JPH0792585A - 放射線画像情報検出方法およびそれに用いられる装置 - Google Patents

放射線画像情報検出方法およびそれに用いられる装置

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JPH0792585A
JPH0792585A JP5233267A JP23326793A JPH0792585A JP H0792585 A JPH0792585 A JP H0792585A JP 5233267 A JP5233267 A JP 5233267A JP 23326793 A JP23326793 A JP 23326793A JP H0792585 A JPH0792585 A JP H0792585A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 放射線画像情報検出装置において、エネルギ
ーサブトラクション処理のためのエネルギ状態の互いに
異なる2種類の放射線画像情報を、アーチファクトを低
減して得る。 【構成】 放射線検出器30の放射線入射面前面に、放射
線エネルギ吸収部22と放射線エネルギ非吸収部21とが交
互に並設されたグリッド20を設け、放射線Rが被写体10
を照射している期間内に、駆動手段40によりこのグリッ
ド20を駆動する。放射線Rの照射期間中に2回、放射線
検出器30により検出された放射線画像情報を読み出し、
2回目の放射線画像情報の読出しに際しては、1回目の
放射線画像情報読出時に放射線エネルギ吸収部22を通過
する放射線が、放射線エネルギ非吸収部21を透過するよ
うに、かつ1回目の放射線画像情報読出時に放射線エネ
ルギ非吸収部21を通過する放射線が、放射線エネルギ吸
収部22を透過するように、制御手段50によりグリッド20
の駆動と同期して放射線画像情報の読出しの制御を行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は放射線画像情報検出方法
および装置に関し、詳細には放射線検出器により、エネ
ルギサブトラクション画像の形成に必要なエネルギ状態
の互いに異なる少なくとも2つの放射線画像情報を得る
放射線画像情報検出方法および装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より放射線画像のエネルギーサブト
ラクション処理が公知となっている(例えば特開昭59-8
3486号参照)。
【0003】このエネルギーサブトラクション処理と
は、放射線(X線,α線,β線,γ線,紫外線,電子線
等)のエネルギ吸収特性の異なった条件で記録(撮影)
した複数の放射線画像を光電的に読み出してデジタル画
像信号を得た後、これらのデジタル画像信号を両画像の
各画素を対応させて減算処理し、放射線画像として記録
された被写体のエネルギ吸収特性の異なる特定の構造物
を抽出させる差信号を得る方法であり、このようにして
得た差信号を用いれば、被写体の特定の構造物のみが抽
出された放射線画像を再生することができる。
【0004】すなわち、このエネルギーサブトラクショ
ン処理は、被写体に対して相異なるエネルギ分布を有す
る放射線を照射し、あるいは被写体透過後の放射線をエ
ネルギ分布状態を変えて少なくとも2つの放射線画像記
録媒体に照射して被写体の特定の構造物が異なる画像を
少なくとも2つの放射線画像記録媒体間に存在せしめ、
その後前記少なくとも2つの放射線画像の画像信号間で
適当な重みづけをした上で引き算(サブトラクト)を行
なって、特定の構造物の画像を分離抽出するものであ
る。
【0005】また本願出願人により、放射線(X線,α
線,β線,γ線,電子線,紫外線等)を照射すると、こ
の放射線エネルギの一部が蓄積され、その後可視光等の
励起光を照射すると蓄積されたエネルギに応じて輝尽発
光を示す蓄積性蛍光体(輝尽性蛍光体)を利用して、人
体等の被写体の放射線画像情報を一旦シート状の蓄積性
蛍光体に記録し、この蓄積性蛍光体シートをレーザ光等
の励起光で走査して輝尽発光光を生ぜしめ、得られた輝
尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像
データに基づき被写体の放射線画像を写真感光材料等の
記録材料、CRT等に可視像として出力させる放射線画
像記録再生システムが提案されている(特開昭55-12429
号,同56-11395号,同55-163472 号,同56-104645 号,
同55- 116340号等)。このシステムは、従来の銀塩写真
を用いる放射線写真システムと比較して極めて広い放射
線露出域にわたって画像を記録しうるという実用的な利
点を有している。
【0006】ここで上記蓄積性蛍光体シートを用いてエ
ネルギーサブトラクション処理を行なうためには、少な
くとも2枚の蓄積性蛍光体シートに特定の構造物に対応
する部分の画像情報が異なるように画像記録(撮影)を
行なえばよく、具体的には、例えば重ね合わされた2枚
の蓄積性蛍光体シートの間に放射線の低エネルギ成分を
吸収する金属等の板状のフィルタを介在させ、このフィ
ルタを介在された2枚の蓄積性蛍光体シートに被写体を
透過した放射線を同時に曝射することによって、両シー
トに互いにエネルギ分布が異なる放射線を照射すればよ
い。
【0007】ところで上述した放射線写真フィルム,蓄
積性蛍光体シートを用いて光電的に放射線画像を読み取
るシステムにおいては、放射線画像に画像処理をおこな
って目的に応じた濃度およびコントラストを有するよう
に調整したり、放射線画像を一旦電気信号に変換しなけ
ればならず、そのための画像読取装置を用いて読取り走
査を行う必要があり、放射線画像を得るための操作が煩
雑なものとなり、放射線画像を得るまでの時間がかかる
ものとなっている。特に上述のエネルギーサブトラクシ
ョン処理用の画像情報を得るときは、放射線が同時に曝
射され、エネルギ状態の互いに異なる放射線画像情報が
蓄積記録せしめられた2枚の蓄積性蛍光体シートより、
それぞれ各別に放射線画像情報を読み取る必要があり、
画像を得るまでの時間が長くかかるという問題がある。
【0008】そこで、従来のシステムによる上記のよう
な問題点を解決するために、放射線検出器が提案されて
いる(例えば特開昭59-211263 号公報、特開平2-164067
号公報、PCT国際公開番号WO92/06501号、Signal,n
oise,and read out considerations in the developmen
t of amorphous silicon photodiode arrays for radio
therapy and diagnostic x-ray imaging,L.E.Antonuk
et.al ,University of Michigan,R.A.Street Xerox,
PARC,SPIE Vol.1443 Medical Imaging V;Image Physic
s(1991) ,p.108-119 )。
【0009】この放射線検出器は、例えば厚さ3mm の石
英ガラスからなる基板にアモルファス半導体膜を挟んで
透明導電膜と導電膜とからなるマトリックス状に配され
た複数の固体光検出素子および互いに直交するようにマ
トリクス状にパターン形成される複数の信号線と走査線
とから構成されている固体光検出器に放射線を可視光に
変換するシンチレータを積層することにより構成されて
なるものである。
【0010】この放射線検出器をシンチレータが放射線
入射側の面を向くように配置し、放射線検出器に被写体
を透過した放射線を照射することにより、放射線がシン
チレータに直接入射して可視光に変換され、この変換さ
れた可視光が固体光検出素子の光電変換部により検出さ
れて放射線画像情報を担持する画像信号に光電変換され
る。この画像信号は、放射線検出器の各固体光検出素子
に設けられた転送部から所定の読出手段により読み出さ
れて出力される。
【0011】一方、シンチレータを要しない放射線検出
器も提案されており、この放射線検出器は上述の放射線
検出器において、シンチレータを除去し、通常の固体光
検出器の代わりに、(i) 放射線の透過方向の厚さが通常
のものより10倍程度厚く設定された固体光検出器(MATE
RIAL PARAMETERS IN THICK HYDROGENATED AMORPHOUS SI
LICON RADIATION DETECTORS,Lawrence Berkeley Labora
tory.University of California,Berkeley.CA 94720 Xe
rox Parc.Palo Alto.CA 94304)、あるいは、(ii)放射線
の透過方向に、金属板を介して2つ以上積層された固体
光検出器(Metal/Amorphous Silicon Multilayer Radiat
ion Detectors,IEE TRANSACTIONS ONNUCLEAR SCIENCE.V
OL.36.NO.2.APRIL 1989) 、あるいは、(iii) CdTe
等の半導体放射線検出器(特開平1-216290号公報)を用
いた構成の放射線検出器であって、可視光を介すことな
く、直接に放射線を検出して電気信号等に変換し、この
信号は、前述の放射線検出器と同様に走査線に入力され
る読出信号により、マトリクス状に配された固体光検出
素子(上記(i) 〜(iii) の放射線検出器を構成する多数
の素子)より各別に読み出されて出力される。
【0012】このように出力された画像信号は、後段の
信号処理装置により種々の信号処理が成された後にCR
T等の再生手段により可視情報等として再生される。
【0013】上記放射線検出器を用いることにより、被
写体の放射線画像を煩雑な操作を行うことなくリアルタ
イムで放射線画像情報を得ることができ、直ちに再生す
ることができ、上述した従来のシステムの欠点を解消す
ることができる。
【0014】この放射線検出器を用いて上述のエネルギ
ーサブトラクション処理用の画像情報を得るためには、
エネルギ分離フィルタを介して放射線検出器により検出
された被写体の放射線画像情報と、エネルギ分離フィル
タを介すことなく放射線検出器により検出された被写体
の放射線画像情報とを各別に収集し、得られた2つの放
射線画像情報の画素ごとの差信号を算出することが考え
られる。
【0015】また、蓄積性蛍光体シートを用いたシステ
ムと同様に、重ね合わされた2つの放射線検出器の間に
エネルギ分離フィルタを介在させてエネルギ状態の互い
に異なる2つのエネルギーサブトラクション処理用放射
線画像情報を得ることが考えられる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかし、エネルギ分離
フィルタを介する画像情報と介さない画像情報とを各別
に収集する場合は、2つの画像情報を収集する時間的ず
れのため被写体の動きによるアーチファクト(モーショ
ンアーチファクト)を生じ、高精度のエネルギーサブト
ラクション処理用の放射線画像情報を得ることができな
いという問題がある。
【0017】また、2つの放射線検出器の間にエネルギ
分離フィルタを配し、1回の放射線曝射によりエネルギ
状態の互いに異なる2つの放射線画像情報を得る場合
は、得られた2つの放射線画像情報を画素ごとに対応さ
せるようにする必要があり、この画素ごとの対応を精度
良く行なわないとアーチファクト(位置ずれアーチファ
クト)を生じるという問題がある。また2つの放射線検
出器を重ねた場合、放射線の入射面に近い側の固体光検
出器の構造を示す透過放射線画像情報が、被写体の放射
線画像情報に重畳し、この重畳した画像情報が放射線の
入射面から遠い側の固体光検出器に入射して検出される
ため、精度よくエネルギーサブトラクション処理用の放
射線画像情報を得ることができないという問題がある。
【0018】本発明は上記事情に鑑みなされたものであ
って、エネルギーサブトラクション処理のため、アーチ
ファクトを低減した、エネルギーサブトラクション処理
のためのエネルギ状態の互いに異なる2種類の放射線画
像情報を得る放射線画像情報検出方法および装置を提供
することを目的とするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の放射線画像情報
検出方法および装置は、放射線を照射している間に、放
射線の低エネルギ成分吸収特性の高い放射線エネルギ吸
収部と低エネルギ成分吸収特性の高くない放射線エネル
ギ非吸収部とが隣接して交互に設けられたグリッドを駆
動し、このグリッドを介して放射線検出器に照射された
放射線画像情報を、グリッドが所定量移動するのに同期
して少なくとも2回検出することにより、1回の放射線
照射の間にエネルギーサブトラクション処理のための2
以上の放射線画像情報を読み出すものである。
【0020】すなわち本発明の放射線画像情報検出方法
は請求項1に記載したように、放射線の低エネルギ成分
吸収特性の高い放射線エネルギ吸収部と、該放射線の低
エネルギ成分吸収特性の高くない放射線エネルギ非吸収
部とが互いに隣接して所定の間隔で交互に並設され、全
体として面状に形成されたグリッドを、該並設された方
向に駆動し、該グリッドを介して、画像情報を担持する
放射線を検出して全体として放射線画像を表す画像信号
の出力に変換する、2次元状に多数の固体光検出素子が
配された放射線検出器に、被写体を透過した放射線を照
射し、該放射線の照射期間中に少なくとも2回、該放射
線検出器により検出された放射線画像情報を読み出し、
該2回目以後の放射線画像情報の読出しに際しては、1
回目の放射線画像情報読出時に前記放射線エネルギ吸収
部を通過する放射線が、前記エネルギ非吸収部を透過す
るように、かつ1回目の放射線画像情報読出時に前記エ
ネルギ非吸収部を通過する放射線が、前記放射線エネル
ギ吸収部を透過するように、前記グリッドの駆動と同期
して放射線画像情報の読出しを行うことを特徴とするも
のである。 また本発明の放射線画像情報検出装置は上
記放射線画像情報検出方法を実施するための装置であっ
て請求項2に記載したように、放射線の低エネルギ成分
吸収特性の高い放射線エネルギ吸収部と、該放射線の低
エネルギ成分吸収特性の高くない放射線エネルギ非吸収
部とが互いに隣接して所定の間隔で交互に並設され、全
体として面状に形成されたグリッドと、該グリッドを、
放射線エネルギ吸収部と放射線エネルギ非吸収部とが並
設された方向に駆動する駆動手段と、被写体を透過した
放射線を、前記グリッドを介して照射される位置に配さ
れた、該照射された放射線を検出して全体として放射線
画像を表す画像信号の出力に変換する、2次元状に多数
の固体光検出素子が配された放射線検出器と、該放射線
の照射期間中に少なくとも2回、該放射線検出器により
検出された放射線画像情報を読み出し、該2回目以後の
放射線画像情報の読出しに際しては、1回目の放射線画
像情報読出時に前記放射線エネルギ吸収部を通過する放
射線が、前記エネルギ非吸収部を透過するように、かつ
1回目の放射線画像情報読出時に前記エネルギ非吸収部
を通過する放射線が、前記放射線エネルギ吸収部を透過
するように、前記グリッドの駆動と同期して前記放射線
画像情報の読出しを行うように制御する制御手段とを備
えてなることを特徴とするものである。
【0021】ここで上記グリッドの駆動は、単に一方向
への移動であってもよいし、あるいは移動向きの変化す
る振動であってもよい。ただしその駆動量は、1回目の
検出時に上記放射線エネルギ吸収部を通過する放射線
が、2回目の検出時には上記放射線エネルギ非吸収部を
透過するように、また1回目の検出時に上記放射線エネ
ルギ非吸収部を通過する放射線が、2回目の検出時には
上記放射線エネルギ吸収部を透過するように、少なくと
もこれら2つの部分の間隔(2つの部分の各中心線間の
距離)以上であることが必要である。
【0022】また上記放射線検出器としては、例えば、
所定の厚さの石英ガラスからなる基板に、アモルファス
半導体膜を挟んで透明導電膜と導電膜とからなるマトリ
ックス状に配された複数の固体光検出素子および互いに
直交するようにマトリクス状にパターン形成される複数
の信号線と走査線とから構成されてなる固体光検出器で
あって、前述した(i) 放射線の透過方向の厚さが通常の
ものより10倍程度厚く設定された固体光検出器や、(ii)
放射線の透過方向に、金属板を介して2つ以上積層され
た固体光検出器や、(iii) CdTe等の半導体放射線検
出器などを用いることができる。さらに通常のフォトダ
イオード等の固体光検出素子からなる固体光検出器を用
いることもでき、この場合は放射線の照射を受け、その
放射線の強度に応じた強度の可視光に変換するGd2
2 S,CsI等の蛍光体からなるシンチレータを、固体
光検出器に積層した構成も採用することができる。
【0023】なお、上記所定の厚さとは、放射線の吸収
量が放射線画像の画質を低下させるほどに大きくない程
度の厚さをいうが、具体的には固体光検出器を支持する
ためのある程度の強度が必要であるため、数百ミクロン
程度であることをいう。
【0024】
【作用および発明の効果】被写体を透過した放射線のう
ち、グリッドの放射線エネルギ吸収部を通過したもの
は、その低エネルギ成分が吸収され、一方放射線エネル
ギ非吸収部を通過したものは、その低エネルギ成分が吸
収されない。このため被写体を透過した放射線は、グリ
ッドの通過部分ごとに、そのエネルギ状態が異なる放射
線画像情報を放射線検出器に入射する。
【0025】したがって本発明の放射線画像情報検出方
法および装置によれば、放射線の低エネルギ成分が吸収
された画像情報と低エネルギ成分が吸収されていない画
像情報とが隣接して交互に並ぶ画像情報が、放射線検出
器により検出される。
【0026】ここで放射線が照射されている間に、グリ
ッドを駆動し、グリッドの上記2種類の部分が放射線検
出器に対して、この2種類の部分の間隔(あるいはその
間隔の奇数倍の距離)だけ移動する前後で2回、放射線
検出器により検出された放射線画像情報を読み出すこと
により、1回目に読み出された画像情報のうち放射線の
低エネルギ成分が吸収された領域の画像情報は、2回目
に読み出されたとき低エネルギ成分が吸収されていない
画像情報となり、また1回目の読出時に低エネルギ成分
が吸収されていない領域の画像情報は、2回目の読出時
に低エネルギ成分が吸収された画像情報となる。
【0027】上記2回の読出しにより得られた2つの画
像情報は、各領域のエネルギ状態が互いに異なる2種類
の画像情報であるから、この2つの画像情報の対応する
画素ごとに画像信号間で減算処理を行うことにより、エ
ネルギーサブトラクション画像情報を得ることができ
る。
【0028】このように本発明の放射線画像情報検出方
法および装置によれば、極短時間の放射線照射時間内に
2回の放射線画像情報の読出しを行うことにより、モー
ションアーチファクトを生じることは極めて少なく、ま
た1つの放射線検出器の同一の固体光検出素子が時系列
的に2つのエネルギ状態の放射線画像情報を検出するた
め、エネルギーサブトラクション処理の減算処理の際に
位置ずれを生じることがなく、位置ずれアーチファクト
を生じることはない。
【0029】したがって、エネルギーサブトラクション
処理用のエネルギ状態の互いに異なる2種類の放射線画
像情報を、アーチファクトを低減して得ることができ
る。
【0030】なお、上記放射線検出器がシンチレータを
含む構成のものである場合は、固体光検出素子による放
射線の吸収効率が向上し、一層広いダイナミックで放射
線を検出することができる。
【0031】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の放射線画像情報
検出装置の実施例について説明する。
【0032】図1は本発明にかかる放射線画像情報検出
方法を実施するための具体的な放射線画像情報検出装置
の実施例を示す概略構成図、図2はこの検出装置で用い
られるグリッド20単体を示す斜視図である。図示の放射
線画像情報検出装置は、放射線Rの低エネルギ成分吸収
特性の高い、例えばCu(銅)等により形成された放射
線エネルギ吸収部22と、放射線の低エネルギ成分吸収特
性の高くない、例えばカーボン等により形成された放射
線エネルギ非吸収部21とが互いに隣接して交互に並設さ
れ、全体として面状に形成されたグリッド20と、被写体
10を透過した放射線Rを、このグリッド20を介して照射
される位置に配された、照射された放射線Rを可視光に
変換する平面状の、Gd2 2 S,CsI等の蛍光体か
らなるシンチレータ32と、シンチレータ32の各部より変
換された可視光をそれぞれ検出して全体として放射線画
像を表す画像信号の出力に変換する、シンチレータ32に
積層され2次元状に多数の固体光検出素子が配された固
体光検出器31とを有する放射線検出器30とを備えてい
る。
【0033】ここでグリッド20は図2に示すように、放
射線エネルギ吸収部22および放射線エネルギ非吸収部21
の並設方向の幅は、同一の幅dに設定されており、これ
ら2種類の部分21,22による帯状の領域S1,S2,
…,Snに分割されている。
【0034】この放射線画像情報検出装置はさらに、グ
リッド20を、放射線エネルギ吸収部22と放射線エネルギ
非吸収部21とが並設された方向に駆動する駆動手段40
と、放射線Rの照射期間中に2回、放射線検出器30によ
り検出された放射線画像情報を読み出し、2回目の放射
線画像情報の読出しに際しては、1回目の放射線画像情
報読出時に放射線エネルギ吸収部22を通過する放射線
が、放射線エネルギ非吸収部21を透過するように、かつ
1回目の放射線画像情報読出時に放射線エネルギ非吸収
部21を通過する放射線が、放射線エネルギ吸収部22を透
過するように、グリッド20の駆動と同期して放射線画像
情報の読出しを行うように制御する制御手段50とを備え
ている。
【0035】また、駆動手段40によるグリッド20の駆動
は、上述した放射線エネルギ吸収部22と放射線エネルギ
非吸収部21とが並設された方向の一方の向きに駆動する
ものであってもよいし、またこの並設された方向に所定
の振幅で振動するものであってもよい。ただし振動の場
合は、放射線エネルギ吸収部22と放射線エネルギ非吸収
部21との間隔d以上の振幅の振動である必要がある。
【0036】図3は本実施例の放射線画像情報検出装置
に用いられる固体光検出器31を構成する固体光検出素子
Pの詳細な構成を示す構成図である。固体光検出素子P
は、樹脂シートからなる基板31Aの上にパターン成形し
た導電膜からなる信号線31B,31Hがあり、アモルファ
スシリコン31Cと透明電極31Dとからなる光電変換部と
してのフォトダイオード31E、アモルファスシリコン31
F内に転送電極31Jを有する、転送部としての薄膜トラ
ンジスタ31G、により構成されてなるものである。ここ
で転送電極31Jはゲートであり図示しない走査線に接続
され、信号線31Hはドレインであり図示しない信号線に
接続されている。そしてこのように構成された固体光検
出素子Pを2次元状に複数配置することにより固体光検
出器31が構成されている。この固体光検出素子Pの作用
は、入射した光がフォトダイオード31Eにより受光さ
れ、フォトダイオード31Eにおいて信号電荷が発生して
蓄電される。次いで走査線に接続された図示しない信号
読出回路から走査線に所定の走査信号が送られ、走査線
に接続されたゲートとしての転送電極31Jに電圧がかか
り、信号線31B/31H間を電流が流れる状態となる。す
なわち、フォトダイオード31Eで発生した信号電荷は薄
膜トランジスタ31Gを通じて図示しない転送レジスタに
転送されて出力される。
【0037】次に本実施例の放射線画像情報検出装置の
作用について説明する(図1参照)。図示しない放射線
源より撮影台11上に配置された被写体10に放射線Rが照
射され、この被写体10の放射線画像を担持した放射線が
撮影台11を透過し、本実施例の画像情報検出装置に入射
する。この被写体10を透過した放射線のうち、グリッド
20の放射線エネルギ吸収部22を通過した放射線は、その
低エネルギ成分が吸収され、一方放射線エネルギ非吸収
部21を通過した放射線は、その低エネルギ成分が吸収さ
れない。このため被写体10を透過した放射線は、グリッ
ド20の通過部分ごとに幅dで交互にエネルギ状態が異な
る放射線画像情報を放射線検出器30に入射する。
【0038】放射線検出器30に入射した放射線はシンチ
レータ32により、その強度に応じた強度の可視光に変換
され、この可視光はシンチレータ32の各部分ごとに対応
する固体光検出器31により、その強度に応じた画像信号
として検出される。したがって、放射線検出器30は図4
に示すように、間隔dごとに交互にエネルギ状態が異な
る放射線画像情報を検出する。
【0039】ここで放射線Rが照射されている間に、グ
リッド20が駆動手段40により放射線エネルギ吸収部22と
放射線エネルギ非吸収部21とが並設された方向に高速に
駆動され、このグリッド20が駆動されている間に、図4
に示すように、グリッド20の上記2種類の部分、すなわ
ち放射線エネルギ吸収部22,放射線エネルギ非吸収部21
が放射線検出器30に対して、この2種類の部分21,22の
間隔dだけ移動する前後で2回、放射線検出器30により
検出された放射線画像情報が読み出される。
【0040】この放射線画像情報の読出しのタイミング
は、制御手段50により、グリッド20の駆動と同期して行
われる。
【0041】すなわち、グリッド20が図4(A)に示す
位置にあるときに図5(A)に示す第1の画像情報が読
み出され、グリッド20が図4(B)に示す位置にあると
きに図5(B)に示す第2の画像情報が読み出される。
この図5に示す2つの画像情報は、放射線検出器30より
1回目に読み出された画像情報のうち、放射線の低エネ
ルギ成分が吸収されていない領域Q1,Q3,…,Qn
−1の画像情報は、2回目に読み出されたとき低エネル
ギ成分が吸収された画像情報となり、また1回目の読出
時に低エネルギ成分が吸収された領域Q2,Q4,…,
Qnの画像情報は、2回目の読出時に低エネルギ成分が
吸収されていない画像情報となる。
【0042】このように放射線検出器30より各別に読み
出された2つの画像情報は、フレームメモリ等の記憶手
段に入力され、これらの画像情報を2つの画像情報の対
応する画素ごとに画像信号間で減算処理を行うことによ
り、エネルギーサブトラクション画像情報を得ることが
できる。
【0043】すなわち2回の読出しにより得られた2つ
の画像情報は、各領域のエネルギ状態が互いに異なる2
種類の画像情報であるから、結果的に画像全体としては
図6(A)に示すように放射線の低エネルギ成分が吸収
されていない画像情報と図6(B)に示すように放射線
の低エネルギ成分が吸収されてた画像情報とを得たこと
と同様の効果を有し、したがってエネルギーサブトラク
ション処理用の、エネルギ状態の異なる2つの画像情報
である。
【0044】このように本実施例の放射線画像情報検出
装置によれば、極短時間の放射線照射時間内に2回の放
射線画像情報の読出しを行うことにより、モーションア
ーチファクトを生じることは極めて少なく、また1つの
放射線検出器の同一の固体光検出素子が時系列的に2つ
のエネルギ状態の放射線画像情報を検出するため、エネ
ルギーサブトラクション処理の減算処理の際に位置ずれ
を生じることがなく、位置ずれアーチファクトを生じる
ことはない。
【0045】したがって、エネルギーサブトラクション
処理用のエネルギ状態の互いに異なる2種類の放射線画
像情報を、アーチファクトを低減して得ることができ
る。
【0046】本発明の放射線画像情報検出装置は、グリ
ッドの駆動に同期する放射線検出器よりの放射線画像情
報の読出回数は、本実施例の画像情報検出装置のように
2回だけ行うものに限るものではなく、3回以上読み出
すように設定することもできる。このように読出回数を
増加することにより、ノイズの少ない、グリッドの種々
の位相状態の画像情報を得ることができるため、後のエ
ネルギーサブトラクション処理により、一層高画質のエ
ネルギーサブトラクション画像を得ることができる。
【0047】また、本発明の放射線画像情報検出装置に
より得られる2つのエネルギ状態の放射線画像情報は、
エネルギサブトラクショ処理のためだけに用いるもので
はなく、それぞれ単独の放射線画像情報として使用して
もよく、また、この2つの放射線画像情報を加算処理に
よる重ね合わせ処理のために用いてもよい。
【0048】なお本発明による放射線検出器は、必ずし
も上記実施例のようにシンチレータを用いる構成のもの
に限るものではなく、上記実施例の放射線検出器におい
て、固体光検出器の代わりに、例えば前述した(i) 放射
線の透過方向の厚さが通常のものより10倍程度厚く設定
された固体光検出器、または(ii)放射線の透過方向に、
金属板を介して2つ以上積層された固体光検出器、また
は(iii) CdTe等の半導体放射線検出器などを用いた
構成を採用した場合は、シンチレータを具備する必要は
ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる放射線画像情報検出装置の実施
例を示す概略構成図
【図2】図1に示す放射線画像情報検出装置で用いられ
るグリッド単体を示す斜視図
【図3】図1に示した実施例の放射線画像情報検出装置
に用いられる固体光検出器31を構成する固体光検出素子
Pの詳細な構成を示す構成図
【図4】本実施例の放射線画像情報検出装置の作用を説
明するための作用説明図
【図5】本実施例の放射線画像情報検出装置により得ら
れる放射線画像を示す図
【図6】(A)放射線の低エネルギ成分が吸収されてい
ない放射線画像を示す図 (B)放射線の低エネルギ成分が吸収された放射線画像
を示す図
【符号の説明】
10 被写体 11 撮影台 20 グリッド 21 放射線エネルギ非吸収部 22 放射線エネルギ吸収部 30 放射線検出器 31 固体光検出器 32 シンチレータ 40 駆動手段 50 制御手段 P 固体光検出素子 R 放射線

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射線の低エネルギ成分吸収特性の高い
    放射線エネルギ吸収部と、該放射線の低エネルギ成分吸
    収特性の高くない放射線エネルギ非吸収部とが互いに隣
    接して所定の間隔で交互に並設され、全体として面状に
    形成されたグリッドを、該並設された方向に駆動し、 該グリッドを介して、画像情報を担持する放射線を検出
    して全体として放射線画像を表す画像信号の出力に変換
    する、2次元状に多数の固体光検出素子が配されてなる
    放射線検出器に、被写体を透過した放射線を照射し、 該放射線の照射期間中に少なくとも2回、該放射線検出
    器により検出された放射線画像情報を読み出し、 該2回目以後の放射線画像情報の読出しに際しては、1
    回目の放射線画像情報読出時に前記放射線エネルギ吸収
    部を通過する放射線が、前記エネルギ非吸収部を透過す
    るように、かつ1回目の放射線画像情報読出時に前記エ
    ネルギ非吸収部を通過する放射線が、前記放射線エネル
    ギ吸収部を透過するように、前記グリッドの駆動と同期
    して放射線画像情報の読出しを行うことを特徴とする放
    射線画像情報検出方法。
  2. 【請求項2】 放射線の低エネルギ成分吸収特性の高い
    放射線エネルギ吸収部と、該放射線の低エネルギ成分吸
    収特性の高くない放射線エネルギ非吸収部とが互いに隣
    接して所定の間隔で交互に並設され、全体として面状に
    形成されたグリッドと、 該グリッドを、前記放射線エネルギ吸収部と前記放射線
    エネルギ非吸収部とが並設された方向に駆動する駆動手
    段と、 被写体を透過した放射線を、前記グリッドを介して照射
    される位置に配された、該照射された放射線を検出して
    全体として放射線画像を表す画像信号の出力に変換す
    る、2次元状に多数の固体光検出素子が配されてなる放
    射線検出器と、 該放射線の照射期間中に少なくとも2回、該放射線検出
    器により検出された放射線画像情報を読み出し、該2回
    目以後の放射線画像情報の読出しに際しては、1回目の
    放射線画像情報読出時に前記放射線エネルギ吸収部を通
    過する放射線が、前記放射線エネルギ非吸収部を透過す
    るように、かつ1回目の放射線画像情報読出時に前記放
    射線エネルギ非吸収部を通過する放射線が、前記放射線
    エネルギ吸収部を透過するように、前記グリッドの駆動
    と同期して前記放射線画像情報の読出しを行うように制
    御する制御手段とを備えてなることを特徴とする放射線
    画像情報検出装置。
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