JPH0790362A - 表層浸燐ボルトの遅れ破壊防止方法 - Google Patents

表層浸燐ボルトの遅れ破壊防止方法

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JPH0790362A
JPH0790362A JP24982593A JP24982593A JPH0790362A JP H0790362 A JPH0790362 A JP H0790362A JP 24982593 A JP24982593 A JP 24982593A JP 24982593 A JP24982593 A JP 24982593A JP H0790362 A JPH0790362 A JP H0790362A
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JP
Japan
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bolt
blank
delayed fracture
phosphorus
bolt blank
Prior art date
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Pending
Application number
JP24982593A
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English (en)
Inventor
Yoshio Imai
義男 今井
Kimiyoshi Ueda
公芳 上田
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SANNOHASHI KK
Original Assignee
SANNOHASHI KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、表層部に白色の燐濃化層があって
も遅れ破壊を起こさないボルトの製法を提供することを
目的とする。 【構成】 本発明は、表層部に燐を含有するボルト素材
の表層部の含有炭素量を,約0.30%以下になるよう
に脱炭することによって、ボルトの遅れ破壊の防止を図
ることを特徴とした、表層浸燐ボルトの遅れ破壊防止方
法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表層部に燐を含有する
ボルトの遅れ破壊を防止する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ボルトの製造方法は、通常、冷間加工に
よりボルト素材を形成した後、熱処理(焼入れ、焼戻
し)及びネジ転造を行う。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の冷間
加工工程では、成形用金型の寿命向上を図るために金型
とボルト素材との摩擦抵抗を少なくする必要があり、そ
のためにボルト素材表面に潤滑剤の化成皮膜処理が行わ
れる。この皮膜処理には、現在実用化されているものと
して、 石灰せっけん皮膜 ほう砂(ボラ
ックス皮膜) 燐酸塩皮膜(ボンデライジング) しゅう酸塩皮
膜 金属めっき皮膜などがある。 ボルトの冷間圧造用としては、の燐酸塩皮膜が主に使
われるが、構成されている成分中に燐が存在しているこ
とは広く知られている。そのため、このボルト素材の皮
膜中の燐が、冷間圧造後の熱処理の時の化学反応によ
り、ボルト素材の表層部に浸透してしまい、ボルト表層
部を脆弱化させ、脆弱部を起点として遅れ破壊を起こし
やすくする。これについては、日本工業規格(JIS)
でも『強度区分12.9のおねじ部品には、引張応力が
働く表面に光学顕微鏡で確認できる白色の燐濃化層があ
ってはならない』(JIS B 1051「鋼製のボル
ト・小ねじの機械的性質」)と規定している。燐濃化層
のできる原因である、燐酸塩皮膜を熱処理前に除去する
方法も種々発表されているが、除去方法によってはボル
ト表層部への悪影響もあり、安価で決定的な方法は確立
されていない。
【0004】
【本発明の目的】本発明は、上記のような問題点を解決
するためになされたもので、表層部に白色の燐濃化層が
あっても遅れ破壊を起こさないボルトの製法を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、表層部
に燐を含有するボルト素材の表層部の含有炭素量を、約
0.30%以下になるように脱炭することによって、ボ
ルトの遅れ破壊の防止を図ることを特徴とした、表層浸
燐ボルトの遅れ破壊防止方法である。
【0006】
【試験】
<イ>試験の方法 表層浸燐ボルトの遅れ破壊への影響を確認するために次
の試験を行った。 (1)石灰せっけん皮膜の生成 冷間圧造用素材(SCM440)に潤滑用皮膜処理を施
す。この段階でのボルトへの燐の影響をゼロとするため
に、皮膜剤としては、燐を含まない「石灰せっけん皮
膜」を使用する。
【0007】(2)冷間加工 石灰皮膜を施したボルト素材を、金型に圧入してボルト
頭部と軸部を形成する。 ねじ部を転造して、熱処理前
のボルトが完成する。
【0008】(3)表面改質(脱炭及び浸炭) 燐の影響を確認するための準備として、燐濃度の異なる
燐酸塩皮膜を表層部に生成する。図1に示すように、表
面燐量をA、B、Cの3水準に設定する。なお、Aの
0.062%は、ボルトの製造工程において、潤滑剤に
混入する燐が、ボルトの表層部に浸透する量の最大と考
えられる量よりも多く設定してある。 また、Cの0.
025%は、ボルトの製造工程において、潤滑剤に混入
する燐が、ボルトの表層部に浸透する量の最少と考えら
れる量よりも少く設定してある。 ボルト素材の表面か
ら0.1mmまでの表層部の炭素量を、図1のからま
での7種類に改質する。表面改質前のボルト素材の炭素
量の分析値は0.41%であるので、からは脱炭、
とは浸炭となる。
【0009】(4)表面改質(浸燐) 燐酸塩皮膜処理によってボルト素材の表層部に燐を含浸
させる。図1に示すように、表面燐量をA、B、Cの3
種類に設定する。なお、Aの0.062%は、ボルトの
製造工程において、潤滑剤に混入する燐が、ボルトの表
層部に浸透する量の最大と考えられる量よりも多く設定
してある。 また、Cの0.025%は、ボルトの製造
工程において、潤滑剤に混入する燐が、ボルトの表層部
に浸透する量の最少と考えられる量よりも少く設定して
ある。
【0010】(5)熱処理、ねじ転造、 焼入れ(真空加熱850±10℃)、焼戻し(490±
15℃)の熱処理を行って、強度区分12.9のボルト
が出来上がる。
【0011】(6)表面改質(脱炭及び浸炭) 上記熱処理の段階で、熱処理雰囲気の濃度調整により、
ボルト表層部の炭素量を任意の量に変えて、複数の水準
のボルトを作成する。図1は、ボルト素材の表面から
0.1mmまでの表層部の炭素量を、〜までの7水準
に改質した場合である。ボルト素材の母材としての炭素
量の分析値は0.41%であるので、〜は脱炭、
とは浸炭となる。
【0012】(7)遅れ破壊試験 〜までの7水準の表面炭素量を有するボルトで、か
つA〜Cまでの3水準の表面燐量を有する計21種類の
ボルトを、100本ずつ用意して、遅れ破壊促進試験に
より破損率を確認する。遅れ破壊促進試験としては、 試験用試料には、試験片ではなく上記21種類の実
体ボルトを使用する。 実体ボルトを遅れ破壊促
進試験用治具により降伏点まで締め付ける。 治具に締め付けた状態で、希釈した塩酸中に浸漬す
るなどして、水素などがボルト素材に浸入しやすくす
る。当然のことながら、浸漬される治具要部はステンレ
スなどの塩酸などの腐食液に侵されない部材で作製す
る。別な方法としては、予め実体ボルトを希釈した塩酸
中に浸漬した後に治具により締め付けてもよい。 締め付けた状態で5〜10日間放置する。 放置後、ボルトの破損状況を解析し、表層部燐濃化
層と破面が遅れ破壊特有の脆性破面を呈していることを
確認する。
【0013】<ロ>試験結果 図1に示すように、〜までの表面炭素量のボルト
は、表面燐量がA〜Cのいずれかにおいて多数のボルト
の破損が見られる。それに対して、〜までの表面炭
素量のボルトは、表面燐量がA、B、Cのいずれの場合
であっても、破損本数は0本である。従って、表面炭素
量を約0.30%以下に設定すれば、ボルトの表層部に
どのような割合で燐が浸透していても、ボルトの遅れ破
壊を確実に防止できることが確認された。
【0014】
【本発明の効果】本発明は、以上のように、ボルト表層
部の含有炭素量を約0.30%以下に脱炭することによ
って、表層部に燐を含有するボルトの遅れ破壊を防止す
ることができる。従って、燐を混入した潤滑剤を塗布し
て冷間加工を行って製造したボルトであっても、十分な
使用強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実験デ−タの説明図

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表層部に燐を含有するボルト素材の表層
    部の含有炭素量を、 約0.30%以下になるように脱炭することによって、 ボルトの遅れ破壊の防止を図ることを特徴とした、 表層浸燐ボルトの遅れ破壊防止方法。
JP24982593A 1993-09-10 1993-09-10 表層浸燐ボルトの遅れ破壊防止方法 Pending JPH0790362A (ja)

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