JPH078646Y2 - 柱・梁及び斜材の接合構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案は、主として建築物の壁フレームとして使用さ
れる柱・梁及び斜材の接合構造に関するものである。

従来の技術 プレハブ住宅の鉄骨枠組を構成するフレームにおいて、
全体をラーメン構造とすることによって、その中央部に
大きな開口部を形成することを可能にしたものが考えら
れている。第５図は、このような枠組フレームを示した
もので、左右一対の軽量溝形鋼からなる柱材（１）
（１）と、両柱材（１）（１）の中央部間に渡した同じ
く軽量溝形鋼の桟材（２）と、柱材（１）（１）及び桟
材（２）によって囲まれる上下の長方形の空間部分に渡
した斜材（３）（３）とによって柱体（４）を構成し、
左右方向に間隔を置いて配置した一対の柱体（４）
（４）の上端部部間に跨って、普通溝形鋼の梁（５）を
渡し、この溝形鋼（５）と各柱材（１）の上端部とを相
互に溶接し、これによって、全体をラーメン構造とした
ものである。また、柱（１）と斜材（３）の梁（５）へ
の接合は、従来、まず柱材（１）を梁（５）へ固定し、
その柱材（１）へ斜材（３）を接合している。（６）及
び（７）は各柱体（４）（４）間及び各柱体（１）
（１）の端部部間に渡した下枠である。

考案が解決しようとする課題 上記柱体（４）（４）及び梁（５）からなるフレーム
は、全体的に見ればラーメン構造をなしており、それゆ
え、ブレースによって水平力に対抗させる耐力壁に比較
して、任意に開口部を取れる等の利点がある。しかしな
がら、このようなラーメン構造にすると、例えば上記梁
（５）に水平荷重Ｆが作用した場合、柱体（４）（４）
に曲げ応力が発生し、そのため、上記のように各柱材
（１）（１）に軽量形鋼を使用すると、この曲げ応力に
よって、これらが曲げ破壊を起こす虞れがある。

更に、前述のように、斜材（３）が柱材（１）へ接合さ
れているため、斜材（３）の荷重が柱材（１）へ伝達さ
れて、その柱材（１）の負担が大きくなる欠点があっ
た。

課題を解決するための手段 上記の欠点を解消するため、この考案では、梁の下面
に、垂直な接合プレートと斜材の傾きと同方向に傾斜し
た接合プレートの上端を、夫々その上端縁が梁横断方向
となるようにして溶接し、前記垂直な接合プレートに柱
材上端を、傾斜した接合プレートに斜材上端を溶接した
ことを特徴とする。

作 用 上記柱材（14）及び斜材（15）を接合する接合プレート
（13）（16）は、何れも梁（11）に作用する横荷重に対
して一種のピンとしての作用をなし、柱材（14）や斜材
（15）が曲げ荷重によって破壊を起こすのを防止でき
る。また、逆に斜材（15）及び柱材（14）に発生する力
は、夫々別の接合プレート（13）（16）を介して梁（1
1）側に伝達されるので、従来の接合構造に比べて柱材
（14）へ大きな荷重が作用するということがない。

実施例 この考案の実施例を示す第１図〜第４図において、梁
（11）は普通溝形鋼からなるものであり、そのフランジ
（12）（12）が上下互いに平行となるようにして配向さ
れている。そして、この梁（11）の下側のフランジ（1
2）下面に、各々垂直な接合プレート（13）（13）が、
その上端縁ぶ梁（11）の横断方向となるようにして、そ
の上端部において溶接されている。前記第５図の柱体を
構成する一対の内外の柱材（14）（14）は、何れも軽量
溝形鋼からなるものであり、これらの柱材（14）（14）
の上端が、前記の接合プレート（13）（13）へそのウエ
ブの背面部分において溶接されている。他方、内側の柱
材（14）近傍部分には、斜材（15）と同方向に傾斜した
もう１つの接合プレート（16）が、前記と同様に、その
上端縁が梁（11）の横断方向と同方向となるようにし
て、その上端部において梁（11）の下側フランジ（12）
下面に溶接されている。同じく軽量溝形鋼からなる斜材
（15）が、この接合プレート（16）へ、そのウエブ背面
部分において溶接されている。これら接合プレート（1
6）と斜材（15）とは、同方向の同一角度に傾斜して設
けられている。

梁（11）の両フランジ（12）（12）間の溝部分には、一
対のスチフナープレート（17）（17）が、その面が梁
（11）の横断方向と同方向となるようにして、前記接合
プレート（13）（16）の梁（11）への溶接部分に対応し
て外嵌され、その端部がフランジ（12）（12）及び梁
（11）のウエブ（18）へ溶接されて、フランジ（12）
（12）の曲げ荷重に対する補強をなしている。

考案の効果 この考案によれば、柱材及び斜材の上端と梁とを接合す
る各々の接合プレートが、梁から柱材や斜材への曲げ荷
重の伝達を吸収する一種のピン構造となるため、前記の
ようなラーメンフレームに用いた場合であっても、軽量
溝形鋼のような比較的強度のもので充分耐えることがで
きるという効果がある。また、逆に斜材及び柱材に作用
する荷重は、夫々別の接合プレートを介して梁側に伝達
されることから、斜材を柱材へ接合したものに比較し
て、柱材及び接合プレートの負担が少なくて済むという
利点がある。

更に、本考では、斜材を接合する接合プレートは、その
斜材と同方向に傾斜させて接合しているから、斜材に伝
わる力の流れが単純なものとなって、接合部の強度設計
が容易であると共に、それら斜材と接合プレート及び各
接合プレートと梁等の全てが溶接で接合されていること
から、ボルト接合のようにボルト穴のクリアランスによ
るずれを生じて、変形を生じ易いといった不都合がな
く、剛性が高い。加えて、上記のように、斜材と柱は、
それぞれ別の接合プレートを介して梁へ接合されて、一
点に合流することなく力が伝達されることから、力の流
れを把握し易く、この点でも設計が容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案の実施例を示す柱と梁及び斜材接合
部分の正面図、第２図は、第１図のＡ−Ａ線断面図、第
３図は、同じくＢ−Ｂ線断面図、第４図は柱及び斜材上
端部分の斜視図、第５図は、柱・梁及び斜材からなる壁
フレームの全体正面図である。 （11）……梁、（13）……接合プレート、（14）……柱
材、（15）……斜材、（16）……接合プレート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】梁の下面に、垂直な接合プレートと斜材の
   傾きと同方向に傾斜した接合プレートの上端を、夫々そ
   の上端縁が梁横断方向となるようにして溶接し、前記垂
   直な接合プレートに柱材上端を、傾斜した接合プレート
   に斜材上端を溶接したことを特徴とする柱・梁及び斜材
   の接合構造。