JPH0796078B2 - ドライクリーナの蒸留装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はパークロルエチレン、フロンR113等の沸点の異
なる有機溶剤を２種以上混合して使用するドライクリー
ナに適用される蒸留装置に関するものである。

（従来の技術） 従来のドライクリーナの蒸留システムを第３図を用いて
説明する。

蒸留器150には蒸発ガス温度を測定する温度センサー32
が装着されている。蒸留器150の底部には、蒸気を熱源
にした加熱槽31が設けられている。

加熱槽31には、低沸点溶剤用と高沸点溶剤用の２系統の
蒸気供給配管340,350が設けられており、専用の自動バ
ルブ34,35により開閉される。36はスチームトラップで
ある。低沸点溶剤用蒸気供給配管340は低圧力もしくは
管内にオリフィス等を設けて小流量の蒸気が流れる様に
されており、高沸点溶剤用蒸気供給配管350は高圧力で
大流量の蒸気が流れる様になっている。

さて、ここで衣料を洗浄し遠心分離された混合溶剤30
は、ポンプ10により配管11を通りバルブ12から蒸留器15
0に排液され、蒸留が始まると第３図の例では混合溶剤3
0の蒸発ガス温度で蒸留状況が温度センサー32で検出さ
れ、その蒸発ガス温度に応じてコントローラ33により低
温時は低沸点用バルブ34が開とされ、高温時には高沸点
用バルブ35が開とされて、溶剤組成に応じた加熱がなさ
れ、突沸事故等もなく最短時間で混合溶剤の蒸留が行な
われる。

一方、蒸発した溶剤ガスはコンデンサ27で凝縮され、冷
却器26を経由して分配配管に導かれる。

蒸発ガス温度が低温時は、コントローラ33からの信号に
よりバルブ23は開とされ低沸点溶剤用の水分離器22へ、
また蒸留が進むにつれてある一定温度以上（以下、分留
温度と記述する。）にガス温度が上昇すると、バルブ23
は閉とされ高沸点溶剤用の水分離器22aに切換えられ、
各々の溶剤は図示しない専用タンクに分別回収される。

（発明が解決しようとする課題） 以上の如く、混合溶剤の蒸留分離においては、刻々と変
化する蒸発ガス温度（これらは沸点温度と同じ）を検出
することにより、蒸留初期の低沸点域では低圧力の蒸気
を供給して低温域を保持して突沸を起させずに安定した
蒸留を行なうとともに、分配バルブで低沸点溶剤用の水
分離器に導き、沸点がある一定温度以上に上昇すると、
今度は高圧力の蒸気に切換えて高温域を保持するととも
に、高沸点溶剤用の水分離器に切換えて分留している。

しかし、混合溶剤を蒸留器へ排液した初期の時点では、
温度センサーは分留温度より更に高温の蒸留器壁等によ
る放熱の影響を感知し、依然として高い温度を検出して
いることになる。

このため、従来の蒸留方法では蒸留初期からいきなり高
圧力の蒸気が供給されて高温域に入るため突沸を起すと
ともに、低沸点溶剤が誤って高沸点溶剤用の水分離器に
回収されてしまい、溶剤組成及び分配されるべき各々の
溶剤量のバランスが大幅に崩れる結果となっていた。

これらの問題点を改善するために、高沸点溶剤の蒸留が
完了したら次回の排液までの間蒸気を高圧・低圧ともに
遮断して蒸留器の熱容量を下げたり、蒸留開始後の一定
時間だけ強制的に低圧力の蒸気を供給し、分配バルブも
低沸点溶剤側に保持する方法等がとられてきたが、いず
れの場合も有効な手段とはなり得ず、相変わらず上記の
不具合を招いていた。

本発明はこうした事情を踏まえて開発されたもので、特
に沸点の異なる２種類以上の溶剤を使って洗浄するドラ
イクリーナにおいて蒸留の開始初期から溶剤ガス温度を
的確に把握し、溶剤の突沸及び誤分配をなくすようにし
た蒸留装置を提供しようとするものである。

（課題を解決するための手段） このため、本発明は蒸留器、コンデンサ、冷却器及び水
分離器からなり、少なくとも２種類以上の互いに溶解
し、沸点の異なる有機溶剤の混合排液を分別蒸留回収す
る分留装置と、蒸留器内に設置され蒸発ガス温度を測定
する温度センサーと、同温度センサーの信号により制御
される蒸留器の加熱装置と、回収溶剤の分配配管とを備
えたドライクリーナの蒸留装置において、蒸留器への混
合溶剤排液時に同排液の一部を上記温度センサーの検温
部に直接接触させ得るようにすることを構成とし、これ
を上記課題の解決手段とするものである。

（作用） パークロルエチレンとフロンR113等の互いに溶解し、沸
点の異なる２種類以上の有機溶剤の混合度を、温度セン
サーにより蒸発ガス温度を検出して蒸留分離する際に、
蒸留器への排液の一部を温度センサーに導いて予め冷却
することにより、蒸留初期に発生する低沸点溶剤のガス
温度を速やかに、かつ正確に検出する。

このため、蒸留の初期から刻々と変化する蒸発ガス温度
（沸点）を常に正確に検出することができ、誤検出によ
る回収溶剤の組成及び分留溶剤量のバランス悪化を防止
するとともに、突沸事故等の発生を防止し、最短時間で
効率的に混合溶剤の蒸留を行なう。

（実施例） 以下、本発明の代表的な実施例を第１図に基づいて説明
する。

同図において、第３図と同一の符号が付されている部分
は実質的に同一の部分であり、10はポンプ、11は同ポン
プ10と蒸留器150を結ぶ配管、12は同配管11中に付設さ
れるバルブ、22,22aは低沸点溶剤用と高沸点溶剤用の水
分離器で、各水分離器22,22aは切換バルブ23及び冷却器
26を介してコンデンサ27と配管でつながり、コンデンサ
27は蒸留器150と配管でつながっている。切換バルブ23
はコントローラ33により作動される。

蒸留器150の内部には温度センサー32が設置され、コン
トローラ33に検出信号が送られるようになっている。31
は蒸留器150の底部に設けられた加熱槽であり、この加
熱槽31には、コントローラ33によりバルブ34または35が
操作されて、低沸点溶剤用蒸気供給配管340または高沸
点溶剤用蒸気供給配管350を介して低圧力（小流量）の
蒸気または高圧力（大流量）の蒸気が供給される。36は
スチームトラップである。

以上は第３図に示した従来装置と実質的に同一である
が、本実施例ではこれらの構成に加えてポンプ10と蒸留
器150をつなぐ配管11のバルブ12下流側から、同配管11
に比較してより細い配管13を分岐させ、その先端を上記
温度センサーの検温部に向けて臨設している。

いま、本実施例装置の作用を述べると、洗浄工程で用い
た例えばパークロルエチレンとフロンR113等の互いに溶
解し沸点の異なる２種類以上の有機溶剤の混合液30は、
ポンプ10により配管11を通りバルブ12から蒸留器150へ
排液される。このとき、この排液の一部は配管11に比較
してより細い配管13を経由して温度センサー32の検温部
にも導かれる。

その結果、蒸留器150の内部温度が分留温度（本実施例
では76℃に設定されている。）より高温であっても、温
度センサー32は排液された溶剤温度（一般的には25〜30
℃前後）まで冷却されることになる。

そのため、蒸気はコントローラ33の指示により低沸点用
バルブ34が開とされ、低沸点溶剤用蒸気供給配管340か
ら低圧力または小流量の蒸気が加熱槽31内に供給されて
蒸留が始まるとともに、切換バルブ23も低沸点溶剤用の
通路が開とされて蒸留初期の低沸点溶剤は突沸すること
もなく確実に低沸点溶剤用の水分離器22に導かれ専用タ
ンクに回収される。

蒸留が進むにつれて刻々とガス温度は上昇し、温度セン
サー32の検出温度が設定した分留温度（本実施例では76
℃）以上に達すると、もはや低圧力の蒸気では蒸留が極
端に遅くなるため、高沸点用バルブ35に切換わるととも
に、バルブ23も切換えられて残液はすべて高沸点溶剤用
の水分離器22aに導かれ専用タンクに回収される。

以上の説明では蒸留器の加熱に蒸気を使っているが、こ
れを加熱容量の大小からなる電気加熱源に替えて蒸留液
温度又は蒸発ガスにより両者を制御しても同様の効果が
得られる。

（発明の効果） 以上に本発明による効果を第２図に基づいて説明する。

第２図の実線は従来技術による温度センサー検知温度の
変化を示し、破線は本発明による同様の変化を示したデ
ータ線である。

同図から明らかなように、従来技術では蒸留初期に発生
する低沸点溶剤のガス温度を正確に検出できるまでに時
間的な遅れが生じており、ハッチング部分では低沸点溶
剤が誤って高沸点溶剤側に回収され組成を大幅に狂わす
結果となっている。

一方、本発明の方法では速やかに、かつ正確にガス温度
が検出されており、常に安定した分留が行なわれること
を示している。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の代表的な実施例を示すドライクリーナ
の蒸留システム図、第２図は従来技術と本発明による温
度センサー検知温度の変化を示すデータ線図、第３図は
従来のドライクリーナの蒸留システム図である。 図の主要部分の説明 10……ポンプ 13……（温度センサー冷却用）配管 22,22a……水分離器 23……（切換）バルブ 30……混合溶剤 32……温度センサー 33……コントローラ 34,35……（蒸気）バルブ 150……蒸留器

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】蒸留器、コンデンサ、冷却器及び水分離器
   からなり、少なくとも２種類以上の互いに溶解し、沸点
   の異なる有機溶剤の混合排液を分別蒸留回収する分留装
   置と、蒸留器内に設置され蒸発ガス温度を測定する温度
   センサーと、同温度センサーの信号により制御される蒸
   留器の加熱装置と、回収溶剤の分配配管とを備えたドラ
   イクリーナの蒸留装置において、蒸留器への混合溶剤排
   液時に同排液の一部を上記温度センサーの検温部に直接
   接触させ得るように構成することを特徴とするドライク
   リーナの蒸留装置。