JPH0796592B2 - グラフト共重合体の製造方法 - Google Patents

グラフト共重合体の製造方法

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JPH0796592B2
JPH0796592B2 JP32830788A JP32830788A JPH0796592B2 JP H0796592 B2 JPH0796592 B2 JP H0796592B2 JP 32830788 A JP32830788 A JP 32830788A JP 32830788 A JP32830788 A JP 32830788A JP H0796592 B2 JPH0796592 B2 JP H0796592B2
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graft copolymer
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渡辺  純一
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、グラフト共重合体の製造方法に関し、特に耐
衝撃性及び耐寒性に優れたグラフト共重合体を製造する
方法に関する。
〔従来の技術〕
ポリフッ化ビニリデン(以下、「PVdF」と略す)は、耐
候性、耐蝕性、電気的特性及び加工性等に優れるため、
多岐にわたる用途に使用されている。
しかし、PVdFは結晶性が大きいため、加工時の残留応力
が大きく、経時においてストレスクラックが生じ易く、
また柔軟性に欠け、耐衝撃性、耐寒性も他のフッ素系樹
脂に比して劣っている。そこで、耐衝撃性及び耐寒性を
改良するため、フッ化ビニリデンと他の単量体、例えば
ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、
メチルメタクリレート、ブチルアクリレートなどとを共
重合する方法、あるいはPVdFにアクリル系樹脂等を配合
する方法等が提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、フッ化ビニリデンと他の単量体とを共重合する
方法によって得られる共重合体は、柔軟性には優れる
が、融点が低下し使用可能な温度領域が低下したり、加
工性が悪化する問題がある。またPVdFにアクリル系樹脂
等を配合する方法によって得られる組成物は、透明性、
加工性及び柔軟性には優れるが、耐候性及び耐薬品性が
悪化する欠点がある。
そこで、本発明の目的は、PVdFの本来の特長を有すると
ともに、耐衝撃性及び耐寒性に優れるグラフト共重合体
を製造する方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、上記課題を解決するものとして、 (A)(A−1)一般式(I)〜(V): 〔式中、R1は水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル
基、R2は 式: −O−R′−、−NH−R′− 〔R′は炭素原子数1〜20のアルキレン基又は式: で表される基であり、R3、R4及びR5は同一又は異なって
もよく、炭素原子数1〜20の1価の炭化水素基、炭素原
子数1〜3のアルコキシ基又は式: (複数のR6は同一又は異なってもよく、炭素原子数1〜
20の1価の炭化水素基、nは0〜100の整数であり、R7
はR6と同じ意味を有するか、又は下記式: (ここで、R6及びnは前記のとおりである。) 〔ここで、Aは下記式: (R2、R3、R4及びR5は前記と同じ) で表される基である〕 〔ここで、R2、R3、R4及びR5は前記一般式(I)と同
じ〕 で表される有機ケイ素化合物から選ばれる少なくとも1
種と、 (A−2)一般式(VI): 〔ここで、R8は水素原子又はメチル基であり、R9は水素
原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基である〕 で表される(メタ)アクリル系化合物とからなり、(A
−1)の有機ケイ素化合物/(A−2)の(メタ)アク
リル系化合物の構成比が10/90〜90/10(重量比)である
共重合体と、 (B)フッ化ビニリデンを必須成分とする単量体とを、
(A)/(B)の重量比が1/99〜50/50である割合で、
ラジカル重合開始剤の存在下に反応させることにより、
前記(A)の共重合体に前記(B)の単量体をグラフト
共重合させるグラフト共重合体の製造方法を提供するも
のである。
本発明の方法において、(A)の共重合体の(A−1)
成分として使用される有機けい素化合物は、前記一般式
(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)で表され
る有機けい素化合物から選ばれた少なくとも1種であ
る。この一般式(I)、(II)、(III)、(IV)及び
(V)において、R1は水素原子又は炭素原子数1〜3の
アルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基で
あり、R2は式: −O−R′−、−NH−R′− 〔R′は炭素原子数1〜20のアルキレン基又は式: で表される基である。R3、R4及びR5は同一又は異なって
もよく、炭素原子数1〜20の1価の炭化水素基、例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オク
チル基、フェニル基等、炭素原子数1〜3のアルコキシ
基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基
等、又は式: (複数のR6は同一又は異なってもよく、炭素原子数1〜
20の1価の炭化水素基、nは0〜100の整数であり、R7
はR6と同じ意味を有するか、又は下記式: (ここで、R6及びnは前記のとおりである。) で表される基である。) 上記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)又は
(V)で表される有機けい素化合物の具体例として下記
式で表されるものが挙げられる。ただし、以下の式にお
いて、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基、
Phはフェニル基を示す。
(a)式(I)で表される有機けい素化合物 (b)式(II)で表される有機けい素化合物 において、 (c)式(III)で表される有機けい素化合物 において、 (d)式(IV)で表される有機けい素化合物 において、 (e)式(V)で表される有機けい素化合物 本発明の方法において使用される(A)の共重合体の
(A−2)成分である(メタ)アクリル系化合物は前記
一般式(VI)で表されるものである。式中、R8は水素原
子又はメチル基であり、R9は水素原子又は炭素原子数1
〜12のアルキル基、例えば、メチル基、プロピル基、ブ
チル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基である。
この(A−2)成分の(メタ)アクリル系化合物の具体
例としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル
酸ブチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル等が
挙げられる。これらの(メタ)アクリル系化合物は1種
単独でも2種以上でも用いられる。
本発明の方法において用いられる(A)成分の共重合体
は、上記(A−1)成分である有機ケイ素化合物と(A
−2)成分である(メタ)アクリル系化合物とも共重合
してなるものである。この共重合体の製造は、特に方法
は限定されず、例えば、上記(A−1)である一般式
(I)、(II)、(III)、(IV)及び(V)で表され
る有機ケイ素化合物から選ばれる少なくとも1種と、上
記(A−2)成分である一般式(VI)で表される(メ
タ)アクリル系化合物とを、ラジカル重合開始剤の存在
下に常法に従って重合させることにより行うことができ
る。この重合は、通常、有機又は無機の過酸化物、アゾ
系化合物、レドックス系開始剤等のラジカル重合開始剤
を用いる懸濁重合、乳化重合、溶液重合又は塊状重合等
により、重合温度30〜100℃、重合時間0.5〜20時間程度
で行う方法が一般的である。
(A)の共重合体中の(A−1)成分/(A−2)成分
の重量比は10/90〜90/10、好ましくは30/70〜80/20であ
る。(A)の共重合体中の(A−1)成分/(A−2)
成分の重量比が10/90未満であると得られるグラフト共
重合体の耐候性が低下し、90/10を超えると加工性が悪
くなるおそれがある。
本発明の方法において使用される(B)成分であるフッ
化ビニリデンを必須成分とする単量体は、例えば、フッ
化ビニリデン単独、又はフッ化ビニリデンとフッ化ビニ
リデンと共重合可能な他の単量体とを含む単量体混合物
を言う。フッ化ビニリデンと共重合可能な他の単量体と
しては、例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフル
オロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン等の他の
フッ素系単量体;エチレン等のα−オレフィンなどが挙
げられる。これらのフッ化ビニリデンと共重合可能な他
の単量体は、1種単独又は2種以上をフッ化ビニリデン
とともに用いてもよい。
本発明の方法で使用される(B)成分であるフッ化ビニ
リデンを必須成分とする単量体は、通常、フッ化ビニリ
デンを50重量%以上程度、好ましくは70重量%以上程度
含むものである。
本発明の方法は、前記(A)成分と(B)成分を(A)
/(B)の重量比が1/99〜50/50、好ましくは2/98〜30/
70である割合で、ラジカル重合開始剤の存在下で反応さ
せ、(A)成分の共重合体に、(B)成分のフッ化ビニ
リデンを必須成分とする単量体をグラフト共重合させる
方法である。
(A)/(B)の重量比が1/99未満であると、得られる
共重合体の耐衝撃性及び耐寒性が改良されず、50/50を
超えると耐衝撃性及び耐寒性がそれ以上改良されないば
かりか、PVdF本来の特長、例えば、耐候性等を損なうこ
ととなる。
本発明の方法で使用されるラジカル重合開始剤として
は、有機及び無機の過酸化物、例えばイプロピルパーオ
キシジカーボネート、n−プロピルパーオキシジカーボ
ネート、ヘプタフルオロブチリルパーオキシド、過硫酸
アンモニウム、過硫酸カリウム;アゾ化合物;レドック
ス系重合開始剤等が挙げられる。これらは1種又は2種
以上で用いられる。
本発明の方法におけるグラフト共重合の形式は特に限定
されず、一般に、適当な媒体を使用して均一系又は不均
一系における反応で行われる。例えば水又はトリクロロ
フルオロエタン等の疎水性溶媒を媒体とする懸濁重合又
は乳化重合による方法などで行うことができる。この反
応において、得られるグラフト共重合体の分子量を調整
するために、イソプロピルアルコール、アセトン等の連
鎖移動剤を使用することは任意である。
グラフト共重合の重合条件は、通常、重合温度20〜100
℃で重合時間1〜50時間が一般的である。
本発明の方法においては、製造されるグラフト共重合体
に、樹脂等に一般的に配合される配合剤、例えば、紫外
線吸収剤、充填剤、着色剤等を添加することは任意であ
る。
〔実施例〕
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。
実施例1 (1)共重合体の製造 内容積1の重合器に、純水500g、トリス(トリメチル
シロキシ)メタクリロイルオキシプロピルシラン(前記
具体例で示したS−5)100g、メタクリル酸メチル(MM
A)100g、アゾビスイソブチロニトリル0.6g及びリン酸
カルシウム2gを仕込み、80℃で6時間重合反応させた。
得られた反応混合物を冷却して重合反応を終了させた
後、脱水、洗浄及び乾燥してビーズ状の重合体粒子を得
た。
(2)グラフト共重合体の製造 内容積6lの重合器に、上記(1)で得られた共重合体12
0g、純水3000g及びメチルセルロース1.2gを仕込み、系
内を真空にした後、フッ化ビニリデン1080gを仕込ん
だ。次いで、ジn−パーオキシジカーボネート12gをト
リクロロトリフルオロエタン60gに溶解した溶液及びイ
ソプロピルアルコール15gを重合器内に圧入し、30℃で1
5時間反応させた。重合器内の未反応モノマーをパージ
した後、反応混合物を脱水、乾燥して白色粉末状のグラ
フト共重合体100gを得た。
得られたグラフト共重合体を、20mmφ押出機を用いてシ
リンダー温度170〜200℃、ダイス温度220℃で丸棒状に
溶融して押出し、ペレタイザーでペレット状に切断し
た。
次に、このペレットを15t射出成形機を用いて200〜250
℃で90×22×4mmの試験片を作製し、この試験片につい
てASTM−D256に準じてアイゾット衝撃強度を、またJIS
K7216にしたがって脆化温度を測定した。結果を表1に
示す。
実施例2〜4 各例において、実施例1の(1)におけるトリス(トリ
メチルシロキシ)メタクリロイルオキシプロピルシラン
の代わりに、表1に示す有機ケイ素化合物(前記具体例
で示したS−24,S−28又はS−32)を使用して共重合体
を製造した以外は、実施例1と同様にしてグラフト共重
合体を製造し、得られたグラフト共重合体から試験片を
作製してアイゾット衝撃強度及び脆化温度を測定した。
結果を表1に示す。
実施例5 実施例1の(1)におけるメタクリル酸メチル(MMA)
の代わりに、アルリル酸ブチルを使用して共重合体を製
造した以外は実施例1と同様にしてグラフト共重合体を
製造し、得られたグラフト共重合体から試験片を作製し
てアイゾット衝撃強度及び脆化温度を測定した。結果を
表1に示す。
比較例1 フッ化ビニリデンのホモポリマーについて、実施例1と
同様にアイゾット衝撃強度及び脆化温度を測定した。結
果を表1に示す。
実施例6、7 実施例1の(1)におけるトリス(トリメチルシロキ
シ)メタクリロイルオキシプロピルシラン(S−5)と
メタクリル酸メチル(MMA)の使用量を表2に示すよう
にして共重合体を製造した以外は実施例1と同様にして
グラフト共重合体を製造し、得られたグラフト共重合体
から試験片を作製してアイゾット衝撃強度及び脆化温度
を測定した。結果を表2に示す。
実施例8、9 実施例1の(2)における共重合体の使用量を表3に示
すようにした以外は実施例1と同様にしてグラフト共重
合体を製造し、得られたグラフト共重合体から試験片を
作製してアイゾット衝撃強度及び脆化温度を測定した。
結果を表3に示す。
〔発明の効果〕 本発明の方法によれば、耐衝撃性及び耐寒性に優れ、し
かもPVdFが有する優れた特長を有するグラフト共重合体
を得ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)(A−1)一般式(I)〜(V): 〔式中、R1は水素原子又は炭素原子数1〜3のアルキル
    基、R2は式: −O−R′−、−NH−R′− 〔R′は炭素原子数1〜20のアルキレン基又は式: で表される基であり、R3、R4及びR5は同一又は異なって
    もよく、炭素原子数1〜20の1価の炭化水素基、炭素原
    子数1〜3のアルコキシ基又は式: (複数のR6は同一又は異なってもよく、炭素原子数1〜
    20の1価の炭化水素基、nは0〜100の整数であり、R7
    はR6と同じ意味を有するか、又は下記式: (ここで、R6及びnは前記のとおりである。) で表される基である。)〕 〔ここで、Aは、下記式: (R2、R3、R4及びR5は前記と同じ) で表される基である〕 で表される有機ケイ素化合物から選ばれる少なくとも1
    種と、 (A−2)一般式(VI): 〔ここで、R8は水素原子又はメチル基であり、R9は水素
    原子又は炭素原子数1〜12のアルキル基である〕 で表される(メタ)アクリル系化合物とからなり、(A
    −1)の有機ケイ素化合物/(A−2)の(メタ)アク
    リル系化合物の構成比が10/90〜90/10(重量比)である
    共重合体と、 (B)フッ化ビニリデンを必須成分とする単量体とを、
    (A)/(B)の重量比が1/99〜50/50である割合で、
    ラジカル重合開始剤の存在下に反応させることにより、
    前記(A)の共重合体に前記(B)の単量体をグラフト
    共重合させるグラフト共重合体の製造方法。
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