JPH0791484A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

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Publication number
JPH0791484A
JPH0791484A JP25921493A JP25921493A JPH0791484A JP H0791484 A JPH0791484 A JP H0791484A JP 25921493 A JP25921493 A JP 25921493A JP 25921493 A JP25921493 A JP 25921493A JP H0791484 A JPH0791484 A JP H0791484A
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JP
Japan
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fluid
chamber
main chamber
vibration
bobbin
Prior art date
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Pending
Application number
JP25921493A
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English (en)
Inventor
Shigeki Takeo
茂樹 竹尾
Hitoshi Kino
等 木野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyoda Gosei Co Ltd
Original Assignee
Toyoda Gosei Co Ltd
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Publication date
Application filed by Toyoda Gosei Co Ltd filed Critical Toyoda Gosei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高周波の振動に対しては低動バネ特性が得ら
れるようにし、低周波の振動に対しては高減衰特性が得
られるようにする。 【構成】 振動体に連結される連結金具91と車体側メ
ンバ等に連結されるホルダ95との間に、インシュレー
タ5、電気粘性流体の封入される主室6及び副室7、こ
れら主室6と副室7との間を連通させるオリフィス2、
主室6と副室7との間を仕切る仕切板3、圧縮性流体で
ある空気を導入する空気室8、空気室8と副室7との間
を仕切るダイヤフラム4を直列に設ける。主室6内に振
動子1を設ける。振動子1は、仕切板3上に固定された
永久磁石17、加振コイル11、加振コイル11を収納
するボビン15、これら加振コイル11及びボビン15
の上方部(主室6側)に設けられたアッパストッパ12
からなる。アッパストッパ12にはスリット121及び
電気粘性流体に電圧を印加する電極122が設けられ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流体封入式の防振装置
に関するものであり、特に、流体の封入される主室内に
振動子を有し、当該振動子を特定周波数にて振動させ、
これによって流体共振を起こさせて、特定周波数の振動
に対して低動バネ定数が得られるようにした振動子付き
の流体封入式防振装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】防振装置のうち、特に、自動車用のエン
ジンマウント等にあっては、動力源であるところのエン
ジンが、アイドリング運転の状態から最大回転速度まで
の間、種々の状況下で使用されるため、防振装置として
は広い範囲の周波数に対応できるものでなければならな
い。一般に、エンジンマウントとしての防振装置は、エ
ンジンの爆発燃焼に起因するトルク変動を対象としたア
イドリング振動、あるいはエンジンとエンジンマウント
との共振現象を対象としたシェーク等の振動を遮断する
ことを目的に、系の設定(チューニング)が行なわれ
る。しかしながら、これらの振動を防振(遮断)するた
めには、バネ定数を選定することによって共振現象を避
けるようにする場合と、共振現象を避けることは難しい
ので、減衰係数を大きくすることによって車体側への振
動遮断を図るようにする場合とが考えられる。これら複
数の条件に対応するため、内部に2つの液室を設け、そ
の間をオリフィスをもって連結し、更に、当該オリフィ
スの径を変えることによって対処するようにした、いわ
ゆる可変特性方式の流体封入式エンジンマウント装置が
すでに案出されており、例えば特開平4−60231号
公報等により公知となっている。
【0003】ところで、上記公知のものは、低周波数域
における2種類の入力振動に対処するため、2つのオリ
フィスが設けられており、これらのオリフィスを作動さ
せることによって、2種類の振動、例えば、エンジンア
イドリング振動とエンジンシェークとに対応(振動遮
断)することができるようになっている。しかしなが
ら、これらの振動は、その周波数が10Hzないし30
Hz前後のものである。ところで、自動車用エンジンは
種々の状況下において使用されるものであり、当該エン
ジン及び当該エンジンを支持するエンジンマウントを介
して車室内に伝播される振動・騒音の周波数域も広範囲
のものとなっている。特に、最近においては、上記アイ
ドリング振動やエンジンシェークの外に、これらよりも
高周波数域(100〜300Hz)の振動である、こも
り音等のエンジンノイズに関する振動・騒音が問題とさ
れている。これらの比較的高周波の振動遮断を図るため
には、これらの周波数域において低動バネ定数(低動バ
ネ特性)を形成させることが必要である。この低動バネ
特性を得られるようにするため、流体室内に振動子(ボ
イスコイル)を設けておき、これを振動させることによ
って流体共振を行なわせるようにしたものが、実公平4
−39481号公報等により既に公知となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この従来の
ものは、例えば、図5に示すような構成からなるもので
あり、このものは、以下に示すような問題点を有してい
る。すなわち、振動体側から連結金具910を介して伝
播されてくる振動のうち、こもり音に関する高周波数域
のものに対しては、インシュレータ50の作用と、主室
60及び副室70からなる流体室内の流体の作用とによ
って振動遮断が行なわれることとなる。そしてこの場
合、まず、加振コイル110に交流電流を流すことによ
って、当該加振コイル110及び当該加振コイル110
の収納されるボビン150を永久磁石130に対して振
動させる。特に、上記加振コイル110に流す交流の値
を適宜制御することによって、上記ボビン150等から
なる振動子10を特定の周波数にて振動させ、主室60
内の流体を流体共振させる。これによって、こもり音を
対象とした高周波数域の振動に対して、低動バネ特性を
形成させることができ、その結果、こもり音等の高周波
の振動に対して、その振動遮断機能を発揮させることが
できるようになる。
【0005】しかしながら、この従来のものは、低周波
の振動、特に、エンジンシェークを対象とした振動に対
しては、十分な減衰特性を発揮させることができない。
すなわち、図5において、エンジンシェーク等低周波の
振動が流体室内に伝播された場合、本来ならば、主室6
0内の流体をオリフィス20を経由して副室70内に流
動させ、この流動作用における流体の流動抵抗に基づい
て高減衰特性が得られるようにするものである。しかし
ながら、上記従来のものにおいては、この場合、上記主
室60内の流体の振動によって、振動子10内のボビン
150が上記流体の振動と共振をしてしまい、主室60
内の流体圧が十分に上がらないという問題点がある。そ
の結果、本来、オリフィス20を経由して副室70内へ
流動するはずの流体が主室60内に溜ってしまい、オリ
フィス20内を十分に流動しなくなってしまう。そのた
め、十分な減衰係数(高減衰特性)が得られないという
不都合が生ずることとなる。このような問題点を解決す
ることとした、エンジンシェーク等の低周波の振動と、
こもり音等の高周波の振動との両方の振動に対しても振
動遮断効果のある流体封入式の防振装置を提供しようと
するのが、本発明の目的(課題)である。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明においては次のような手段を講ずることとし
た。すなわち、振動体側に取付けられる連結金具と、車
体側のメンバ等に取付けられるホルダと、これら連結金
具とホルダとの間にあって上記振動体からの振動を遮断
するインシュレータと、当該インシュレータに対して直
列に設けられ、かつ、非圧縮性流体の封入される主室及
び副室と、これら主室と副室との間にて流体を流動させ
るオリフィスと、上記主室と副室との間を仕切る仕切板
と、圧縮性流体である空気の導入される空気室と、当該
空気室と上記副室との間を仕切るダイヤフラムと、上記
主室に面する側の仕切板上に設けられるものであって上
記主室内の流体を特定の周波数にて流体共振させるよう
に加振する振動子と、からなる流体封入式の防振装置に
関して、上記主室及び副室内に封入される流体を電気粘
性流体にて形成させ、また、上記振動子を構成する加振
コイル及び当該加振コイルを収納するボビンの上方部で
あって上記主室に面する側に、複数のスリットを有する
とともに当該スリットの側面部に電極を有するアッパス
トッパを設け、当該アッパストッパの上記電極に電流を
流すことによって上記電気粘性流体に電圧を印加させ、
これによって、上記主室内の電気粘性流体の粘性抵抗を
増加させ、当該電気粘性流体が上記スリットのところで
堰止められて、ボビン側には流動して行かないようにし
てなる構成を採ることとした。
【0007】
【作用】上記構成を採ることにより、本発明においては
次のような作用を呈することとなる。すなわち、図1に
おいて、振動体側(図示せず)からの振動は、連結金具
91を介してゴム材等からなるインシュレータ5に伝播
される。これによって、当該インシュレータ5は振動あ
るいは変位をして、上記入力振動の大部分を吸収あるい
は遮断する。従って、大半の振動は、このインシュレー
タ5の部分で遮断されることとなるが、一部のものは、
当該インシュレータ5のところでは吸収されずに、ホル
ダ95等を介して車体側に伝播される場合がある。そこ
で、本発明においては、このインシュレータ5の部分で
は吸収され得なかった成分(周波数)の振動を、当該イ
ンシュレータ5の下方部に設けられた主室6及び副室7
等の流体室、更には上記主室6内に設けられた振動子1
等の作用により、吸収あるいは遮断させようとするもの
である。以下、その具体的作用について説明する。
【0008】まず、比較的高周波の振動によってもたら
されるこもり音の遮断について、図1を基に説明する。
この場合、対象となる振動数(周波数)は、100Hz
ないし300Hz程度の比較的高周波数域である。そこ
でこの場合、仕切板3にヨーク16を介して取付けられ
た振動子1の加振コイル11に特定周波数の交流を流し
て、加振コイル11及び当該加振コイル11の収納され
ているボビン15を永久磁石17に対して振動させる。
このボビン15と加振コイル11の振動は、主室6内の
非圧縮性流体(電気粘性流体)を加振する。これによっ
て、流体は振動をするが、このときの振動の状態、特に
その位相が、インシュレータ5を介して伝播される振動
と合致していれば、流体は流体共振を起こすこととな
る。その結果、インシュレータ5の振動及び主室6内の
流体共振現象によって形成される動バネ定数は、低い値
に設定されることとなる。すなわち、低動バネ定数が形
成されることとなり、これによって、こもり音の基とな
る比較的高周波の振動が当該防振装置にて遮断されるこ
ととなる。
【0009】次に、低周波の振動であるエンジンシェー
クに対する振動遮断について、図1ないし図3を基に説
明する。この場合の対象となる振動数(周波数)は10
Hz前後である。従って、エンジンマウント等の防振装
置において、その動バネ定数を、この周波数の振動と共
振させ得る程度まで低くすることは、その構造上困難で
ある。そこで、一般のエンジンマウント等においては、
このエンジンシェークに関する振動の遮断については、
減衰係数を高くすることによって振動を抑え、これによ
って振動遮断あるいは防振作用を行なわせようとしてい
る。そのためには、この周波数の振動に対して、主室6
内の流体が、オリフィス2を通じて十分に副室7側へ流
動できるようにしなければならない。このオリフィス2
内における流体の流動作用によって高減衰特性が得られ
るからである。
【0010】そのためには、インシュレータ5を介して
主室6内へ伝播されるエンジンシェークに起因する振動
に対して、当該主室6内の流体圧が十分に高められるこ
とが必要である。そこでこの場合、本発明においては、
図2及び図3に示す如く、アッパストッパ12のスリッ
ト121の側面部に設けられている電極122に電流を
流して、このスリット121内及びアッパストッパ12
の周りに存在する流体である電気粘性流体に電圧を印加
することとする。この電気粘性流体は印加電圧に応じて
その粘性が変化するものであり、一般に電圧の印加を受
けると粘性が増して流動抵抗が増加するものである。従
って、上記電極122への電圧印加によって、上記スリ
ット121周辺の電気粘性流体は流動性が低下し、結果
的に、上記スリット121を目詰り状態にする。その結
果、エンジンシェークに関する低周波の振動が上記イン
シュレータ5を介して主室6内に伝播されて来たとして
も、主室6の下方面を形成するボビン15側へは電気粘
性流体は流動して行かない。すなわち、主室6の下方面
は変形せず固定された状態となり、主室6内の流体圧は
上昇する。その結果、主室6内の流体(電気粘性流体)
はオリフィス2を経由して副室7側へと流動して行く。
これによって、高減衰特性(高減衰係数)が得られるこ
ととなり、エンジンシェーク等の低周波の振動は抑えら
れることとなる。すなわち、エンジンシェークの遮断が
行なわれることとなる。
【0011】このように、比較的高周波数域の振動に対
しては、振動子1を振動させることによって主室6内の
流体を流体共振させ、これによって低動バネ特性を形成
させるとともに、低周波数域の振動に対しては、加振コ
イル11の上面に設けられたアッパストッパ12のスリ
ット121の電極122に電流を流し、このスリット1
21間に存在する電気粘性流体の流動抵抗を増大化させ
ることによってスリット121を塞ぎ、これによって主
室6内の流体圧を上昇させて高減衰特性が得られるよう
にしている。このようにして低動バネ特性と高減衰特性
とが得られるようにし、これによって、こもり音の遮断
とエンジンシェークの遮断とを行なわせることとしてい
る。
【0012】
【実施例】本発明の実施例について、図1ないし図4を
基に説明する。本実施例の構成は、図1に示す如く、エ
ンジン等の振動体に連結される連結金具91と、車体側
のメンバ等に連結されるホルダ95と、これら連結金具
91とホルダ95との間にあって、上記振動体からの大
変位(大振幅)の振動を遮断するインシュレータ5と、
当該インシュレータ5に対して直列に設けられ、かつ、
非圧縮性流体である電気粘性流体の封入される主室6及
び副室7と、これら主室6と副室7との間を連通させる
オリフィス2と、上記主室6と副室7との間を仕切る仕
切板3と、当該仕切板3上であって上記主室6に面する
側に設けられた振動子1と、空気等の圧縮性流体の導入
される空気室8と、当該空気室8と上記副室7との間を
仕切るダイヤフラム4と、からなることを基本とするも
のである。
【0013】このような基本構成において、仕切板3上
に搭載される振動子1は、当該仕切板3上に固定される
ヨーク16と、当該ヨーク16内に設置される永久磁石
17と、当該永久磁石17上に設けられたセンタポール
13の、その周りに円環状に形成され、当該センタポー
ル13との間に相対変位が可能なように設置される加振
コイル(ボイスコイル)11と、当該加振コイル11を
収納し、当該加振コイル11と一体となって振動するボ
ビン15と、当該ボビン15を仕切板3に支持するゴム
材等からなるボビンホルダ14と、これらボビン15及
びボビンホルダ14の上側(主室6内側)に設けられる
アッパストッパ12とからなることを基本とするもので
ある。
【0014】なお、このような構成において、上記ボビ
ン15を仕切板3上に支持するボビンホルダ14はゴム
材等の弾性体からなるものであり、本実施例において
は、バネ定数の軟らかい部材からなるものが採用されて
いる。バネ定数を軟らかくすることによって加振コイル
11に加える電流値を低くすることができ、わずかな力
で加振コイル11を振動させることができるからであ
る。そのかわり、エンジンシェーク等低周波の振動に対
応させるため、当該加振コイル11及びボビン15等が
簡単に動く(変位)ことの無いように、アッパストッパ
12が設けられている構成となっている。このアッパス
トッパ12は、図2及び図3に示す如く、基本的にはカ
ップ状の形態からなるものであり、縦壁の部分は、仕切
板3に固定されている構成からなるものである。そし
て、底面に相当する部分には、図2及び図3に示すよう
なスリット121が複数個設けられており、このスリッ
ト121の両側面部には電極122がそれぞれに設けら
れている構成からなるものである。そして、このような
構成からなる底面に相当する部分が、図1に示す如く、
ボビン15の上端面の上方側(主室6側)に来るように
設置されている。なお、当該ボビン15の上端面上に
は、図4に示すようなアルミニウムプレート151が設
けられている構成からなるものである。従って、振動子
1の加振コイル11が振動をしているときには、主室6
内の流体はこのスリット121を通じて流動し、上記ボ
ビン15の上端面に設けられたアルミニウムプレート1
51の振動と流体共振を起こすようになっている。
【0015】なお、上記構成からなる振動子1におい
て、電磁軟鉄等の磁性体からなるセンタポール13は永
久磁石17を介してヨーク16に固定され、当該ヨーク
16は仕切板3上に設置されている構成からなるもので
ある。また、オリフィス2の内壁部には電極21が設け
られており、当該電極21に通電することによって、オ
リフィス2内を流動する流体(電気粘性流体)に電圧を
印加することができるようになっている。従って、これ
ら加振コイル15、オリフィス2内の電極21、及びア
ッパストッパ12に設けられた電極122には、これら
に電流を流すためのリード線18等がそれぞれ別個独立
に設けられている構成となっている。
【0016】上記構成からなる本実施例の作動態様につ
いて説明する。まず、比較的高周波の振動によってもた
らされるこもり音の遮断について、図1を基に説明す
る。この場合、対象となる振動数(周波数)は100H
zないし300Hz程度の比較的高周波数域である。そ
こでこの場合、仕切板3に取付けられた振動子1の加振
コイル11に所定周波数の交流を流して、加振コイル1
1及び当該加振コイル11の収納されているボビン15
を振動させる。これによって、ボビン15と加振コイル
11は、主室6内の非圧縮性流体(電気粘性流体)を加
振する。これによって、流体は振動をするが、このとき
の振動の状態、特にその位相が、インシュレータ5を介
して伝播される振動と合致していれば、流体は流体共振
を起こすこととなる。その結果、インシュレータ5の振
動及び主室6内の流体の共振現象によって形成される動
バネ定数は、低い値に設定されることとなる。すなわ
ち、低動バネ定数が形成されることとなり、これによっ
て、こもり音の基となる比較的高周波の振動は当該防振
装置にて遮断されることとなる。
【0017】次に、低周波の振動であるエンジンシェー
クに対する振動遮断について、図1ないし図3を基に説
明する。この場合の対象となる振動数(周波数)は10
Hz前後である。従って、エンジンマウント等の防振装
置において、その動バネ定数をこの周波数の振動と共振
させ得る程度まで低くすることは、その構造上困難であ
る。そこで、一般のエンジンマウント等においては、こ
のエンジンシェークに関する振動の遮断については、減
衰係数を高くすることによって振動を抑え、これによっ
て振動遮断あるいは防振作用を行なわせることとしてい
る。そのためには、この周波数の振動に対して、主室6
内の流体が、オリフィス2を通じて十分に副室7側へ流
動できるようにしなければならない。このオリフィス2
内における流体の流動作用によって高減衰特性が得られ
るからである。
【0018】そのためには、インシュレータ5を介して
行なわれる主室6内へのエンジンシェークに起因する振
動の伝播に対して、当該主室6内の流体圧が十分に高め
られることが必要である。そこでこの場合、本実施例に
おいては、アッパストッパ12のスリット121の側面
部に設けられている電極122に電流を流し、このスリ
ット121内及びアッパストッパ12の周りに存在する
流体である電気粘性流体に電圧を印加することとする。
そうすると、この電気粘性流体は、印加電圧を受けて粘
性が増して流動抵抗が増加する。従って、上記スリット
121周辺の電気粘性流体は流動性が低下し、結果的
に、上記スリット121及びボビン15の上端面に設け
られたアルミニウムプレート151の周りを目詰り状態
にする。その結果、エンジンシェークに関する低周波の
振動が上記インシュレータ5を介して主室6内に伝播さ
れて来た場合、主室6の下方面を形成するボビン15側
へは電気粘性流体は流動して行かない。すなわち、主室
6の下方面は変形せず固定された状態となり、主室6内
の流体圧は上昇する。その結果、主室6内の流体(電気
粘性流体)はオリフィス2を経由して副室7側へと流動
して行くこととなる。これによって、高減衰特性(高減
衰係数)が得られることとなり、エンジンシェーク等の
低周波の振動は抑えられることとなる。すなわち、エン
ジンシェークの遮断が行なわれることとなる。
【0019】このように、比較的高周波数域の振動に対
しては、振動子1を振動させることによって主室6内の
流体を流体共振させ、これによって低動バネ特性を形成
させるとともに、低周波数域の振動に対しては、加振コ
イル11の上面に設けられたアッパストッパ12のスリ
ット121の電極122に電流を流し、このスリット1
21間に存在する電気粘性流体の流動抵抗を増大化させ
ることによってスリット121を塞ぎ、これによって主
室6内の流体圧を上昇させて高減衰特性が得られるよう
にしている。このようにして、低動バネ特性と高減衰特
性とが得られるようにし、これによって、こもり音の遮
断とエンジンシェークの遮断とを行なわせることとして
いる。
【0020】なお、本実施例においては、この外に、図
1に示す如く、オリフィス2の内壁部にも電極21が設
けられており、この電極21に、上記加振コイル11あ
るいはアッパストッパ12のスリット121に設けられ
た電極122とは別個独立に電流を流すことによって、
オリフィス2内を流動する流体(電気粘性流体)の粘性
抵抗(流動抵抗)を変化させることができるようになっ
ている。従って、このオリフィス2内の電極21に電圧
を加えることによって、当該オリフィス2内の流動抵抗
を制御し、これによって動バネ定数及び減衰係数によっ
て規定される動特性を変化させることができる。具体的
には、30Hz付近の振動であるアイドリング振動に対
する防振効果を上げるために、この30Hz付近におい
て動バネ定数及び減衰係数をともに低い値に制御するこ
とができる。このように、本実施例においては、オリフ
ィス2の電極21への印加電圧を制御することによっ
て、動バネ特性及び減衰特性からなる動特性を肌理細か
く制御し、これによって、アイドリング振動、エンジン
シェーク等の各種振動の遮断作用を行なわせることがで
きるようになる。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、振動体側に取付けられ
る連結金具と、車体側のメンバ等に取付けられるホルダ
と、これら連結金具とホルダとの間にあって、上記振動
体からの振動を遮断するインシュレータと、当該インシ
ュレータに対して直列に設けられ、かつ、非圧縮性流体
(電気粘性流体)の封入される主室及び副室と、これら
主室と副室との間にて流体を流動させるオリフィスと、
上記主室と副室との間を仕切る仕切板と、圧縮性流体で
ある空気の導入される空気室と、当該空気室と上記副室
との間を仕切るダイヤフラムと、上記主室に面する側の
仕切板上に設けられるものであって上記主室内の流体を
特定の周波数にて流体共振させるように加振する振動子
と、からなる流体封入式の防振装置に関して、上記主室
及び副室内に封入される流体を電気粘性流体にて形成さ
せ、また、上記振動子を構成する加振コイル及び当該加
振コイルを収納するボビンの上方部であって上記主室に
面する側に、複数のスリットを有するとともに当該スリ
ットの側面部に電極を有するアッパストッパを設け、当
該アッパストッパの上記電極に電流を流すことによっ
て、上記主室内の電気粘性流体が上記スリットのところ
で堰止められ、ボビン側には流動して行かないようにし
てなる構成を採ることとしたので、比較的高周波の振動
に起因するこもり音に対しては、振動子を特定周波数に
して振動させ、これによって主室内の流体を流体共振さ
せて低動バネ特性(低動バネ定数)を形成させるととも
に、低周波の振動であるエンジンシェークに対しては、
アッパストッパのスリット側面に設けられた電極に通電
することによって、当該スリット周りを目詰り状態に
し、これによって主室内の流体圧が高められるように
し、主室内の流体をオリフィス内にて流動させ、その結
果、高減衰特性(高減衰係数)を形成させることができ
るようになった。このような低動バネ特性の形成によ
り、こもり音の遮断を行なわせるとともに、高減衰特性
の形成により、エンジンシェークの遮断をも行なわせる
ことができるようになった。また、アイドリング振動に
対しては、オリフィス内壁部に設けられた電極に通電す
ることによって、オリフィス内の流動抵抗を制御し、こ
れによって動バネ定数と減衰係数とによって形成される
動特性を制御し、アイドリング振動に対する遮断効果を
向上させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成を示す流体封入式防振装置の
縦断面図である。
【図2】本発明の主要部をなす振動子のアッパストッパ
に設けられたスリット及び電極の構成を示す図である。
【図3】本発明の主要部をなす振動子のアッパストッパ
に設けられた電極の構造を示す部分断面図であり、図2
のAA断面図である。
【図4】本発明にかかる振動子の一構成要素であるボビ
ン及び当該ボビンの上端面上に設けられたアルミニウム
プレートの構造を示す半断面図である。
【図5】従来例の全体構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 振動子 11 加振コイル(ボイスコイル) 12 アッパストッパ 121 スリット 122 電極 13 センタポール 14 ボビンホルダ 15 ボビン 151 アルミニウムプレート 16 ヨーク 17 永久磁石 18 リード線 2 オリフィス 21 電極 3 仕切板 4 ダイヤフラム 5 インシュレータ 6 主室 7 副室 8 空気室 91 連結金具 95 ホルダ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動体側に取付けられる連結金具と、車
    体側のメンバ等に取付けられるホルダと、これら連結金
    具とホルダとの間にあって上記振動体からの振動を遮断
    するインシュレータと、当該インシュレータに対して直
    列に設けられ、かつ、非圧縮性流体の封入される主室及
    び副室と、これら主室と副室との間にて流体を流動させ
    るオリフィスと、上記主室と副室との間を仕切る仕切板
    と、圧縮性流体である空気の導入される空気室と、当該
    空気室と上記副室との間を仕切るダイヤフラムと、上記
    主室に面する側の仕切板上に設けられるものであって上
    記主室内の流体を特定の周波数にて流体共振させるよう
    に加振する振動子と、からなる流体封入式の防振装置に
    おいて、上記主室及び副室内に封入される流体を電気粘
    性流体にて形成させ、また、上記振動子を構成する加振
    コイル及び当該加振コイルを収納するボビンの上方部で
    あって上記主室に面する側に、複数のスリットを有する
    とともに当該スリットの側面部に電極を有するアッパス
    トッパを設け、当該アッパストッパの上記電極に電流を
    流すことによって、上記主室内の電気粘性流体が上記ス
    リットのところで堰止められ、ボビン側には流動して行
    かないようにした構成からなることを特徴とする流体封
    入式防振装置。
JP25921493A 1993-09-21 1993-09-21 流体封入式防振装置 Pending JPH0791484A (ja)

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