JPH0797989B2 - 生物学的に活性なシステム - Google Patents

生物学的に活性なシステム

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JPH0797989B2
JPH0797989B2 JP63321854A JP32185488A JPH0797989B2 JP H0797989 B2 JPH0797989 B2 JP H0797989B2 JP 63321854 A JP63321854 A JP 63321854A JP 32185488 A JP32185488 A JP 32185488A JP H0797989 B2 JPH0797989 B2 JP H0797989B2
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ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシャープ
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    • C12N11/00Carrier-bound or immobilised enzymes; Carrier-bound or immobilised microbial cells; Preparation thereof
    • C12N11/02Enzymes or microbial cells immobilised on or in an organic carrier
    • C12N11/08Enzymes or microbial cells immobilised on or in an organic carrier the carrier being a synthetic polymer
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、生物細胞及びその固体支持体を含む生物学的
に活性なシステムの製造方法、該方法により製造された
システム、並びにこのようなシステムの使用に係る。
本明細書中において「生物細胞」なる用語は広義に例え
ば細菌、菌類、それらに由来する胞子及び多細胞生物に
由来する細胞を表すために使用する。
生物及び/又は生物から由来する活性材料が通常は比較
的特異的反応である化学反応を促進又は実施するための
手段として機能するような生物学的に活性なシステムが
知られている。このような生物は生体触媒としても知ら
れている。従って、このような生物又はその誘導体は反
応の肝要な部分である。また、生物材料は通常特に該材
料が果たすべき特定の役割を選択されている。その選択
及びその後の精製は費用及び時間がかかる。従って、生
物材料は高価である。従って、生物材料はどのような反
応中でも効果的に使用され、しかも反応中又は反応後に
誤って失われることがないことが重要であり得る。
酵素の支持体は周知である。
US−A−4629742は、リパーゼ酵素が吸着により微孔質
合成熱可塑性疎水性ポリマーに固定された生物学的に活
性なシステムを開示している。ポリマーは、気孔(気
泡)が孔により相互に連結された気泡構造を有してお
り、典型的には商標Accurel(オランダ国、Enka社)で
市販されている材料である。Accurelはポリマー溶液を
冷却することにより製造される。固定化されたリパーゼ
は液体脂肪の加水分解に使用される。同様の多孔性ポリ
マーがUS−A−4539294の方法に使用されており、この
方法では支持体をまず最初に希釈長鎖カチオン性溶液に
浸漬させた後にタンパク質(例えば酵素)を固定化して
いる。
US−A−4551482も酵素を支持体に固定する方法を開示
している。この場合、支持体は気孔寸法の大きい親水性
ビードである。ポリエステルをスルホン化後、ポリエチ
レンイミンをチャージする。酵素は担体にイオン結合す
ると記載されている。支持体は例えば水を外部(連続)
相としてスチレン及びジビニルベンゼンを懸濁重合する
ことにより形成され得る。多孔性を得るために気孔形成
剤(例えばアルカン)が使用される。あるいはブロック
重合後に粉砕する。
酵素を担体に化学的に結合する例はEP−A−147914にも
記載されており、ここでは担体は制御された気孔を有す
るガラス又は紙である。
細胞をポリマーゲル内にトラップすることは周知であ
る。これらは存在する細胞で形成される。
予備成形された固体多孔性支持体材料に生物細胞を固定
化することはあまり十分に開示されていないと思われ
る。Chemical Engineering Science Vol.40,No.8,pp132
1−1354,1985,Karel他は予備成形された多孔性マトリッ
クスへの細胞の閉じ込めを開示している。与えられてい
るマトリックスの例は全無機物質である。
菌類を閉じ込めるために2.54mmという大きい気孔寸法を
有する多孔性ポリウレタンフォームを使用することは例
えばTrker及びMavitunaによるEnzyme Microb.Techno
l.1987,vol.9,Decemberに記載されている。WO87/02704
は、細胞を粒子と混合した後、剛性マトリックスを構成
するために接触点で結合された微細粒子間の空胴に細胞
を保持する方法を記載している。こうして細胞はマトリ
ックスの気孔に機械的にトラップされる。
本発明の目的は、使用中に所望の化学反応を効率的に生
起させることができ且つ反応の結果として細胞の損失を
減少することが可能な、生物細胞とその支持体とを含む
生物学的に活性なシステムを製造するための方法を提供
することである。更に、システムは容易に形成すること
ができるべきである。
本発明は、生物細胞及びその固体支持体を含む生物学的
に活性なシステムの製造方法を提供するものであって、
細胞が支持体に導入されており、少なくとも75%の総気
孔容積を有しており且つ1〜150μmの範囲の平均直径
を有する相互に連結された複数の気孔を有する多孔性ポ
リマー材料を該支持体として作成し、多孔性ポリマー材
料の少なくとも気孔に生物細胞を導入し、多孔性ポリマ
ー材料は、モノマー及び/又はポリマー材料のプレポリ
マーを含有するエマルジョンを調製し、該モノマー及び
/又はプレポリマーを重合して該多孔性ポリマー材料を
形成することにより形成されることを特徴とする。
細胞は各種の物理的及び/又は化学的手段、例えば吸
着、取り込み、イオン結合、化学的共有結合により支持
体材料に保持され得る。細胞は実際に少なくとも材料の
気孔の内側に固定される。化合物の生成用にシステムを
使用する場合は、化合物の前駆物質を気孔に通して細胞
と接触させる。従って、例えば連続又は半連続法では、
前駆物質は固定化した細胞を含む気孔を通ることにより
多孔性材料を通過し得る。
本発明で使用するのに適当な多孔性材料は例えばEP−A
−0060138に記載されており、EP−A−0060138に記載さ
れている高分散相エマルジョン法を使用して製造するこ
とができる。EP−A−0060138に記載されている多孔性
材料はポリスチレンのようなポリビニル材料をベースと
するポリマー材料である。
本発明の細胞支持体を使用すると多数の利点が得られ
る。例えば従来のポリスチレン支持体に比較して気孔率
が高いため、細胞を収容している気孔に反応物質を容易
に通過させることができる。従って、細胞をより有効に
使用することができる。連続法の一部として使用する
と、より高い処理量に達することが可能である。充填ベ
ッドを通る圧力降下も低くすることができる。
更に、本発明で使用される多孔性ポリマー材料の気孔の
寸法は、細胞で使用するのに特に適当である。また、高
い気孔率と小さい気孔寸法との組み合わせにより、細胞
支持体の単位容積当たり高い総表面積が得られ、従っ
て、支持体の単位容積当たり高い効率が得られる。本発
明の気孔寸法及び気孔率の要件は、2〜100m2/g程度の
総表面積を実現することができる。
特に、ポリマー支持体材料を作成するためにEP−A−60
138に記載されている方法を使用すると、気孔及び細孔
の寸法を個々の要件に適合させることができる。気孔及
び細孔寸法を変えるためには、W/Oエマルジョン中の水
相は少なくとも10-4モルに選択されたイオン強度を有す
るとよく、イオン強度は10-3〜5モルの範囲にするとよ
り適当である。イオン強度を変えるための電解質は好ま
しくは可溶性ハロゲン化物及び硫酸塩から選択される。
従って、電解質と(例えば撹拌により)エマルジョンに
加えられる剪断度とを組み合わせて使用することによ
り、所定の気孔率の多孔性ポリマー材料を提供すること
ができる。より詳細な説明はヨーロッパ特許出願第8830
6447.9号(1988年7月15日付け出願USSN219231に対応)
に記載されており、その内容は参考資料として本願の一
部に加える。
特定の用途に選択される実際の気孔寸法及び気孔率は適
宜選択され得る。もっとも、好適な気孔寸法は1〜150
μmの範囲の選択された寸法範囲であり、好適な気孔率
は90〜98%の範囲である。好適方法において、気孔及び
細孔寸法は導入すべき細胞の寸法及び型に従って選択さ
れ得る。特に、気孔及び細孔寸法は多孔性ポリマー材料
に細胞を容易に浸透させ且つ細胞による気孔及び細孔の
閉塞を阻止できるように選択され得る。
生物細胞の平均最大寸法として細胞寸法を規定するな
ら、本発明で使用されるポリマー材料の気孔の平均寸法
は細胞寸法の3〜15倍、より好ましくは6〜12倍にする
と好適である。同様に、気孔を相互に連結する孔の平均
寸法は好ましくは平均細胞寸法の1〜8倍、より好まし
くは3〜6倍である。
ポリマー中には閉じた気孔は存在せず、気孔は制御され
た寸法の孔により完全に相互連結されているので、生物
細胞は全気孔に容易に浸透することができ、従って、ポ
リマー支持体の高い充填率を得ることができ、ポリマー
への細胞の侵入は容易に得られる。実際に、例えば単に
細胞懸濁液中で粒状支持体を振蕩させるだけで細胞を支
持体に受動的に導入することが可能である。この点で、
本発明の方法で形成されるポリマー支持体は酵素支持体
として上記材料Accurelよりもすぐれていることが判明
した。
細胞の受動的導入の代わりに、支持体により構成される
充填ベッドに細胞懸濁液を通すことにより細胞を支持体
に導入することもできる。
本発明で支持体として使用されるポリマー材料の別の利
点は、架橋結合すると熱、例えばオートクレーブ処理に
より滅菌できるという点にあり、これはAccurelのよう
な熱可塑性材料では不可能である。
本発明で使用される多孔性ポリマー支持体材料の相互連
結構造は、支持体材料を通る流体流に対する抵抗を低く
し、低い圧力降下で良好な流量を可能にする。必要に応
じて、例えば油のような粘性液体をシステムに通すこと
ができる。本発明で使用される多孔性支持体材料は更
に、有益な放出特性を有することが判明した。このよう
な特性は、反応の継続に表面領域を利用できるようにす
るためにシステムから逃がす生成物としてガスが放出さ
れる反応で特に有利であり得る。気孔寸法及び気孔の相
互連結性により、システムから気体生成物を容易に除去
できることは明白である。
表面領域に容易に接近することができ且つ気孔率がたか
いため、迅速な細胞反応動力学に特に好適であり、更
に、ゲル及び小さい気孔材料を使用する際に生じる物質
移動の制限をある程度回避することができる。
本発明で使用される多孔性材料は各種の形状で利用可能
である。形状は加工により又は製造中に与えられ、例え
ば成形又は注型により例えばブロック、シート、膜、管
又はより複雑な幾何学的形状に付形され得る。あるい
は、材料を粒状で提供し、所望の形状の反応器に充填す
ることもできる。
もっとも、ブロック形状を使用すると多孔性材料の1以
上の完全なブロックを反応器に容易且つ迅速に装填する
ことができるので特に有利であり得る。ブロックに必要
な細胞を予め充填し、こうして、反応器内で同一又は異
なる細胞系を迅速に交換することができ、あるいは現場
でブロックに直接細胞を充填してもよい。いずれの場合
も、ブロックを使用すると反応器に粒子を充填する必要
のがなくなり、同時に粒子を充填した反応器に生じ得る
チャネリング(channelling)のような周知の問題もな
くなる。
多孔性材料の望ましい機械的特性は高い非圧縮性及び可
撓性を含み得る。非圧縮性の比較的高い支持体材料は工
業的規模の生物学的に活性なシステム及び方法、例えば
1〜5m3容量の範囲の反応器を構成することができるの
で、このような支持体材料を提供することが特に重要で
ある。実験質規模では十分に使用される多数の従来の材
料は、例えば天然に存在する有機ポリマーなどのように
圧縮強さの欠如により大規模の使用には不適当である。
本発明で使用するのに適当な多孔性材料の更に詳細な説
明は、上記EP−A−60138に他に、EP−A−105634、EP
−A−156541、EP−A−157504、GB−A−2155481、EP
−A−200528及びEP−A−223574及び係属中の特許出願
であるEP−A−239360、EP−A−240342、EP−A−2642
68、EP−A−289238、EP−A−288310及び前出のヨーロ
ッパ特許出願第88306447.9号に記載されている。これら
の特許明細書は本発明の気孔率の要件に合致する多孔性
材料について開示している。いずれの場合も材料は、W/
Oエマルジョン、O/Wエマルジョン又は任意の2種の十分
に不混和性の溶液の間で形成されるエマルジョンのいず
れかであり得る高分散相エマルジョンの形態の出発物質
を重合することにより製造され得る。ここで「水」とは
水性ベースを意味し、「油」は水性系に不混和性である
こととを意味する。各明細書に記載されている材料はそ
の出発物質及び/又は最終特性が異なる。上記全特許明
細書は参考資料として本願の一部に加える。
本発明で使用される生物細胞は微生物、酵母、菌類、動
物細胞、植物細胞及びそれらの混合物から成る群から選
択され得る。場合によっては細胞は多孔性材料の表面に
直接吸着することが認められており、また場合によって
は細胞と結合するために化学的結合を形成することが必
要である。このような場合、表面が化学的に修飾されて
いる上記特許出願の多孔性材料は細胞に化学的結合部位
を提供するのに適していることが認められている。どの
ような方法を使用して細胞を結合させるかに関係なく、
本発明の材料を使用すると相互に連結する気孔の内側に
細胞を固定することができ、上記利点の一部又は全部を
実現するので、本発明の材料の使用は特に適当であるこ
とが見出された。
特筆すべき利点として、細胞がポリマー支持体との強い
結合を形成するようにその形態を適応できるという事実
も認められた。即ち、初期には支持体との間に遊離した
相互作用しか生じない。この初期の相互作用はポリマー
表面における物理的吸着のプロセスであり得、即ち共有
結合及びイオン結合は存在しない。その後、細胞は細胞
自体の適応により化学的に結合され得る。
細胞は他の生物材料、特に酵素と共に本発明の支持体に
固定され得る。
本発明の範囲において細胞は現場でポリマー支持体中で
増殖し得る。細胞が増殖促進培地中にある間に細胞を支
持体に導入すると有利である。
本発明の生物学的に活性なシステムは、例えば飲食品、
医薬品及びファイケミカルを含む種々の産業で使用され
得る。本発明のシステムは水性及び非水性の両方の媒体
中で機能し得る。水性媒体中に固定された微生物の用途
の例としては、糖からアルコール及びブドウ濃縮液から
ワインの連続製造、生成物の流れからグルコースの除
去、及び香料物質の選択的還元が挙げられる。本発明の
システムの使用方法には、成体触媒反応及び他の方法、
例えば細胞増殖、溶液からの金属抽出等がある。
以下、実施例に関して例示のみの目的で本発明を説明す
る。
実施例1 EP−A−0060138に記載の手順に従って作成したポリマ
ー多孔性支持体材料を使用して実験を行った。即ち材料
は多孔性ポリビニルをベースとする材料とした。実験に
は、支持体材料に固定したSaccharomyces酵母を使用し
た。こうして得られたシステムを充填ベッド反応器でア
ルコールの連続生成に使用した処、好結果が得られた。
反応器の容積効率は非常に良好であった。
ポリマーの構造、特に気孔の寸法及び相互に連結する孔
の寸法は、使用される酵母の直径(遊離培養中で約8μ
mの最大寸法に達するが、一般には5μm程度である)
を考慮して選択した。多孔性材料を完全に浸透させ且つ
ポリマー壁への細胞の接着による気孔の閉塞を阻止する
ために、気孔及び孔寸法の適当な組み合わせは夫々約45
μm及び15μmであった。
支持体材料は次のように作成した。まず10:1:2の割合で
スチレン、ジビニルベンゼン及びSpan80(広く市販され
ている界面活性剤)を含有する10容量%の油相と、2.5g
の濃度の過硫酸カリウム及び塩化カルシウム(10
-4M)を含有する水相とから成る1の高分散相エマル
ジョンを形成した。塩化カルシウムは最終的な気孔及び
細孔寸法の共調節剤として配合した。エマルジョンに比
較的均質な二次成形剪断を施し、次に60℃で10時間維持
して重合させた。形成されたポリマー材料を粒子に粉砕
し、篩別して425μm〜1400μmの寸法フラクションを
集め、連続流高温イソプロピルアルコール、次いで脱イ
オン水を使用して洗浄し、界面活性剤及び塩を除去し、
最後に乾燥した。走査型電子顕微鏡によりサンプルを分
析した処、気孔及び孔寸法は必要な組み合わせ、即ち夫
々45μm及び15μmであることが判明した。総気孔容積
は約90%であった。
細胞固定化のために、ポリマーの一部をまずクォーター
リンゲル液内に置き、120℃で15b/ln2の圧力(105kP
a)で20分間オートクレーブ処理して滅菌した。過剰の
クォーターリンゲル液を傾瀉し、ポリマー材料を約10倍
の容量のSabourandsデキストロースブロスに再懸濁させ
た後、市販のワイン酵母Saccharomyces cerevisiaeを接
種した。接種したフラスコを振蕩下に約5日間室温でイ
ンキュベートし、この間、1日おきに新しい培地に交換
した。インキュベーション後、全フラスコの内容物を容
量2の無菌フラスコにプールし、上清を捨てた。約1
の無菌0.1%ペプトン水を2%Tween80(界面活性剤)
と共にフラスコに加え、しっかりと固定化した細胞を分
離しないようにしながら遊離状態で接着している酵母を
除去し易くするために内容物を激しく振蕩した。1回お
きに洗浄し、3000RPMで20分間スラリーを遠心分離し、
上清を捨てながら、この手順を8回繰り返した。最終遠
心分離後、粒子の充填スラリーを無菌クォーターリンゲ
ル液に再懸濁させ、サンプルを除去して走査型電子顕微
鏡で分析した。ポリマー材料の風乾粒子はポリマー壁表
面に結合した多数の細胞を有していることが観察され、
多くの場合、細胞外材料を介して結合していることが観
察された。
多孔性ポリマー材料に固定した細胞の活性を試験するた
めに、長さ465mm及び直径13mmのカラムにスラリーをぎ
っしり充填して充填ベッド反応器を形成した後、ガス流
出入システム、フィードタンク、ポンプ及び圧力センサ
ーを有するスルーフローシステムに組み込んだ。細胞機
能のために必須鉱物を含有する15%スクロース溶液を糖
−アルコール一方向変換用反応器にポンプ注入した。
アルコール製造データを下記の表に要約する。
表 発酵型 連続流、一方向 フィードストック 15%スクロース+鉱物 温度 20℃ 酵母 標準ワイン酵母 (Saccharomyces cerevisiae) 最終アルコール濃度(g/dl) 6〜10.5 反応器の容積効率Kg EtOH/m3/h 9〜18.0 反応器を22日間連続的に運転させ、表に示した数値はこ
の期間の最大及び最小をとった。糖変換率は98%を越え
たが、糖全体がエタノールに変換した訳ではなかった。
糖の一部は増殖及び再生のために細胞により代謝されと
予測される。しかしながら、標準ワイン酵母で20℃の比
較的低い温度で運転したシステムの容積効率は優れてい
た。
重要な所見として、ガス移送特性が観察された。発酵中
に二酸化炭素が間断なく放出されたが、ポケット及びベ
ッド上昇が完全に不在なカラムの本体内ではガスを現れ
ず、ガス放出はベッドの頂部表面にしか観察されなかっ
た。このようなガス放出特性は、多孔性ポリマー材料が
隣接する粒子の気孔及び孔を通って優先的に放出ガスを
運搬するように機能することを示し、これは、ガス放出
又は流入を必要とするあらゆる充填ベッドシステムに特
に有利な特性である。
アルコール生成後、電子顕微鏡法によりポリマー粒子を
分析した処、粒子全体を通してポリマー材料の壁に濃密
な被覆が観察され、場合によっては気孔の内側に小さい
フロック(細胞凝集塊)が観察された。更に顕著な所見
として、細胞は形態が変化しており、丸みが減少してお
り、ポリマー表面をより濃密に覆っており、隣接細胞は
相互に結合しているように見えた。即ち、細胞は有利な
部位及び形態をとることが明白であり、本発明の多孔性
ポリマー材料が酵母細胞の固定に適していることが立証
された。
実施例2 実施例1の手順とほぼ同様にして、15%スクロースの代
わりにWinecraft Blend No.4グレープジュース濃縮液
(英国、Wigston,Leicester,Home Winecraft)をカラム
にポンプ導入した。連続運転で5日間で10%w/vのアル
コールを含有する5の美味のワインを生成した。比較
のために、従来の自家製手順により28日かけてバッチサ
ンプルを調製した。ガスクロマトグラフィ及び他の方法
を使用してこのバッチ生成物及び本実施例の連続発酵生
成物を分析した。サンプルの組成はほぼ同一であった
が、バッチサンプルのアルコール含有量のほうがやや高
かった。このことから明らかなように、本発明のシステ
ムで固定化された酵母細胞は、他の方法では望ましくな
い代謝分泌物をもたらす強制状況下で予想されるような
代謝変化又は異常を生じない。
実施例3 ハイブリドーマ細胞のような動物細胞はモノクローナル
抗体の製造に特に有利である。培養中の多くの真核細胞
型は「足場依存性(anchorage dependent)」であり、
即ち容易に接近可能な栄養素の通常要件及び摩耗損傷か
らの保護に加えて、接着及び増殖のための適当な支持体
を必要とする。これらの支持体は、細胞の樹立を可能に
し、細胞挙動(形態、移動度、増殖及び代謝)を調節す
る。気孔寸法、孔直径及び表面化学的特徴の所望の組み
合わせを備える本発明の粒状多孔性ポリマー材料を、足
場依存性ラット胚繊維芽細胞(REF)の培養を含む一連
の実験で使用した処、好結果を納めた。使用した多孔性
ポリマー材料は平均気孔寸法90μm及び平均孔寸法30μ
mを有しており、細胞を気孔に浸透させ且つ完全な「拡
散「spread)」形態を得るのに適していた。
材料の調製にあたり、まず水相の塩化カルシウムを1.0M
とした以外は実施例1と同様にして高分散相エマルジョ
ンを形成した。このイオン強度を約2分間の二次成形剪
断時間と組み合わせることにより、所望の気孔及び孔寸
法の組み合わせを有する材料が得られた。
重合、粉砕及び洗浄(実施例1と同様)後、乾燥した材
料を98%硫酸に30分間浸漬させることにより処理し、そ
の後、1N水酸化ナトリウムで中和し、最後に脱イオン水
で洗浄してから乾燥して表面を親水性にし、即ちこの場
合は細胞接着に適するようにした。最初に細胞結合はイ
オン性にしてもよい。
細胞増殖試験のために、オートクレーブ処理したポリマ
ーの30〜40個の粒子を、10%ウシ胎児血清、L−グルタ
ミン及びペニシリン/ストレプトマイシンを補充したDu
lbeccoの修飾イーグル培地(DMEM)に懸濁したラット胚
繊維芽細胞(REF)1〜2mlと混合した。培養物を5%CO
2雰囲気下で37℃で6時間維持した。
従来の方法を使用して走査型(SEM)及び伝送型電子顕
微鏡(TEM)の両方で、多孔性ポリマーへのREF細胞の接
着及びその内部における増殖を試験した。培養物中の健
康な足場依存性細胞は通常良好な「拡散」形態を示し、
十分に広がった細胞骨格特徴を有する。多孔性ポリマー
の表面は「拡散」細胞で十分に覆われていることが認め
られ、多くの場合、細胞は実際にポリマー網状構造の内
側で気孔を橋かけしており、更に細胞増殖及び接着のた
めの材料の適合性を確立している。細胞超微細構造のTE
M分析によると、高度に特殊化した細胞膜/ポリマー結
合点の存在、端部に集中性接着を有するアクトミオシン
フィラメントの束、10nmフィラメント及び微細管システ
ムのような正常細胞骨格構造を構成した。このように、
(REF)細胞の健康な形態及び超微細構造特徴は、本発
明の多孔性ポリマー材料の気孔及び孔寸法が足場依存性
動物細胞の培養に選択されると適当であることを示し
た。
実施例4 実施例3に記載した手順に従って、REF細胞の代わりに
足場依存性小児ハムスター腎臓細胞(BHK)を使用した
システムを作成した。BHK細胞は良好な「拡散」形態を
示し、特殊化した細胞支持体接着板を形成し、正常な細
胞骨格系を示した。培養における正常細胞の機能に典型
的なこれらの特徴は、本発明の多孔性ポリマー材料が動
物細胞の支持体材料として有用であることを立証してい
る。
実施例5 菌糸を浸透及び増殖させるために、生物に適当な気孔率
及び気孔寸法を有するポリビニルポリマー材料を作成し
た。
多孔性支持体は次のように作成した。まずスチレン、ジ
ビニルベンゼン及びSpan80(夫々4.42、0.44及び0.88k
g)を含有する油相と、水、過硫酸ナトリウム及び塩化
カルシウム(夫々44.25、0.097及び9.0kg)を含有する
水相とから成る高分散相W/Oエマルジョンを形成した。
エマルジョンに85rpmで30分間二次成形剪断を施した。
次に60℃で40時間重合させた。形成されたポリマーのブ
ロックを厚さ0.5cmのスライスに切断し、このスライス
から直径85mmのディスクを切り取った。次にポリマーを
実施例1と同様に洗浄した。材料の顕微鏡試験による
と、材料は90%の気孔率、少なくとも30μmの気孔寸
法、及び少なくとも10μmの相互連結孔寸法を有してい
ることが確認された。
無菌条件下で、洗浄及びオートクレーブ処理したポリマ
ーディスクにSabourandsデキトスロースブロスを充填
し、ペトリ皿に容れ、上表面をAspergillus niger接種
材料で覆った。接種したプレートを28℃でインキュベー
トし、濃密な菌の増殖が観察されたら、菌を固定したポ
リマーディスクを絶対エタノールに浸漬させ、風乾し
た。ディスクの断面を走査型電子顕微鏡により分析し
た。その結果、多孔性ポリマー網状構造に菌糸が濃密に
浸透しており、菌糸及びポリマー表面から多数の胞子が
延び、胞子含有量の高いディスクを構成していることが
観察された。このように、本発明の多孔性ポリマー材料
は、脆い菌糸に良好な保護を与えながら菌の増殖及び再
生に適当な支持体及び栄養供給源を提供することが可能
であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 クリスティーン・モーリス イギリス国、シー・エイチ・2・1・エ ヌ・ビー、アツプトン・バイ・チエスタ ー、セント・ジエームス・アベニュー・31 (72)発明者 ロジヤー・チヤールズ・ハモンド イギリス国、ベツドフオード・エム・ケ ー・43・7・エイチ・テイ、ラツドウエ ル、ザ・グリーン、ラバーンハム・ハウス (番地なし) (56)参考文献 特開 昭59−91882(JP,A) 特開 昭55−48392(JP,A) 特公 昭54−3676(JP,B2) 特表 昭62−502936(JP,A) 欧州特許出願公開97907(EP,A)

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生物細胞及び前記生物細胞に対する、複数
    の気孔と該気孔を相互に連結する複数の孔を有する多孔
    性ポリビニルポリマー材料から形成されてなる固体支持
    体を含む生物学的に活性なシステムを製造する方法であ
    って、 i)ビニルモノマー及び/又はプレポリマーを含有する
    連続相と、前記ポリマー材料の気孔となる内相とを有す
    るエマルジョンを調製し、 ii)前記エマルジョンの連続相中の前記モノマー及び/
    又はプレポリマーを重合して、少なくとも75%の総気孔
    容積を有しており且つ1〜150μmの範囲の平均直径を
    有する気孔と孔を有する多孔性材料としてポリマー材料
    を形成し、 iii)前記ポリマー材料の少なくとも気孔に生物細胞を
    導入することからなり、前記ポリマー材料中の気孔の平
    均寸法が生物細胞の細胞寸法の3〜15倍の範囲であり且
    つ前記ポリマー材料中の孔の平均寸法が生物細胞の細胞
    寸法の1〜8倍の範囲であることを特徴とする前記方
    法。
  2. 【請求項2】エマルジョンが水相と油相とを含むW/Oエ
    マルジョンであり、モノマー及び/又はプレポリマーが
    油相に存在することを特徴とする請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】水相が少なくとも10-4モル電解質のイオン
    強度を有していることを特徴とする請求項2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】水相のイオン強度が10-3〜5モル電解質の
    範囲であることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】電解質が可溶性ハロゲン化物及び硫酸塩か
    ら成る群から選択されることを特徴とする請求項3に記
    載の方法。
  6. 【請求項6】細胞を導入する前に形成された多孔性ポリ
    マー材料を洗浄する段階を含んでいることを特徴とする
    請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】形成された多孔性ポリマー材料が少なくと
    も90%の総気孔容積を有していることを特徴とする請求
    項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】ポリマー材料が架橋結合ポリマーであるこ
    とを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】支持体との初期接触時に細胞が共有結合せ
    ずに支持体内に局在していることを特徴とする請求項1
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】支持体との初期接触時に細胞が共有結合
    又はイオン結合せずに支持体内に局在していることを特
    徴とする請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】細胞が材料に化学的に結合されることを
    特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】細胞が増殖促進培地中にある間に支持体
    に導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】細胞が微生物、酵母、菌類、動物細胞、
    植物細胞及びそれらの混合物から成る群から選択される
    ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】多孔性ポリマー材料の気孔の平均寸法が
    生物細胞の細胞寸法の6〜12倍の範囲であることを特徴
    とする請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】孔の平均寸法が細胞寸法の3〜6倍の範
    囲であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  16. 【請求項16】請求項1に記載の方法により製造された
    生物学的に活性なシステム。
  17. 【請求項17】請求項16に記載の生物学的に活性なシス
    テムを使用して化合物を製造する方法であって、反応剤
    と生物細胞が接触して生物細胞により化合物を製造する
    ために、反応剤を相互に連結する孔を介して気孔に導入
    することからなる前記方法。
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