JP3563110B2 - 透析濾過装置 - Google Patents

透析濾過装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3563110B2
JP3563110B2 JP14729294A JP14729294A JP3563110B2 JP 3563110 B2 JP3563110 B2 JP 3563110B2 JP 14729294 A JP14729294 A JP 14729294A JP 14729294 A JP14729294 A JP 14729294A JP 3563110 B2 JP3563110 B2 JP 3563110B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chamber
dialysate
pump
blood
flow path
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP14729294A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0810318A (ja
Inventor
徹 新里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nextier Corp
Original Assignee
Nextier Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nextier Corp filed Critical Nextier Corp
Priority to JP14729294A priority Critical patent/JP3563110B2/ja
Publication of JPH0810318A publication Critical patent/JPH0810318A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3563110B2 publication Critical patent/JP3563110B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • External Artificial Organs (AREA)

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、半透膜を介して透析液を血液に接触せしめて、血液側から透析液側に血液成分の一部を引き出したり、透析液側から血液側に透析液を押し込んだりすることを繰り返し行うことによって、血液透析濾過とこれによる血液量の減少分の透析液による補充を交互に同一の半透膜を介して実施し得る透析濾過装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
近年、腎不全の患者の治療や生命の維持のために、血液を透析,浄化する装置、所謂人工腎臓が、広く用いられるようになってきている。かかる装置には、函体内に中空繊維状のセルロース膜,キュプロアンモニウムレーヨン膜,ポリアクリルニトリル膜等の半透膜を収容した浄化器が用いられ、これによって、例えば血液透析濾過操作の場合には、該半透膜を介して血液を透析液に接触せしめることにより、患者の血液中に蓄積した尿素,尿酸等を透析,除去せしめると共に、該半透膜の濾過作用により、血液から主として不要な物質を含む溶液を引き出し、除去する一方、これにより不足した血液量を血液に必要な物質を含む溶液を投与することにより補うようになっている。
【0003】
そして、このような人工腎臓の一種として、特公昭58−14223号公報には、単位時間当たりの浄化器への透析液の流入量と流出量の差を、正から負へ、そして負から正へと繰り返し変化せしめて、浄化器の半透膜を介して透析液を血液側に押し入れ、次いで血液側から透析液側へ血液成分の一部を濾過液として引き出す操作を繰り返し行うことにより、上述の如き血液透析濾過とこれによる血液量の減少分の透析液による補充を交互に同一の半透膜を介して実施する透析濾過装置が、開示されている。
【0004】
さらに、特開平5−245195号公報には、そのようにして血液側から透析液側へ血液成分の一部を濾過液として引き出し、次いで透析液を血液側へ押し入れ、更にこれに伴って生ずる体内への返送血液量の周期的な増減の軽減をダブル・シリンダ構造のポンプによって行い、且つ該ポンプのピストンの駆動が最適に制御される透析濾過装置が、開示されている。即ち、かかる透析濾過装置においては、浄化器からの血液流出流路上に血液を貯留する静脈チャンバが配設されていると共に、浄化器に透析液を給排する透析液流路と静脈チャンバの間に、ピストンを挟んだ両側に第一のシリンダ室および第二のシリンダ室が形成されたダブル・シリンダ構造のポンプ(複動型シリンダ構造のポンプ)が配設されて、該第一のシリンダ室が透析液流路に接続される一方、第二のシリンダ室が静脈チャンバの空気室に接続されてなる構造とされており、ポンプのピストンを第一のシリンダ室側に駆動せしめて透析液を血液側に押し入れる際の浄化器よりの返送血液量の増加分およびポンプのピストンを第二のシリンダ室側に駆動せしめて血液の一部を透析液側に引き出す際の浄化器よりの返送血液量の減少分が、第二のシンリダ室の容積変化に伴う静脈チャンバの血液面の上下変化によって吸収されることにより、返送血液流路における圧力変動が抑えられて生体への返送血液流量が安定化せしめられ、且つ該ポンプのピストンの駆動が自動的に最適に制御されるようになっているのである。
【0005】
ところで、このような構造の透析濾過装置においては、ダブル・シリンダ構造とされたポンプにおける第一及び第二のシリンダ室に流体の漏れがあると、目的とする返送血液流量の安定化が有効に達成され得ないことは勿論、第二のシリンダ室が生体に血液を返送する血液流路に接続されているために重大な問題を生ずるおそれがあり、それ故、高度なシール性が要求されることとなる。
【0006】
ところが、かかるポンプにあっては、その第一のシリンダ室に透析液が給排される一方、第二のシリンダ室に空気が給排されるために、ピストンの滑動面に対して、液体(透析液)と気体(空気)の両者に対するシール性が要求されることとなり、ピストンの滑動面におけるシール構造が難しいという問題があった。
【0007】
すなわち、このようなポンプでは、一般に、ピストンの滑動面にOリング等のシール材を配設することにより、第一及び第二のシリンダ室のシール性を得るようになっているが、上述の如く、第一のシリンダ室側では液体に対するシール性が、第二のシリンダ室側では気体に対するシール性が、それぞれ要求されるために、シール材の選定が難しかったのであり、特に、気体に対して充分なシール性を得ることが難しいために、第二のシリンダ室からの気体の漏れが惹起され易く、また、第二のシリンダ室側のピストン滑動面では液体による冷却や潤滑作用が望めないために、シール材の第二のシリンダ室側のピストン滑動面における磨耗や摩擦熱による劣化が激しく充分な耐久性が得られ難いという問題があった。
【0008】
【解決課題】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、ダブル・シリンダ構造のポンプの第一のシリンダ室を透析液流路に、第二のシリンダ室を血液流路の静脈チャンバに、それぞれ接続せしめて、該ポンプの作動により、血液透析濾過とこれによる血液量の不足を補うための透析液の血液側への押し込みを交互に繰り返して行うようにした透析濾過装置において、ポンプにおける第一及び第二のシリンダ室のシール性とその耐久性を向上せしめて、作動の安定性および信頼性を向上せしめることにある。
【0009】
【解決手段】
そして、かかる課題を解決するために、本発明の特徴とするところは、血液流路を通じて流入,流出せしめられる血液を、透析液流路を通じて流入,流出せしめられる透析液に対して、半透膜を介して接触せしめる浄化器を有する一方、血液流路における浄化器からの流出側流路上に血液を貯留する静脈チャンバが配設されると共に、透析液流路と静脈チャンバとの間に、ピストンを挟んだ両側に第一のシリンダ室および第二のシリンダ室が形成されたダブル・シリンダ構造(複動型シリンダ構造)のポンプが配設されて、該第一のシリンダ室が透析液流路に、該第二のシリンダ室が静脈チャンバの空気室に、それぞれ接続された透析濾過装置において、ポンプにおける第二のシリンダ室を静脈チャンバの空気室に接続する接続通路上に、密閉された内部空間を変形可能な可撓性膜にて流体密に仕切ることにより一対の分割室が形成された圧力伝達部材を介在せしめて、その一方の分割室を第二のシリンダ室に、ポンプ側分割室を静脈チャンバの空気室に、それぞれ連通せしめると共に、かかる圧力伝達部材における前記他方の分割室であるポンプ側分割室および該ポンプ側分割室に連通されたポンプの第二のシリンダ室に液体を充填したことにある。
【0010】
また、かくの如き本発明の好ましい態様においては、該透析濾過装置にて患者の治療を行っていない場合に、液体が充填された圧力伝達部材におけるポンプ側分割室およびポンプにおける第二のシリンダ室を透析液流路に連通せしめて、かかるポンプ側分割室および第二のシリンダ室に透析液を導いて流通せしめることにより充填液体としての透析液を交換するための遮断可能な液体給排流路が、設けられる。
【0011】
さらに、本発明の別の好ましい態様においては、ポンプにおける第一のシリンダ室と第二のシリンダ室との圧力差が、該ポンプにおけるピストンの各移動方向においてそれぞれ設定された一定値に保たれるように、該ポンプのピストンに及ぼされる駆動力を制御する制御手段が、設けられる。
【0012】
【実施例】
以下に、本発明をより具体的に明らかにするために、本発明に係る透析濾過装置の代表的な実施例について、図面に基づいて詳細に説明することとする。
【0013】
先ず、図1は、本発明に係る透析濾過装置の一例を示す系統図である。図において、10は血液浄化装置としての浄化器であり、円筒形状の函体内部に中空繊維状の半透膜が収容されている。そして、該浄化器10の軸方向の一端側には、患者の体内から血液を導くための血液供給流路12が接続され、また他端側には、該浄化器10において浄化された血液を患者の体内に戻すための血液返送流路14が接続されている。更に、該血液供給流路12上には血液ポンプ16が設けられていると共に、血液返送流路14上には静脈チャンバ26が配設されて、浄化された血液が一旦貯留されるようになっている。かくして、本実施例では、血液供給流路12および血液返送流路14によって血液流路が構成されていると共に、かかる血液流路と血液ポンプ16、静脈チャンバ26より、血液流通手段が構成されているのである。
【0014】
また、前記浄化器10には、透析液を器内に導くための透析液供給流路20が接続されており、更に該浄化器10において半透膜を介して血液に接触せしめられ、該半透膜の透析および濾過作用により血液から取り出された不要物質乃至は有害物質を含むようになった透析液を排出するための透析液排出流路18が接続されている。なお、本実施例では、これら透析液供給流路20と透析液排出流路18によって、透析液流路が構成されている。そして、かかる透析液流路18,20上には、公知の透析液供給・除水調節装置24が設けられており、透析液の供給量と排出量の差が、除水量として調節され得るようになっている。かくして、透析液供給流路20、排出流路18、透析液供給・除水調節装置24より透析液流通・除水手段が構成されているのである。
【0015】
さらに、かかる透析濾過装置においては、透析液流路接続回路27を介して、前記透析液排出流路18において透析液流路に接続する一方、血液流路接続回路28を介して、前記静脈チャンバ26の上部空間側において血液流路に接続するようにして、ピストンを挟んだ両側に第一及び第二のシリンダ室としての加圧・減圧室38a,38bを備えたダブル・シリンダ構造のダブルプランジャーポンプ30が設けられている。なお、52はエアフィルタである。
【0016】
図2及び図3には、このダブルプランジャーポンプ30の構造が具体的に示されている。それらの図において、32は円筒状のシリンダであり、その両端部には、それぞれ、前記透析液流路接続回路27に接続するための小径の接続部34、および前記血液流路接続回路28に接続するための小径の接続部35が形成されている。そして、該シリンダ32内には、シリンダ内径に略等しい外径を有する円柱状のピストン36が配置されており、それによって、該ピストン36の両側に、該ピストン36の往復移動によって内容積が互いに逆方向に変動する二つの加圧・減圧室38a,38bが形成されているのである。なお、ピストン36の軸方向両側端部近くの外周面には、それぞれ、周方向に連続して延びる凹溝58が形成されて、そこにOリング59が配設されており、かかるOリング59によって、ピストン36のシリンダ32内面に対する摺動面(滑動面)がシールされるようになっている。
【0017】
また、該ピストン36の軸方向中央部には、凹所40が形成されており、該凹所40内には、軸直角方向に延びる一対のレール溝42,42が形成されている。そして、該レール溝42,42には、溝内をスライド移動し得るように、断面コ字状のスライド部材44が嵌められているのである。
【0018】
一方、46は、位置固定の所定の回転駆動手段によって、回転軸50を中心に回転駆動せしめられる回転板である。そして、該回転板46と前記スライド部材44とは、回転軸50に対して偏心した位置に取り付けられた連結ピン48にて、互いに連結されている。従って、該回転板46が回転駆動せしめられると、スライド部材44は、レール溝42,42内を軸直角方向にスライド移動しつつ、軸方向に移動せしめられることとなり、それによって、ピストン36が軸方向に往復移動せしめられるようになっているのである。即ち、それらレール溝42、スライド部材44および連結ピン48にて、回転板46の回転運動をピストン36の往復運動に変換する運動変換機構が構成されているのである。
【0019】
そうして、かかるダブルプランジャーポンプ30の加圧・減圧室の一方(38a)が、図1の如く、小径の接続部34および前記透析液流路接続回路27を介して、透析液流路に接続せしめられ、以て該加圧・減圧室38a内には透析液が充填されるようになっている。そして、この加圧・減圧室38aは、ピストン36の移動により内容積を変化させられ、それによって、前記浄化器10において、半透膜を介して血液側より透析液側へ血液の一部を濾過し、次いで透析液を血液側に押し込む操作を繰り返し得るようになっている。即ち、かかるダブルプランジャーポンプ30は、この加圧・減圧室38a側において、透析液引き出し・押し込み手段を構成しているのである。
【0020】
一方、加圧・減圧室の他方(38b)は、小径の接続部35および前記血液流路接続回路28を介して、血液流路に接続されているが、かかる血液流路接続回路28上に、圧力伝達装置60が配設されている。この圧力伝達装置60は、図4に具体的構造が示されているように、それぞれ開口周縁部に外向きのフランジ状部62を備えた一対の有底円筒体64,64を、開口部側において互いに重ね合わせて組み付けてなる中空函体状のハウジングを備えていると共に、有底円筒体64,64の開口部間に薄肉円形のゴム弾性膜からなるダイヤフラム66が配設されて外周縁部をそれら両有底円筒体64,64のフランジ状部62,62間で流体密に挟持されている。それによって、かかるハウジングの内部が、ダイヤフラム66によって流体密に二分割されて第一の密閉室68aと第二の密閉室68bが形成されており、更に、有底円筒体64,64の底部には、第一の密閉室68aに連通された接続部70および第二の密閉室68bに連通された接続部72が、それぞれ形成されている。
【0021】
そして、接続部70が、血液流路接続通路28を介して、ダブルプランジャーポンプ30の接続部35に接続されることにより、圧力伝達装置60の第一の密閉室68aがプランジャーポンプ30の加圧・減圧室38bに連通されている。また、圧力伝達装置60の第一の密閉室68aは、その壁部に形成された接続部74に透析液導入路76が接続されることにより、該透析液導入路76を通じて、透析液排出流路18に連通されている。また一方、ダブルプランジャーポンプ30の加圧・減圧室38bは、その壁部に形成された接続部78に透析液流出路80が接続されることにより、該透析液流出路80を通じて、透析液排出流路18に連通されている。そして、これら互いに連通された圧力伝達装置60の第一の密閉室68aとプランジャーポンプ30の加圧・減圧室38bとに対して、それぞれ、透析液が導かれて充填されているのである。
【0022】
また、それら圧力伝達装置60の第一の密閉室68aおよびプランジャーポンプ30の加圧・減圧室38bを透析液排出流路18に連通する透析液導入路76および透析液流出路80上には、開閉バルブ82,84が、それぞれ配設されており、それらの開閉バルブ82,84を閉じることにより、圧力伝達装置60の第一の密閉室68aおよびプランジャーポンプ30の加圧・減圧室38bが、何れも、透析液排出流路18から遮断されるようになっている。そして、開閉バルブ82,84を閉じて、第一の密閉室68aと加圧・減圧室38bを透析液排出流路18から遮断せしめた状態下において、プランジャーポンプ30のピストンを駆動することにより、加圧・減圧室38bに惹起される圧力変動が、その内部に充填された透析液を介して、圧力伝達装置60の第一の密閉室68aに伝達され、更に、この第一の密閉室68aの圧力変動が、ダイヤフラム66の変形に基づいて第二の密閉室68bに及ぼされることにより、かかる第二の密閉室68bに充填された空気圧が変動されて、かかる空気圧変動が血液流路接続回路28を通じて、静脈チャンバ26の空気室に圧力変動が及ぼされるようになっているのである。
【0023】
更にまた、透析液導入路76上には、循環ポンプ86が配設されており、開閉バルブ82,84を開いた状態下にこの循環ポンプ86を作動させることにより、透析液排出流路18を流通する透析液が、透析液導入路76から第一の密閉室68aを通じて加圧・減圧室38bに導かれた後、透析液流出路80から透析液排出流路18に流出せしめられ、それによって、第一の密閉室68aおよび加圧・減圧室38bに充填された透析液が新たな透析液に交換され得るようになっている。
【0024】
要するに、ダブルプランジャーポンプ30の加圧・減圧室38bは、ピストン36の移動により、透析液流路側の加圧・減圧室38aの内容積の増減に同期せしめられて、その増減とは逆の関係で、内容積が変化させられ、その内容積の変化が圧力伝達装置60を介して、静脈チャンバ26の空気室に及ぼされるようになっており、それによって、前記透析液引き出し・押し込み手段を構成するダブルプランジャーポンプ30の加圧・減圧室38aの作動により増減する体内への返送血液量の変動幅を吸収せしめるようになっている。即ち、かかるダブルプランジャーポンプ30は、この加圧・減圧室38b側において、血液返送量平均化機構を構成しているのである。
【0025】
より具体的には、かかる透析濾過装置にあっては、透析液導入路76および透析液流出路80上に配設された開閉バルブ82,84を閉じた状態下に、ダブルプランジャーポンプ30のピストン36が、図1において左側、即ち透析液流路方向へ移動する際には、透析液流路側の加圧・減圧室38aの内容積が減少して、透析液流路へ透析液が押し込まれ、以て浄化器10の半透膜を介して透析液が血液側に押し入れられる。一方、血液流路側の加圧・減圧室38bの内容積は、それと同期して増加するため、圧力伝達装置60の第一の密閉室68aから該加圧・減圧室38bに透析液が吸引されることとなり、それに伴って、第二の密閉室68bの容積が増加して静脈チャンバ26からエアが吸引され、静脈チャンバ26の水位(血液面高さ)が上昇せしめられ、以て、浄化器10の半透膜を介して透析液が血液側に押し込まれるのに伴って生じる体内への血液の返送量の増加分に略対応する量だけ、静脈チャンバ26における血液貯留量が増加せしめられることとなる。
【0026】
次いで、ダブルプランジャーポンプ30のピストン36が、図1において右側、即ち血液流路方向へ移動する際には、透析液流路側の加圧・減圧室38aの内容積が増加して、浄化器10では、血液側より透析液側へ不用物質を含む血液の一部が濾過液として引き出される。一方、血液流路側の加圧・減圧室38bの内容積は、それと同期して減少するため、圧力伝達装置60の第一の密閉室68aに該加圧・減圧室38bから透析液が流出することとなり、それに伴って、第二の密閉室68bの容積が減少して静脈チャンバ26にエアが吐出され、静脈チャンバ26の水位(血液面高さ)が下降せしめられ、以て、浄化器10の半透膜を介して血液側より透析液側へ濾過液が引き出されるのに伴って生じる体内への血液の返送量の減少分に略対応する量だけ、静脈チャンバ26における血液貯留量が減少せしめられて、体内への血液の返送量の減少分が補われることとなる。
【0027】
かくして、このような透析濾過装置では、ダブルプランジャーポンプ30の作動により、浄化器10の半透膜を介して透析液を血液側に押し入れ、次いで血液側より透析液側へ不用物質を含む血液の一部を濾過液として引き出す操作を繰り返し行ない得るようになっており、そしてこれを交互に繰り返すことによって、透析液と不用物質を含む血液の一部の同量置換が行なわれるのである。且つまた、そのような操作において生じる体内への返送血液量の周期的増減幅を、効果的に解消することができ、体内に返送される血液量を略一定に保つことができる。
【0028】
しかも、ダブルプランジャーポンプ30において、ピストン36を挟んだ両側に形成された加圧・減圧室38a,38bには、何れも、透析液が充填されていることから、ピストン36の滑動面におけるシール性とその耐久性を確保するために、Oリング59の材質やシール強度等を決定する際にも、透析液に対するシール性だけを考慮すれば良く、シールが難しい気体に対する流体密性を考慮する必要がないのであり、それ故、ピストン36の滑動面におけるシール性とその耐久性、換言すれば加圧・減圧室38a,38bの流体密性を、容易に且つ有利に確保することができるのである。
【0029】
また、かかるダブルプランジャーポンプ30においては、加圧・減圧室38a,38bの何れにも、液体が充填されていることから、液体の冷却作用によってシール材たるOリング59の加熱が防止されて、材質の劣化が効果的に回避され得るといった利点もある。
【0030】
更にまた、本実施例では、ダブルプランジャーポンプ30における加圧・減圧室38a,38bの何れにも、透析液が充填されていることから、ピストン36の滑動面を通じて極く僅かな流体の移動があったとしても、その漏れによって生体の危険を伴うような重大な問題が惹起されるようなこともないのである。
【0031】
さらに、本実施例においては、図1に示すように、回転板46に、モーター等の所定の回転駆動手段54と、回転板46の回転角度を連続的にモニターする回転角度モニター手段55が接続されている。また、該回転駆動手段54には、回転板46の回転トルクを制御するための制御手段56が接続されており、更に該制御手段56には、前記回転角度モニター手段55が接続されている。それにより、リアル・タイムで伝えられる回転板46の回転角度に従って、該制御手段56にて該回転駆動手段54が制御され、以て回転板46の回転トルクがその回転角度に応じて制御されるようになっているのである。
【0032】
より具体的に、図5には、ダブルプランジャーポンプ30上の回転板46が示されている。さて、この図5において、αは、ダブルプランジャーポンプのシリンダ軸に沿って、回転軸50から血液流路方向に向かって右方向に伸びる直線(基準位置)であり、βは、回転軸50と連結ピン48とを結ぶ直線であり、直線αに対して直線βが形成する角度θが、回転板46の回転角度となる。そして、回転軸50と連結ピン48との距離をL、透析液流路側の加圧・減圧室38aの圧と血液流路側の加圧・減圧室38bの圧との差をΔP、ダブルプランジャーポンプのピストンの断面積をSとして表わした場合、回転板46の回転角度θにおける回転トルクTは、次の式で示される。
T=ΔP・S・L・sin θ
【0033】
ここで、ΔPは、加圧・減圧室38aの圧と加圧・減圧室38bの圧との差を示すが、これは浄化器10における半透膜を介しての透析液側の圧と血液側の圧との差に略等しい。そこで、浄化器10において、血液側へ透析液が押し込まれるときのΔPと、血液側から透析液側へ血液の濾過が行なわれるときのΔPを、符号が逆で、絶対値が等しいところの、半透膜が許容する最大の値に設定することにより、回転板46の回転角度に対応して変化する、制御目標値としての回転トルクTが、上式から求められることとなる。そうして、本実施例装置では、前記直線αと前記直線βの為す角度θを、前記回転角度モニター手段55により連続的にモニターして、回転板46の任意の回転角度における回転トルクTが目標値となるように、制御手段56により、回転板46を駆動せしめる回転駆動手段54にかかる電圧を制御するようになっているのである。
【0034】
かくして、回転板46の回転トルクが、浄化器10の半透膜が破れない許容範囲内で、できるだけ高い膜間圧が維持されるように、制御手段56にて制御されることによって、半透膜はその濾過能力および透析液の押し込み能力の最大を有効に発揮せしめられ得るのであり、安全性を確保しつつ、効率的な透析濾過を行なうことができるのである。
【0035】
なお、より具体的には、一般的な透析操作における膜間圧は、血液側から透析液側への血液の濾過が行なわれる場合にも、また血液側へ透析液が押し込まれる場合にも300mmHg〜400mmHg程度に制御することが望ましいことから、そのような膜間圧が維持されるように、制御手段56にて回転板46の回転トルクを制御することとなる。また、ダブルプランジャーポンプ30の作動による一回当たりの血液からの濾過量或いは透析液の体内への供給量は、一般的には10〜50ml程度に設定されることとなり、例えば16.7mlに設定される。
【0036】
そして、このような制御手段56は、従来のトランスデューサーによる膜間圧の実測に基づいてフィードバック制御する機構に比較して、極めて構造が簡単で且つ安価である利点を有している。また、トランスデューサーを使用する場合には、その消毒やキャリブレーション(較正)が必要であり、更にはトランスデューサーが故障の原因となる不具合もあったが、制御手段56では、そのような問題がないのである。
【0037】
従って、このような制御手段56を用いた本実施例の透析濾過装置は、安全に且つ効率良く、血液浄化操作を行なうことができ、体内への返送血液量を一定に保って、生体への悪影響を良好に回避することができるといった優れた特徴を有すると共に、構造が簡単で、安価であり、取扱性に優れ、故障の発生も有利に防止され得るといった優れた利点を兼ね備えているのである。
【0038】
また、ダブルプランジャーポンプ30の加圧・減圧室38bと圧力伝達装置60の第一の密閉室68aに充填されている透析液を、新しい透析液に交換するためには、患者を治療していない状態で、図1に示す透析液導入路76および透析液流出路80上に配設された開閉バルブ82,84を開き、循環ポンプ86を作動せしめる。
【0039】
以上、本発明に係る透析濾過装置の代表的な実施例について詳細に説明してきたが、本発明が、上記の実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、上記の実施例の他にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべきである。
【0040】
例えば、前記実施例では、互いに連通されたダブルプランジャーポンプ30の加圧・減圧室38bと圧力伝達装置60の第一の密閉室68とが、透析液導入路76および透析液流出路80を通じて、透析液排出流路18に接続されていることにより、遮断可能な液体給排流路が構成されていたが、かかる液体給排流路は、充填された透析液を交換可能と為し得るものであれば良く、透析液流出路80の代わりに、単なるドレン口を設けたり、或いは、循環ポンプ86を設けず、代わりに、透析液導入路76を透析液供給流路20に接続せしめることにより透析液供給流路20と圧力伝達装置の第一の密閉室68aとの圧差により、充填された透析液が交換されるようにすることも可能である。
【0041】
また、それらダブルプランジャーポンプ30の加圧・減圧室38bと圧力伝達装置60の第一の密閉室68とに充填される液体は、透析液に限定されるものではなく、水やシリコーンオイル等、流動性に優れ、他部材に悪影響を及ぼさないものであれば、何れも採用可能である。
【0042】
更にまた、ダブルプランジャーポンプ30において、ピストン36の滑動面におけるシール構造は、前記実施例のものに限定して解釈されるものでは決してない。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る透析濾過装置にあっては、ダブル・シリンダ構造のポンプにおける第一及び第二のシリンダ室に対して、何れも、透析液等の液体が充填されることから、それら第一及び第二のシリンダ室における流体密性を有利に且つ優れた耐久性をもって確保することができるのであり、装置の性能および耐久性、更には信頼性が、有利に向上され得るのである。
【0044】
また、ポンプの第二のシンリダ室に透析液を導いて流通せしめる遮断可能な液体給排流路を設ければ、第二のシンリダ室への液体充填が容易であると共に、充填液体の交換も容易に行うことができ、優れた装置の保守性が発揮され得ることとなる。
【0045】
さらに、ポンプのピストンに及ぼされる駆動力を制御する制御手段を設けて、ポンプにおける第一のシリンダ室と第二のシリンダ室との圧力差が、ピストンの各移動方向においてそれぞれ予め設定された略一定値に保たれるようにすれば、安全に且つ効率良く血液浄化操作を行なうことができ、体内への返送血液量を一定に保って、生体への悪影響を良好に回避することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る透析濾過装置の一例を示す系統図である。
【図2】図1の透析濾過装置において使用されるダブルプランジャーポンプの構造を示す平面断面説明図である。
【図3】図2におけるIII − III線断面を示す断面図である。
【図4】図1の透析濾過装置において使用される圧力伝達装置の構造を示す平面断面説明図である。
【図5】回転板の回転角度を示す説明図である。
【符号の説明】
10 浄化器
12 血液供給流路
14 血液返送流路
20 透析液供給流路
16 血液ポンプ
18 透析液排出流路
24 透析液供給・除水調節装置
26 静脈チャンバ
30 ダブルプランジャーポンプ
32 シリンダ
36 ピストン
38a,38b 加圧・減圧室
60 圧力伝達装置
66 ダイヤフラム
68a 第一の密閉室
68b 第二の密閉室
76 透析液導入路
80 透析液流出路
82,84 開閉バルブ
86 循環ポンプ

Claims (3)

  1. 血液流路を通じて流入,流出せしめられる血液を、透析液流路を通じて流入,流出せしめられる透析液に対して、半透膜を介して接触せしめる浄化器を有する一方、前記血液流路における前記浄化器からの流出側流路上に、血液を貯留する静脈チャンバが配設されると共に、前記透析液流路と該静脈チャンバとの間に、ピストンを挟んだ両側に第一のシリンダ室および第二のシリンダ室が形成されたダブル・シリンダ構造のポンプが配設されて、該第一のシリンダ室が前記透析液流路に、該第二のシリンダ室が前記静脈チャンバの空気室に、それぞれ接続された透析濾過装置において、
    前記ポンプにおける第二のシリンダ室を前記静脈チャンバの空気室に接続する接続通路上に、密閉された内部空間を変形可能な可撓性膜にて流体密に仕切ることにより一対の分割室が形成された圧力伝達部材を介在せしめて、その一方の分割室を前記第二のシリンダ室に、他方の分割室を前記静脈チャンバの空気室に、それぞれ連通せしめると共に、かかる圧力伝達部材におけるポンプ側分割室および該ポンプ側分割室に連通された前記ポンプにおける第二のシリンダ室に液体を充填したことを特徴とする透析濾過装置。
  2. 前記液体が充填された前記圧力伝達部材におけるポンプ側分割室および前記ポンプにおける第二のシリンダ室を前記透析液流路に連通せしめて、かかるポンプ側分割室および第二のシリンダ室に透析液を導いて流通せしめることにより充填液体としての透析液を交換するための遮断可能な液体給排流路を設けた請求項1に記載の透析濾過装置。
  3. 前記ポンプにおける第一のシリンダ室と第二のシリンダ室との圧力差が、該ポンプにおけるピストンの各移動方向においてそれぞれ設定された一定値に保たれるように、該ポンプのピストンに及ぼされる駆動力を制御する制御手段を設けた請求項1又は2に記載の透析濾過装置。
JP14729294A 1994-06-29 1994-06-29 透析濾過装置 Expired - Fee Related JP3563110B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14729294A JP3563110B2 (ja) 1994-06-29 1994-06-29 透析濾過装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14729294A JP3563110B2 (ja) 1994-06-29 1994-06-29 透析濾過装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0810318A JPH0810318A (ja) 1996-01-16
JP3563110B2 true JP3563110B2 (ja) 2004-09-08

Family

ID=15426915

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14729294A Expired - Fee Related JP3563110B2 (ja) 1994-06-29 1994-06-29 透析濾過装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3563110B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0810318A (ja) 1996-01-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013521862A (ja) 透析システム脱気装置および関連するシステムおよび方法
US10987460B2 (en) Methods and systems of generating rapidly varying pressure amplitudes in fluidic circuits in a dialysis treatment system
KR20150115615A (ko) 투석액 이송 장치 및 이를 갖는 혈액투석 장치
JP5399217B2 (ja) 往復動ポンプ及びそれを具備した透析装置
CN101363435A (zh) 一种血液净化用容量平衡泵
US9925322B2 (en) Dialysate supply device and blood dialyzing apparatus having the same
JP3563110B2 (ja) 透析濾過装置
KR20150136257A (ko) 혈액 이송 장치 및 이를 갖는 혈액투석 장치
JP4635284B2 (ja) 吸排ポンプ
JP2889161B2 (ja) 透析濾過装置
WO2010130202A1 (zh) 一种血液净化用变容式平衡器
KR20160068604A (ko) 혈액투석 장치
JP2747411B2 (ja) 透析濾過装置
US11185620B2 (en) Fluid pumping device and blood purifying apparatus having the same
EP3815724B1 (en) Blood processing apparatus
US20230270925A1 (en) Blood dialyzing apparatus and method
JPS62155859A (ja) 血液透析装置における限外濾過量制御装置
US20200353147A1 (en) Fluid pumping device and blood purifying apparatus having the same
CN201253375Y (zh) 血液净化用容量平衡泵
KR101638233B1 (ko) 투석액 공급장치 및 이를 갖는 혈액투석장치
JP3034805U (ja) 透析装置の除水機構
JP2023051353A (ja) 血液透析装置
JPH02239870A (ja) 血液透析装置の除水量制御装置
CN114845751A (zh) 用于血液处理的装置、消耗品、方法及系统
JPH01227763A (ja) 透析装置

Legal Events

Date Code Title Description
TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040601

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040602

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees