JPH07894B2 - 地中連続壁の施工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、地中構造物としての地中連続壁の施工法に関
する。

〔従来の技術〕

地中連続壁工法は、一般に掘削孔内に所要の鉄筋カゴを
挿入し、コンクリートを打設して１枚の鉄筋コンクリー
トの壁体を地中に作り、この壁体を連続して地中に長大
なコンクリート壁を構築していくものである。このよう
にして形成した壁体は、止水性や剛性にすぐれ土留壁や
止水壁として利用されるものである。ところで、鉄筋コ
ンクリートで支持力を得るので、ある程度の強度を得る
には、壁体を厚くしなければならない。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかし、壁体を厚くすると鉄筋に対してコンクリートの
部分が占める割合が多くなり、せん断力の低下を招くこ
とになる。

これに対し、Ｈ型鋼等の鉄骨材で支持力を得ると効果的
である。

かかる鉄骨材で支持力を得るものとして、ソイルモルタ
ルによる地中壁がある。しかし、これは掘削を行うと同
時にモルタルを注入し、その後鉄骨材を挿入して形成す
るので、一回に施工する壁体エレメントの長さには限定
がある。

しかも、ソイモルタル壁は掘削土と混合して形成するの
で部材強度が弱く、しかも不均一であり信頼性に欠け
る。

本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、壁厚を増
大しなくとも充分な強度を有し、しかも少ない工程で合
理的な施工ができ、ひいてはコストダウンにつながり、
また、鉄筋カゴの倒れ込み等のおそれもなく、安定して
コンクリートの打設ができ、コンクリートの回り込み防
止等も楽に行える地中連続壁の施工法を提供することに
ある。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は前記目的を達成するため、掘削孔の巾方向を強
軸とした縦向きのＩ型鋼材のウエブを両端に取付け、か
つＩ型鋼材のフランジ間にシート材を張設した鉄筋カゴ
と、通常の鉄筋カゴとがあり、地盤に横長の掘削孔を形
成し、通常の鉄筋カゴを該掘削孔の中央に、その両側に
Ｉ型鋼材を取付けた鉄筋カゴを建込み、Ｉ型鋼材によっ
て掘削孔内を複数に分割し、左右の分割部分には押え部
材としての砕石を投入し、その内側の分割部分にコンク
リートを打設するが、この際Ｉ型鋼材を取付けた鉄筋カ
ゴの部分に打設するコンクリートの天端が通常の鉄筋カ
ゴの部分に打設するコンクリートの天端より先行するよ
うに打設し、コンクリートの硬化後、前記砕石を回収
し、連続する掘削孔を設け、後行エレメントを形成する
が、この場合、既設先行エレメントのＩ型鋼材を取付け
た鉄筋カゴの隣に通常の鉄筋カゴを建込み、さらにＩ型
鋼材を取付けた鉄筋カゴを建込み、後行エレメントの掘
削孔をＩ型鋼材で分割し、通常の鉄筋カゴに先行してＩ
型鋼材を取付けた鉄筋カゴにコンクリートを打設し、後
行パネルを順次形成していくことを要旨とするものであ
る。

〔作用〕

本発明によれば、Ｉ型鋼材の間に鉄筋コンクリートパネ
ルが配設される横矢板方式的な地中壁が得られ、壁体を
厚くしなくとも充分な支持力を得ることができる。

また、Ｉ型鋼材は鉄筋カゴと一体として一挙に建込める
ので、工程も簡略化される。

さらに、Ｉ型鋼材のフランジ間にシート材を張設する
が、Ｈ型鋼材と比べてＩ型鋼材はウエブ巾に対するフラ
ンジ巾が小さいものですみ、建込みも楽なものとなる。

一方、Ｉ型鋼材によって掘削孔内を複数に分割し、左右
の分割部分には押え部材としての砕石を投入し、その内
側の分割部分にコンクリートを打設するが、この際Ｉ型
鋼材を取付けた鉄筋カゴの部分に打設するコンクリート
の天端が通常の鉄筋カゴの部分に打設するコンクリート
の天端より先行するように打設するので、Ｉ型鋼材を取
付けた鉄筋カゴの部分は中央の通常の鉄筋カゴの部分と
両外側の砕石に支承されて倒れ込むことがなく、一方、
中央の通常の鉄筋カゴの部分はＩ型鋼材を取付けた鉄筋
カゴの部分で両側から押えられるようになり、鉄筋カゴ
の倒れ込み等のおそれもなく、安定してコンクリートの
打設ができる。

また、Ｉ型鋼材を取付けた鉄筋カゴの部分での鉄筋カゴ
のシート材はコンクリートが他所に流出するのを防止
し、一方、中央の通常の鉄筋カゴはこのシート材がなく
とも、Ｉ型鋼材を取付けた鉄筋カゴの部分が先行してコ
ンクリートを打設しているのでこのシート材が掘削孔の
壁面に密着するように外側に膨れ上がるので、他所へコ
ンクリートが流出することはない。

〔実施例〕

以下、図面について本発明の実施例を詳細に説明する。

第１図は本発明の地中連続壁の施行法の実施例の概略を
示す平面図である。

まず、本発明で使用する鉄筋カゴを説明すると、縦横に
配筋された鉄筋による通常の鉄筋カゴ２の他にＩ型鋼材
４を有する下記の鉄筋カゴ３を用いる。

該鉄筋カゴ３は、縦横に配筋された鉄筋のうち横方向鉄
筋の両端部にＩ型鋼によるＩ型鋼材４を、掘削孔の巾方
向に強軸方向であるウエブ巾を向け、かつ鉄筋カゴ３の
高さ方向に取付けたもので、型鋼材４のフランジ間にビ
ニールシート等のシート材５を張設して鉄筋カゴ３の側
面側を閉塞した。

第２図〜第４図は本発明工法の各工程を示すもので、ま
ず、第２図に示すように地盤に横長の掘削孔１を形成
し、その中にベントナイト等による安定液11を充填す
る。

次いで、第３図に示すように通常の鉄筋カゴ２を掘削孔
１の中央に、その両側に鉄筋カゴ３を建込み、Ｉ型鋼材
４によって掘削孔１内をA,B,C,D,Eに分割する。

A,Eには押え部材としての砕石８を投入し、B,C,D内にト
レミー管６を使用してコンクリート７を打設するが、こ
の際型鋼材４を取付けた鉄筋カゴ３の部分に打設するコ
ンクリート７の天端が鉄筋カゴ２の部分に打設するコン
クリート７の天端より先行するように打設する。このよ
うにすれば、B,Dは中央のＣと両外側の砕石８に支承さ
れて倒れ込むことがなく、一方、中央のＣはB,Dで両側
から押えられるようになり、鉄筋カゴの倒れ込み等のお
それもなく、安定してコンクリートの打設ができる。

また、B,Dでの鉄筋カゴ３のシート材５はコンクリート
が他所に流出するのを防止し、一方、中央のＣはこのシ
ート材がなくとも、B,Dが先行してコンクリートを打設
しているのでこのシート材５が掘削孔の壁面に密着する
ように外側に膨れ上がるので、他所へコンクリートが流
出することはない。

B,C,Dのコンクリート７の硬化後、後行エレメントを形
成するが、この場合、A,Eの砕石８を回収し、連続する
掘削孔を設け、既設先行エレメントの鉄筋カゴ３（B,D
部分）の隣に鉄筋カゴ２を建込み、さらに鉄筋カゴ３を
建込み、後行エレメントの掘削孔１を型鋼材４で分割す
る。

そして、鉄筋カゴ２に先行して鉄筋カゴ３にコンクリー
ト７を打設し、後行パネルを順次形成していくことにな
る。

このようにして完成した壁体は、横矢板式の設計計算と
同様の計算で設計でき、また横矢板でのパネルに該当す
る部分は鉄筋コンクリートなのでコストも安価ですむ。

〔発明の効果〕

以上述べたように本発明の地中連続壁の施行法は、Ｉ型
鋼材間に鉄筋コンクリートパネルがあるので、壁厚を大
きくすることなく、充分な支持力を有する地中連続壁が
得られるものである。

また、部材の建込みも簡単に行え、しかも鉄筋カゴの倒
れ込み等のおそれもなく、安定してコンクリートの打設
ができ、コンクリートの回り込み防止等も楽に行えるの
で、少ない工程で合理的に施工でき、長大なパネルを一
挙に施工できるので施工効率もよいものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の地中連続壁の施工法の１実施例を示す
平面図、第2,3,4図は各工程を示す縦断側面図である。 １……掘削孔、2,3……鉄筋カゴ ４……Ｉ型鋼材、５……シート材 ６……トレミー管、７……コンクリート ８……砕石、11……安定液

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】掘削孔の巾方向を強軸とした縦向きのＩ型
   鋼材のウエブを両端に取付け、かつＩ鋼材のフランジ間
   にシート材を張設した鉄筋カゴと、通常の鉄筋カゴとが
   あり、地盤に横長の掘削孔を形成し、通常の鉄筋カゴを
   該掘削孔の中央に、その両側にＩ型鋼材を取付けた鉄筋
   カゴを建込み、Ｉ型鋼材によって掘削孔内を複数に分割
   し、左右の分割部分には押え部材としての砕石を投入
   し、その内側の分割部分にコンクリートを打設するが、
   この際Ｉ型鋼材を取付けた鉄筋カゴの部分に打設するコ
   ンクリートの天端が通常の鉄筋カゴの部分に打設するコ
   ンクリートの天端より先行するように打設し、コンクリ
   ートの硬化後、前記砕石を回収し、連続する掘削孔を設
   け、後行エレメントを形成するが、この場合、既設先行
   エレメントのＩ型鋼材を取付けた鉄筋カゴの隣に通常の
   鉄筋カゴを建込み、さらにＩ型鋼材を取付けた鉄筋カゴ
   を建込み、後行エレメントの掘削孔をＩ型鋼材で分割
   し、通常の鉄筋カゴに先行してＩ型鋼材を取付けた鉄筋
   カゴにコンクリートを打設し、後行パネルを順次形成し
   ていくことを特徴とする地中連続壁の施工法。