JPH0792847A - 定着方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 表面に弾性層を有する定着ローラに加圧ロー
ラを圧接させてなる定着装置でトナー像を定着処理する
際に、ヒータ数を増やすことなく、定着ローラ弾性層の
クリープ変形や待機時の定着ローラ表面の温度低下を防
止する。 【構成】 待機時に、加圧ローラ５が定着ローラ１に接
触した状態で、加圧ローラ５の定着ローラ１に対する接
圧を定着時よりも低減させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、複写機、ファクシミ
リ、プリンター等におけるトナー像の定着方法に関し、
特にカラートナー像の定着に適した定着方法に関するも
のである。

【０００２】

【従来の技術】従来、トナー像の定着には、金属製の加
熱定着ローラと弾性加圧ローラとの間でトナー像を紙等
の支持体へ定着させる方法が用いられていた。

【０００３】しかしながら、近年、複写等のカラー化が
進み、カラートナー像に適した定着方法が種々検討され
るようになってきている。

【０００４】例えば、色再現性、光沢性、オフセット防
止の点で、定着ローラ表面にシリコーンゴム等の弾性層
を設けることが行われている。このように、定着ローラ
表面に弾性層を設けると、熱伝導性が悪化するため、ヒ
ータを定着ローラ内部に設置せずに、加圧ローラに内蔵
させて、定着ローラ表面を加熱するようにすることも行
われている。

【０００５】この場合、定着ローラ表面の弾性層を、加
熱下に加圧ローラによって常に加圧していると、弾性層
にクリープ変形が生じ、正常な定着が行えなくなる。特
に、カラートナー像の定着の場合は、オフセット防止の
ためにシリコーンオイルを多量に定着ローラへ塗布する
ので、この傾向が更に顕著となる。そのため、待機時に
は、加圧ローラを定着ローラから離間させておくという
対策がとられている。

【０００６】待機時に、加圧ローラを定着ローラから離
間させておくと、ヒータを内蔵していない方のローラ
は、温度が低下し、定着時に加圧ローラを定着ローラへ
圧着させた場合、定着ローラの表面温度が一時的に低下
して、定着不良が生ずることになる。従って、最近は、
定着ローラと加圧ローラの両方にヒータを内蔵させるよ
うになってきている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに、定着ローラと加圧ローラの両方にヒータを設ける
ことは、ヒータ数が増加するだけでなく、それにともな
って温度検出装置、過昇温防止装置なども増やす必要が
あり、機構が複雑化し、コストの上昇につながるという
問題がある。

【０００８】本発明の目的は、かかる従来技術の問題点
を解消し、ヒータ数を増やすことなく、定着ローラの弾
性層のクリープ変形や待機時の定着ローラ表面の温度低
下を防止することができる定着方法を提供することにあ
る。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために、種々検討を重ねた結果、待機時には、
クリープ変形の少ない低接圧下で定着ローラと加圧ロー
ラを接触させておくことを考え、本発明を完成するに至
った。

【００１０】即ち、本発明は、表面に弾性層を有する定
着ローラに加圧ローラを圧接させてなる定着装置に、表
面にトナー像を形成した支持体を通して、トナー像を定
着させるに際し、待機時には、加圧ローラが定着ローラ
に接触した状態で、加圧ローラの定着ローラに対する接
圧を定着時よりも低減させることを特徴とする定着方法
である。

【００１１】

【作用】本発明方法によれば、待機時においても加圧ロ
ーラと定着ローラとが接触しているため、いずれか一方
のローラが内蔵しているヒータの熱が他方のローラにも
伝わって、加熱された状態にあり、両方のローラにヒー
タを設けなくても、定着時に定着ローラ表面温度が低下
するようなことはない。

【００１２】また、待機時には、加圧ローラの定着ロー
ラに対する接圧を定着時よりも低くしているので、定着
ローラ弾性層のクリープ変形も起こり難い。

【００１３】

【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明の実施例
を説明する。図１は、本発明方法を実施する装置の一例
を示す斜視図であり、定着ローラ１は、アルミニウム等
の中空芯金２と、その内部に設けたハロゲンランプ等の
ヒータ３と、中空芯金２の周囲を被覆したシリコーンゴ
ム等の弾性層４とから構成されている。

【００１４】加圧ローラ５は、芯金６とその周囲を被覆
したシリコーンゴム等の弾性層７とからなり、回転軸８
は、第１加圧レバー９に支承されている。加圧ローラ５
は、第１加圧レバー９、第２加圧レバー１０、スプリン
グ１１、カム１２で構成された加圧機構により、定着ロ
ーラ１へ押圧されている。

【００１５】第１加圧レバー９と第２加圧レバー１０と
は、それぞれの一端で支軸１３により、回動自在に結合
されており、第１加圧レバー９の他端には、スプリング
１１の上端が、また、第２加圧レバー１０の他端にはス
プリング１２の下端がそれぞれ取り付けられている。

【００１６】第２加圧レバー１０の下側には、偏心カム
１２が設けられており、この偏心カム１２の回動によっ
て、第２加圧レバー１０が押し上げられると、図２に示
すように、スプリング１１を介して、第１加圧レバー９
が押し上げられ、加圧ローラ５が定着ローラ１へ高い接
圧で押圧される。

【００１７】更に、偏心カム１２が回動して、第２加圧
レバー１０が下降すると、図３に示すようにスプリング
１１を介して、第１加圧レバー９も下降し、加圧ローラ
５の定着ローラ１に対する接圧が低下する。

【００１８】従って、定着時には、図２に示す状態に保
持し、待機時には、図３に示す状態に保持して加圧ロー
ラの定着ローラに対する圧接を低減させればよい。通
常、カラートナー像定着時の加圧ローラの定着ローラに
対する接圧は、線圧で１００〜２００ｇ／ｍｍ前後であ
るが、待機時にこの接圧を線圧で３０ｇ／ｍｍ以下に低
減させれば、実質的に定着ローラ１の弾性層４のクリー
プ変形を回避することができる。例えば、接圧を３０ｇ
／ｍｍにして、６０℃で３０日間放置した場合、定着ロ
ーラ１のＲＴＶ（室温硬化型）シリコーンゴム弾性層４
の変形は、わずか４０μｍであり、画質にはまったく影
響がない。

【００１９】なお、図１において、１４は、カム１２を
駆動するための駆動ギア、１５は、駆動ギア１４に設け
た透孔１６を通過する光によって、カム１２の回動位置
を検出し、その作動を制御するためのフォトセンサーで
ある。

【００２０】以上説明した実施例では、ヒータ３を定着
ローラ１の内部に設けたが、ヒータ３を加圧ローラ５内
に設けるようにしてもよい。

【００２１】また、上記実施例では、加圧ローラ５の定
着ローラ１に対する接圧制御機構としてカム機構を用い
たが、本発明はこれに限定されるものではなく、油圧機
構等の任意の制御機構を用いることができる。

【００２２】更に、この接圧制御機構の中に、紙ジャム
等の異常発生時に、加圧ローラ５を定着ローラ１から離
間させるか、あるいは加圧ローラ５の定着ローラ１に対
する接圧を著しく（例えば１ｇ／ｍｍ以下）低減させる
機構を組み込んでもよい。

【００２３】

【発明の効果】定着ローラ、加圧ローラの両方にヒータ
を設けなくても、いずれか一方にヒータを設けるだけ
で、定着ローラの弾性層のクリープ変形や待機時の定着
ローラ表面の温度低下を防止することができ、特に、カ
ラートナー像の定着に用いると有効である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を実施するための装置の一例を示す斜視
図である。

【図２】本発明において、定着時の状態を示す装置の側
面図である。

【図３】本発明において、待機時の状態を示す装置の側
面図である。

【符号の説明】

１ 定着ローラ ４ 弾性層 ５ 加圧ローラ ９ 第１加圧レバー １０ 第２加圧レバー １１ スプリング １２ 偏心カム

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表面に弾性層を有する定着ローラに加圧
   ローラを圧接させてなる定着装置に、表面にトナー像を
   形成した支持体を通して、トナー像を定着させるに際
   し、待機時には、加圧ローラが定着ローラに接触した状
   態で、加圧ローラの定着ローラに対する接圧を定着時よ
   りも低減させることを特徴とする定着方法。
2. 【請求項２】 待機時の加圧ローラの定着ローラに対す
   る接圧が、３０ｇ／ｍｍ以下である請求項１記載の定着
   方法。