JP2004097116A - 微生物による水素生産方法、微生物による水素生産装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】微生物を用いた水素生産において、水素の生産システムを簡略化し、水素の生産効率を向上し、水素の量産化・工業化を図る。
【解決手段】明好気条件下、液相の浸透圧が5.0atm以上の条件で、光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程と、明嫌気条件下、上記資化源を用いて光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程を経て微生物により水素を生産する。光合成能力を有する微細藻及び細菌は、液体中に存在させ、該液体に不溶な担体に固定化された状態で用いられ、光合成能力を有する細菌は、ニトロゲナーゼが高活性で誘導された状態で用いられていることが好ましい。また、光合成能力を有する微細藻により水素生産の資化源を経る工程における気相中の二酸化炭素は1.0%〜20.0%の高濃度にする。
【選択図】 図1
【解決手段】明好気条件下、液相の浸透圧が5.0atm以上の条件で、光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程と、明嫌気条件下、上記資化源を用いて光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程を経て微生物により水素を生産する。光合成能力を有する微細藻及び細菌は、液体中に存在させ、該液体に不溶な担体に固定化された状態で用いられ、光合成能力を有する細菌は、ニトロゲナーゼが高活性で誘導された状態で用いられていることが好ましい。また、光合成能力を有する微細藻により水素生産の資化源を経る工程における気相中の二酸化炭素は1.0%〜20.0%の高濃度にする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微生物による水素生産方法、微生物による水素生産装置に関し、詳しくは、水素の生産効率を向上し、微生物による水素生産の量産化、工業化を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油・石炭をはじめとする化石燃料の代替として、クリーンエネルギー源である水素が着目されている。水素エネルギーは燃料電池として高い効率で電気エネルギーへ変換できること、発熱量が石油の3〜4倍で、燃焼後は水を生じて環境汚染の恐れが少ない等の利点を有している。
【0003】
このような水素の生成方法としては、従来、水の電気分解等の非生物による水素生産方法、光合成生物等の生物による水素生産方法等が行われている。生物による水素生産方法としては、藻類等の微生物を用いることが研究されており、種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、本出願人は、特開昭58−60992号で、水素発生能を有する緑藻を、明好気条件下に水中で培養するサイクルと、暗嫌気条件下に水中で培養するサイクルを交互に繰り返し、明好気条件下の培養中に光合成を行わせ、暗微好気条件下で、光合成により蓄積した物質を分解して水素を発生させる水素生産方法を提案している。
【0005】
また、特開平10−42881号では、海洋性緑藻や海洋性光合成バクテリア等を用いた水素等の有用ガスの生産システムにおいて、緑藻醗酵プロセスの醗酵槽のパージガスとして二酸化炭素を用いている微生物を用いた有用ガス生産プロセスが提案されている。
【0006】
さらに、本出願人は、特開2000−102397号で、光合成能力を有する微細藻を明好気条件下培養して光合成産物を得る工程、該微細藻を暗嫌気条件下培養し、該光合成産物の発酵液を得る工程、および該発酵液に、明嫌気条件下、光合成能力を有する細菌を作用させる工程を含む水素の生産方法において、該明好気条件下の微細藻の培養及び/又は明嫌気条件下で該発酵液に細菌を作用させる工程が透明塔型エアーリフト培養槽で行われる水素の生産方法を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭58−60992号は、水素を生成することが可能であるものの、最適な水素生産の条件が未だ確立されておらず、量産化、工業化への対応の点で未だ改善の余地がある。
【0008】
また、特開平10−42881号は、パージガスを二酸化炭素とすることで、水素生産量を改善しているが、培養槽において緑藻を培養し、培養した緑藻液を用いて澱粉を蓄積しているため、培養と澱粉合成に必要な光エネルギーが大量に必要となる上に、暗嫌気条件下での醗酵工程が必要であるため工程や設備が煩雑となり、水素生産の効率が悪く、生産性が悪いという問題がある。また、バッチ処理操作で運転されるため、量産化、工業化へ対応できないという問題がある。
【0009】
さらに、特開2000−102397号は、明好気的条件下における微細藻の培養及び/又は明嫌気条件下における光合成細菌による水素生産を、透明塔型エアーリフト培養槽を用いることにより、水素生産を効率よく行うことができる。しかし、光合成産物を得る工程と、醗酵液を得る工程とを別工程で行っているため、水素の生産効率が未だ充分とはいえない。従って、水素の量産化・工業化の点において未だ改善の余地があり、さらなる生産工程の簡略化、製造設備の削減が望まれている。
【0010】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、微生物を用いた水素生産において、水素の生産効率を向上し、水素の量産化・工業化を図ることを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、明好気条件下、液相の浸透圧が5.0atm以上の条件で、光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程と、
明嫌気条件下、上記資化源を用いて光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程とを含むことを特徴とする微生物による水素生産方法を提供している。
【0012】
このように、本発明では、太陽光等の光が照射され酸素が存在する明好気条件下において、液相の浸透圧を高めているため、光合成能力を有する微細藻が、光エネルギーを利用して光合成によりグリセロール等の低分子有機物を主成分とする水素生成の資化源を生成し、その資化源を細胞外に分泌する。また、微細藻を固定化して用いる、気相中の二酸化炭素濃度を高める等の微細藻へのストレスを高めることも光合成低分子有機物の細胞外への分泌を促進する。このようにして、暗嫌気条件下での光合成能力を有する微細藻による醗酵・分解工程を経ることなく、光合成能力を有する微細藻を用いて、より簡易にグリセロール等の水素生成の資化源を得ることができる。従って、水素の生産システムを簡略化し、水素の生産効率を向上し、水素の量産化・工業化を図ることができる。
【0013】
即ち、本発明は、鋭意研究の結果、光合成能力を有する微細藻は、通常、光合成により得られた澱粉等の有機物からなる光合成産物を細胞内に蓄積するが、液相の浸透圧を高めることに加え、微細藻を固定化したり、気相中の二酸化炭素の濃度を高めたりして微細藻に対してストレスを与えることにより、該微細藻が光合成により生産した水素生産の資化源であるグリセロール等の低分子有機物を細胞外へ分泌することを見出したことに基づくものである。
【0014】
光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程中、上記のように液相の浸透圧を5.0atm以上としているのは、浸透圧がこれより小さいと、光合成能力を有する微細藻により生成された光合成産物が微細藻内に蓄積されてしまい、光合成産物が水素生成の資化源として微細藻外へ分泌されない。よって、水素生成の資化源が不足し、水素の生成効率が低下するためである。液相の浸透圧は、さらに好ましくは10.0atm以上、より好ましくは20.0atm以上が良い。液相の浸透圧が高い方が資化源を効率良く得ることができるが、微細藻の存在環境等を考慮すると30.0atm以下が良い。
なお、光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程中、液相の浸透圧は10.0atm〜30.0atmであるのが好ましい。
【0015】
上記光合成能力を有する微細藻は、液体中に存在させ、該液体に不溶な担体に30mg乾燥重量/cm3(担体)〜70mg乾燥重量/cm3(担体)固定化された状態で用いられていることが好ましい。このように微細藻を固定化することで、微細藻を用いてより効率良く水素資化源を生成することができる。さらに好ましくは40mg乾燥重量/cm3(担体)〜50mg乾燥重量/cm3(担体)で固定化するのが良い。
【0016】
上記光合成能力を有する細菌は、液体中に存在させ、該液体に不溶な担体に10mg乾燥菌体重量/cm3(担体)〜50mg乾燥菌体重量/cm3(担体)固定化された状態で用いられていることが好ましい。さらに好ましくは20mg乾燥菌体重量/cm3(担体)〜40mg乾燥菌体重量/cm3(担体)で固定化するのが良い。
【0017】
浮遊細胞として用いるのではなく、微細藻や細菌を担体に固定化することで、細胞にストレスを与えるだけでなく、単位体積当たりの細胞密度を高めることができると共に、細胞活性を安定化することができ、微細藻や細菌の作用を長期に渡って持続させることができる。また、固定化された微細藻や細菌が死滅すると自ら容易に担体から外れ、その後、微細藻や細菌が新たに増殖等して担体に固着するため、連続的に微細藻や細菌の作用を得ることができる。さらに、上記担体は、微細藻や細菌を存在させる液体に不溶であるため、微細藻や細菌を固定化した担体と、液体とをフィルター等を用いて固液分離により容易に分離することができる。よって、微細藻や細菌を固定化した担体のみを回収して再循環させたり、必要な溶液のみを流通させたり、微細藻と細菌とが混合しないように分離したりすることもできる。
【0018】
ニトロゲナーゼが200〜1000nmolC2H4/mg cell dry wt/hrの活性(この活性はアセチレンのエチレンへの還元速度で測定した活性)で活性化され高誘導された状態で用いられていることが好ましい。これにより、光合成能力を有する微細藻が生成したグリセロール等の低分子有機物を主成分とする水素資化源のほとんどを水素に変えることができる。さらには500〜1000nmolC2H4/mg cell dry wt/hrの活性で活性化されるのが良い。
【0019】
細菌が担体に固定されると共に、水素生産を支配する酵素である二トロゲナーゼが高誘導された状態で用いられることにより、二トロゲナーゼが高活性の状態で安定化され、細菌が高密度とされる。よって、細菌は、細胞の増殖に基質、エネルギーを使うことなく、専ら水素生産に基質、エネルギーを使うので、高速度で水素生産を行うことができる。なお、細菌にニトロゲナーゼを高いレベルで誘導してから細菌を担体に固定化しても良いし、細菌を担体に固定化してから細菌にニトロゲナーゼを高いレベルで誘導しても良い。
【0020】
上記光合成能力を有する微細藻は、塩分濃度が1.0%〜10.0%である海水あるいは/及び少なくとも窒素供給源・無機成分・ビタミンを含む溶液や人工海水中に存在していることが好ましい。上記塩分濃度とすることにより、微細藻の働きにより水素資化源を効率良く細胞外に分泌することができる。さらに好ましくは3.0%〜5.0%が良い。なお、塩分濃度とは、NaClの濃度を指す。
【0021】
上記光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程中、二酸化炭素の体積濃度が1.0%〜20.0%である気体を通気していることが好ましい。さらには2.0%〜15.0%が良い。光合成による水素資化源の生成には炭素源が必要であるので、空気と二酸化炭素との混合気体を通気するのが好ましい。
【0022】
上記光合成能力を有する微細藻は、細胞の増殖が進行した対数増殖期後期乃至定常期の微細藻とし、細胞濃度が1.0×108cells/ml以上となるように、飽和状態で存在させている、あるいは/及び、
上記光合成能力を有する細菌は、細胞の増殖が進行した対数増殖期後期乃至定常期の細菌とし、細胞濃度が1.0×108cells/ml以上となるように、海水あるいは/及び少なくとも窒素供給源・無機成分・ビタミンを含む溶液中に飽和状態で存在させている。
【0023】
微細藻や細菌の細胞濃度が1.0×108cells/mlより小さいと各産物の生産効率を向上しにくくなる。また、細胞濃度は、1.0×109cells/ml以上がさらに好ましい。なお、細胞濃度は高いほど好ましいが、上限値としては、1.0×1010cells/ml程度である。また、対数増殖期後期乃至定常期の微細藻や細菌を用いることにより、各工程での反応の立ち上がり時間が早くなり初期の状態から高い生産効率を得ることができる。このため、光合成能力を有する微細藻を培養する工程、光合成能力を有する細菌を培養する工程を必要とせず、非常に効率良く水素を生産することができる。なお、上記溶液中には窒素源が少ない方が好ましく、塩化アンモニウム等の窒素源の濃度が0.1mM以下が好ましい。
【0024】
このように予め細胞が培養され、細胞濃度が高められた光合成能力を有する微細藻を用いると、明好気条件下で得られる光エネルギーが、微細藻の細胞増殖に使われることがなく、光合成産物の生成に集中的に費やされ、光合成産物を効率良く得ることができる。その結果、水素生成の資化源の生産効率も高めることができる。また、予め細胞が培養され、細胞濃度が高められた光合成能力を有する細菌を用いているため、太陽光等の光が照射され酸素が存在しない明嫌気条件下で得られる光エネルギーが、細菌の細胞増殖に使われることがなく、水素の生成に集中的に費やされ、水素を効率良く得ることができる。このように、一連の各工程で得られる産物の生産効率を向上することができるため、微生物を用いた水素生産において、最終生成物である水素の生産効率を向上することができ、水素の量産化・工業化を実現することができる。
【0025】
光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程と、資化源を用いて光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程とを連続的に行っていることが好ましい。各工程を連続的に行うことにより、生産速度を速めることができ、水素をより量産化することができる。
【0026】
光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程と、資化源を用いて光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程とは、各々独立した槽内で行われるのが好ましいが、各種気体・液体・固体等を適宜分離可能なフィルター等を介して1つの槽内で行うこともでき、2つ以上の槽を組み合わせて行うこともできる。
【0027】
本発明に用いる担体の材質としては、例えば、多孔質ガラスビーズ、ポリビニルアルコール、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリアクリルアミド、ポリビニルホルマール樹脂多孔質体、シリコンフォーム、セルロース多孔質体等の発泡体あるいは樹脂が好ましい。なお、多孔質体の開口部の大きさは、約10μm〜500μmが好適である。また、担体の形状は問わないが、担体の強度、培養効率等を考慮すると、球状あるいは立方体状で、大きさは、球状の場合、直径が1mm〜50mm、立方体状の場合、1mm〜50mm角が好ましい。
【0028】
また、微細藻や細菌の固定化には、例えば、担体結合法、架橋法および包括法等の公知の方法が適用でき、中でも担体結合法が最適である。担体結合法には、イオン交換性の樹脂に吸着させる化学的吸着法あるいは物理的吸着法が含まれる。微細藻、特に緑藻は、一般的に粘着性があり、容易に粘着固定化されるものが多い。細菌は細胞表面がマイナスに帯電しているものが多く、従って、固定化担体を予めプラスに帯電しているポリリジンによりコーティングし、これに細菌を電気的引力によって結合させると容易に固定化される。
【0029】
本発明に用いられる微細藻としては、光合成能力を有する微細藻を用いることができ、特に、緑藻、藍藻等が好ましい。緑藻としては、クラミドモナス(Chlamydomonas)属に属するクラミドモナス・ラインハルディ(Chlamydomonas reinhardtii)、クラミドモナス・モエブシイ(Chlamydomonas moewusii)、クラミドモナス属のMGA161株,W−80株、クラミドモナス ユーガメタス(Chlamydomonas eugametos)、クラミドモナス セグニス(Chlamydomonassegnis)、クロレラ(Chlorella)属に属するクロレラ ブルガリス(Chlorella vulgaris)、セネデスムス(Senedesmus)属に属するセネデスムス オブリガス(Senedesmus obliguus)およびデュナリエラ(Dunaliella)属に属するデュナリエラ テルトロレクタ(Dunaliella tertrolecta)等が挙げられる。また、藍藻類としては、アナべナ属(Anabaena)に属するアナべナ・バリアビリス(Anabanena variabilis)ATCC 29413、シアノテセ(Cyanothece)属の Cyanothece sp. ATCC 51142、シネノコッカス(Synechococcus)属に属するSynechococcus sp. PCC 7942およびアナシスティス(Anacystis)属に属するアナシスティス ニデュランス(Anacystisnidulans)等が挙げられ、1種または複数種を用いることができる。
【0030】
中でも、クラミドモナス(Chlamydomonas)属に属するクラミドモナス・ラインハルディは、水素資化源の分泌能力に優れるため好ましい。また、緑藻クラミドモナスMGA161株及びクラミドモナスW−80株は、海水から常法により単離された株であり、明好気条件下の光合成能力が高い上に、担体に固定化しやすいので好ましい。クラミドモナスMGA161株及びクラミドモナスW−80株あるいはこれに相当する株は、海水サンプルから光合成能力と分解能とで当業者が容易に単離することができる株である。
【0031】
光合成能力を有する細菌としては、光合成無機栄養細菌および光合成有機栄養細菌(紅色無硫黄細菌、緑色滑走細菌等)が用いられ、1種または複数種を用いることができる。本発明においては、光合成有機物を基質(電子供与体)とするので、光合成有機栄養細菌が好適に用いられる。光合成有機栄養細菌としては、ロドスピリルム科(Rhodospirillaceae)に属する紅色無硫黄細菌、クロロフレクスス科(Chloflexaceae)に属する緑色滑走細菌等が挙げられる。
【0032】
上記光合成有機栄養細菌は、例えば、海水サンプルから乳酸(例えば、0.3mM)を基質として水素を発生する微生物を選択することにより得ることができる。光合成細菌としては、例えば、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属に属するロドシュードモナス パラストリス(Rhodopseudomonas palustris)およびロドシュードモナス アシドフィラ(Rhodopseudomonas acidophila)、ロドスピリラム(Rhodospirillum)属に属するロドスピリラム ルブラム(Rhodospirillum rubrum)ATCC 11170、同IFO 3986等、ロドバクター(Rhodobacter)属に属するロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドバクターカプスレイタス(Rhodobacter capsulatus)ATCC 23782、ATCC 17013 等、ロドブラム(Rhodovulum)属に属するロドブラム ストリクタム(Rhodovulum strictum)ロドブラム アドリアティカム(Rhodovulum adriaticum)、ロドブラム・サルフィドフィラム(Rhodovulum sulfidophilum)等が挙げられる。本発明においては、海水サンプルから単離したロドブラム・サルフィドフィラムW−1Sと名付けた株およびこれと同等の活性を有する光合成細菌が好ましい。
【0033】
海水あるいは/及び窒素供給源・無機成分・ビタミンを含む溶液としては、適切な窒素供給源と無機成分・ビタミンを含む溶液であれば良い。無機成分を含む培地としては海水が好適に用いられるが、以下の組成の改変岡本培地(以下、MOM培地という):NaCl 30 g、CaCl2・2H2O 200 mg、MgSO4・7H2O 250 mg、FeSO4・7H2O 20 mg、KH2PO4 40.8mg、K2HPO4 495 mg、ビタミンB1 100 μg、ビタミンB12 1 μg、1M NH4Cl 5 ml、微量金属混合物A5 1.0 ml、蒸留水 1000 ml pH8.0も用いられる。
ここで、微量金属混合物A5の組成は、以下の通りである。
H3BO4 2.85 g、MnCl2・4H2O 1.81 g、ZnSO4・7H2O 0.22 g、CuSO4・5H2O 0.08 g、Na2MoO4 0.021g、CaCl2・6H2O 0.01 g、EDTA・2Na 50 g、蒸留水 1000 ml。
【0034】
また、本発明は、光エネルギー及び熱エネルギーを、光合成能力を有する微細藻に均等に伝達可能な構成とされ、該光合成能力を有する微細藻を用いて水素資化源を生成する水素資化源生成槽と、
光エネルギー及び熱エネルギーを、光合成能力を有する細菌に均等に伝達可能な構成とされ、該光合成能力を有する細菌を用いて水素を生成する水素生成槽とを備えたことを特徴とする微生物による水素生産装置を提供している。
【0035】
上記構成とすることで、光合成能力を有する微細藻及び光合成能力を有する細菌を用いて、簡易な構成により効率良く水素を生産することができる。また、本発明の微細藻による水素生産装置は、太陽光を利用可能な設備であることが好ましいが、曇天時、夜間等の光量が不足する場合の光エネルギー源として光照射設備を備えていても良い。
【0036】
上記水素資化源生成槽と水素生成槽とは、パイプあるいは/及びフィルター等を介して連続的に配置されるのが好ましい。また、水素資化源生成槽あるいは/及び水素生成槽の各槽の出口には、フィルターが配置され、光合成能力を有する微細藻や光合成能力を有する細菌が槽外へ流出しない構成とすることが好ましい。これにより、水素の生産効率をより高めることができる。上記フィルターとしては、最も多く用いられるのは、ポリスルフォンであるが、これ以外にも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフロライト等が用いられる。また、各槽は、不要な気体を排出する排出口を備えていても良い。
【0037】
水素資化源生成槽あるいは/及び水素生成槽は、光エネルギー及び熱エネルギーを全ての細胞に均等に循環的に伝えられるような流路を備え、該流路内に光合成能力を有する微細藻を含む液体あるいは光合成能力を有する細菌を含む液体を流通する構成とすることが好ましい。これにより、均等に循環的に光エネルギーを伝達し、光阻害を低め、光合成能力を高めることができ、エネルギー効率が高まり、より生産性を向上することができる。具体的には、太陽光および/または人工光の照射下、透明塔型エアーリフト培養槽等を用いて行うことができる。なお、ヘリカルフローを生じる構造を持たせていることが好ましい。即ち、ヘリカルフロープロモーター付透明塔型エアーリフト反応槽を用いることが好ましい。なお、攪拌型槽とすることもできる。以上より、上記構成の本発明の微生物の水素生産装置を用いて、本発明の微生物による水素生産方法を行うのが最適である。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の微生物による水素生産方法を行う微生物による水素生産装置10の概略構成を示す。
微生物による水素生産装置10は、光エネルギー及び熱エネルギーを、光合成能力を有する微細藻に均等に伝達可能な構成とされ、該光合成能力を有する微細藻を用いて水素資化源を生成する水素資化源生成槽11からなる第1塔と、光エネルギー及び熱エネルギーを、光合成能力を有する細菌に均等に伝達可能な構成とされ、該光合成能力を有する細菌を用いて水素を生成する水素生成槽12からなる第2塔とを備えている。
【0039】
これらの2つの塔により、順次、明好気条件下、光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程と、明嫌気条件下、上記資化源を用いて光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程を連続的に行う構成としている。
【0040】
第1塔には海水を供給する供給管13が連結されている。第1塔と第2塔とは、第1パイプP1により連結されているが、第1塔から第1パイプP1への出口には、第1フィルターF1が設けられており、微細藻が第2塔に流通しない構成としている。また、第2塔からは水素回収用の第2パイプP2が設けらると共に、海水を排出する排出管14が設けられている。第2塔から第2パイプP2への出口には第2フィルターF2が設けられると共に、第2塔から排出管14の出口には第3フィルターF3が設けられ、細菌が第2塔の外へ流出しない構成としている。
【0041】
以下、具体的に、本発明の微生物による水素生産方法について詳述する。
まず、第1塔の入口から炭素源となる二酸化炭素、空気(酸素)、海水、緑藻等の微細藻を流入する。通気する気体中の二酸化炭素の体積濃度を5.0%としている。
【0042】
第1塔において、光合成能力を有する微細藻は、予め細胞が培養され、細胞濃度が高められた状態で用いられている。具体的には、光合成能力を有する微細藻は、細胞の増殖が進行した対数増殖期後期乃至定常期の微細藻とし、塩分濃度が3.0%である海水を主成分とする懸濁液中に存在させ、細胞濃度が1.0×108cells/ml以上となるように、懸濁液に不溶な担体に50mg乾燥重量/cm3(担体)固定化された状態で、飽和状態で用いられている。
【0043】
第1塔では、太陽光等の光が照射され酸素が存在する明好気条件とし。液相の浸透圧を24.6atm(気圧)の条件としている。光合成能力を有する微細藻は、二酸化炭素を炭素源とし、光エネルギーを利用して光合成産物を得て細胞内に蓄積すると共に、グリセロール等を微細藻の細胞中から懸濁液中に分泌する。このように分泌されたグリセロール等が水素生成の資化源として用いられる。これら水素生成の資化源の有機物が電子供与体として、光合成能力を有する細菌による水素生産に用いられる。
【0044】
微細藻と、微細藻から分泌された水素生成の資化源とを含む懸濁液は、フィルターF1により分離され、微細藻は第1塔中に残存し、微細藻から分泌された水素生成の資化源を含む懸濁液は、第1パイプP1を流通し、第2塔へ連続的に送られる。微細藻が担体に固定化されているとフィルターでの分離が容易となる。微細藻は第1塔内で循環させ、水素生成の資化源を得るために繰り返し用いられる。
【0045】
第1塔の出口での水素生成の資化源の濃度と、懸濁液の流出速度との積が水素生成の資化源の生産速度であり、第1塔は、この生産速度が最高となるような条件とされるのが好ましい。
【0046】
第2塔では、第1塔から送られてきた水素生成の資化源と光合成能力を有する細菌とを作用させ、水素を生成する。第2塔では、光合成能力を有する細菌は、予め細胞が培養され、細胞濃度が高められた状態で用いられている。具体的には、光合成能力を有する細菌は、細胞の増殖が進行した対数増殖期後期乃至定常期の細菌とし海水を主成分とする懸濁液中に存在させ、細胞濃度が1.8×108cells/mlとなるように、懸濁液に不溶な担体に30mg乾燥菌体重量/cm3(担体)固定化された状態で、飽和状態で用いられている。
【0047】
また、光合成能力を有する細菌は、ニトロゲナーゼが高誘導された状態で用いられている。具体的には、二トロゲナーゼが800nmolC2H4/mg cell dry wt/hrの活性(この活性はアセチレンのエチレンへの還元速度で測定した活性)で活性化されている。
【0048】
第2塔は、太陽光等の光が照射され酸素が存在しない明嫌気条件としている。光合成能力を有する細菌は、グリセロール、エタノール等の水素生成の資化源から、光エネルギーを利用して水素を生産している。得られた水素が第2パイプP2を通じて回収され、連続的に水素を得ている。また、細菌を含む懸濁液は、フィルターF3により分離され、細菌は第2塔中に残存し、懸濁液の主成分である海水は、排出管14から排出される。なお、生成した水素の一部を第2塔に循環させても良い。
【0049】
このように、上記方法では、光合成能力を有する微細藻を明好気条件下、液相の浸透圧が24.6atmの条件で用いているため、微細藻が光合成により光合成産物を得ると共に、暗嫌気条件下での醗酵工程を経ることなく光合成によりグリセロール等の水素生成の資化源を得ることができる。従って、醗酵工程を削減した、より簡易なシステムで水素生産に必要な産物を効率良く得ることができ、最終的には水素を非常に効率良く、連続的に生産することができる。よって、微生物を用いた方法により水素の量産化、水素生産の工業化を実現することができる。
【0050】
また、図2に第1、第2塔の具体的な構成を示す。
本実施形態では、第1、第2塔は、透明塔型エアーリフト槽30としている。透明塔型エアーリフト槽30は、円筒形とし、透明塔型エアーリフト槽30の下部に、液体が流れる程度の空間をあけて、内部円筒32を配置し、二重円筒構造としている。内部円筒32の内側と内部円筒32の外側とで、懸濁液33が循環するように構成されている。
【0051】
透明塔型エアーリフト槽30内に設けられた内部円筒32の内側の下部において、通気装置34から通気することにより、内部円筒32の内側の下部から上部へ向かって懸濁液33の流れを発生させ、内部円筒32の内側の上面では、その流れにより内部円筒32の外側へ懸濁液33が流れるようにしている。その後、懸濁液33が側壁35と内部円筒32との間の空間に沿って透明塔型エアーリフト槽30の下部へ向かって流れることにより、懸濁液33の循環状態を得ている。懸濁液33は、側壁35と内部円筒32との間を流れる際に最も強く、光が照射される構成としている。また、内部円筒32の上部には、螺旋状や放射状の流れを生み出すヘリカルフロープロモーター36が配置されている。
【0052】
即ち、透明塔型エアーリフト槽30は、光エネルギー及び熱エネルギーを全ての細胞に均等に循環的に伝えられるような流路を備えた装置とされている。この流路内に光合成能力を有する微細藻を含む液体あるいは光合成能力を有する細菌を含む液体である懸濁液を流通し、明好気条件下の光合成能力を有する微細藻あるいは明嫌気条件下の光合成能力を有する細菌に均等に循環的に光エネルギーを伝達し、光阻害を低め、光合成能力を高めている。よって、従来の攪拌型の培養槽を用いる場合に比べて、微細藻や細菌への光の照射時間を長くできるとともに、微細藻や細菌が効率よく循環されるため、全ての細胞に均等に循環的に光エネルギーを伝達し、光阻害の少ない効率の良い、光合成を行うことができる。
【0053】
また、第1、第2塔の温度は15℃〜35℃、気相の圧力は常圧である1atm程度、希釈率は0.05hr−1〜1hr−1、平均滞留時間は1hr〜20hrとされるのが好ましい。また、第1塔及び第2塔のpHは5〜8とされるのが良い。
【0054】
以下、本発明の微生物による水素生産方法の実施例、比較例について詳述する。
下記の表1の条件で各々水素を生産し、水素生産速度を測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
(実施例1)
上記第1実施形態と同様の装置を用い、以下の実験を行った。
第1、第2塔共に、実容積50Lのヘリカルフロープロモーター付きエアーリフト型バイオリアクターを用いた。アクリル樹脂製の透明塔型エアーリフト槽の高さは1.8m、外径は0.2m、アクリル樹脂製の内部円筒の直径は0.125mとした。通気装置であるガス吹き込み口を槽の底から0.05mの位置に設置した。具体的には、内径0.01mの円形チューブ(円の直径0.1m)に50個の内径0.001mの孔をあけ、そこからガスを吹き込んだ。
【0057】
明好気条件は、太陽光と光源(18W/m2)とを用いて行った。懸濁液の主成分は、海水とした。光合成能力を有する微細藻としては、緑藻クラミドモナスW−80を用いた。光合成能力を有する細菌は、ロドブラム・サルフィドフィラムW−1Sを用いた。担体としては、ポリビニルホルマールからなる多孔性高分子材料を用いた。
【0058】
(比較例1)
第1塔の液相の浸透圧を1.8atmとした。また、第1塔と第2塔の間に、暗嫌気条件下での光合成産物の醗酵工程を行う醗酵槽を設けた。懸濁液は第1塔から醗酵槽へ連続的に供給した。醗酵槽も同様に、実容積50Lのヘリカルフロープロモーター付きエアーリフト型バイオリアクターを用いた。
その他は、実施例1と同様とした。
【0059】
(比較例2)
第1塔の液相の浸透圧を1.9atmとした。その他は、実施例1と同様とした。
【0060】
表1に示すように、実施例1は、第1塔での液相の浸透圧が高いため、比較例2に比べて、非常に水素生産速度が早く、水素を効率良く生産できることが確認できた。また、実施例1は、比較例1よりも塔の数が1つ少なく醗酵工程を削減しているにもかかわらず、比較例1と水素生産速度がほぼ同等であり、より簡易なシステムによって水素を生産できることが確認できた。よって、本発明の方法によれば、水素を量産することができ、微生物による水素生産の工業化に非常に有用であることが確認できた。
【0061】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明の方法によれば、光合成能力を有する微細藻が液相の浸透圧の高い条件下で用いられているため、該微細藻が光エネルギーによりグリセロール等の低分子有機物を主成分とする水素生成の資化源を光合成し、細胞外へ分泌する。よって、醗酵工程を削減し、非常に効率良く水素を生産することができる。よって、微生物を用いて水素の量産化・工業化を図ることができ、燃料電池のエネルギー源として有効に用いることができる。
【0062】
また、石油を分解して水素を生成する方法等では、水素生成と共に二酸化炭素が排出されるが、本発明では、二酸化炭素を循環利用することができ、火力発電所等の煙道ガス中の二酸化炭素等を炭素源として使用することができ地球環境にも非常に優しいものである。さらに、海水を利用して水素を生成することができ、生成された水素をエネルギー源として使用することで最終的には水が得られるため、海水の淡水化への適用も可能である。
【0063】
本発明の装置によれば、微生物を用いて非常に容易かつ効率良く水素を生産することができる。また、不要な生産設備等を削減することができ、生産コストを大きく低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微生物による水素生産方法を行う、微生物による水素生産プロセスの概略構成図である。
【図2】本発明の微生物による水素生産装置である透明塔型エアーリフト槽の概略構成図である。
【符号の説明】
10 微生物による水素生産装置
11 水素資化源生成槽
12 水素生成槽
【発明の属する技術分野】
本発明は、微生物による水素生産方法、微生物による水素生産装置に関し、詳しくは、水素の生産効率を向上し、微生物による水素生産の量産化、工業化を図るものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、石油・石炭をはじめとする化石燃料の代替として、クリーンエネルギー源である水素が着目されている。水素エネルギーは燃料電池として高い効率で電気エネルギーへ変換できること、発熱量が石油の3〜4倍で、燃焼後は水を生じて環境汚染の恐れが少ない等の利点を有している。
【0003】
このような水素の生成方法としては、従来、水の電気分解等の非生物による水素生産方法、光合成生物等の生物による水素生産方法等が行われている。生物による水素生産方法としては、藻類等の微生物を用いることが研究されており、種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、本出願人は、特開昭58−60992号で、水素発生能を有する緑藻を、明好気条件下に水中で培養するサイクルと、暗嫌気条件下に水中で培養するサイクルを交互に繰り返し、明好気条件下の培養中に光合成を行わせ、暗微好気条件下で、光合成により蓄積した物質を分解して水素を発生させる水素生産方法を提案している。
【0005】
また、特開平10−42881号では、海洋性緑藻や海洋性光合成バクテリア等を用いた水素等の有用ガスの生産システムにおいて、緑藻醗酵プロセスの醗酵槽のパージガスとして二酸化炭素を用いている微生物を用いた有用ガス生産プロセスが提案されている。
【0006】
さらに、本出願人は、特開2000−102397号で、光合成能力を有する微細藻を明好気条件下培養して光合成産物を得る工程、該微細藻を暗嫌気条件下培養し、該光合成産物の発酵液を得る工程、および該発酵液に、明嫌気条件下、光合成能力を有する細菌を作用させる工程を含む水素の生産方法において、該明好気条件下の微細藻の培養及び/又は明嫌気条件下で該発酵液に細菌を作用させる工程が透明塔型エアーリフト培養槽で行われる水素の生産方法を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭58−60992号は、水素を生成することが可能であるものの、最適な水素生産の条件が未だ確立されておらず、量産化、工業化への対応の点で未だ改善の余地がある。
【0008】
また、特開平10−42881号は、パージガスを二酸化炭素とすることで、水素生産量を改善しているが、培養槽において緑藻を培養し、培養した緑藻液を用いて澱粉を蓄積しているため、培養と澱粉合成に必要な光エネルギーが大量に必要となる上に、暗嫌気条件下での醗酵工程が必要であるため工程や設備が煩雑となり、水素生産の効率が悪く、生産性が悪いという問題がある。また、バッチ処理操作で運転されるため、量産化、工業化へ対応できないという問題がある。
【0009】
さらに、特開2000−102397号は、明好気的条件下における微細藻の培養及び/又は明嫌気条件下における光合成細菌による水素生産を、透明塔型エアーリフト培養槽を用いることにより、水素生産を効率よく行うことができる。しかし、光合成産物を得る工程と、醗酵液を得る工程とを別工程で行っているため、水素の生産効率が未だ充分とはいえない。従って、水素の量産化・工業化の点において未だ改善の余地があり、さらなる生産工程の簡略化、製造設備の削減が望まれている。
【0010】
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、微生物を用いた水素生産において、水素の生産効率を向上し、水素の量産化・工業化を図ることを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、明好気条件下、液相の浸透圧が5.0atm以上の条件で、光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程と、
明嫌気条件下、上記資化源を用いて光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程とを含むことを特徴とする微生物による水素生産方法を提供している。
【0012】
このように、本発明では、太陽光等の光が照射され酸素が存在する明好気条件下において、液相の浸透圧を高めているため、光合成能力を有する微細藻が、光エネルギーを利用して光合成によりグリセロール等の低分子有機物を主成分とする水素生成の資化源を生成し、その資化源を細胞外に分泌する。また、微細藻を固定化して用いる、気相中の二酸化炭素濃度を高める等の微細藻へのストレスを高めることも光合成低分子有機物の細胞外への分泌を促進する。このようにして、暗嫌気条件下での光合成能力を有する微細藻による醗酵・分解工程を経ることなく、光合成能力を有する微細藻を用いて、より簡易にグリセロール等の水素生成の資化源を得ることができる。従って、水素の生産システムを簡略化し、水素の生産効率を向上し、水素の量産化・工業化を図ることができる。
【0013】
即ち、本発明は、鋭意研究の結果、光合成能力を有する微細藻は、通常、光合成により得られた澱粉等の有機物からなる光合成産物を細胞内に蓄積するが、液相の浸透圧を高めることに加え、微細藻を固定化したり、気相中の二酸化炭素の濃度を高めたりして微細藻に対してストレスを与えることにより、該微細藻が光合成により生産した水素生産の資化源であるグリセロール等の低分子有機物を細胞外へ分泌することを見出したことに基づくものである。
【0014】
光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程中、上記のように液相の浸透圧を5.0atm以上としているのは、浸透圧がこれより小さいと、光合成能力を有する微細藻により生成された光合成産物が微細藻内に蓄積されてしまい、光合成産物が水素生成の資化源として微細藻外へ分泌されない。よって、水素生成の資化源が不足し、水素の生成効率が低下するためである。液相の浸透圧は、さらに好ましくは10.0atm以上、より好ましくは20.0atm以上が良い。液相の浸透圧が高い方が資化源を効率良く得ることができるが、微細藻の存在環境等を考慮すると30.0atm以下が良い。
なお、光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程中、液相の浸透圧は10.0atm〜30.0atmであるのが好ましい。
【0015】
上記光合成能力を有する微細藻は、液体中に存在させ、該液体に不溶な担体に30mg乾燥重量/cm3(担体)〜70mg乾燥重量/cm3(担体)固定化された状態で用いられていることが好ましい。このように微細藻を固定化することで、微細藻を用いてより効率良く水素資化源を生成することができる。さらに好ましくは40mg乾燥重量/cm3(担体)〜50mg乾燥重量/cm3(担体)で固定化するのが良い。
【0016】
上記光合成能力を有する細菌は、液体中に存在させ、該液体に不溶な担体に10mg乾燥菌体重量/cm3(担体)〜50mg乾燥菌体重量/cm3(担体)固定化された状態で用いられていることが好ましい。さらに好ましくは20mg乾燥菌体重量/cm3(担体)〜40mg乾燥菌体重量/cm3(担体)で固定化するのが良い。
【0017】
浮遊細胞として用いるのではなく、微細藻や細菌を担体に固定化することで、細胞にストレスを与えるだけでなく、単位体積当たりの細胞密度を高めることができると共に、細胞活性を安定化することができ、微細藻や細菌の作用を長期に渡って持続させることができる。また、固定化された微細藻や細菌が死滅すると自ら容易に担体から外れ、その後、微細藻や細菌が新たに増殖等して担体に固着するため、連続的に微細藻や細菌の作用を得ることができる。さらに、上記担体は、微細藻や細菌を存在させる液体に不溶であるため、微細藻や細菌を固定化した担体と、液体とをフィルター等を用いて固液分離により容易に分離することができる。よって、微細藻や細菌を固定化した担体のみを回収して再循環させたり、必要な溶液のみを流通させたり、微細藻と細菌とが混合しないように分離したりすることもできる。
【0018】
ニトロゲナーゼが200〜1000nmolC2H4/mg cell dry wt/hrの活性(この活性はアセチレンのエチレンへの還元速度で測定した活性)で活性化され高誘導された状態で用いられていることが好ましい。これにより、光合成能力を有する微細藻が生成したグリセロール等の低分子有機物を主成分とする水素資化源のほとんどを水素に変えることができる。さらには500〜1000nmolC2H4/mg cell dry wt/hrの活性で活性化されるのが良い。
【0019】
細菌が担体に固定されると共に、水素生産を支配する酵素である二トロゲナーゼが高誘導された状態で用いられることにより、二トロゲナーゼが高活性の状態で安定化され、細菌が高密度とされる。よって、細菌は、細胞の増殖に基質、エネルギーを使うことなく、専ら水素生産に基質、エネルギーを使うので、高速度で水素生産を行うことができる。なお、細菌にニトロゲナーゼを高いレベルで誘導してから細菌を担体に固定化しても良いし、細菌を担体に固定化してから細菌にニトロゲナーゼを高いレベルで誘導しても良い。
【0020】
上記光合成能力を有する微細藻は、塩分濃度が1.0%〜10.0%である海水あるいは/及び少なくとも窒素供給源・無機成分・ビタミンを含む溶液や人工海水中に存在していることが好ましい。上記塩分濃度とすることにより、微細藻の働きにより水素資化源を効率良く細胞外に分泌することができる。さらに好ましくは3.0%〜5.0%が良い。なお、塩分濃度とは、NaClの濃度を指す。
【0021】
上記光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程中、二酸化炭素の体積濃度が1.0%〜20.0%である気体を通気していることが好ましい。さらには2.0%〜15.0%が良い。光合成による水素資化源の生成には炭素源が必要であるので、空気と二酸化炭素との混合気体を通気するのが好ましい。
【0022】
上記光合成能力を有する微細藻は、細胞の増殖が進行した対数増殖期後期乃至定常期の微細藻とし、細胞濃度が1.0×108cells/ml以上となるように、飽和状態で存在させている、あるいは/及び、
上記光合成能力を有する細菌は、細胞の増殖が進行した対数増殖期後期乃至定常期の細菌とし、細胞濃度が1.0×108cells/ml以上となるように、海水あるいは/及び少なくとも窒素供給源・無機成分・ビタミンを含む溶液中に飽和状態で存在させている。
【0023】
微細藻や細菌の細胞濃度が1.0×108cells/mlより小さいと各産物の生産効率を向上しにくくなる。また、細胞濃度は、1.0×109cells/ml以上がさらに好ましい。なお、細胞濃度は高いほど好ましいが、上限値としては、1.0×1010cells/ml程度である。また、対数増殖期後期乃至定常期の微細藻や細菌を用いることにより、各工程での反応の立ち上がり時間が早くなり初期の状態から高い生産効率を得ることができる。このため、光合成能力を有する微細藻を培養する工程、光合成能力を有する細菌を培養する工程を必要とせず、非常に効率良く水素を生産することができる。なお、上記溶液中には窒素源が少ない方が好ましく、塩化アンモニウム等の窒素源の濃度が0.1mM以下が好ましい。
【0024】
このように予め細胞が培養され、細胞濃度が高められた光合成能力を有する微細藻を用いると、明好気条件下で得られる光エネルギーが、微細藻の細胞増殖に使われることがなく、光合成産物の生成に集中的に費やされ、光合成産物を効率良く得ることができる。その結果、水素生成の資化源の生産効率も高めることができる。また、予め細胞が培養され、細胞濃度が高められた光合成能力を有する細菌を用いているため、太陽光等の光が照射され酸素が存在しない明嫌気条件下で得られる光エネルギーが、細菌の細胞増殖に使われることがなく、水素の生成に集中的に費やされ、水素を効率良く得ることができる。このように、一連の各工程で得られる産物の生産効率を向上することができるため、微生物を用いた水素生産において、最終生成物である水素の生産効率を向上することができ、水素の量産化・工業化を実現することができる。
【0025】
光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程と、資化源を用いて光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程とを連続的に行っていることが好ましい。各工程を連続的に行うことにより、生産速度を速めることができ、水素をより量産化することができる。
【0026】
光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程と、資化源を用いて光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程とは、各々独立した槽内で行われるのが好ましいが、各種気体・液体・固体等を適宜分離可能なフィルター等を介して1つの槽内で行うこともでき、2つ以上の槽を組み合わせて行うこともできる。
【0027】
本発明に用いる担体の材質としては、例えば、多孔質ガラスビーズ、ポリビニルアルコール、ポリウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリアクリルアミド、ポリビニルホルマール樹脂多孔質体、シリコンフォーム、セルロース多孔質体等の発泡体あるいは樹脂が好ましい。なお、多孔質体の開口部の大きさは、約10μm〜500μmが好適である。また、担体の形状は問わないが、担体の強度、培養効率等を考慮すると、球状あるいは立方体状で、大きさは、球状の場合、直径が1mm〜50mm、立方体状の場合、1mm〜50mm角が好ましい。
【0028】
また、微細藻や細菌の固定化には、例えば、担体結合法、架橋法および包括法等の公知の方法が適用でき、中でも担体結合法が最適である。担体結合法には、イオン交換性の樹脂に吸着させる化学的吸着法あるいは物理的吸着法が含まれる。微細藻、特に緑藻は、一般的に粘着性があり、容易に粘着固定化されるものが多い。細菌は細胞表面がマイナスに帯電しているものが多く、従って、固定化担体を予めプラスに帯電しているポリリジンによりコーティングし、これに細菌を電気的引力によって結合させると容易に固定化される。
【0029】
本発明に用いられる微細藻としては、光合成能力を有する微細藻を用いることができ、特に、緑藻、藍藻等が好ましい。緑藻としては、クラミドモナス(Chlamydomonas)属に属するクラミドモナス・ラインハルディ(Chlamydomonas reinhardtii)、クラミドモナス・モエブシイ(Chlamydomonas moewusii)、クラミドモナス属のMGA161株,W−80株、クラミドモナス ユーガメタス(Chlamydomonas eugametos)、クラミドモナス セグニス(Chlamydomonassegnis)、クロレラ(Chlorella)属に属するクロレラ ブルガリス(Chlorella vulgaris)、セネデスムス(Senedesmus)属に属するセネデスムス オブリガス(Senedesmus obliguus)およびデュナリエラ(Dunaliella)属に属するデュナリエラ テルトロレクタ(Dunaliella tertrolecta)等が挙げられる。また、藍藻類としては、アナべナ属(Anabaena)に属するアナべナ・バリアビリス(Anabanena variabilis)ATCC 29413、シアノテセ(Cyanothece)属の Cyanothece sp. ATCC 51142、シネノコッカス(Synechococcus)属に属するSynechococcus sp. PCC 7942およびアナシスティス(Anacystis)属に属するアナシスティス ニデュランス(Anacystisnidulans)等が挙げられ、1種または複数種を用いることができる。
【0030】
中でも、クラミドモナス(Chlamydomonas)属に属するクラミドモナス・ラインハルディは、水素資化源の分泌能力に優れるため好ましい。また、緑藻クラミドモナスMGA161株及びクラミドモナスW−80株は、海水から常法により単離された株であり、明好気条件下の光合成能力が高い上に、担体に固定化しやすいので好ましい。クラミドモナスMGA161株及びクラミドモナスW−80株あるいはこれに相当する株は、海水サンプルから光合成能力と分解能とで当業者が容易に単離することができる株である。
【0031】
光合成能力を有する細菌としては、光合成無機栄養細菌および光合成有機栄養細菌(紅色無硫黄細菌、緑色滑走細菌等)が用いられ、1種または複数種を用いることができる。本発明においては、光合成有機物を基質(電子供与体)とするので、光合成有機栄養細菌が好適に用いられる。光合成有機栄養細菌としては、ロドスピリルム科(Rhodospirillaceae)に属する紅色無硫黄細菌、クロロフレクスス科(Chloflexaceae)に属する緑色滑走細菌等が挙げられる。
【0032】
上記光合成有機栄養細菌は、例えば、海水サンプルから乳酸(例えば、0.3mM)を基質として水素を発生する微生物を選択することにより得ることができる。光合成細菌としては、例えば、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)属に属するロドシュードモナス パラストリス(Rhodopseudomonas palustris)およびロドシュードモナス アシドフィラ(Rhodopseudomonas acidophila)、ロドスピリラム(Rhodospirillum)属に属するロドスピリラム ルブラム(Rhodospirillum rubrum)ATCC 11170、同IFO 3986等、ロドバクター(Rhodobacter)属に属するロドバクター スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロドバクターカプスレイタス(Rhodobacter capsulatus)ATCC 23782、ATCC 17013 等、ロドブラム(Rhodovulum)属に属するロドブラム ストリクタム(Rhodovulum strictum)ロドブラム アドリアティカム(Rhodovulum adriaticum)、ロドブラム・サルフィドフィラム(Rhodovulum sulfidophilum)等が挙げられる。本発明においては、海水サンプルから単離したロドブラム・サルフィドフィラムW−1Sと名付けた株およびこれと同等の活性を有する光合成細菌が好ましい。
【0033】
海水あるいは/及び窒素供給源・無機成分・ビタミンを含む溶液としては、適切な窒素供給源と無機成分・ビタミンを含む溶液であれば良い。無機成分を含む培地としては海水が好適に用いられるが、以下の組成の改変岡本培地(以下、MOM培地という):NaCl 30 g、CaCl2・2H2O 200 mg、MgSO4・7H2O 250 mg、FeSO4・7H2O 20 mg、KH2PO4 40.8mg、K2HPO4 495 mg、ビタミンB1 100 μg、ビタミンB12 1 μg、1M NH4Cl 5 ml、微量金属混合物A5 1.0 ml、蒸留水 1000 ml pH8.0も用いられる。
ここで、微量金属混合物A5の組成は、以下の通りである。
H3BO4 2.85 g、MnCl2・4H2O 1.81 g、ZnSO4・7H2O 0.22 g、CuSO4・5H2O 0.08 g、Na2MoO4 0.021g、CaCl2・6H2O 0.01 g、EDTA・2Na 50 g、蒸留水 1000 ml。
【0034】
また、本発明は、光エネルギー及び熱エネルギーを、光合成能力を有する微細藻に均等に伝達可能な構成とされ、該光合成能力を有する微細藻を用いて水素資化源を生成する水素資化源生成槽と、
光エネルギー及び熱エネルギーを、光合成能力を有する細菌に均等に伝達可能な構成とされ、該光合成能力を有する細菌を用いて水素を生成する水素生成槽とを備えたことを特徴とする微生物による水素生産装置を提供している。
【0035】
上記構成とすることで、光合成能力を有する微細藻及び光合成能力を有する細菌を用いて、簡易な構成により効率良く水素を生産することができる。また、本発明の微細藻による水素生産装置は、太陽光を利用可能な設備であることが好ましいが、曇天時、夜間等の光量が不足する場合の光エネルギー源として光照射設備を備えていても良い。
【0036】
上記水素資化源生成槽と水素生成槽とは、パイプあるいは/及びフィルター等を介して連続的に配置されるのが好ましい。また、水素資化源生成槽あるいは/及び水素生成槽の各槽の出口には、フィルターが配置され、光合成能力を有する微細藻や光合成能力を有する細菌が槽外へ流出しない構成とすることが好ましい。これにより、水素の生産効率をより高めることができる。上記フィルターとしては、最も多く用いられるのは、ポリスルフォンであるが、これ以外にも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニリデンフロライト等が用いられる。また、各槽は、不要な気体を排出する排出口を備えていても良い。
【0037】
水素資化源生成槽あるいは/及び水素生成槽は、光エネルギー及び熱エネルギーを全ての細胞に均等に循環的に伝えられるような流路を備え、該流路内に光合成能力を有する微細藻を含む液体あるいは光合成能力を有する細菌を含む液体を流通する構成とすることが好ましい。これにより、均等に循環的に光エネルギーを伝達し、光阻害を低め、光合成能力を高めることができ、エネルギー効率が高まり、より生産性を向上することができる。具体的には、太陽光および/または人工光の照射下、透明塔型エアーリフト培養槽等を用いて行うことができる。なお、ヘリカルフローを生じる構造を持たせていることが好ましい。即ち、ヘリカルフロープロモーター付透明塔型エアーリフト反応槽を用いることが好ましい。なお、攪拌型槽とすることもできる。以上より、上記構成の本発明の微生物の水素生産装置を用いて、本発明の微生物による水素生産方法を行うのが最適である。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の微生物による水素生産方法を行う微生物による水素生産装置10の概略構成を示す。
微生物による水素生産装置10は、光エネルギー及び熱エネルギーを、光合成能力を有する微細藻に均等に伝達可能な構成とされ、該光合成能力を有する微細藻を用いて水素資化源を生成する水素資化源生成槽11からなる第1塔と、光エネルギー及び熱エネルギーを、光合成能力を有する細菌に均等に伝達可能な構成とされ、該光合成能力を有する細菌を用いて水素を生成する水素生成槽12からなる第2塔とを備えている。
【0039】
これらの2つの塔により、順次、明好気条件下、光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程と、明嫌気条件下、上記資化源を用いて光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程を連続的に行う構成としている。
【0040】
第1塔には海水を供給する供給管13が連結されている。第1塔と第2塔とは、第1パイプP1により連結されているが、第1塔から第1パイプP1への出口には、第1フィルターF1が設けられており、微細藻が第2塔に流通しない構成としている。また、第2塔からは水素回収用の第2パイプP2が設けらると共に、海水を排出する排出管14が設けられている。第2塔から第2パイプP2への出口には第2フィルターF2が設けられると共に、第2塔から排出管14の出口には第3フィルターF3が設けられ、細菌が第2塔の外へ流出しない構成としている。
【0041】
以下、具体的に、本発明の微生物による水素生産方法について詳述する。
まず、第1塔の入口から炭素源となる二酸化炭素、空気(酸素)、海水、緑藻等の微細藻を流入する。通気する気体中の二酸化炭素の体積濃度を5.0%としている。
【0042】
第1塔において、光合成能力を有する微細藻は、予め細胞が培養され、細胞濃度が高められた状態で用いられている。具体的には、光合成能力を有する微細藻は、細胞の増殖が進行した対数増殖期後期乃至定常期の微細藻とし、塩分濃度が3.0%である海水を主成分とする懸濁液中に存在させ、細胞濃度が1.0×108cells/ml以上となるように、懸濁液に不溶な担体に50mg乾燥重量/cm3(担体)固定化された状態で、飽和状態で用いられている。
【0043】
第1塔では、太陽光等の光が照射され酸素が存在する明好気条件とし。液相の浸透圧を24.6atm(気圧)の条件としている。光合成能力を有する微細藻は、二酸化炭素を炭素源とし、光エネルギーを利用して光合成産物を得て細胞内に蓄積すると共に、グリセロール等を微細藻の細胞中から懸濁液中に分泌する。このように分泌されたグリセロール等が水素生成の資化源として用いられる。これら水素生成の資化源の有機物が電子供与体として、光合成能力を有する細菌による水素生産に用いられる。
【0044】
微細藻と、微細藻から分泌された水素生成の資化源とを含む懸濁液は、フィルターF1により分離され、微細藻は第1塔中に残存し、微細藻から分泌された水素生成の資化源を含む懸濁液は、第1パイプP1を流通し、第2塔へ連続的に送られる。微細藻が担体に固定化されているとフィルターでの分離が容易となる。微細藻は第1塔内で循環させ、水素生成の資化源を得るために繰り返し用いられる。
【0045】
第1塔の出口での水素生成の資化源の濃度と、懸濁液の流出速度との積が水素生成の資化源の生産速度であり、第1塔は、この生産速度が最高となるような条件とされるのが好ましい。
【0046】
第2塔では、第1塔から送られてきた水素生成の資化源と光合成能力を有する細菌とを作用させ、水素を生成する。第2塔では、光合成能力を有する細菌は、予め細胞が培養され、細胞濃度が高められた状態で用いられている。具体的には、光合成能力を有する細菌は、細胞の増殖が進行した対数増殖期後期乃至定常期の細菌とし海水を主成分とする懸濁液中に存在させ、細胞濃度が1.8×108cells/mlとなるように、懸濁液に不溶な担体に30mg乾燥菌体重量/cm3(担体)固定化された状態で、飽和状態で用いられている。
【0047】
また、光合成能力を有する細菌は、ニトロゲナーゼが高誘導された状態で用いられている。具体的には、二トロゲナーゼが800nmolC2H4/mg cell dry wt/hrの活性(この活性はアセチレンのエチレンへの還元速度で測定した活性)で活性化されている。
【0048】
第2塔は、太陽光等の光が照射され酸素が存在しない明嫌気条件としている。光合成能力を有する細菌は、グリセロール、エタノール等の水素生成の資化源から、光エネルギーを利用して水素を生産している。得られた水素が第2パイプP2を通じて回収され、連続的に水素を得ている。また、細菌を含む懸濁液は、フィルターF3により分離され、細菌は第2塔中に残存し、懸濁液の主成分である海水は、排出管14から排出される。なお、生成した水素の一部を第2塔に循環させても良い。
【0049】
このように、上記方法では、光合成能力を有する微細藻を明好気条件下、液相の浸透圧が24.6atmの条件で用いているため、微細藻が光合成により光合成産物を得ると共に、暗嫌気条件下での醗酵工程を経ることなく光合成によりグリセロール等の水素生成の資化源を得ることができる。従って、醗酵工程を削減した、より簡易なシステムで水素生産に必要な産物を効率良く得ることができ、最終的には水素を非常に効率良く、連続的に生産することができる。よって、微生物を用いた方法により水素の量産化、水素生産の工業化を実現することができる。
【0050】
また、図2に第1、第2塔の具体的な構成を示す。
本実施形態では、第1、第2塔は、透明塔型エアーリフト槽30としている。透明塔型エアーリフト槽30は、円筒形とし、透明塔型エアーリフト槽30の下部に、液体が流れる程度の空間をあけて、内部円筒32を配置し、二重円筒構造としている。内部円筒32の内側と内部円筒32の外側とで、懸濁液33が循環するように構成されている。
【0051】
透明塔型エアーリフト槽30内に設けられた内部円筒32の内側の下部において、通気装置34から通気することにより、内部円筒32の内側の下部から上部へ向かって懸濁液33の流れを発生させ、内部円筒32の内側の上面では、その流れにより内部円筒32の外側へ懸濁液33が流れるようにしている。その後、懸濁液33が側壁35と内部円筒32との間の空間に沿って透明塔型エアーリフト槽30の下部へ向かって流れることにより、懸濁液33の循環状態を得ている。懸濁液33は、側壁35と内部円筒32との間を流れる際に最も強く、光が照射される構成としている。また、内部円筒32の上部には、螺旋状や放射状の流れを生み出すヘリカルフロープロモーター36が配置されている。
【0052】
即ち、透明塔型エアーリフト槽30は、光エネルギー及び熱エネルギーを全ての細胞に均等に循環的に伝えられるような流路を備えた装置とされている。この流路内に光合成能力を有する微細藻を含む液体あるいは光合成能力を有する細菌を含む液体である懸濁液を流通し、明好気条件下の光合成能力を有する微細藻あるいは明嫌気条件下の光合成能力を有する細菌に均等に循環的に光エネルギーを伝達し、光阻害を低め、光合成能力を高めている。よって、従来の攪拌型の培養槽を用いる場合に比べて、微細藻や細菌への光の照射時間を長くできるとともに、微細藻や細菌が効率よく循環されるため、全ての細胞に均等に循環的に光エネルギーを伝達し、光阻害の少ない効率の良い、光合成を行うことができる。
【0053】
また、第1、第2塔の温度は15℃〜35℃、気相の圧力は常圧である1atm程度、希釈率は0.05hr−1〜1hr−1、平均滞留時間は1hr〜20hrとされるのが好ましい。また、第1塔及び第2塔のpHは5〜8とされるのが良い。
【0054】
以下、本発明の微生物による水素生産方法の実施例、比較例について詳述する。
下記の表1の条件で各々水素を生産し、水素生産速度を測定した。
【0055】
【表1】
【0056】
(実施例1)
上記第1実施形態と同様の装置を用い、以下の実験を行った。
第1、第2塔共に、実容積50Lのヘリカルフロープロモーター付きエアーリフト型バイオリアクターを用いた。アクリル樹脂製の透明塔型エアーリフト槽の高さは1.8m、外径は0.2m、アクリル樹脂製の内部円筒の直径は0.125mとした。通気装置であるガス吹き込み口を槽の底から0.05mの位置に設置した。具体的には、内径0.01mの円形チューブ(円の直径0.1m)に50個の内径0.001mの孔をあけ、そこからガスを吹き込んだ。
【0057】
明好気条件は、太陽光と光源(18W/m2)とを用いて行った。懸濁液の主成分は、海水とした。光合成能力を有する微細藻としては、緑藻クラミドモナスW−80を用いた。光合成能力を有する細菌は、ロドブラム・サルフィドフィラムW−1Sを用いた。担体としては、ポリビニルホルマールからなる多孔性高分子材料を用いた。
【0058】
(比較例1)
第1塔の液相の浸透圧を1.8atmとした。また、第1塔と第2塔の間に、暗嫌気条件下での光合成産物の醗酵工程を行う醗酵槽を設けた。懸濁液は第1塔から醗酵槽へ連続的に供給した。醗酵槽も同様に、実容積50Lのヘリカルフロープロモーター付きエアーリフト型バイオリアクターを用いた。
その他は、実施例1と同様とした。
【0059】
(比較例2)
第1塔の液相の浸透圧を1.9atmとした。その他は、実施例1と同様とした。
【0060】
表1に示すように、実施例1は、第1塔での液相の浸透圧が高いため、比較例2に比べて、非常に水素生産速度が早く、水素を効率良く生産できることが確認できた。また、実施例1は、比較例1よりも塔の数が1つ少なく醗酵工程を削減しているにもかかわらず、比較例1と水素生産速度がほぼ同等であり、より簡易なシステムによって水素を生産できることが確認できた。よって、本発明の方法によれば、水素を量産することができ、微生物による水素生産の工業化に非常に有用であることが確認できた。
【0061】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明の方法によれば、光合成能力を有する微細藻が液相の浸透圧の高い条件下で用いられているため、該微細藻が光エネルギーによりグリセロール等の低分子有機物を主成分とする水素生成の資化源を光合成し、細胞外へ分泌する。よって、醗酵工程を削減し、非常に効率良く水素を生産することができる。よって、微生物を用いて水素の量産化・工業化を図ることができ、燃料電池のエネルギー源として有効に用いることができる。
【0062】
また、石油を分解して水素を生成する方法等では、水素生成と共に二酸化炭素が排出されるが、本発明では、二酸化炭素を循環利用することができ、火力発電所等の煙道ガス中の二酸化炭素等を炭素源として使用することができ地球環境にも非常に優しいものである。さらに、海水を利用して水素を生成することができ、生成された水素をエネルギー源として使用することで最終的には水が得られるため、海水の淡水化への適用も可能である。
【0063】
本発明の装置によれば、微生物を用いて非常に容易かつ効率良く水素を生産することができる。また、不要な生産設備等を削減することができ、生産コストを大きく低減することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微生物による水素生産方法を行う、微生物による水素生産プロセスの概略構成図である。
【図2】本発明の微生物による水素生産装置である透明塔型エアーリフト槽の概略構成図である。
【符号の説明】
10 微生物による水素生産装置
11 水素資化源生成槽
12 水素生成槽
Claims (9)
- 明好気条件下、液相の浸透圧が5.0atm以上の条件で、光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程と、
明嫌気条件下、上記資化源を用いて光合成能力を有する細菌により水素を生成する工程とを含むことを特徴とする微生物による水素生産方法。 - 上記光合成能力を有する微細藻は、液体中に存在させ、該液体に不溶な担体に30mg乾燥重量/cm3(担体)〜70mg乾燥重量/cm3(担体)固定化された状態で用いられている請求項1に記載の微生物による水素生産方法。
- 上記光合成能力を有する細菌は、液体中に存在させ、該液体に不溶な担体に10mg乾燥菌体重量/cm3(担体)〜50mg乾燥菌体重量/cm3(担体)固定化されていると共に、ニトロゲナーゼが200〜1000nmolC2H4/mg cell dry wt/hrの活性(この活性はアセチレンのエチレンへの還元速度で測定した活性)で活性化され高誘導された状態で用いられている請求項1または請求項2に記載の微生物による水素生産方法。
- 上記光合成能力を有する微細藻は、塩分濃度が1.0%〜10.0%である海水あるいは/及び少なくとも窒素供給源・無機成分・ビタミンを含む溶液中に存在している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の微生物による水素生産方法。
- 上記光合成能力を有する微細藻により水素生成の資化源を得る工程中、二酸化炭素の体積濃度が1.0%〜20.0%である気体を通気している請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の微生物による水素生産方法。
- 上記光合成能力を有する微細藻は、細胞の増殖が進行した対数増殖期後期乃至定常期の微細藻とし、細胞濃度が1.0×108cells/ml以上となるように、飽和状態で存在させている、あるいは/及び、
上記光合成能力を有する細菌は、細胞の増殖が進行した対数増殖期後期乃至定常期の細菌とし、細胞濃度が1.0×108cells/ml以上となるように、海水あるいは/及び少なくとも窒素供給源・無機成分・ビタミンを含む溶液中に飽和状態で存在させている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の微生物による水素生産方法。 - 光エネルギー及び熱エネルギーを、光合成能力を有する微細藻に均等に伝達可能な構成とされ、該光合成能力を有する微細藻を用いて水素資化源を生成する水素資化源生成槽と、
光エネルギー及び熱エネルギーを、光合成能力を有する細菌に均等に伝達可能な構成とされ、該光合成能力を有する細菌を用いて水素を生成する水素生成槽とを備えたことを特徴とする微生物による水素生産装置。 - 上記水素資化源生成槽と上記水素生成槽とは、パイプあるいは/及びフィルターを介して連続的に配置されると共に、上記水素資化源生成槽あるいは/及び上記水素生成槽の各槽の出口には、フィルターが配置され、光合成能力を有する微細藻や光合成能力を有する細菌が槽外へ流出しない構成としている請求項7に記載の微生物による水素生産装置。
- 請求項7または請求項8に記載の装置を用いて水素を生産する請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の微生物による水素生産方法。
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