JPH0783062A - 内燃機関の吸気装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 内燃機関の吸気装置において、加速時に回動
するスワールコントロールバルブにより燃料の輸送を円
滑にする。 【構成】 スワールコントロールバルブ１５の上部１５
ｂに近接する位置から吸気通路２に燃料を噴射する燃料
噴射弁１０を備え、スワールコントロールバルブ１５を
二方向に回動させるアクチュエータ１７を備え、急加速
時に閉位置にあるスワールコントロールバルブ１５をそ
の上部１５ｂが下流側に移動する一方向に回動させ、か
つ緩加速時に閉位置にあるスワールコントロールバルブ
１５をその下部１５ｃが下流側に移動する逆方向に回動
させる制御装置３１を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の吸気装置の
改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】低速時から安定した燃焼を得る方法とし
て、燃焼室に適度なスワール（旋回流）を生起すること
が有効である。

【０００３】スワールを生起する装置として、例えば実
開昭６０−４５８２９号公報にも見られるように、燃焼
室に吸入される吸気を運転条件に応じて絞るスワールコ
ントロールバルブを備えるものがある。

【０００４】従来例えば図７に示すように、スワールコ
ントロールバルブ１５は２つに分岐形成された吸気ポー
ト１１の分岐点より上流側に配設され、スワールコント
ロールバルブ１５の直下流側に燃料噴射弁１０が配設さ
れている。

【０００５】スワールコントロールバルブ１５の切欠き
部１５ａは吸気通路２の中心線に対してオフセットして
設けられ、燃焼室６に吸入される吸気を絞ることによ
り、一方の吸気ポート１１から吸入される吸気流速を高
め、燃焼室１６にスワールを生起するようになってい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の内燃機関の吸気装置にあっては、スワールコ
ントロールバルブ１５が回動する加速時に、燃料噴射弁
１０から噴射された燃料噴霧の多くが吸気通路２の内壁
面に付着して、未燃焼ＨＣの排出量が増大したり、過渡
応答性が悪化するという問題があった。

【０００７】具体的には、図４のｂ図に示すように、ス
ワールコントロールバルブ１５が開弁する過程で、スワ
ールコントロールバルブ１５がその上部１５ｂを下流側
に向けて傾斜させる場合、吸入空気の大部分は図中矢印
で示すようにスワールコントロールバルブ１５の上部１
５ｂと吸気通路２の内壁面２ａの間を通って流れる。こ
のため、緩加速時に燃料噴射弁１０から噴射される比較
的少量の燃料噴霧はこの空気流により吸気ポート１１の
上壁面１１ａの方に曲げられて、吸気ポート１１に付着
して燃料の壁流が生じる可能性がある。

【０００８】また、図４のｄ図に示すように、スワール
コントロールバルブ１５が逆方向に回動して、スワール
コントロールバルブ１５の下部１５ｃを下流側に向けて
傾斜させる場合、吸入空気の大部分は図中矢印で示すよ
うにスワールコントロールバルブ１５の下部１５ｃと吸
気通路２の内壁面２ａの間を通って流れる。このため、
急加速時に燃料噴射弁１０から噴射される比較的大量の
燃料噴霧はこの空気流を貫いて、吸気ポート１１の下壁
面１１ｂに付着して燃料の壁流が生じる可能性がある。

【０００９】本発明は上記の問題点に着目し、内燃機関
の吸気装置において、加速時に回動するスワールコント
ロールバルブにより燃料の輸送を円滑にすることを目的
とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の内燃機関
の吸気装置は、燃焼室に吸入される吸気を運転条件に応
じて絞るスワールコントロールバルブを回転軸を介して
回動可能に支持し、スワールコントロールバルブの上部
に近接する位置から吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射
弁を備え、スワールコントロールバルブを二方向に回動
させる駆動手段を備え、急加速時に閉位置にあるスワー
ルコントロールバルブをその上部が下流側に移動する一
方向に回動させ、かつ緩加速時に閉位置にあるスワール
コントロールバルブをその下部が下流側に移動する逆方
向に回動させる制御手段を備える。

【００１１】請求項２記載の内燃機関の吸気装置は、請
求項１記載の発明において、急加速時にスワールコント
ロールバルブが回動する速度を低下させる遅延手段を備
える。

【００１２】

【作用】請求項１記載の発明において、低速時等の運転
条件で、スワールコントロールバルブが閉弁することに
より、燃焼室に吸入される吸気流速が高められて燃焼室
にスワールが生起され、良好な燃焼性が得られる。

【００１３】緩加速時にスワールコントロールバルブは
その下部が下流側に移動する方向に回動して開くため、
開弁する過程で傾斜するスワールコントロールバルブに
より、吸入空気は燃料噴射弁から遠い領域に集められ
る。緩加速時に、燃料噴射弁から噴射される比較的少量
の燃料噴霧は、吸気通路にある程度拡散した後に、この
空気流により下流側に曲げられるため、燃料噴射弁の近
傍の吸気通路内壁面に燃料の壁流が生じることを抑え
て、燃料と空気の混合が促進される。

【００１４】急加速時にスワールコントロールバルブ
は、その上部が下流側に移動する方向に回動して開くた
め、開弁する過程で傾斜するスワールコントロールバル
ブにより、吸入空気は燃料噴射弁に近接する領域に集め
られる。急加速時に、燃料噴射弁から噴射される比較的
大量の燃料噴霧は、この空気流を貫く勢力を持っている
ため、吸気通路内壁面に燃料の壁流が生じることを抑え
つつ、燃料と空気の混合が促進される。

【００１５】このようにして、加速時に回動するスワー
ルコントロールバルブによって方向付けられる空気流に
より、燃料噴霧が吸気通路の内壁面に付着することを抑
制して、未燃焼ＨＣの排出量が増大したり、過渡応答性
が悪化することを防止できる。

【００１６】請求項２記載の発明において、急加速時
に、スワールコントロールバルブがゆっくり回動するこ
とにより、スワールコントロールバルブが傾斜して、燃
料噴射弁の近傍に集められる吸入空気により燃料の霧化
混合を促進する作用が高められる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明を添付図面に基づいて説明す
る。

【００１８】図１において、１は機関本体、２は吸気通
路、３は排気通路、４は吸気弁、５は排気弁、６は燃焼
室である。

【００１９】吸気通路２のコレクタ部１３より上流側に
はスロットルバルブ１４が介装され、このスロットルバ
ルブ１４はアクセルペダルに連動して吸気量を調節す
る。

【００２０】図２にも示すように、吸気通路２は、一つ
の気筒の燃焼室６に開口する２本の吸気ポート１１が分
岐形成されている。燃焼室６の中央部には点火栓９が設
けられている。

【００２１】各吸気ポート１１の分岐点より上流側にス
ワールコントロールバルブ１５が設けられる。

【００２２】スワールコントロールバルブ１５はその回
転軸１６にリンク１８を介してアクチューエータ１７が
連結され、後述する制御装置３１により運転条件に応じ
て吸気通路２の中心線と略直交する閉弁位置と、吸気通
路２の中心線と略平行となる開弁位置に切換えられる。

【００２３】図２にも示すように、スワールコントロー
ルバルブ１５は長円形に形成され、その閉弁時に吸気通
路２の内壁面２ａとの間で吸気流を通す切欠き部１５ａ
を有している。

【００２４】切欠き部１５ａは回転軸１６より下方に位
置し、かつ一方の吸気ポート１１に対峙するように吸気
通路２の通路中心線に対してオフセットして開口され
る。これにより、スワールコントロールバルブ１５の閉
弁時に切欠き部１５ａを通過する吸気の大部分が一方の
吸気ポート１１に導かれ、この吸気ポート１１から流入
する吸気流により燃焼室６にスワールを生起するように
なっている。

【００２５】吸気通路２の途中にはスワールコントロー
ルバルブ１５より直下流側に燃料噴射弁１０が設けられ
る。燃料噴射弁１０はスワールコントロールバルブ１５
の上方に配置され、燃料噴射方向が各吸気弁４の傘裏部
に向けられている。

【００２６】図３に示すように、スワールコントロール
バルブ１５の回転軸１６を駆動する手段として、ダイヤ
フラム式アクチュエータ１７が設けられる。アクチュエ
ータ１７は、ダイヤフラム２１によって２つの室２２，
２３が画成される。ダイヤフラム２１はこれに連結され
たロッド２４およびリンク１８を介してスワールコント
ロールバルブ１５に連動する。

【００２７】ダイヤフラム２１は２つのスプリング２
５，２６の間に挟まれ、各スプリング２５，２６の付勢
力により中立位置に保たれることにより、スワールコン
トロールバルブ１５を閉位置に保持するようになってい
る。

【００２８】各ダイヤフラム室２２，２３は各配管２
８，２９，３０を介してスロットルバルブ１４より下流
側のコレクタ１３に連通する。各配管２８，２９，３０
の間には電磁切換弁２７が介装される。切換弁２７のポ
ジションによりスロットルバルブ１４より下流側の圧力
が各ダイヤフラム室２２，２３に選択的に導かれる。

【００２９】切換弁２７が各ダイヤフラム室２２，２３
を互いに連通するポジションからダイヤフラム室２２を
コレクタ１３に連通させるポジションに切換えられる
と、アクチュエータ１７は吸入負圧によってスプリング
２６を収縮させながら閉位置にあるスワールコントロー
ルバルブ１５を図１に矢印Ａで示す方向に回動させて開
く。

【００３０】これに対して、切換弁２７が各ダイヤフラ
ム室２２，２３を互いに連通するポジションからダイヤ
フラム室２３をコレクタ１３に連通させるポジションに
切換えられると、アクチュエータ１７は吸入負圧によっ
てスプリング２５を収縮させながら閉位置にあるスワー
ルコントロールバルブ１５を図１に矢印Ｂで示す方向に
回動させて開く。

【００３１】すなわち、切換弁２７のポジションに応じ
て閉位置にあるスワールコントロールバルブ１５が矢印
Ａ，Ｂのいずれかで示す方向に回動して開かれるように
なっている。

【００３２】なお、スワールコントロールバルブ１５の
回転軸１６をステップモータ等の電磁アクチュエータで
直接的に駆動するように構成してもよい。

【００３３】制御装置３１は機関１の運転条件検出信号
を入力し、予め設定されたマップの内容にしたがって低
速低負荷時を含む所定の運転条件でスワールコントロー
ルバルブ１５を閉位置に保持する。吸入空気の大部分が
スワールコントロールバルブ１５の切欠き１５ａを通っ
て導かれることにより、一方の吸気ポート１１を通って
燃焼室４に吸入される吸気流速が高められて燃焼室６に
スワールを生起し、燃料噴霧と空気の混合が促進され、
良好な燃焼性が得られる。

【００３４】制御装置３１は高速高負荷時を含む所定の
運転条件で、スワールコントロールバルブ１５を開位置
に保持する。燃料噴射弁１０から噴射される燃料噴霧は
空気と混合しながら２つの吸気ポート１１に均等に分流
し、高速時は吸気流速が上昇するのに伴って燃料噴霧と
空気の混合が促進され、良好な燃焼性が得られる。

【００３５】制御装置３１は、吸入空気量と機関回転数
の検出値に応じて燃料噴射量を算出する一方、加速時に
燃料増加率等に応じて緩加速時か急加速時を判定し、加
速状態に応じて閉位置から開位置に移動するスワールコ
ントロールバルブ１５の回動方向を切換える制御を行
う。

【００３６】スワールコントロールバルブ１５は、燃料
噴射量の増加率が小さい緩加速時に下部１５ｃが下流側
に移動する矢印Ｂ方向に回動して開く一方、燃料噴射量
の増加率の大きい急加速時に矢印Ａ方向に回動して開く
ように制御される。

【００３７】加速状態を判定する手段として、例えば吸
気通路２の吸入負圧を検出し、基準値（例えば−４００
ｍｍＨｇ）から所定圧力に到達するまでに経過する時間
Δｔを測定し、Δｔが基準値ｔ₀より大きい場合を緩加
速時と判定し、Δｔが基準値ｔ₀より小さい場合を急加
速時と判定してもよい。

【００３８】次に、作用について説明する。

【００３９】緩加速時にスワールコントロールバルブ１
５はその下部１５ｃが下流側に移動する矢印Ｂ方向に回
動して開く。図４のａ図に示すように、スワールコント
ロールバルブ１５が開弁する過程で、傾斜するスワール
コントロールバルブ１５により、吸入空気の大部分は図
中矢印で示すようにスワールコントロールバルブ１５の
下部１５ｃと吸気通路２の内壁面２ａの間を通って流れ
る。これにより、燃料噴射弁１０の近傍の空気流速が弱
められるため、緩加速時に燃料噴射弁１０から噴射され
る比較的少量の燃料噴霧が、燃料噴射弁１０の直下流側
の吸気ポート１１に付着して燃料の壁流が生じることを
抑えられる。そして、吸気ポート１１にある程度拡散し
た燃料噴霧は、スワールコントロールバルブ１５の下部
１５ｃと吸気通路２の内壁面２ａの間を通って流れる空
気流により吸気弁４の方に曲げられ、燃料と空気の混合
が促進される。

【００４０】急加速時にスワールコントロールバルブ１
５は、図５に示すように、その上部１５ｂが下流側に移
動する矢印Ａ方向に回動して開く。図４のｃ図に示すよ
うに、スワールコントロールバルブ１５が開弁する過程
で、傾斜するスワールコントロールバルブ１５により、
吸入空気の大部分は図中矢印で示すようにスワールコン
トロールバルブ１５の上部１５ｂと吸気通路２の内壁面
２ａの間を通って流れる。急加速時に燃料噴射弁１０か
ら噴射される比較的大量の燃料噴霧はこの空気流を貫く
勢力を持っているため、燃料噴射弁１０の直下流側の吸
気ポート１１に付着して燃料の壁流が生じることを抑え
て、燃料と空気の混合が促進される。

【００４１】このようにして、スワールコントロールバ
ルブ１５の回動方向を加速状態に応じて切換えることに
より、燃料噴霧が吸気通路２の内壁面２ａに付着するこ
とを抑制して、未燃焼ＨＣの排出量を低減し、過渡応答
性を改善することができる。

【００４２】次に、図６に示した他の実施例は、急加速
時に矢印Ａ方向に回動して開くスワールコントロールバ
ルブ１５の回動速度を低下させるものである。なお、図
１〜図６との対応部分には同一符号を用いて説明する。

【００４３】各ダイヤフラム室２２，２３は各配管５
１，５２，５３を介してスロットルバルブ１４より下流
側のコレクタ１３に連通する。各配管５１，５２は各電
磁切換弁５４，５５をそれぞれ介して配管５３との連通
が制御され、スロットルバルブ１４より下流側の圧力が
各ダイヤフラム室２２，２３に選択的に導かれる。

【００４４】この場合も、急加速時に切換弁５４が配管
５１と５３を連通するポジションに切換えられ、スワー
ルコントロールバルブ１５を矢印Ａ方向に回動させて開
く一方、緩加速時に切換弁５５が配管５２と５３を連通
するポジションに切換えられ、スワールコントロールバ
ルブ１５を矢印Ｂ方向に回動させて開くように構成され
る。

【００４５】スワールコントロールバルブ１５が矢印Ａ
方向に回動させる速度を低下させる遅延手段として、切
換弁５４は配管５１と５３を連通するポジションにおい
て、配管５１と５３を連通するオリフィスを備える。

【００４６】以上のように構成され、閉位置にあるスワ
ールコントロールバルブ１５が矢印Ａ方向に回動して開
く急加速時に、スワールコントロールバルブ１５が切換
弁５４のオリフィスを介してゆっくり回動することによ
り、図４のｃ図に示すように、スワールコントロールバ
ルブ１５が傾斜して、吸入空気を燃料噴射弁１０の近傍
に集めて燃料の霧化混合を促進する作用が高められる。

【００４７】

【発明の効果】以上説明したように請求項１記載の内燃
機関の吸気装置は、燃焼室に吸入される吸気を運転条件
に応じて絞るスワールコントロールバルブを回転軸を介
して回動可能に支持し、スワールコントロールバルブの
上部に近接する位置から吸気通路に燃料を噴射する燃料
噴射弁を備え、スワールコントロールバルブを二方向に
回動させる駆動手段を備え、急加速時に閉位置にあるス
ワールコントロールバルブをその上部が下流側に移動す
る一方向に回動させ、かつ緩加速時に閉位置にあるスワ
ールコントロールバルブをその下部が下流側に移動する
逆方向に回動させる制御手段を備えたため、加速時に回
動するスワールコントロールバルブによって方向付けら
れる空気流により、燃料噴霧が吸気通路の内壁面に付着
することを抑制して、未燃焼ＨＣの排出量が増大した
り、過渡応答性が悪化することを防止できる。

【００４８】請求項２記載の内燃機関の吸気装置は、請
求項１記載の発明において、急加速時にスワールコント
ロールバルブが回動する速度を低下させる遅延手段を備
えたため、急加速時に、スワールコントロールバルブが
ゆっくり回動することにより、スワールコントロールバ
ルブが傾斜して、燃料噴射弁の近傍に集められる吸入空
気により燃料の霧化混合を促進する作用が高められる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す機関の概略構成を示す横
断面図。

【図２】同じく機関の概略構成を示す水平断面図。

【図３】同じくアクチュエータ等の断面図。

【図４】同じく燃料および空気の流れる様子を示す断面
図。

【図５】同じくスワールコントロールバルブの動きを示
す断面図。

【図６】他の実施例を示すアクチュエータ等の断面図。

【図７】従来例を示す機関の概略構成を示す水平断面
図。

【符号の説明】

１ 機関 ２ 吸気通路 ６ 燃焼室 １０ 燃料噴射弁 １５ スワールコントロールバルブ １５ａ 切欠き部 １５ｂ 上部 １５ｃ 下部 １７ アクチュエータ ２７ 切換弁 ３１ 制御装置

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃焼室に吸入される吸気を運転条件に応
   じて絞るスワールコントロールバルブを回転軸を介して
   回動可能に支持し、 スワールコントロールバルブの上部に近接する位置から
   吸気通路に燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、 スワールコントロールバルブを二方向に回動させる駆動
   手段を備え、 急加速時に閉位置にあるスワールコントロールバルブを
   その上部が下流側に移動する一方向に回動させ、かつ緩
   加速時に閉位置にあるスワールコントロールバルブをそ
   の下部が下流側に移動する逆方向に回動させる制御手段
   を備えたことを特徴とする内燃機関の吸気装置。
2. 【請求項２】 急加速時にスワールコントロールバルブ
   が回動する速度を低下させる遅延手段を備えたことを特
   徴とする請求項１記載の内燃機関の吸気装置。