JPH0797693A - 汚れおよび酸化物除去用液状組成物および方法 - Google Patents

汚れおよび酸化物除去用液状組成物および方法

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JPH0797693A
JPH0797693A JP6155721A JP15572194A JPH0797693A JP H0797693 A JPH0797693 A JP H0797693A JP 6155721 A JP6155721 A JP 6155721A JP 15572194 A JP15572194 A JP 15572194A JP H0797693 A JPH0797693 A JP H0797693A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 クロメートおよびフェリシアン化物を用いる
ことなく、金属表面上の汚れおよび/又は酸化物を除去
するための組成物および方法を提供する。 【構成】 上記組成物は、硝酸、第二鉄イオン、過硫酸
イオン、およびモリブデン酸イオン又は縮合モリブデン
酸イオンを含み、必要により、フッ素含有イオン、硫酸
又は硫酸イオン、界面活性剤、着色剤などを含むもの
で、この組成物を、金属材料、例えばAl,Mg,Al
合金、又はMg合金材料、の表面に、15〜35℃にお
いて、0.5〜30分間接触させて、汚れおよび/又は
酸化物を除去し、水洗し乾燥して、金属材料の光輝表面
を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属材料表面から汚れ
および酸化物を除去するための液状組成物および方法に
関するものである。さらに詳しく述べるならば、本発明
は、アルミニウム、マグネシウム、並びにアルミニウム
およびマグネシウムの各々を45重量%以上の含有率で
含有する合金材料の表面、より具体的には、例えば溶解
時に、表面に汚れを容易に形成するに十分な量の銅を含
むアルミニウム合金材料の表面から汚れおよび酸化物を
除去するための組成物および方法に関するものである。
【0002】上記の組成物および方法は、汚れの原表面
から、この表面に汚れやその他のしみ(stainin
g)を形成することなく、酸化物を除去し、かつ脱酸化
を達成するために有用なものである。
【0003】但し、こゝに用いられる用語「酸化物除去
(脱酸化、Deoxidizing)」は、金属表面か
ら、酸化物皮膜および、それに付着している無機物質を
除去することを意味し、前記酸化物および付着無機物質
は、前記金属表面上に形成されるべき化成被覆層および
/又は塗料その他のような、所望の保護被覆層の接着性
を低下させるものである。多くの酸化物除去剤の場合、
それがその下層をなす金属層に接触したとき、この金属
層がかなり溶解するがそれは抑制されたものとなる。
【0004】これに対し、こゝに用いられている用語
「汚れ除去(desmutting)」は、先行清浄
化、エッチングおよび/又は酸化物除去処理により、こ
の金属の処理表面上に形成された粉末状の、通常は濃く
着色した残渣を、その下層をなす金属層を顕著に侵すこ
となく、除去することである。
【0005】
【従来の技術】数十年前に航空宇宙用銅含有アルミニウ
ム合金が開発されてから、従来の酸化物除去用組成物は
通常、濃硝酸および/又は硫酸およびクロメートを含
み、しばしばそれに所望により添加成分として用いられ
るフッ化物、第二鉄イオン、過硫酸および過酸化物のよ
うな酸化剤、およびフェリシアン化物(第二鉄シアン化
物、ferricyanide)を含むものである。近
年、環境保全上、クロメートおよびフェリシアン化物を
回避することが求められているが、しかし、これらの材
料を含まず、十分に満足できる酸化物除去剤は、未だ開
発されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、クロメート
およびフェリシアン化物を用いることなく、金属表面上
の汚れ、および酸化物を除去できる液状組成物および方
法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】モリブデン酸および過硫
酸イオンが、硝酸を基本とする汚れ除去剤に対し、すぐ
れた相乗効果を有することが見出された。これは、クロ
メートおよびフェリシアン化物の除外を可能にし、しか
もそれはアルミニウムおよびマグネシウム、並びに、こ
れらの各々の銅含有合金を含む各種合金に対し、すぐれ
た汚れ除去効果を示すものである。これらの汚れ除去剤
は、所望により、金属表面上の、望ましくない酸化物皮
膜に対する酸化物除去剤として使用可能なものであり、
それは、すゝぎ洗い前に表面を乾燥することが許されな
いときに、酸化物除去表面上に汚れを形成することな
く、或は、表面にしみを形成することなく、酸化物を有
効に除去できるものである。
【0008】本発明に係る金属表面の汚れおよび/又は
酸化物除去用液状組成物は、水および下記成分: (A)硝酸、(B)第二鉄イオン、(C)過硫酸イオ
ン、および(D)モリブデン酸イオン又は縮合モリブデ
ン酸イオン、を含むものである。
【0009】本発明の組成物は、必要により、又は好ま
しくは、さらに下記追加成分: (E)フッ素含有アニオン、(F)硫酸又は硫酸イオ
ン、(G)界面活性剤、および(H)染料又はその他の
着色剤から選ばれた少なくとも1種を含むものである。
【0010】本発明の組成物において、前記成分(A)
の濃度が1〜6.8モル/リットルであり、前記成分
(B)の濃度が0.09〜0.74モル/リットルであ
り、前記成分(C)の濃度が0.020〜0.19モル
/リットルであり、かつ前記成分(D)の濃度が0.0
1〜0.17モル/リットルであることが好ましい。
【0011】本発明の組成物において、前記追加成分を
さらに含む場合、前記成分(E)の濃度が0.01〜
0.28モル/リットルであり、前記成分(F)の濃度
が0.02〜2.5モル/リットルであることが好まし
い。
【0012】本発明の組成物の一実施態様(a)におい
ては、下記成分が下記濃度: 成分(A) 1〜6.8モル/リットル、 成分(B) 0.09〜0.74モル/リット
ル、 成分(C) 0.020〜0.19モル/リッ
トル、 成分(D) 0.01〜0.17モル/リット
ル、 成分(E) 0.01〜0.28モル/リット
ル、および 成分(F) 0.02〜2.5モル/リット
ル、で含まれる。
【0013】さらに、本発明の他の実施態様(b)にお
いては、下記成分が下記濃度: 成分(A) 2.0〜5.9モル/リットル、 成分(B) 0.09〜0.59モル/リット
ル、 成分(C) 0.020〜0.16モル/リッ
トル、 成分(D) 0.022〜0.12モル/リッ
トル、 成分(E) 0.028〜0.28モル/リッ
トル、および 成分(F) 0.09〜1.9モル/リット
ル、で含まれる。
【0014】本発明の組成物の他の実施態様(c)にお
いては、下記成分が下記濃度: 成分(A) 2.0〜5.9モル/リットル、 成分(B) 0.22〜0.45モル/リット
ル、 成分(C) 0.042〜0.10モル/リッ
トル、 成分(D) 0.044〜0.075モル/リ
ットル、 成分(E) 0.070〜0.19モル/リッ
トル、および 成分(F) 0.42〜1.2モル/リット
ル、で含まれ、前記成分(C)の前記成分(D)に対す
る濃度比が0.46:1.0〜1.5:1.0の範囲内
にあり、かつ、遊離酸の濃度が15〜40ポイントの範
囲内にコントロールされる。
【0015】本発明の組成物の他の実施態様(d)にお
いて、下記成分が下記濃度: 成分(A) 3.7〜5.4モル/リットル、 成分(B) 0.22〜0.37モル/リット
ル、 成分(C) 0.051〜0.091モル/リ
ットル、 成分(D) 0.052〜0.075モル/リ
ットル、 成分(E) 0.090〜0.14モル/リッ
トル、および 成分(F) 0.51〜0.91モル/リット
ル、で含まれ、前記成分(C)の前記成分(D)に対す
る濃度比が0.6:1.0〜1.2:1.0の範囲内に
あり、かつ、前記遊離酸の濃度が20〜35ポイントの
範囲内にコントロールされる。
【0016】本発明の組成物の他の実施態様(e)にお
いて、下記成分が下記濃度: 成分(A) 3.7〜5.4モル/リットル、 成分(B) 0.22〜0.30モル/リット
ル、 成分(C) 0.060〜0.080モル/リ
ットル、 成分(D) 0.052〜0.066モル/リ
ットル、 成分(E) 0.105〜0.119モル/リ
ットル、および 成分(F) 0.69〜0.79モル/リット
ル、で含まれ、前記成分(C)の前記成分(D)に対す
る濃度比が0.80:1.0〜1.95:1.0の範囲
内にあり、かつ、前記遊離酸の濃度が22〜25ポイン
トの範囲内にコントロールされる。
【0017】本発明に係る、金属材料表面から汚れおよ
び/又は酸化物を除去して光輝表面を形成する方法は、
前記いづれかの組成物を、汚れた、および/又は酸化さ
れた金属材料表面に、15〜35℃の温度で0.5〜3
0分間接触させ、次に前記組成物との接触から、前記金
属材料表面を取り出しかつこの金属表面を水によりすす
ぎ洗いすることを含むものである。
【0018】前記本発明方法において、前記金属材料
が、アルミニウム、マグネシウム、アルミニウム合金お
よびマグネシウム合金から選ばれることが好ましい。
【0019】本発明方法において、前記組成物が、前記
実施態様(c)の組成物であってもよい。
【0020】本発明方法において、前記組成物が、前記
実施態様(d)の組成物である場合、前記金属材料との
接触が17〜30℃の温度において2〜20分間行われ
ることが好ましい。また、上記態様の場合、前記金属材
料が、アルミニウム、又はアルミニウム合金材料である
ことが好ましい。
【0021】本発明方法において、前記組成物が、前記
実施態様(e)の組成物である場合、前記金属材料との
接触が20〜26℃の温度において5〜10分間行われ
ることが好ましい。この場合、前記金属材料が、アルミ
ニウム合金、タイプ7150,7075,2324,2
024又は6061であることが好ましい。
【0022】本発明の組成物において、下記成分が下記
濃度: 第二鉄イオン 0.09モル/リットル以上 モリブデン酸塩アニオンおよび 0.01モル/リットル以上 縮合モリブデン酸アニオンの 合計量 フッ化物 0.42モル/リットル以上 硫酸イオン 0.20モル/リットル以上 に濃縮されていてもよい。
【0023】上記濃縮組成物において、150部の硫
酸、50部のモリブデン酸アンモニウム、250部の硫
酸第二鉄、16部の二フッ化アンモニウムおよび全量を
1000部にするに要する水が含まれるものであっても
よい。
【0024】特許請求の範囲および実施例、又は本願明
細書に特別に記載された事項を除き、材料の量、又は反
応および/又は使用の条件を示す記載中の数値は、すべ
て、本発明の範囲を最も広く解するように、それに近似
する範囲を含むものと解すべきである。一般に明細書に
記載の数値的限定の範囲内で実施することが好ましい。
また、特に断りがない限り、パーセント、部、および比
の値は、重量に基づくものであり、また本発明に関し、
所期の目的を達成するために適当な、又は好ましい材料
の群(グループ又はクラス)に関する記載は、当該群の
メンバーの適宜の2以上の混合物も、それらと同様に好
適なもの、又は好ましいものであることを包含し、化学
的用語における構成成分の記載は、明細書中に記載され
た組み合わせのいずれかへの添加のときの成分に関連す
るものであって、それは、混合されたときの混合物の成
分間の化学的相互作用を必ずしも排除するものでなく、
イオンの状態にある材料の詳細な記載は全体として、そ
の組成物を、電気的に中性化するために十分な量の反対
イオンが存在する場合を包含し、従って、示唆的に記載
された反対イオンは、イオン状態にあることが明瞭に特
定された他の反対イオンからできるだけ選択されること
が好ましく、また、このような反対イオンは、本発明の
前記目的を損うように作用する反対イオンを除き、自由
に選択されてもよい。また、用語「モル」は、イオン状
態にある成分、および分子状成分の両方に用いられる。
【0025】本発明の種々の実施態様は、金属処理に直
接用いられる実用組成物、水により希釈して上記実用組
成物を調製することができる濃縮物、本発明の組成物に
より金属を処理する方法、およびすゝぎ洗いなどのよう
に、それ自身既知の追加工程を含む広義の方法を含むも
のであって、前記広義の方法は、特に有益な次の工程を
なす化成被覆および/又は塗装工程、又は同様のオーバ
ーコート工程を含み、このオーバーコート工程は、本発
明の狭義の実施態様に従って処理された金属表面を被覆
する、有機バインダー含有保護被覆層を形成するもので
ある。本発明の方法により処理された表面を有する製品
(物品)もまた、本発明の範囲内に含まれる。
【0026】
【作用】種々の理由により、上述のように規定された本
発明の組成物は、本発明と同様の目的のための先行技術
の組成物に用いられた多くの成分を、実質的に含まない
ことが好ましい。すなわち、本発明方法において、これ
らの組成物が金属と直接に接触するとき、この組成物
が、下記成分、すなわち六価クロム、シリカ、シリケー
ト(但しシリコン1原子当り4個以上のフッ素原子を含
んでいるものを除く)フェリシアン化物、フェロシアン
化物、チオ尿素、ピラゾール化合物、砂糖、グルコン酸
およびその塩類、グリセリン、α−クルコヘプタノン酸
およびその塩類、並びに、ミオイノシトール燐酸エステ
ルおよびその塩類を、各々1.0%以下で含むことが好
ましく、この含有量は、下記の量:0.35%以下、
0.10%以下、0.08%以下、0.04%以下、
0.02%以下、0.01%以下、0.001%以下、
又は0.0002%以下であることがさらに好ましく、
前記成分が、互に独立に、上記記載の順序に、小さくな
っていく程好ましい。また、第一鉄イオンの含有率は、
第二鉄イオンの5%以下であることが好ましく、3%以
下であることがより好ましく、1.1%以下であること
がさらに好ましい。
【0027】さらに、本発明方法が上記の組成物による
汚れおよび/又は酸化物除去処理以外の工程を含む場
合、環境汚染を避けることが最優先であると考えられる
場合、これらの工程において金属表面と接触する組成物
のすべてに含まれる六価のクロムの含有量は、1.0%
以下、0.35%以下、0.10%以下、0.08%以
下、0.04%以下、0.02%以下、0.01%以
下、0.003%以下、0.001%以下、又は0.0
002%以下であることが好ましく、六価クロムの含有
率の上限値が上記記載の順に小さくなる程好ましい。他
方、前記後処理の一つが必要な場合、本発明の汚れおよ
び/又は酸化物除去方法は、クロメート含有溶液中にお
けるクロメート化成被覆又は陽極酸化前に、有利に使用
し得るものである。
【0028】実用組成物として直接に、又は希釈された
実用組成物を調製するための活性成分の供給源として、
本発明に用いられるべき酸性水性組成物において、上述
の成分(A)の濃度は、組成物1リットル当り1モル以
上であることが好ましく、より好ましくは2.0モル以
上であり、さらに好ましくは3.7モル以上である。し
かし、実用組成物においては、成分(A)の濃度は、組
成物1リットル当り6.8モル以下であることが好まし
く、5.9モルであることがより好ましく、また、5.
4モル以下であることがより一層好ましい。
【0029】成分(B)に関して、濃縮物、又は、実用
組成物のいづれかにおける濃度は、組成物1リットル当
り、0.05モル以上であることが好ましく、0.09
モル以上であることがより好ましく、0.15モル以上
であることがさらに好ましく、0.22モル以上である
ことがさらに好ましい。しかし、実用組成物における成
分(B)の濃度は、0.70モル/リットル以下である
ことが好ましく、0.62モル/リットル以下であるこ
とがより好ましく、0.45モル/リットル以下である
ことがさらに好ましく、0.37モル/リットル以下で
あることがさらに好ましく、0.30モル/リットル以
下であることがさらに好ましい。
【0030】成分(C)に関して、濃縮物、又は実用組
成物中の成分(C)の濃度は、0.020モル/リット
ル以上であることが好ましく、0.042モル/リット
ル以上であることがより好ましく、0.051モル/リ
ットル以上であることがさらに好ましく、0.060モ
ル/リットル以上であることがさらに好ましい。しかし
ながら、実用組成物中の成分(C)の濃度は、0.19
モル/リットル以下であることが好ましく、0.16モ
ル/リットル以下であることがより好ましく、0.10
モル/リットル以下であることがさらに好ましく、0.
091モル/リットル以下であることがさらに好まし
く、かつ0.080モル/リットル以下であることがさ
らに好ましい。
【0031】成分(D)に関して、濃縮物又は実用組成
物のいづれかにおける成分(D)の濃度は、0.01モ
ル/リットル以上であることが好ましく、0.022モ
ル/リットル以上であることがより好ましく、0.04
4モル/リットル以上であることがさらに好ましく、ま
た0.052モル/リットル以上であることがさらに好
ましい。しかしながら、実用組成物中の成分(D)の濃
度は、0.5モル/リットル以下であることが好まし
く、0.24モル/リットル以下であることがより好ま
しく、0.17モル/リットル以下であることがさらに
好ましく、0.12モル/リットル以下であることがさ
らに好ましく、0.075モル/リットル以下であるこ
とがさらに好ましく、また0.066モル/リットル以
下であることがさらに好ましい。上記とは別に、実用組
成物において、成分(C)の成分(D)に対する比は、
0.4:1.0〜1.5:1.0の範囲内にあることが
好ましく、0.6:1.0〜1.2:1.0の範囲内に
あることがより好ましく、0.80:1.0〜0.9
5:1.0であることが、さらに好ましい。
【0032】成分(E)に関して、この成分(E)は、
可溶性フッ化物イオン又は二フッ化物イオン(bifl
uoride ions)から供給されることが好まし
く、重フッ化物イオンから供給されることがより好まし
い。二フッ化物イオンは、フッ化水素酸およびフッ化金
属酸錯体又はそれらの存在し得るイオンと同時に、フッ
化物イオンの化学量論的等価物として計量される。実用
組成物、又はその濃縮物中の成分(E)の濃度は、フッ
化物イオンに換算して、0.01モル/リットル以上で
あることが好ましく、0.028モル/リットル以上で
あることがより好ましく、0.070モル/リットル以
上であることがさらに好ましく、0.090モル/リッ
トル以上であることがさらに好ましく、また、0.10
5モル/リットル以上であることがさらに好ましい。し
かしながら、実用組成物中の成分(E)の濃度は、0.
28モル/リットル以下であることが好ましく、0.1
9モル/リットル以下であることがより好ましく、0.
14モル/リットル以下であることがさらに好ましく、
また、0.119モル/リットル以下であることがさら
に好ましい。
【0033】理論的に確定したものではないが、組成物
中に含まれるフッ化物イオンの主な機能は処理された表
面の微小エッチングを促進するものと信じられ、このフ
ッ化物の使用は、例えばアルミニウム合金の2xxxお
よび7xxxシリーズのように、アルミニウムよりも電
気化学的に貴な元素を比較的高いパーセンテージで含む
合金を処理するときに、特に望ましいものである。この
ような合金を処理するとき、汚れ除去操作間の、エッチ
ング速度は、1時間当り2.5×10-4〜10.2×1
-4cmの範囲内にあることが好ましい。このようなエッ
チング速度は、一般に、上述のフッ化物イオンの好まし
い量を用いることにより達成し得る。当業界においてよ
り容易に汚れ除去し得ると認識されている他の合金に関
しては、フッ化物イオンの使用量を減量してもよく、場
合により全く省略してもよい。
【0034】成分(F)に関し、実用組成物又はその濃
縮物中における硫酸イオンの濃度(但しこれは当該組成
物中に存在する硫酸の硫酸イオンと、化学的量論的に等
価なものを含む)は、0.02モル/リットル以上であ
ることが好ましく、0.09モル/リットル以上である
ことがより好ましく、0.20モル/リットル以上であ
ることがさらに好ましく、0.42モル/リットル以上
であることがさらに好ましく、0.51モル/リットル
以上であることがさらに好ましく、0.69モル/リッ
トル以上であることがさらに好ましい。しかしながら、
実用組成物中の成分(F)の濃度は、2.5モル/リッ
トル以下であることが好ましく、1.9モル/リットル
以下であることがより好ましく、1.6モル/リットル
以下であることがさらに好ましく、1.2モル/リット
ル以下であることがさらに好ましく、0.91モル/リ
ットル以下であることがさらに好ましく、また、0.7
9モル/リットル以下であることがさらに好ましい。
【0035】成分(G)に関して、表面張力を低下さ
せ、かつ処理すべき金属表面上に存在する有機汚染物を
可溶化するのに有効な界面活性剤の大部分が原則的に使
用可能であるが、多くの種類の界面活性剤は、高度に酸
化性の酸性組成物中においては不安定である。好ましい
界面活性剤により得られる他の有用な機能は、本発明に
よる汚れおよび/又は酸化物除去用組成物との接触か
ら、処理された金属表面を取り出すときと、この表面が
すゝぎ洗いされるときとの間に、実際に生じ得る遅れの
間に、この処理表面がスポット状に乾燥されることを防
止することである。当業界において、汚れ又は酸化物除
去の後、直ちにすゝぎ洗いを行うことが、処理された表
面にしみ(汚れ)を生ずる機会を最少にするために有用
であることが知られているけれども、例えば航空機の翼
部のような大きな対象物品に汚れ除去を施すとき、実際
には、上記すゝぎ洗いに2〜3分間の遅れを生ずること
が普通であり、また若し、汚れおよび/又は酸化物除去
用組成物が、金属表面上で乾燥するならばこの乾燥部域
にしみが形成することは殆んど不可避である。
【0036】上記界面活性剤のうち、実用的に好ましい
ものはエトキシル化アセチレン性ジオール類である。こ
れらの化合物については、十分に安定なことが認められ
ており、組成物の表面張力を減少させるのに適切なもの
であり、しかし、この組成物の起泡性を助長しないもの
であり、かつ表面処理と、すゝぎ洗いとの間の3分間以
上の転移時間の間に乾燥部域を形成しないようにするの
に有効なものであり、従って、実用的に好ましいもので
ある。これらの界面活性剤は、実用組成物中に、好まし
くは、下記の範囲内(但し、下記記載の順に徐々により
好ましくなる)、すなわち、0.01〜10モル/リッ
トル、0.1〜5モル/リットル、0.25〜4モル/
リットル、0.55〜3.0モル/リットル、0.75
〜2.5モル/リットル、0.85〜2.0モル/リッ
トル、0.85〜1.5モル/リットル、0.90〜
1.5モル/リットル、0.85〜1.2モル/リット
ル、又は、0.90〜1.10モル/リットル、で含ま
れる。最も好ましくは、この界面活性剤成分は、互に等
量の2種のエトキシル化テトラメチルデシルジオール類
からなり、その一方の親水性/親油性バランス、HLB
が7〜9の範囲内にあり、他方が11.5〜14.5の
範囲内のHLBを有するものである。
【0037】成分(H)は、本発明の組成物の格別の技
術的目的を達成するために用いられるものではないが、
例えば赤などのような目立つ色により、強酸の存在を、
作業員に表示するための安全警告手段としてしばしば有
効なものである。作業員に容易に認識させるために十分
な染料又は他の着色剤の使用量は、それが経済的コスト
を著しく増大し、又は、当該組成物の所望の技術的機能
を悪化させる程に大量に用いられることがない限り、当
業者が容易に選択し得るものである。
【0038】上記の特徴事項に加えて、本発明の実用組
成物は、遊離酸を、好ましくは、15ポイント以上、よ
り好ましくは18ポイント以上、さらに好ましくは20
ポイント以上、さらに好ましくは21ポイント以上、さ
らに好ましくは22ポイント以上、さらに好ましくは2
3ポイント以上含むものである。上記ポイントは本発明
において、5.0mlの組成物サンプルを滴定するに必要
な1.0N強アルカリ(例えば水酸化ナトリウム)水溶
液のml数に等しい値である。但し、前記組成物サンプル
は、過剰量のフッ化カリウムを含む少なくとも約10ml
の脱イオン水により希釈されたものであり、前記フッ化
カリウムの添加は、滴定の間に重金属の水酸化物が沈澱
することを防止するためであり、前記滴定の終点は、フ
ェノールフタレイン指示薬により検知することができ
る。しかし、実用組成物の遊離酸の含有量は、35ポイ
ント以下であることが好ましく、32ポイント以下であ
ることがより好ましく、29ポイント以下であることが
さらに好ましく、27ポイント以下であることがさらに
好ましく、26ポイント以下であることがさらに好まし
く、また25ポイント以下であることがさらに好まし
い。また、別に、本発明の実用組成物は800〜110
0ミリボルト(mV)の酸化−還元(レドックス)電位を
有することが好ましく、このレドックス電位は、950
〜1035mVであることがより好ましく、975〜10
29mVであることがさらに好ましく、985〜1020
mVであることがさらに好ましく、991〜1011mVで
あることがさらに好ましく、また996〜1006mVで
あることがさらに好ましい。上記レドックス電位は当該
組成物中に浸漬されたプラチナ電極の電位を、同一組成
物中に浸漬された標準飽和カロメル電極に対比して測定
される。本発明の組成物の酸化性は、前記標準電極より
も高い。
【0039】本発明の実用組成物は、処理すべき金属表
面に適宜の従来方法により適用することができ、この方
法のいくつかは当業者に明瞭なものである。浸漬法は最
も単純な方法であり、最もしばしば用いられるものと思
われる。しかし、スプレー法、ロール塗布法、その他の
方法を用いてもよい。
【0040】本発明の組成物と、それにより処理される
べき金属との間の接触時の温度および接触時間は、所望
の効果を達成し得る限り広い範囲に変動し得る。接触温
度および時間は、しばしば、金属表面の肉眼検査、必要
によりすゝぎ洗い後における肉眼検査により設定され
る。一般的ガイドラインとして、上記接触温度は通常1
5〜35℃であることが好ましく、17〜30℃である
ことがより好ましく、2〜20℃であることがさらに好
ましい。また接触時間は、0.5〜30分であることが
好ましく、5〜10分であることがさらに好ましい。
【0041】本発明による処理の後、通常、処理された
表面を、後の処理工程の前に、水ですゝぎ洗いする。上
述のように処理された表面を、汚れおよび/又は酸化物
除去用組成物との接触から取り出した後、実際上、でき
るだけ速かに、前記すゝぎ洗いを完了することが好まし
く、また実際上可能ならば、汚れおよび/又は酸化物除
去用組成物が、少なくとも表面のいづれか一部分におい
て乾燥する前にすゝぎ洗いを行うべきである。このすゝ
ぎ洗いの後、金属表面を乾燥する。すゝぎ洗い、乾燥、
およびそれに続く処理は通常それ自身当業者に既知のも
のである。
【0042】本発明は特に、アルミニウム合金、タイプ
7150,7075,2024,2324および606
1の処理に有利なものであり、また、本発明による処理
の前に、はげしくショットピーニングされた、又は、機
械的に加工された、および/又はアルカリ性組成物によ
り化学的に加工された(milled)、又は強く化学
的にエッチングされた、アルミニウム合金又はマグネシ
ウム合金の表面の処理に有利に用いられるものである。
【0043】水で希釈することにより実用組成物を調製
することができる濃縮物を供給することが望ましい場
合、この濃縮物は過硫酸成分(C)を含まないことが好
ましい。過硫酸成分(C)は、それを他の成分と混合す
ると、それを長期間貯蔵する場合には不安定であること
が認められている。また、硝酸および界面活性剤は、別
々に供給されることが好ましい。従って、本発明の好ま
しい濃縮物は、水と、硫酸塩成分と、第二鉄イオン成分
と、フッ化物成分と、モリブデン酸成分のみを含むこと
が好ましい。
【0044】本発明の組成物を種々の用途に用いると
き、処理された金属物品の溶解によりこの組成物に、新
らしい成分が導入されてもよく、浴の成分のあるものは
反応により消費されてもよい。従って、他の類似の処理
と同様に、長期間の操作が所望されるときには、望まし
くない成分を除去し、かつ、所望の成分の消費分を補給
するために、組成物の一部を引き出すことが有効であ
る。或る場合には補給のみをすることで十分であり、又
は、組成物の処理は全く不必要である。
【0045】
【実施例】本発明の実際を、下記実施例により説明する
が、これらは本発明を限定するものではない。
【0046】組成物の組成 下記組成の組成物を調製した。 成分(A):H2 NO3 4.04モル/リットル (42°ボーメの市販濃硝酸より調製) 成分(B):Fe2 (SO4 3 0.13モル/リットル (市販50%水溶液より調製) 成分(C):(NH4 2 2 8 0.0701モル/リットル (市販固形塩から調製) 成分(D):(NH4 2 Mo2 7 0.059モル/リットル (市販固形塩より調製) 成分(E):NH4 HF2 0.056モル/リットル (市販固形塩より調製) 成分(F):H2 SO4 0.354モル/リットル (市販濃硫酸より調製) 成分(G):エトキシル化テトラメチルデシアンジオール 0.51g/リットル (界面活性剤、商標:SURFYNOL 465又は440、 Air Products Co.製、HLB値:13.0(SURFYNO L 465)および8.0(SURFYNOL 440)) 成分(H):赤色染料 0.18g/リットル (商標:NYLOSAN RHODAMINE E−B90)
【0047】註:この組成物において、硫酸第二鉄は、
1分子当り2個の第二鉄イオンを含むから、第二鉄イオ
ンの合計濃度は、0.26モル/リットルであり、二フ
ッ化アンモニウムは、1分子当り2個のフッ素原子を含
むから、フッ化物イオンの合計濃度は、0.112モル
/リットルであり、かつ硫酸イオンの合計濃度は0.7
4モル/リットルであり、これは硫酸第二鉄から供給さ
れた0.39モル/リットルと、硫酸から供給された
0.35モル/リットルとを含むものである。上記組成
物のレドックス電位は、1001mVであり、その遊離酸
濃度は、24ポイントであった。
【0048】組成物の使用 アルミニウム材、タイプ7150の複数枚のパネルの各
々に、少なくとも1個の孔を形成して、そのしみおよび
/又は汚れ傾向の評価をより厳格になし得るようにし
た。この汚れは通常実際的条件下において処理された部
分の凹所又は孔においてより明瞭に表われる。上記パネ
ルに、前処理としてエッチングを施して、再現可能な、
酸化され、かつ汚された表面を形成した。前記前処理エ
ッチングは、水と、120〜150g/リットルの水酸
化ナトリウムと、11〜26g/リットルの硫化ナトリ
ウムと、30〜60g/リットルのトリエタノールアミ
ンと、18〜50g/リットルの溶解アルミニウムとか
らなるアルカリ性エッチング溶液中に、29.4〜3
2.2℃の温度範囲内において7〜10分間浸漬するこ
とにより行われた。
【0049】エッチング液を除去した後、エッチングさ
れたパネルを、外気中に2〜3分間放置し、次に、これ
に大気温度において、脱イオン水により2〜3分間づつ
2回すゝぎ洗いを施し、これを前記汚れ除去用組成物中
に、この組成物を空気撹拌しながら、大気温度におい
て、10分間浸漬し、大気中に2〜3分間放置し、次に
これに脱イオン水によるすゝぎ洗いを2回施した。第1
回目のすゝぎ洗い時間は2〜3分間であり、第2回目の
すゝぎ洗い時間は1分間であった。得られたパネルの一
部を従来方法により陽極酸化したところ、満足すべき結
果が得られた。残余のパネルを乾燥させ、肉眼観察によ
り検査した。汚れのない、光輝のある、かつ平滑な表面
が得られた。
【0050】部分的濃縮組成物 150部の硫酸、50部のモリブデン酸アンモニウム、
250部の硫酸第二鉄、16部の二フッ化アンモニウム
および全量を1000部にする量の水からなる濃縮部分
は組成物も有効であった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水および下記成分: (A)硝酸、(B)第二鉄イオン、(C)過硫酸イオ
    ン、および(D)モリブデン酸イオン又は縮合モリブデ
    ン酸イオンを含む、金属表面の汚れおよび/又は酸化物
    除去用液状組成物。
  2. 【請求項2】 さらに、下記追加成分: (E)フッ素含有イオン、(F)硫酸又は硫酸イオン、
    (G)界面活性剤、および(H)染料又はその他の着色
    剤から選ばれた少なくとも1種を含む、請求項1に記載
    の組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の組成物を、汚れ
    た、および/又は酸化された金属材料表面に、15〜3
    5℃の温度で0.5〜30分間接触させ、次に前記組成
    物との接触から、前記金属材料表面を取り出し、かつこ
    の金属表面を水によりすすぎ洗いすることを含む、金属
    材料表面から汚れおよび/又は酸化物を除去して光輝表
    面形成する方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の組成物において、下記
    成分を下記濃度: 第二鉄イオン 0.09モル/リットル以上 モリブデン酸塩アニオンおよび 0.01モル/リットル以上 縮合モリブデン酸アニオンの 合計量 フッ化物 0.42モル/リットル以上 硫酸イオン 0.20モル/リットル以上 で含む濃縮組成物。
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