JPH07876B2

JPH07876B2 - スライドファスナーチェーンの染色巻枠

Info

Publication number: JPH07876B2
Application number: JP63323989A
Authority: JP
Inventors: 浄中山; 貢海野
Original assignee: ワイケイケイ株式会社
Priority date: 1988-12-22
Filing date: 1988-12-22
Publication date: 1995-01-11
Anticipated expiration: 2010-01-11
Also published as: JPH02169783A

Description

【発明の詳細な説明】〔産業上の利用分野〕本発明は、スライドファスナーにおける左右のファスナ
ーストリンガーを噛合したファスナーチェーンを、染色
槽内に染液と共に入れて回転しながら染色する際に、フ
ァスナーチェーンを巻き付ける染色巻枠に関する。

〔従来の技術〕

染色槽内に染液を入れ、さらに熱媒により染液を加熱
し、巻枠に巻き付けたファスナーチェーンを回転しなが
ら加熱染液中に浸漬しつつ染色する際に使用している従
来の巻枠は、染色槽内を貫装した回転軸に固着してお
り、回転軸によって回転する以外は動きがなく、固定的
な形態のものであり、従つてファスナーチェーンを巻き
付ける巻枠の径も一定の径に固定していた。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、従来の巻枠では、加熱染液に浸漬する染
色処理中に、巻枠に巻き付けられたファスナーチェーン
は熱収縮を受けるが、この際、多くの場合ファスナーチ
ェーンを構成するテープと噛合エレメント列のうち、後
者の噛合エレメント列の方が大きな熱収縮を受けるた
め、巻き付けられた噛合エレメント列部分に過度なテン
ションが掛かり、従って噛合エレメント列に無理が掛か
ってエレメントの形状などが変形し、噛合状態に悪影響
を及ぼし、延いてはスライドファスナーの開閉にも支障
をきたすという問題点があった。

そこで本発明は前記事情に基づいてなされたものであ
り、染色処理中における熱収縮に対しても、巻き付けら
れたファスナーチェーン、異に噛合エレメント列に無理
が掛かることなく、良好な噛合状態を維持したまま染色
処理を行なうことができ、しかも熱収縮の度合いの異な
る種々のファスナーチェーンに対して同様に利用するこ
とのできる染色する際に用いる巻枠を提供することを目
的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために本発明によるスライドファス
ナーチェーンの巻枠は、染色槽内に加熱される染液とフ
ァスナーチェーンとを収容し、これを回転してファスナ
ーチェーンを染色する際に、そのファスナーチェーンを
巻き付ける巻枠であって、対向配置する側板に、軸を嵌
挿し、該軸の一端には軸に正逆回転を与える第１モータ
を備えた第１駆動軸を連結し、また軸の他端には軸に軸
方向への往復動を与える第２駆動軸が第２モータを備え
て接続しており、側板間の軸の外周に放射状に適数本の
リンクを取付け、各リンクの先部には、軸の往復動によ
って起伏するリンクに連動して軸と直交する方向に進退
移動する支持枠を連結し、この移動する支持枠の先部分
に、ファスナーチェーンを保持する受部を取付け、巻枠
の径を変動するようにしたことを特徴とする。

〔作用〕

上記構成による染色巻枠によれば、染色槽内の染液に浸
漬する染色処理中に、巻枠に巻き付けたファスナーチェ
ーンが熱収縮した際には、起立するリンクを倒すように
軸を軸方向に移動させれば、リンクの傾斜に伴なって先
部分に受部を設けた支持枠は軸に引き寄せられ、受部を
介してファスナーチェーンを巻き付けてある巻枠の径が
縮小するので、熱収縮によってテンションの掛かるファ
スナーチェーンの巻き付け状態が元の適切な状態に補正
される。

〔実施例〕

以下、本発明におけるスライドファスナーチェーンの染
色に用いる染色巻枠を実施例について図面を参照しなが
ら具体的に説明する。

第１図は本発明の巻枠を使用した染色機で、特に多品種
で小ロットの染色を単機で同時に行ない得るものを示し
ている。第１図において、染色用の圧力容器１は、扉２
の開閉によって染浴槽３を装脱できるように内装してい
る周知構造の大ロット用のものである。染浴槽３は容器
底のレール装置4,5によって水平方向に出し入れされ
る。

前記染浴槽３には、軸６が貫設してあり、該軸６と直交
する隔壁7,8,9……によって、それぞれ独立した染色槽1
0,11,12……に区画してある。各染色槽10,11,12……
は、上記の開口部13,14,15……以外は密封してある。こ
の開口部13,14,15……は、第２図に示すような開閉蓋16
が設けてあり、染液の注入排出ならびにファスナーチェ
ーンの巻き付け及び巻き戻しができるようになってい
る。

圧力容器１には、染浴槽３の下部を浸漬する熱水等の熱
媒体17の供給源18が連通してあり、この供給源18は、例
えば循環ポンプ19と熱交換器20と、両者と圧力容器１と
を連通する循環パイプ21とで構成している。また、該圧
力容器１には、加圧空気等の圧力流体の供給源22が連通
してあり、この供給源は、例えば加圧源への連通パイプ
23、圧力計24および減圧弁25で構成されている。

さらに圧力容器１には、染浴槽に貫設してある軸６が連
結してあり、この軸６の一端には、軸に正逆の回転を与
える第１モータ26を備えた第１駆動軸27が軸継ぎ手28を
介在して連結してある。軸６の他端には、軸６に軸方向
の往復移動を与える第２駆動軸29がベアリング30を介し
て接続してあり、この第２駆動軸29は正逆回転を与える
第２モータ31と、その回転を軸方向の移動に変えるナッ
ト32及びネジ33とから構成されている。また、前記軸継
ぎ手28の近傍の軸６内には、軸６を第２駆動軸29側に付
勢しているバネ部材34が嵌挿してある。

各染色槽10,11,12……内には、軸６に取付けた巻枠35
（第１図および第３図参照）がそれぞれ配置してあり、
この巻枠35に被染物であるファスナーチェーン36が巻装
してある。また各染色槽10,11,12……内に、それぞれ異
色の染液49,50,51……がレベルｌまで注入し、さらに圧
力容器１内にはレベルＬまで熱媒体17を注入してある。

次に、本発明である巻枠35の代表的な実施構造について
第１図乃至第４図に基づきながら説明する。

巻枠35には軸方向に間隔を保って対向配置した側板37,3
7を有し、この側板37,37の中央部は遊びをもたせた状態
で軸６が挿入してある。側板37,37は軸６を中心として
等間隔で放射状に設けたアーム部38と、各アーム部38に
連成するフランジ部39から成っている。放射状に配した
各対向アーム部38,38間には、軸に固着したスリーブ40
を介してリンク41を取付け、さらに各リンク41の先部に
は、対向するアーム部38,38の間隔に略一致する幅をし
た方形状の支持枠42を、その下端部分の隅角に連結し、
軸６の往復動によって起伏するリンク41に連動して軸６
と直交する方向に支持枠42が進退移動するようになって
いる。また、アーム部38,38には、接近する支持枠42を
両側から挾むように突出した案内ピン43,43を設け、支
持枠42を緩く保持すると共に、軸６による回転を側板3
7,37に伝達するようになっている。尚、側板37,37の中
央部と軸６との間にスライディングキーを介在させるこ
とによって、軸６による回転を側板37,37に伝達するよ
うにしてもよい。

支持枠42の先部分には、先端位置に受部47を有する羽根
体45がヒンジ44を介して揺動可能に取付けてある。図示
例の受部47は、半円状の多孔板で形成してある。羽根体
45には受部47の下位置に逆Ｙ字状羽根部46が設けてあ
り、正逆の回転をしながら染液を汲み上げる荷重抵抗に
よって羽根体45は左右に傾くようになっており、この
際、この傾きの範囲Ｓを規制するストッパー48が羽根部
46の下方位置に配設してある。尚、逆Ｙ字状羽根部46は
染液を撹拌し掻き揚げて、染液のファスナーチェーン36
内への浸透を促進する。

上記構造をもつ巻枠35を各染色槽10,11,12……に配置し
て多品種の染色を一度で行なうものであるが、この際、
受部47に接触して巻き付けてあるファスナーチェーン36
の収縮に応じて軸６を軸方向へ移動させ、リンク41を介
して支持枠42及び羽根体45を巻枠の径の縮小方向に引き
寄せ、ファスナーチェーン殊に噛合エレメント列部分に
掛かるテンションを適切にする。また、支持枠42に羽根
体45が揺動可能に取付けてあるので、染液49,50,51……
に漬りながら回転するときに、羽根部46の抵抗によって
ストッパー48に係止するまで、羽根体45はその回転方向
の反対側に傾き、さらに回転方向を反転すると羽根体45
の傾き方向が逆になる（第５図（イ）（ロ）参照）。こ
のように回転方向を反転させるごとに羽根体45の傾きも
変わるので、受部47に接触しているファスナーチェーン
36の接触位置が変化し、この接触部分での染色むらを防
止できる。また接触位置が変化すると、曲っていた部分
が真直ぐに伸び、伸びていた部分が曲がり、接触部分が
曲ったままになることはないので、ファスナーチェーン
の各部における収縮率および物性の均一化を図ることが
できる。尚、この羽根体45の染液中での揺動は、巻き付
け状態に過度のテンションが掛かっている場合にはスム
ーズに行われないので、巻枠の径を縮小してテンション
の調整をすることが重要な条件となる。

ファスナーチェーンの巻き付け状態のテンションを常時
最適に保つために、染液の温度、経過時間とファスナー
チェーンの噛合エレメント列の熱収縮との関係から巻枠
の径を増減させる値を設定しておき、これに基づく制御
信号により第２モータ31を回転させて軸方向の軸６の移
動量を適切に保ち、巻枠の径を調整するようになってい
る。

本発明は前記実施例に限定されるものではなく、例え
ば、リンクに連動して支持枠42と共に移動する羽根体45
は、支持枠42に対して不動状態に取付けて受部47を固定
したものであってもよく、また支持枠42の先部分に、受
部47を直接に配設してもよい。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明による巻枠によれば、巻枠に
巻き付けたファスナーチェーンの熱収縮に応じて巻枠の
径を調整して、巻き付け状態におけるファスナーチェー
ン殊に噛合エレメント列に掛かるテンションを適切に保
ち得るので、染色処理中に噛合エレメント列に無理が掛
かることなく、所望するエレメントの噛合状態を維持し
たまま染色を施すことができ、従って良好な噛合精度を
保有するファスナーチェーンによる染色製品を提供でき
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の巻枠を利用した染色機の一例を示す縦
断面図、第２図は第１図Ａ−Ａ線矢視の断面図、第３図
は本発明の巻枠の要部を示す縦断面図、第４図は一方の
側板を省略して内部構造を示す斜視図、第５図（イ）
（ロ）は使用状態の一例を示す断面図である。６……軸、26……第１モータ、27……第１駆動軸、29…
…第２駆動軸、31……第２モータ、37,37……側板、41
……リンク、42……支持枠、47……受部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】染色槽内に加熱される染液とファスナーチ
ェーンとを収容し、これを回転してファスナーチェーン
を染色する際に、そのファスナーチェーンを巻き付ける
巻枠であって、対向配置する側板（37,37）に、軸
（６）を嵌挿し、該軸（６）の一端には軸（６）に正逆
回転を与える第１モータ（26）を備えた第１駆動軸（2
7）を連結し、また軸（６）の他端には軸（６）に軸方
向への往復動を与える第２駆動軸（29）が第２モータ
（31）を備えて接続しており、側板（37,37）間の軸
（６）の外周に放射状に適数本のリンク（41）を取付
け、各リンク（41）の先部には、軸（６）の往復動によ
って起伏するリンク（41）に連動して軸（６）と直交す
る方向に進退移動する支持枠（42）を連結し、この移動
する支持枠（42）の先部分に、ファスナーチェーンを保
持する受部（47）を取付け、巻枠の径を変動するように
したことを特徴とするスライドファスナーチェーンの染
色巻枠