JPH08103020A - 電力系統の脱調検出装置 - Google Patents

電力系統の脱調検出装置

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JPH08103020A
JPH08103020A JP26193894A JP26193894A JPH08103020A JP H08103020 A JPH08103020 A JP H08103020A JP 26193894 A JP26193894 A JP 26193894A JP 26193894 A JP26193894 A JP 26193894A JP H08103020 A JPH08103020 A JP H08103020A
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power system
phase angle
power
angle difference
function
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Application number
JP26193894A
Other languages
English (en)
Inventor
Tamotsu Minagawa
保 皆川
Yoshinori Ichikawa
嘉則 市川
Masahiro Sato
正弘 佐藤
Yuji Ishihara
祐二 石原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Tohoku Electric Power Co Inc
Original Assignee
Toshiba Corp
Tohoku Electric Power Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電力系統の脱調検出装置において、電力系統
が安定限界近くで動揺した場合であっても、脱調と誤判
定しないようにする。 【構成】 電力系統における各種電気量を検出する測定
部2と、前記測定部からの測定結果を用いて電力系統の
発電機群間の位相角差を計算する位相角差計算手段3a
と、前記位相角差の電力系統が安定なときからの差分と
前記測定した電力と電流の増減関係をみて脱調判定を行
なう脱調判定手段4を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電力系統に電力動揺が
発生し複数の発電機群に分かれて振動するとき、コヒー
レントに振動する発電機群の間の連系点において電力,
電流などの電気的諸量を測定し、電力動揺が拡大して発
電機が脱調に至る現象を早期に検出し、将来脱調すると
判断したときには安定化制御を実施し、発電機の脱調を
防止する電力系統の脱調検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電力系統においては、種々の要因(例え
ば、負荷変動や系統故障等)により電力動揺が発生す
る。この電力動揺は正常時でも多少は生じているもので
あり、これが大きくなると最終的には発電機が脱調する
現象に至り、これを放置すると電力系統全体のシステム
停止に至る。
【0003】図9を参照して電力系統における発電機の
脱調現象を説明する。図9(a)に示す電力系統1にお
いて電力動揺が発生し電力系統A1aと電力系統B1bの発
電機群に分かれて振動するとき、電力系統A1aの発電機
G1 ,G2 の回転速度偏差ω1 ,ω2 と電力系統B1bの
発電機G3 ,G4 の回転速度偏差ω3 ,ω4 は、図9
(b)に示すように減衰しながら振動する場合と、図9
(c)に示すように両群の間で振動発散する場合があ
る。
【0004】図9(b)に示すように振動が減衰し全発
電機の回転速度偏差が同じ状態に戻るとき電力系統は安
定である。反対に、図9(c)に示すように振動発散す
るとき電力系統A1aの発電機G1 ,G2 と電力系統B1b
の発電機G3 ,G4 は同期運転を維持できずに脱調に至
ることを意味し、電力系統は不安定になる。図9(c)
に示すような現象を電力系統の振動脱調現象といい、本
発明に係る電力系統の脱調検出装置はこの現象を検出
し、脱調に至る前に安定化制御を行ない電力系統を安定
化する装置である。
【0005】図10と図11は、特願平5−299011号
に記載された従来の脱調検出装置を示すブロック図であ
る。図10に示す従来の脱調検出装置は、電力系統1に電
力動揺が発生し電力系統A1aと電力系統B1bの発電機群
に分かれて振動するとき、測定部2は電力系統A1aと電
力系統B1bの連系線上の測定点1cにおける有効電力Pと
電流Iを測定する。
【0006】測定部3はP,Iの変化分ΔP,ΔIを下
記の(1),(2)式を用いて計算し、脱調判定部4は
測定値P,Iの時系列的な増減関係を見て電力系統A1a
と電力系統B1bが将来脱調するか否かを判定する。そし
て脱調すると判定したときは安定化制御部6は脱調を防
止するための安定化制御を実施する。このとき、脱調判
定部4は判定条件1を満たすとき脱調と判定する。
【0007】
【数1】 P(T) <Po ,ΔP<0,ΔI>0 −−−−(判定条件1) ΔP=P(T) −P(T-1) −−−−−−(1) ΔI=I(T) −I(T-1) −−−−−−(2) ただし、Po は定常状態時のPである。又、TはP,I
を測定した時間(現時点)、T−1はP,Iの測定間隔
の1ステップ前の時間を表す。
【0008】図11に示す従来の脱調検出装置は、電力系
統1に電力動揺が発生し電力系統A1aと電力系統B1bの
発電機群に分かれて振動するとき、測定部2は電力系統
A1aと電力系統B1bの連系線上の測定点1cにおける有効
電力Pと電流Iを測定し、演算部3はP,Iの測定値を
用いて関数P(t) ,I(t) を求める。そして現時点Tか
らΔT時間経過したときの予測値P(T+ΔT),I(T+Δ
T)を計算すると共に、変化分ΔP,ΔIを下記(3) ,
(4) 式を用いて計算する。
【0009】脱調測定部4はP,Iの予測値の時系列的
な増減関係を見て電力系統A1aと電力系統B1bが将来脱
調するか否かを判定し、脱調すると判定したときは安定
化制御部6は脱調を防止するための安定化制御を実施す
る。このとき、脱調判定部4は下記判定条件2を満たす
とき脱調と判定する。最近では次の3つの手法がとられ
ている。
【0010】
【数2】 P(T+ΔT)<Po ,ΔP<0,ΔI>0 −−−(判定条件2) ΔP=P(T+ΔT)−P(T+ΔT-1) −−−(3) ΔI=I(T+ΔT)−I(T+ΔT-1) −−−(4) ただし、ΔTは予測時間である。
【0011】なお、前記の判定条件1及び判定条件2
は、以下に示す有効電力P,電流の実効値Iと位相角差
θの関係から導かれている。説明の簡単化のため、図12
に示す一機無限大母線のモデル系統を参照してP,Iと
θの関係を表すと、下記(5) ,(6) 式のようになる。実
系統においても2つの発電機群に分かれて振動する場合
はこの関係が成り立つ。
【0012】
【数3】
【0013】(5),(6)式を図で表すと図13のよう
になる。Pはθが0°から増加するにつれて増加して9
0°のときに最大値となり、90°を越えると減少す
る。又、Iにつてはθが0°から180°まで増加する
につれて常に増加する。ここで運転点がU点より右側に
移動すると、運転点は安定領域に戻ることはできない。
【0014】発電機と無限大母線の位相角差θは拡大を
続け180°を越えて段階で発電機は脱調に至る。脱調
の判定条件はPとIとの増減関係を見て運転点がU点を
右側に越えたか否かにより判定している。判定条件が満
たされてから位相角差θが180°に至るまでの時間が
安定化制御を実施できる余裕時間に相当する。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来の脱調検
出装置では、電力と電流の時系列的な増減関係だけを見
て脱調判定を行なっているため、電力系統が安定限界近
くで動揺する場合に、励磁制御系の働きにより発電機の
内部電圧が回復して安定化する現象までも脱調と誤判定
することがある。
【0016】又、測定誤差やサンプリングのタイミング
などによって生じる電力と電流の増減関係のわずかなズ
レのために、電力系統が安定なときでも判定条件1ある
いは判定条件2が成立することがあり、脱調と誤判定す
ることがある。本発明は上記課題を解決するためになさ
れたものであり、このような誤判定を防止し、正しく脱
調を判定できて信頼性の高い電力系統の脱調検出装置を
提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の[請求項1]に
係る電力系統の脱調検出装置は、電力系統における各種
電気量を検出する測定部と、前記測定部からの測定結果
を用いて電力系統の発電機群間の位相角差を計算する位
相角差計算手段と、前記位相角差の電力系統が安定なと
きからの差分と前記測定した電力と電流の増減関係をみ
て脱調判定を行なう脱調判定手段を備えた。
【0018】本発明の[請求項2]に係る電力系統の脱
調検出装置は、電力系統における各種電気量を検出する
測定部と、前記測定部からの測定結果を用いて電力の関
数を推定する関数推定部と、前記推定した関数における
将来の電力の変化傾向を表す係数と前記測定した電力と
電流の増減関係をみて脱調判定を行なう脱調判定手段を
備えた。
【0019】本発明の[請求項3]に係る電力系統の脱
調検出装置は、電力系統における各種電気量を検出する
測定部と、前記測定部からの測定結果を用いて電力系統
の発電機群間の位相角差を計算する位相角差計算手段
と、前記測定部からの測定結果を用いて電力の関数を推
定する関数推定手段と、前記位相角差の電力系統が安定
なときからの差分と前記推定した関数における将来の電
力の変化傾向を表す係数と前記測定した電力と電流の増
減関係をみて脱調判定を行なう脱調判定手段を備えた。
【0020】本発明の[請求項4]に係る電力系統の脱
調検出装置は、[請求項1]又は[請求項3]におい
て、位相角差計算手段は、複数の計算式を使い分けて位
相角差を計算するよう構成した。
【0021】本発明の[請求項5]に係る電力系統の脱
調検出装置は、[請求項1]から[請求項4]におい
て、電力と電流と位相角差の関数を推定する関数推定手
段と、前記推定した関数により計算した電力と電流と位
相角差の予測値を用いて脱調判定を行なう脱調判定手段
を備えた。
【0022】
【作用】本発明の[請求項1]に係る電力系統の脱調検
出装置は、測定した電力と電流の増減関係に加えて、位
相角差の電力系統が安定なときからの差分を見て脱調判
定を行なうので、測定誤差やサンプリングのタイミング
などによって電力と電流の増減関係がズレた場合でも、
正しく脱調判定を行なうことができる。
【0023】本発明の[請求項2]に係る電力系統の脱
調検出装置は、電力の関数を推定し、その関数における
将来の電力の変化傾向を表す係数と電力と電流の増減関
係を見て脱調判定を行なうので、電力系統が安定限界近
くで動揺して励磁制御系の働きによって発電機の内部電
圧が回復し安定化する場合でも、正しく脱調判定を行な
うことができる。
【0024】本発明の[請求項3]に係る電力系統の脱
調検出装置は、測定した電力と電流の増減関係に加え
て、位相角差の電力系統が安定なときからの差分と、推
定した電力の関数における将来の電力の変化傾向を表す
係数の増減関係を見て脱調判定を行なうので、測定誤差
やサンプリングのタイミングなどによって電力と電流の
増減関係がズレた場合や、電力系統が安定限界近くで動
揺して励磁制御系の働きによって発電機の内部電圧が回
復し安定化する場合でも、正しく脱調判定を行なうこと
ができる。
【0025】本発明の[請求項4]に係る電力系統の脱
調検出装置は、位相角差を電流の大きさに拘らず常に計
算することが可能なので、位相角差を用いて正しく脱調
判定を行なうことができる。
【0026】本発明の[請求項5]に係る電力系統の脱
調検出装置は、電力と電流及び位相角差の将来の値を予
測することにより早期に脱調現象を検出することが可能
なので、脱調を検出してから実際に脱調に至るまでの時
間、つまり安定化制御を実施できる余裕時間を長くする
ことが可能である。
【0027】
【実施例】以下、本発明の脱調検出装置の実施例を図1
から図8を参照して説明する。図1は本発明の[請求項
1]に係る電力系統の脱調検出装置の一実施例のブロッ
ク図である。図において、1は電力系統、2は測定部、
3は位相角差計算手段3aと関数推定手段3bと差分計算手
段3cからなる演算部、4は脱調判定部、5はしきい値設
定部、6は安定化制御部である。
【0028】次に作用について説明する。電力系統1に
電力動揺が発生して電力系統A1aと電力系統B1bの発電
機群に分かれて振動するとき、測定部2は電力系統A1a
と電力系統B1bの間に設けられた測定点1cにおける電気
的諸量、電力P,電流I,電圧Vs を測定する。
【0029】演算部3は位相角差計算手段3aで電力系統
A1aと電力系統B1bの間の位相角差θを近似的に計算
し、関数推定手段3bでは電力Pの関数P(t) を推定し、
差分計算手段3cではΔP,ΔI,Δaを計算する。な
お、Δaは後に示す関数P(t) における将来の電力の変
化傾向を表す係数aの変化分である。脱調判定部4は判
定条件3を満たすとき脱調と判定する。
【0030】脱調判定部4が脱調しない、つまり安定と
判定したとき、しきい値設定部5は位相角差θがしきい
値θmax より大きいときにはθをθmax に設定する。
又、将来脱調すると判定したときには、安定化制御部6
が脱調を防止するために電力系統1に対して安定化制御
を実施する。上記構成において、位相角差計算手段にて
振動している発電機群の間の位相角差を求め、この位相
角差の電力系統が安定なときからの差分と、電力と電流
の増減関係を見て脱調判定するようにしたものが[請求
項1]である。
【0031】[請求項1]によれば、電力と電流の増減
関係に加えて、発電機群間の位相角差の電力系統が安定
なときからの差分を見て脱調判定を行なうので、測定誤
差やサンプリングのタイミングなどによって電力と電流
の増減関係がズレた場合でも正しく脱調判定を行なうこ
とができる。
【0032】位相角差計算手段3aでは位相角差θは下記
(7)式により計算される。なお、(7)式は(5),
(6)式からXを消去して導いた式である。ここで、V
A ,VB は電力系統A1aと電力系統B1b夫々の発電機群
の内部電圧を想定したものであり、下記(8),(9)
式で表される。そしてXA は測定点1cから見たA1a側の
駆動点インピーダンス、XB は電力系統B1b側の駆動点
インピーダンスである。
【0033】
【数4】
【0034】関数推定手段3bは図2に示されるようにn
個の測定値を用いて関数P(t) を最小二乗法などにより
推定する。関数を(10)式に示す。近い将来の電力の
値はこの関数の上で変化する。ここで、a,b,cは係
数であり、係数aの符号が正ならば将来Pが増加、負な
らば減少することを示す。
【数5】 P(t) =at2 +bt+c −−−−−(10)
【0035】電力系統が安定限界近く、つまり図13のU
点(不安定平衡点)付近において動揺する場合では、運
転点がU点近くに留まる時間が長くなる。その状態にお
いては、発電機群間の位相角差は拡大した状態であるた
めに発電機の端子電圧は低下しているので、励磁制御系
の働きにより発電機の内部電圧VA ,VB は次第に上昇
する。
【0036】その結果、図3の実線のP−θカーブ上に
黒丸で示した運転点が、VA ,VBの上昇に伴なって点
線のP−θカーブ上の白丸で示した運転点へと推移し、
従来のPとIの増減関係による脱調判定条件では脱調と
判定できる状態であっても安定に回復する場合がある。
【0037】本発明では図4に示すように推定された関
数P(t) における将来の電力の変化傾向を表す係数aの
時間変化を見ることにより、Pが回復傾向にあるか否か
を知ることができる。図4(a)に示すように係数aが
時間経過と共に増加している場合にはPは回復傾向にあ
り、反対に、図4(b)に示すように係数aが減少して
いるときはPも減少傾向にあることが分かる。
【0038】差分計算手段3cではP,I,aの単位時間
あたりの変化分ΔP,ΔI,Δaを(1),(2),
(11)式を用いて計算する。
【数6】 Δa=a(T) −a(T-1) −−−−−(11)
【0039】脱調判定部4では位相角差θに関する判定
条件を設ける。θの計算に用いられるXA ,XB は予め
計算された近似値であり、又、電力系統の構成は頻繁に
変更されるため、θの大きさは正確ではない。従って、
θの大きさのみを見て脱調判定を行なうのは望ましくな
い。
【0040】そこで、位相角差θに関する判定条件は、
電力系統が安定なときに計算されたθの最大値θmax と
の相対関係で表し、従来のPとIに関する判定条件が満
たされたとしても、θがθmax より小さければ(θ<θ
max )安定であると判定する。この判定条件は、脱調時
のθがθmax より大きくなる関係を利用している。
【0041】脱調判定部4では関数P(t) における将来
の電力Pの変化傾向を表す係数aに関する判定条件を設
ける。図4(a)に示すように係数aが時間の経過と共
に増加しているならば、Pが安定方向に回復しているこ
とを示している。従って、従来のPとIに関する判定条
件が満たされても、単位時間あたりの係数aの変化分Δ
aが正(+)ならば安定であると判定する。
【0042】本実施例での脱調判定条件は以下の判定条
件3である。
【数7】 {P(T) <Po ,ΔP<0,ΔI>0,θ(T) >θmax ,Δa<0} −−−−−(判定条件3) ただし、Po は定常状態時のP、θmax は安定時のθの
最大値である。
【0043】上記構成において、関数推定手段にて電力
の関数を推定し、この推定した関数における将来の電力
の変化傾向を表す係数の変化と電力と電流の増減関係を
見て脱調判定するようにしたものが[請求項2]であ
る。
【0044】そして[請求項2]によれば、推定した電
力の関数における将来の電力の変化傾向を表す係数と電
力と電流の増減関係を見て脱調判定を行なうので、電力
系統が安定限界近くで動揺して励磁制御系の働きによっ
て発電機の内部電圧が回復し安定化する場合でも正しく
脱調判定を行なうことができる。
【0045】しきい値設定部5では脱調判定部4が安定
と判定したときの位相角差θの中で最大の値をθmax に
設定する。脱調と判定されるときのθmax は図5に示す
ようにU点(不安定平衡点)のθに相当する。
【0046】上記構成において、位相角差計算手段にて
発電機群間の位相角差を求め、関数推定手段にて電力の
関数を推定し、推定した関数における将来の電力の変化
傾向を表す係数の変化と、位相角差の電力系統が安定な
ときからの差分と、電力と電流の増減関係を見て脱調判
定するようにしたものが[請求項3]である。
【0047】そして[請求項3]によれば、電力と電流
の増減関係に加えて、発電機群間の位相角差の電力系統
が安定なときからの差分と、推定した電力の関数におけ
る将来の電力の変化傾向を表す係数の増減関係を見て脱
調判定を行なうので、測定誤差やサンプリングのタイミ
ングなどによって電力と電流の増減関係がズレた場合
や、電力系統が安定限界近くで動揺して励磁制御系の働
きによって発電機の内部電圧が回復し安定化する場合で
も正しく脱調判定を行なうことができる。
【0048】位相角差計算手段3aによれば、位相角差θ
は(7)式と(12)式を使い分けて計算する。なお、
(12)式は(5)式から導いた式である。(12)式
を用いればθは−90°から90°の範囲で求めること
ができる。一方、(7)式を用いればθは0°から18
0°の範囲で求めることができるが、電力系統に電力動
揺が発生しているとき電流Iが小さくなることがあり、
(7)式では分母にIがあるため計算されるθの精度が
悪くなる。
【0049】又、(7)式では0°より小さいθを求め
ることができない。(7)式と(12)式で計算できるθの
範囲を図6に示す。本発明では電流Iの大きさに拘らず
位相角差θを計算するために、θが0°から90°の間
に設けた切り替え点θc より大きいときは(7)式を用
いてθを計算し、θがθc より小さな値になったとき(1
2)式に切り替えてθを計算し、θがθc より大きな値に
戻ったときは(7)式に切り替えてθを計算する。
【0050】
【数8】
【0051】上記構成において、複数の計算式を使い分
けて、振動している発電機群間の位相角差を計算するよ
うにしたのが[請求項4]である。
【0052】そして[請求項4]によれば、電流の大き
さに拘らず常に発電機群の間の位相角差を計算できるの
で、位相角差を用いた脱調判定が可能である。
【0053】図7は[請求項5]に係る電力系統の脱調
検出装置の実施例のブロック図である。図7において図
1と同一及び相当部分には同一符号を付して説明を省略
する。図1と相違する部分は関数推定手段3b-1にP,
I,θの予測機能を加えた点である。
【0054】関数推定手段3b-1では図8に示すように測
定値又は計算値を用いて関数P(t),I(t) ,θ(t) を
最小二乗法などにより推定する。P(t) は(10)式に
示した。ここで、d,e,f,g,h,iは係数であ
る。
【数9】 I(t) =dt2 +et+f −−−−−−(14) θ(t) =gt2 +ht+i −−−−−−(15)
【0055】差分計算手段3cでは、現時点TからΔT時
間経過したときの予測値P(T+ΔT),I(T+ΔT),θ(T
+ΔT)を計算し、P,I,aの単位時間あたりの差分Δ
P,ΔI,Δaを(3),(4),(11)式を用いて
計算する。脱調判定部4では下記判定条件4を用いて判
定を行なう。
【数10】 {P(t+ΔT)<Po ,ΔP<0,ΔI>0,θ(t+ΔT)>θmax ,Δa<0} −−−−−(判定条件4)
【0056】本実施例によれば、P,I,θの将来の値
を予測することにより、早期に脱調現象を検出すること
が可能である。このため、脱調を検出してから実際に脱
調に至るまでの時間、つまり安定化制御を実施できる余
裕時間を長くすることが可能である。
【0057】[請求項5]によれば、予測した電力と電
流と位相角差の将来の値を用いて脱調判定を行なうため
早期に脱調現象を検出することができるので、脱調を検
出してから脱調に至るまでの時間、つまり安定化制御を
実施できる余裕時間を長くすることが可能である。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば電
力系統が安定限界近くで動揺したとしても脱調と誤判定
することはなく、又、測定誤差やサンプリングのタイミ
ングによって生じる僅かなズレによっても脱調と誤判定
することはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例を示すブロック図。
【図2】関数P(t) の推定方法を示す図。
【図3】電圧回復による運転点の変化を示す図。
【図4】電力Pの係数aの関係を示す図。
【図5】位相角差のしきい値θmax と不安定平衡点の関
係を示す図。
【図6】位相角差の計算式の使い分けを示す図。
【図7】本発明に係る第2実施例を示すブロック図。
【図8】関数P(t) ,I(t) ,θ(t) の推定方法を示す
図。
【図9】電力系統における脱調現象を示す図。
【図10】従来の脱調検出装置を示すブロック図。
【図11】従来の脱調検出装置を示すブロック図。
【図12】P,Iとθの関係を説明するためのモデル系
統。
【図13】P,Iとθの関係を示す図。
【符号の説明】
1 電力系統 1a 電力系統A 1b 電力系統B 1c 測定点 2 測定部 3 演算部 3a 位相角差計算手段 3b 関数推定手段 3c 差分計算手段 4 脱調判定部 5 しきい値設定部 6 安定化制御部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 正弘 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内 (72)発明者 石原 祐二 東京都府中市東芝町1番地 株式会社東芝 府中工場内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電力系統における各種電気量を検出する
    測定部と、前記測定部からの測定結果を用いて電力系統
    の発電機群間の位相角差を計算する位相角差計算手段
    と、前記位相角差の電力系統が安定なときからの差分と
    前記測定した電力と電流の増減関係をみて脱調判定を行
    なう脱調判定手段を備えたことを特徴とする電力系統の
    脱調検出装置。
  2. 【請求項2】 電力系統における各種電気量を検出する
    測定部と、前記測定部からの測定結果を用いて電力の関
    数を推定する関数推定部と、前記推定した関数における
    将来の電力の変化傾向を表す係数と前記測定した電力と
    電流の増減関係をみて脱調判定を行なう脱調判定手段を
    備えたことを特徴とする電力系統の脱調検出装置。
  3. 【請求項3】 電力系統における各種電気量を検出する
    測定部と、前記測定部からの測定結果を用いて電力系統
    の発電機群間の位相角差を計算する位相角差計算手段
    と、前記測定部からの測定結果を用いて電力の関数を推
    定する関数推定手段と、前記位相角差の電力系統が安定
    なときからの差分と前記推定した関数における将来の電
    力の変化傾向を表す係数と前記測定した電力と電流の増
    減関係をみて脱調判定を行なう脱調判定手段を備えたこ
    とを特徴とする電力系統の脱調検出装置。
  4. 【請求項4】 請求項1と請求項3に記載の位相角差計
    算手段は、複数の計算式を使い分けて位相角を計算する
    ことを特徴とする電力系統の脱調検出装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4に記載の特徴を有
    する脱調検出装置について、電力と電流と位相角差の関
    数を推定する関数推定手段と、推定した関数により計算
    した電力と電流と位相角差の予測値を用いて脱調判定を
    行なう脱調判定手段を備えたことを特徴とする電力系統
    の脱調検出装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100386642C (zh) * 2005-11-23 2008-05-07 山东大学 发电机实时功角监测装置
JP2008154452A (ja) * 2001-12-03 2008-07-03 Univ Nihon 電力系統の脱調検出方法およびその装置
CN104242245A (zh) * 2014-10-16 2014-12-24 华北电力大学 发电机失步保护方法和装置

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