JPH0790483A - 耐疲労特性に優れた良バーリング性高張力鋼板 - Google Patents

耐疲労特性に優れた良バーリング性高張力鋼板

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JPH0790483A
JPH0790483A JP24160793A JP24160793A JPH0790483A JP H0790483 A JPH0790483 A JP H0790483A JP 24160793 A JP24160793 A JP 24160793A JP 24160793 A JP24160793 A JP 24160793A JP H0790483 A JPH0790483 A JP H0790483A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は自動車の足回り部品でよく要求され
る耐疲労特性と高バーリング性の両方を兼ね備えた高張
力鋼板を提供するものである。 【構成】 Ti,Nbの一方あるいは双方を固溶状態で
含むIFハイテンの表層部だけ窒化物の大きさ及び量を
制御することにより優れた耐疲労特性と高バーリング性
の両方を有する鋼板を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐疲労特性、耐バーリン
グ性に優れた高張力鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の足回り部品の中には強度、特に
疲労強度が高く、かつ優れたバーリング性(穴広げ性)
を要請される材料がある。高バーリング性を達成する方
法として組織の均質化が有効であることが明らかにな
り、ベーナイト組織を主体とした高バーリング鋼板が最
近開発された。また、組織はフェライトで、その中に微
細な析出物を生成させ析出強化を図った高バーリング高
張力鋼板も開発されている。しかし、これらの鋼の疲労
特性は引張強度に対して1/2程度であり優れた耐疲労
特性を有するとはいえない。
【0003】一方、表面近傍層だけをハイテン化するこ
とにより耐疲労特性を向上させることができることが、
クラッド鋼板や浸炭処理あるいは窒化処理した鋼でよく
知られており、例えば特開平3−243757号公報に
浸炭,窒化処理により、表面近傍の強度の高い冷延鋼板
及びその製造方法が開示されている。しかし、バーリン
グ性については全く考慮されておらず、優れた強度とバ
ーリング性のバランスを考えた窒化鋼板ならびにその製
造方法について全く開示されていないだけでなく、示唆
する結果も提示されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、表層部を特
定の強化組織にすることにより優れた耐疲労特性とバー
リング性を共有する高張力鋼板を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは優れた耐疲
労特性とバーリング性を同時に満足する鋼板について検
討を重ね、母材を窒化物形成元素を含むIF鋼(固溶
C,NをTi,Nb等で固定した鋼)とし、表層近傍部
に特定の大きさの窒化物を分散析出させることにより両
特性を同時に満足する鋼板を得られることを見いだし
た。
【0006】すなわち、本発明の要旨とするところは、
重量比でC :0.01%以下、 N:0.01%
以下、Mn:3%以下、 Si:2%以下、
P :0.2%以下、 Al:0.005%以
上、0.5%以下、Mn,Si,P量がMn(wt%)+
1.5Si(wt%)+10P(wt%)>1を満足し、またT
i及びNbのいずれか一方または双方が55×{Ti/
48+Nb/93−(C/12+N/14+S/32)}
>0.01の条件式を満足するように含有し、必要に応
じBを0.0002%以上、0.005%以下含み、残
部Fe及び不可避的不純物からなり、表層から0.15
mmまでの領域のNが重量比で0.05%以下であり、平
均粒径が100オングストローム以下のTiNあるいは
NbNの総和の原子分率が10-4以上であることを特徴
とする耐疲労特性に優れた良バーリング性高張力鋼板。
【0007】以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の成分の限定理由は次の通りである。Ti及びN
bのいずれか一方または双方を55×{Ti/48+N
b/93−(C/12+N/14+S/32)}>0.0
1なる条件を満足するように限定したのは、鋼中のC及
びNを析出物の形で固定し、均質な組織と形成し、バー
リング性を高めると共に、強力な窒化物形成元素である
Ti,Nbを適量固溶状態で残し、窒化等の析出処理を
した際、表層部に窒化物を微細に析出させ耐疲労特性を
向上させるためである。
【0008】表層から0.15mmまでの平均N量を0.
05%以下としたのは、N量が0.05%以上になると
表層が脆くなり耐疲労特性が劣化するためである。ま
た、この層に存在するTiNあるいはNbNの平均粒径
の上限を100オングストロームとしたのは、析出物の
大きさがこれ以上になると疲労強度比、バーリング性の
両方が劣化し良好な疲労強度比−バーリング性バランス
が得られないためである。尚疲労強度比−バーリング性
のバランスは、疲労強度比とバーリング性の積で表わ
し、その積が1.4以上ならばバーリング性バランスが
良好であるとした。また、特に疲労強度比が劣化し、良
好な疲労強度比−バーリング性バランスが得られないの
で析出物の量の下限を原子分率で10-4以上とした。こ
のような表層部の析出物の制御を達成する手段はいろい
ろ考えられるが、経済的な方法として窒化処理は有効な
手段の1つである。ここで称するTiN,NbNは一般
にはNの分率が極めて高いTiあるいはNbの炭窒化物
である。一方、母材の平均N量を0.01%以下とした
のは、これ以上の添加は加工性の劣化をもたらすからで
ある。
【0009】C:0.01%以下としたのはこれらの量
を超えて、Cを添加すると製品の加工性を損なうのみな
らず55×{Ti/48+Nb/93−(C/12+N
/14+S/32)}>0.01の条件式を満足せしめ
るに必要なTiあるいはNbの量が多くなり、不必要に
製造コストが高くなるためである。尚他の成分として、
強度向上のために通常含まれる成分すなわち、Si,M
n,Pの上限をそれぞれSi:2%以下、Mn:3%以
下、P:0.2%以下としたのは、これ以上の添加は加
工性を劣化するためである。また、下限をMn(wt%)+
1.5Si(wt%)+10P(wt%)>1の条件式で限定し
たのは足回り部品として必要な強度を確保するためであ
る。
【0010】また、Bの添加は2次加工性を高めるの
で、必要に応じ0.0002%以上のBを添加すること
は効果的であるが、0.0050%以上になると加工性
の劣化が著しくなるので、上限は0.0050%とす
る。Alは溶鋼での確実な脱酸を可能にするために少な
くとも0.005%の添加が必要であるが、過度の添加
は加工性を劣化するので上限を0.5%とした。
【0011】本発明鋼を溶融めっき鋼板、電気めっき鋼
板等の表面処理鋼板として使用することは本発明の趣旨
を何ら損ずるものではない。また、本発明鋼は熱延鋼板
としても、冷延鋼板としても適用できる。
【0012】
【実施例】本発明の実施例を、比較例と共に説明する。
表1に示した成分組成を有する材料を用いて様々な機械
試験をした結果を表2に示す。ここでの材料は、連続鋳
造スラブを1200℃に加熱し、約930℃で仕上圧延
した4mm厚の熱延板を60%冷延し、連続焼鈍の前半で
800℃で30秒の再結晶焼鈍をし、その後窒化処理を
したものと同じ温度で仕上げた2.5mmの熱延板を窒化
処理したものである。表2中、疲労強度は107 回の繰
り返し実験で破壊を起こさない負荷応力である。穴広げ
比はブランク径Dの鋼板に円錐ポンチを押し入れ、割れ
の発生が観察されたときの穴の径dの比d/Dで表わ
す。
【0013】実験番号1,2,3,6,7は本発明鋼で
耐疲労特性−バーリング性バランスが優れている。この
うち、実験番号1,6は熱延鋼板、実験番号2,7は冷
延鋼板、実験番号3は窒化後、連続して450℃の溶融
亜鉛の入ったポットに通板した後550℃で約20秒間
の加熱をして、亜鉛めっき層の合金化を行なった冷延鋼
板である。
【0014】実験番号4は表層部の窒素物の平均粒径が
本発明の範囲外で優れた耐疲労特性−バーリング性バラ
ンスが得られなかった。また、実験番号5では表層部の
窒化物の原子分率が本発明の範囲外で優れた耐疲労特性
−バーリング性バランスが得られなかった。実験番号8
は固溶Tiが十分存在せず窒化処理によって微細な析出
物を最適に析出させることができなかったため優れた耐
疲労特性−バーリング性バランスが得られなかった。実
験番号9は比較材で高バーリング熱延鋼板として市販さ
れている材料で、穴広げ比は高いが疲労特性は優れてい
るとはいえない。また、実験番号10は450MPa 級の
熱延鋼板を窒化処理したものであるが、Cが多く、パー
ライトが部分的に析出したためか穴広げ性が悪く、優れ
た耐疲労特性−バーリング性バランスが得られなかっ
た。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【0017】
【表3】
【0018】
【発明の効果】本発明は、自動車の足回り部品でよく要
求される耐疲労特性と高バーリング性の両方を兼ね備え
た鋼板を、比較的安価に提供するもので工業的に価値の
高い発明である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で C :0.01%以下、 N :0.01%以下、 Mn:3%以下、 Si:2%以下、 P :0.2%以下、 Al:0.005%以上、0.5%以下、 Mn,Si,P量がMn(wt%)+1.5Si(wt%)+1
    0P(wt%)>1 を満足し、またTi及びNbのいずれか一方または双方
    を55×{Ti/48+Nb/93−(C/12+N/
    14+S/32)}>0.01の条件式を満足するよう
    に含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、表層
    から0.15mmまでの領域のNが重量比で0.05%以
    下であり、平均粒径が100オングストローム以下のT
    iNあるいはNbNの総和の原子分率が10-4以上であ
    ることを特徴とする耐疲労特性に優れた良バーリング性
    高張力鋼板。
  2. 【請求項2】 重量比で C :0.01%以下、 N :0.01%以下、 Mn:3%以下、 Si:2%以下、 P :0.2%以下、 Al:0.005%以上、0.5%以下、 B :0.0002%以上、0.005%以下、 Mn,Si,P量がMn(wt%)+1.5Si(wt%)+1
    0P(wt%)>1 を満足し、またTi及びNbのいずれか一方または双方
    を55×{Ti/48+Nb/93−(C/12+N/
    14+S/32)}>0.01の条件式を満足するよう
    に含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、表層
    から0.15mmまでの領域のNが重量比で0.05%以
    下であり、平均粒径が100オングストローム以下のT
    iNあるいはNbNの総和の原子分率が10-4以上であ
    ることを特徴とする耐疲労特性に優れた良バーリング性
    高張力鋼板。
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