JPH0791924A - エリプソパラメータ測定方法及びエリプソメータ - Google Patents

エリプソパラメータ測定方法及びエリプソメータ

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JPH0791924A
JPH0791924A JP23520593A JP23520593A JPH0791924A JP H0791924 A JPH0791924 A JP H0791924A JP 23520593 A JP23520593 A JP 23520593A JP 23520593 A JP23520593 A JP 23520593A JP H0791924 A JPH0791924 A JP H0791924A
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JP
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light
reflection
reflected light
ellipsometer
incident
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JP23520593A
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English (en)
Inventor
Shuichiro Nomura
修一郎 野村
Takao Miyazaki
孝雄 宮崎
Takahiko Oshige
貴彦 大重
Hiroyuki Sugiura
寛幸 杉浦
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JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 測定対象がたとえ拡散反射特性を有していた
としても、測定対象の表面性状に影響されないエリプソ
パラメータを測定でき、最終的にこのエリプソメータを
用いた膜厚の測定精度を向上させる。 【構成】 測定対象14に対して偏光した光を所定角度
αで入射させて、この測定対象14からの反射光のうち
正反射光成分b1 以外の拡散反射光成分eを抽出して、
抽出した拡散反射光成分eをそれぞれ互いに異なる3方
向以上の偏光成分に分離し、この分離された3つ以上の
偏光成分の光強度からエリプソパラメータψ,Δを求め
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄い膜厚を測定する場合
に用いるエリプソメトリ手法に係わり、特に、測定対象
膜が拡散反射しやすい材質の場合に表面性状の影響を受
けないエリプソパラメータを測定できるエリプソパラメ
ータ測定方法およびこの測定方法を用いてエリプソパラ
メータを測定するエリプソメータに関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜の膜厚を測定する手法としてエリプ
ソメトリ手法が用いられる。この手法は、薄膜等の試料
の表面で光が反射する際の偏光状態の変化、すなわち電
場ベクトルの入射面に平行な成分(P成分)の反射率R
pと、直角な成分(S成分)の反射率Rsとの比ρを
(1) 式で測定して、すでに確立されている偏光反射率比
ρと膜厚dとの一定の関係に従って、膜厚dを求める。
【0003】 ρ=Rp/Rs= tanψ exp[jΔ] …(1) ここで、偏光反射率比ρは、(1) 式に示すように、一般
に複素数であるので、2つのエリプソパラメータ、つま
り振幅比ψ、および位相差Δを求める必要がある。
【0004】従来このエリプソパラメータψ,Δを高速
で求める手法として、図14に示す3チャンネルのエリ
プソメータが提唱されている(特開昭63−36105
号公報,特開平1−28509号公報)。
【0005】光源1から出力された単一波長を有する光
は偏光子2にて直線偏光に変換されて測定対象としての
試料3に所定角度αを有して入射する。試料3からの反
射光は3個の無偏光のビームスプリッタ4a,4b,4
cによって3本の光に分岐される。二つのビームスプリ
ッタ4a,4bを透過した第1の光は第1の検光子5a
および集光レンズ6aを介して第1の受光器7aへ入射
される。第1の受光器7aはその光強度Ia を電気信号
に変換する。
【0006】同様に、ビームスプリッタ4aを透過して
次のビームスプリッタ4bで反射された第2の光は第2
の検光子5bおよび集光レンズ6bを介して第2の受光
器7bへ入射される。第2の受光器7bはその光強度I
b を電気信号に変換する。さらに、ビームスプリッタ4
aで反射され次のビームスプリッタ4cを透過した第3
の光は第3の検光子5cおよび集光レンズ6cを介して
第3の受光器7cへ入射される。第3の受光器7cはそ
の光強度Ic を電気信号に変換する。
【0007】第1の検光子5aの偏光方向が基準方向
(方位0°)に設定され、第2の検光子5bの偏光方向
が前記基準方向に対して+45°傾斜して設定され、第
3の検光子5cの偏光方向が前記基準方向に対して−4
5°傾斜して設定されている。
【0008】そして、前述したエリプソパラータψ,Δ
は、図15のように楕円偏光された試料3からの反射光
のP成分とS成分の振幅比ψと位相差Δであるので、簡
単な幾何学的考察により、(2) (3) 式にて求められる。
【0009】 COSΔ=(Ib −Ic )/(2Ia ){Ia /(Ib +Ic −Ia )}1/2 …(2) tanψ=(σ1 ・σ2 ){Ia /(Ib +Ic −Ia )}1/2 …(3) 但し、各ビームスプリッタ4a〜4cの各方向への振幅
反射率比σ1 ,振幅透過率比σ2 は固有な値であり、既
知の楕円偏光を有する試験光を各ビームスプッタ4a〜
4cに入射させて予め求めておく。このようにして、エ
リプソパラメータψ,Δが求まると、別途計算式を用い
て膜厚dが算出される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図14
に示すエリプソメータにおいてもまだ改良すべき次のよ
うな課題があった。すなわち、上述した(2)(3)式により
求められたエリプソパラメータψ,Δから正確な膜厚が
算出される前提条件は、図16(a)(b)に示すよう
に、試料3が平坦な基板3b上の拡散反射を起こさない
平坦な膜3aであることである。この条件においては、
入射光aは入射角αに等しい角度で表面で反射される1
次反射光成分b1 と、膜3a内を透過して基板3b表面
で反射される2次反射光成分c1 と、再度膜3a内を透
過する3次反射光成分c1 と、4次反射光成分c1 .…
…とに分離される。そして、表面で反射された1次反射
光成分b1 と膜3a内を透過した2次反射光成分以上の
各反射成分c1 との関係で形成される楕円偏光を評価す
るようにしている。したがって、反射光を受光する光学
系は正反射光の光路に配設すればよい。
【0011】しかし、測定対象としての試料3のなかに
は、図16(a)に示すように、理想的に反射されなく
て、図17に示すように、表面が粗かったり、また膜内
部に入射した光が結晶粒界や膜の構成粒子で散乱.屈
折,吸収されて、種々の経路をたどりながら表面から出
射する試料がある。この場合、従来のエリプソメータの
ように、正反射光の光路に楕円偏光を評価する光学系を
配設すると、入射光aの入射角αと同一角度方向に反射
される膜内を経由した層内反射光c1 の光強度に比較し
て、試料3表面でそのまま反射された表面反射光b1
光強度の割合が極端に大きくなる。
【0012】しかし、表面反射光成分は膜厚による影響
は何等受けておらず、むしろ表面性状の影響により、測
定された各光強度Ia ,Ib ,Ic の膜厚に対するS/
Nが大幅に低下し、ひいてはエリプソメータψ,Δから
算出される膜の測定精度が低下する。
【0013】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、測定対象からの反射光のうち正反射成分以
外の拡散反射光成分を用いて反射光の楕円偏光を評価す
ることによって、表面反射光成分の層内反射光成分に対
する割合を小さくし、たとえ拡散性質を有した測定対象
であってもエリプソパラメータψ,Δから求められる膜
厚の測定精度を大幅に向上できるエリプソパラメータ測
定方法及びエリプソメータを提供することを目的とす
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解消するため
に本発明のエリプソパラメータ測定方法においては、測
定対象に対して偏光した光を所定角度で入射させて、こ
の測定対象からの反射光のうち正反射光成分以外の拡散
反射光成分を抽出して、抽出した拡散反射光成分をそれ
ぞれ互いに異なる3方向以上の偏光成分に分離し、この
分離された3つ以上の偏光成分の光強度からエリプソパ
ラメータを求めるようにしている。
【0015】また、本発明のエリプソメータにおいて
は、偏光した光を測定対象に所定角度で入射させる光源
部と、測定対象にて反射された反射光のうち正反射光成
分以外の拡散反射光成分を互いに異なる3方向以上の偏
光成分に分離する光学系と、この光学系にて分離された
3つ以上の偏光成分における各光強度を検出する複数の
受光器と、この複数の受光器から検出された3つ以上の
光強度に基づいて反射光における楕円偏光のエリプソパ
ラメータを算出する演算部とを備えたものである。
【0016】さらに、別の発明のエリプソメータにおい
ては、前述した発明のエリプソメータにおける測定対象
と光学系との間に、測定対象からの拡散反射光成分を所
定の反射角度範囲に亘って平均化して光学系へ入射させ
るレンズ系を介在させている。
【0017】
【作用】先ず、このように構成されたエリプソパラメー
タ測定方法及びエリプソメータの動作原理を図2乃至図
4を用いて説明する。拡散特性を有する材質で形成され
た測定対象としての試料3に所定の角度αで入射される
入射光aは、図2(a)に示すように、表面の入射点P
で反射される表面反射成分bと、図3(a)に示すよう
に、試料3内の結晶粒界で散乱.屈折,吸収されて、種
々の経路をたどりながら表面から出射される層内反射光
成分cとが存在する。
【0018】入射光aが試料3表面で反射されるときに
表面の凹凸に起因して拡散されるので、表面反射成分b
の反射角度βは、図2(b)に示すように、入射角αを
中心とする狭い角度範囲内に分布する。そして、各反射
角β方向の各反射光の光強度は、図2(c)に示すよう
に、入射角αと等しい反射光、すなわち正反射光成分b
1 が最も大きい。
【0019】試料3内に入射した光は前述したように種
々の方向に進むので、表面から出射された層内反射光成
分cの反射角βは、図3(b)に示すように、より拡散
性の強い反射光分布を示す。そして、各反射角β方向の
各反射光の光強度は、図3(c)に示すように、正反射
角α以外の角度で最大値を示す。
【0020】したがって、観測者が実際に測定可能な反
射角度特性は、拡散特性を有した試料3に入射光aを所
定角度αで入射すると、全体の反射光は図4(a)に示
すように、表面反射光成分bの反射角度特性と層内反射
光成分cの反射角度特性とを合成した反射角度特性Dと
なる、また、両方の反射光成分b.cを合成した場合に
おける、各反射角β方向の各反射光の光強度は、図4
(b)に示すように、個々の光強度特性を加算した合成
反射光強度特性Eとなる。
【0021】この合成反射光強度特性Eにおける最大光
挟持が得られる反射角βは入射角αに等しい角度である
(β=α)。しかし、この反射角(β=α)位置におい
ては、表面反射光成分b(=b1 )が層内反射光成分c
(=c1 )に比較して極端に大きいので、前述したよう
に測定されたエリプソパラメータψ,Δから求められる
膜厚dの測定精度が低下する。
【0022】これを解消するために、反射光成分の全体
の光強度は低下するが、層内反射光成分cの割合が、表
面反射光成分bに対して最も大きくなる反射角度位置
(β=β2 )における表面反射光成分b2 と層内反射光
成分c2 とを用いて反射光の楕円偏光を特定する各光強
度を測定して、この各光強度からエリプソパラメータ
ψ,Δを算出すればよい。
【0023】なお、前述した最良の反射角度β2 は測定
対象の種類によって異なり、予め実験的に求めておく。
また、図4に示した反射角度特性Dは実際においては、
図示する程度には滑らかでないので、測定対象と光学系
との間にレンズ系を挿入して、所定の反射角度範囲に亘
って平均化することによって、測定値のS/Nをさらに
向上させている。
【0024】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面を用いて説明す
る。図1は実施例のエリプソパラメータ測定方法を採用
したエリプソメータの概略構成を示す模式図である。
【0025】光源11から出力された単一波長を有する
レーザ光線はグラントムソンプリズム12及び1/4波
長板13で円偏光に変換される。円偏光された入射光a
は測定対象としての試料14に所定の入射角αで入射さ
れる。この試料14は拡散特性を有しており、入射角α
で入射された入射光aに対して、図示するよう正反射光
成分b1 の反射角β(=α)方向を最大値とする反射角
度特性Dを有している。
【0026】この図示する形状の反射角度特性Dを有す
る反射光のうち、前記正反射光成分b1 の反射角度β
(=α)を大きく外れた前述した最良の反射角β2 方向
に集光レンズ15とコリメータレンズ16とが配列され
ている。さらに、この集光レンズ15とコリメータレン
ズ16との光軸上に光学系を構成する無偏光ビームスプ
リッタ17が配設されている。
【0027】前記集光レンズ15とコリメータレンズ1
6とからなるレンズ系は、前記反射光のうちの前記最良
の反射角β2 を含む所定角度範囲の反射光eを平均化し
て光学系の無偏光ビームスプリッタ17へ入射させる機
能を有する。
【0028】無偏光ビームスプリッタ17は、入射され
た反射光eを二つの光e1 ,e2 に分岐する。反射され
た反射光e1 は1/4波長板13aを介して第1の偏光
ビームスプリッタ18aへ入射する。また、透過した透
過光e2 は第2の偏光ビームスプリッタ18bへ入射す
る。
【0029】第1,第2の偏光ビームスプリッタ18
a,18bは同一構成を有しており、例えばグラントム
ソンプリズム等で構成され、入射した楕円偏光を有する
光を互いに直交する2方向の偏光成分に分離してそれそ
れ透過光および反射光として出力する。そして、各偏光
ビームスプリッタ18a,18bは基準方向に対して互
いに45°異なる方向に向いて配設されている。
【0030】したがって、各偏光ビームスプリッタ18
a,18bから出力される4つの偏成分e1a.e1b,e
2a,e2bは、それぞれ、偏光方向が入射面を基準方向
(方位0°)にして、+45°,−45°+90°,0
°方向に設定される。互いに偏光方向が45°ずつ異な
る4つの偏光成分e1a.e1b,e2a,e2bはそれぞれ集
光レンズ19a.19b.20a.20bを介してそれ
ぞれの受光器21a,21b,22a,22bに入射す
る。各受光器21a,21b,22a,22bは入射し
た各偏光成分e1a.e1b,e2a,e2bの光強度I1 ,I
2 ,I3 ,I4 を検出して次の演算部23へ送出する。
【0031】そして、演算部23はこれら4つの光強度
I1 〜I4 を用いて反射光の楕円偏光を特定するエリプ
ソパラメータψ,Δを(4)(5)式を用いて算出する。 tan Δ={[σR (I1 −I2 )]/[σT (I3 −I4 )]} …(4) tan ψ=[(σR 2 −σT 2 )/2] ×[{σR (I1 −I2 )}2 +{σT (I3 −I4 )}21/2 ÷[σR 2 (I1 +I2 )−σT 2 (I3 +I4 )] …(5) ただし、無偏光ビームスプリッタ17のP偏光,S偏光
の振幅反射率比σR および振幅透過率比σT は固有な値
であり、既知の直線偏光または楕円偏光を有する試験光
をこの無偏光ビームスプリッタ17へ入射して、真のエ
リプソパラメータψ,Δからのずれ量から逆算して予め
求めておく。
【0032】また、位相差Δの計算の際には、下記に示
すσR (I1 −I2 ),σT (I3−I4 )の正負の条
件に従って、象限(ゾーン)を判別する。すなわち、σ
R (I1 −I2 )=A,σT (I3 −I4 )=Bとする
と下記のようになる。
【0033】(1) A>0,B>0の場合、 第1象限
( 0°<Δ< 90°) (2) A>0,B<0の場合、 第2象限( 90°<
Δ<180°) (3) A<0,B<0の場合、 第3象限(180°<
Δ<270°) (4) A<0,B>0の場合、 第4象限(270°<
Δ<360°) このように、算出された位相差Δが第1象限から第4象
限までのどの象限に所属するのかも同時に自動的に判断
できる。
【0034】したがって、振幅比ψ,および所属象限を
含めた位相差Δのエリプソパラメータが求まると、予め
実験によって求められている検量線又は別途計算式を用
いて試料14における膜厚dを算出する。
【0035】なお、測定対象からの反射光をそれぞれ互
いに異なる4つの偏光成分に分離し、この分離された4
つの偏光成分からエリプソパラメータを求める手法は既
に特開平4−503302号公報に開示済みである。
【0036】次に、このように構成されたエリプソメー
タを用いて行った実際の試料14に対する測定結果を図
5乃至図12に示す。図5は、金属板に化成処理を施し
た実験試料14aに対して入射光aを所定入射角α=6
0°で入射させた場合における、各反射角βにおける反
射光の各光強度を測定して得られた実際の反射角度特性
Dである。このように、実際の反射角度特性Dは表面状
態等に起因して起伏の激しい包絡線特性となる。したが
って、図1に示す集光レンズ15とコリメータレンズ1
6とを用いない場合においては、光学系で抽出する反射
光の反射角βをたとえ微小変化させても、反射光の光強
度が大きく変化する。この細かい変化は各試料14個々
の表面状態に起因するので、試料14を交換すると、さ
らに別の細かい変化が現れる。この細かい変化は測定対
象の膜厚dには関係のない雑音成分となるので、無いほ
うが望ましいことは言うまでもない。
【0037】図6(a)は、図5に示す実験試料14a
に対して入射角αを60°に固定して、抽出する反射光
の反射角βの角度範囲を−30°から+76°まで2°
間隔で順番に移動させた場合における演算部23で算出
されたエリプソパラメータψの変化を示す特性図であ
る。図示するように、反射角βを微小変化させてもエリ
プソパラメータψは大きく変化する。
【0038】一方、図6(b)は、図1に示す集光レン
ズ15とコリメータレンズ16とを組込んだ場合におけ
る同一条件の測定結果を示す特性図である。図6(b)
においては、特性上に反射角βの微小変化に対応する細
かい変動は現れない。よって、安定したエリプソパラメ
ータψが得られ、このエリプソパラメータψを用いて算
出された膜厚dの測定精度がさらに向上する。
【0039】本発明の効果を確認するために、発明者等
は金属板に対して同一種類の化成処理(処理A)を施し
て、金属表面に拡散特性を有する膜を形成した20種類
の実験試料を作成した。具体的には金属表面に付着させ
るクロムCrの単位面積当りの付着量を変化させる事に
よって、膜厚dを20種類に変化させている。
【0040】そして、膜厚dがそれぞれ異なる20種類
の各実験試料に対して、入射光aの入射角αを例えば7
0°に固定して、各反射角βにおけるエリプソパラメー
タψを測定した。例えば、反射角β=0°、すなわち実
験試料面に対して法線方向に集光レンズ15の光軸を合
わせた場合には、図8に示すように、膜厚dに対応する
クロムCrの付着量とエリプソパラメータψとは正方向
の顕著な相関があり、相関係数rは0.944 とほぼ1に近
い相関を得ることができる。
【0041】同様な手法でもって、反射角βを2°間隔
で移動させて、各反射角βにおけるエリプソパラメータ
ψを測定して、各反射角βにおける各相関係数rを求め
た。各反射角βと各相関係数rの絶対値|r|との間の
関係は図7に示す通りである。相関係数rが高いこと
は、該当反射角βで測定されたエリプソパラメータψが
実際の膜厚dと高い相関で対応している事を示す。
【0042】図7によると、反射角βが0°近傍におい
て相関係数rが最も高い値を示すことが理解できる。し
たがって、この処理Aの化成処理を施した金属板表面の
膜厚dを測定する場合においては、最良の反射角β2
0°(法線方向)であることを示すので、集光レンズ1
5の光軸をこの最良の反射角β2 (=0°)に合わせれ
ばよい。
【0043】図9は、反射角βを入射角αに等しくし
て、従来エリプソメータと同一条件に設定した場合にお
ける、膜厚dに対応するクロムCrの付着量とエリプソ
パラメータψとの関係を示す図である。図示するよう
に、相関性は小さく、相関係数rは−0.676 であり、図
8に示すように、反射角βを入射角α以外の最良の反射
角β2 に設定した実施例エリプソメータの方が実際の膜
厚dにより対応したエリプソパラメータψが測定できる
ことが実証された。
【0044】さらに、発明者等は、金属板に対して処理
Aとは異なる処理Bの同一化成処理を施して、金属表面
に拡散特性を有する膜厚dが互いに異なる膜を形成した
20種類の実験試料を作成した。そして、処理Aの実験
試料と同一条件の実験を実施した。実験結果を図10,
図11,図12に示す。
【0045】この処理Bの実験試料においては、図10
に示す各反射角βと各相関係数rの絶対値|r|との間
の関係において、最大の相関係数|r|が得られる反射
角β、すなわち最良の反射角β2 は0°ではなくて44
°となる。
【0046】この反射角βが最良の反射角β2 (=44
°)の場合における、膜厚dに対応するクロムCrの付
着量とエリプソパラメータψとは正方向の顕著な相関が
あり、相関係数rは0.945 とほぼ1に近い相関を得るこ
とができる。
【0047】従来エリプソメータにおける測定条件であ
る。反射角βが入射角αに等しい場合には、図12に示
すように、膜厚dに対応するクロムCrの付着量とエリ
プソパラメータψとの間の相関性は小さい。
【0048】このように、測定対象の材料性質に応じ
て、正反射光成分b1 の反射角β以外の最良の反射角β
2 の反射光eを集光レンズ15を用いて光学系に取込む
事によって、たとえ拡散性質を有した測定対象であって
も膜厚dに対応した精度の高いエリプソパラメータを測
定できる。
【0049】図13は本発明の他の実施例のエリプソメ
ータの概略構成を示す模式図である。図1に示した先の
実施例と同一部分には同一符号が付してある。したがっ
て、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0050】この実施例エリプソメータにおいては、光
源11から出力されたレーザ光は偏光子24でもって直
線偏光に変換されたのち試料14に対して所定の入射角
αで入射される。入射光aに対する反射光の反射角βの
うち最良の反射角β2 方向に集光レンズ15の光軸が合
わされている。この最良の反射角β2 は、前述した手法
で求められる。
【0051】なお、図13の実施例エリプソメータにお
いては、前述した処理Aの化成処理が施された金属板の
膜厚dを測定する場合を想定して、最良の反射角β2
0°(法線方向)に設定されている。
【0052】集光レンズ15で収集された最良の反射角
β2 を中心とする所定角度範囲の拡散反射光成分eは、
光分岐器25でもって同一楕円偏光状態を維持したまま
で、2方向に分岐される。光分岐器25で分岐された一
方の光は検光子26へ入射される。検光子26は入射し
た光における基準方向に対して0°方向の偏光成分を透
過させて受光器27aへ入射させる。受光器27aは入
射光の光強度Ia を検出して次の演算部23aへ送出す
る。
【0053】光分岐器25で分岐された他方の光は偏光
ビームスプリッタ28へ入射される。偏光ビームスプリ
ッタ28は、入射した光を互いに偏光方向が90°異な
る2方向の偏光成分に分離する。分離去れた各偏光成分
はそれぞれ受光器27a,27bへ入射されて、各光強
度Ib ,Ic に変換される。各光強度Ib ,Ic は演算
部23aへ入力される。
【0054】前記偏光ビームスプリッタ28は、受光器
27bへ入射される偏光光の偏光方向が前記基準方向に
対して+45°方向を向くように姿勢角が設定されてい
る。したがって、残りの受光器27cへ入射される偏光
光の偏光方向は必然的に基準方向に対して−45°方向
を向く。
【0055】演算部23aは入力された各光強度Ia ,
Ib ,Ic,に対して前述した(2)(3)式を用いて反射光e
の楕円偏光のエリプソパラメータψ,Δを算出する。そ
して、必要に応じて、このエリプソパラメータψ,Δか
ら別途計算式を用いて膜厚dが算出される。
【0056】このように構成されたエリプソメータにお
いても、反射光のうち正反射光成分以外の最良の反射角
β2 を含む所定反射角度範囲の拡散反射光成分eを抽出
して、光光学系へ入射させて、この拡散反射光成分eに
基づいてエリプソパラメータψ,Δを算出している。し
たがって、先に説明した実施例エリプソメータとほぼ同
様の効果を得ることができる。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように本発明のエリプソパ
ラメータ測定方法及びエリプソメータによれば、測定対
象からの反射光のうち正反射成分以外の拡散反射光成分
を用いて反射光の楕円偏光を評価している。したがっ
て、表面反射光成分に対する層内反射光成分の割合を大
きくでき、たとえ拡散性質を有した測定対象であっても
膜厚と相関の高いエリプソパラメータψ,Δが測定で
き、ひいてはこのエリプソパラメータψ,Δを用いて算
出される膜厚dの測定精度を向上できる。
【0058】さらに、測定対象と光学系との間に、測定
対象からの拡散反射光成分を所定の反射角度範囲に亘っ
て平均化するレンズ系を設けている。したがって、抽出
する反射光の微小角度変化に起因して、測定されたエリ
プソパラメータψ,Δが大きく変化することが排除さ
れ、エリプソパラメータの測定精度をより一層向上でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係わるエリプソメータの
概略構成を示す模式図。
【図2】 拡散特性を有する試料表面の表面反射光の反
射状態を示す図。
【図3】 拡散特性を有する試料内の層内反射光の反射
状態を示す図。
【図4】 拡散特性を有する試料の合成された反射光の
反射状態を示す図。
【図5】 実際の試料の拡散反射光の反射角度特性図。
【図6】 実施例エリプソメータのおける集光レンズの
効果を説明するための反射角と測定されたエリプソパラ
メータとの関係を示す図。
【図7】 実施例エリプソメータで測定された実験試料
における反射角と相関関数との関係を示す図。
【図8】 同じく実施例エリプソメータで測定された実
験試料におけるクロム付着量とエリプソパラメータとの
関係を示す図。
【図9】 同じく実施例エリプソメータで測定された実
験試料におけるクロム付着量とエリプソパラメータとの
関係を示す図。
【図10】 実施例エリプソメータで測定された別の実
験試料における反射角と相関関数との関係を示す図。
【図11】 同じく実施例エリプソメータで測定された
別の実験試料におけるクロム付着量とエリプソパラメー
タとの関係を示す図。
【図12】 同じく実施例エリプソメータで測定された
別の実験試料におけるクロム付着量とエリプソパラメー
タとの関係を示す図。
【図13】 本発明の他の実施例に係わるエリプソメー
タの概略構成を示す模式図。
【図14】 従来のエリプソメータの概略構成を示す模
式図。
【図15】 一般的な反射光の楕円偏光を示す図。
【図16】 拡散特性を有さない試料における反射光の
反射状態を示す図。
【図17】 拡散特性を有する試料における反射光の反
射状態を示す図。
【符号の説明】
11…光源、14…試料、15…集光レンズ、16…コ
リメータレンズ、17…無偏光ビームスプリッタ、18
a,18b,28…偏光ビームスプリッタ、21a,2
1b,21c,21d,27a,2b,27c…受光
器、23,23a…演算部、α…入射角、β…反射角、
β2 …最良の反射角、e…反射光、D…反射角度特。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉浦 寛幸 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 測定対象に対して偏光した光を所定角度
    で入射させて、この測定対象からの反射光のうち正反射
    光成分以外の拡散反射光成分を抽出して、抽出した拡散
    反射光成分をそれぞれ互いに異なる3方向以上の偏光成
    分に分離し、この分離された3つ以上の偏光成分の光強
    度からエリプソパラメータを求めることを特徴とするエ
    リプソパラメータ測定方法。
  2. 【請求項2】 偏光した光を測定対象に所定角度で入射
    させる光源部と、前記測定対象にて反射された反射光の
    うち正反射光成分以外の拡散反射光成分を互いに異なる
    3方向以上の偏光成分に分離する光学系と、この光学系
    にて分離された3つ以上の偏光成分における各光強度を
    検出する複数の受光器と、この複数の受光器から検出さ
    れた3つ以上の光強度に基づいて前記反射光における楕
    円偏光のエリプソパラメータを算出する演算部とを備え
    たエリプソメータ。
  3. 【請求項3】 前記測定対象と前記光学系との間に、前
    記測定対象からの拡散反射光成分を所定の反射角度範囲
    に亘って平均化して前記光学系へ入射させるレンズ系を
    介在させたことを特徴とする請求項2記載のエリプソメ
    ータ。
JP23520593A 1993-09-21 1993-09-21 エリプソパラメータ測定方法及びエリプソメータ Pending JPH0791924A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008244448A (ja) * 2007-02-21 2008-10-09 Asml Netherlands Bv 検査方法および装置、リソグラフィ装置、ならびにリソグラフィセル
JP2011102731A (ja) * 2009-11-10 2011-05-26 Nagoya Univ エリプソメトリー装置

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JP2008244448A (ja) * 2007-02-21 2008-10-09 Asml Netherlands Bv 検査方法および装置、リソグラフィ装置、ならびにリソグラフィセル
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