JPH0810318A - 透析濾過装置 - Google Patents

透析濾過装置

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JPH0810318A
JPH0810318A JP6147292A JP14729294A JPH0810318A JP H0810318 A JPH0810318 A JP H0810318A JP 6147292 A JP6147292 A JP 6147292A JP 14729294 A JP14729294 A JP 14729294A JP H0810318 A JPH0810318 A JP H0810318A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ダブル・シリンダ構造のポンプを用いて透析
濾過操作とこれによる血液量の不足を補うための透析液
の血液側への押し込み操作を交互に行うと共に、体内へ
の返送血液量の変動を抑えるようにした透析濾過装置に
おいて、かかるポンプにおけるシール性とその耐久性を
向上させて、作動の安定化および信頼性の向上を図るこ
と。 【構成】 ポンプ30の第二のシリンダ室38bを静脈
チャンバ26の空気室に接続する接続通路28上に、可
撓性膜66で仕切られた一対の分割室68a,68bを
備えた圧力伝達部材60を介在せしめて、その一方の分
割室68aを第二のシリンダ室38bに、他方の分割室
68bを静脈チャンバ26の空気室に、それぞれ連通す
ると共に、該圧力伝達部材60におけるポンプ側分割室
とそれに連通されたポンプ30の第二のシリンダ室38
bに液体を充填した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、半透膜を介して透析液を血液に
接触せしめて、血液側から透析液側に血液成分の一部を
引き出したり、透析液側から血液側に透析液を押し込ん
だりすることを繰り返し行うことによって、血液透析濾
過とこれによる血液量の減少分の透析液による補充を交
互に同一の半透膜を介して実施し得る透析濾過装置に関
するものである。
【0002】
【背景技術】近年、腎不全の患者の治療や生命の維持の
ために、血液を透析,浄化する装置、所謂人工腎臓が、
広く用いられるようになってきている。かかる装置に
は、函体内に中空繊維状のセルロース膜,キュプロアン
モニウムレーヨン膜,ポリアクリルニトリル膜等の半透
膜を収容した浄化器が用いられ、これによって、例えば
血液透析濾過操作の場合には、該半透膜を介して血液を
透析液に接触せしめることにより、患者の血液中に蓄積
した尿素,尿酸等を透析,除去せしめると共に、該半透
膜の濾過作用により、血液から主として不要な物質を含
む溶液を引き出し、除去する一方、これにより不足した
血液量を血液に必要な物質を含む溶液を投与することに
より補うようになっている。
【0003】そして、このような人工腎臓の一種とし
て、特公昭58−14223号公報には、単位時間当た
りの浄化器への透析液の流入量と流出量の差を、正から
負へ、そして負から正へと繰り返し変化せしめて、浄化
器の半透膜を介して透析液を血液側に押し入れ、次いで
血液側から透析液側へ血液成分の一部を濾過液として引
き出す操作を繰り返し行うことにより、上述の如き血液
透析濾過とこれによる血液量の減少分の透析液による補
充を交互に同一の半透膜を介して実施する透析濾過装置
が、開示されている。
【0004】さらに、特開平5−245195号公報に
は、そのようにして血液側から透析液側へ血液成分の一
部を濾過液として引き出し、次いで透析液を血液側へ押
し入れ、更にこれに伴って生ずる体内への返送血液量の
周期的な増減の軽減をダブル・シリンダ構造のポンプに
よって行い、且つ該ポンプのピストンの駆動が最適に制
御される透析濾過装置が、開示されている。即ち、かか
る透析濾過装置においては、浄化器からの血液流出流路
上に血液を貯留する静脈チャンバが配設されていると共
に、浄化器に透析液を給排する透析液流路と静脈チャン
バの間に、ピストンを挟んだ両側に第一のシリンダ室お
よび第二のシリンダ室が形成されたダブル・シリンダ構
造のポンプ(複動型シリンダ構造のポンプ)が配設され
て、該第一のシリンダ室が透析液流路に接続される一
方、第二のシリンダ室が静脈チャンバの空気室に接続さ
れてなる構造とされており、ポンプのピストンを第一の
シリンダ室側に駆動せしめて透析液を血液側に押し入れ
る際の浄化器よりの返送血液量の増加分およびポンプの
ピストンを第二のシリンダ室側に駆動せしめて血液の一
部を透析液側に引き出す際の浄化器よりの返送血液量の
減少分が、第二のシンリダ室の容積変化に伴う静脈チャ
ンバの血液面の上下変化によって吸収されることによ
り、返送血液流路における圧力変動が抑えられて生体へ
の返送血液流量が安定化せしめられ、且つ該ポンプのピ
ストンの駆動が自動的に最適に制御されるようになって
いるのである。
【0005】ところで、このような構造の透析濾過装置
においては、ダブル・シリンダ構造とされたポンプにお
ける第一及び第二のシリンダ室に流体の漏れがあると、
目的とする返送血液流量の安定化が有効に達成され得な
いことは勿論、第二のシリンダ室が生体に血液を返送す
る血液流路に接続されているために重大な問題を生ずる
おそれがあり、それ故、高度なシール性が要求されるこ
ととなる。
【0006】ところが、かかるポンプにあっては、その
第一のシリンダ室に透析液が給排される一方、第二のシ
リンダ室に空気が給排されるために、ピストンの滑動面
に対して、液体(透析液)と気体(空気)の両者に対す
るシール性が要求されることとなり、ピストンの滑動面
におけるシール構造が難しいという問題があった。
【0007】すなわち、このようなポンプでは、一般
に、ピストンの滑動面にOリング等のシール材を配設す
ることにより、第一及び第二のシリンダ室のシール性を
得るようになっているが、上述の如く、第一のシリンダ
室側では液体に対するシール性が、第二のシリンダ室側
では気体に対するシール性が、それぞれ要求されるため
に、シール材の選定が難しかったのであり、特に、気体
に対して充分なシール性を得ることが難しいために、第
二のシリンダ室からの気体の漏れが惹起され易く、ま
た、第二のシリンダ室側のピストン滑動面では液体によ
る冷却や潤滑作用が望めないために、シール材の第二の
シリンダ室側のピストン滑動面における磨耗や摩擦熱に
よる劣化が激しく充分な耐久性が得られ難いという問題
があった。
【0008】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、ダブル・シリンダ構造のポンプの第一のシ
リンダ室を透析液流路に、第二のシリンダ室を血液流路
の静脈チャンバに、それぞれ接続せしめて、該ポンプの
作動により、血液透析濾過とこれによる血液量の不足を
補うための透析液の血液側への押し込みを交互に繰り返
して行うようにした透析濾過装置において、ポンプにお
ける第一及び第二のシリンダ室のシール性とその耐久性
を向上せしめて、作動の安定性および信頼性を向上せし
めることにある。
【0009】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明の特徴とするところは、血液流路を通じて流入,流
出せしめられる血液を、透析液流路を通じて流入,流出
せしめられる透析液に対して、半透膜を介して接触せし
める浄化器を有する一方、血液流路における浄化器から
の流出側流路上に血液を貯留する静脈チャンバが配設さ
れると共に、透析液流路と静脈チャンバとの間に、ピス
トンを挟んだ両側に第一のシリンダ室および第二のシリ
ンダ室が形成されたダブル・シリンダ構造(複動型シリ
ンダ構造)のポンプが配設されて、該第一のシリンダ室
が透析液流路に、該第二のシリンダ室が静脈チャンバの
空気室に、それぞれ接続された透析濾過装置において、
ポンプにおける第二のシリンダ室を静脈チャンバの空気
室に接続する接続通路上に、密閉された内部空間を変形
可能な可撓性膜にて流体密に仕切ることにより一対の分
割室が形成された圧力伝達部材を介在せしめて、その一
方の分割室を第二のシリンダ室に、ポンプ側分割室を静
脈チャンバの空気室に、それぞれ連通せしめると共に、
かかる圧力伝達部材における前記他方の分割室であるポ
ンプ側分割室および該ポンプ側分割室に連通されたポン
プの第二のシリンダ室に液体を充填したことにある。
【0010】また、かくの如き本発明の好ましい態様に
おいては、該透析濾過装置にて患者の治療を行っていな
い場合に、液体が充填された圧力伝達部材におけるポン
プ側分割室およびポンプにおける第二のシリンダ室を透
析液流路に連通せしめて、かかるポンプ側分割室および
第二のシリンダ室に透析液を導いて流通せしめることに
より充填液体としての透析液を交換するための遮断可能
な液体給排流路が、設けられる。
【0011】さらに、本発明の別の好ましい態様におい
ては、ポンプにおける第一のシリンダ室と第二のシリン
ダ室との圧力差が、該ポンプにおけるピストンの各移動
方向においてそれぞれ設定された一定値に保たれるよう
に、該ポンプのピストンに及ぼされる駆動力を制御する
制御手段が、設けられる。
【0012】
【実施例】以下に、本発明をより具体的に明らかにする
ために、本発明に係る透析濾過装置の代表的な実施例に
ついて、図面に基づいて詳細に説明することとする。
【0013】先ず、図1は、本発明に係る透析濾過装置
の一例を示す系統図である。図において、10は血液浄
化装置としての浄化器であり、円筒形状の函体内部に中
空繊維状の半透膜が収容されている。そして、該浄化器
10の軸方向の一端側には、患者の体内から血液を導く
ための血液供給流路12が接続され、また他端側には、
該浄化器10において浄化された血液を患者の体内に戻
すための血液返送流路14が接続されている。更に、該
血液供給流路12上には血液ポンプ16が設けられてい
ると共に、血液返送流路14上には静脈チャンバ26が
配設されて、浄化された血液が一旦貯留されるようにな
っている。かくして、本実施例では、血液供給流路12
および血液返送流路14によって血液流路が構成されて
いると共に、かかる血液流路と血液ポンプ16、静脈チ
ャンバ26より、血液流通手段が構成されているのであ
る。
【0014】また、前記浄化器10には、透析液を器内
に導くための透析液供給流路20が接続されており、更
に該浄化器10において半透膜を介して血液に接触せし
められ、該半透膜の透析および濾過作用により血液から
取り出された不要物質乃至は有害物質を含むようになっ
た透析液を排出するための透析液排出流路18が接続さ
れている。なお、本実施例では、これら透析液供給流路
20と透析液排出流路18によって、透析液流路が構成
されている。そして、かかる透析液流路18,20上に
は、公知の透析液供給・除水調節装置24が設けられて
おり、透析液の供給量と排出量の差が、除水量として調
節され得るようになっている。かくして、透析液供給流
路20、排出流路18、透析液供給・除水調節装置24
より透析液流通・除水手段が構成されているのである。
【0015】さらに、かかる透析濾過装置においては、
透析液流路接続回路27を介して、前記透析液排出流路
18において透析液流路に接続する一方、血液流路接続
回路28を介して、前記静脈チャンバ26の上部空間側
において血液流路に接続するようにして、ピストンを挟
んだ両側に第一及び第二のシリンダ室としての加圧・減
圧室38a,38bを備えたダブル・シリンダ構造のダ
ブルプランジャーポンプ30が設けられている。なお、
52はエアフィルタである。
【0016】図2及び図3には、このダブルプランジャ
ーポンプ30の構造が具体的に示されている。それらの
図において、32は円筒状のシリンダであり、その両端
部には、それぞれ、前記透析液流路接続回路27に接続
するための小径の接続部34、および前記血液流路接続
回路28に接続するための小径の接続部35が形成され
ている。そして、該シリンダ32内には、シリンダ内径
に略等しい外径を有する円柱状のピストン36が配置さ
れており、それによって、該ピストン36の両側に、該
ピストン36の往復移動によって内容積が互いに逆方向
に変動する二つの加圧・減圧室38a,38bが形成さ
れているのである。なお、ピストン36の軸方向両側端
部近くの外周面には、それぞれ、周方向に連続して延び
る凹溝58が形成されて、そこにOリング59が配設さ
れており、かかるOリング59によって、ピストン36
のシリンダ32内面に対する摺動面(滑動面)がシール
されるようになっている。
【0017】また、該ピストン36の軸方向中央部に
は、凹所40が形成されており、該凹所40内には、軸
直角方向に延びる一対のレール溝42,42が形成され
ている。そして、該レール溝42,42には、溝内をス
ライド移動し得るように、断面コ字状のスライド部材4
4が嵌められているのである。
【0018】一方、46は、位置固定の所定の回転駆動
手段によって、回転軸50を中心に回転駆動せしめられ
る回転板である。そして、該回転板46と前記スライド
部材44とは、回転軸50に対して偏心した位置に取り
付けられた連結ピン48にて、互いに連結されている。
従って、該回転板46が回転駆動せしめられると、スラ
イド部材44は、レール溝42,42内を軸直角方向に
スライド移動しつつ、軸方向に移動せしめられることと
なり、それによって、ピストン36が軸方向に往復移動
せしめられるようになっているのである。即ち、それら
レール溝42、スライド部材44および連結ピン48に
て、回転板46の回転運動をピストン36の往復運動に
変換する運動変換機構が構成されているのである。
【0019】そうして、かかるダブルプランジャーポン
プ30の加圧・減圧室の一方(38a)が、図1の如
く、小径の接続部34および前記透析液流路接続回路2
7を介して、透析液流路に接続せしめられ、以て該加圧
・減圧室38a内には透析液が充填されるようになって
いる。そして、この加圧・減圧室38aは、ピストン3
6の移動により内容積を変化させられ、それによって、
前記浄化器10において、半透膜を介して血液側より透
析液側へ血液の一部を濾過し、次いで透析液を血液側に
押し込む操作を繰り返し得るようになっている。即ち、
かかるダブルプランジャーポンプ30は、この加圧・減
圧室38a側において、透析液引き出し・押し込み手段
を構成しているのである。
【0020】一方、加圧・減圧室の他方(38b)は、
小径の接続部35および前記血液流路接続回路28を介
して、血液流路に接続されているが、かかる血液流路接
続回路28上に、圧力伝達装置60が配設されている。
この圧力伝達装置60は、図4に具体的構造が示されて
いるように、それぞれ開口周縁部に外向きのフランジ状
部62を備えた一対の有底円筒体64,64を、開口部
側において互いに重ね合わせて組み付けてなる中空函体
状のハウジングを備えていると共に、有底円筒体64,
64の開口部間に薄肉円形のゴム弾性膜からなるダイヤ
フラム66が配設されて外周縁部をそれら両有底円筒体
64,64のフランジ状部62,62間で流体密に挟持
されている。それによって、かかるハウジングの内部
が、ダイヤフラム66によって流体密に二分割されて第
一の密閉室68aと第二の密閉室68bが形成されてお
り、更に、有底円筒体64,64の底部には、第一の密
閉室68aに連通された接続部70および第二の密閉室
68bに連通された接続部72が、それぞれ形成されて
いる。
【0021】そして、接続部70が、血液流路接続通路
28を介して、ダブルプランジャーポンプ30の接続部
35に接続されることにより、圧力伝達装置60の第一
の密閉室68aがプランジャーポンプ30の加圧・減圧
室38bに連通されている。また、圧力伝達装置60の
第一の密閉室68aは、その壁部に形成された接続部7
4に透析液導入路76が接続されることにより、該透析
液導入路76を通じて、透析液排出流路18に連通され
ている。また一方、ダブルプランジャーポンプ30の加
圧・減圧室38bは、その壁部に形成された接続部78
に透析液流出路80が接続されることにより、該透析液
流出路80を通じて、透析液排出流路18に連通されて
いる。そして、これら互いに連通された圧力伝達装置6
0の第一の密閉室68aとプランジャーポンプ30の加
圧・減圧室38bとに対して、それぞれ、透析液が導か
れて充填されているのである。
【0022】また、それら圧力伝達装置60の第一の密
閉室68aおよびプランジャーポンプ30の加圧・減圧
室38bを透析液排出流路18に連通する透析液導入路
76および透析液流出路80上には、開閉バルブ82,
84が、それぞれ配設されており、それらの開閉バルブ
82,84を閉じることにより、圧力伝達装置60の第
一の密閉室68aおよびプランジャーポンプ30の加圧
・減圧室38bが、何れも、透析液排出流路18から遮
断されるようになっている。そして、開閉バルブ82,
84を閉じて、第一の密閉室68aと加圧・減圧室38
bを透析液排出流路18から遮断せしめた状態下におい
て、プランジャーポンプ30のピストンを駆動すること
により、加圧・減圧室38bに惹起される圧力変動が、
その内部に充填された透析液を介して、圧力伝達装置6
0の第一の密閉室68aに伝達され、更に、この第一の
密閉室68aの圧力変動が、ダイヤフラム66の変形に
基づいて第二の密閉室68bに及ぼされることにより、
かかる第二の密閉室68bに充填された空気圧が変動さ
れて、かかる空気圧変動が血液流路接続回路28を通じ
て、静脈チャンバ26の空気室に圧力変動が及ぼされる
ようになっているのである。
【0023】更にまた、透析液導入路76上には、循環
ポンプ86が配設されており、開閉バルブ82,84を
開いた状態下にこの循環ポンプ86を作動させることに
より、透析液排出流路18を流通する透析液が、透析液
導入路76から第一の密閉室68aを通じて加圧・減圧
室38bに導かれた後、透析液流出路80から透析液排
出流路18に流出せしめられ、それによって、第一の密
閉室68aおよび加圧・減圧室38bに充填された透析
液が新たな透析液に交換され得るようになっている。
【0024】要するに、ダブルプランジャーポンプ30
の加圧・減圧室38bは、ピストン36の移動により、
透析液流路側の加圧・減圧室38aの内容積の増減に同
期せしめられて、その増減とは逆の関係で、内容積が変
化させられ、その内容積の変化が圧力伝達装置60を介
して、静脈チャンバ26の空気室に及ぼされるようにな
っており、それによって、前記透析液引き出し・押し込
み手段を構成するダブルプランジャーポンプ30の加圧
・減圧室38aの作動により増減する体内への返送血液
量の変動幅を吸収せしめるようになっている。即ち、か
かるダブルプランジャーポンプ30は、この加圧・減圧
室38b側において、血液返送量平均化機構を構成して
いるのである。
【0025】より具体的には、かかる透析濾過装置にあ
っては、透析液導入路76および透析液流出路80上に
配設された開閉バルブ82,84を閉じた状態下に、ダ
ブルプランジャーポンプ30のピストン36が、図1に
おいて左側、即ち透析液流路方向へ移動する際には、透
析液流路側の加圧・減圧室38aの内容積が減少して、
透析液流路へ透析液が押し込まれ、以て浄化器10の半
透膜を介して透析液が血液側に押し入れられる。一方、
血液流路側の加圧・減圧室38bの内容積は、それと同
期して増加するため、圧力伝達装置60の第一の密閉室
68aから該加圧・減圧室38bに透析液が吸引される
こととなり、それに伴って、第二の密閉室68bの容積
が増加して静脈チャンバ26からエアが吸引され、静脈
チャンバ26の水位(血液面高さ)が上昇せしめられ、
以て、浄化器10の半透膜を介して透析液が血液側に押
し込まれるのに伴って生じる体内への血液の返送量の増
加分に略対応する量だけ、静脈チャンバ26における血
液貯留量が増加せしめられることとなる。
【0026】次いで、ダブルプランジャーポンプ30の
ピストン36が、図1において右側、即ち血液流路方向
へ移動する際には、透析液流路側の加圧・減圧室38a
の内容積が増加して、浄化器10では、血液側より透析
液側へ不用物質を含む血液の一部が濾過液として引き出
される。一方、血液流路側の加圧・減圧室38bの内容
積は、それと同期して減少するため、圧力伝達装置60
の第一の密閉室68aに該加圧・減圧室38bから透析
液が流出することとなり、それに伴って、第二の密閉室
68bの容積が減少して静脈チャンバ26にエアが吐出
され、静脈チャンバ26の水位(血液面高さ)が下降せ
しめられ、以て、浄化器10の半透膜を介して血液側よ
り透析液側へ濾過液が引き出されるのに伴って生じる体
内への血液の返送量の減少分に略対応する量だけ、静脈
チャンバ26における血液貯留量が減少せしめられて、
体内への血液の返送量の減少分が補われることとなる。
【0027】かくして、このような透析濾過装置では、
ダブルプランジャーポンプ30の作動により、浄化器1
0の半透膜を介して透析液を血液側に押し入れ、次いで
血液側より透析液側へ不用物質を含む血液の一部を濾過
液として引き出す操作を繰り返し行ない得るようになっ
ており、そしてこれを交互に繰り返すことによって、透
析液と不用物質を含む血液の一部の同量置換が行なわれ
るのである。且つまた、そのような操作において生じる
体内への返送血液量の周期的増減幅を、効果的に解消す
ることができ、体内に返送される血液量を略一定に保つ
ことができる。
【0028】しかも、ダブルプランジャーポンプ30に
おいて、ピストン36を挟んだ両側に形成された加圧・
減圧室38a,38bには、何れも、透析液が充填され
ていることから、ピストン36の滑動面におけるシール
性とその耐久性を確保するために、Oリング59の材質
やシール強度等を決定する際にも、透析液に対するシー
ル性だけを考慮すれば良く、シールが難しい気体に対す
る流体密性を考慮する必要がないのであり、それ故、ピ
ストン36の滑動面におけるシール性とその耐久性、換
言すれば加圧・減圧室38a,38bの流体密性を、容
易に且つ有利に確保することができるのである。
【0029】また、かかるダブルプランジャーポンプ3
0においては、加圧・減圧室38a,38bの何れに
も、液体が充填されていることから、液体の冷却作用に
よってシール材たるOリング59の加熱が防止されて、
材質の劣化が効果的に回避され得るといった利点もあ
る。
【0030】更にまた、本実施例では、ダブルプランジ
ャーポンプ30における加圧・減圧室38a,38bの
何れにも、透析液が充填されていることから、ピストン
36の滑動面を通じて極く僅かな流体の移動があったと
しても、その漏れによって生体の危険を伴うような重大
な問題が惹起されるようなこともないのである。
【0031】さらに、本実施例においては、図1に示す
ように、回転板46に、モーター等の所定の回転駆動手
段54と、回転板46の回転角度を連続的にモニターす
る回転角度モニター手段55が接続されている。また、
該回転駆動手段54には、回転板46の回転トルクを制
御するための制御手段56が接続されており、更に該制
御手段56には、前記回転角度モニター手段55が接続
されている。それにより、リアル・タイムで伝えられる
回転板46の回転角度に従って、該制御手段56にて該
回転駆動手段54が制御され、以て回転板46の回転ト
ルクがその回転角度に応じて制御されるようになってい
るのである。
【0032】より具体的に、図5には、ダブルプランジ
ャーポンプ30上の回転板46が示されている。さて、
この図5において、αは、ダブルプランジャーポンプの
シリンダ軸に沿って、回転軸50から血液流路方向に向
かって右方向に伸びる直線(基準位置)であり、βは、
回転軸50と連結ピン48とを結ぶ直線であり、直線α
に対して直線βが形成する角度θが、回転板46の回転
角度となる。そして、回転軸50と連結ピン48との距
離をL、透析液流路側の加圧・減圧室38aの圧と血液
流路側の加圧・減圧室38bの圧との差をΔP、ダブル
プランジャーポンプのピストンの断面積をSとして表わ
した場合、回転板46の回転角度θにおける回転トルク
Tは、次の式で示される。 T=ΔP・S・L・sin θ
【0033】ここで、ΔPは、加圧・減圧室38aの圧
と加圧・減圧室38bの圧との差を示すが、これは浄化
器10における半透膜を介しての透析液側の圧と血液側
の圧との差に略等しい。そこで、浄化器10において、
血液側へ透析液が押し込まれるときのΔPと、血液側か
ら透析液側へ血液の濾過が行なわれるときのΔPを、符
号が逆で、絶対値が等しいところの、半透膜が許容する
最大の値に設定することにより、回転板46の回転角度
に対応して変化する、制御目標値としての回転トルクT
が、上式から求められることとなる。そうして、本実施
例装置では、前記直線αと前記直線βの為す角度θを、
前記回転角度モニター手段55により連続的にモニター
して、回転板46の任意の回転角度における回転トルク
Tが目標値となるように、制御手段56により、回転板
46を駆動せしめる回転駆動手段54にかかる電圧を制
御するようになっているのである。
【0034】かくして、回転板46の回転トルクが、浄
化器10の半透膜が破れない許容範囲内で、できるだけ
高い膜間圧が維持されるように、制御手段56にて制御
されることによって、半透膜はその濾過能力および透析
液の押し込み能力の最大を有効に発揮せしめられ得るの
であり、安全性を確保しつつ、効率的な透析濾過を行な
うことができるのである。
【0035】なお、より具体的には、一般的な透析操作
における膜間圧は、血液側から透析液側への血液の濾過
が行なわれる場合にも、また血液側へ透析液が押し込ま
れる場合にも300mmHg〜400mmHg程度に制御するこ
とが望ましいことから、そのような膜間圧が維持される
ように、制御手段56にて回転板46の回転トルクを制
御することとなる。また、ダブルプランジャーポンプ3
0の作動による一回当たりの血液からの濾過量或いは透
析液の体内への供給量は、一般的には10〜50ml程度
に設定されることとなり、例えば16.7mlに設定され
る。
【0036】そして、このような制御手段56は、従来
のトランスデューサーによる膜間圧の実測に基づいてフ
ィードバック制御する機構に比較して、極めて構造が簡
単で且つ安価である利点を有している。また、トランス
デューサーを使用する場合には、その消毒やキャリブレ
ーション(較正)が必要であり、更にはトランスデュー
サーが故障の原因となる不具合もあったが、制御手段5
6では、そのような問題がないのである。
【0037】従って、このような制御手段56を用いた
本実施例の透析濾過装置は、安全に且つ効率良く、血液
浄化操作を行なうことができ、体内への返送血液量を一
定に保って、生体への悪影響を良好に回避することがで
きるといった優れた特徴を有すると共に、構造が簡単
で、安価であり、取扱性に優れ、故障の発生も有利に防
止され得るといった優れた利点を兼ね備えているのであ
る。
【0038】また、ダブルプランジャーポンプ30の加
圧・減圧室38bと圧力伝達装置60の第一の密閉室6
8aに充填されている透析液を、新しい透析液に交換す
るためには、患者を治療していない状態で、図1に示す
透析液導入路76および透析液流出路80上に配設され
た開閉バルブ82,84を開き、循環ポンプ86を作動
せしめる。
【0039】以上、本発明に係る透析濾過装置の代表的
な実施例について詳細に説明してきたが、本発明が、上
記の実施例の記載によって、何等の制約をも受けるもの
でないことは、言うまでもないところである。また、本
発明には、上記の実施例の他にも、本発明の趣旨を逸脱
しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる
変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解
されるべきである。
【0040】例えば、前記実施例では、互いに連通され
たダブルプランジャーポンプ30の加圧・減圧室38b
と圧力伝達装置60の第一の密閉室68とが、透析液導
入路76および透析液流出路80を通じて、透析液排出
流路18に接続されていることにより、遮断可能な液体
給排流路が構成されていたが、かかる液体給排流路は、
充填された透析液を交換可能と為し得るものであれば良
く、透析液流出路80の代わりに、単なるドレン口を設
けたり、或いは、循環ポンプ86を設けず、代わりに、
透析液導入路76を透析液供給流路20に接続せしめる
ことにより透析液供給流路20と圧力伝達装置の第一の
密閉室68aとの圧差により、充填された透析液が交換
されるようにすることも可能である。
【0041】また、それらダブルプランジャーポンプ3
0の加圧・減圧室38bと圧力伝達装置60の第一の密
閉室68とに充填される液体は、透析液に限定されるも
のではなく、水やシリコーンオイル等、流動性に優れ、
他部材に悪影響を及ぼさないものであれば、何れも採用
可能である。
【0042】更にまた、ダブルプランジャーポンプ30
において、ピストン36の滑動面におけるシール構造
は、前記実施例のものに限定して解釈されるものでは決
してない。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る透析濾過装置にあっては、ダブル・シリンダ構造
のポンプにおける第一及び第二のシリンダ室に対して、
何れも、透析液等の液体が充填されることから、それら
第一及び第二のシリンダ室における流体密性を有利に且
つ優れた耐久性をもって確保することができるのであ
り、装置の性能および耐久性、更には信頼性が、有利に
向上され得るのである。
【0044】また、ポンプの第二のシンリダ室に透析液
を導いて流通せしめる遮断可能な液体給排流路を設けれ
ば、第二のシンリダ室への液体充填が容易であると共
に、充填液体の交換も容易に行うことができ、優れた装
置の保守性が発揮され得ることとなる。
【0045】さらに、ポンプのピストンに及ぼされる駆
動力を制御する制御手段を設けて、ポンプにおける第一
のシリンダ室と第二のシリンダ室との圧力差が、ピスト
ンの各移動方向においてそれぞれ予め設定された略一定
値に保たれるようにすれば、安全に且つ効率良く血液浄
化操作を行なうことができ、体内への返送血液量を一定
に保って、生体への悪影響を良好に回避することができ
るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る透析濾過装置の一例を示す系統図
である。
【図2】図1の透析濾過装置において使用されるダブル
プランジャーポンプの構造を示す平面断面説明図であ
る。
【図3】図2におけるIII − III線断面を示す断面図で
ある。
【図4】図1の透析濾過装置において使用される圧力伝
達装置の構造を示す平面断面説明図である。
【図5】回転板の回転角度を示す説明図である。
【符号の説明】
10 浄化器 12 血液供給流路 14 血液返送流路 20 透析液供給流路 16 血液ポンプ 18 透析液排出流路 24 透析液供給・除水調節装置 26 静脈チャンバ 30 ダブルプランジャーポンプ 32 シリンダ 36 ピストン 38a,38b 加圧・減圧室 60 圧力伝達装置 66 ダイヤフラム 68a 第一の密閉室 68b 第二の密閉室 76 透析液導入路 80 透析液流出路 82,84 開閉バルブ 86 循環ポンプ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 血液流路を通じて流入,流出せしめられ
    る血液を、透析液流路を通じて流入,流出せしめられる
    透析液に対して、半透膜を介して接触せしめる浄化器を
    有する一方、前記血液流路における前記浄化器からの流
    出側流路上に、血液を貯留する静脈チャンバが配設され
    ると共に、前記透析液流路と該静脈チャンバとの間に、
    ピストンを挟んだ両側に第一のシリンダ室および第二の
    シリンダ室が形成されたダブル・シリンダ構造のポンプ
    が配設されて、該第一のシリンダ室が前記透析液流路
    に、該第二のシリンダ室が前記静脈チャンバの空気室
    に、それぞれ接続された透析濾過装置において、 前記ポンプにおける第二のシリンダ室を前記静脈チャン
    バの空気室に接続する接続通路上に、密閉された内部空
    間を変形可能な可撓性膜にて流体密に仕切ることにより
    一対の分割室が形成された圧力伝達部材を介在せしめ
    て、その一方の分割室を前記第二のシリンダ室に、他方
    の分割室を前記静脈チャンバの空気室に、それぞれ連通
    せしめると共に、かかる圧力伝達部材におけるポンプ側
    分割室および該ポンプ側分割室に連通された前記ポンプ
    における第二のシリンダ室に液体を充填したことを特徴
    とする透析濾過装置。
  2. 【請求項2】 前記液体が充填された前記圧力伝達部材
    におけるポンプ側分割室および前記ポンプにおける第二
    のシリンダ室を前記透析液流路に連通せしめて、かかる
    ポンプ側分割室および第二のシリンダ室に透析液を導い
    て流通せしめることにより充填液体としての透析液を交
    換するための遮断可能な液体給排流路を設けた請求項1
    に記載の透析濾過装置。
  3. 【請求項3】 前記ポンプにおける第一のシリンダ室と
    第二のシリンダ室との圧力差が、該ポンプにおけるピス
    トンの各移動方向においてそれぞれ設定された一定値に
    保たれるように、該ポンプのピストンに及ぼされる駆動
    力を制御する制御手段を設けた請求項1又は2に記載の
    透析濾過装置。
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