JPH08102392A - 放電灯点灯装置および照明装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 効率を低下させることなく、フィラメント周
囲の黒化を防止できる放電灯点灯装置を提供する。 【構成】 直流電源Ｅの電圧をインバータ回路21で高周
波交流に変換する。バランサL2で蛍光ランプFL1 ，FL2
に流れる電流の平衡を保ちながら放電電流を供給すると
ともに、フィラメント予熱トランスTr1 により各フィラ
メントFL1a，FL1b，FL2a，FL2bに予熱電流を供給して予
熱する。調光信号よりランプ電力が大きい場合には、発
振周波数を増加してインバータ回路21の出力を低下させ
る。調光信号よりランプ電力が小さい場合には、発振周
波数を低下してインバータ回路21の出力を増加させる。
出力電圧を低下させる際に発振周波数を増加させること
により、出力電圧が低下してフィラメントのスポット温
度が低下しても、電子放射物質がスパッタすることを防
止できるので、フィラメント周囲の黒化を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光出力が低下するほど
周波数を高くする放電灯点灯装置および照明装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】近年、インバータ回路の高周波出力によ
り放電ランプを高周波点灯させ、このインバータ回路の
出力を変化させることにより、放電ランプを調光させる
構成が知られている。

【０００３】ところが、単にインバータ回路の出力を変
化させるのみでは、放電ランプのランプ電流が変化する
ため、放電ランプが熱陰極であるフィラメントを有する
場合、フィラメントのスポット温度が変化する。フィラ
メントの温度が所定値以上低下すると陰極降下電圧が上
昇し、フィラメントに塗布されている電子放射物質であ
るエミッタがスパッタされ、フィラメント周囲が黒化し
てしまう。逆に、フィラメント温度が高すぎるとエミッ
タが蒸発し、同じくフィラメント周囲が黒化してしま
う。

【０００４】この黒化を防ぐために、放電ランプのフィ
ラメントに所定の電圧を常に印加してフィラメントを常
に予熱し、熱電子が容易に放出されるようにしている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、フィラ
メントを予熱する場合、フィラメントが自己発熱する場
合より大きな電力を必要とするため、出力効率が低下す
る問題を有している。

【０００６】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、効率を低下させることなく、フィラメント周囲の黒
化を防止できる放電灯点灯装置および照明装置を提供す
ることを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の放電灯点
灯装置は、陰極に熱電子放出物質が設けられた放電ラン
プを交流により調光点灯する放電灯点灯装置において、
前記放電ランプを低出力側に調光するに従って前記交流
の周波数を高くする周波数制御手段を備えているもので
ある。

【０００８】請求項２記載の放電灯点灯装置は、出力が
低下するに従い発振周波数が高くなり、放電ランプを点
灯させるインバータ手段を具備したものである。

【０００９】請求項３記載の放電灯点灯装置は、陰極に
熱電子放出物質が設けられた放電ランプに出力電圧可変
の交流を印加して点灯させるインバータ手段と、このイ
ンバータ手段が低出力になるに従ってこのインバータ手
段の発振周波数を高くさせる制御手段とを具備したもの
である。

【００１０】請求項４記載の放電灯点灯装置は、請求項
３記載の放電灯点灯装置において、放電ランプに供給さ
れる電力検出手段と、この電力検出手段で検出された出
力および前記放電ランプの調光状態を設定する調光信号
を比較する比較手段とを具備し、制御手段はこの比較手
段の出力に従いインバータ手段を制御するものである。

【００１１】請求項５記載の放電灯点灯装置は、請求項
３記載の放電灯点灯装置において、調光手段で設定され
た出力より放電ランプの出力が大きい場合は出力差に従
った大きさの負の電圧を出力し、調光手段で設定された
出力より放電ランプの出力が小さい場合は出力差に従っ
た大きさの正の電圧を出力する比較手段と、この比較手
段で出力された電圧が正の出力で絶対値が大きいほど低
い周波数を発振し、前記電圧が負の出力で絶対値が大き
いほど高い周波数を発振する電圧周波数変換手段と、イ
ンバータ手段は、この電圧周波数変換手段の周波数が低
いほど高い電圧を出力するものである。

【００１２】請求項６記載の照明装置は、請求項１ない
し５いずれか記載の放電灯点灯装置と、この放電灯点灯
装置を収納する器具本体とを具備したものである。

【００１３】

【作用】請求項１記載の放電灯点灯装置は、低出力側に
調光するに従って交流の周波数を高くすることにより、
陰極降下電圧を上昇させることなく、したがって効率を
低下させることなく、出力が低い状態でも陰極の熱電子
放射物質からの熱電子の放射を容易にし、熱電子放射物
質がスパッタされて黒化されることを防止する。

【００１４】請求項２記載の放電灯点灯装置は、インバ
ータ手段は出力が低下するに従い発振周波数が高くなる
ため、効率を低下させることなく、出力が低い状態でも
陰極の熱電子放射物質からの熱電子の放射を容易にし、
熱電子放射物質がスパッタされて黒化されることを防止
する。

【００１５】請求項３記載の放電灯点灯装置は、制御手
段はインバータ手段が低出力になるに従って発振周波数
を高くさせることにより、効率を低下させることなく、
出力が低い状態でも陰極の熱電子放射物質からの熱電子
の放射を容易にし、熱電子放射物質がスパッタされて黒
化されることを防止する。

【００１６】請求項４記載の放電灯点灯装置は、請求項
３記載の放電灯点灯装置において、比較手段で電力検出
手段で検出された出力および放電ランプの調光状態を設
定する調光信号を比較し、制御手段はこの比較手段の出
力に従いインバータ手段を制御するため、フィードバッ
ク制御も行なえる。

【００１７】請求項５記載の放電灯点灯装置は、請求項
３記載の放電灯点灯装置において、比較手段で調光手段
で設定された出力より放電ランプの出力が大きい場合は
出力差に従った大きさの負の電圧を出力し、調光手段で
設定された出力より放電ランプの出力が小さい場合は出
力差に従った大きさの正の電圧を出力し、電圧周波数変
換手段では比較手段で出力された電圧が正の出力で絶対
値が大きいほど低い周波数を発振し、電圧が負の出力で
絶対値が大きいほど高い周波数を発振し、インバータ手
段はこの電圧周波数変換手段の周波数が低いほど高い電
圧を出力することにより、簡単な構成でインバータ手段
の出力が低下するほど周波数が高くなる。

【００１８】請求項６記載の照明装置は、請求項１ない
し５いずれか記載の放電灯点灯装置と、この放電灯点灯
装置を収納する器具本体とを具備したため、効率を低下
させることなく、出力が低い状態でも陰極の熱電子放射
物質からの熱電子の放射を容易にし、熱電子放射物質が
スパッタされて黒化されることを防止する。

【００１９】

【実施例】以下、本発明の照明装置の一実施例を図面を
参照して説明する。

【００２０】図２において、11は器具本体で、この器具
本体11の両端近傍にはランプソケット12が一対設けら
れ、これらランプソケット12には放電ランプとしての蛍
光ランプFL1 ，FL2 が装着され、これら蛍光ランプFL1
，FL2 に対向して反射板13が配設され、この反射板13
の背面には放電灯点灯装置としての放電灯点灯回路14が
収納されている。

【００２１】そして、図１に示すように、放電灯点灯回
路14は直流電源Ｅに接続され、この直流電源Ｅにインバ
ータ手段としてのインバータ回路21が接続されている。
このインバータ回路21はハーフブリッジ型でトランジス
タQ1およびトランジスタQ2が接続されている。また、こ
れらトランジスタQ1のゲートおよびトランジスタQ2のゲ
ートには、制御手段としての駆動回路22が接続されてい
る。

【００２２】さらに、トランジスタQ2のコレクタ、エミ
ッタ間には、チョークコイルL1、コンデンサC1および電
流検出用の抵抗R1が直列に接続されている。また、コン
デンサC1の両端子間には、バランサL2および直流カット
用のコンデンサC2を介して蛍光ランプFL1 の熱陰極とし
てのフィラメントFL1a，FL1bおよび蛍光ランプFL2 の熱
陰極としてのフィラメントFL2a，FL2bが並列に接続され
ている。なお、これら蛍光ランプFL1 ，FL2 はアルゴン
（Ａｒ）２．５torrおよび適量の水銀（Ｈｇ）が封入さ
れ、フィラメントFL1a，FL1b，FL2a，FL2bはたとえばタ
ングステン（Ｗ）のトリプルコイルに、バリウム（Ｂ
ａ）、ストロンチウム（Ｓｒ）およびカルシウム（Ｃ
ａ）などの酸化物が熱電子放射物質として塗布されてい
る。

【００２３】また、コンデンサC1の両端子間にはフィラ
メント予熱トランスTr1 の一次巻線Tr1aおよびコンデン
サC3の直列回路が接続され、このフィラメント予熱トラ
ンスTr1 のフィラメント予熱巻線Tr1bはフィラメントFL
1aに接続され、フィラメント予熱巻線Tr1cはフィラメン
トFL2aに、フィラメント予熱巻線Tr1dはフィラメントFL
1b，FL2bに接続されている。

【００２４】さらに、抵抗R1の両端子間には、電力検出
手段としての電力検出部23が接続され、この電力検出部
23は比較手段としてのコンパレータ24の非反転入力端子
に接続され、反転入力端子には調光信号が入力され、出
力端子には電圧周波数変換手段としての電圧周波数変換
回路25が接続され、駆動回路22に接続されている。

【００２５】次に、上記実施例の動作について説明す
る。

【００２６】まず、直流電源Ｅの電圧をインバータ回路
21で高周波交流に変換する。そして、バランサL2で蛍光
ランプFL1 ，FL2 に流れる電流の平衡を保ちながら放電
電流を供給するとともに、フィラメント予熱トランスTr
1 により各フィラメントFL1a，FL1b，FL2a，FL2bに予熱
電流を供給して予熱する。

【００２７】また、電力検出部23で電力を検出し、コン
パレータ24で調光信号と比較する。そして、調光信号よ
り電力検出部23で検出された電力が大きい場合には、コ
ンパレータ24は差が大きいほど絶対値が大きい非反転出
力し、電圧周波数変換回路25で周波数を増加させて駆動
回路22で発振周波数を増加してインバータ回路21の出力
を低下させる。反対に、調光信号より電力検出部23で検
出された電力が小さい場合には、コンパレータ24は差が
大きいほど絶対値が大きい反転出力し、電圧周波数変換
回路25で周波数を低下させて駆動回路22で発振周波数を
低下してインバータ回路21の出力を増加させる。

【００２８】さらに、調光信号により調光することがで
き、インバータ回路21はたとえば調光により出力電圧を
低下させることにより発振周波数は増加し、出力電圧を
増加させることにより発振周波数が低下する。

【００２９】このように、出力電圧を低下させる際に発
振周波数を増加させることにより、たとえ出力電圧が低
下してフィラメントのスポット温度が低下しても、電子
放射物質がスパッタされることを防止あるいは低下でき
るので、フィラメント周囲の黒化を防止でき、放電ラン
プの長寿命化を図ることができる。

【００３０】すなわち、フィラメントにタングステンの
トリプルコイルを用いるとともに、このトリプルコイル
にバリウム、ストロンチウムおよびカルシウムのエミッ
タを塗布し、アルゴン２．５torrおよび適量の水銀を封
入した直径２５．５ｍｍの高周波点灯用のランプを用い
て、点灯周波数と相対ゼロ電界放出電流および陰極降下
電圧との関係を測定すると、図３に示すように、点灯周
波数が高くなるほど陰極降下電圧は低下し、ゼロ電界放
出電流が増加する。これは、電極に流入する電力が減少
するにもかかわらず、ゼロ電界放出電流は増えることを
意味する。すなわち、ランプ電流を低下させても調光レ
ベルの出力を低下させるに伴い点灯周波数を高くすれ
ば、出力低下に伴い電極温度が低下しても熱電子電流は
放電電流に対して高い値に維持でき、熱電子放出物質が
スパッタされることを防止でき、したがって黒化を防止
できる。

【００３１】そして、上記実施例によれば、フィラメン
トの予熱量を減少できるのでフィラメント予熱トランス
Tr1 からの電流を従来より減少でき、さらに、フィラメ
ント予熱トランスTr1 を除去あるいは点灯後は開放すれ
ば、回路の効率をより向上できる。

【００３２】また、点灯周波数はあらかじめ電圧値に対
応させているが、放電ランプの陰極電圧降下の最初のピ
ーク位相を検出する回路を組み込めば、ここの放電ラン
プの熱電子放出に対応できるのみではなく、点灯時間の
経時変化に伴う熱電子放出にも対応できる。

【００３３】

【発明の効果】請求項１記載の放電灯点灯装置によれ
ば、低出力側に調光するに従って交流の周波数を高くす
ることにより、陰極降下電圧を上昇させることなく、従
って効率を低下させることなく、出力が低い状態でも陰
極の熱電子放射物質からの熱電子の放射を容易にし、熱
電子放射物質がスパッタされて黒化されることを防止で
きる。

【００３４】請求項２記載の放電灯点灯装置によれば、
インバータ手段は出力が低下するに従い発振周波数が高
くなるため、効率を低下させることなく、出力が低い状
態でも陰極の熱電子放射物質からの熱電子の放射を容易
にし、熱電子放射物質がスパッタされて黒化されること
を防止できる。

【００３５】請求項３記載の放電灯点灯装置によれば、
制御手段はインバータ手段が低出力になるに従って発振
周波数を高くさせることにより、効率を低下させること
なく、出力が低い状態でも陰極の熱電子放射物質からの
熱電子の放射を容易にし、熱電子放射物質がスパッタさ
れて黒化されることを防止できる。

【００３６】請求項４記載の放電灯点灯装置によれば、
請求項３記載の放電灯点灯装置に加え、比較手段で電力
検出手段で検出された出力および放電ランプの調光状態
を設定する調光信号を比較し、制御手段はこの比較手段
の出力に従いインバータ手段を制御するため、フィード
バック制御もできる。

【００３７】請求項５記載の放電灯点灯装置によれば、
請求項３記載の放電灯点灯装置に加え、比較手段で調光
手段で設定された出力より放電ランプの出力が大きい場
合は出力差に従った大きさの負の電圧を出力し、調光手
段で設定された出力より放電ランプの出力が小さい場合
は出力差に従った大きさの正の電圧を出力し、電圧周波
数変換手段では比較手段で出力された電圧が正の出力で
絶対値が大きいほど低い周波数を発振し、電圧が負の出
力で絶対値が大きいほど高い周波数を発振し、インバー
タ手段はこの電圧周波数変換手段の周波数が低いほど高
い電圧を出力することにより、簡単な構成でインバータ
手段の出力が低下するほど周波数を高くできる。

【００３８】請求項６記載の照明装置によれば、請求項
１ないし５いずれか記載の放電灯点灯装置と、この放電
灯点灯装置を収納する器具本体とを具備したため、効率
を低下させることなく、出力が低い状態でも陰極の熱電
子放射物質からの熱電子の放射を容易にし、熱電子放射
物質がスパッタされて黒化されることを防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の放電灯点灯装置の一実施例を示す回路
図である。

【図２】同上照明装置を示す斜視図である。

【図３】点灯周波数と相対ゼロ電界放出電流（ゼロ電界
放出電流／放電電流）および陰極降下電圧との関係を示
すグラフである。

【符号の説明】

11 器具本体 14 放電灯点灯装置としての放電灯点灯回路 21 インバータ手段としてのインバータ回路 22 制御手段としての駆動回路 23 電力検出手段としての電力検出部 24 比較手段としてのコンパレータ 25 電圧周波数変換手段としての電圧周波数変換回路 FL1 ，FL2 放電ランプとしての蛍光ランプ FL1a，FL1b，FL2a，FL2b 熱陰極としてのフィラメン
ト

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 陰極に熱電子放出物質が設けられた放電
   ランプを交流により調光点灯する放電灯点灯装置におい
   て、 前記放電ランプを低出力側に調光するに従って前記交流
   の周波数を高くする周波数制御手段を備えていることを
   特徴とする放電灯点灯装置。
2. 【請求項２】 出力が低下するに従い発振周波数が高く
   なり、放電ランプを点灯させるインバータ手段を具備し
   たことを特徴とする放電灯点灯装置。
3. 【請求項３】 陰極に熱電子放出物質が設けられた放電
   ランプに出力電圧可変の交流を印加して点灯させるイン
   バータ手段と、 このインバータ手段が低出力になるに従ってこのインバ
   ータ手段の発振周波数を高くさせる制御手段とを具備し
   たことを特徴とする放電灯点灯装置。
4. 【請求項４】 放電ランプに供給される電力検出手段
   と、 この電力検出手段で検出された出力および前記放電ラン
   プの調光状態を設定する調光信号を比較する比較手段と
   を具備し、 制御手段はこの比較手段の出力に従いインバータ手段を
   制御することを特徴とする請求項３記載の放電灯点灯装
   置。
5. 【請求項５】 調光手段で設定された出力より放電ラン
   プの出力が大きい場合は出力差に従った大きさの負の電
   圧を出力し、調光手段で設定された出力より放電ランプ
   の出力が小さい場合は出力差に従った大きさの正の電圧
   を出力する比較手段と、 この比較手段で出力された電圧が正の出力で絶対値が大
   きいほど低い周波数を発振し、前記電圧が負の出力で絶
   対値が大きいほど高い周波数を発振する電圧周波数変換
   手段と、 インバータ手段は、この電圧周波数変換手段の周波数が
   低いほど高い電圧を出力することを特徴とする請求項３
   記載の放電灯点灯装置。
6. 【請求項６】 請求項１ないし５いずれか記載の放電灯
   点灯装置と、 この放電灯点灯装置を収納する器具本体とを具備したこ
   とを特徴とする照明装置。