JPH0789903B2 - 光合成微生物培養方法及び装置 - Google Patents

光合成微生物培養方法及び装置

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JPH0789903B2
JPH0789903B2 JP3254269A JP25426991A JPH0789903B2 JP H0789903 B2 JPH0789903 B2 JP H0789903B2 JP 3254269 A JP3254269 A JP 3254269A JP 25426991 A JP25426991 A JP 25426991A JP H0789903 B2 JPH0789903 B2 JP H0789903B2
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光合成微生物培養方法
と装置に係り、特に、付着性光合成細菌及び/又は付着
性微細藻類などの付着性の光合成微生物を用いる培養方
法と装置に関する。本発明の培養方法と装置は、有機性
廃水の処理、クリーンエネルギーである水素の生産、各
種の有用な物質を生産する方法及び装置、ならびに地球
の温暖化の一因である大気中の二酸化炭素の固定化等に
用いることができる。本発明は、従来技術とは異なる新
規な付着性光合成細菌及び/又は付着性微細藻類などの
付着性の光合成微生物の培養装置に関するものであり、
同時に地球環境保全にも貢献する革新的な培養技術を提
供するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光合成微生物を利用した培養技術
は、培養の対象を主として浮遊性光合成微生物とし、装
置はそのほとんどが流動床式で装置の外壁から棒状の蛍
光灯等により光を槽内液に供給するか、あるいは装置内
部の中心に棒状の蛍光燈等を取付け、槽内液に光を供給
するものが主流となっていた。しかしながら、最近では
各種の技術が研究開発され、その代表的な技術として太
陽光及び/または人工光を光ファイバーで伝送し、伝送
された光をさらに特殊な面発光ファイバーによって槽内
液に拡散して、または樹脂性の棒状ロッドに長さ方向に
散乱溝を設け槽内に縦方向に、かつ線状に光を拡散して
光合成微生物を培養する方法及び装置が開発されてい
る。一方付着性の光合成微生物については、板状の付着
担体上に光合成微生物を付着させ、太陽光及び/又は人
工光を外部から照射する多段式あるいは回転円板式など
の培養装置が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
光合成微生物の培養装置には次に列挙するような技術的
問題点があり、これらの欠陥を改善するために各研究機
関で各種の研究が行われている。 (1)蛍光燈で光エネルギーを供給する培養方法及び装
置は、供給方式が槽外型、槽内型のいずれであっても伝
達できる光エネルギー量が小さく(伝達効率10%程
度)、光合成微生物の大量培養、濃厚培養には適さない (2)浮遊性光合成微生物の培養において、(1)の槽
外型においては培養装置の内壁に、槽内型においては蛍
光燈の表面に光合成微生物が濃厚に付着し、光の槽内液
への拡散が阻害されると共に、付着した光合成微生物は
強光にさらされて死滅するか、あるいは活性が著しく劣
化する。 (3)浮遊性光合成微生物の培養において、槽内に光フ
ァイバーで光エネルギーを伝送する方式は、伝送光エネ
ルギー量が蛍光燈方式よりもはるかに大きいが、極細で
多数の光ファイバーに光合成微生物が多量、濃厚に付着
し、経時的に光の拡散機能を喪失し、さらに光ファイバ
ー相互に閉塞が起こり、槽内液の循環が阻害される。こ
のため頻繁に光ファイバーの洗浄を要し、運転管理も極
めて煩雑である。
【0004】(4)板状の付着担体上に付着性光合成微
生物を付着させ、太陽光及び/又は人工光を槽外から照
射する多段式あるいは回転円板式などの培養装置におい
ては受光面積が限定されるため光エネルギーを有効に利
用することができず、光合成微生物の大量培養には適当
でない。 (5)極細で多数の光ファイバーに付着性光合成微生物
を多量に付着させると、伝送光エネルギー量が蛍光燈方
式よりもはるかに大きいが、光ファイバー相互に閉塞が
起こり、槽内液の循環が阻害される。このため、頻繁に
光ファイバーの洗浄を要し、運転管理も極めて煩雑であ
る。 (6)特殊な面発光ファイバーに付着性光合成微生物を
付着させる方式は、伝送光エネルギー量が蛍光燈方式よ
りもはるかに大きいが、付着担体表面積が小さいため、
光合成微生物の大量培養には適当でない。 本発明は、従来装置のこれらの欠陥を改善し、従来技術
と比較して格段の大量培養を可能にする、省エネルギー
的で運転操作も著しく容易な新規な光合成微生物の培養
方法及び装置を提供することを課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では、付着性光合成細菌、付着性微細藻類な
どの付着性光合成微生物を培養する方法において、光フ
ァイバーによって伝達された太陽光及び/又は人工光
、槽内液に挿入された側面より光を放出する繊維状の
導光体によって培養槽内に導入され、該繊維状の導光体
は、二酸化炭素及び酸素の透過膜の表面に被覆されて一
体に形成されており、かつ、二酸化炭素及び/又は酸素
を含有する気体を前記透過膜を介して槽内液中に導入す
ると共に、前記繊維状の導光体の表面に付着性の光合成
微生物を付着させて培養することを特徴とする光合成微
生物培養方法としたものである。また、本発明では
着性光合成細菌、付着性微細藻類などの付着性光合成微
生物を培養する装置において、培養槽と、太陽光及び/
又は人工光を伝達させる光ファイバーと、該光ファイバ
ーに接続し槽内液に挿入された側面より光を放出する繊
維状の導光体とを有し、かつ該繊維状の導光体が、二酸
化炭素及び酸素の透過膜の表面に被覆されて一体に形成
されており、該透過膜には二酸化炭素及び/又は酸素を
含有する気体の供給手段を設けると共に、前記繊維状の
導光体には付着性の光合成微生物が付着していることを
特徴とする光合成微生物培養装置としたものである。
【0006】上記培養装置において、繊維状の導光体は
二酸化炭素及び酸素の透過膜の表面に被覆される。こ
場合繊維状の導光体は網状に織られており、また、二酸
化炭素及び酸素の透過膜は中空糸状であるのがよい。こ
の中空糸状の透過膜の表面を繊維状の導光体で被覆して
一体として繊維状の構造とする。また、導光体の表面に
付着して成育した菌体または藻体は剪断流等を与えて定
期的に剥離させるのがよい。
【0007】すなわち、本発明は、付着性光合成細菌及
び/又は付着性微細藻類などの付着性の光合成微生物を
培養対象とし、太陽光及び/又は人工光(蛍光燈、ハロ
ゲンランプ、メタルハライドランプ及びキセノンラン
プ)を光ファイバーで培養装置まで伝送し、伝送された
太陽光及び/又は人工光を槽内液に挿入された側面より
光を放出する繊維状の導光体に導入し、この側面より光
を放出する繊維状の導光体の表面に付着性の光合成微生
物を付着させて培養することを特徴とする光合成微生物
培養方法及び装置である。側面より光を放出する繊維状
の導光体としては光を通す性質を持ち、かつ側面より光
を放出する性質を持つものならどのようなものでもよ
く、例えば側面に溝を彫り込んだ光ファイバーあるいは
アクリル繊維、または散光体を含んだガラスあるいはア
クリル繊維などでよい。
【0008】本発明は、付着性の光合成微生物の中で
も、特に、付着性微細藻類の培養に適し、微生物の固定
化に特別の手段を必要とせず、固液分離手段等付帯施設
を縮少あるいは省略できる。また本発明は、二酸化炭素
(CO2 )及び酸素を透過する膜を通して生育に必要な
これらの気体を供給するため、曝気によって生じる発泡
の問題を回避することができる。さらに本発明は、光合
成微生物の培養において最も問題となっている付着の問
題も同時に解決することができ、意図的な微生物膜の更
新も可能な画期的な光合成微生物培養方法及び装置でも
ある。
【0009】
【作用】本発明の光合成微生物培養装置は太陽光及び/
又は人工光を光ファイバーを伝送媒体として培養槽内に
挿入された側面より光を放出する繊維状の導光体へ導入
し、その表面に付着して生育する付着生の光合成微生物
に光エネルギーを効率良く供給することを最大の特長
一つとした培養方法及び装置である。付着性光合成細菌
及び/又は付着性微細藻類などの付着性の光合成微生物
は固体表面でマット状に生育する性質を持ち、通常成育
に必要な光を得ることができ、さらに二酸化炭素(CO
)及び/又は酸素を充分に得ることができる固液界面
及び/又は充分に水分補給ができる気固界面に付着して
生育する。
【0010】従来の光合成微生物培養装置は蛍光燈ある
いは光ファイバーを槽内に設置して槽内液に分散させる
ものが主流を占めているが、この種の装置では菌体ある
いは藻体の付着が研究面及び/又は実用面で大きな障害
となっている。これに対して本発明は槽内液への光の供
給源である側面から光を放出する導光体の表面に付着性
の光合成微生物を付着させて培養するため、槽内液中に
は光合成微生物が存在せず、もしくは存在してもそれら
は光の供給を受けられないためほとんど増殖できないの
で非常に低濃度しか存在しないため、培養槽壁面、攪拌
装置および各種センサー類への菌体あるいは藻体の付着
を最小にしてこの問題を解決した、革新的な光合成微生
物培養装置である。また、従来の浮遊性光合成微生物培
養装置は槽内液に光を拡散するため、培養菌体あるいは
藻体が高濃度になると光の到達距離が制限され、光エネ
ルギーの利用効率が低下する。これに対して本発明は槽
内液への光の供給源である側面から光を放出する導光体
の表面に付着性の光合成微生物を付着させて培養するた
め、槽内液に挿入する導光体の表面積を増加させて槽内
菌体濃度を上げることができる革新的な光合成微生物培
養装置である。しかも、この繊維状の導光体が網状に織
られているときには、表面積が非常に大きく、付着性微
生物の担体として優れた機能を発揮する。
【0011】導光体の表面に付着して生育した菌体又は
藻体は容易に定期的かつ意図的に剥離させられるため菌
体又は藻体は常に活発に生育する状態に保たれる。さら
に本発明は、従来の光合成微生物培養は生育に必要な二
酸化炭素(CO2 )及び/又は酸素を散気管などのよう
な散気装置から微細気泡として槽内液に拡散し、溶解さ
せるものが主流を占めているが、この種の装置では培養
液の発泡が研究面及び/又は実用面で大きな障害となっ
ている。これに対して本発明は光合成微生物が生育に必
要な二酸化炭素(CO2 )及び/又は酸素は至近距離に
ある二酸化炭素(CO2 )及び酸素を透過する膜5から
拡散して溶解したものを利用することができるため、極
めて効率良く生育し、しかも気泡として槽内液中に放出
されないため、発泡による問題を解決した、革新的な光
合成培養方法及び装置である。
【0012】
【実施例】以下、本発明を図面を用いて具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 図1に本発明の培養装置の概略説明図を示す。図1は、
二酸化炭素(CO2)及び酸素を透過する膜の表面を繊
維状の導光体が被覆し、一体となって槽内液に挿入され
ている光合成微生物培養装置に関する。図1において、
太陽光及び/又は人工光2から光ファイバー3で伝送さ
れた光は、側面より光を放出する繊維状の導光体4に導
入される。導光体4は繊維状のものが網状に織られてお
り、表面積が非常に大きく、付着性微生物の担体として
優れた機能を発揮する。一方、培養に必要な空気、二酸
化炭素(CO2 )富化空気及び/又は二酸化炭素(CO
2 )8は二酸化炭素(CO2 )及び酸素を透過する膜5
に供給される。光合成微生物は繊維状の導光体4の表面
に付着して、充分な光の供給を受けることができ、また
生育に必要な二酸化炭素(CO2 )及び/又は酸素は至
近距離にある二酸化炭素(CO2 )及び酸素を透過する
膜5から受けることができるため、極めて効率良く生育
する。槽内液は通常培養槽1の底部にある攪拌装置6に
よって緩やかに攪拌され、付着菌体又は藻体と接触す
る。槽内液は定期的に培養槽1の底部にある攪拌装置6
によって急速に攪拌され、導光体の表面に付着して生育
した菌体又は藻体を剪断流を与えて意図的に剥離させ
る。
【0013】剥離の方法については、これらに限定され
ず、強光、発熱その他の方法を用いてもよい。剥離した
菌体又は藻体は沈降後、槽の底部から引き抜き余剰菌体
又は藻体として回収される。図2は、中空糸状の二酸化
炭素(CO2)及び酸素を透過する膜5の表面を繊維状
の導光体4で被覆して一体として繊維状の構造となった
担体繊維に関する横断面図である。この担体繊維を網状
に織り、図1の4,5と代替とすることができる。
【0014】実施例2 本発明である導光体繊維の網と中空糸状ガス透過膜のユ
ニット(10cm×10cm)8ユニットを有効容積1.8
リットルの培養槽に挿入し、MKM培地を用いてpH
8.0、温度20℃でフォルミジウム(Phormidium)を
培養した。MKM培地の組成を以下に示す。 KNO 3750mg MgSO4 ・7H2 O 20mg KH2 PO4 25mg クエン酸鉄 2.5mg 海水 500ml 蒸留水 500ml 図1の装置を用いて、導光体繊維4の端部に300W人
工光源2からの光を導入し、ガス透過膜5には空気に二
酸化炭素を5%混入したものを圧力2kgf /cm2 で供給
した。槽内は通常緩やかに攪拌を行い、24時間毎に強
力攪拌を行って藻体を剥離させた後、1時間静置し、沈
澱した藻体を引き抜き、同容の新鮮培地7を添加した。
【0015】比較例1 比較として図3に示すように、導光体繊維に光を導入せ
ず、培養槽外の300W人工光源2で直接培養槽を照射
したものを用いた。培養槽側面での照度を5000ルク
スとし、他の条件は実施例2と同様に行った。結果を表
1に示す。
【表1】
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、詳述したように、次の
様な作用効果を奏する。 (1)光ファイバーによって伝送された太陽光及び/又
は人工光を、培養槽内に挿入された側面より光を放出す
る繊維状の導光体へ導入し、その表面に付着性の光合成
微生物を付着させて培養するため、槽内液中には光合成
微生物が存在せず、もしくは存在してもそれらは光の供
給を受けられないためほとんど増殖できないので非常に
低濃度しか存在しないため、培養槽壁面、攪拌装置およ
び各種センサー類への菌体あるいは藻体の付着を最小に
できる。 (2)蛍光燈による光の拡散方式に対して極めて省エネ
ルギー的で培養槽に大量の光エネルギーを供給すること
ができるだけでなく、光ファイバーによって伝送された
太陽光及び/又は人工光を面あるいは棒状の発光体から
槽内液に拡散する方式に比較しても極めて効率的に光エ
ネルギーを利用することができる。
【0017】(3)繊維状の導光体が網状に織られると
きは、表面積が非常に大きく、付着性微生物の担体とし
て格段に優れた機能を発揮する。 (4)導光体の表面に付着して生育した菌体又は藻体は
容易に定期的にかつ意図的に剥離されて、菌体又は藻体
が常に活発に生育する状態に保たれるため、効率的な培
養が行える。 (5)生育に必要な二酸化炭素(CO2 )及び/又は酸
素は光合成微生物の至近距離にある二酸化炭素(C
2 )及び酸素を透過する膜から拡散して溶解するた
め、気泡として槽内液中に放出されず、発泡による問題
を生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の培養装置の概略説明図である。
【図2】導光体4の横断面図である。
【図3】比較例に用いた培養装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1:培養槽、2:光源、3:光ファイバー、4:側面発
光導光体繊維、5:二酸化炭素及び酸素透過膜、6:攪
拌装置、7:培地、8:空気及び/又は二酸化炭素富化
空気、9:排液、10:排ガス、11:余剰菌体又は藻

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 付着性光合成細菌、付着性微細藻類など
    の付着性光合成微生物を培養する方法において、光ファ
    イバーによって伝達された太陽光及び/又は人工光
    槽内液に挿入された側面より光を放出する繊維状の導光
    体によって培養槽内に導入され、該繊維状の導光体は二
    酸化炭素及び酸素の透過膜の表面に被覆されて一体に形
    成されており、かつ、二酸化炭素及び/又は酸素を含有
    する気体を前記透過膜を介して槽内液中に導入すると共
    に、前記繊維状の導光体の表面に付着性の光合成微生物
    を付着させて培養することを特徴とする光合成微生物培
    養方法。
  2. 【請求項2】 付着性光合成細菌、付着性微細藻類など
    の付着性光合成微生物を培養する装置において、培養槽
    と、太陽光及び/又は人工光を伝達させる光ファイバー
    と、該光ファイバーに接続し槽内液に挿入された側面よ
    り光を放出する繊維状の導光体とを有し、かつ該繊維状
    の導光体が、二酸化炭素及び酸素の透過膜の表面に被覆
    されて一体に形成されており、該透過膜には二酸化炭素
    及び/又は酸素を含有する気体の供給手段を設けると共
    に、前記繊維状の導光体には付着性の光合成微生物が付
    着していることを特徴とする光合成微生物培養装置。
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