JPH078285B2 - インプラント植立溝形成装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は歯科手術用のインプラント植立溝の形成装置に
関する。

（従来の技術） インプラントの植立は、欠損歯芽補綴用の人工歯根とし
て、失われた歯牙機能の回復手術の第１歩として重要で
ある。

インプラントを植立させるには、まず歯外科的な手術で
インプラント植立溝を作る必要がある。

歯顎部にインプラント植立溝をつくるには、数回にわた
って歯顎部の骨格表面の緻密部を切削した後、さらに骨
格内部の海綿部を横に切削して行う。この場合、植立溝
の深さは一定に揃えなければならない。インプラント植
立溝が浅いとインプラントが骨格に十分に入らなかった
り、インプラントががたついて固定できず、人工歯冠が
取り付けられないからである。

従来、患者の骨格の硬さには個人差もあって、歯牙切削
具を使用する手術者としては、押圧を手の加減だけに頼
ってインプラント植立溝の深さを揃えて切削するには熟
練を必要としていた。

一方、インプラント植立溝の形成時、歯顎部の骨格の切
削には、内部の下歯槽管の血管等を損なってならず、骨
格部を切削の途中で回数ｘ線写真を取り歯顎部内の血管
等の位置をその都度調査しつつ手術を進行するという煩
雑なことを行っていた。患者に苦痛も多く、手術者とし
ては歯外科的に難手術の一つとされていた。

（発明が解決しようとする問題点） 本発明は、上述の煩雑な難手術に対し、患者には苦痛を
少なく、手術者には従来より容易に手術が出来るように
したインプラント植立溝形成装置を提供するものであ
る。

（問題点を解決するための手段） すなわち、第１の発明は、インプラントを植立する植立
溝を歯顎部に形成するための装置であって、インプラン
トを植立する歯顎部に当接させる装置本体と、前記装置
本体を歯顎部に当接させた状態に固定するための固定用
バーとからなり、前記装置本体は、その端部に歯牙切削
具の頭部タービンを挿入する上方に開口した挿入口を有
し、前記挿入口に連通して前記装置本体の側面部には頭
部タービンを誘導するガイドウェイが形成され、前記ガ
イドウェイに沿って前記装置本体の下面部には頭部ター
ビンのバー挿通孔が形成されるとともに、前記装置本体
の下面部より下方に突出して歯顎部内に挿入固定する固
定針を備えたことを特徴とするインプラント植立溝形成
装置であり、第２の発明は、インプラントを植立する植
立溝を歯顎部に形成するための装置であって、インプラ
ントを植立する歯顎部に当接させる装置本体と、前記装
置本体を歯顎部に当接させた状態に固定するための固定
用バーと、前記装置本体に取付けられ歯顎部のＸ線フィ
ルム測長用のスケールとからなり、前記装置本体は、そ
の端部に歯牙切削具の頭部タービンを挿入する上方に開
口した挿入口を有し、前記挿入口に連通して前記装置本
体の側面部には頭部タービンを誘導するガイドウェイが
形成され、前記ガイドウェイに沿って前記装置本体の下
面部には頭部タービンのバー挿通孔が形成されるととも
に、前記装置本体の下面部より下方に突出して歯顎部内
に挿入固定する固定針を備えたことを特徴とするインプ
ラント植立溝形成装置である。

（実施例） 以下、図面に示す実施例にしたがって、本発明を詳細に
説明する。

第１図は、第１の発明に係るインプラント植立溝形成装
置の一実施例を示す斜視図である。第２図は、第２の発
明に係るインプラント植立溝形成装置の一実施例を示す
分解斜視図である。図の符号中（１）は装置本体であ
り、この装置本体（１）は、ステンレス鋼、チタン、パ
イレックス等の滅菌の可能な強固な材料で作られる。

また、装置本体（１）は、インプラントの底辺の長さに
よって各種の長さのものを作製するのがよい。

装置本体（１）はほぼ角隅のとれた四角柱体であり、頭
部タービンの位置や手術時の患部の状態がよくわかるよ
うに、できるだけ大きな窓を有する構造であることが好
ましい。

第１図及び第８図に見られるように、装置本体（１）上
面一端には、歯牙切削具（５）の頭部タービン（51）の
形状に合わせ、頭部タービン（51）を挿入する挿入口
（11）が設けられている。さらに、前記挿入口（11）に
連通して、側方に頭部タービン（51）を誘導するガイド
ウエイ（12）が設けられている。

ガイドウエイ（12）内では頭部タービン（51）ががたつ
かないように、頭部タービン（51）の外形状に合致する
内形状を有している。

装置本体（１）の外面には、ガイドウエイ（12）に沿っ
て、横測長用の目盛（13,14）が刻まれている。装置本
体（１）の下面中央には前記ガイドウエイ（12）に沿っ
て頭部タービン（51）の切削バーを挿通する長孔のバー
挿通孔（15）が設けられている。

さらに、装置本体（１）の下面両端には、装置本体
（１）を位置固定するため、固定針（6a,6b）が突設さ
れている。

また、装置本体（１）には、手術中に装置本体（１）が
移動しない様に、押圧し固定する固定用バー（２）に、
簡単に結合するバー端子受皿（21）及び歯顎部のｘ線フ
ィルム縦測長用の複数のスケール（3a,3b）及び、その
取付ホルダー（31）を付属している。取付ホルダー（3
1）は、装置本体（１）とねじ（32,33）を使用して、装
置本体（１）に簡単に取付、及び取り外しを可能とす
る。即ち、縦測長用スケール（3a,3b）及びその取付ホ
ルダー（31）は、ｘ線撮影の時のみ使用して、他の時は
取り外すのである。なお、装置本体（１）に取付けて測
定の必要な位置が変更するに応じて取付ホルダー（31）
にも横スケール（35）を刻する。Ｘ線用のフィルムは口
内では屈曲しやすく、極く近接のスケールにより測長し
ないと、フィルム上での寸法誤差が大きくなるので、こ
のような近接したスケールで内挿して計測するのであ
る。なお、各スケールは、その目盛りがｘ線フィルム上
に残るようにｘ線造影用の塗料を使用して刻入すること
が好ましい。

なお、固定用バー（２）は、手術部位の位置により長短
を適宜に変えられるように準備しておく。

なお、装置本体（１）は手術部位の左右及び上下により
挿入口およびガイドウエイ（11,12）の取付方向が変化
するので、変化した時に他のバー端子受皿（21）及び取
付ホルダー（31）の位置が第15図、第16図のように、そ
れぞれに応じて変化したものになる。

本発明装置の使用方法を説明する。例として、前記の第
４図の右下第５歯、第６歯相当の２本の欠損歯牙の状況
について説明するが、植立する本数、位置等はこれに限
定されるものでない。

第４図に欠損歯牙の状況を、近遠心面観図で示した。第
５図には頬舌面観図を示す。

まず、インプラント溝の形成手術は、患部を浸潤麻酔、
粘膜切開、骨膜剥離して、歯顎部を露出する。

そこで、第３図に示すように、端部孔（4a,4b）を歯牙
切削具（５）で僅かに切削し、植立の位置を決定した
後、この部位に本発明装置の装置本体（１）と固定針
（6a,6b）を、端部孔（4a,4b）に挿入し固定する。

ここで装置本体（１）には、第６図に示すように、装置
本体（１）の奥の方に縦測長用スケール（3a,3b）を、
取付ホルダー（31）と、ねじ（32,33）を使って調節し
ながら固定する。第７図は、この状態の頬舌面観図を示
す。歯顎部の下部の下歯槽管（10）の位置が明瞭になる
ように縦測長用スケール（3a,3b）の位置を調整する必
要がある。

ここでｘ線フィルムを歯顎部の患部に当てて、縦測長用
スケール（3a,3b）との関係が明瞭になるように、ｘ線
を使用して歯顎部の下歯槽管（10）迄の長さを正しくフ
ィルム上に測長することができる。

これにより、切削バー（縦用TXバー（53），横用Ｙバー
（54））の長さは正しく決定できる。

第８図及び第９図は手術を開始し、歯牙切削具（５）の
頭部タービン（51）には縦切削用のTXバー（53）を取付
けて、インプラント溝の下部まで切削した図である。

本発明の装置本体（１）は歯牙切削具（５）の頭部ター
ビン（51）を、装置本体（１）の挿入口（11）の位置で
停止して、それより深くは切削できない。

つまり、縦切削用のTXバー（53）は必要以上は深く浸入
しない。歯顎部の骨格の下歯槽管（10）までの距離が予
めｘ線フィルム上で計測できているので、手術者は安心
して縦に切削できる。

縦方向の切削ができれば、横方向の切削は横方向切削用
のＹバー（54）に取り替えて、ガイドウエイ（12）に沿
って切削を進められる。横方向切削のＹバー（54）の長
さも前に撮影したＸ線フィルム上で分かっているので、
歯牙切削具（５）の頭部タービン（51）での切削はガイ
ドウエイ（12）及びバー挿通孔（15）にそってゆき、下
歯槽管（10）を損傷することなく、また歯牙切削具
（５）に押圧の手加減の必要も無く、歯顎部の骨格の切
削の深さを揃えられる。

第10図には、歯牙切削具（５）の頭部タービン（51）に
横削り用のＹバー（54）をつけて切削を進めて、インプ
ラント溝を切削したところを近遠心面観図で示した。第
11図は第10図の頬舌面観図である。装置本体（１）のガ
イドウエイ（12）と、バー挿通孔（15）により、歯牙切
削具（５）は移動が決定できるほか、横測長目盛（13,1
4）でも、手術者は目視して切削を進行できる。不要に
骨格を削ることなく、深さ及び長さが安定してインプラ
ント溝の切削が完了する。

このようにインプラント溝の切削ができるとテストした
後、第12図の近遠心面観図に示すように、Ｕ字型のイン
プラント（18）の挿入ができて植立が出来る。インプラ
ント（18）の植立した後縫合して完了する。

第13図は第12図の頬舌面観図を示した。

インプラントの植立が完了すれば、その後第14図のよう
に入口歯冠を植立させて、歯牙機能の回復が完成するこ
とになる。

（発明の効果） 本発明のインプラント植立溝の形成装置によれば、正確
なインプラント植立溝が手術者の手加減だけに頼ること
無く容易に形成ができる。

即ち、患部の下歯槽管、上顎洞管の位置との関係が近接
したＸ線用のフィルム上にスケールをつけて撮影でき、
極めて明瞭に関係位置が分かるようになった。

歯牙切削具の切削バーの長さの決定が容易になった。

また、歯顎部の顎骨の硬さは個人差が大きく切削具に手
術者の力の押圧により深浅をカンによっていたのが、カ
ンだけに頼らず安心して手術が可能になった。患者に無
駄な苦痛をかけることが減少した。

【図面の簡単な説明】

第１図は第１の発明に係る装置全体の斜視図、第２図は
第２の発明に係る装置全体の分解斜視図、第３図は欠損
歯牙２本相当の状況を示す図、第４図は欠損歯牙の近遠
心面観図、第５図は第４図の頬舌面観図、第６図は欠損
歯牙に本発明装置を挿入した近遠心面観図、第７図は第
６図の頬舌面観図、第８図は縦切削開始の斜視図、第９
図は切削部位を縦切削用のTXバーで切削中の近遠心面観
図、第10図は横切削部位をＹバーで切削した近遠心面観
図、第11図は第10図の頬舌面観図、第12図はインプラン
ト溝にインプラントを挿入した近遠心面観図、第13図は
第12図の頬舌面観図、第14図はインプラントに入口歯冠
を取付けた近遠心面観図、第15図は上部部位に使用する
第２の発明に係る装置本体の斜視図、第16図は上部の部
位に使用する第１の発明に係る装置全体の斜視図であ
る。 符号の説明 １……装置本体、10……下歯槽管、11……挿入口、12…
…ガイドウエイ、13,14……横測長用のスケール、15…
…バー挿通孔、18……Ｕ字型インプラント、２……固定
用バー、21……バー端子受皿、3a,3b……縦測長用スケ
ール、31……取付ホルダー、32,33……ねじ、4a,4b……
端部孔、５……歯牙切削具、51……頭部タービン、52…
…切削バー、53……縦切削TXバー、54……横切削Ｙバ
ー、6a,6b……固定針。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】インプラントを植立する植立溝を歯顎部に
   形成するための装置であって、 インプラントを植立する歯顎部に当接させる装置本体
   と、前記装置本体を歯顎部に当接させた状態に固定する
   ための固定用バーとからなり、 前記装置本体は、その端部に歯牙切削具の頭部タービン
   を挿入する上方に開口した挿入口を有し、 前記挿入口に連通して前記装置本体の側面部には頭部タ
   ービンを誘導するガイドウェイが形成され、 前記ガイドウェイに沿って前記装置本体の下面部には頭
   部タービンのバー挿通孔が形成されるとともに、 前記装置本体の下面部より下方に突出して歯顎部内に挿
   入固定する固定針を備えたことを特徴とするインプラン
   ト植立溝形成装置。
2. 【請求項２】インプラントを植立する植立溝を歯顎部に
   形成するための装置であって、 インプラントを植立する歯顎部に当接させる装置本体
   と、前記装置本体を歯顎部に当接させた状態に固定する
   ための固定用バーと、前記装置本体に取付けられ歯顎部
   のＸ線フィルム測長用のスケールとからなり、 前記装置本体は、その端部に歯牙切削具の頭部タービン
   を挿入する上方に開口した挿入口を有し、 前記挿入口に連通して前記装置本体の側面部には頭部タ
   ービンを誘導するガイドウェイが形成され、 前記ガイドウェイに沿って前記装置本体の下面部には頭
   部タービンのバー挿通孔が形成されるとともに、 前記装置本体の下面部より下方に突出して歯顎部内に挿
   入固定する固定針を備えたことを特徴とするインプラン
   ト植立溝形成装置。