JPH0799886A - 脂肪代替用乳化物、それを用いた冷菓およびその使用方法 - Google Patents

脂肪代替用乳化物、それを用いた冷菓およびその使用方法

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JPH0799886A
JPH0799886A JP5245333A JP24533393A JPH0799886A JP H0799886 A JPH0799886 A JP H0799886A JP 5245333 A JP5245333 A JP 5245333A JP 24533393 A JP24533393 A JP 24533393A JP H0799886 A JPH0799886 A JP H0799886A
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JP
Japan
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fat
oil
emulsion
tristearin
fats
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JP5245333A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Yamane
浩 山根
Teruaki Miyazaki
照明 宮崎
Kaori Moriwaki
華織 森脇
Hiroki Arai
宏喜 新井
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Snow Brand Milk Products Co Ltd
Original Assignee
Snow Brand Milk Products Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 低消化吸収性のトリステアリンがグリセリド
組成中最も多く含まれる油脂組成物を10〜60%含有
する水中油型乳化物であり、該乳化物中の脂肪球が平均
粒径0.1〜20μmである脂肪代替用乳化物である。 【効果】 油脂利用食品のカロリーを低減できるのみな
らず、高融点油脂を含有するにも拘らず滑らかで豊かな
食感及び自然な風味を呈する食品とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、消化吸収率の低いトリ
ステアリンを主要グリセリドとして含有する油脂組成物
を利用した脂肪代替用乳化物に関し、特に、高融点のト
リステアリンを含有するにも拘らず滑らかで豊かな食感
を呈し、かつ取扱が極めて容易な消化吸収性の低い脂肪
代替乳化物、それを用いた冷菓及びその利用方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年のダイエット指向により、食品成分
の中ではカロリーの高い脂肪の摂取が敬遠されており、
各種の脂肪代替物の開発が活発であるが、その中心は、
脂肪を減量して低カロリーにする炭水化物や蛋白質をボ
ディ材とする加工物であり、これらは食品中の脂肪の機
能の一部を補うことは可能であるが完全ではなく、かつ
風味的に脂肪とは異なるものであるから、脂肪代替物と
しては不充分なものであった。また合成反応により得ら
れるオレストラの如き脂肪類似物質は未だ安全性が確認
されていない。
【0003】そこで、油脂を用いて低カロリー組成物を
構成し脂肪代替物とする試みが成されている。例えば、
融点50℃以上の硬化油を含む油相30〜75重量%、
水相70〜25重量%からなり、特定の乳化剤を用いて
得られた低カロリーの油中水型エマルジョン(特開平1
−187052号公報)、ヨウ素価70以下とした水素
添加ワックス性魚油とトリグリセライド油とを8対2乃
至2対8で混合した食用低カロリー油脂組成物(特開平
1−252248号公報)、ベヘン酸を構成脂肪酸とし
て含有するダイエット用油脂(特開昭64−85040
号公報)等が知られている。しかし、上記の油中水型エ
マルジョンは、油脂中に水相を存在させることにより油
脂含量を減量できるので、結果的に摂取する油脂量が減
少し低カロリーとなるという技術に過ぎず、エマルジョ
ンに硬化油を用いるのは乳化状態を維持するためであっ
て、硬化油の低カロリー性による作用を前提とするもの
ではないから、消化吸収性が低減されているわけではな
い。更に、特定の乳化剤を必要とし、またエマルジョン
は油中水型であるから、水相部分を多く持つ食品への脂
肪の分散性等は不充分である。また、上記の水素添加ワ
ックス性魚油とトリグリセライド油との混合油脂は、消
化吸収性の低いワックス性魚油の利用を図るためにその
欠点である魚臭をトリグリセライド油の添加によりマス
キングするというもので、トリグリセライド油のマスキ
ング効果を示したものに過ぎない。また、上記のベヘン
酸を構成脂肪酸とするものは、融点を高くしないため、
グリセリド1分子中1残基のみがベヘン酸である油脂を
主に対象としているから、それ以外の脂肪酸残基やグリ
セリドの種類による効果は全く示唆されておらず、単に
炭素数22の飽和脂肪酸の消化吸収性を検証したものに
過ぎない。また、高融点の油脂を扱う場合の課題等には
一切触れられていない。
【0004】即ち、従来、食感や物性における油脂の機
能を損なうことなく、油脂の低カロリー化(低消化吸収
性)を図る試みとしては、食感等を維持して油脂含有量
をできるだけ減量させるもの、融点のさほど高くない低
消化吸収性の油脂類を見出しそれを実験的に(実用性を
無視して)利用するもの、高融点の油脂を他の油脂に混
入して副次的に利用するもの等が中心であり、高融点で
低消化吸収性の油脂を主体的に用いるという試みは殆ど
行われていない。その理由は、高融点油脂を主体的に使
用すれば、高融点油脂を、油脂利用食品の水相部分を構
成する原料(水相原料)と混合する場合に生ずる分散混
合の困難性、溶融状態で混合することによる他の成分の
熱変性や褐変化、得られた食品の滑らかさや口どけ性の
低下、高融点油脂の製造装置への付着等による汚れの洗
浄の困難性等の課題が顕在化するからであり、実用上、
高融点油脂を低カロリー食品の脂肪代替物として用いる
ことは困難であった。
【0005】本発明者らは、上記の課題に鑑み、高融点
油脂であるトリステアリンの消化吸収性の低さを検証
し、これを50%以上含有する油脂組成物を発明し既に
特許出願した(特願平5−57799号)。この油脂組
成物は粒子径を調整することにより、課題であった滑ら
かでザラツキのない食感を実現するものである。しかし
ながら、このものは、たとえ粒径が十分に小さいもので
あっても、保存中や他の原料との混合中に粒子同士が再
凝集し、ダマになり易く、特に水相原料と混合する際に
は均一分散が難しいので、得られた食品はザラツク食感
を呈する場合があり、また該油脂組成物が溶融状態で他
の原料と混合されれば、得られた食品は蝋状の食感を呈
し易いという問題点があり、また溶融した油脂組成物が
装置へ付着すれば洗浄は容易でなく、更に、高融点油脂
組成物の微粉化操作は繁雑で、得られた微粉末は取扱が
容易ではない。
【0006】上記の高融点油脂の添加に伴う問題は冷菓
において顕著である。従来より冷菓に用いられる油脂に
は乳脂肪の他、やし油、パーム油、パーム核油、菜種
油、大豆油等、及びそれらの硬化油や分別油等が知られ
ており、選定に当たっては価格、風味、酸化安定性等の
ほか、融点やSFI等のロどけに影響する要因について
も考慮され、例えば、冷菓に用いられる油脂の融点は概
ね20〜40℃の範囲にあり、融点が20℃未満である
と、乳化安定性がやや悪くミックスの貯蔵中にクリーミ
ングを起こす場合があり、また食したときの清涼感に欠
け、べたべたした油っぽいものとなる。一方、融点が4
0℃を超えると、ミックス調合時の融解に多大なエネル
ギーが必要となり、また、調合作業後の洗浄に高温の濯
ぎ水、高濃度の洗浄液が必要となり、また多くの人手が
かかる等、省エネルギーや人員の有効利用の面からも利
用が難しく、かつ食したときに蝋状の組織(ワキシー)
となる問題を生ずる。従って、前述の融点が70℃付近
にあるトリステアリンを含む油脂組成物を用いて低カロ
リー化を図ることは実用的でなく、特に融点が高いこと
から、融解時や洗浄時のエネルギー消費が大きく、また
水相原料との予備乳化温度が75〜80℃と高くなるの
で、ミックスの褐変が著しく進行するという問題があ
り、実用性が低い。一方、トリステアリンなどの高融点
油脂の微粉末を他の原料に混ぜ込み一体化しても、高融
点油脂は水相原料中に容易に分散しないので、ダマにな
り易くまた充分なクリーム感等が得られないという問題
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術の実情に鑑み、消化吸収性の低いトリステアリンを
含有する油脂組成物を特定の形態とした脂肪代替物とす
ることにより、食品原料への分散性、特に冷菓等の油脂
利用食品の水相部分を構成する原料(水相原料)への分
散性を向上させ、混合中に再凝集することなく微粒子状
態で均一に分散させるようにし、それによって、低消化
吸収性に基づきカロリーを低下させるのみならず、高融
点油脂を含有するにも拘らず滑らかで豊かな食感及び自
然な風味を付与し、更に装置への付着性を低減し取扱を
容易にすることを目的とする。
【0008】また、本発明の他の目的は、上記の脂肪代
替物を冷菓に用いて、カロリーは低減されているがクリ
ーム感があり口どけのよい美味なものとすることであ
る。
【0009】また、本発明の更に他の目的は、上記の脂
肪代替物を比較的低い温度で他の原料と混合する方法に
より、高融点油脂を用いているにも拘らず融解混合を不
要とし混合操作を簡便化すると共に、得られる食品の褐
変化や熱変性を防止することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本
発明は、トリステアリンがグリセリド組成中最も多く含
まれる油脂組成物を10〜60%含有する水中油型乳化
物からなる脂肪代替用乳化物である。グリセリド中、ト
リステアリンが最も多い油脂組成物を用いて水中油型乳
化物とすることにより、該乳化物中の脂肪球が速やかに
食品原料中へ分散し、特に水相原料への分散性を向上さ
せ、混合中に再凝集することなく微粒子状態で均一に分
散させることができるので、油脂利用食品のカロリーを
低減できるのみならず、高融点油脂を含有するにも拘ら
ず滑らかで豊かな食感及び自然な風味を呈する食品とす
ることができ、更には装置への付着性を低減し取扱を容
易にすることが可能となる。
【0011】また、本発明は、上記の脂肪代替用乳化物
において、油脂組成物からなる脂肪球が平均粒径0.1
〜20μmである脂肪代替用乳化物である。水中油型乳
化物における脂肪球は、水相原料中へそのまま分散する
から、乳化物中の脂肪球の大きさを微細とすることによ
り、油脂利用食品の食感を一層改善し、また粘度等の物
性を改良することが容易にできる。
【0012】また、本発明は、上記の脂肪代替用乳化物
で油脂の一部又は全部が置換されていることを特徴とす
る冷菓である。上記の乳化物で脂肪分を置換えた冷菓で
は、該乳化物中の脂肪球が冷菓原料の水相部分(水相原
料)に直ちに分散し、再凝集することもないので、口ど
けがよくクリーム感のある消化吸収性の低減された冷菓
とすることができる。また、該乳化物を用いれば、他の
原料との予備乳化温度を高温にする必要がないので、冷
菓の褐変化を抑えることができる。
【0013】また、本発明は、上記の脂肪代替用乳化物
を、加工食品の製造において、その水相原料にトリステ
アリンの融点(71.5℃)未満の温度で混合すること
を特徴とする脂肪代替用乳化物の使用方法である。高融
点油脂であるトリステアリンを用いているにも拘らず、
その水中油型乳化物としていることから、その融点未満
の温度で水相原料と混合できるので、他の原料の熱によ
る変性や褐変を防止することができる。
【0014】以下、本発明を詳述する。
【0015】まず、本発明におけるトリステアリンを含
む油脂組成物は、トウモロコシ油、大豆油、菜種油、ひ
まわり油、サフラワー油、ハイオレイックサフラワー
油、オリーブ油等の炭素数18の脂肪酸(ステアリン
酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等)を多く含
む油脂を極度に水素添加することにより得られる極度水
素添加油を主成分とするものであり、その由来や製法を
問わず、トリグリセリドの3分子の脂肪酸が全てステア
リンとなっているトリステアリンがグリセリド組成中、
最も多く含まれているものである。グリセリドのうち天
然に存在するものの殆どがトリグリセリドであるが、3
分子脂肪酸が同一でない混合グリセリドがその大多数で
あり、トリステアリンのように3分子脂肪酸が同一の単
純グリセリドは天然には極めて少ない。混合グリセリド
は脂肪酸の組合せにより種々多様なものが存在するが、
その中でもトリステアリンが最も多く含まれている油脂
組成物を用いる。トリステアリンは複数の油脂と混在し
ても相溶共融現象もしくは共晶現象を示さないので、ト
リステアリンの含有量が全体の50%未満であっても、
相対的に最も多く含まれていれば、トリステアリンによ
り特徴付けられる油脂組成物となる。トリステアリンが
相対的に最も多いグリセリドでない場合は、低消化吸収
性を目的とする食品へ添加する意義が低くなる。低消化
吸収性の見地からすれば、トリステアリンはグリセリド
組成中、好ましくは30〜95%の範囲であり、更には
50%以上であるとよい。トリステアリンは100%で
あってもよいが、高度の精製が必要となり、調製が容易
でなくなる一方、低消化吸収性はさほど向上しないの
で、実用性は低くなる。かかる油脂組成物には上記した
関係を満足する限りにおいて、その他、未硬化の油脂を
混合してもよい。
【0016】トリステアリンは融点が71.5℃であ
り、体内でリパーゼの作用を受けず、実質的に消化され
ない低カロリー油脂である。従って脂肪源として利用す
れば、カロリーを大きく低下させることができる。な
お、低カロリーとは栄養成分上計算されたカロリーが低
いことではなく、体内での消化吸収性が低いことをい
う。計算上はトリステアリンも37.6kJ/g(9kc
al/g)であるが、消化吸収性は低く殆どエネルギー源
とならない。トリステアリンの低消化吸収性については
後述する実施例でラットを用いた試験例で示すように、
カロリー摂取量は同様としたにも拘らず、トリステアリ
ンを含む群では体重の増加率が著しく低下し、消化吸収
性が極めて低いことが判る。
【0017】本発明では、上記の油脂組成物(トリステ
アリン系油脂組成物という。)を油脂利用食品に利用す
るのに、一旦微細な粒子径を持つ水中油型乳化物にして
おくことに特徴がある。水中油型乳化物とすることによ
り、該乳化物中に油脂を微細な粒子径の脂肪球として分
散させることができるので、微細な粒子状を保持するこ
とができ、該乳化物を、水相原料に混合した場合は、該
脂肪球はそのままの状態を保持したまま該水相原料中へ
直ちに分散するから、混合時に再凝集することがなく、
油脂の均一な分散系を速やかに構築することが可能とな
る。また、該乳化物は油相原料への分散も可能であり、
その場合は、該乳化物を水相とする二重乳化構造とな
る。本発明の乳化物を用いることにより、油相原料の相
対量が減少しカロリーを低下させることができ、またト
リステアリンの微細粒子の状態は保持されるから、口ど
けのよさや滑らかさを実現することができる。
【0018】また、この乳化物は水中油型乳化であるか
ら、調合タンクや配管内部等、装置への油脂の付着がほ
とんどなくなり、付着した油脂の洗浄や後始末作業が非
常に簡単になる。更には、該乳化物を脂肪代替用乳化物
として食品原料に混合する場合に、トリステアリンの融
点を超える温度に加熱しなくても充分に均一混合できる
ので、食品原料の熱変性や褐変化を抑制することができ
る。
【0019】該乳化物中のトリステアリン系油脂組成物
の量は、上記したような効果を奏する水中油型乳化物を
構築できる量であり、また油脂利用食品において、脂肪
としての機能(クリーム感、滑らかさ、ボデイ感、風味
等)を発揮できる量であり、また低カロリー化を実現す
るに足りる量である必要があり、トリステアリンを含む
油脂組成物の組成や脂肪球の大きさ等により相違する
が、乳化物中に10〜60%(重量)、好ましくは20
〜50%程度がよい。少な過ぎれば低カロリー化の意義
が低くなる。
【0020】次に、乳化物中の脂肪球の大きさは、安定
に水中油型乳化が構築される粒径であればよいが、好ま
しくは平均粒径(メディアン径)で0.1〜20μmの
範囲であり、更に好ましくは0.2〜10μm程度であ
り、これらの範囲にあれば、高融点油脂であるにも拘ら
ず、極めて滑らかで口どけのよい食感とすることができ
る。粒径の下限は技術的な下限であり、通常0.1μm
よりも小さい粒径を形成することは困難であるが、技術
的に更に微細な粒径が調製できれば、それを使うことが
できる。粒径が大き過ぎれば、口の中でザラツキ感を示
すことがあり、また前述した水中油型乳化状態の効果が
低減する。
【0021】本発明の乳化物は、脂肪代替用乳化物とし
て用いられるものであるが、ここで、脂肪代替用乳化物
とは、油脂利用食品に含有される脂肪分の一部又は全部
を該乳化物で置換えることができるということであり、
更には油脂を通常は用いることができない食品に添加
し、風味や食感を改良することも包含するものであり、
新規な食品を製造することも可能とするものである。従
って、食品に添加する量は、その食品の油脂含量や目的
とする食感等により異なるから、食品の種類により適宜
選定することができるが、概略を示せば、2〜40%程
度が目安となる。次に、本発明の乳化物の調製方法につ
いて説明する。例えば、トリステアリン系油脂組成物1
0〜60重量部をトリステアリンの融点以上の温度、例
えば80℃程度に加熱して融解し、次にホモミキサーで
攪拌しながらモノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステ
ル等の乳化剤の0.1〜0.5重量部を添加し分散させ
溶解し、続いてカゼインナトリウム等の安定剤の0.2
〜5.0重量部を添加し分散させ、次に、別に用意した
脱脂粉乳溶液(5〜20%溶液)等の40〜90重量部
を70〜80℃に加温して、上記の油相の攪拌を続けな
がら、徐々に加えていき予備的に乳化を行う。乳化物中
の油脂含量は加える水の量により調整できる。次に、得
られた予備乳化液を直ちに均質圧8〜15MPa程度で
均質化し(例えば三和機械製均質機等を用い得る)、冷
却すれば水中油型乳化物を調製することができる。乳化
物中の脂肪球の大きさは均質圧、均質回数、温度、均質
バルブ形状等により調整することができる。
【0022】得られた乳化物は、熱に安定で常法により
殺菌することができ、また冷凍耐性もあるから冷凍保存
又は冷蔵保存することも可能である。
【0023】本発明の乳化物は、水相原料に混合できる
だけでなく、油相原料にも混合することができるが、油
脂利用食品の低カロリー化を食感や風味を損なうことな
く簡便に行うには、水相原料に添加する脂肪分の一部ま
たは全部を本発明の乳化物に置換えることである。該乳
化物を添加し得る食品としては、冷菓、合成クリームチ
ーズ、調理用ソース類、ドレッシング、マヨネーズ、発
酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料、スープ類、飲料類、練乳
類、粉乳類、デザート類、菓子等を挙げることができ
る。特に、冷菓等のように乳化後は加熱処理等を実施せ
ず分散している脂肪球が直接に食感、風味に影響を与え
る食品において、該乳化物は好適である。次に冷菓へ適
用した例について説明する。
【0024】冷菓は乳脂肪量により、アイスクリーム、
アイスミルク、ラクトアイス等に分類されているが、い
ずれの乳脂肪にものに対しても本発明の乳化物を用いる
ことができる。また、シャーベットやアイスキャンデー
等に対しても利用することができる。
【0025】これら冷菓の製造法は、アイスミルクを例
に取れば、まず、水および脱脂乳を合わせて攪拌しなが
ら、脱脂粉乳、砂糖、結晶ぶどう糖、粉末水飴、ローカ
ストビーンガム、グァーガム、カラギーナン、カゼイン
ナトリウム等を徐々に混合し分散させ、加温(60〜6
5℃程度)しながら更に攪拌し水相部とし、次に、本発
明の水中油型乳化物と水相部をホモミキサーで攪拌しな
がら混合し、予備乳化ミックスを得る。予備乳化ミック
スは更にホモジナイザーで均質化され、続いて殺菌処理
後、冷却されて最終乳化ミックス(冷菓ミックス)を得
る。このミックスに香料を添加しフリージングしオーバ
ーランを適当にすればアイスミルクを製造することがで
きる。
【0026】ここで用いる本発明の水中油型乳化物中の
脂肪球の大きさは通常の冷菓ミックスの脂防球の平均粒
径と同等の0.2〜10.0μmの範囲のものとするこ
とができる。微細な粒径を持つ乳化物とすることによ
り、高融点油脂を用いているにも拘らず予備乳化段階で
ミックスを70℃以上に加温して油脂を溶解する必要が
無くなり、通常の60〜65℃程度に加温した水相部に
投入すれば直ちに粒径0.2〜10.0μmの粒子とな
って分散し、予備乳化後に再凝集することも防止でき
る。粒径の更に好ましい範囲は0.5〜5.0μm程度
である。また、前述したように、装置への付着を防止し
洗浄操作を軽減することができる。このようにして得ら
れた予備乳化ミックスは、通常通り殺菌、均質、冷却エ
程を経て冷菓ミックスとする事ができる。さらに、ミッ
クスの予備乳化を高温で行う必要がないことから、ミッ
クスの掲変が少なく、色鮮やかな製品とする事ができ
る。
【0027】乳化物調製時には、高融点油脂の融点以上
の温度(80℃程度)に加温されるが、この場合、乳化
物中の還元性糖質は脱脂粉乳由来の乳糖を1〜3%程度
含むのみとなリ、通常の冷菓中の還元性糖質量10〜2
0%と比ベ著しく少ないため加熱による影響は極めて少
ない。予備乳化後の操作(殺菌、均質、冷却、賦香、エ
ージング、フリージング、充填、硬化等)は公知の冷菓
の方法に基づき実施でき、フレーバーの種類、ミックス
もしくはフリージング後に混合する風味原料、充填形
態、大きさ等も自由である。本発明の乳化物の使用量
は、使用するトリステアリン系油脂組成物中のグリセリ
ド組成によるが、概ね最終製品中に乳化物が2〜40%
(重量)、好ましくは5〜30%程度である。また、脂
肪代替用乳化物として、通常用いる脂肪と置換する場合
は、脂肪量基準で置換率を10〜100%、好ましくは
30〜100%程度とするのがよい。最終製品中に含ま
れる油脂組成物が少な過ぎれば、冷菓に脂肪としての機
能(クリーム感、組織の滑らかさ、ボディ感、風味等)
を発現するに充分でなく、また多過ぎれば、風味が重
く、かつロどけの悪いものとなる。なお、乳化物には水
分が含有されているので、水相を形成する原料中の水分
量は、乳化物中の水分量を考慮して求める。
【0028】このように本発明の乳化物は、高融点油脂
の融点未満の温度、冷菓製造においては通常の温度であ
る60〜65℃の温度で、他の原料に混合することがで
きるので、該乳化物を使用することにより、必要以上に
熱変性を生じたり、褐変化を起すことを防止することが
できる。
【0029】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。
【0030】[試験例]トリステアリンの低消化吸収性
が以下に示すラットを用いた試験により実証された。即
ち、大豆油20%を含む基本対照飼料の油脂95%(1
9%相当)を微粒化大豆極度硬化油に置換した飼料を試
験飼料とした(表1)。該微粒化大豆極度硬化油は、精
製大豆白絞油を完全に水素添加して得られた市販の大豆
極度硬化油(日清製油製、融点70℃)を溶融状態で加
圧空気を用いて噴霧し平均粒径15μmとしたもので、
脂肪酸組成は、ステアリン酸90.0%、パルミチル酸
9.1%、アラキジン酸0.2%及びエライジン酸0.
7%であり、トリステアリンを64%含むものであっ
た。試験には4週齢のSD系雄ラット(日本チャールズ
リバー社)を用い、1群8匹の2群に分けて表1に示す
試験飼料を4週間給餌した。給餌開始時から4日間は、
2群共に自由摂取させて試験飼料に慣れさせた後、両群
のカロリー摂取量が同様となるように給餌した。塩類混
合物およびビタミン混合物は、AIN−76配合に基づ
くものであり、試験飼料のカロリー計算は、澱粉、炭水
化物および蛋白質を16.7kJ/gとし、脂肪を3
7.6kJ/gとして行い、消化吸収性は考慮していな
い。
【0031】
【表1】 試験期間中、飼料摂取量と体重を測定し、増体重、カロ
リー摂取量および飼料効率を計算した。増体重および飼
料効率を表2に示す。
【0032】
【表2】 注)数値は平均値±標準偏差、*は危険率1%で対照群
と有意差有りを示す。この結果より、カロリー摂取量は
同様であるのに、試験群では体重増加および飼料効率が
共に約1/2に抑制されていたことが判る。
【0033】[実施例1] トリステアリン系油脂組成物の調製 脂肪酸組成がステアリン酸90.0%、パルミチン酸
8.0%、オレイン酸0.8%及びエライジン酸1.2
%であり、トリステアリンを69%含む大豆極度硬化油
を用いて水中油型乳化物を調製した。配合を表3に示
す。
【0034】
【表3】 大豆極度硬化油を80℃まで加温し融解し、ホモミキサ
ーで攪拌(1500rpm)しながらステアリン酸モノ
グリセライドを分散させ溶解し、続いてカゼインナトリ
ウムを分散させた。別に脱脂粉乳4部に対して水40部
を混同し65℃に加温し、上記で得た油相に攪拌しなが
ら、加温した脱脂粉乳溶解水を徐々に添加し、最終重量
を水にて調整した。得られた予備乳化液をを直ちに均質
圧100kg/cm2(約10MPa)で均質化し、冷
却して水中油型乳化物を得た。得られた乳化物の脂肪球
の平均粒径は6.0μmであった。
【0035】低カロリープレミアムアイスの製造 上記に記した乳化物を用いて脂肪率15%のプレミア
ムアイスを次に示す要領で製造した。また、対照品とし
て大豆極度硬化油を直接調合に用いて製造した。表4に
配合表を示す。
【0036】
【表4】 水および脱脂乳を合わせて攪拌しながら、脱脂粉乳、砂
糖、結晶ぶどう糖、粉末水飴、ローカストビーンガム、
グァーガム、κ一カラギーナン、カゼインナトリウムを
徐々に混合し分敵させ、特殊機化工業製のホモミキサー
で攪拌(1500rpm)しながら65℃まで加温し
た。その分散液に上記で得られた乳化物を混合し、さ
らに攪拌しながら65℃に調節し、予備乳化ミックスと
した。予備乳化したミックスを三和機械製のホモジナイ
ザーを用いて64℃で第1段150kg/cm2(約1
5MPa)、第2段50kg/cm2(約5MPa)で
均質し、連続する岩井機械製プレート式殺菌機で85℃
20秒殺菌後、5℃まで冷却してアイスミックスを得
た。バニラエキストラクトを添加して1晩5℃でエージ
ングを行った。バッチフリーザーによりオーバーラン8
0%にフリージングし、紙カップ(120ml容)に充
填して−25℃に硬化した。
【0037】一方、対照品は、上記と同様の要領で水相
部を形成する際に、75℃まで撹拌しながら加温し、ま
た、油相部の調製は、大豆極度硬化油とステアリン酸モ
ノグリセライドを合わせて80℃まで加温して融解して
行い、水相部と油相部の混合は、水相部をホモミキサー
で撹拌しながら油相部を徐々に混合して予備乳化ミック
スを調製した点を除いて、上記と同様にして製造した。
【0038】結果 上記の2種の試料(実施品と対照品)について官能評価
を行い評価した。さらにミックス粘度、脂肪球の平均粒
径、ミックスの色差を測定し比較した。官能評価は7点
法で、評価項目に対して1=もっとも乏しい、4=中
間、7=もっとも強い、という基準で行った。パネラー
として31名(男16名、女15名)を採用し、採点の
平均値を採用した。表5に結果を示す。
【0039】
【表5】 表に示す通り、実施品は対照品よリ好まれる結果となっ
た。それは実施品では高融点油脂を水中油型乳化物の形
態に一旦変えてから、水相部と混合したので、乳化状態
が良く、ミックスの粘度の増加が抑制されるから、特
に、ロどけが良いという結果になったものであり、ま
た、予備乳化液の調製において加熱履歴も少なくてすむ
から、色調も鮮やかなものとなった。
【0040】以上の実施例の他、コーン油をニッケル触
媒存在下で水素添加したコーン極度硬化油(トリステア
リン72%)、βカロチン添加大豆油由来油脂組成物
(トリステアリン69%)、菜種由来油脂組成物(トリ
ステアリン73%)等、種種のトリステアリン系油脂を
用いて、乳化物中の配合量が20〜50%となるように
して、また、その脂肪球の大きさも1〜6μmの範囲に
なるように水中油型乳化物を調製し、冷菓に利用したと
ころ、上記の実施例と同傾向の結果が得られた。また、
冷菓以外にも、乳飲料に対して同じ要領で該乳化物を利
用することができ、同様の効果が得られた。
【0041】
【発明の効果】以上説明したように、グリセリド中、ト
リステアリンが最も多い油脂組成物を用いて水中油型乳
化物とすることにより、該乳化物中の脂肪球が速やかに
食品原料中へ分散し、特に水相原料への分散性を向上さ
せ、混合中に再凝集することなく微粒子状態で均一に分
散させることができるので、油脂利用食品のカロリーを
低減させるのみならず、高融点油脂を含有するにも拘ら
ず滑らかで豊かな食感及び自然な風味を呈する食品とす
ることができ、更には装置への付着性を低減し取扱を容
易にすることが可能となる。
【0042】また、水中油型乳化物における脂肪球は、
水相原料中へそのまま分散するから、乳化物中の脂肪球
の大きさを微細とすることにより、油脂利用食品の食感
を一層改善し、また粘度等の物性を改良することが容易
にできる。
【0043】また、上記の乳化物で脂肪分を置換えた冷
菓では、該乳化物中の脂肪球が冷菓原料の水相部分(水
相原料)に直ちに分散し、再凝集することもないので、
口どけがよくクリーム感のあるカロリーの低減された冷
菓とすることができる。また、該乳化物を用いれば、他
の原料との予備乳化温度を高温にする必要がないので、
冷菓の褐変化を抑えることができる。
【0044】また、高融点油脂であるトリステアリンを
用いているにも拘らず、その水中油型乳化物としている
ことから、その融点未満の温度で水相原料と混合できる
ので、他の原料の熱による変性や褐変を防止することが
できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トリステアリンがグリセリド組成中最も
    多く含まれる油脂組成物を10〜60%含有する水中油
    型乳化物からなる脂肪代替用乳化物。
  2. 【請求項2】 請求項1において、油脂組成物からなる
    脂肪球が平均粒径0.1〜20μmである脂肪代替用乳
    化物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の脂肪代替用乳化
    物で油脂の一部又は全部が置換されていることを特徴と
    する冷菓。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の脂肪代替用乳化
    物を、加工食品の製造において、その水相原料にトリス
    テアリンの融点未満の温度で混合することを特徴とする
    脂肪代替用乳化物の使用方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH08289732A (ja) * 1995-04-20 1996-11-05 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 多孔質油ちょう菓子およびそれを利用した冷菓
CN113786384A (zh) * 2021-04-25 2021-12-14 上海交通大学 基于单硬脂酸甘油酯的形态可调的油/水乳液的实现方法
WO2023003000A1 (ja) * 2021-07-21 2023-01-26 株式会社明治 冷菓及びその製造方法

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