JPH0792266B2 - 空気調和機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は空気調和機に係り、特に、室内における天井カ
セット形、天吊形等の、床面に向いた空気吹出口を備え
た空気調和機に関する。

〔従来の技術〕

この種の空気調和機は、室内空気を調和（一般には暖房
または冷房）させて、室内空気状態の適性化を行ってい
る。空気調和機は、室内全体における調和効率等からし
て、天井面に配置する形式が望ましいとされる。

このような空気調和機は、一般に、床面に向いた空気吸
入口１と、吸入空気が流動する流路２と流路２に連通し
て、床面に向いた空気吹出口3aとを備えている。流路２
には、空気調和手段４が付設されており、流路２を通過
する空気を暖房または冷房する等、空気調和を行ってい
る。調和された空気は、吹出口3aから室内に吹出され
る。

吹出口3aには、吹出気流を方向づけて発生させるために
第６図から第９図に示すように、吹出口3aの開口部５に
流路中央に向けて傾斜した斜面６が設けられている。開
口部５には、また、その流路２の中に翼7aが回転自在に
支持されている。この翼7aを気流方向に対して、傾ける
ことによって、翼7aに空気が衝突し、その進行方向が定
められて、室内に吹出されるようになっている。

このような吹出気流の方向について、例えば、室内を冷
房する場合には、吹出気流を天井面に沿って発生させる
ことが、室内全体の冷房を図る上でも、また、気流方向
に冷房空気が集中して、局地的冷房過剰を避けるために
も望ましい。同様に、室内を暖房する場合には、暖房空
気は上昇する性質を有するために、気流を床面に向け
て、下方向に発生させることが望ましいことが知られて
いる。

従来の空気調和機によって、冷房を行う場合等には、第
６図に示すように、翼7aが開口部５の側面に平行するよ
うに傾斜されて、気流を矢印Ａの方向に発生させること
になる。すなわち、第６図における翼7aの配置によって
水平方向に向けた吹出気流の発生を図っている。また、
暖房時等には、第７図に示すように、翼7aを下方向に向
けることによって気流はそのまま矢印Ｂで示す下方向に
向うことになる。すなわち、第７図の翼7aの配置によっ
て、下方向への吹出気流発生が可能となる。

このようにして、従来の空気調和機は、吹出気流の方向
づけを行ない、室内への吹出気流分布を提供していた。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、従来の空気調和機においては、冷房時のように
水平方向に吹出気流を発生させようとすると、翼7aを水
平方向に向けなければならず、吹出口3aをふさぐ形とな
るために、必要な風量が得られなくなる。このために水
平方向への吹出気流分布の範囲に限界が生じ、天井材８
に沿う方向への吹出気流を発生させることができなかっ
た。

また、このような場合、第６図の矢印Ｃに示すような室
内の高温多湿等の室内空気の乱流が生じることがあり、
このような室内空気が吹出口3aに誘引されることもあっ
た。それにより、吹出パネル９端部等に室内空気が接触
して、結露が生じたり、あるいは、付近の天井材８等が
汚れた室内空気によって汚れたりすることがあった。加
えて、吹出気流の一部がショートサーキットとなり、吸
入口１から流入されて、空気調和効率が低下することも
あった。

さらに、暖房時のように下方向に気流を発生させる場
合、暖房空気が上昇傾向にあること等によって、第７図
の矢印Ｄに示うようなショートサーキットが生じること
があった。このショートサーキットが吸入口１から吸入
され、暖房された空気を再び暖房することになる等のた
めに、暖房効率の低下を招いていた。

このような課題を解決するために、例えば、第８図およ
び第９図に示すような吹出口3bの吹出構造が創案されて
いる。

この例では、従来の開口部５の形状に加えて、翼7bは曲
面を備えた形状とされ、支点10によって回転自在に支持
されている。

この空気調和機においては、第８図の矢印Ｅで示す水平
方向への吹出気流または第９図の矢印Ｆで示すような下
方向への吹出気流を発生させることにより、従来例より
気流分布範囲の向上を図っている。しかし、この例にお
いても吹出気流からのショートサーキットの発生につい
ては考慮されておらず、矢印Ｇで示すショートサーキッ
トが依然として発生するという問題があった。

また、この例では、吹出気流発生のために、翼7bを、開
口部5bからはみ出す構成としなければならず、調和機の
意匠効果を損なうのみならず翼7b自体に結露が発生する
等の問題があった。

本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、室
内における良好な気流分布を提供できるとともに気流発
生に伴う室内空気の誘引による結露、天井面の汚れ等を
抑制でき、さらにショートサーキットを発生させずに空
気調和効率の向上を図ることができるとともに、意匠効
果を損なうことのない空気調和機を提供することを目的
とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は空気吸入口と、この空気吸入口に流路を介して
連通した空気吹出口と、前記流路に付設された空気調和
手段と、前記空気吸出口に回転自在に支持された気流制
御用の翼とを備えた空気調和機において、前記翼の水平
方向に対向した流路内壁の一つに、開口面に向うにつれ
て次第に流路中央側へ傾いた斜面を伴った凹部と、前記
翼の前記空気吸出口側の先端が前記空気吹出口より奥側
にあるように配置され、かつ冷房時に前記流路の斜面を
伴った内壁と対向する側の内壁に接触可能に支持された
ことを特徴とする。

〔作用〕

本発明によれば、吹出口の内壁に設けた凹部によって、
吹出気流の一部が凹部の斜面に衝突して、斜面に沿って
進行する。さらに、流路内で凹部に対向する翼を傾斜さ
せることによって吹出気流は天井面に平行して発生す
る。したがって、吹出口付近に室内空気を誘引すること
はなく、結露が生じたり、天井面が汚れたりすることが
ない。

また、翼を流路方向に向けることにより、気流はほぼ、
下方向に発生するとともに、気流が凹部斜面によって傾
いて方向づけられるためにショートサーキットが生じる
こともなく、吹出気流が再び吸入されることもない。こ
のようにして、吹出気流の分布範囲は広がり、良好な気
流分布が提供される。

また、翼が流路内に配置するために機械の意匠効果が損
なわれることもなく、冷房時に翼全体が冷気中に存在す
るため結露を生じたりすることもない。

〔実施例〕

以下、本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。

第１図は本実施例における空気吸入口および空気吹出口
の配置を示している。同図において、ケース11の底面
に、床面に向いた空気吸入口12a、12bが設けてあり、そ
れぞれ、流路13に連通している。流路13には空気調和手
段14（図示しない）が付設されている。空気吸入口12
a、12bの外側には、それぞれ流路13に連通した空気吹出
口15a,15bが床面に向いて設けてある。

吸入口12から吸入された空気は流路13を通り、調和手段
14によって調和（一般には暖房または冷房）されて吹出
口15から室内に吹出される。なお、本実施例を天井材16
に装着した状態を第２図に示す。

空気吹出口15には、それぞれ、第３図に示すように、そ
の開口面17付近の内壁18に、凹部19が設けてある。吹出
口15は、また、凹部19の下方で突出している。凹部19
は、開口面17に向かうにつれて、次第に流路13の中央側
に傾いた斜面20を有している。本実施例においては、凹
部19は、流路13側に向うにつれて次第に上下方向に広が
る形状とされている。なお、凹部19の斜面20は、従来の
吹出口内壁における斜面を稼ぐことにもなっている。

流路13における凹部19に対向する他の内壁21側には気流
制御用の翼22が、回転自在に支持されている。

このような本実施例において、例えば冷房時のように吹
出気流を水平方向に進行させる場合には、第４図に示す
ように、翼22を、斜面20に平行するような向きにする。
なお、本実施例では、翼22は、この状態でその下端が内
壁21と接するように位置決めされている。このような翼
22の形態により、吹出気流のうち、翼22と、内壁21との
間を流れる気流を抑制し、全ての気流は翼22の内壁18側
を流れる。このとき、内壁18には凹部19があるため、気
流の流路が確保されている。凹部19には、開口面17まで
延びる斜面20があり、気流は、これに沿って流れる。さ
らに斜面20に沿って通過した気流は吹出パネル23と平行
して流れ、第４図の矢印Ｈで示すような、水平方向に平
行して、天井面に沿った吹出気流となる。天井面に沿っ
て平行な吹出気流は、第６図の矢印Ｃに示すような室内
空気の乱流を起すことはなく、従って吹出パネル23付近
に高温多湿または汚れた室内空気を誘引することはな
い。このために、吹出パネル23の端部等に結露を発生さ
せることがないとともに、天井材16等に汚れた室内空気
を誘引したり、乱流を生じさせたりして天井材16等を汚
すことがなくなる。さらに斜面20によって気流方向が定
められるために第７図の矢印Ｄ等で示すショートサーキ
ットが発生することもない。

暖房時のように下方向に吹出気流を発生させる場合に
は、第５図に示すように翼22下方向の向きとする。これ
により翼22と、内壁21との間を通過する気流は下方向に
進み、翼22の内壁18側を流れる気流は斜面20に沿って進
行する。この二つの気流が合流して、吹出気流は、矢印
Ｉで示す方向に流れ、左よりのほぼ下方向への吹出気流
になる。したがって、第７図の矢印Ｄで示すような吸入
口12へのショートサーキットを防止できるとともに床面
への吹出気流の到達を可能とする。

このように、本実施例においては、良好な気流分布を所
望に応じて提供でき、従来に比較して気流の分布範囲を
広げることが可能となる。さらに、翼22は、開口面17か
ら奥まった位置に配置されているために、機械の意匠効
果が損われることもない。

〔発明の効果〕

以上のように、本発明によれば、空気吹出口の内壁に凹
部を設けたので凹部斜面に沿った気流を発生させること
ができる。したがって、天井面に沿って平行な方向や、
下方向に向いた吹出気流を発生させることができ、吹出
気流の分布の範囲が広がることにより良好な気流分布を
所望に応じて提供することができる。また、吹出気流を
改善することによって冷房時等に天井面や吹出パネル等
における結露の発生を防止できるとともに汚れた室内空
気を誘引して天井面を汚すこともなくなる。さらに、凹
部斜面に沿った気流方向を定めるために、暖房時等に、
ショートサーキットが発生することもなく、空気調和効
率を向上することができる。

加えて気流制御用の翼を流路内の奥まった位置に備える
ために機械の意匠効果を向上でき、冷房時に翼全体が冷
気中に存在するため結露を防止できる等の効果が奏され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例における空気吸入口および空
気吹出の配置を示す断面図、第２図は天井カセット形の
本実施例を天井材に装着した状態を示す斜視図、第３図
は第１図の部分拡大図、第４図および第５図は本実施例
の作用を説明する説明図、第６図および第７図は一従来
例の作用を説明する説明図、第８図および第９図は、他
の従来例の作用を説明する説明図である。 11……ケース、 12……空気吸入口、 13……流路、 15……空気吹出口、 16……天井材、 17……開口面、 18,21……内壁、 19……凹部、 20……斜面、 22……翼、 23……吹出パネル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】空気吸入口と、この空気吸入口に流路を介
   して連通した空気吹出口と、前記流路に付設された空気
   調和手段と、前記空気吸出口に回転自在に支持された気
   流制御用の翼とを備えた空気調和機において、 前記翼の水平方向に対向した流路内壁の一つに、開口面
   に向うにつれて次第に流路中央側へ傾いた斜面を伴った
   凹部と、 前記翼の前記空気吸出口側の先端が前記空気吹出口より
   奥側にあるように配置され、かつ冷房時に前記流路の斜
   面を伴った内壁と対向する側の内壁に接触可能に支持さ
   れたことを特徴とする空気調和機。