JPH0784167A - レンズの芯出し方法および芯出し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 安定したクランプ力でレンズの芯出しを行
う。 【構成】 レンズ１の光軸１ａから同一量α偏心したカ
ム面４を有するカム部材２をレンズ１の周囲に少なくと
も３箇所配置し、カム部材２とレンズ１との間に芯出し
部材５を配置する。カム部材２を同時に変位させ、芯出
し部材５を同時にレンズ１の外周面に当接させてクラン
プすることにより芯出しする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はレンズの外周面をクラン
プすることによりレンズの芯出しを行う方法および装置
に関する。

【０００２】

【従来の技術】レンズの芯出しを機械的に行う方法のひ
とつとして外径芯出し方法が知られている。この方法は
複数のレンズを接合する場合や、球面状のレンズ基材に
樹脂層を形成する複合型光学素子等の加工を施す際に、
レンズの外周部を３〜６点でクランプしてレンズの光軸
を芯出しするものである。

【０００３】図１４は特開昭３−１４６４４７号公報に
記載された上述の方法により芯出しを行う装置である。
同図において、軸受１００に回転自在に支持された回転
体１１０と、この回転体１１０の下面を支承して回転体
１１０の落下を防止するクリップ１２０と、回転体１１
０の回転でスライドするスライドコマ１３０とによりス
クロールチャック１４０が構成されている。芯出しされ
るレンズ１５０は筒状の支持シャフト１６０に支持され
た状態でスクロールチャック１４０内に挿入される。ス
ライドコマ１３０にはスクロールによって連動するクラ
ンパ１７０が設けられ、モータ１８０の回転によりこの
クランパ１７０がレンズ１５０の光軸方向に移動してレ
ンズ１５０の外周面をクランプし、これによりレンズ１
５０の芯出しが行われる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の芯出し装置で
は、回転体１１０、クリップ１２０およびスライドコマ
１３０によりスクロールチャック１４０が構成される
が、これらの部材の内、回転体１１０とスライドコマ１
３０との接触摺動面および回転体１１０とクリップ１２
０との接触摺動面の２箇所で摺動が生じるため、摺動面
積が大きいと共に、どちらの部材で摺動するかにより摺
動抵抗が大きくばらつく。このため、クランパ１７０が
レンズ１５０をクランプする際の保持力がばらつき易
く、このばらつきにより、正しくクランプされずに芯出
し精度が悪化したり、レンズに許容量以上の応力が作用
して面精度が悪化する問題があった。

【０００５】本発明は上記事情を考慮してなされたもの
であり、レンズをクランプする場合の摺動抵抗を小さく
できると共に、安定した力量でのクランプが可能で、こ
れにより芯出し精度や面精度を向上させることが可能な
レンズの芯出し方法および芯出し装置を提供することを
目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段および作用】本発明の心出
し方法は、芯出しされるレンズの光軸に対して同一量偏
心した状態でレンズとの接近及び離反方向への変位運動
をレンズの周囲の少なくとも３箇所に生じさせ、この変
位運動に連動してレンズの外周面の少なくとも３箇所に
クランプ力を作用させることを特徴とするものである。

【０００７】また本発明の芯出し装置は、芯出しされる
レンズの光軸と同一の回転中心を有する回転可能なリン
グ体と、その中心が前記リング体の回転中心から同一量
偏心した円弧状のカム面を有して前記レンズの周囲の少
なくとも３箇所に配置されリング体の回転でレンズの光
軸との接近及び離反方向に変位するカム部材と、各カム
部材のカム面およびレンズの外周面との間に配置されカ
ム部材の変位でレンズの外周面との当接および離反を行
う芯出し部材とを備えているものである。

【０００８】図１は、芯出し装置の基本構成を示し、芯
出しされるレンズ１の周囲の３箇所にカム部材２が配置
されている。カム部材２はレンズ１の光軸１ａを中心と
する基準円３に沿って等間隔で配置されており、このカ
ム部材２におけるレンズ１との対向面にはカム面４が形
成されている。各カム面４は円弧状に成形されており、
この円弧形状の中心４ａがレンズ１の光軸１ａから同一
量αを有して偏心している。またカム部材２はレンズ１
の光軸１ａをその回転中心として回転する（すなわち基
準円３と同心円状に設けられて回転する）リング体（図
示省略）上に配置されている。さらに、各カム部材２の
カム面４とレンズ１との間には芯出し部材５がそれぞれ
配置されている。各芯出し部材５はカム面４およびレン
ズ１に対向する両端部が円弧形状に丸み加工されると共
に、ばね６によりカム面と当接するように付勢されてい
る。

【０００９】上記構成において、リング体を駆動源（図
示省略）により回転させると、カム部材２は実線状態か
ら鎖線状態で示すように、レンズ１の光軸に対して同一
量で接近するように変位する。この変位により芯出し部
材５が押し出されて、レンズ１の外周面の３箇所に同時
に当接し、レンズ１をクランプする。これによりレンズ
１の芯出しが行われる。

【００１０】このような構成では、摺動箇所が芯出し部
材５とカム部材２のカム面４との当接部分だけであり、
摺動面積が小さく、摺動抵抗も小さく、ばらつきが少な
くなるため、レンズの保持力が安定する。このため芯出
し精度が向上すると共に、面精度も向上する。

【００１１】

【実施例１】図２ないし図８は本発明の実施例１を示
す。図２および図３において、中央部位に配された筒状
の支持部材１０にレンズ１が支持されており、この支持
部材１０の周囲にリング形状のトッププレート１１が配
置されている。トッププレート１１は装置全体を支持す
るベース１２に固定的に取り付けられており、このトッ
ププレート１１の外周部分下側にリング体を構成する上
下２段の回転リング１３，１４が回転可能に設けられて
いる。

【００１２】回転リング１３，１４はボルト１８により
結合していると共に、各回転リング１３，１４はトップ
プレート１１の外周側の段部に配置されて固定リング１
６およびボルト１７により取り付けられたベアリング１
５を介してトッププレート１１に対し回転可能となって
いる。これらの回転リング１３，１４はレンズ１の光軸
と同一の回転中心を有するように配置されるものであ
る。

【００１３】なお、ベアリング１５の外輪は上下２段に
分割されており、回転リング１４はいずれの外輪にも接
触するが、回転リング１３は上側の外輪のみに接触して
いる。また回転リング１４の外周面には平歯車が刻設さ
れており、スピードコントロールモータ１６の出力軸に
取り付けられた平歯車１７が、この平歯車に歯合してい
る。このような構造では、スピードコントロールモータ
１６が駆動すると、回転リング１４が回転し、これによ
り回転リング３が一体的に回転する。

【００１４】前記トッププレート１１には円弧状の溝１
９が１２０°の等間隔で同心状に３箇所形成されてお
り、各溝１９内にカム部材２０が差し込まれている。カ
ム部材２０はいずれもレンズ１との対向面にカム面２１
を有している。各カム部材２０のカム面２１はレンズ１
の光軸を中心とした基準円２２と同一の半径を有した円
弧形状に成形されている。カム部材２０はいずれも、そ
のカム面２１が基準円２２の中心に対して、同一量
（α）偏心するように配置されていると共に、その下面
が回転リング１３に支持された状態で溝１９から上方に
抜き出されている。かかるカム部材２０とレンズ１との
間には芯出し部材２４が配設される。

【００１５】芯出し部材２４は円弧状の後端面が各カム
部材２０のカム面２１に当接していると共に、同様に円
弧状の先端面がレンズ１の外周面に臨んでいる。この芯
出し部材２４はばね２５によりカム部材２０のカム面２
１に当接するように付勢されると共に、カム部材２０が
変位することにりレンズ１方向に移動してレンズ１に当
接する。この当接は全ての芯出し部材２４が同時になさ
れてレンズ１をクランプし、このクランプによりレンズ
１が芯出しされる。なお芯出し部材２４と、トッププレ
ート１１との間にはガイドテーブル３０が設けられて芯
出し部材２４の円滑な移動が確保されている。

【００１６】図４はこのガイドテーブル３０の一例を示
し、トッププレート１１に固定されるベース３１と、ベ
ース３１上に平行に取り付けられた第１の軌道台３２
と、この第１の軌道台３２にスライド可能に組み付けら
れた第２の軌道台３３と、第２の軌道台３３が取り付け
られたスライドテーブル３４とを備えている。また第１
の軌道台３２における第２の軌道台３３との対向面には
ローラ３５が交互に直交するように配設されて、全ての
方向の荷重を均等に受けるようになっており、これによ
りスライドテーブル３４が円滑にスライド移動する。

【００１７】図２において、２６は芯出し部材２４の閉
じ側（ｃｌｏｓｅ側）に配置されたフォトスイッチ、２
７は芯出し部材２４の開き（ｏｐｅｎ側）に配置された
フォトスイッチであり、いずれもトッププレート１１上
に固定されている。これらのフォトスイッチ２６，２７
に対し、対応するカム部材２０にはセンサードグ２８が
取り付けられている。図５は閉じ側のフォトスイッチ２
６を示し、開き側のフォトスイッチ２７も同様な構造と
なっている。このフォトスイッチ２６はカム部材２０の
変位によって、センサードグ２８がスリット内に進入す
ることにより、カム部材２０の変位を検出する。

【００１８】次に本実施例の作動を説明する。図６およ
び図７は芯出し部材２０がレンズ１に当接していない開
き状態を示し、レンズ１を搬送装置（図示省略）によっ
て支持部材１０上に載置する。このとき、芯出し部材２
０の先端部とレンズ１の外周面との間には隙間が生じて
いる（図７参照）。

【００１９】このレンズ１の載置後に、スピードコント
ロールモータ１６が駆動し、これにより回転リング１
３，１４が閉じ方向に所定角度回転する。この回転リン
グ１３，１４の回転により、カム部材２０が図８に示す
鎖線状態から実線状態に変位し、この変位により芯出し
部材２０が押し出され、全ての芯出し部材２０が同時に
レンズ１の外周面に当接してレンズ１の芯出しが行われ
る。ここで芯出し部材２０によるレンズ１のクランプ力
はセンサードグ２８が閉じ側のフォトセンサ２６内に進
入した後における所定の設定時間経過後にスピードコン
トロールモータ１６の駆動を停止することにより、その
大きさの調整が可能であり、クランプ力を大きくする場
合には設定時間を長くすることで可能となる。

【００２０】一方、スピンコントロールモータ１６を逆
方向に回転駆動して、回転リング１３，１４を開き方向
に回転することにより、芯出し部材２４がばね２５の付
勢力で後退する。これにより、図６および図７に示す状
態となり、レンズ１の取り出しが可能となる。なお、以
上の作動における芯出し部材２４の移動量はカム部材２
０のカム面２１の半径やカム面２１の偏心量あるいは回
転リング１３，１４の回転角の大きさにより変化するも
のであり、これらのパラメータを適宜変更することによ
り種々のレンズ１に対応させることができる。

【００２１】以上のような本実施例では、レンズ１をク
ランプする芯出し部材２４がカム部材２０のカム面２１
に接触して摺動するが、その摺動面積が小さく、摺動抵
抗も小さくなる。このため安定したレンズのクランプが
可能となる。また摺動抵抗が小さいため、クランプ力を
小さくでき、薄肉レンズであっても変形のないクランプ
および芯出しが可能となる。

【００２２】

【実施例２】図９および図１０は本発明の実施例２を示
し、実施例１と同一の要素は同一の符号で対応させるこ
とにより重複する説明を省略する。この実施例では、芯
出し部材２４の後端部にカムフォロア４０が回転可能に
取り付けられ、このカムフォロア４０がカム部材２０の
カム面２１に当接している。このカムフォロア４０はカ
ム部材２０が変位すると、その変位を回転しながら受け
るため、カム部材２０が軽快に変位する。このため本実
施例は実施例１よりも、さらに小さな力でカム部材２０
が変位するため、小さなクランプ力が必要なレンズにも
容易に適用することができる。

【００２３】

【実施例３】図１１および図１２は本発明の実施例３を
示し、実施例１および実施例２と同一の要素は同一の符
号で対応させてある。この実施例では、カム部材２０の
カム面２１に回転可能なカムフォロア４０が接触してい
る。このカムフォロア４０はガイドテーブル３０と同様
な構成となっているサブガイドテーブル４５に取り付け
られている。サブガイドテーブル４５はガイドテーブル
３０と平行となるようにトッププレート１１上に取り付
けられている。またサブガイドテーブル４５と芯出し部
材２４との間にはロードセル４６が挟まれている。さら
にモータ１６として本実施例では、ＡＣサーボモータが
使用されている。

【００２４】図１３はロードセル４６と、ＡＣサーボモ
ータ１６との接続を示し、アンプ５０、Ａ／Ｄ変換器５
１を有するロードインジケータ５２と、設定された保持
力と検出された保持力とを比較し、比較結果に基づいて
ＡＣサーボモータ１６の回転を制御する制御装置５３お
よびモータコントローラ５４とを介して接続されてい
る。

【００２５】上記構成では、回転リング１３，１４の回
転でカム部材２４が変位すると、この変位をカムフォロ
ア４０が受け、サブガイドテーブル４５に沿ってロード
セル４６が芯出し部材２４を押し出して芯出しする。こ
の芯出し時において、ロードセル４６によって検知され
る保持力が設定保持力に達した時点でＡＣサーボモータ
１６の駆動が停止する。従って、レンズ１に作用するク
ランプ力をロードセル４６が検知しながら制御するた
め、クランプ力の設定が容易で、しかもばらつきのない
クランプ力とすることができる。

【００２６】

【発明の効果】以上のとおり本発明は、小さな摺動抵抗
でレンズをクランプできるため、安定したクランプが可
能となり、レンズの芯出し精度や面精度を向上させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の基本構成を示す平面図である。

【図２】本発明の実施例１の平面図である。

【図３】図２におけるＡ−Ａ線断面図である。

【図４】ガイドテーブルの一例の斜視図である。

【図５】検知部分の断面図である。

【図６】実施例１の作動を示す平面図である。

【図７】図６のＤ部拡大平面図である。

【図８】実施例１の作動を示す部分平面図である。

【図９】実施例２の平面図である。

【図１０】図９におけるＢ−Ｂ線断面図である。

【図１１】実施例３の平面図である。

【図１２】実施例３の断面図である。

【図１３】実施例３の制御系のブロック図である。

【図１４】従来装置の断面図である。

【符号の説明】

１ レンズ ２ カム部材 ４ カム面 ５ 芯出し部材 ６ ばね

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 芯出しされるレンズの光軸に対して同一
   量偏心した状態でレンズとの接近及び離反方向への変位
   運動をレンズの周囲の少なくとも３箇所に生じさせ、こ
   の変位運動に連動してレンズの外周面の少なくとも３箇
   所にクランプ力を作用させることを特徴とするレンズの
   芯出し方法。
2. 【請求項２】 芯出しされるレンズの光軸と同一の回転
   中心を有する回転可能なリング体と、その中心が前記リ
   ング体の回転中心から同一量偏心した円弧状のカム面を
   有して前記レンズの周囲の少なくとも３箇所に配置され
   リング体の回転でレンズの光軸との接近及び離反方向に
   変位するカム部材と、各カム部材のカム面およびレンズ
   の外周面との間に配置されカム部材の変位でレンズの外
   周面との当接および離反を行う芯出し部材とを備えてい
   ることを特徴とするレンズの芯出し装置。