JP2005168360A - 生体組織補填体の検査方法、装置、細胞培養容器および培養状態検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生体組織補填体の出荷時における簡易な測定により、十分に活性を備えた生体組織補填体を出荷することを可能にする。
【解決手段】 培養容器に貯留した培地内において生体組織補填体を培養する過程において、培養容器内面に酸素感受性蛍光化合物を配置しておき、単位時間間隔をあけて測定した酸素感受性蛍光化合物から発せられた蛍光量の差分に基づいて、培地内に溶存する酸素量の低下速度を算出し(S1)、算出された酸素量の低下速度に基づいて細胞の分化段階を判断する(S2)生体組織補填体の検査方法を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】 培養容器に貯留した培地内において生体組織補填体を培養する過程において、培養容器内面に酸素感受性蛍光化合物を配置しておき、単位時間間隔をあけて測定した酸素感受性蛍光化合物から発せられた蛍光量の差分に基づいて、培地内に溶存する酸素量の低下速度を算出し(S1)、算出された酸素量の低下速度に基づいて細胞の分化段階を判断する(S2)生体組織補填体の検査方法を提供する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、生体組織補填体の検査方法および装置に関するものである。
培養されている生体組織、例えば、間葉系幹細胞が骨芽細胞に分化しているか否かを示す指標として、従来、骨芽細胞が分泌するアルカリフォスファターゼおよびオステオカルシンが用いられている(例えば、非特許文献1参照。)。
アルカリフォスファターゼの量は、間葉系幹細胞が骨芽細胞に分化する過程において経時的に上昇していくが、ある時点でピークを迎え、その後減少していくことが知られている。一方、オステオカルシンは、骨芽細胞が産生すると考えられており、その量は、アルカリフォスファターゼに遅れて増加する。
吉川隆章、生体材料、vol.19、27-33、2001
アルカリフォスファターゼの量は、間葉系幹細胞が骨芽細胞に分化する過程において経時的に上昇していくが、ある時点でピークを迎え、その後減少していくことが知られている。一方、オステオカルシンは、骨芽細胞が産生すると考えられており、その量は、アルカリフォスファターゼに遅れて増加する。
吉川隆章、生体材料、vol.19、27-33、2001
その発生の時期の相違から、アルカリフォスファターゼの量が減少しても、オステオカルシンの量が増加していることがあり、一概にアルカリフォスファターゼの量のみによって骨芽細胞への十分な分化を判断することは困難である。また、オステオカルシンの量が十分に多い場合においても、いくつかの細胞が大量のオステオカルシンを産生しているに過ぎない場合もあり、生体組織補填体として十分な活性を備えているか否かを判断することが困難であった。
アルカリフォスファターゼの量およびオステオカルシンの量の変化を経時的に測定していき、その変化の推移から、十分に活性を備えた生体組織補填体として最適な状態となる時点を推定して出荷することも考えられる。しかし、これらの検査は生体素既補填体を潰して行う、いわゆる侵襲的な方法なので、検査に要する時間、サンプル作製などの検査に要する費用を考慮すると現実的な手段ではない。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、生体組織補填体の出荷時における簡易な測定により、十分に活性を備えた生体組織補填体を出荷することを可能にする生体組織補填体の検査方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明は、培養容器に貯留した培地内において生体組織補填体を培養する過程において、培養容器内面に酸素感受性蛍光化合物を配置しておき、単位時間間隔をあけて測定した酸素感受性蛍光化合物から発せられた蛍光量の差分に基づいて、培地内に溶存する酸素量の低下速度を算出し、算出された酸素量の低下速度に基づいて細胞の分化段階を判断する生体組織補填体の検査方法を提供する。
本発明は、培養容器に貯留した培地内において生体組織補填体を培養する過程において、培養容器内面に酸素感受性蛍光化合物を配置しておき、単位時間間隔をあけて測定した酸素感受性蛍光化合物から発せられた蛍光量の差分に基づいて、培地内に溶存する酸素量の低下速度を算出し、算出された酸素量の低下速度に基づいて細胞の分化段階を判断する生体組織補填体の検査方法を提供する。
この発明によれば、酸素感受性蛍光化合物が発する蛍光量を測定することで、容器の外部から、培地内に溶存している酸素量を把握することが可能となる。酸素感受性蛍光化合物は、一般に、酸素濃度が低くなると蛍光量が強くなる特徴を有する。したがって、細胞数または細胞酸素消費速度が蛍光強度と相関しており、蛍光量の強度が増加する速度を検出することにより、非侵襲的で簡易に細胞数または酸素消費速度を把握することが可能となる。
また、本発明は、培養容器に貯留した培地内において生体組織補填体を培養する過程において、培地内に溶存する酸素量の低下速度を測定するステップと、測定された酸素量低下速度が所定値以上であるか否かを判断するステップと、酸素量低下速度が所定値以上である場合に、培養された生体組織補填体に含まれるアルカリフォスファターゼの量を測定するステップと、測定されたアルカリフォスファターゼの量が所定値以上か否かを判断するステップと、アルカリフォスファターゼが所定値以上である場合に、培養終了を判断するステップとを備える生体組織補填体の検査方法を提供する。
この発明によれば、まず、培地内に溶存する酸素量の低下が測定される。培地内の酸素量の低下速度は、酸素の消費速度を意味し、培地内に存在している細胞数を間接的に示している。すなわち、細胞数が変化しない場合、培地内の酸素量は所定の速度で低下していくが、細胞数が増加すると培地内の酸素量はそれよりも高い速度で低下していくことになる。したがって、酸素量の低下速度を測定していくことにより、培地内の細胞数や細胞の分化の程度を把握することが可能となる。このステップにおいて、細胞数が所定数を超えたことあるいは、細胞が所定の分化段階にあることが判断されるので、アルカリフォスファターゼが所定値を超えたことを条件として培養を終了することが判断される。その結果、少ない数の細胞が大量のアルカリフォスファターゼを分泌しているような場合を除外して、補填後に十分な骨形成作用を生じ得る生体組織補填体を出荷することが可能となる。
また、本発明は、上記発明において、測定されたアルカリフォスファターゼの量が所定値より少ないと判断されたときに、培養された生体組織補填体に含まれるオステオカルシンの量を測定するステップと、測定されたオステオカルシンの量が所定値以上であるか否かを判断するステップと、オステオカルシンの量が所定値以上である場合に、培養終了を判断するステップとを備える生体組織補填体の検査方法を提供する。
この発明によれば、アルカリフォスファターゼの量が少ない場合であっても、オステオカルシンの量が十分に多い場合には、細胞の活性が十分であると判断することができ、しかも、十分な数の細胞が存在しているために、補填後に十分な生体組織形成作用を生じ得る生体組織補填体を出荷することが可能となる。
さらに、上記発明においては、培養容器内面に酸素感受性蛍光化合物を配置しておき、単位時間間隔をあけて測定した酸素感受性蛍光化合物から発せられた蛍光量の差分に基づいて、酸素量の低下速度を算出することが好ましい。
この発明によれば、非侵襲的で簡易に細胞数あるいは細胞分化段階を把握することができる。
この発明によれば、非侵襲的で簡易に細胞数あるいは細胞分化段階を把握することができる。
また、本発明は、培養容器に貯留した培地内において生体組織補填体を培養する過程において、培地内に溶存する酸素量の低下速度を測定する酸素量低下速度測定手段と、培養された生体組織補填体に含まれるアルカリフォスファターゼの量を測定するアルカリフォスファターゼ量測定手段と、測定された酸素量低下速度が所定値以上であるか否かを判断する第1判断手段と、測定されたアルカリフォスファターゼの量が所定値以上か否かを判断する第2判断手段と、酸素量低下速度が所定値以上であり、かつ、アルカリフォスファターゼの量が所定値以上である場合に培養終了を判断する最終判断手段とを備える生体組織補填体の検査装置を提供する。
この発明によれば、酸素量低下速度測定手段の作動により、培地内に溶存する酸素量の低下速度が測定される。そして、第1判断手段の作動により、酸素量低下速度が所定値以上であるか否かが判断される。また、アルカリフォスファターゼ量測定手段の作動により、生体組織補填体に含まれるアルカリフォスファターゼの量が測定される。そして、第2判断手段の作動により、アルカリフォスファターゼの量が所定値以上か否かが判断される。その後、最終判断手段により、アルカリフォスファターゼの量のみならず、溶存酸素量すなわち細胞数によって培養の終了が判断されるので、十分に活性を有し、補填された後にも生体組織形成作用を十分に発揮し得る生体組織補填体を提供することが可能となる。
また、本発明は、容器内面に配置した溶存酸素検出物質を、酸素透過膜により被覆してなる培養容器を提供する。
この発明の培養容器内において、培地内に含有された細胞を培養すると、細胞が培地内の酸素を消費して成長する。当初は培地内に溶存している酸素量が多いため、酸素透過膜を透過して溶存酸素検出物質により検出される酸素量が多いが、培養時間の経過とともに酸素量が少なくなってくる。したがって、検出される酸素量の低下速度を測定することにより、簡易に、培地内の細胞数または酸素消費速度を把握することが可能となる。
この発明の培養容器内において、培地内に含有された細胞を培養すると、細胞が培地内の酸素を消費して成長する。当初は培地内に溶存している酸素量が多いため、酸素透過膜を透過して溶存酸素検出物質により検出される酸素量が多いが、培養時間の経過とともに酸素量が少なくなってくる。したがって、検出される酸素量の低下速度を測定することにより、簡易に、培地内の細胞数または酸素消費速度を把握することが可能となる。
上記発明においては、前記溶存酸素検出物質が、酸素感受性蛍光化合物であることが好ましい。
この発明によれば、酸素感受性蛍光化合物の発する蛍光量の変化速度を測定することにより、非侵襲で簡易に細胞数または酸素消費速度を把握できる。
この発明によれば、酸素感受性蛍光化合物の発する蛍光量の変化速度を測定することにより、非侵襲で簡易に細胞数または酸素消費速度を把握できる。
さらに、本発明は、培養容器に貯留した培地内において生体組織補填体を培養する過程において、培養容器内面に酸素感受性蛍光化合物を配置しておき、単位時間間隔をあけて測定した酸素感受性蛍光化合物から発せられた蛍光量の差分に基づいて、培地内に溶存する酸素量の低下速度を算出し、算出された酸素量の低下速度に基づいて培地内に存在する微生物量を判断する培養状態検査方法を提供する。
この発明によれば、培地内に溶存する酸素量が、細胞による酸素消費速度を大幅に上回って急激に低下している場合に、培地内に他の微生物等が存在すると判断できる。
この発明によれば、培地内に溶存する酸素量が、細胞による酸素消費速度を大幅に上回って急激に低下している場合に、培地内に他の微生物等が存在すると判断できる。
本発明によれば、非侵襲で経時的な測定を行うことにより、出荷時等に短時間に判断することができるので、検査のコストや手間を省くことが可能となる。
この発明の一実施形態に係る生体組織補填体の検査方法および装置について図1を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る生体組織補填体の検査方法は、例えば、骨髄間葉系幹細胞をリン酸カルシウム多孔体のような生体組織補填材に付着させて所定期間培養した培養骨の検査方法である。この検査方法は、図1に示されるように、第1ステップS1から第6ステップS6までの6個のステップを備えている。
本実施形態に係る生体組織補填体の検査方法は、例えば、骨髄間葉系幹細胞をリン酸カルシウム多孔体のような生体組織補填材に付着させて所定期間培養した培養骨の検査方法である。この検査方法は、図1に示されるように、第1ステップS1から第6ステップS6までの6個のステップを備えている。
第1ステップS1は、培養骨に含まれる細胞数を把握するために培地内に溶存している酸素量の低下速度を測定する。第2ステップS2は、酸素量低下速度が所定のしきい値A1より大きいか否かを判断する。第3ステップS3は、酸素量低下速度が所定のしきい値A1より大きいと判断された場合に、提供された培養骨に含まれるアルカリフォスファターゼの量を測定する。第4ステップS4は、アルカリフォスファターゼの量が所定のしきい値A2より大きいか否かを判断する。第5ステップS5は、アルカリフォスファターゼの量が所定のしきい値A2より大きい場合に、出荷を許可するステップである。第6ステップS6は、アルカリフォスファターゼの量がしきい値A2より少ない場合に出荷を禁止するステップである。
酸素量低下速度は、培養容器の内面に配置した酸素感受性蛍光化合物から発せられる蛍光量の時間変化を測定することにより求められる。酸素感受性蛍光化合物は、例えば、トリス1、7−ジフェニル−1、10フェナトロリン塩化ルテニウム(II)である。
アルカリフォスファターゼの量は、P−ニトロフェニルリン酸法(和光純薬)でP−ニトロフェノールの生成速度を測定することにより測定される。
アルカリフォスファターゼの量は、P−ニトロフェニルリン酸法(和光純薬)でP−ニトロフェノールの生成速度を測定することにより測定される。
しきい値A1,A2は、細胞の種類、適用条件等に応じて適宜設定されている。
図2に示されるように、酸素感受性蛍光化合物からの蛍光量が、細胞の分化の程度(a:幹細胞のみ、b:幹細胞と骨芽細胞とが混在、c:骨芽細胞のみ)に応じて異なる。このため、各分化段階における典型的な場合の蛍光量の増加速度を実験等によって求めておき、例えば、骨芽細胞のみを含有する培養骨を出荷しようとする場合には、十分な培養時間が経過した後の蛍光量の増大速度A1(c)をしきい値とすればよい。
また、しきい値A2は、例えば、20IU/L/37℃である。
図2に示されるように、酸素感受性蛍光化合物からの蛍光量が、細胞の分化の程度(a:幹細胞のみ、b:幹細胞と骨芽細胞とが混在、c:骨芽細胞のみ)に応じて異なる。このため、各分化段階における典型的な場合の蛍光量の増加速度を実験等によって求めておき、例えば、骨芽細胞のみを含有する培養骨を出荷しようとする場合には、十分な培養時間が経過した後の蛍光量の増大速度A1(c)をしきい値とすればよい。
また、しきい値A2は、例えば、20IU/L/37℃である。
なお、それぞれの状態におけるしきい値A1(a〜c)を培養時間との関係で設定しておくことにより、培養骨に含有される細胞を幹細胞のみ、幹細胞と骨芽細胞とが混在、または骨芽細胞のみの状態のいずれかを選択して、検査を行うことができる。また、培養期間中、定期的に蛍光量を測定していくことにより得られる、図2のような蛍光量の増大パターンの変化によって、より正確に細胞の分化段階を確認することができる。
このように構成された本実施形態に係る検査方法によれば、最終的な出荷の許可が、アルカリフォスファターゼの量のみによって判断されるのではなく、培地内の溶存酸素量の低下速度が所定値以上であることを前提条件として判断されるので、より正確に培養骨の機能を評価することができる。すなわち、アルカリフォスファターゼの量がしきい値A2より多いことにより、間葉系幹細胞が骨芽細胞に分化していることが推測できるとともに、酸素量の低下速度がしきい値A1より大きいことにより、細胞数が多いことあるいは細胞活性が高いこと、つまり、補填後に十分な骨形成作用が発生することが推測できる。そして、アルカリフォスファターゼの量の変化を経時的に測定するのではなく、比較的短時間の内にこのような判断を行うことができるので、検査に要するコストや手間を省くことができるという効果を奏する。
次に、本発明の第2の実施形態に係る生体組織補填体の検査方法は、図3に示されるように、提供された培養骨に含まれるオステオカルシンの量を測定する第7ステップS7と、オステオカルシンの量が所定のしきい値A3より多いか否かを判断する第8ステップS8とをさらに備えている点で、第1の実施形態に係る生体組織補填体の検査方法と相違している。
本実施形態に係る検査方法によれば、第4ステップS4において、アルカリフォスファターゼの量がしきい値A2より少ない場合には、第7ステップS7において、オステオカルシン量が測定される。そして、第8ステップS8において、オステオカルシンの量がしきい値A3より多いか否かが判断される。オステオカルシンの量がしきい値A3より多いと判断された場合には、たとえ、アルカリフォスファターゼの量が少ない場合であっても、骨芽細胞の活性が十分に高いと考えられるので、第5ステップS5に進んで出荷が許可され、オステオカルシンの量がしきい値A3以下の場合に初めて、ステップS6において出荷が禁止されることになる。
オステオカルシンの量は、EIA法によるオステオカルシン測定キット(タカラ・バイオ)により測定される。
しきい値A3は、細胞の種類、適用条件等に応じて適宜設定されている。例えば、しきい値A3は、10ng/mlである。
しきい値A3は、細胞の種類、適用条件等に応じて適宜設定されている。例えば、しきい値A3は、10ng/mlである。
したがって、最終的な出荷の許可が、アルカリフォスファターゼの量による判断に加えて、オステオカルシンの量により判断されるとともに、細胞数が所定値以上含まれていることあるいは細胞活性が所定値以上に高いことをも条件として判断されるので、より正確に培養骨の機能を評価することができる。
その結果、骨欠損部に補填された後に、十分な骨形成作用を生じ得る培養骨のみに対して出荷の許可が出されるので、高い性能の培養骨を提供することが可能となる。
その結果、骨欠損部に補填された後に、十分な骨形成作用を生じ得る培養骨のみに対して出荷の許可が出されるので、高い性能の培養骨を提供することが可能となる。
次に、本実施形態に係る生体組織補填体の検査装置1について、図4および図5を参照して説明する。
本実施形態に係る検査装置1は、図4に示されるように、培養された所定量の培養骨を投入されることにより、当該培養骨に対して、培地内の溶存酸素量の低下速度を測定する酸素量低下速度測定部2と、アルカリフォスファターゼの量を測定するアルカリフォスファターゼ量測定部3と、オステオカルシンの量を測定するオステオカルシン量測定部4と、これらの測定部2〜4から出力された測定結果に基づいて、上述した図1または図3の処理を施す判断部5とを備えている。判断部5からの出力が検査装置1から出力され、符号6に示すディスプレイのような表示部に表示されることになる。
その結果、迅速に出荷の可否が判断でき、出荷を禁止された培養骨に対しては、再度の培養等の処理が施されることになる。
本実施形態に係る検査装置1は、図4に示されるように、培養された所定量の培養骨を投入されることにより、当該培養骨に対して、培地内の溶存酸素量の低下速度を測定する酸素量低下速度測定部2と、アルカリフォスファターゼの量を測定するアルカリフォスファターゼ量測定部3と、オステオカルシンの量を測定するオステオカルシン量測定部4と、これらの測定部2〜4から出力された測定結果に基づいて、上述した図1または図3の処理を施す判断部5とを備えている。判断部5からの出力が検査装置1から出力され、符号6に示すディスプレイのような表示部に表示されることになる。
その結果、迅速に出荷の可否が判断でき、出荷を禁止された培養骨に対しては、再度の培養等の処理が施されることになる。
酸素量低下速度測定部4は、図5(a)に示されるように、内部に貯留された培地7内において培養骨8を培養する培養容器9と、該培養容器9の外部に配置された光センサ10と、該光センサ10に接続された測定部本体11とを備えている。
培養容器9は、図5(b)に示されるように、内面に上述した酸素感受性蛍光化合物12を塗布し、これを酸素透過膜13で被覆して構成されている。酸素透過膜13は、例えば、シリコーン膜である。
培養容器9は、図5(b)に示されるように、内面に上述した酸素感受性蛍光化合物12を塗布し、これを酸素透過膜13で被覆して構成されている。酸素透過膜13は、例えば、シリコーン膜である。
前記測定部本体11は、光センサ10において受光された蛍光量に応じて発せられる電気信号E1,E2を、所定の時間間隔tをあけて保持し、それらの電気信号E1,E2の差分ΔE=E1−E2を計算する。そして、得られた差分値ΔEを時間間隔tで割ることにより、単位時間あたりの光量の変化、すなわち、蛍光量の変化速度V=ΔE/tを算出して出力するようになっている。測定部本体11は、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれにより構成してもよい。
このように構成された本実施形態に係る生体組織補填体の検査装置1によれば、アルカリフォスファターゼの量のみならず、溶存酸素量、すなわち細胞数が多いこと、あるいは細胞の活性自体が高いことを前提として培養の終了が判断されるので、十分に活性を有し、補填された後にも生体組織形成作用を十分に発揮し得る生体組織補填体を提供することができる。
特に、上記培養容器9によれば、内面に配置した酸素感受性蛍光化合物12の発する蛍光により、培地7や培養骨8に直接接触することなく、培養容器9の外部から培地7内の溶存酸素量の低下速度を測定できる。したがって、培地7や培養骨8に異物を混入させることなく、細胞数や細胞活性を推定することができる。
また、培養中に、培地内に何らかの微生物等が混入した場合には、培地内に溶存する酸素の消費速度が急激に増大するため、上記方法により溶存酸素量の低下速度を経時的に測定しておくことで、生体組織補填体の微生物汚染等の培養状態を検査することにも応用することができる。
また、酸素感受性蛍光化合物12を酸素透過膜13により被覆することにより、蛍光物質である酸素感受性蛍光化合物12が培地7や培養骨8に直接接触することがなく、また、混入することもない。したがって、検出に必要な酸素のみを酸素透過膜13を通して酸素感受性蛍光化合物12に到達させることができる。
なお、上記実施形態においては、生体組織補填体として、リン酸カルシウム多孔体に骨髄間葉系幹細胞を付着させた培養骨を採用したが、細胞を付着させる生体組織補填材としては、β−TCPのようなリン酸カルシウムの他、ハイドロキシアパタイトなどの他のリン酸カルシウム、コラーゲンやキチンなどの天然高分子材料、ポリ乳酸やε−カプロラクタンのような合成高分子材料、チタン合金やステンレス鋼316およびタンタル合金のような金属材料や金属繊維およびこれらの材料の少なくとも2種類以上の複合材などを採用してもよい。また、生体組織補填材に生着させる細胞としては骨髄細胞に含まれる間葉系幹細胞の他、末梢血、臍帯血から分離した間葉系幹細胞を用いて生体組織補填体を製造することにしてもよい。また、間葉系幹細胞に代えて、ES細胞、体性幹細胞、骨細胞、軟骨細胞あるいは神経細胞等を採用してもよい。
また、自家細胞に限らず他家細胞でもよい。
また、自家細胞に限らず他家細胞でもよい。
さらに、酸素感受性蛍光化合物12の発する蛍光量の増加速度の測定により、培地7内部の酸素量低下速度を求めたが、これに限定されることなく、異物さ細菌の混入等に対して十分な対策が可能であれば、培地7内に測定プローブを入れて、直接、含有酸素量を測定することにしてもよい。
S1 第1ステップ(酸素量低下速度測定ステップ)
S2 第2ステップ(酸素量低下速度が所定値以上か否かを判断するステップ)
S3 第3ステップ(アルカリフォスファターゼの量を測定するステップ)
S4 第4ステップ(アルカリフォスファターゼの量が所定値以上か否かを判断するステップ)
S5 第5ステップ(培養終了を判断するステップ)
S7 第7ステップ(オステオカルシンの量を測定するステップ)
S8 第8ステップ(オステオカルシンの量が所定値以上であるか否かを判断するステップ)
1 検査装置
2 酸素量低下速度測定部(酸素量低下速度測定手段)
4 アルカリフォスファターゼ測定部(アルカリフォスファターゼ量測定手段)
5 判断部(第1判断手段、第2判断手段、最終判断手段)
7 培地
8 培養骨(生体組織補填体)
9 培養容器
12 酸素感受性蛍光化合物(溶存酸素検出物質)
13 酸素透過膜
S2 第2ステップ(酸素量低下速度が所定値以上か否かを判断するステップ)
S3 第3ステップ(アルカリフォスファターゼの量を測定するステップ)
S4 第4ステップ(アルカリフォスファターゼの量が所定値以上か否かを判断するステップ)
S5 第5ステップ(培養終了を判断するステップ)
S7 第7ステップ(オステオカルシンの量を測定するステップ)
S8 第8ステップ(オステオカルシンの量が所定値以上であるか否かを判断するステップ)
1 検査装置
2 酸素量低下速度測定部(酸素量低下速度測定手段)
4 アルカリフォスファターゼ測定部(アルカリフォスファターゼ量測定手段)
5 判断部(第1判断手段、第2判断手段、最終判断手段)
7 培地
8 培養骨(生体組織補填体)
9 培養容器
12 酸素感受性蛍光化合物(溶存酸素検出物質)
13 酸素透過膜
Claims (8)
- 培養容器に貯留した培地内において生体組織補填体を培養する過程において、
培養容器内面に酸素感受性蛍光化合物を配置しておき、単位時間間隔をあけて測定した酸素感受性蛍光化合物から発せられた蛍光量の差分に基づいて、培地内に溶存する酸素量の低下速度を算出し、算出された酸素量の低下速度に基づいて細胞の分化段階を判断する生体組織補填体の検査方法。 - 培養容器に貯留した培地内において生体組織補填体を培養する過程において、
培地内に溶存する酸素量の低下速度を測定するステップと、
測定された酸素量低下速度が所定値以上であるか否かを判断するステップと、
酸素量低下速度が所定値以上である場合に、培養された生体組織補填体に含まれるアルカリフォスファターゼの量を測定するステップと、
測定されたアルカリフォスファターゼの量が所定値以上か否かを判断するステップと、
アルカリフォスファターゼが所定値以上である場合に、培養終了を判断するステップとを備える生体組織補填体の検査方法。 - 測定されたアルカリフォスファターゼの量が所定値より少ないと判断されたときに、培養された生体組織補填体に含まれるオステオカルシンの量を測定するステップと、
測定されたオステオカルシンの量が所定値以上であるか否かを判断するステップと、
オステオカルシンの量が所定値以上である場合に、培養終了を判断するステップとを備える請求項2に記載の生体組織補填体の検査方法。 - 培養容器内面に酸素感受性蛍光化合物を配置しておき、単位時間間隔をあけて測定した酸素感受性蛍光化合物から発せられた蛍光量の差分に基づいて、酸素量の低下速度を算出する請求項2または請求項3に記載の生体組織補填体の検査方法。
- 培養容器に貯留した培地内において生体組織補填体を培養する過程において、培地内に溶存する酸素量の低下速度を測定する酸素量低下速度測定手段と、
培養された生体組織補填体に含まれるアルカリフォスファターゼの量を測定するアルカリフォスファターゼ量測定手段と、
測定された酸素量低下速度が所定値以上であるか否かを判断する第1判断手段と、
測定されたアルカリフォスファターゼの量が所定値以上か否かを判断する第2判断手段と、
酸素量低下速度が所定値以上であり、かつ、アルカリフォスファターゼの量が所定値以上である場合に培養終了を判断する最終判断手段とを備える生体組織補填体の検査装置。 - 容器内面に配置した溶存酸素検出物質を、酸素透過膜により被覆してなる培養容器。
- 前記溶存酸素検出物質が、酸素感受性蛍光化合物である請求項6に記載の培養容器。
- 培養容器に貯留した培地内において生体組織補填体を培養する過程において、
培養容器内面に酸素感受性蛍光化合物を配置しておき、単位時間間隔をあけて測定した酸素感受性蛍光化合物から発せられた蛍光量の差分に基づいて、培地内に溶存する酸素量の低下速度を算出し、算出された酸素量の低下速度に基づいて培地内に存在する微生物量を判断する培養状態検査方法。
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