JPH0790402B2 - 多軸軸頭交換式工作機械 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、多軸軸頭を交換する型式の工作機械に関す
る。

〔従来の技術〕

一つの工作物に多数且つ多種類の孔加工をする場合、更
には工作物が多種に亘る場合は、自動工具交換方式の単
軸工作機械（いわゆるマシニングセンタ）や多軸ユニッ
トのトランスファーマシンを用いていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

従来技術におけるようにマシニングセンタのような単軸
工作機械は、用いる工具数、加工種類及び工作物種類に
対して融通性が高いが、工程数が増大し、生産性が低い
不利があり、或は生産性を上げるためには工程分割をし
て工作機械の台数を多くする短所がある。

又、多軸ユニットを用いると、工具数即ち加工孔数に関
しては単軸工作機械より生産性は高くはなるが、加工種
類に関してはそれだけの台数を必要とし、工作物の種類
に対応しては多軸軸頭を取換えねばならず、その取換作
業が容易でないので、とくに工作物の種類に対する融通
性が低い欠点がある。

この発明は、多数・多種類の孔加工をする場合、更には
工作物が多種に亘る場合に、工程数が少く、且つ台数を
増さず、工具交換も容易にして、上記の従来技術の欠点
を解消した工作機械を提供するものである。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明による工作機械は、多軸軸頭、いわゆるギャン
グヘッド（以下「軸頭」という）を有する多軸工作機械
であって、基台上のベッドに摺動可能である主軸台とそ
の前方正面にある工作物テーブルと主軸台の背面後方に
ある軸頭転送装置とで工作機械本体が構成され、主軸台
に装着可能な軸頭を横方向（主軸軸線に垂直方向）に移
動する手段が主軸台の前面上部及び前記軸頭転送装置に
設けられている。

そうして、前記工作機械は、縦並びに（主軸軸線と平行
方向に並べて）複数（多種）の軸頭を搭載貯蔵し、その
軸頭を縦方向に間欠移送する手段が設けられており、手
動又は動力で走行可能である軸頭貯蔵台車を前記工作機
械本体の両側に設置して構成される。

〔作用〕

工作機械本体両側に設置した軸頭貯蔵台車には夫々、工
程順・工作物順に応じて順番・逆順に所要の複数（多
種）の軸頭を配列貯蔵する。そうして、一方の軸頭貯蔵
台車に順番に配列された軸頭の最前位の軸頭を後退位置
の主軸台と工作物テーブルとの間のヘッド交換スペース
へと横方向に移動させ、主軸台に装着し、主軸台を前進
・後退させてテーブル上の工作物を加工する。

この間、順番配列の軸頭は一斉に１ピッチ前進し、他方
の軸頭貯蔵台車に逆順に配列された軸頭の最後位の軸頭
は、ヘッド転送装置で一方の軸頭貯蔵台の最後位へ移さ
れ、他方の軸頭貯蔵台車上の逆順配列の軸頭は一斉に１
ピッチ後退する。

そうして、この軸頭の移動と最初の加工（第１工程）が
終了すると、使用済軸頭は主軸台から外され、他方の軸
頭貯蔵台車上の逆順配列の最前位へ移動される。

上記のような一工程の作用が、サイクリックに行なわ
れ、両側の軸頭貯蔵台車上の軸頭は、順番に主軸台に装
着されて、所定の一種又は複数種の工作物に対し多数孔
の多種類孔加工が工程順に行なわれる。

軸頭貯蔵台車を工作機械本体と工具室との間を走行さ
せ、別の軸頭と搭載し換えて使用することにより、工作
物の種類や加工種類の多様化に対応する。

〔実施例〕

この発明の第１発明の実施例を図面に従って説明する。

工作機械本体１は、基台２上に設けられた工作物テーブ
ル３及びベッド４並びに基台２後部に設けられた軸頭転
送装置５を具備し、ベッド４上には主軸台６がねじ機構
・油圧機構等の周知の手段で前進・後退するよう設けら
れている。

主軸台６の前面には、軸頭案内締付体７及び位置決めピ
ン８が、主軸台６の前面上部には軸頭シフト装置９が夫
々設けられ、軸頭案内締付体７は油圧機構で作動する。
基台２の後部に設けられた軸頭転送装置５は、基台２に
固着された軸頭支持台10と同軸頭支持台に支持ブラケッ
トで取付けられた軸頭シフト装置11とから構成されてい
る。

軸頭12の上面には軸頭シフト装置9,11の爪（後出）が係
合する二つの凹部（第１凹部13-1,第２凹部13-2）が設
けられ、軸頭12の後面には、主軸台前面の軸頭案内締付
体７及び位置決めピン８と夫々係合する係合溝部及び位
置決め穴がある。

軸頭12は、軸頭案内締付体７に案内されて主軸台６の前
面にもたらされ、位置決めピン８で位置決めされ、油圧
作動の軸頭案内締付体７により主軸台６の前面に固定装
着されたとき、主軸台の駆動モータで駆動される主軸と
軸頭の工具駆動軸とが係合するようになっている。

軸頭シフト装置９と軸頭シフト装置11とは、同一構造
で、第３図に示すようなロッドレスシリンダとそれによ
り往復動される爪とで構成されている。更に詳しく述べ
ると、枠体14にシリンダ15と案内棒16とが平行に架設さ
れ、シリンダ15と案内棒16とが貫通し、その上を摺動す
る摺動体17には、相前後する二つの爪（第１爪18-1,第
２爪18-2）が一方向に賦勢（例えばばねを用いる）され
て揺動自在に設けられている。そうしてシリンダ15内に
はピストン19が収容され、シリンダ内を油圧で往復動す
る。摺動体17とピストン19とは、シリンダ15の壁を介し
て対向して互に吸引し合う磁石20を備えている。そこ
で、油圧によりピストン19が往復動すると、摺動体17、
延いては第1,第２爪18-1,18-2は往復動する。

工作機械本体１の基台２の両側面には、軸頭貯蔵台車を
前後方向に所定位置で隣接設置するべく、位置決め用ノ
ックピン24が設けられ、且つ軸頭貯蔵台車を連結固定す
る適当な図示されていない固定手段が設けられている。

軸頭貯蔵台車は、工作機械本体１の両側に隣接して１台
ずつ固定配置され、一側に置かれた第１軸頭貯蔵台車21
-1と他側に置かれた第２軸頭貯蔵台車21-2とは、実質的
には同一構造であり、車輪を有し、手動又は動力で走行
し得る基台22に搬送コンベア23を備え、搬送コンベア上
に搭載された複数（図示の例では４個）の軸頭12を搬送
コンベア23で所定ピッチずつ割出移送する。但し、両軸
頭貯蔵台車21-1,21-2における移送方向は、第１軸頭貯
蔵台車21-1においては、後方から前方へと前進方向であ
り、第２軸頭貯蔵台車21-2においては、前方から後方へ
と後退方向である。

上記工作機械の操作・作用を述べる。

先ず予め、第３図に示された軸頭シフト装置に用いられ
るロッドレスシリンダについて述べるとシリンダ15内の
ピストン19が左右からの圧油供給によりシリンダ15内を
往復動すると、ピストンの磁石20とシリンダ15に上を摺
動する摺動体17の磁石20とがシリンダ壁を通して互いに
吸引し合うので、摺動体17はピストン19に引張られて進
退往復動することになる。即ち第1,第２爪18-1,18-2も
進退往復動する。

さて、工具室等で両軸頭貯蔵台車21-1,21-2に所要の軸
頭を所定の配置で搭載し、その両軸頭貯蔵台車を工作機
械本体１の両側の夫々へ走行させ、そこの位置決め用ノ
ックピン24で位置決めし、基台２に図示されない固定手
段で固定する。

先ず、第１軸頭貯蔵台車21-1には、前から後へ第１工程
用から工程順に第１軸頭12-1、第２軸頭12-2、第３軸頭
12-3、第４軸受12-4を搭載し、第２軸頭貯蔵台車21-2に
は、後から前へ第5,第6,第7,第８の各軸頭12-5〜８を搭
載する。

この軸頭群は、１つの工作物Ａに対する８工程分を順に
並べてもよく、又は、１つの工作物に対して４工程分の
加工を施すとして、第１〜第４軸頭12-1〜４を１つの工
作物Ａの加工用に、第５〜第８軸頭12-5〜８を次の別種
の工作物Ｂの加工用に夫々用意してもよい。

そうして、軸頭シフト装置９の摺動体17、延いては爪21
を第１軸頭貯蔵台車21-1の方へ油圧駆動で後退させる。
すると第１軸頭貯蔵台車21-1の最前位の第１軸頭12-1の
上部の第１凹部13-1に第２爪18-2が係合する。次いで摺
動体17の油圧駆動前進により第１軸頭12-1は主軸台前面
の軸頭交換スペースへ移動する。この際、軸頭貯蔵台車
上の軸頭高さは、その背面にある係合溝部が主軸台の軸
頭案内締付体７と横滑りに係合する高さであるので、軸
頭貯蔵台車の支承と軸頭案内締付体７の案内支承とが相
俟って、第１軸頭12-1を円滑に軸頭交換スペースに移動
させる。第１軸頭12-1の背面の係合溝部に係合した軸頭
案内締付体７の油圧作動による締付作用と第１軸頭の位
置決め穴に係合する位置決めピン８の位置決め作用とに
より第１軸頭12-1は、正確に主軸台６に装着され、主軸
台の駆動モータで駆動される主軸と第１軸頭の工具駆動
軸とは係合する。そうして、主軸台６の前進・後退によ
り工作物Ａに第一工程の加工が行なわれる。

その間に、第１軸頭貯蔵台車21-1の搬送コンベア23は、
１ピッチ前進し、第2,第３及び第４軸頭12-2,12-3,12-4
は前進し、同時に第２軸頭貯蔵台車21-2上の最後位の第
５軸頭12-5は、軸頭転送装置５の軸頭シフト装置11によ
り第１軸頭貯蔵台車の最後位へ送られる。この際、軸頭
シフト装置11は、その第２爪18-2を第５軸頭12-5の第２
凹部13-2に係合させて、先ず軸頭転送装置５の軸頭支持
台10へ送り、一旦後退してから、次に第１爪18-1を第５
軸頭12-5の側面に係合させて第１軸頭貯蔵台車21-1へ送
るのである。そうして、第２軸頭貯蔵台車21-2の搬送コ
ンベア23は１ピッチ後退し、第6,第7,第８軸頭は後退す
る。

やがて第１軸頭12-1による第１工程が完了すると、軸頭
案内締付体７は前進して、第１軸頭12-1を主軸台６より
解放し、軸頭シフト装置９の摺動体20は、後退し、第１
爪18-1を第１軸頭12-1の側面に第２爪18-2を第２軸頭12
-1の第１凹部13-1に夫々係合させ、再び前進して第１軸
頭12-1を第２軸頭貯蔵台車21-2の最前位に、第２軸頭12
-2をヘッド交換スペースに同時に送る。

以上のような軸頭の交換操作・作用をサイクリックに行
なうことにより８種の軸頭を順次使用することができ
る。

軸頭貯蔵台車の搭載軸頭数は任意に増すことは可能であ
り、それにより使用軸頭の種類は増加する。

次に、第２発明の実施例を図面に従って説明する。

第６図に示すように工作機械本体１′は軸頭転送装置
５′を除いては第１発明の実施例と同一である。軸頭転
送装置５′の軸頭支持台10′は車輪を有しており、基台
２に対し分離・固定自在である。例えば図示されるよう
な床面の位置決め穴に対して出入自在の係止ピンを備え
た位置決め固定装置25又は普通のノックピン・クランプ
機構による基台２との間での位置決め連結固定装置26等
により基台２に対して任意に位置決め連結固定される。

軸頭貯蔵台車21′は、殆ど第１発明の実施例の第1,第２
軸頭貯蔵台車21-1,21-2と同じであるが、軸頭移送手段
として、搭載軸頭数と同数の送り爪をもち、油圧シリン
ダで往復動する搬送バー27が用いられており、且つ台車
同志を前後に一体的に連結するための連結手段（図示な
し）を具備している。

そうして、前記軸頭支持台10′と軸頭貯蔵台車21′の基
台22とを一体化するべく互に係合する連結手段が両者の
側面に設けられており、軸頭貯蔵台車側面の手段は、工
作機械本体１′の基台２の側面の固定手段と係合する手
段となる共用のものであることが便利である。

上記第２発明の実施例の装置の操作・作用を述べると、
基本的には、既述の第１発明の装置のそれと同一である
が、特色ある点は次のようなものである。

軸頭貯蔵台車21′を任意数前後に連結する。２組の軸頭
貯蔵台車列を工作機械本体１′の両側に走行させ、各列
の先頭台車を第１発明の実施例同様に基台２に位置決め
固定する。それと同時に軸頭転送装置５′を工作機械本
体１′の基台２から切離し、各軸頭貯蔵台車21′列の最
後尾台車の最後部を両側にする位置に置き、軸頭転送装
置を位置決め固定装置25で固定し、且つ軸頭支持台10′
と両側の軸頭貯蔵台車21′の基台22とを連結する。

そうして、軸頭貯蔵台車21′の搬送バー27がその前後動
で台車間の軸頭の受渡し作用をも行うことになることは
明らかなことである。結局は、連結された軸頭貯蔵台車
列が第１発明の実施例の軸頭貯蔵台車を軸頭搭載数を増
大させて長尺のものとしたものと同等なものとなる。

従って、軸頭の搬送交換作用については更めて説明する
までもないので省略する。

第２発明の実施例の軸頭貯蔵台車21′は、第１発明の実
施例において軸頭貯蔵台車21-1,21-2の代りに使用し得
る。

〔効果〕

この発明の多軸軸頭交換式工作機械によれば、多種工作
物に対する多数孔に対する多種の孔加工を高生産性をも
って行ない得るのである。

即ち多軸軸頭を使用することにより単軸のマシニングセ
ンタより多数孔の加工が効率よくでき、しかも軸頭交換
が従来の多軸ユニットに比し遥かに容易に自動的に行わ
れる為、工作機械の台数を多く要せずに効率よく多種類
の孔加工を行ない得、しかも多種の工作物に対する対応
も可能となる。

更に、軸頭貯蔵台車は自由に走行することができるの
で、それを複数台用意して、工具室で適宜軸頭を搭載
し、順次工作機械本体の背後に移動してくれば、使用軸
頭の多様化が効率よく行ない得る。

そうして、軸頭貯蔵台車は、工作機械本体より自由に離
脱して移動できるため、そのあとに保守スペース確保で
きる。従って、別途保守スペースを設けなくともよいの
で、フロアスペースが小さくできる。

更に、軸頭貯蔵台車を前後に連結する型式にあっては、
使用軸頭の搭載収容数を適宜増減できるという利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、第１発明の工作機械における工作機械本体の
側面図、 第２図は、第１発明の工作機械の正面図、 第３図は、第１及び第２発明の工作機械における軸頭シ
フト装置の一部破砕断面平面図、 第４図は、第１発明の工作機械の平面図、 第５図は、第１発明の工作機械における軸頭貯蔵台車の
側面図、 第６図は、第２発明の工作機械における工作機械本体の
側面図、 第７図は、第２発明の工作機械における軸頭貯蔵台車の
側面図である。 1,1′：工作機械本体 3:工作物テーブル 5,5′：軸頭転送装置 6:主軸台 9:軸頭シフト装置 10,10′：軸頭支持台 11:軸頭シフト装置 12:多軸軸頭 12-1:第１軸頭貯蔵台車 21-2:第２軸頭貯蔵台車 23:搬送コンベアー 24:位置決め用ノックピン 25,26:位置決め固定装置 27:搬送バー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平井 秀俊 愛知県豊田市トヨタ町１番地 トヨタ自動 車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−138774（ＪＰ，Ａ) 特開 昭56−27708（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−93206（ＪＰ，Ａ) 実開 昭60−153744（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭58−113405（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】工作物テーブル、主軸台及び主軸台背後の
   軸頭転送装置を備えた工作機械本体と、前記工作機械本
   体の両側の定位置に配置固定・解放自在の軸頭貯蔵台車
   とから構成され； 前記主軸台は、前記軸頭貯蔵台車と主軸台との間で多軸
   軸頭を移動する軸頭シフト装置を備え、多軸軸頭の装着
   ・離脱が可能であり； 前記軸頭転送装置は、軸頭支持台及び主軸台と同様の軸
   頭シフト装置を備えており； 前記軸頭貯蔵台車は、多軸軸頭を移送する手段を備え、
   複数の多軸軸頭を搭載しており、手動又は動力で走行可
   能であることを特徴とする多軸軸頭交換式工作機械。
2. 【請求項２】工作物テーブル、主軸台及び主軸台背面後
   方において連結・離脱が可能な軸頭転送装置を備えた工
   作機械本体と、前記工作機械本体の両側の定位置に配置
   固定・解放自在の２台以上の軸頭貯蔵台車とから構成さ
   れ； 前記主軸台は、前記軸頭貯蔵台車と主軸台との間で多軸
   頭を移動する軸頭シフト装置を備え、多軸軸頭の装着・
   離脱が可能であり； 前記軸頭転送装置は、走行移動可能な軸頭支持台及び主
   軸台と同様の軸頭シフト装置を備えており、且つ前記軸
   頭支持台は、位置決め固定装置を備えており； 前記軸頭貯蔵台車は、多軸軸頭を移送する手段及び前後
   の連結手段を備え、複数の多軸軸頭を搭載しており、手
   動又は動力で走行可能であることを特徴とする多軸軸頭
   交換式工作機械。