昇させることはない。これに対し、車両前後方向の強度
は格段にアップし、前面衝突時の荷重伝達をより確実に
行なうことができる。
【0143】また、この場合も、加工性の点では、ハニ
カム材300はドアインナパネル40と別構成のもので
あるため、ドアインナパネル40の加工性を損なうこと
はない。
【0144】さらに、ドアインナパネル40、ウエスト
インナレインフォースメント50を薄板化することがで
き、軽量化を図ることが可能である。
【0145】〔第11実施例〕図33、図34は本発明
の第11実施例を示す。
【0146】図33はドアウエスト部41の分解斜視
図、図34は図33のXXXIV−XXXIV矢視断面
図である。
【0147】この実施例は、第10実施例とドアのタイ
プが異なり、サッシュレスのドアの場合である。このタ
イプのドアの場合は、ドアインナパネル40の上板部4
0bの終端まで補強材としてのハニカム材300が延び
ており、ハニカム材300の端部が水平板部40bから
折れ曲がった袋状端壁40fに当接している。
【0148】この実施例のドア構造も第10実施例と略
同様の作用効果を奏する。また、ハニカム材300が袋
状端壁40fに当接していることで、前面衝突時の荷重
をハニカム材300で直ちに受けることが可能となり、
より確実な荷重伝達ができる。
【0149】以上述べた効果は、車両の最前列席の側部
のドアに上記実施例のドア構造を採用した場合、非常に
有効に発揮されることになるが、最前列席のドアに限ら
ず、後部席側のドアに適用することも可能である。
【0150】なお、上記実施例では、ウエストインナレ
インフォースメント50が存在する場合を述べたが、ウ
エストインナレインフォースメント50が存在しないド
アにも、本発明は採用可能である。
【0151】また、以上の実施例では、ビードを設ける
場合でも1本だけ設ける場合を示したが、ビードの本数
は複数であってもよい。その場合、車両前後方向に並べ
て複数本形成してもよいし、左右方向に平行に並べて複
数本形成してもよい。
【0152】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
よれば、ドアウエスト部に車両前後方向の強度を大き
く、車両幅方向の強度を相対的に小さくした部材を設定
したので、部材によって、前面衝突に対する車両前後方
向の強度を維持あるいは補強しつつ、側面衝突時の乗員
の干渉による衝撃を吸収することができ、乗員に対する
ドアからの反力を低下させることができる。特に、別に
配設する部材自体の強度を、前後方向よりも左右方向で
小さくなるように設定しているので、部材の成形とドア
インナパネルの成形とを別に行うことができ、部材の成
形による影響が、ドアインナパネルの成形時に出ること
を極力回避することができる。従って、ドアインナパネ
ルの加工性を損なうことなく、乗員に対する衝撃緩和作
用を得ることができる。
【0153】請求項2の発明によれば、部材にビードを
形成することにより、車両前後方向の強度よりも左右方
向の強度を小さくしたので、部材がビードをきっかけに
して車幅方向に潰れやすくなる。従って、側面衝突時に
乗員の側部がドアに干渉した場合、その衝撃を、ビード
をきっかけにして部材が潰れることにより吸収すること
ができ、乗員に対するドアからの反力を低下させること
ができる。また、この場合ビードを部材に形成するだけ
でよいから、加工が簡単にできる上、強度の大きさの調
節が簡単にできる。また、部材に車両左右方向の強度低
下のためのビードを加工する場合、ドアインナパネル側
と切り離した状態で部材側のビードの加工を進めること
ができるので、ビードの加工によるドアインナパネル側
の変形等を回避することができ、加工性を向上させるこ
とができる。
【0154】請求項3の発明によれば、部材の横板部に
ビードがあるので、横板部の車両幅方向の座屈強度が低
下して、車両幅方向の強度が低下し、該横板部の潰れ過
程において、乗員の干渉による衝撃を効率良く吸収する
ことができる。
【0155】請求項4の発明によれば、切欠のある部分
ではドアの車両左右方向の強度がさらに低下することに
なるので、衝突時の乗員に対する衝撃緩和作用がさらに
大きくなる。
【0156】請求項5の発明によれば、凹部のある部分
では、補助材のみで衝突時の初期段階における乗員から
の荷重を受けるので、乗員に対する衝撃緩和作用がさら
に大きくなる。また、凹部を設けた場合は、切欠を設け
た場合と違って、周辺の強度低下が少ないので、ドアの
構造材の強度を高く保ちながら、乗員に対する大きな衝
撃緩和作用を得ることができる。
【0157】請求項6の発明によれば、部材のビードを
部分的に設けたので、その長さを適当に変えることで、
車両の前後方向の強度と左右方向の強度の大きさを簡単
に調節することができる。
【0158】請求項7の発明によれば、部材の前後方向
の強度と左右方向の比率を大きく設定できるので、前後
方向の強度を維持あるいは補強しつつ、左右方向の強度
を大幅に低下させることができる。従って、衝突時の乗
員の干渉による衝撃を効率良く吸収でき、乗員に対する
反力をより小さくすることができる。
【0159】請求項8の発明によれば、ロール成形品を
部材として用いたので、ビードを後からプレス成形する
必要がなく、成形した素材のまま使用することができ、
低コスト化を図ることができる。また、成形段階でビー
ドの形や位置等を任意(プレス成形ではできない形や位
置)に設定することができ、より効果的な衝撃吸収作用
を実現することができる。
【0160】請求項9の発明によれば、部材とドアイン
ナパネルの接合部を連続した一枚の板のように加工する
ことができ、段差の少ない表面を作ることができる。よ
って、途中で材質や板厚が異なっても、外見上その変化
が分からなくなり、トリムを取付ける際にも、特別の配
慮がいらなくなる。
【0161】請求項10の発明によれば、予め部材をド
アインナパネルに溶接した上で、ドアインナパネルのプ
レス成形を行うので、成形したドアインナパネルの寸法
精度等を高めることができ、加工性の向上が図れる。
【0162】請求項11の発明によれば、部材が車幅方
向に一層潰れやすくなることによって、乗員がドアに干
渉した際の衝撃吸収作用がさらに高まり、ドアから乗員
に対する反力をより低下させることができる。
【0163】請求項12の発明によれば、軸線方向を車
両前後方向に向けたハニカム材を部材の裏側に配設した
ことにより、車両前後方向の強度を大幅に高めることが
できる。従って、車両前後方向の強度増加により、前突
時のドア部分の前後方向反力を高めることができる。ま
た、ハニカム材は車両左右方向の強度増加にはあまり寄
与しないので、乗員の側部が干渉した際の部材による衝
撃吸収作用は、ほとんどそのまま期待できる。
【0164】請求項13の発明によれば、部材をドアイ
ンナパネルのドアウエスト部の表面又は裏面に沿って設
けるだけで、車両前後方向と車両左右方向の強度の差を
出すことができる。従って、乗員の干渉による衝撃吸収
作用を高くすることができ、ドアから乗員に対する反力
の低下を図ることができる。また、部材によって、車両
前後方向のドアの強度を維持あるいは高めることができ
るので、前突時のドアの反力を高めることができる。
【0165】請求項14の発明によれば、部材にビード
を形成することにより、車両前後方向の強度よりも車両
左右方向の強度を小さくしたので、部材がビードをきっ
かけにして車幅方向に潰れやすくなる。従って、衝突時
に乗員の側部がドアに干渉した場合、その衝撃を、ビー
ドをきっかけにして部材が潰れることにより吸収するこ
とができ、乗員に対するドアからの反力を低下させるこ
とができる。また、この場合ビードを部材に形成するだ
けでよいから、加工が簡単にできるうえ、強度の大きさ
の調節が簡単にできる。さらに、強度の調節が可能な部
材をドアインナパネルとは別に設けたから、ドアインナ
パネル側の加工性が向上する。
【0166】請求項15の発明によれば、ロール成形品
を部材として用いたので、低コスト化を図ることができ
る上、ビードの形や位置を任意に設定することができ、
乗員と干渉した場合の衝撃吸収作用をより効果的に実現
することができると共に、前後方向の強度増加をより自
由に行うことができる。
【0167】請求項16の発明によれば、ハニカム材の
存在により、乗員がドアに干渉した場合の衝撃吸収作用
をハニカム材が担うことになり、乗員に対するドアから
の反力の低下を図ることができる。
【0168】請求項17の発明によれば、ドア全体の強
度低下を抑制しながら、乗員の干渉部分の強度を局部的
に低下させることができるので、衝突時の乗員の干渉に
よる衝撃を部材が潰れることにより吸収することがで
き、乗員に対するドアからの反力を低下させることがで
きる。
【0169】請求項18の発明によれば、部材とドアイ
ンナパネルの接合部を連続した一枚の板のように加工す
ることができ、段差の少ない表面を作ることができる。
よって、途中で材質や板厚が異なっても、外見上その変
化が分からなくなり、トリムを取付ける際にも、特別の
配慮がいらなくなる。
【0170】請求項19の発明によれば、ドアインナパ
ネルより強度の低い部材の溶接後に、ドアインナパネル
のプレス成形を行うので、成形時に溶接歪等の影響が出
にくくなり、製作精度が向上して生産性の向上が図れ
る。
【0171】請求項20の発明によれば、ハニカム材を
部材の裏側に配設したことにより車両前後方向の強度を
大幅に高めることができる。従って、車両前後方向の強
度増加により、前突時のドア部分の前後方向反力を高め
ることができる。また、ハニカム材は車両左右方向の強
度増加にはあまり寄与しないので、乗員の側部が干渉し
た際の部材による衝撃吸収作用はほとんどそのまま期待
できる。
【0172】請求項21の発明によれば、ウエストイン
ナレインフォースメントの存在により、ドアウエスト部
の車両前後方向の強度を格段に高めることができ、また
その強度を高めたドアウエスト部の車両前後方向の強度
および車両左右方向の強度を、部材によって自由に調整
することができる。
【0173】請求項22の発明によれば、前席ドアが車
両前面衝突時の衝撃を緩和し、前席の潰れを抑制するこ
とができるので、車両の安全性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例のドア構造の車内側から見
た斜視図である。
【図2】図1のII−II矢視断面図である。
【図3】図1のIII部の拡大図である。
【図4】(a)は図3のIV−IV矢視断面図、(b)
はその変形例を示す断面図である。
【図5】図3に示すドア構造の分解斜視図である。
【図6】本発明の有用性を説明するために提示する図で
あり、車両が前突した時に主として衝撃を吸収する箇所
の説明図である。
【図7】本発明の有用性を説明するために提示する図で
あり、車両のドアウエスト部の前後方向の潰れ量と前後
方向反力の関係を示す特性図である。
【図8】本発明の有用性を説明するために提示する図で
あり、衝突時における乗員とドアの干渉量とドアウエス
ト部の左右方向反力の関係を示す特性図である。
【図9】本発明による左右方向反力の低減効果の説明に
用いる、図33と同様の関係を示す特性図である。
【図10】本発明の第2実施例の車内側から見た要部斜
視図である。
【図11】図10のXI−XI矢視断面図である。
【図12】図10に示すドア構造の分解斜視図である。
【図13】本発明の第3実施例の車内側から見た要部斜
視図である。
【図14】図13のXIV−XIV矢視断面図である。
【図15】本発明の第4実施例の車内側から見た要部斜
視図である。
【図16】図15のXVI−XVI矢視断面図である。
【図17】本発明の第5実施例の車内側から見た要部斜
視図である。
【図18】(a)は図17のXVIII−XVIII矢
視断面図、(b)はその変形例を示す断面図である。
【図19】本発明の第5実施例におけるドアインナパネ
ルのプレス成形前の状態を示す平面図である。
【図20】本発明の第6実施例の車内側から見た要部斜
視図である。
【図21】図20のXXI−XXI矢視断面図である。
【図22】図21の変形例を示す断面図である。
【図23】図21のさらに別の変形例を示す断面図であ
る。
【図24】本発明の第7実施例の車内側から見た分解斜
視図である。
【図25】図24のXXV−XXV矢視部の組立状態に
おける断面図である。
【図26】本発明の第8実施例の車内側から見た要部斜
視図である。
【図27】図26のXXVII−XXVII矢視部の組
立状態における断面図である。
【図28】図27の変形例を示す断面図である。
【図29】本発明の第9実施例の車内側から見た要部斜
視図である。
【図30】本発明の第10実施例の車内側から見た要部
分解斜視図である。
【図31】図30のXXXI−XXXI矢視部の組立状
態における断面図である。
【図32】図30のXXXII−XXXII矢視部の組
立状態における断面図である。
【図33】本発明の第11実施例の車内側から見た要部
分解斜視図である。
【図34】図33のXXXIV−XXXIV矢視部の組
立状態における断面図である。
【図35】従来のドア構造の一例を示す車内側から見た
要部斜視図である。
【図36】図35のXXXVI−XXXVI矢視断面図
である。
【図37】従来のドア構造を構成するドアパネルの成形
時の問題の説明に用いる断面図である。
【符号の説明】
30 ドア 40 ドアインナパネル 41 ドアウエスト部 42 切欠 43 凹部 50 ウエストインナレインフォースメント 100,110,120,130 衝撃吸収板(部材) 140,150,170 衝撃吸収板(部材、ロール成
形品) 100a 水平板部 101,121,151,161,171 ビード 200,210 補強板(部材) 201,211 ビード 300 ハニカム材(部材)

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドアインナパネルとドアアウタパネルと
    からなり、ドアウエスト部を有する車両側部のドア構造
    において、 前記ドアウエスト部の少なくともシートに着座した乗員
    の側部と対向する部分に、車両前後方向の強度を大き
    く、車両幅方向の強度を相対的に小さくした部材を設定
    したことを特徴とする車両のドア構造。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の車両のドア構造であっ
    て、 前記部材は、車両前後方向に沿うビードが形成された板
    材からなることを特徴とする車両のドア構造。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の車両のドア構造であっ
    て、 前記部材は、横板部を有し、該横板部に前記ビードが
    上、又は下に突設されていることを特徴とする車両のド
    ア構造。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載の車両のドア構造で
    あって、 前記ドアウエスト部の少なくともシートに着座した乗員
    の側部と対向する部分で前記ドアインナパネルに切欠を
    設け、該切欠を覆うように、前記部材を設けたことを特
    徴とする車両のドア構造。
  5. 【請求項5】 請求項2又は3記載の車両のドア構造で
    あって、 前記ドアウエスト部の少なくともシートに着座した乗員
    の側部と対向する部分で前記ドアインナパネルに、凹部
    を形成し、該凹部を覆うように、前記部材を設けたこと
    を特徴とする車両のドア構造。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5記載の車両のドア構造で
    あって、 前記部材は、前記ビードを該部材の車両前後方向の中間
    部に所定長さ形成したことを特徴とする車両のドア構
    造。
  7. 【請求項7】 請求項4又は5記載の車両のドア構造で
    あって、 前記部材は、前記ビードを、該部材の前後方向全域にわ
    たって形成したことを特徴とする車両のドア構造。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の車両のドア構造であっ
    て、 前記部材は、前記ビードをロール成形したロール成形品
    であることを特徴とする車両のドア構造。
  9. 【請求項9】 請求項4〜8のいずれかに記載の車両の
    ドア構造であって、 前記部材の縁部を、前記ドアインナパネルに形成した切
    欠又は凹部の縁部に溶接したことを特徴とする車両のド
    ア構造。
  10. 【請求項10】 請求項4記載の車両のドア構造であっ
    て、 前記ドアインナパネルは、前記部材の縁部を前記ドアイ
    ンナパネルに形成した切欠の縁部に溶接した上でプレス
    成形したものであることを特徴とする車両のドア構造。
  11. 【請求項11】 請求項2〜10のいずれかに記載の車
    両のドア構造であって、 前記部材は、前記ドアインナパネルよりも材質強度が低
    い板材、又は板厚が薄い板材の少なくともいずれかによ
    り構成されていることを特徴とする車両のドア構造。
  12. 【請求項12】 請求項2〜11のいずれかに記載の車
    両のドア構造であって、 前記部材の裏側に、車両前後方向の強度が車両幅方向の
    強度よりも高いハニカム材を設定したことを特徴とする
    車両のドア構造。
  13. 【請求項13】 請求項1記載の車両のドア構造であっ
    て、 前記部材を、前記ドアインナパネルのドアウエスト部の
    表面又は裏面に沿って車両前後方向全域にわたって設け
    たことを特徴とする車両のドア構造。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の車両のドア構造であ
    って、 前記部材を、車両前後方向全域に沿ったビードを有する
    板材で構成したことを特徴とする車両のドア構造。
  15. 【請求項15】 請求項14記載の車両のドア構造であ
    って、 前記部材は、前記ビードをロール成形したロール成形品
    であることを特徴とする車両のドア構造。
  16. 【請求項16】 請求項13記載の車両のドア構造であ
    って、 前記部材を、車両前後方向の強度が車両幅方向の強度よ
    りも高いハニカム材で構成したことを特徴とする車両の
    ドア構造。
  17. 【請求項17】 ドアインナパネルとドアアウタパネル
    とからなり、ドアウエスト部を有する車両側部のドア構
    造において、前記ドアウエスト部の少なくとも乗員の側
    部と対向する部分で前記ドアインナパネルに切欠又は凹
    部を設け、該切欠又は凹部を覆うように、前記ドアイン
    ナパネルよりも材質強度が低い板材又は前記ドアインナ
    パネルよりも板厚が薄い板材の少なくともいずれかによ
    り構成した部材を設けたことを特徴とする車両のドア構
    造。
  18. 【請求項18】 請求項17記載の車両のドア構造であ
    って、 前記部材の縁部を、前記ドアインナパネルに形成した切
    欠又は凹部の縁部に溶接したことを特徴とする車両のド
    ア構造。
  19. 【請求項19】 請求項17記載の車両のドア構造であ
    って、 前記ドアインナパネルは、前記部材の縁部を前記ドアイ
    ンナパネルに形成した切欠の縁部に溶接した上でプレス
    成形したものであることを特徴とする車両のドア構造。
  20. 【請求項20】 請求項17〜19のいずれかに記載の
    車両のドア構造であって、 前記部材の裏側に、車両前後方向の強度が車両幅方向の
    強度よりも高いハニカム材を設定したことを特徴とする
    車両のドア構造。
  21. 【請求項21】 請求項12,16,20のいずれかに
    記載の車両のドア構造であって、 前記ドアインナパネルのドアウエスト部に、ウエストイ
    ンナレインフォースメントを接合し、前記ハニカム材を
    前記ドアインナパネルとウエストインナレインフォース
    メントとの間に設定したことを特徴とする車両のドア構
    造。
  22. 【請求項22】 請求項1〜21のいずれかに記載の車
    両のドア構造であって、 前記ドアが車両の最前列席側部のドアであることを特徴
    とする車両のドア構造。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008161911A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Sumitomo Metal Ind Ltd 衝撃吸収部材及びその製造方法
JP2009196488A (ja) * 2008-02-21 2009-09-03 Aisin Takaoka Ltd 車両用衝突補強材
WO2013129181A1 (ja) * 2012-02-27 2013-09-06 アイシン精機株式会社 ベルトラインリインフォースメント

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WO2013129181A1 (ja) * 2012-02-27 2013-09-06 アイシン精機株式会社 ベルトラインリインフォースメント

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