JPH0790600A - プレス成形性、耐パウダリング性および耐食性に優れた有機複合被覆鋼板 - Google Patents

プレス成形性、耐パウダリング性および耐食性に優れた有機複合被覆鋼板

Info

Publication number
JPH0790600A
JPH0790600A JP5250163A JP25016393A JPH0790600A JP H0790600 A JPH0790600 A JP H0790600A JP 5250163 A JP5250163 A JP 5250163A JP 25016393 A JP25016393 A JP 25016393A JP H0790600 A JPH0790600 A JP H0790600A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
layer
organic
chromate
corrosion resistance
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP5250163A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Kubota
隆広 窪田
Kazuya Urata
和也 浦田
Naoto Yoshimi
直人 吉見
Masaaki Yamashita
正明 山下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP5250163A priority Critical patent/JPH0790600A/ja
Publication of JPH0790600A publication Critical patent/JPH0790600A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09DCOATING COMPOSITIONS, e.g. PAINTS, VARNISHES OR LACQUERS; FILLING PASTES; CHEMICAL PAINT OR INK REMOVERS; INKS; CORRECTING FLUIDS; WOODSTAINS; PASTES OR SOLIDS FOR COLOURING OR PRINTING; USE OF MATERIALS THEREFOR
    • C09D5/00Coating compositions, e.g. paints, varnishes or lacquers, characterised by their physical nature or the effects produced; Filling pastes
    • C09D5/08Anti-corrosive paints
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • B32B7/04Interconnection of layers
    • B32B7/12Interconnection of layers using interposed adhesives or interposed materials with bonding properties

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 優れたプレス成形性を有し、且つ耐食性およ
び耐パウダリング性等にも優れた有機複合被覆鋼板を提
供すること 【構成】 所定のめっき付着量とめっき層中のNi含有
率とを有するZn−Ni合金めっき鋼板の表面に、所定
の付着量のクロメート層を有し、その上層に溶剤型エポ
キシ系樹脂:30〜80wt%、防錆添加剤:3〜50
wt%、およびメルトフローレートが3以上で、且つ乳
化重合法により製造された四フッ化エチレン樹脂:3〜
50wt%を含み、膜厚が0.1〜2μmの有機皮膜を
有する有機複合被覆鋼板であり、有機被膜中の防錆添加
剤としてはシリカまたは/およびクロム酸塩が好まし
い。また、耐チッピング性を改善するため素地鋼板とZ
n−Ni合金めっき層の界面にめっき付着量が0.05
〜1g/m2のNiめっき層を設けることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この本発明はZn−Ni合金めっ
き鋼板をベースとした有機複合被覆鋼板であって、自動
車車体や家電製品等に使用される塗油状態でのプレス成
形性に優れた有機複合被覆鋼板に関するものである。
【従来の技術】近年、北米や北欧などの寒冷地では、冬
期に散布する道路凍結防止用の塩類による自動車車体の
腐食が大きな社会問題となっている。この自動車車体の
防錆対策の一つとして、従来の冷延鋼板に代って耐食性
に優れた表面処理鋼板の使用比率が高まりつつあるのが
現状である。
【0002】代表的な表面処理鋼板の一つとして、合金
化溶融亜鉛めっき鋼板が自動車車体に広く用いられてい
るが、合金化溶融亜鉛めっき鋼板はプレス成形時にパウ
ダリングやフレーキングが生じ易く、星目疵の原因とな
ることがある。従来、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐パ
ウダリング性や耐フレーキング性を改善するために、特
開平3−284942号公報に示されるような、シリカ
やフッ素樹脂を含有した有機樹脂被覆合金化溶融亜鉛め
っき鋼板が提案されている。一方、家電製品では成型加
工の際に鋼板にプレス油を塗布して、成型後にフロン系
の溶剤で脱脂した後使用される場合が多い。しかし、フ
ロン系溶剤は地球のオゾン層破壊の原因となることや、
プレス油を使用した作業環境は作業者にとって劣悪であ
ることから、最近では無塗油でプレス成形可能な有機複
合被覆鋼板の開発が進められている。
【0003】無塗油でプレス成形可能な有機複合被覆鋼
板の例を下記に示す。 特開平1−301332号公報に示されるような、
亜鉛系めっき鋼板の表面に、クロメート層を有し、その
上層にカルボキシル変性エポキシ樹脂やポリビニルブチ
ラール樹脂、ポリオレフィンワックス、シリカを含有し
た有機皮膜を形成させた有機複合被覆鋼板 特開平2−43040号公報に示されるような、亜
鉛系めっき鋼板の表面に、クロメート層を有し、その上
層にカルボキシル変性エポキシ樹脂やポリビニルブチラ
ール樹脂、フッ素樹脂、シリカを含有した有機皮膜を形
成させた有機複合被覆鋼板 特開平4−239636号公報に示されるような、
亜鉛系めっき鋼板の表面に、クロメート層を有し、その
上層にポリエステル樹脂、フッ素樹脂、シリカを含有し
た有機皮膜を形成させた有機複合被覆鋼板 特開平3−96337号公報に示されるような、亜
鉛系めっき鋼板の表面に、クロメート層を有し、その上
層にアクリル化エポキシ樹脂、フッ素樹脂、シリカを含
有した有機皮膜を形成させた有機複合被覆鋼板 特開平4−330969号公報に示されるような、
亜鉛系めっき鋼板の表面に、クロメート層を有し、その
上層にウレタン系樹脂および常温架橋型エポキシ樹脂、
フッ素樹脂、シリカを含有した有機皮膜を形成させた有
機複合被覆鋼板
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特
開平3−284942号公報に示された技術は合金化溶
融亜鉛めっき鋼板のプレス成形性、耐パウダリング性を
ある程度改善できるが、合金化溶融亜鉛めっき鋼板は亜
鉛系合金電気めっき鋼板と比較してめっき付着量が多
く、溶接性に劣るという欠点がある。また、上記〜
の有機複合被覆鋼板にも以下のような問題がある。ま
ず、上記の鋼板は潤滑剤にポリオレフィンワックスを
使用しているため、無塗油の場合には優れた成形性を発
揮するものの、自動車車体のように防錆油や洗浄防錆油
が塗布された状態で成型した場合には潤滑性の劣化が著
しく、そのプレス成形性は必ずしも十分なものとは言い
難い。
【0005】また、上記の鋼板は、有機皮膜のベース
樹脂としてポリエステル樹脂を使用しているため、自動
車車体に適用されるカチオン電着塗膜との密着性が劣る
という問題がある。さらに、上記、およびの鋼板
は、有機皮膜のベース樹脂として水分散性若しくは水溶
性のエポキシ系樹脂を使用しているため、腐食環境下や
湿潤環境下で有機皮膜中に水分を呼び込みやすく、耐食
性や塗料密着性が十分ではない。また、フッ素樹脂とし
て通常の四フッ化エチレン樹脂ディスパージョンを使用
しているため、成形性についても必ずしも十分ではな
い。本発明はこのような従来技術の問題に鑑みなされた
もので、高度な潤滑性を備えることで極めて優れたプレ
ス成形性を有し、しかも、耐パウダリング性、耐食性、
塗装密着性、溶接性、耐チッピング性にも優れた有機複
合被覆鋼板を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
目的を達成するため、有機複合被覆鋼板の皮膜構成につ
いて検討を重ね、以下のような知見を得た。 有機皮膜の基体樹脂としては、溶剤型エポキシ系樹
脂が耐食性、塗料密着性に優れていること 有機皮膜に防錆添加剤としてシリカやクロム酸塩を
加えることによって高度な耐食性を確保できること、 無塗油でのプレス成形では、有機皮膜中に添加する
潤滑剤としてポリオレフィン系ワックスが優れた潤滑性
を有しているが、塗油を前提とした成型では、フッ素樹
脂の方が優れた潤滑性を付与できること フッ素樹脂としては、四フッ化エチレン樹脂が特に
優れた潤滑特性を有し、また、四フッ化エチレン樹脂は
分子量が低いほど潤滑性が優れ、さらに、乳化重合法に
より合成された四フッ化エチレン樹脂は塗料組成物中で
の分散安定性に優れていること
【0007】本発明はかかる知見に基づきなされたもの
で、以下のような構成からなることをその特徴とする。 〔1〕 下記(1)に示す構成のZn−Ni合金めっき
鋼板の表面に、第1層として付着量が金属クロム換算で
5〜200mg/m2のクロメート層を有し、その上層
に第2層として下記(2)に示す割合のエポキシ系樹
脂、防錆添加剤および四フッ化エチレン樹脂を含み、膜
厚が0.1〜2μmの有機皮膜を有してなるプレス成形
性、耐パウダリング性および耐食性に優れた有機複合被
覆鋼板。 (1)Zn−Ni合金めっき鋼板: めっき付着量:10〜50g/m2 めっき層中のNi含有率:10〜15wt% (2)有機皮膜: 溶剤型エポキシ系樹脂:30〜80wt% 防錆添加剤:3〜50wt% メルトフローレートが3以上で、且つ乳化重合法によ
り製造された四フッ化エチレン樹脂:3〜50wt%
【0008】〔2〕 下記(1)に示す構成のZn−N
i合金めっき鋼板の表面に、第1層として付着量が金属
クロム換算で5〜200mg/m2のクロメート層を有
し、その上層に第2層として下記(2)に示す割合のエ
ポキシ樹脂、防錆添加剤および四フッ化エチレン樹脂を
含み、膜厚が0.1〜2μmの有機皮膜を有し、さらに
その上層に第3層として付着量が0.01〜10g/m
2の防錆油層を有してなるプレス成形性、耐パウダリン
グ性および耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。 (1)Zn−Ni合金めっき鋼板: めっき付着量:10〜50g/m2 めっき層中のNi含有率:10〜15wt% (2)有機皮膜: 溶剤型エポキシ系樹脂:30〜80wt% 防錆添加剤:3〜50wt% メルトフローレートが3以上で、且つ乳化重合法によ
り製造された四フッ化エチレン樹脂:3〜50wt%
【0009】〔3〕 上記〔1〕または〔2〕の有機複
合被覆鋼板において、有機皮膜を構成する防錆添加剤
が、シリカおよびクロム酸塩からなる群より選ばれる少
なくとも1種からなるプレス成形性、耐パウダリング性
および耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。 〔4〕 上記〔3〕の有機複合被覆鋼板において、有機
皮膜を構成する防錆添加剤が、下記割合のシリカおよび
クロム酸塩からなるプレス成形性、耐パウダリング性お
よび耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。 シリカ/クロム酸塩=90/10〜10/90(重量
比) 〔5〕 上記〔1〕、〔2〕、〔3〕または〔4〕の有
機複合被覆鋼板において、Zn−Ni合金めっき鋼板
が、素地鋼板とZn−Ni合金めっき層の界面にめっき
付着量が0.05〜1g/m2のNiめっき層を有して
いるプレス成形性、耐パウダリング性および耐食性に優
れた有機複合被覆鋼板。
【0010】
【作用】本発明において使用されるめっき用の素地鋼板
としては、通常の軟鋼板(アルミキルド鋼、Nb−Ti
添加IF鋼、Ti添加IF鋼)、高張力鋼板、焼付硬化
型高張力鋼板等を使用できる。本発明において使用され
るZn−Ni合金めっき鋼板は、そのめっき付着量が1
0g/m2未満では耐食性が劣り、一方、50g/m2
超えると耐パウダリング性が劣るため、めっき付着量は
10〜50g/m2とする。さらに高度な耐食性、耐パ
ウダリング性を確保するためには、めっき付着量は15
〜45g/m2とすることが好ましい。
【0011】めっき成分としては、Ni含有量が10w
t%未満でも、15wt%超でも耐食性が劣り問題があ
る。また、Zn−Ni合金めっき層中には耐食性の向上
を目的として、Co、Fe、Cr等の合金元素、シリ
カ、アルミナ、クロム酸塩等の酸化物や塩類、ポリマー
等をさらに含有させることができる。さらに、素地鋼板
とZn−Ni合金めっき層との界面にNiめっき層を設
けることにより、優れた耐低温チッピング性を確保する
ことができる。このNiめっき層は、その付着量が0.
05g/m2未満では十分な耐低温チッピング性を得る
ことができず、一方、1g/m2を超えると耐パウダリ
ング性が劣化するため、めっき付着量は0.05〜1g
/m2とする。さらに高度な耐低温チッピング性および
耐パウダリング性を確保するためには、めっき付着量を
0.1〜0.5g/m2とすることが好ましい。なお、
合金化溶融亜鉛めっき鋼板は耐パウダリング性、溶接
性、無塗装での耐食性等が劣るため本発明の素材めっき
鋼板としては適用できない。
【0012】上記のZn−Ni合金めっき鋼板の表面に
形成されるクロメート層は、クロメート層中に含まれる
6価のクロム酸イオンによる不動態効果と、クロム酸イ
オンの還元生成物である3価クロムのクロム水和酸化物
皮膜が表面を被覆することによりアノード面積が減少す
る効果、および3価クロムのクロム水和酸化物皮膜が水
や酸素の拡散障壁となる効果によりZn−Ni合金めっ
き鋼板の腐食を抑制する。このクロメート層の付着量
は、金属クロム換算で5〜200mg/m2とする。付
着量が5mg/m2未満では十分な耐食性を期待するこ
とができず、一方、200mg/m2を超えると溶接性
が劣化する。また、さらに高度な耐食性、溶接性を得る
ためには、10〜150mg/m2の範囲とすることが
好ましい。このクロメート層を形成するためのクロメー
ト処理としては、反応型、電解型、塗布型のいずれの方
法も適用可能である。耐食性の観点からは、クロメート
層中に6価のクロム酸イオンを多く含有する塗布型が好
ましい。
【0013】塗布型クロメート処理は、部分的に還元さ
れたクロム酸水溶液を主成分とし、これに下記〜の
成分の中から必要に応じて1種以上を添加した処理液を
Zn−Ni合金めっき鋼板に塗布し、水洗することなく
乾燥させる。 水溶性または水分散性のアクリル樹脂、ポリエステル
樹脂等の有機樹脂 シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の酸化物
コロイド類および/または粉末 モリブデン酸、タングステン酸、バナジン酸等の酸お
よび/またはその塩類 りん酸、ポリりん酸等のりん酸類 ジルコニウムフッ化物、ケイフッ化物、チタンフッ化
物等のフッ化物 亜鉛イオン等の金属イオン りん化鉄、アンチモンドープ型酸化錫等の導電性微粉
【0014】塗布型クロメート処理は、通常、ロールコ
ーター法により処理液を塗布するが、浸漬法やスプレー
法により塗布した後に、エアナイフ法やロール絞り法に
より塗布量を調整することも可能である。クロメート層
の上層に第2層として形成される有機皮膜は、クロメー
ト層中の6価のクロム酸イオンの腐食環境中への過剰な
溶出を抑制して防食効果を持続させるとともに、有機皮
膜中に添加された潤滑剤によりプレス加工時のZn−N
i合金めっき鋼板の潤滑特性を向上させる。また、有機
皮膜中に添加されたシリカやクロム酸塩により耐食性を
さらに向上させる。
【0015】有機皮膜の基体樹脂であるエポキシ系樹脂
としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ノボ
ラック等をグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂、ビ
スフェノールAにプロピレンオキサイドまたはエチレン
オキサイドを付加しグリシジルエーテル化したエポキシ
樹脂を用いることができる。さらに、脂肪族エポキシ樹
脂、脂環族エポキシ樹脂、ポリエーテル系エポキシ樹脂
も用いることができ、これらのエポキシ樹脂を2種以上
併用することも可能である。また、これらのエポキシ樹
脂を変性したウレタン変性エポキシ樹脂、アミン変性エ
ポキシ樹脂、アミノシラン変性エポキシ樹脂、リン酸変
性エポキシ樹脂、エポキシエステル樹脂、アクリル変性
エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂を用いることができ
る。
【0016】ウレタン変性エポキシ樹脂は、前述したエ
ポキシ樹脂とポリイソシアネートとの反応により得られ
る。ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチ
レンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイ
ソシアネート等の脂肪族イソシアネート、キシリレンジ
イソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、
2,6−トリレンジイソシアネート等の芳香族イソシア
ネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジ
イソシアネートメチル等の脂環族イソシアネート、およ
びこれらの混合物、多核体等がある。また、これらとエ
チレングリコール、プロピレングリコール、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン等の多価アルコールおよび
ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコ
ール等の高分子ポリオールとの反応生成物で、1分子中
に少なくとも2個のイソシアネート基が残存する化合物
等がある。
【0017】アミン変性エポキシ樹脂は、前述したエポ
キシ樹脂と多官能アミンとの反応により得られる。多官
能アミンとしては、エタノールアミン、プロパノールア
ミン、イソプロパノールアミン、ブタノールアミン等の
1級アルカノールアミン、プロピルアミン、ブチルアミ
ン、オクチルアミン、デシルアミン等の1級アルキルア
ミン、エチレンジアミン、アミノエチルピペラジン、ノ
ルボルナンジアミノメチル等の1分子中に活性水素を2
個以上有するものがあり、これらアミンの1種または2
種以上を用いることができる。
【0018】アミノシラン変性エポキシ樹脂は、前述し
たエポキシ樹脂とアミノシランとの反応により得られ
る。アミノシランとしては、γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエ
トキシシラン等があり、これらの1種または2種以上を
用いることができる。リン酸変性エポキシ樹脂は、前述
したエポキシ樹脂とリン酸との反応により得られる。リ
ン酸は、1分子中に少なくとも1個のP−OH基を有す
るもので、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリ
ン酸、亜リン酸、ポリリン酸等がある。また、リン酸エ
ステルとしては、前述のリン酸のアルキルエステル、ヒ
ドロキシアルキルエステル等がある。
【0019】エポキシエステル樹脂は、前述したエポキ
シ樹脂とカルボン酸化合物との反応により得られる。カ
ルボン酸化合物としては、アジピン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、フタル酸、ダイマー酸等のジカルボン酸、
脂肪酸、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂等がある。
アクリル変性エポキシ樹脂は、前述したエポキシ樹脂と
アクリル酸、メタクリル酸との反応により、またはエポ
キシ樹脂とアクリル酸、メタクリル酸若しくはこれらの
エステル類、およびこれらと共重合可能なビニル基を含
有する単量体とをグラフト重合させることで得られる。
【0020】これらのエポキシ樹脂と変性エポキシ樹脂
は単独で用いることもでき、また2種以上を混合して使
用することもできる。また、硬化剤を使用することもで
き、この硬化剤としては、フェノール樹脂、アミノ樹
脂、ポリアミド、アミン、ブロックイソシアネート、酸
無水物等の公知の硬化剤を使用することができる。エポ
キシ系樹脂と硬化剤との配合比は、硬化剤の重量比が5
0%以下であることが好ましい。硬化剤が50%を超え
ると塗膜が硬くなり、加工性が劣る。
【0021】エポキシ系樹脂は酸またはアルカリで中和
し、水分散性若しくは水溶性樹脂として使用することも
できるが、水分散性若しくは水溶性樹脂は腐食環境下や
湿潤環境下で有機皮膜中や有機皮膜/めっき層界面に水
分を吸収しやすく、耐食性や塗料密着性が劣るため本発
明には適用できない。このため本発明は溶剤型エポキシ
樹脂を用いることを要件とする。有機皮膜中のエポキシ
系樹脂の添加割合としては、これが30wt%未満では
有機皮膜が脆くなり、プレス成形性や塗料密着性が劣化
する。一方、80wt%を超えると添加した潤滑剤や防
錆添加剤の効果が十分に発揮されず、耐食性やプレス成
形性が劣化する。このためエポキシ系樹脂の添加割合は
30〜80wt%とする。また、さらに高度なプレス成
形性、塗料密着性、耐食性を実現するためには、40〜
70wt%の範囲とすることが好ましい。
【0022】有機皮膜中には潤滑剤としてメルトフロー
レートが3以上で、且つ乳化重合法により製造された四
フッ化エチレン樹脂が添加され、この潤滑剤によりプレ
スの金型とZn−Ni合金めっき鋼板とが凝着すること
が抑制され、プレス成形性が向上する。無塗油を前提と
した成型加工の場合には、潤滑剤としてポリオレフィン
系ワックスは優れた潤滑特性を有するが、自動車車体の
ように通常防錆油や洗浄防錆油が塗布された状態でプレ
ス成形される場合には、ポリオレフィン系ワックスは塗
油による潤滑特性の劣化が著しく、必ずしも十分な潤滑
性を発揮できない。塗油を前提としたプレス成型の場合
には、むしろフッ素樹脂、グラファイト、窒化ホウ素の
ほうが優れており、その中でも特に、上述した特定の四
フッ化エチレン樹脂が最も優れた潤滑特性を示す。
【0023】四フッ化エチレン樹脂は、分子量が小さい
ほうが潤滑特性に優れている。四フッ化エチレン樹脂の
分子量を測定するのは困難であるため、通常、分子量の
目安としてJIS K7210に規定されているメルト
フローレートが用いられる。分子量が小さい場合にはメ
ルトフローレートが大きく、分子量が大きい場合にはメ
ルトフローレートが小さくなる。測定温度372℃、荷
重5000gで測定したメルトフローレートが3以上の
四フッ化エチレン樹脂が、特に潤滑特性に優れているた
め、本発明ではメルトフローレートが3以上の四フッ化
エチレン樹脂を用いる。
【0024】四フッ化エチレン樹脂の平均粒子径として
は、0.1〜3μmの範囲が好ましい。平均粒子径が
0.1μm未満の場合には、四フッ化エチレン樹脂が溶
剤型エポキシ系樹脂に完全に隠蔽され、十分な潤滑性を
発揮できない。一方、平均粒子径が3μm超では有機皮
膜の表面に四フッ化エチレン樹脂が過剰に露出し、プレ
ス成形時に欠落し易くなるため、やはり潤滑性が劣化す
る。また、この範囲の平均粒子径を有する四フッ化エチ
レン樹脂の中でも、乳化重合法で製造された四フッ化エ
チレン樹脂は特に1次粒子径が小さく、有機皮膜を得る
ための塗料組成物中での分散安定性に優れている。四フ
ッ化エチレン樹脂は懸濁重合法によっても製造される
が、この方法により得られた四フッ化エチレン樹脂は、
1次粒子が大きく分散安定性が劣るため本発明には使用
できない。したがって、本発明で使用する四フッ化エチ
レン樹脂は乳化重合法で製造されたものに限定される。
【0025】有機皮膜中への上記四フッ化エチレン樹脂
の添加量は3〜50wt%とする。添加量が3wt%未
満では十分なプレス成形性を期待することができず、一
方、50wt%を超えるとカチオン電着塗料との密着性
が劣化する。また、さらに高度なプレス成形性、塗料密
着性を実現するためには、5〜40wt%の範囲とする
ことが好ましい。さらに、有機皮膜中には耐食性の向上
を目的として、防錆添加剤が3〜50wt%の範囲で添
加されている。この防錆添加剤の添加量が3wt%未満
では耐食性の向上効果が不十分であり、一方、50wt
%を超えるとプレス成型時に皮膜の剥離が起こり成形性
を劣化させる。また、さらに高度な耐食性、成形性を実
現するためには、5〜40wt%の範囲とすることが好
ましい。
【0026】防錆添加剤としては、シリカ、クロム酸
塩、トリポリりん酸二水素アルミニウム、りんモリブデ
ン酸アルミニウム、りん酸亜鉛等の微粉末やコロイドを
使用することができる。耐食性の観点からは、シリカ、
クロム酸塩が好ましい。シリカは腐食環境中に微量に溶
解し、ケイ酸イオンが皮膜形成型腐食抑制剤として機能
することにより、防食効果が発揮されるものと推定され
る。また、クロム酸塩は腐食環境中で微量に溶解するこ
とにより、6価のクロム酸イオンを放出し、クロメート
層と同様の機構でZn−Ni合金めっき鋼板の腐食を抑
制するものと考えられる。
【0027】また、シリカとクロム酸塩を複合添加する
ことによりさらに高度な耐食性を得ることが可能とな
る。すなわち、有機皮膜中にシリカおよびクロム酸塩を
シリカ/クロム酸塩の重量比で90/10〜10/90
の範囲内で添加することにより、双方の防食効果の相乗
効果によって最も優れた耐食性が得られる。シリカ/ク
ロム酸塩の重量比が90/10を超えても、また、10
/90未満でも相乗効果が不十分となり、耐食性がやや
劣る。
【0028】本発明で使用するシリカとしては、乾式シ
リカ(例えば、日本アエロジル(株)製のAEROSIL
130、AEROSIL 200、AEROSIL
300、AEROSIL 380、AEROSIL R
972、AEROSIL R811、AEROSIL
R805等)、オルガノシリカゾル(例えば、日産化学
工業(株)製のMA−ST、IPA−ST、NBA−S
T、IBA−ST、EG−ST、XBA−ST、ETC
−ST、DMAC−ST等)、沈降法湿式シリカ(例え
ば、徳山曹達(株)製のT−32(S)、K−41、F−
80等)、ゲル法湿式シリカ(例えば、富士デヴィソン
化学(株)製のサイロイド244、サイロイド150、サ
イロイド72、サイロイド65、SHIELDEX等)
等を適用することができる。また、上記のシリカを2種
以上混合して使用することも可能である。
【0029】シリカ表面のシラノール基をメチル基等で
置換することにより表面を疎水化した疎水性シリカをエ
ポキシ系樹脂に添加した場合には、有機皮膜と水系の塗
料であるカチオン電着塗料とのなじみが悪くなり、平滑
な電着塗装面が得られないことから、中・上塗り塗装後
の鮮映性が劣る。したがって、優れた鮮映性を得るため
には、表面を疎水化していないシリカの方が好ましい。
また、本発明においてはシリカの防食効果をさらに向上
させる方法として、シリカを腐食抑制作用を有するカチ
オン(例えば、カルシウム、亜鉛、コバルト、鉛、スト
ロンチウム、リチウム、バリウム、マンガン)によりイ
オン交換したシリカを用いることができる。これらのカ
チオンは、腐食環境中においてプロトンとイオン交換
し、シリカから放出されることにより、金属表面で安定
な腐食生成物を形成し、腐食を抑制するものと考えられ
る。
【0030】シリカの比表面積としては、20〜100
0m2/g(BET法)の範囲が好ましい。比表面積が
20m2/g未満では耐食性の向上効果が乏しく、ま
た、電着塗装面の平滑性が低下し鮮映性が劣化する。一
方、比表面積が1000m2/gを超えると、シリカを
添加した塗料組成物のチキソトロピー性が強くなり、ロ
ールコーター等で塗布する際の作業性が低下する。
【0031】本発明で使用するクロム酸塩としては、ク
ロム酸バリウム(BaCrO4)、クロム酸ストロンチ
ウム(SrCrO4)、クロム酸カルシウム(CaCr
4)、クロム酸亜鉛(ZnCrO4・4Zn(O
H)2)、クロム酸亜鉛カリウム(K2O・4ZnO・4
CrO3・3H2O)、クロム酸鉛(PbCrO4)等を
使用することができる。また、上記のクロム酸塩を2種
以上混合して使用することも可能である。但し、耐食性
の観点からは、長期にわたって6価のクロム酸イオンに
よる自己修復効果の期待できるクロム酸バリウム、クロ
ム酸ストロンチウムが好ましい。また、自動車の塗装前
処理工程において、有機皮膜中に添加したクロム酸塩か
らの水可溶性クロムの溶出をできるだけ少なくするとい
う観点からは、水に対する溶解度の小さいクロム酸バリ
ウムが好ましい。クロム酸塩の平均粒子径としては、
0.1〜1μmの範囲が好ましく、0.1μm未満では
クロム酸塩の水に対する溶解性が過剰となるため、6価
のクロム酸イオンによる自己修復効果の持続性が無くな
り、一方、1μmを超えると電着塗装面の平滑性が低下
し鮮映性が劣化する。
【0032】なお、本発明では上述した潤滑剤およびシ
リカやクロム酸塩等の防錆添加剤がエポキシ系樹脂中へ
の主な添加剤成分となるが、その他にも導電性物質(例
えば、リン化鉄、グラファイト、アンチモンドープ型酸
化錫、アンチモンドープ型酸化インジウム、アンチモン
ドープ型酸化錫被覆酸化チタン、カーボンブラック、チ
タンブラック、金属粉末等)、シランカップリング剤、
着色顔料(例えば、縮合多環系有機顔料、フタロシアニ
ン系有機顔料等)、着色染料(例えば、アゾ系染料、ア
ゾ系金属錯塩染料等)、界面活性剤、親水性ポリアミド
樹脂(例えば、ナイロン6、ナイロン66、それらと他
のナイロンとの共重合物であるポリエーテルポリオール
ー変性ナイロン、ポリエステルオールー変性ナイロン、
ポリブタジエンポリオールー変性ナイロン、ポリプロピ
レングリコール変性ナイロン)等の1種以上を配合する
ことも可能である。
【0033】以上述べた有機皮膜は、その膜厚を0.1
〜2μmとする。膜厚が0.1μm未満では十分な耐食
性、潤滑性を期待することができず、一方、2μmを超
えると溶接性や鮮映性が劣化する。また、さらに高度な
耐食性、潤滑性を満足させるためには、0.2〜1.5
μmの範囲とすることが好ましい。有機皮膜を得るため
のZn−Ni合金めっき鋼板への塗料組成物塗布方法
は、通常、ロールコーター法によるが、浸漬法やスプレ
ー法により塗布した後に、エアナイフ法やロール絞り法
により塗布量を調整することも可能である。また、塗料
組成物を塗布した後の加熱処理は、熱風炉、高周波誘導
加熱炉、赤外線炉等で行うことができる。加熱処理は、
到達板温で50〜300℃、好ましくは60〜250℃
の範囲で行われる。さらに、本発明をBH性を有するZ
n−Ni合金めっき鋼板に適用する場合には、170℃
以下の加熱処理が好ましい。本発明の有機複合被覆鋼板
は、通常、Zn−Ni合金めっき鋼板の両面にクロメー
ト層+有機皮膜を有するが、場合によってクロメート層
+有機皮膜を片面にのみ適用し、他の片面については、
例えば、Zn−Ni合金めっき鋼板面まま、或いはクロ
メート皮膜のみとすることもできる。
【0034】有機皮膜上には第3層として防錆油層を設
けることができ、この防錆油としては、錆止め添加剤
(例えば、油溶性界面活性剤)、石油系基剤(例えば、
鉱油、溶剤)、油膜調整剤(例えば、鉱油、結晶性物
質、粘調物質)、酸化防止剤(例えば、フェノール系酸
化防止剤)、潤滑剤(例えば、極圧添加剤)を主な構成
成分とした、通常の防錆油、洗浄防錆油、潤滑防錆油が
挙げられる。通常の防錆油としては、基剤を石油系溶剤
に溶解・分解させた指紋除去形防錆油、溶剤希釈形防錆
油、ペトロラタム、ワックスを基剤としたペトロラタム
形防錆油、潤滑油を基剤とした潤滑油形防錆油、気化性
防錆油を使用することができる。
【0035】防錆油の付着量は0.01〜10g/m2
とする。付着量が0.01g/m2未満では、鋼板と金
型との凝着が起こりやすく、プレス成形性が劣化する。
一方、10g/m2を超えると塗装の前処理工程におけ
る脱脂時に、防錆油を完全に除去することが困難となり
問題がある。さらに高度なプレス成形性、脱脂性を実現
するためには0.05〜5g/m2の範囲とすることが
好ましい。
【0036】
【実施例】めっき用素材鋼板としては板厚0.8mmの
Nb−Ti添加IF鋼を使用し、化学成分および熱延条
件を変化させ材質を調整した。この素材鋼板を脱脂・酸
洗後に、NiSO4・6H2O:300g/l、Ni2
4:60g/l、pH:1.7の条件でNiめっきを
行った。さらに、ZnSO4・7H2OおよびNiSO 4
・6H2Oのトータル塩濃度:500g/l、Ni2SO
4:60g/l、pH:1.3の条件でZn−Ni合金
めっきを行い、ZnSO4・7H2OとNiSO4・6H2
Oの塩比を変化させ、めっき層中のNi含有率を変化さ
せた。NiめっきおよびZn−Ni合金めっきの付着量
は、通電量を制御し調整した。これらのZn−Ni合金
めっき鋼板は、Niめっき層の付着量やZn−Ni合金
めっき層のNi含有率、付着量は異なるものの、JIS
SPCD相当のプレス成形性を有するように調整し
た。
【0037】これらZn−Ni合金めっき鋼板の両面に
クロメート処理を施し、次いで塗料組成物をロールコー
ターにより両面に塗布し、焼き付けた後、防錆油を塗布
した。得られた有機複合被覆鋼板について、プレス成形
性、耐パウダリング性、耐チッピング性、耐食性、塗料
密着性、溶接性の各試験を行った。本実施例における製
造条件および試験方法を以下に示す。
【0038】(1)Zn−Ni合金めっき鋼板 表1に、本実施例で用いたZn−Ni合金めっき鋼板の
Niめっき層の付着量、Zn−Ni合金めっき層のNi
含有率、付着量を示す。 (2)クロメート処理 塗布型クロメート処理 下記に示す液組成のクロメート処理液をロールコーター
により塗布し、水洗することなく乾燥させた。クロメー
ト層の付着量はロールコーターのピックアップロールと
アプリケーターロールの周速比を変化させ調整した。 無水クロム酸:20g/l りん酸イオン:4g/l ジルコニウムフッ化物イオン:1g/l 亜鉛イオン:1g/l 6価クロム酸イオン/3価クロム酸イオン:3/3(重
量比) 無水クロム酸/ジルコニウムフッ化物イオン:20/1
(重量比) 電解クロメート処理 無水クロム酸30g/l、硫酸0.2g/l、浴温40
℃の処理液を用いて、電流密度10A/dm2でZn−
Ni合金めっき鋼板に陰極電解処理を行い、水洗・乾燥
した。クロメート層の付着量は、陰極電解処理の通電量
を制御することにより調整した。
【0039】(3)有機樹脂 表2に本実施例で有機皮膜中に用いた樹脂を示す。な
お、同表の樹脂No.1〜No.5は、下記に示す方法
で作成した。 A: エピコート1009(ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂;油化シェルエポキシ(株)製)をメチルエチル
ケトンに溶解し、樹脂分20%の樹脂溶液を得た。 B: ウレタン変性エポキシ樹脂としてエポキー803
(三井東圧化学(株)製)を用いた。 C: エポキシ当量が1500であるビスフェノールA
型エポキシ樹脂500部、キシレン390部、シクロヘ
キサノン390部を混合した溶解物中にイソプロパノー
ルアミン20部を加え、100℃で5時間反応させ、樹
脂分40%のアミン変性エポキシ樹脂を得た。 D: 分子量1000のポリエチレングリコール440
部、キシレン125部を混合した溶解物を60℃に加熱
し、2,6−トリレンジイソシアネート153部を添加
した。この中間体のNCO%は4.8%であった。さら
に、ε−カプロラクタム106部を加え反応を継続し、
NCO%が0であることを確認した後にブタノール17
5部を加え、樹脂分が70%の硬化剤であるブロックイ
ソシアネートを得た。 E: ブチル化メラミン樹脂であるユーバン20SE−
60(三井東圧化学(株)製)を硬化剤であるアミノ樹
脂として用いた。
【0040】(4)潤滑剤 表3に本実施例で有機皮膜中に用いた潤滑剤を示す。 (5)防錆添加剤 表4に本実施例で有機皮膜中に用いた防錆添加剤を示
す。 (6)塗料組成物 上記の有機樹脂に、潤滑剤および防錆添加剤をサンドミ
ルを用いて分散させ塗料組成物を作成した。塗料組成物
の構成および分散安定性を表5〜表8に示す。塗料組成
物の安定性については40℃・1ヶ月間静置し、潤滑剤
の沈降状態で評価した。その評価方法は以下の通りであ
る。なお、塗料組成物の不揮発分は全て20wt%とし
た。 ◎:沈降物が認められず、元の状態のまま。 ○:沈降物は認められるが、弱い撹拌を加えると元の状
態に戻る。 △:沈降物は認められるが、強い撹拌を加えると元の状
態に戻る。 ×:沈降物が認められ、強い撹拌を加えても元の状態に
戻らない。 (7)防錆油 表9に本実施例で用いた防錆油を示す。
【0041】以上のようにして作成した有機複合被覆鋼
板の構成及びそれらのプレス成形性、耐パウダリング
性、耐チッピング性、耐食性、塗料密着性、溶接性の評
価結果を表10〜表16に示す。なお、各特性の評価方
法は以下の通りである。
【0042】(a)プレス成形性 供試材を直径110mmの円形に加工し、パンチ直径:
50mm、パンチ肩半径:5mm、ダイ直径:53m
m、ダイ肩半径:5mm、BHF:4.5tonで円筒
深絞り成型を行い、割れが発生した時点の絞り深さを測
定し、材質レベルの異なる冷延鋼板(板厚:0.8m
m)の絞り深さを比較した。 ◎:超深絞り用冷延鋼板(r値:2.1)と同等 ○:JIS SPCEの冷延鋼板(r値:1.9)と同
等 △:JIS SPCDの冷延鋼板(r値:1.7)と同
等 ×:JIS SPCDの冷延鋼板(r値:1.7)より
劣る
【0043】(b)耐パウダリング性 供試材を30mm幅に剪断し、先端半径:0.5mm、
成型高さ:4mm、押しつけ力:500kgf、引き抜
き速度:200mm/minでドロービードテストを行
った後、ビードで摺動を受けた部分を粘着テープで剥離
し、テスト前後の重量差から単位面積当りの剥離量を測
定した。 ◎:3g/m2未満 ○:3g/m2以上、4g/m2未満 △:4g/m2以上、6g/m2未満 ×:6g/m2以上
【0044】(c)耐チッピング性 供試材を日本パーカライジング(株)製PBL−302
0でリン酸亜鉛処理を行い、次いで、日本ペイント
(株)製U−233Eで電着塗装(22μ)を行い、次
いで、関西ペイント(株)製KPX−36で中塗り塗装
(33μ)を行い、さらに関西ペイント(株)製ルーガ
ベークB−531で上塗り塗装(35μ)を行った。サ
ンプルを−20℃に保持し、ショットスピード170k
m/hでダイアモンドショット試験を行い、テープ剥離
を行い、30点の合計剥離面積で評価した。 ◎:5mm2未満 ○:5mm2以上、7mm2未満 △:7mm2以上、10mm2未満 ×:10mm2以上
【0045】(d)耐食性 供試材を日本パーカライジング(株)製FCL−446
0(標準条件)で脱脂処理を行い、端部および裏面をテ
ープシールした後、〔塩水噴霧試験・4時間→乾燥(6
0℃)・2時間→湿潤試験(50℃、相対湿度95%)
・2時間〕の複合サイクル腐食試験を300サイクル行
い、最大孔あき深さを測定した。 ◎:0.2mm未満 ○:0.2mm以上、0.4mm未満 △:0.4mm以上、0.6mm未満 ×:0.6mm以上
【0046】(e)塗料密着性 供試材に上記(c)と同様の3コート塗装を行い、これ
らの試験片を40℃のイオン交換水中に240時間浸漬
した。次いで、試験片を取り出し、24時間・室温で放
置した後、塗膜に2mm間隔の碁盤目を100個刻み、
セロテープを粘着・剥離して塗膜の残存率で評価した。 ◎:剥離なし ○:3%未満 △:3%以上、10%未満 ×:10%以上
【0047】(f)溶接性 電極として、先端径6mmのDR形アルミナ分散銅を用
い、加圧力:200kgf、通電時間:12サイクル/
60Hz、溶接電流10kAで連続打点性の試験を行
い、連続打点数で評価した。 ◎:2000点以上 ○:1500点以上、2000点未満 △:1000点以上、1500点未満 ×:1000点未満
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【表5】
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】
【表9】
【0057】
【表10】
【0058】
【表11】
【0059】
【表12】
【0060】
【表13】
【0061】
【表14】
【0062】
【表15】
【0063】
【表16】
【0064】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の有機複合被
覆鋼板は、Zn−Ni合金めっき鋼板面上にクロメート
層、さらにその上層に特定の有機樹脂と潤滑剤および防
錆添加剤を含む有機皮膜を有するため、極めて優れたプ
レス成形性および耐食性を有し、また、耐パウダリング
性、耐チッピング性、塗料密着性および溶接性にも優れ
ている。したがって、材質をグレードダウンさせ或いは
めっき付着量を低減させても従来鋼板と同等のプレス成
形性および耐食性を確保することが可能であるため、自
動車および家電用の表面処理鋼板として極めて有用であ
る。
フロントページの続き (72)発明者 山下 正明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)に示す構成のZn−Ni合金
    めっき鋼板の表面に、第1層として付着量が金属クロム
    換算で5〜200mg/m2のクロメート層を有し、そ
    の上層に第2層として下記(2)に示す割合のエポキシ
    系樹脂、防錆添加剤および四フッ化エチレン樹脂を含
    み、膜厚が0.1〜2μmの有機皮膜を有してなるプレ
    ス成形性、耐パウダリング性および耐食性に優れた有機
    複合被覆鋼板。 (1)Zn−Ni合金めっき鋼板: めっき付着量:10〜50g/m2 めっき層中のNi含有率:10〜15wt% (2)有機皮膜: 溶剤型エポキシ系樹脂:30〜80wt% 防錆添加剤:3〜50wt% メルトフローレートが3以上で、且つ乳化重合法によ
    り製造された四フッ化エチレン樹脂:3〜50wt%
  2. 【請求項2】 下記(1)に示す構成のZn−Ni合金
    めっき鋼板の表面に、第1層として付着量が金属クロム
    換算で5〜200mg/m2のクロメート層を有し、そ
    の上層に第2層として下記(2)に示す割合のエポキシ
    樹脂、防錆添加剤および四フッ化エチレン樹脂を含み、
    膜厚が0.1〜2μmの有機皮膜を有し、さらにその上
    層に第3層として付着量が0.01〜10g/m2の防
    錆油層を有してなるプレス成形性、耐パウダリング性お
    よび耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。 (1)Zn−Ni合金めっき鋼板: めっき付着量:10〜50g/m2 めっき層中のNi含有率:10〜15wt% (2)有機皮膜: 溶剤型エポキシ系樹脂:30〜80wt% 防錆添加剤:3〜50wt% メルトフローレートが3以上で、且つ乳化重合法によ
    り製造された四フッ化エチレン樹脂:3〜50wt%
  3. 【請求項3】 有機皮膜を構成する防錆添加剤が、シリ
    カおよびクロム酸塩からなる群より選ばれる少なくとも
    1種からなる請求項1または2に記載のプレス成形性、
    耐パウダリング性および耐食性に優れた有機複合被覆鋼
    板。
  4. 【請求項4】 有機皮膜を構成する防錆添加剤が、下記
    割合のシリカおよびクロム酸塩からなる請求項3に記載
    のプレス成形性、耐パウダリング性および耐食性に優れ
    た有機複合被覆鋼板。 シリカ/クロム酸塩=90/10〜10/90(重量
    比)
  5. 【請求項5】 Zn−Ni合金めっき鋼板が、素地鋼板
    とZn−Ni合金めっき層の界面にめっき付着量が0.
    05〜1g/m2のNiめっき層を有している請求項
    1、2、3または4に記載のプレス成形性、耐パウダリ
    ング性および耐食性に優れた有機複合被覆鋼板。
JP5250163A 1993-09-11 1993-09-11 プレス成形性、耐パウダリング性および耐食性に優れた有機複合被覆鋼板 Pending JPH0790600A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5250163A JPH0790600A (ja) 1993-09-11 1993-09-11 プレス成形性、耐パウダリング性および耐食性に優れた有機複合被覆鋼板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5250163A JPH0790600A (ja) 1993-09-11 1993-09-11 プレス成形性、耐パウダリング性および耐食性に優れた有機複合被覆鋼板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0790600A true JPH0790600A (ja) 1995-04-04

Family

ID=17203765

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5250163A Pending JPH0790600A (ja) 1993-09-11 1993-09-11 プレス成形性、耐パウダリング性および耐食性に優れた有機複合被覆鋼板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0790600A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100347449B1 (ko) 내식성이 우수한 표면처리 강판 및 그 제조방법
KR100551583B1 (ko) 유기피복 강판 및 그의 제조방법
KR20060037339A (ko) 내식성, 도전성 및 피막 외관이 우수한 표면처리 강판
JP3903739B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3911965B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3968955B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP4844128B2 (ja) 高耐食性表面処理鋼板およびその製造方法
JP3143046B2 (ja) プレス成形性および耐孔あき腐食性に優れた有機複合被覆鋼板
JP2008000910A (ja) 高耐食性表面処理鋼板及びその製造方法
JP5345874B2 (ja) 高耐食性表面処理鋼板
JP3903740B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP2001105528A (ja) リン酸亜鉛複合処理鋼板
JP3381647B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP2787124B2 (ja) プレス成形性、耐傷つき性、耐糸錆性および鮮映性に優れた複合被覆アルミニウム板またはアルミニウム合金板
JP2005288730A (ja) 溶接可能な自動車用有機被覆鋼板
JP4123702B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3412537B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP3911966B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JP5461115B2 (ja) 高耐食性表面処理鋼板
JP3412538B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板
JPH05311454A (ja) プレス成形性、耐傷つき性、耐糸錆性および鮮映性に優れた複合被覆アルミニウム板またはアルミニウム合金板
JP3531550B2 (ja) プレス成形性、プレス成形後の外観性及び耐食性に優れた表面処理鋼板
JP3578018B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法
JP2797036B2 (ja) 耐外面錆性および鮮映性に優れた有機複合被覆鋼板およびその製造方法
JPH0790600A (ja) プレス成形性、耐パウダリング性および耐食性に優れた有機複合被覆鋼板