JPH079177B2 - ２サイクルエンジンの掃気通路 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 （産業上の利用分野） この発明は、シリンダスリーブを嵌挿した鋳造シリンダ
ブロックによって構成される２サイクルエンジンの掃気
通路に関する。

（従来の技術） ２サイクルエンジンのシリンダにはクランク室とシリン
ダに開口する掃気口とをつなぐ掃気通路が設けられてい
る。第６図、第７図は典型的なシュニューレタイプの掃
気通路を持つ軽合金製のシリンダブロックを示す。軽合
金鋳造のシリンダブロック１の内孔２にシリンダスリー
ブ３が嵌挿され、内孔面に形成された掃気通路４はシリ
ンダスリーブ３の外周に配置される。この掃気通路４
は、掃気開口５から掃気口６に向ってその断面積が徐々
に狭くなり、掃気口６からシリンダスリーブ３内に導入
される掃気流が、やや上向きに反対側のシリンダ壁に向
って噴出するように設定され、またコアンダ効果を利用
した内側ガイド面７が設けられる。

ところが、上記構成のシリンダブロックを鋳造する場合
には、掃気通路４を形成するのに中子を用いる必要があ
り、生産性が低くコスト高になるうらみがあった。そこ
で、第８図、第９図に示すように、シリンダブロック１
を掃気通路４の途中で上下に分割し、上半シリンダブロ
ック1aと、クランクケースを一体に連設した下半シリン
ダブロック1bとを別個にダイキャストで製作し、シリン
ダスリーブ３を介して合体するようにしたものがある。
こうすることにより、量産性を高めることができるが、
この場合の掃気通路４は、型抜き、組立上の制約によっ
て内側案内部（第６図７）を設けることがむつかしくな
る。この案内部がないと、コアンダ効果を利用して効果
的な掃気流を形成できないので、掃気効率の低下、すな
わちエンジン出力の低下を招くという問題があった。

（発明が解決しようとする問題点） 以上の通り、量産性を高めるため上下に分割したシリン
ダブロックをシリンダスリーブを介して組立てるように
した鋳造シリンダブロックでは、型抜きなどの制約上掃
気通路を理想的な形状に成形できないためエンジン出力
がある程度犠牲にされるという問題があり、この発明は
この問題点を解消するもので別部品を用いて通路形状を
補完することによって掃気効率を高め、よってシリンダ
ブロックの量産性を無理なく向上することを目的とした
２サイクルエンジンの掃気通路を提供するものである。

〔発明の構成〕

（問題点を解決するための手段） 上記の目的を達成するため、この発明の２サイクルエン
ジンの掃気通路は、内孔にシリンダスリーブが挿嵌され
てシリンダスリーブ外周部に掃気通路が形成される鋳造
のシリンダブロックを、その掃気通路の途中で上下に分
割された上半ブロックと下半ブロックとを合せて形成す
るようにしたものにおいて、上、下半ブロックのそれぞ
れの掃気通路外側壁に１本に連る縦方向の凹溝を設ける
と共に両側面にガイプレートが延設されたブリッジプレ
ートを上記凹溝内に嵌合させて、掃気通路巾を縦に区分
する位置に固定して構成される。

（作用） 上記の構成を採るので、掃気通路を型抜きの可能な単純
な形状にして量産性を高め、上、下半ブロックを合せる
ときに別個に製作したブリッジプレートを凹溝にガイド
させて簡単に固定でき、その両面から延設したガイドプ
レートによってコアンダ効果、整流、偏向などを与え
て、掃気流を効果的に流通させることができ、シュニュ
ーレタイプの掃気通路を低コストで提供できる。

（実施例） 次に、この発明の実施例を示す図に就いて説明する。

第１図は第２図Ａ−Ａ矢視のシリンダブロック要部の縦
断面図、第２図はブリッジプレートの斜視図である。

シリンダブロック１は、ダイキャスト製の上半ブロック
1aと下半ブロック1bを合体して構成される。このシリン
ダブロック１の内孔２にシリンダスリーブ３が挿嵌さ
れ、内孔２に設けた凹室とシリンダスリーブ３外周面と
で掃気通路４が形成される。上記上半ブロック1aと下半
ブロック1bの分割面は掃気通路４の途中に設定され、下
半ブロック1bにはクランクケースが一体に連設される。
したがって、上半ブロック1a、下半ブロック1bのそれぞ
れに半分づつの掃気通路4a,4bが形成され、合体によっ
て１つの掃気通路４に連る。掃気通路4bは掃気入口５に
通じ、掃気通路4aは掃気口に通じる。掃気通路4a,4bの
外側壁には合体面から縦方向の凹溝8a,8bが備えられ、
合体によって１本の凹溝として連るようになっている。

上記凹溝8a,8bには合体時に挟むようにして、ブリッジ
プレート９の外側縁が嵌合固定される。ブリッジプレー
ト９は掃気通路４を横切って内側縁からシリンダスリー
ブ３外面に接する内外巾を設定され、掃気通路４の巾を
縦に区分するように配置される。そして内側縁部両面に
は両側方へ張り出したガイドプレート10が延設される。
ガイドプレート10内面はシリンダスリーブ３外面に接す
る凹曲面をなし、外面は縦方向に丘陵形断面の凸曲面を
なす。

以上の構成により、掃気通路４内に配置されたブリッジ
プレート９は、シリンダスリーブ３をバックアップする
補強リブとして作用し、また掃気流の整流板として作用
し、さらにガイドプレート10は従来のものに形成されて
いる内側ガイド面（第６図符号７に示す）と同様にコア
ンダ効果を産む。ブリッジプレート９の固定を確実にす
るためには、シリンダスリーブ３またはシリンダブロッ
ク１に接着してもよく、この場合、凹溝8aにはタイト
に、凹溝8bにはルーズに、あるいはその逆に嵌合させる
ことによってエンジンの分解、組立上に支障を与えない
ようにできる。ブリッジプレート９は単独にダイキャス
トその他の製法によって簡単に得られ、材質も適宜なも
のを選択できる。こうしてシリンダブロックは型抜きや
組立上に問題なく、また中子の使用する必要なく、生産
性よく、低コストに提供され、かつシュニューレタイプ
など所定の掃気通路を容易に形成することができ、エン
ジン性能を高く保持できる。

第３図は他の実施例を示し、第１図、第２図に示したも
のと同様の外面輪郭をなし、ガイドプレート10内面を中
空11に形成したもので、同様の作用、効果を有すると同
時に、さらに重量軽減の効果を加えることができる。

第４図、第５図はさらに別の実施例を示す。このブリッ
ジプレート９には、その中央部両面に縦方向で上縁部が
内方へ湾曲した翼形状のガイドプレート12が延設され
る。ブリッジプレート９の組着けは他と同様で、組着け
たときの掃気通路４は横断面十字形の壁で区画された形
状になり、整流、偏光あるいはコアンダ効果を与え、掃
気効率を高める効果が高い。

〔発明の効果〕

上記の通り、この発明に係る２サイクルエンジンの掃気
通路は、掃気通路の途中で上下に分割可能にした鋳造シ
リンダブロックにおいて、ガイドプレートを延設したブ
リッジプレートを掃気通路内に挿入することによって掃
気流を整えるようにしたもので、シリンダブロック鋳造
時に形成する掃気通路を単純化してダイキャストを可能
にし、生産性を高めてコストを軽減した上で、シュニュ
ーレタイプなど効率のよい掃気によって出力性能の高い
２サイクルエンジンを提供できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例を示す第２図Ａ−Ａ矢視によ
るエンジンブロック要部の縦断面図、第２図は同ブリッ
ジプレートの斜視図、第３図は他の実施例を示すエンジ
ンブロック要部の縦断面図、第４図はさらに他の実施例
を示す第５図Ｂ−Ｂ矢視によるエンジンブロック要部の
縦断面図、第５図はブリッジプレートを示す斜視図、第
６図は従来のエンジンブロックの要部を示す縦断面図、
第７図は第６図Ｃ−Ｃ矢視平面図、第８図は上下分割型
のエンジンブロックを例示した要部の縦断面図、第９図
は第８図Ｄ−Ｄ矢視断面図である。 １……シリンダブロック、1a……上半ブロック、1b……
下半ブロック、３……シリンダスリーブ、４……掃気通
路、8a,8b……凹溝、９……ブリッジプレート、10,12…
…ガイドプレート。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内孔にシリンダスリーブが挿嵌されてシリ
   ンダスリーブ外周部に掃気通路が形成される鋳造のシリ
   ンダブロックを、その掃気通路の途中で上下に分割され
   た上半ブロックと下半ブロックとを合せて形成するよう
   にしたものにおいて、上、下半ブロックのそれぞれの掃
   気通路外側壁に１本に連る縦方向の凹溝を設けると共に
   両側面にガイドプレートが延設されたブリッジプレート
   を上記凹溝内に嵌合させて、掃気通路巾を縦に区分する
   位置に固定してなることを特徴とする２サイクルエンジ
   ンの掃気通路。