JPH079231Y2 - テープ再生装置のカセットパック挿入機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔概要〕 テープ再生装置においては、外側から内側へ挿入された
カセットパックを最奥位置まで挿入するために、直線方
向に移動可能なパック係合部材と、電動機によって駆動
されるスライドレバーと、スライドレバーの運動をパッ
ク係合部材に伝達するために両者を連結する連結手段が
設けられる。本考案においては、連結手段を２個の旋回
レバーメンバとスプリングとで構成し、連結部のバラツ
キを吸収しつつカセットパックを正確に最奥位置まで挿
入するようにしたものである。

〔産業上の利用分野〕

本考案はテープ再生装置のカセットパック挿入機構に関
する。

〔従来の技術〕

テープ再生装置においては、カセットパックはパック係
合部材によって最奥位置まで挿入され、それから下方位
置へ下降されて巻き取りリールや磁気ヘッドと係合せし
められる。パック係合部材は電動機からスライドレバー
及び旋回レバーを介して駆動される。通常、パック係合
部材はカセットパックを収容するとエレベータホルダの
上壁に設けた直線状のガイド溝に係合され、スライドレ
バーは装置の側部に設けられる。旋回レバーは垂直な固
定の支点の回りで旋回可能であり、一端がスライドレバ
ーに連結され、他端がパック係合部材に連結される。

〔考案が解決しようとする課題〕

上記したようなテープ再生装置においては、旋回レバー
の支点からスライドレバーへの連結部までのアーム長が
同支点からパック係合部材への連結部までのアーム長よ
りもかなり小さいので、スライドレバー側のアーム長に
バラツキがあるとカセットパックの最奥位置における到
達位置が大きくバラツクことになる。

本考案はそのようなバラツキを吸収することができ、よ
ってカセットパックを正確に最奥位置に挿入することが
できるようにしたテープ再生装置のカセットパック挿入
機構を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本考案によるテープ再生装置のカセットパック挿入機構
は、外側から内側へ挿入されたカセットパックを最奥位
置まで挿入するために直線方向に移動可能なパック係合
部材と、原動手段に連結され且つ該パック係合部材の移
動方向とほぼ平行な直線方向に移動可能なスライドレバ
ーと、該スライドレバーと該パック係合部材とを連結す
る連結手段とを備え、該連結手段が、固定の支点に回転
可能に支持され且つ一端部が該スライドレバーに連結さ
れた第１の旋回レバーと、該第１の旋回レバーの他端部
に回転可能に支持され且つ一端部が該パック係合部材に
連結された第２の旋回レバーと、該第１の旋回レバーと
該第２の旋回レバーとの間に延びて該第２の旋回レバー
を該第１の旋回レバーに対して所定の位置で一体化する
スプリングとからなり、カセットパックの挿入時に該ス
ライドレバーの直線方向の運動によって該第１の旋回レ
バーを該固定の支点の回りで旋回せしめ、該第１の旋回
レバーと一体的に旋回する該第２の旋回レバーがカセッ
トパックの挿入の最奥位置に設けられた停止手段により
停止した後で該第１の旋回レバーをさらに旋回できるよ
うにしたことを特徴とするものである。

〔作用〕

上記構成においては、スライドレバーの運動が連結手段
を介してパック係合部材へ伝達される。この連結手段は
スライドレバーに連結された第１の旋回レバーと、パッ
ク係合部材に連結された第２の旋回レバーと、両者を所
定の位置関係で一体化するスプリングとからなり、カセ
ットパックの挿入時に第１の旋回レバーが旋回すると、
第２の旋回レバーも第１の旋回レバーと一体的に旋回し
てカセットパックを最奥位置に向かって送る。第２の旋
回レバーはカセットパックの挿入の最奥位置に設けられ
た停止手段により停止し、その後第１の旋回レバーをス
プリングの作用に抗してさらに旋回することができる。
従って、第１の旋回レバーがカセットパックの挿入の最
奥位置に対してわずかにオーバーストロークになるよう
に設定しておくと、第２の旋回レバーを確実にカセット
パックの挿入の最奥位置で停止させることができる。

〔実施例〕

第１図及び第２図を参照すると、テープ再生装置はカセ
ットパックＣを矢印INの方向から挿入できるようになっ
ている。テープ再生装置の内部では、種々の部品がシャ
ーシ（架台）に取りつけられている。そのようなシャー
シは底面部分10、垂直側壁部分12、垂直奥壁部分14等か
らなる。シャーシの底面部分10には、磁気ヘッド及び磁
気ヘッドを支持するヘッド台、カセットパックＣのテー
プスプールを受けるための巻き取りリール、ピンチロー
ラ及びキャプスタン等（図示せず）が取りつけられる。
そのような部品の上方の平面に位置するようにエレベー
タホルダ16が設けられる。

エレベータホルダ16はシャーシの底面部分10とほぼ平行
な関係で上下する第１部分16aと水平な枢着ピン18（第
２図）の回りで旋回可能な第２部分16bとからなり、こ
れらの第１及び第２の部分16a,16bは相互に連結されて
挿入されたカセットパックＣを受ける上方位置と、カセ
ットパックＣを巻き取りリール等に係合させるために下
降した下方位置との間で昇降可能である。エレベータホ
ルダ16の中央部には、カセットパックＣの挿入方向INと
平行にガイド溝20が設けられる。

パック係合レバー22がエレベータホルダ16の下面側に配
置され、ガイド溝20に沿ってガイドされるようになって
いる。パック係合レバー22の一端は下向きに突出したパ
ック係合部22aであり、これはカセットパックＣのテー
プスプールの上面等に弾性的に係合してカセットパック
Ｃを移動せしめる。パック係合レバー22の他端には上向
きに突出したピン22bと下向きに突出した先端板部22cが
設けられる。この先端板部22cはカセットパックＣの最
奥位置においてエレベータホルダ16の垂直奥壁部分16c
に当接することができる。

２個１組の旋回レバー24,26がエレベータホルダ20の上
に重ねて配置される。また、電動機によって駆動される
スライドレバー28がシャーシの垂直側壁部分12に沿って
設けられる。

第１の旋回レバー24はシャーシの垂直側壁部分12の上端
部から延びる水平壁に取りつけられた枢着ピン30に回転
可能に支持される。第１の旋回レバー24の一端には上向
きのピン32が設けられる。第２の旋回レバー26はエレベ
ータホルダ16と第１の旋回レバー24との間の層に配置さ
れ、第１の旋回レバー24の他端部側に固定した下向きの
連結ピン34に回転可能に支持される。第２の旋回レバー
26の一端部側に長穴36が設けられ、パック係合レバー22
のピン22bは第２の旋回レバー26の一端の長穴36に挿入
される。

第１の旋回レバー24及び第２の旋回レバー26にはそれぞ
ればね受け突起24a,26aが設けられ、スプリング38がこ
れらのばね受け突起24a,26a間に配置される。さらに、
第２の旋回レバー26には上向き突起26bが設けられる。
第２の旋回レバー26の上向き突起26bは第１の旋回レバ
ー24の側壁面に当接し、スプリング38が上向き突起26b
によって定められた位置関係で第１の旋回レバー24と第
２の旋回レバー26を一体化する。第１図を参照すると、
第２の旋回レバー26は第１の旋回レバー24に対して時計
回り方向にはばね力に抗して回転することができるが、
反時計回りには回転できない。

スライドレバー28はアングル状に直角に曲げて形成され
た水平上壁部分40と垂直壁部分42を含む。水平上壁部分
40には平行な２個の長穴44,46が設けられ、手前側の細
い方の長穴46にはこの長穴46と連続な係止用凹部48が設
けられる。第１の旋回レバー24の一端側の上向きのピン
32がこの長穴46及び係止用凹部48に挿入される。旋回レ
バー24の上向きのピン32は作動時には主に係止用凹部48
と係合し、スライドレバー28をカセットパックＣの挿入
方向INと平行な方向にスライドさせることによって、第
１の旋回レバー24を旋回させることができる。

さらに、第２のスライドレバー50（第２図）がスライド
レバー28と重ねた関係で実質的に一体的に運動するよう
に配置される。第２のスライドレバー50は斜めの長穴52
を有し、エレベータホルダ16の旋回可能な第２部分16b
の横突出ピン（図示せず）がこの斜めの長穴52に挿入さ
れ、第２のスライドレバー50が第２図で右方向にスライ
ドするときにエレベータホルダ16を下方位置に動かすこ
とができる。さらに、第２のスライドレバー50の下端部
にはラック54が設けられている。第１図に示されるよう
に、ピニオン56がラック54と係合するように配置され、
また立て置きに配置された電動機58の出力軸に駆動歯車
60が取りつけられる。ピニオン56は中間歯車（図示せ
ず）を介して駆動歯車60に接続され、よって電動機58か
らピニオン56及びラック54を介して第２のスライドレバ
ー50及びスライドレバー28を直線方向に移動させること
ができる。

以上の構成において、カセットパックＣを挿入するとき
には、カセットパックＣがパック係合レバー22の係合部
22aに係合し、（人手により）カセットパックＣととも
にパック係合レバー22を前進させる。挿入途中の所定の
位置で、パック係合レバー22又はスライドレバー28が図
示しないスイッチを入れる。すると電動機58が作動を開
始し、第２のスライドレバー50及びスライドレバー28を
第１図及び第２図で右方向に移動させる。

第３図及び第４図を参照すると、スライドレバー28が右
方向に移動すると、第１の旋回レバー24の一端側の上向
きのピン32が係止用凹部48に係合しているので、第１の
旋回レバー24が反時計回り方向に旋回する。第１の旋回
レバー24が旋回すると、第２の旋回レバー26がスプリン
グ38によって第１の旋回レバー24と一体的に回転し、よ
ってパック係合レバー22及びそれに係合されたカセット
パックＣを挿入方向に進めることができる。

第１の旋回レバー24と一体的に回転する第２の旋回レバ
ー26はカセットパックＣの挿入の最奥位置に設けられた
停止手段により停止する。第４図に示す例においては、
パック係合レバー22の下向きに突出した先端板部22cが
エレベータホルダ16の垂直奥壁部分16cに当接する。ス
プリング38のばね力はパック係合レバー22及びそれに係
合されたカセットパックＣを進めるのに対する抵抗には
十分に打ち勝つことができるが、さらに大きな力がかか
ると伸びるように設定されている。従って、第２の旋回
レバー26がエレベータホルダ16の垂直奥壁部分16cに当
接して停止した後、第１の旋回レバー24をさらに旋回さ
せるように設定しておくと、スプリング38を伸ばしなが
ら第１の旋回レバー24と第２の旋回レバー26は相対回転
するが、このときには第２の旋回レバー26はその先端が
停止せしめられた状態を維持し、カセットパックの挿入
の最奥位置を維持する。従って、第１の旋回レバー24の
旋回量を理論的に最適と思われるものよりもわずかにオ
ーバーストロークになるように設定しておくと、第２の
旋回レバー24を確実にカセットパックの挿入の最奥位置
で停止させることができる。

さらに、スライドレバー28のストロークは、第１の旋回
レバー24を上記したよう旋回させるのに必要なストロー
クよりも大きく設定されており、スライドレバー28がさ
らに右方向に移動するにつれて第１の旋回レバー24の一
端側の上向きのピン32が係止用凹部48から長穴46に係合
するようになる。一方、第１の旋回レバー24を取りつけ
る枢着ピン30は、長穴46と平行なもう１つの長穴44を通
されており、第１の旋回レバー24のガイドピンとして作
用して、第１の旋回レバー24が例えば第４図で下側にず
れるのを防止する。

また、第１の旋回レバー24は部位24bで段を付けて形成
され、部位24bよりも枢着ピン30側の部分が低く、第２
の旋回レバー26と同じ平面上になるようになっている。
反対側の部分が第２の旋回レバー26と重なる。このよう
な段を付ける部位24bがエレベータホルダ16と干渉する
のを避けるために、エレベータホルダ16の上壁面には円
弧状の穴62が設けられる。また、丸みを有するスプリン
グ38エレベータホルダ16と干渉するのを避けるために、
エレベータホルダ16の上壁面には円弧状の穴64が設けら
れる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、本考案によれば、スライドレバー
とパック係合部材とを連結する連結手段が、固定の支点
に回転可能に支持され且つ一端部が該スライドレバーに
連結された第１の旋回レバーと、該第１の旋回レバーの
他端部に回転可能に支持され且つ一端部が該パック係合
部材に連結された第２の旋回レバーと、該第１の旋回レ
バーと該第２の旋回レバーとの間に延びて該第２の旋回
レバーを該第１の旋回レバーに対して所定の位置で一体
化するスプリングとからなり、カセットパックの挿入時
に該スライドレバーの直線方向の運動によって該第１の
旋回レバーを該固定の支点の回りで旋回せしめ、該第１
の旋回レバーと一体的に旋回する該第２の旋回レバーが
カセットパックの挿入の最奥位置に設けられた停止手段
により停止した後で該第１の旋回レバーをさらに旋回で
きるようにしたので、第１の旋回レバーがカセットパッ
クの挿入の最奥位置に対してわずかにオーバーストロー
クになるように設定して第２の旋回レバーを確実にカセ
ットパックの挿入の最奥位置で停止させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるテープ再生装置を示す平面図、第
２図は第１図のテープ再生装置の線IIから見た側面図、
第３図は第１図の主要部の拡大図、第４図はカセットパ
ックを挿入した状態の第３図と同様の拡大図である。 16……エレベータホルダ、20……ガイド溝、22……パッ
ク係合レバー、24……第１の旋回レバー、26……第２の
旋回レバー、28……スライドレバー、30……固定の枢着
ピン、34……連結ピン、38……スプリング。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 米谷 恭磨 兵庫県神戸市兵庫区御所通１丁目２番28号 富士通テン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−134954（ＪＰ，Ａ) 実開 昭58−179651（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−149446（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】外側から内側へ挿入されたカセットパック
   を最奥位置まで挿入するために直線方向に移動可能なパ
   ック係合部材と、原動手段に連結され且つ該パック係合
   部材の移動方向とほぼ平行な直線方向に移動可能なスラ
   イドレバーと、該スライドレバーと該パック係合部材と
   を連結する連結手段とを備え、該連結手段が、固定の支
   点に回転可能に支持され且つ一端部が該スライドレバー
   に連結された第１の旋回レバーと、該第１の旋回レバー
   の他端部に回転可能に支持され且つ一端部が該パック係
   合部材に連結された第２の旋回レバーと、該第１の旋回
   レバーと該第２の旋回レバーとの間に延びて該第２の旋
   回レバーを該第１の旋回レバーに対して所定の位置で一
   体化するスプリングとからなり、カセットパックの挿入
   時に該スライドレバーの直線方向の運動によって該第１
   の旋回レバーを該固定の支点の回りで旋回せしめ、該第
   １の旋回レバーと一体的に旋回する該第２の旋回レバー
   がカセットパックの挿入の最奥位置に設けられた停止手
   段により停止した後で該第１の旋回レバーをさらに旋回
   できるようにしたことを特徴とするテープ再生装置のカ
   セットパック挿入機構。