JPH078730B2 - コバルト被覆針状磁性酸化鉄粉末およびその製法 - Google Patents

コバルト被覆針状磁性酸化鉄粉末およびその製法

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JPH078730B2 JP61190215A JP19021586A JPH078730B2 JP H078730 B2 JPH078730 B2 JP H078730B2 JP 61190215 A JP61190215 A JP 61190215A JP 19021586 A JP19021586 A JP 19021586A JP H078730 B2 JPH078730 B2 JP H078730B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は塗布型高密度磁気記録媒体に用いられる改良さ
れた磁性粉末およびその製造法に関し、更に詳しくはコ
バルト使用量を減少させた高保磁力コバルト被覆針状磁
性酸化鉄粉末の改良された製品およびその製造法に関す
るものである。
[従来技術] 塗布型高密度磁気記録媒体用磁性粉としては、従来より
二酸化クロムやコバルト含有針状磁性酸化鉄が用いられ
てきた。また最近では針状合金粉や六角板状バリウムフ
ェライト粉も用いられるようになった。しかしその使用
量から言うと、コバルト含有針状磁性酸化鉄が圧倒的に
多い。この理由としては粉末の化学的安定性が比較的良
好であること、また製造コスト的にも比較的安価に得ら
れること従って磁気テープ等の磁気記録媒体の製造にお
いて取扱い易く、低コストですむこと等があげられる。
コバルト含有針状磁性酸化鉄には大別して二つのタイプ
がある。一つはコバルトが芯晶内部にまで拡散したいわ
ゆるコバルト・ドープ型であり、もう一つはコバルトが
芯晶の磁性酸化鉄粒子の表面層だけに沈着したいわゆる
コバルト被着型である。現在の業界では後者のコバルト
被着型が圧倒的に多く使用されているが、その理由は磁
性粉粒子中におけるコバルトや二価鉄の存在位置や分布
状態の違いにより、磁気記録媒体に用いた場合の磁気特
性の温度依存性や経時変化が小さいという利点があるこ
とあるいはその場合の消去や転写の特性がコバルト・ド
ープ型を用いた場合に比し大幅に改善されていること等
にある。
この様に磁気記録媒体用材料として品質的にはコバルト
被着型のほうが優れていると言えるが、材料の工業生産
の観点から比較するとコバルト被着型の製造工程数はコ
バルト・ドープ型の約2倍を要し、更に保持力を高める
ために添加するコバルトの使用量は同一の高保磁力レベ
ルを得るのにコバルト被着型のほうが約2倍の量を必要
とする。例えば、1/2インチ幅ビデオテープ用磁性粉の
場合、コバルト・ドープ型では1.5〜2.0重量%のコバル
ト添加量で所定の保磁力が得られるのに対し、コバルト
被着型では2.8〜3.3重量%のコバルト添加量を必要とす
る。すなわちコバルト被着型では電磁気特性の品質面で
は長所を有するものの、材料製造コスト面ではまだ問題
を有しているわけである。
従来よりコバルト被着型磁性酸化鉄の製造法に関する提
案として、その芯晶とする磁性酸化鉄に関するもの、コ
バルト等を被着する前の芯晶表面の前処理や分散法に関
するもの、コバルトやコバルトを含む金属塩を芯晶表面
に被着処理する方法に関するもの、あるいはコバルト等
を被着した後の他種金属による後処理に関するもの、更
には被着後の各種熱処理に関するもの等非常に多岐にわ
たる提案がなされてきた。しかしながらこれら提案の大
部分は電磁気特性の改善を主目的としたものであり、コ
バルトの使用量を減少させようとする観点からの提案が
なされているものは非常に少なく、ごく一部のものに保
磁力向上効果の一利点としてコバルト使用量を減少させ
ることができるという補足的説明が付されている程度に
過ぎない。コバルト使用量を減少させるということは一
般的には保磁力の向上効果を小さく制限してしまうこと
であり、この様な制限下で必要とする保磁力レベルとシ
ャープな保磁力分布あるいは良好な経時安定性を実現さ
せることは非常にむずかしいことであるが、従来より解
決すべき課題として残っていたと言える。
[発明の目的] 本発明の目的はコバルトの使用量が従来のものより少な
いが安定に高保磁力を示す新型のコバルト被覆針状磁性
酸化鉄粉末とその製造法を提供することにある。この新
規な磁性粉末の製造法は、最外被膜層として水不溶性の
カルシウム−ケイ素共沈澱物被膜を形成させる工程を持
つ点に特徴があり、これによりその下側のコバルト−二
価鉄被着層の酸化や再溶解による結晶の変成劣化を防止
しつつコバルト−二価鉄被着層の結晶性の向上をもたら
し、少ないコバルト使用量で所定の保磁力と他の良好な
磁気特性を有するコバルト被覆針状磁性酸化鉄粉末を得
ることができるという利点がある。
[発明の構成] 本発明の磁性酸化鉄粉末を得るための一つの好ましい方
法は針状γ−Fe2O3粉末をアルカリ水溶液中に分散し、
このスラリーに水溶性コバルト塩と水溶性二価鉄塩を添
加して常温、非酸化性雰囲気においてγ−Fe2O3芯晶表
面をコバルトと鉄の化合物で変成し、次にカルシウムと
ケイ素の水溶性塩を添加して高温にて熟成し、水不溶性
のカルシウム−ケイ素共沈澱物被膜を芯晶の最外表面に
強固に形成させた後、スラリー中の余剰アルカリを除去
・水洗して水の沸点以上の温度にて水熱処理を行なうこ
とを特徴とする。以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の磁性酸化鉄粉末を得るための典型的な方法をそ
れに含まれる工程順に述べると次の様になる。まずγ−
Fe2O3粉末の保磁力向上のためのコバルト被着工程にお
いては、できるだけ少量のコバルト使用量にて最高の保
磁力を得るために、芯晶とするγ−Fe2O3粉末をアルカ
リ水溶液中に分散させる。この時分散スラリーのpHが10
〜12の範囲になるようにアルカリ量を調整することが望
ましい。このpH調整の理由はスラリーの粘度を最小と
し、ジュース・ミキサーやホモミキサー等による機械的
な分散の効果を高めることにある。次に分散した芯晶ス
ラリーに対し、後に添加するコバルト塩と二価鉄塩の総
量を中和する当量の2〜6倍量のアルカリを追加する。
ここで言うアルカリとは化学で一般に使用されているそ
の語の通常の意味でのアルカリであり、水酸化物MOHの
形式をとり水に溶解する物質の総称であって、Mはアル
カリ金属やアンモニウム基をさすが工業的には苛性ソー
ダが代表的であり通常はほとんど苛性ソーダが使用され
る。この高濃度アルカリ芯晶スラリーに対し、その液温
を常温(約30℃)に調節した後、硫酸コバルトや硫酸第
一鉄の様なコバルト塩と二価鉄塩の水溶液を添加し撹拌
する。コバルト塩と二価鉄塩を添加すると、水酸化物の
白色沈殿が生じスラリーは初期には芯晶のγ−Fe2O3
が支配する茶色を呈したままであるが、数分後には急激
に黒色へと変化してゆく。すなわち芯晶表面のコバルト
−二価鉄変成反応が進行する。この反応は常温では1〜
3時間で終了する。反応の進行と終了はこのスラリーの
黒色変化でも概ね判断できるが、正確には反応途中のス
ラリーを一部サンプリングし、水洗、乾燥した粉末の保
磁力を測定して保磁力の向上度合をチェックすることで
判定される。なおこの反応時には系外からの酸素の供給
は行なうべきでなく、窒素ガス等の不活性ガスを用いて
反応系を非酸化性雰囲気とすることが望ましい。添加す
るコバルトと二価鉄の量については、コバルトは保磁力
の設定値により増減するが本発明の方法によれば従来の
コバルト添加量と保磁力の関係に対し、コバルト添加量
をおよそ三分の二以下に減少させた関係において増減調
節することができる。例えばVHSフォーマットやβ−max
フォーマットの1/2″幅ビデオテープ用磁性粉の場合に
は従来コバルト添加量は2.8〜3.3重量%であったのが1.
5〜2.1重量%でよい。二価鉄の方は芯晶に対し約8〜10
重量%の一定値とすることが保磁力向上の点で適当であ
る。芯晶に対しこの二価鉄添加量が少ないと保磁力は向
上し難く、結果的にコバルト使用量を増加させねばなら
なくなる。一方多過ぎると保磁力の向上は飽和に達し、
逆に磁気特性の不安定性等他の好ましくない性質が現出
するので適当でない。コバルトと二価鉄の添加順序につ
いては芯晶と被着層との関係あるいは被着層自体の深部
に向ってのコバルトと二価鉄の分布に着目して磁気特性
の改善をはかる提案が種々なされてきたが、高保磁力を
得ることを主眼とする場合にはコバルトと二価鉄とが常
に共存する同時添加の方法が有利である。ただしこの場
合には一般に保磁力分布が広くなり磁気記録媒体用磁性
粉としては好ましくなかった。そこで本発明においては
この保磁力分布の悪さを解消するために前段のコバルト
−二価鉄被着反応におけるコバルト添加量を最少限度に
とどめて高保磁力成分が生成し難い条件に設定する。す
なわち添加したコバルトが局部的に過剰被着されるよう
な不均一性の発生を、コバルト添加量の低減により防止
しようとするものである。ところがコバルト添加量を減
少させた場合には粉末集合体の平均値としての保磁力は
向上し難いのが通例である。そこで本発明者等はこの二
律排反の現象に伴なう問題を解決するために鋭意研究を
行なった結果次の方法を採用することにより解決できる
ことを見出し本発明を完成したものである。すなわち芯
晶表面に少量のコバルト添加量でコバルト−二価鉄の被
着を行なった後この被着層の上側に水不溶性のカルシウ
ム−ケイ素被膜を形成させて補強し、後工程において通
常は溶解・析出反応が生じて逆効果となる様な高温条件
下においても、このカルシウム−ケイ素被膜の存在によ
ってコバルト被着層の再溶解を阻止しつつ水熱処理を施
こすことによりコバルト−二価鉄被着層の結晶性を向上
させて保磁力を高めようとするものである。この場合高
温の水熱処理を行なっても、もともとのコバルト添加量
を最少限度まで減らしているので保磁力分布が悪化する
という現象は認められない。
以上の様にコバルト添加量を減少させながら保磁力のレ
ベルとその分布の両者特性を満足させることは従来技術
的に難かしい問題であったが、本発明によればこれを解
決することが可能であり、本発明の最重要点となるもの
は前段のコバルト被着工程終了後に行なうカルシウム−
ケイ素共沈殿物被膜形成処理である。次にこの方法につ
いて説明する。
コバルトと二価鉄との被着反応を終了したスラリーに対
しカルシウムとケイ素の水溶性塩を添加し、80〜95℃ま
で加熱して2〜3時間熟成を行なう。ケイ素の水溶性塩
としては代表的なものとしてメタケイ酸ソーダや水ガラ
スを用いることができる。これらの添加量についてはコ
バルトと二価鉄とで変成した後の粉末に対しカルシウム
が約0.05〜0.5重量%で好ましくは0.15〜0.35重量%が
適当である。またケイ素は約0.1〜0.8重量%で好ましく
は0.2〜0.5重量%が適当である。カルシウムとケイ素の
添加後にスラリーを80〜95℃に加熱し熟成すると、それ
を行なわない場合と比較して最終的に得られるコバルト
被覆粉末の保磁力がより高くなる。この原因としては水
不溶性のカルシウム−シリケート被膜が高温熟成により
強固に沈着形成されるので、この下側のコバルト−二価
鉄変成被着層の後工程での酸化や再溶解がより完全に防
止されるためであると考えられる。
以上により重層被着処理を終了したスラリーについて次
に余剰のアルカリを清澄除去し過水洗を行なう。この
工程は芯晶表面被着生成物の酸化防止の意味からは非酸
化性雰囲気とすることが望ましいが、系全体を非酸化性
雰囲気に保つことは工業生産上多大の設備とコストを要
するので通常は特別な雰囲気制御を行なわず空気雰囲気
下で過及び水洗を行なっている。従って従来の様に前
段のコバルト−二価鉄被着層の形成が行なわれるだけの
場合には被着層の二価鉄が容易に空気酸化され、これが
原因となって保磁力の向上度が低下するという問題があ
る。すなわち前段において高保磁力化のために注意深く
綿密なコバルト−二価鉄被着反応を行なったとしても、
後の水洗工程にて酸化し被着表面層が変質すれば所定の
保磁力まで向上し得ないことにより、結局余分のコバル
トを多く使用せざるを得なくなる。ところが本発明で提
案する後段のカルシウム−シリケート被膜の形成処理を
行なった場合には上記の様な二価鉄の酸化変質が生じ難
く、従って保磁力の低下もほとんど生じないことが判明
した。すなわち最外表面層に形成されたカルシウム−シ
リケート被膜層がその内側のコバルト−二価鉄被着層の
空気との接触を遮断する働きを有していると考えられ
る。後述の実施例に示すようにカルシウムとケイ素の添
加量が多くなるとこの酸化防止効果はより顕著になる傾
向があり、これはカルシウム−シリケート被膜の粒子表
面被覆性がより完全になるためであると考えられる。
余剰のアルカリと被着反応生成塩を水洗除去したスラリ
ーに対し、次にオートクレーブを用いて水熱処理を行な
う。その温度は通常130〜180℃であり処理時間は通常1
〜5時間である。従来コバルト等被着を行なった磁性酸
化鉄粉末は湿式、乾式を問わず被着反応変成後に加熱処
理を行なって保磁力の向上効果をより顕著とすべきこと
が提案されてきた。この原因は被着層の結晶性の向上あ
るいはコバルト、二価鉄及び三価鉄のスピネル結晶構造
下での組み変えが活発となり、いわゆる強磁性コバルト
フェライト組成かもしくはそれに類似する組成が均一に
形成されるためであると考えられる。本発明におけるカ
ルシウム−シリケート被膜を形成させた磁性粉末粒子に
おいても重層被着後の熱処理は有効であり、保磁力向上
の効果は大である。ところが熱処理の方法や条件次第で
は同じ高保磁力レベルが得られたとしても保磁力分布に
は大差が生ずる。発明者等が種々の比較実験を行なった
ところ、乾式熱処理においては140℃以上の高温で熱処
理すると保磁力は高くなるがその分布は広がり、いわゆ
る高保磁力成分が増大する。更に180℃以上では塗膜に
した時の角形比も大きく劣化する。これらの性質は磁気
記録媒体用磁性粉としては甚だ好ましくない。従って乾
式熱処理の場合には通常110〜130℃の温度領域で熱処理
を行ない諸特性のバランスを保つようにしているのが一
般的な方法である。一方本発明で提案する湿式熱処理す
なわち水熱処理の場合には、110〜140℃の温度領域で行
なった場合も乾式法と同様に保磁力の向上が認められる
が、更にその上の長所として保磁力分布が乾式法の場合
より狭いという特徴がある。ところが140℃以上での水
熱処理の場合には従来のコバルト被着層のみの場合すな
わち本発明で提案するカルシウム−シリケート被膜を形
成させないままで高温の水熱処理を行なうと高温になる
ほど肝心の保磁力が逆に低くなる現象が現われることが
認められた。一方本発明提案のカルシウム−シリケート
被膜を形成したものでは保磁力の低下現象は認められず
更に特筆すべき事項として140〜180℃の温度領域で保磁
力分布がより狭くなり、この保磁力分布特性は他の熱処
理方法よりも優れたものであった。
この様に同一の水熱処理を行なった場合であってもカル
シウム−シリケート被膜の有無により熱処理後の保磁力
と保磁力分布の特性が全く相反する傾向を示したわけで
あるが、この原因は次の通りであると考えられる。弱ア
ルカリ性水溶液中での高温の水熱処理に対し、コバルト
被着層単独の場合にはその表面層が溶解析出反応を繰返
し結果的に表面結晶層の乱れが生じるために保磁力が劣
化する。ところがコバルト被着層の上にカルシウム−シ
リケート被膜が形成された重層被着体の場合にはカルシ
ウム−シリケート被膜が保護膜として働き、下層のコバ
ルト被着層の溶解を防止するので結晶性向上の効果だけ
が顕著に現われることになる。なおカルシウム−シリケ
ート被膜を形成させた場合でも、180℃より更に高温で
水熱処理を行なうと保磁力は処理温度の上昇につれて徐
々に低下する傾向を示し好ましくない。やはりコバルト
被着層の溶解析出反応が徐々にではあるが生ずるためと
考えられる。
[発明の効果] 本発明によればコバルト被覆針状磁性酸化鉄粉末の製造
において、γ−Fe2O3芯晶表面のコバルト−二価鉄被着
層が酸化により変質し保磁力向上の効果が低減するのを
防止すると同時に、高温の水熱処理における被着層の再
溶解による保磁力の低下を招くことなく被着層の結晶性
の向上を促進しうるので、高い保磁力と良好な保磁力分
布特性を両立させることができる。従って高価なコバル
トの使用量を減少させることが可能であり、工業的に低
コストで製造することができる。またコバルト含有量が
多い場合に生ずる磁気特性の不安定性等の欠点も解消さ
れる。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1 針状γ−Fe2O3〔長軸径0.3μm、短軸径0.04μm、比表
面積28m2/g、保磁力(Hc)370Oe、飽和磁化(σs)72e
mu/g〕200gと苛性ソーダ2.2gを純水900mlに加え、強力
な機械的撹拌でよく分散させた。このスラリーを還流冷
却器と撹拌器を附設したフラスコに移し、ついで苛性ソ
ーダ127.2gを追加溶解し空気による酸化を防ぐために窒
素ガスを吹き込みながら、硫酸コバルト11.1gと硫酸第
一鉄18.6gを純水450mlに溶解した水溶液を加え、30℃に
て3時間撹拌を続けた。ついでこのスラリーに窒素ガス
の吹き込みを続けながらスラリーを90℃まで加熱し、2g
/lの硫酸カルシウム水溶液951mlとメタケイ酸ソーダ水
溶液〔SiO2/Na2Oモル比1:1、SiO2として76.6g/l〕27.9
mlを添加〔コバルト被着後のγ−Fe2O3粉に対しCaとし
て0.28重量%及びSiとして0.50重量%の添加量〕し、2
時間撹拌した。以上により二段処理したスラリーを
過、水洗した後オートクレーブに入れて撹拌しながら15
0℃で3時間加熱処理した。その後スラリーをオートク
レーブより取り出し、過、水洗し、55℃で10時間乾燥
して磁性粉サンプル〔A〕を作製した。
実施例2 実施例1において硫酸カルシウムの添加量をCaとして0.
15重量%にまたメタケイ酸ソーダの添加量をSiとして0.
30重量%に各々変えたこと以外は実施例1の場合と同様
にして磁性粉サンプル〔B〕を作製した。
実施例3 実施例1において硫酸コバルトの添加量を8.9gに変えた
こと以外は実施例1の場合と同様にして磁性粉サンプル
〔C〕を作製した。
比較例1 実施例1においてメタケイ酸ソーダの添加を行なわなか
ったこと以外は実施例1の場合と同様にして磁性粉サン
プル〔D〕を作製した。
比較例2 実施例1において硫酸カルシウムの添加を行なわなかっ
たこと以外は実施例1の場合と同様にして磁性粉サンプ
ル〔E〕を作製した。
比較例3 実施例1において硫酸カルシウムとメタケイ酸ソーダの
添加を行なわなかったこと以外は実施例1の場合と同様
にして磁性粉サンプル〔F〕を作製した。
比較例4 実施例1においてオートクレーブによる加熱処理を120
℃で6時間に変えたこと以外は実施例1の場合と同様に
して磁性粉サンプル〔G〕を作製した。
比較例5 実施例1においてオートクレーブによる加熱処理を省略
し、同様の水洗と乾燥を行なった後に窒素ガス雰囲気下
にて120℃で6時間の乾式加熱処理を行ない磁性粉サン
プル〔H〕を作製した。
比較例6 実施例1において90℃、2時間の加熱撹拌を行なうこと
までは同様にし、硫酸カルシウムもメタケイ酸ソーダも
添加せずその後過、水洗、乾燥して比較例5と同様に
窒素ガス雰囲気下にて120℃で6時間の乾式加熱処理を
行ない磁性粉サンプル〔I〕を作製した。
比較例7 比較例6において180℃で3時間の乾式加熱処理を行な
ったこと以外は比較例6の場合と同様にして磁性粉サン
プル〔J〕を作製した。
前記実施例1〜3及び比較例1〜7で作製した磁性粉サ
ンプル〔A〕〜〔J〕について通常の方法にて保磁力
(Hc)と飽和磁化量(σs)を測定した。また各サンプ
ル粉を空気雰囲気下60℃にて7日間放置した後に再度保
磁力を測定し、保磁力の経時変化量(ΔHc)〔ΔHc=
(60℃、7日間放置後のHc)−(作製直後のHc)〕を求
めた。これらの結果を第1表に示す。
また作製直後の各サンプル粉について下記の配合割合に
従って小型サンドグラインダーミル等を用いて磁性塗料
を調製した。
コバルト被着磁性粉 100.0(重量部) 分散剤 1.8 滑剤 1.5 塩ビ−酢ビ共重合体 10.6 ポリウレタン樹脂 10.6 硬化剤 2.1 シクロヘキサノン 45.0 メチルエチルケトン 135.0 トルエン 45.0 上記磁性塗料をコーターにて厚さ15μmのポリエステル
フィルム上に塗布し、磁場配向した後乾燥して通常のカ
レンダー処理を施こし、厚さ約5μmの磁気テープを作
製した。そして通常の方法によりこのテープの保磁力
(Hc)、角形比(SQ)、配向比(OR)及び反転磁界分布
(SFD)を測定した。これらの結果を第1表に示す。
以上の結果において本発明による実施例の磁性粉サンプ
ルは高保磁力であることはもちろんのことテープにおけ
る角形比、配向比及び反転磁界分布が極めて良好で、秀
れた特性を示すことは明らかである。
実施例4 本発明の磁性酸化鉄粉末は、個々の粉末構成粒子が、針
状γ−Fe2O3結晶粒子からなる芯晶の外表面をコバルト
層で被覆され、さらにその外表面をカルシウム−ケイ素
共沈殿物の皮膜で被覆された2重被覆層粒子からなるも
のであると考えられる。前記コバルト層は芯晶表面に沈
着せしめられたコバルトと鉄の化合物が芯晶表面のγ−
Fe2O3と相互に反応して形成されたγ−Fe2O3のコバルト
と鉄による変成物の層であり、この点においては従来の
コバルト被覆磁性酸化鉄粉末と変りない。しかしながら
前記カルシウム−ケイ素共沈殿物層は芯晶の最外表面に
強固に形成された保護層であって高温熱水処理に際して
コバルトと鉄の溶出を著しく抑制する機能をもつ層であ
る点において本発明の酸化鉄粉末は従来からあったコバ
ルト被覆針状磁性酸化鉄粉末と明確に区別できる。この
点を確認するために次の実験を行なった。
試料として、実施例1および比較例6の方法でそれぞれ
得られた酸化鉄粉末を、各10gずつ採取し、0.1NのHCl水
溶液2l中(40℃)に加えて撹拌し、10分経過毎にスラリ
ーをサンプリングし、これを遠心沈降により上澄み液を
分離採取し、ICPAにて液中のFeとCoを定量分析した。そ
の結果を横軸に溶解時間(分)、縦軸に溶出したFeまた
はCoの濃度(mg/2l)をとって直交座標にプロットして
みると、それぞれ第1図および第2図のようになった。
すなわち同一経過時間で比較すると本発明の粉末粒子の
表面にあるCoおよびFeの溶出は、従来の粉末粒子の表面
にあるCoおよびFeの溶出よりも明らかに遅いことがわか
る。この結果は、本発明の酸化鉄粉末が外表面にカルシ
ウム−ケイ素沈殿物の強固な保護層をもつ粒子からなる
新しいタイプの粉末であるという発明者の考えが正しい
ことを裏付けている。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の酸化鉄粉末および従来の酸化鉄粉末
をそれぞれ稀塩酸に溶解した場合のFeの溶解曲線を示
す。 第2図は同じくCoの溶解曲線を示す。
フロントページの続き (72)発明者 山崎 貴規 山口県宇部市大字小串1978番地の25 チタ ン工業株式会社内 (72)発明者 糸藤 法之 山口県宇部市大字小串1978番地の25 チタ ン工業株式会社内 (72)発明者 井上 善博 山口県宇部市大字小串1978番地の25 チタ ン工業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】個々の粉末構成粒子が、針状γ−Fe2O3
    晶粒子からなる芯晶の外表面をコバルト層で被覆され、
    さらにその外表面をカルシウム−ケイ素共沈殿物の被膜
    で被覆された2重被覆層粒子からなり、前記コバルト層
    は芯晶表面に沈着せしめられたコバルトと鉄の化合物が
    芯晶表面のγ−Fe2O3と相互反応して形成されたγ−Fe2
    O3のコバルトと鉄による変成物の層であり、前記カルシ
    ウム−ケイ素共沈殿物層は芯晶の最外表面に強固に形成
    された保護層であって高温熱水処理に際してコバルトと
    鉄の溶出を著しく抑制する機能をもつ層であることを特
    徴とする、コバルト被覆針状磁性酸化鉄粉末。
  2. 【請求項2】針状γ−Fe2O3粉末をアルカリ水溶液に分
    散し、この粉末に非酸化性雰囲気にて常温でコバルトと
    二価鉄塩の化合物を被着処理し、次に100℃以下の高温
    にてこのコバルト被着粉末の最外表面にカルシウム−ケ
    イ素共沈澱物被膜を形成させ、水洗の後この重層被着処
    理粉を水の沸点以上の温度にて水熱処理することを特徴
    とするコバルト被覆針状磁性酸化鉄粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】コバルト含有量が、重層被着粉末基準で1.
    5〜2.5重量%であり、二価鉄含有量が同基準で5〜10重
    量%の範囲である特許請求の範囲第2項記載のコバルト
    被覆針状磁性酸化鉄粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】カルシウム−ケイ素共沈殿物含有量が重層
    被着粉末基準で、カルシウムが0.05〜0.5重量%及びケ
    イ素が0.1〜0.8重量%の範囲である特許請求の範囲第2
    項記載のコバルト被覆針状磁性酸化鉄粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】水熱処理温度が130〜180℃の範囲である特
    許請求の範囲第2項記載のコバルト被覆針状磁性酸化鉄
    粉末の製造方法。
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