JPH0782600A - 洗浄剤と洗浄方法 - Google Patents

洗浄剤と洗浄方法

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JPH0782600A
JPH0782600A JP7848893A JP7848893A JPH0782600A JP H0782600 A JPH0782600 A JP H0782600A JP 7848893 A JP7848893 A JP 7848893A JP 7848893 A JP7848893 A JP 7848893A JP H0782600 A JPH0782600 A JP H0782600A
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cleaning
detergent
water
oil
tank
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JP7848893A
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Shinji Minami
信二 南
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TEISHIN SHOJI KK
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TEISHIN SHOJI KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プリント基板等の電気・電子部品や機械・金
属部品の汚れの洗浄剤として現在主として用いられてい
るフロン113やトリクロロエタンは大気オゾン層を破
壊する環境問題から1995年末には全廃される。これ
らに代わる洗浄剤が提案されているが、洗浄性、発癌性
等の衛生問題、火災の危険性、排水処理コスト等の点で
満足するべきものが見出されていない。本発明はこれら
の点をすべて満足する洗浄剤並びに洗浄法を提供するも
のである。 【構成】 引火点が150℃以上かつ水への溶解度が1
重量%未満(25℃)の親油性洗浄剤(A)と、(A)
とは相溶し引火点が100℃以上、かつ水への溶解度が
20重量%以上(25℃)の親水性非イオン性洗浄剤
(B)の2液からなる洗浄剤、並びに被洗浄物を(A)
つぎに(B)を使用して洗浄し、ついで水で洗浄する。

Description

【発明の詳細な説明】 [0001] [産業上の利用分野]本発明はプリント基板を始めとす
る電気・電子部品、機械・金属部品等の硬質表面に付着
した油性汚染物の除去に適した洗浄剤並びにそれを用い
た洗浄法に関するものである。
[0002] [従来の技術]プリント基板等に付着したフラックス
や、ベヤリング、リードフレーム、感光ドラム等の機械
・金属表面に付着した油性汚染物の洗浄には、従来フロ
ン113、トリクロロエタン等の環境面及び衛生面で好
ましくない洗浄剤が使用されており、1995年末には
全面的に使用禁止される。最近これに代わるものとして
種々の洗浄剤が開発されている。大別すれば有機溶剤系
洗浄剤と界面活性剤を主成分とする水系洗浄剤である。
しかし前者は火災に対する危険性からその安全性確保の
ため洗浄装置の防火・防爆対応が必要で大幅なコスト高
になる。場合によっては洗浄剤に水を添加し、非危険物
化する手段も講じられているが、使用時蒸発する水補給
のための十分な管理が必要となる。一方後者の場合は洗
浄性が不十分である点に加え、廃水処理コストがかかる
欠点がある。
[0003] [発明が解決しようとする課題]本発明は従来使用され
ているフロン113やトリクロロエタンと同等もしくは
それ以上の洗浄性を有し、同時に環境保護面・衛生面で
も問題のない洗浄剤とそれを用いた洗浄法を提供する。
同時に上記問題点を解決するために紹介されている代替
洗浄剤の問題点である火災に対する危険性や、水系洗浄
剤で見られる洗浄性不足や、洗浄工程で発生する廃水処
理の高コスト化を、同時に解決しようとするものであ
る。
[0004] [課題を解決するための手段]本発明は、フロン113
やトリクロロエタンの使用禁止に伴い要求される代替洗
浄剤について、その問題点を検討し鋭意研究を重ねた結
果本発明に至った。すなわち汚染された硬質表面をもつ
被洗浄物に対し、引火点が150℃以かつ25℃におけ
る水ヘの溶解度が1重量%未満であるエステル類、カル
ボン酸類、アルコール類、アルキルフェノール類、ポリ
エーテル類から選択配合された油性洗浄剤(A)と、該
油性洗浄剤と相溶し、引火点が100℃以上かつ25℃
における水への溶解度が20重量%以上のモノアルコー
ル類、多価アルコール類、カルボン酸類、アルキルフェ
ノール類のアルキレンオキサイド誘導体から選択配合さ
れた水溶性非イオン性洗浄剤(B)の2液からなる洗浄
剤を使用する。その使用方法として、まず油性洗浄剤
(A)、つづいて水溶性非イオン性洗浄剤(B)で洗浄
し、つぎに水によって洗浄することにより、フロン11
3やトリクロロエタンと同等若しくはそれ以上に汚染物
を除去でき、更には従来の代替洗浄剤で問題であった火
災の危険、蒸気吸入の危惧、廃水処理施設の経済的負担
などから脱却しうることを見出した。本発明の洗浄剤の
うち、油性洗浄剤(A)には汚染物であるフラックスや
金属加工油等の油性物質を溶解させるものが使用され
る。なお、水への溶解度は、全く不溶である必要性はな
く、25℃で1重量%以内の溶解度を持つものは十分使
用に耐える。この制約条件は、後で述べるように水すす
ぎによって発生する廃水処理と、この油性洗浄剤を利用
する点から必要である。また、引火点が150℃以上と
いうのは1気圧下での値であり、この制約は洗浄性から
ではなく洗浄温度で完全に引火の心配を排除するためで
ある。これにより洗浄装置の防火・防爆対策の負荷が非
常に軽くなる。一方水溶性非イオン性洗浄剤(B)は被
洗浄物を油性洗浄剤で洗浄した後に被洗浄物表面に付着
している油性洗浄剤と、その中に含まれる油性汚染物並
びに場合によっては油性洗浄剤で除去しきれなかった親
水性汚染物を除去する目的で使用される。更にこの水溶
性洗浄剤は洗浄後の水すすぎ工程で容易に除去されるこ
とが当然のことながら要求される。25℃における水へ
の溶解度が20%以上という制約はこの目的を果たす上
で重要である。なお引火点100℃以上という制約は1
気圧下における値であり、油性洗浄剤の場合と同じ洗浄
条件で、まったく引火の心配を排除するためである。上
記洗浄剤を使用しての洗浄法は、第1洗浄槽で油性洗浄
剤、第2洗浄槽で水性洗浄剤を用いるところに特長があ
る。以後水すすぎ、乾燥は通常使用されている方法がそ
のまま採用される。公知洗浄システムでは洗浄剤での洗
浄工程は通常1槽のみで実施されており一見本発明の洗
浄システムは経済的に不利のように感じられるかもしれ
ない。しかし本発明の洗浄法を実施することにより洗浄
率の向上はもちろんのこと、工程面でも非常に有利であ
る。すなわち公知の水系洗浄剤を使用した場合、水すす
ぎ工程で発生する洗浄剤含有廃水処理にかなりのコスト
がかかる問題があるのに対し、本システムを使用した場
合、発生する廃水は、第1槽で使用する油性洗浄剤に接
触させることによって、そのまま再使用可能なレベルま
で有機物含量を低下させる事が可能であり、廃水処理の
ための高価な設備を必要としない。油性洗浄剤と廃水と
の接触法は特に限定されるものではない。たとえば廃水
を油性洗浄剤中に噴霧する事により、廃水中の有機物は
油性洗浄剤に移行し油性洗浄剤から分離した水層中の有
機物は、水すすぎ工程で使用できるレベルまで低下す
る。なお廃水処理に用いる油性洗浄剤は使い古したもの
で廃棄対象のものが使用可能である。また油性洗浄剤
が、このような特性を示すためには、油性洗浄剤の水へ
の溶解度が25℃で1重量%以下の制約が重要である。
油性洗浄剤(A)の具体例としては、引火点が150℃
以上のエステル類、カルボン酸類、アルコール類、アル
キルフェノール類、ポリエーテル類などが性能的にもコ
スト面でも有利である。より具体的にはエステル類とし
ては動植物油脂、あるいはこれらの加水分解によりえら
れるモノグリセリド、ジグリセリドの他、カルボン酸と
モノアルコールとのエステル、アジビン酸等のジカルボ
ン酸と高級アルコールとのジエステル、エチレングリコ
ール等のアルキレングリコールとモノカルボン酸とのモ
ノエステル及びジエステル、あるいは2価以上のアルコ
ールと2価以上のカルボン酸から得られるポリエステル
等が用いられる。カルボン酸類としては動植物油の加水
分解で得られるものが経済的に有利であり、特に好まし
くは炭素数12〜20のカルボン酸が用いられる。これ
らの脂肪酸は油脂を加水分解して得られる混合脂肪酸の
ままでもよく、蒸留生成されたもの、水素添加されたも
ののいずれかでもよい。これらのカルボン酸は室内より
高めの温度、たとえば50〜70℃において油溶性汚染
物に対し特にすぐれた洗浄剤である。アルコール類とし
ては動植物油から得られる還元アルコール、または合成
アルコールが用いられ、特に炭素数12〜22のアルコ
ールが油性の汚染成分に対する親和力の点から優れてい
る。アルキルフェノールとしてはノニルフェノール・ド
デシルフェノールなど炭素数8〜20のアルキル基を有
する物が用いられる。またポリエーテル類としてはカル
ボン酸類、アルコール類・アルキルフェノール類のアル
キレンオキサイド誘導体のうち25℃における水への溶
解度が1重量%未満のものが用いられる。アルキレンオ
キサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキ
サイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、直
鎖α−オレフィンオキサイドなどを単独もしくは混合し
て用いられる。アルキレンオキサイド誘導体の製造方法
としては、例えばカルボン酸に直接アルキレンオキサイ
ドを付加させることも、又は、あらかじめアルキレンオ
キサイドの付加重合物をつくり、これをカルボン酸等に
反応させることも可能である。以上具体例を列挙した
が、これらは単品もしくは2種以上組み合わせて使用す
る事ができる。あるいは本発明に定めた油性化合物以外
のものも、本発明の目的を阻害しない限り併用しても差
しつかえない。例えば消泡、酸化防止、防錆等の機能付
与のために添加される薬剤などがある。一方水溶性非イ
オン性洗浄剤(B)としては、上記油性洗浄剤(A)に
溶解し、引火点が150℃以上、かつ25℃における水
に対する溶解度が20重量%以上のモノアルコール類、
多価アルコール類、カルボン酸類、アルキルフェノール
類、アルキレンオキサイド誘導体がある。これらは単品
もしくは2種以上併用してもよい。これらの化合物の中
でラウリルアルコールのエチレンオキサイド15モル付
加物、ラウリン酸のエチレンオキサイド20モル付加物
などは洗浄性、すすぎ性ともに優れている。水に対する
溶解度は、20重量%以上(25℃)であることが、そ
のすすぎ性の点から必要である。又、油性洗浄剤(A)
に対する溶解除去性能を損なわない0〜25重量%の範
囲で該水溶性非イオン性洗浄剤(B)に水を配合するこ
とも可能である。又、油溶性洗浄剤の場合と同様、本発
明に記載のない成分も洗浄性の向上、他の機能の付与の
ために少量添加してもかまわない。例えば消泡剤の添加
は、洗浄工程を円滑に行うため有用なことが多い。上記
油性洗浄剤と水溶性非イオン洗浄剤を用いて洗浄する場
合、被洗浄物をまず油性洗浄剤を入れた第1槽に浸漬す
るだけ、あるいは撹拌、超音波、ジェット等の物理的な
手段で洗浄を加速してもよい。スプレー洗浄も有効な方
法といえる。浴温は被洗浄物にもよるが、通常室温〜1
30℃程度の範囲で選択される。また洗浄に要する時間
は、撹拌機を備えた洗浄槽で通常数10秒程度である。
次に被洗浄物は第2槽に移される。第2槽では、通常油
溶性汚染物に混じって少量存在する親水性化合物、たと
えばフラックス中のハロゲン化合物などを完全に除去す
るとともに、第1槽で被洗浄物表面に付着した油性洗浄
剤並びにこの中に含まれる油性汚染物を除去する。洗浄
方法は原理的には第1槽の場合と同じであるが、一般に
はより低温でかつ簡単な装置を用いて実施できる。次に
水すすぎ工程並びに乾燥工性であるが、これについては
通常の水系洗浄剤で実施されている方法と変わりはな
い。ただ本発明の洗浄剤を使用した場合、洗浄率が非常
によいため、被洗浄物表面の水切れがよく、乾燥負荷は
軽くなる。
[0005] [実施例]以下に実施例を掲げ、本発明に具体的な説明
を与えるが、本発に限定するものではない。
洗浄条件 1.本発明における油性洗浄剤(A)を第1槽、水溶性
非イオン洗浄剤(B)を第2槽に準備し、第1槽と第2
槽の液温を60℃に、第3・第4槽の水すすぎの水温を
50℃に設定した。
2.被洗浄物は第1槽で1分間、第2層で30秒間浸漬
揺動の後、第3槽で超音波洗浄による水すすぎを1分
間、第4槽で揺動のみによる水すすぎを30秒間行い乾
燥した。なお比較例のフロン113使用の場合は、被洗
浄物は第1槽のみ使用し、25℃で1分30秒浸漬揺動
する条件で洗浄試験を行った。
3.金属加工油の洗浄性評価は、日本石油製のプレス油
を50mm×50mmの鋼板に0.1000g塗布し、
これを洗浄・乾燥後、残存量を測定して以下の基準で3
段階に分類することにより行った。
◎:残存物を全く認めず。 残存量:0.0000
g〜 ○:残存物はほとんどなし。 残存量:0.0001
g〜 ×:僅少認められる。。 残存量:0.0010
g〜 4.フラックス洗浄性の評価は、タムラ製作所製ロジン
フラックスをガラスエポキシ製プリント基板に塗布し、
ハンダ付けの後、洗浄・乾燥しオメガメーターによるN
aCl換算の測定値として基板上に残存するイオン量を
測定、イオン量を以下の基準で3段階に分類することに
より行った。
◎:残存イオン濃度が5μg/inch 未満 ○:残存イオン濃度が10μg/inch 未満 ×:残存イオン濃度が10μg/inch 以上 洗浄試験結果 第1槽には油性洗浄剤(A)の単品を使用し、第2槽で
は水溶性非イオン性洗浄剤(B)として以下の配合物を
用いて洗浄試験を行った。
ラウリルアルコールエチレンオキサイド 20モル付加物 25部 ソルビタンモノラウレートエチレンオキサイド 20モル付加物 25部 ラウリン酸エチレンオキサイド 20モル付加物 25部 ノニルフェノールエチレンオキサイド 20モル付加物 25部 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 計100部 実施例 1〜8 実施例 9〜17 第1槽の油性洗浄剤(A)として2種のものを組合せ使
用し、第2槽は実施例1〜8と同じものを使用して洗浄
試験を行った。なお、洗浄は1〜8の場合と同一条件で
行った。
[0006] [発明の効果]電気・電子部品、機械・金属部品の汚染
物除去に、本発明の洗浄剤及び洗浄法を用いることによ
り、環境保護面、衛生面、火災面のいずれに対しても問
題なく、かつ従来の水系洗浄剤に比べ洗浄性にすぐれ、
かつ水すすぎにより発生する廃水の処理の容易な洗浄シ
ステムの構築を可能にする。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年4月26日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】洗浄剤と洗浄方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】[産業上の利用分野]本発明はプリント基
板を初めとする電気・電子部品、機械・金属部品等の硬
質表面に付着した汚染物の除去に適した洗浄剤並びにそ
れを用いた洗浄法に関するものである。
【0002】[従来の技術]プリント基板等に付着した
フラックスや、ベヤリング、リードフレーム、感光ドラ
ム等の機械・金属表面に付着した汚染物の洗浄には、従
来のフロン113、トリクロロエタン等の環境面及び衛
生面で好ましくない洗浄剤が使用されており、1995
年末には全面的に使用禁止される。最近これに代わるも
のとして種々の洗浄剤が開発されている。大別すれば有
機溶剤系洗浄剤と界面活性剤を主成分とする水系洗浄剤
である。しかし前者は火災に対する危険性からその安全
性確保のため洗浄装置の防火・防爆対応が必要で大幅な
コスト高になる。また一方後者の場合は洗浄性が、概し
て不十分で、また被洗浄物の種類によって洗浄効果の差
が大きく、汎用性にとぼしい。また、廃水処理コストが
かかる欠点がある。
【0003】[発明が解決しようとする課題]本発明は
従来使用されているフロン113やトリクロロエタンと
同等もしくはそれ以上の洗浄性を有し、同時に環境保護
面・衛生面でも問題のない洗浄剤とそれを用いた洗浄法
を提供する。同時に上記問題点を解決するために紹介さ
れている代替洗浄剤の問題点である火災に対する危険性
や、水系洗浄剤で見られる洗浄性不足や、被洗浄物の種
類による汎用性の不足、洗浄工程で発生する廃水処理の
高コスト化を同時に解決しようとするものである。
【0004】[課題を解決するための手段]本発明者
は、フロン113やトリクロロエタンの使用禁止に伴い
要求される代替洗浄剤について、その問題点を検討し鋭
意研究を重ねた結果本発明に至った。すなわち汚染され
た硬質表面をもつ被洗浄物に対し、引火点が150℃以
上かつ25℃における水への溶解度が1重量%未満であ
るエステル類、カルボン酸類、アルコール類、アルキル
フェノール類、ポリエーテル類から選ばれた1種類以上
の親油性洗浄剤(A)と、該親油性洗浄剤と相溶し、引
火点が100℃以上かつ25℃における水への溶解度が
20重量%以上のモノアルコール類・多価アルコール類
・カルボン酸類・アルキルフェノール類のアルキレンオ
キサイド誘導体から選ばれた1種類以上の親水性非イオ
ン性洗浄剤(B)の2液からなる洗浄剤を使用するその
使用方法として、まず親油性洗浄剤(A)、つづいて親
水性非イオン性洗浄剤(B)で洗浄し、つぎに水によっ
て洗浄することにより、フロン113やトリクロロエタ
ンと同等若しくはそれ以上に汚染物を除去でき、更には
従来の代替洗浄剤で問題であった洗浄性不足、汎用性の
不足、火災の危険、蒸気吸入の危惧、廃水処理施設の経
済的負担などから脱却しうることを見出した。本発明の
洗浄剤のうち、親油性洗浄剤(A)は主として汚染物で
あるフラックスや金属加工油等の親油性物質を溶解させ
るために使用される。なお、水への溶解度は、全く不溶
である必要性はなく、25℃で1重量%以内の溶解度を
持つものは十分使用に耐える。この制約条件は、後で述
べるように水すすぎによって発生する廃水の再生処理
に、この親油性洗浄剤を利用する点から必要である。ま
た、引火点が150℃以上というのは1気圧下での値で
あり、この制約は洗浄性からではなく洗浄温度で完全に
引火の心配を排除するためである。これにより洗浄装置
の防火・防爆対策の負荷が非常に軽くなる。一方親水性
非イオン性洗浄剤(B)は被洗浄物を親油洗浄剤で洗浄
した後に被洗浄物表面に付着している親油性洗浄剤と、
親油性洗浄剤に溶解した汚染物並びに場合によっては親
油性洗浄剤で除去しきれなかった汚染物を除去する目的
で使用される。更にこの親水性洗浄剤は洗浄後の水すす
ぎ工程で容易に除去されることが当然のことながら要求
される。25℃における水への溶解度が20%以上とい
う制約はこの目的を果たす上で重要である。なお引火点
100℃以上という制約は1気圧下における値であり、
洗浄条件で引火の心配を排除するためである。上記洗浄
剤を使用しての洗浄法は、最初に親油性洗浄剤、ついで
親水性洗浄剤を用いるところに特長がある。以後水すす
ぎ、乾燥は通常使用されている方法がそのまま採用され
る。公知洗浄システムでは洗浄剤は、通常1種類のみで
実施されており、一見本発明の洗浄システムは、経済的
に不利のように感じられるかもしれない。しかし本発明
の洗浄法を実施することにより、広範囲な汚染物に対す
る洗浄率の向上はもちろんのこと、工程面でも非常に有
利である。すなわち公知の水系洗浄剤を使用した場合、
水すすぎ工程で発生する洗浄剤含有廃水処理にかなりの
コストがかかる問題があるのに対し、本発明の洗浄シス
テムを使用した場合、発生する廃水は、本発明で使用す
る親油性洗浄剤で処理することによって、そのまま再使
用可能なレベルまで、不純物を低下させる事が可能であ
り、廃水処理のための高価な設備を必要としない。親油
性洗浄剤を用いて排水の再生処理の方法は特に限定され
るものではない。たとえば廃水を親油性洗浄剤中に噴霧
する事により、廃水中の不純物は親油性洗浄剤に移行し
処理後の水は、水すすぎ工程で再使用できるレベルまで
低下する。親油性洗浄剤が、このような特性を示すため
には、親油性洗浄剤の水への溶解度が25℃で1重量%
以下の制約が重要である。親油性洗浄剤(A)の具体例
としては、引火点が150℃以上のエステル類、カルボ
ン酸類、アルコール類、アルキルフェノール類、ポリエ
ーテル類などが性能的にもコスト面でも有利である。よ
り具体的にはエステル類としては動植物油脂、あるいは
これらの加水分解によりえられるモノグリセリド、シグ
リセリドの他、カルボン酸とモノアルコールとのエステ
ル、ジカルボン酸とアルコールとのジエステル、エチレ
ングリコール等のアルキレングリコールとモノカルボン
酸とのモノエステル及びジエステル、あるいは2価以上
のアルコールと2価以上のカルボン酸から得られるポリ
エステル等が用いられる。カルボン酸類としては動植物
油の加水分解で得られるものが経済的に有利であり、特
に好ましくは炭素数12〜20のカルボン酸が用いられ
る。これらの脂肪酸は油脂を加水分解して得られる混合
脂肪酸のままでもよく、蒸留生成されたもの、水素添加
されたもののいずれかでもよい。これらのカルボン酸は
室温より高めの温度、たとえば50〜70℃において汚
染物に対し特にすぐれた洗浄剤である。アルコール類と
しては動植物油から得られる還元アルコール、または合
成アルコールが用いられ、特に炭素数12〜22のアル
コールが油性の汚染成分に対する親和力の点から優れて
いる。アルキルフェノールとしてはノニルフェノール、
ドデシルフェノールなど炭素数8〜20のアルキル基を
有する物が用いられる。またポリエーテル類としてはカ
ルボン酸類、アルコール類、アルキルフェノール類のア
ルキレンオキサイド誘導体のうち25℃における水への
溶解度画1重量%未満のものが用いられる。これらの誘
導体に使用するアルキレンオキサイドとしてはエチレン
オキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイ
ド、スチレンオキサイド、直鎖α−オレフィンオキサイ
ドなどを単独もしくは混合して用いられる。アルキレン
オキサイド誘導体の製造方法としては、例えばカルボン
酸に直接アルキレンオキサイドを付加させることも、又
は、あらかじめアルキレンオキサイドの付加重合物をつ
くり、これをカルボン酸等に反応させることも可能であ
る。以上具体例を列挙したが、これらの単品もしくは2
種類以上の組み合わせて使用する事ができる。あるいは
本発明に定めた親油性化合物以外のものも、本発明の目
的を阻害しない限り併用しても差しつかえない。例えば
消泡、酸化防止、防錆等の機能付与のために添加される
薬剤などがある。一方親水性非イオン性洗浄剤(B)と
しては、上記親油性洗浄剤(A)に溶解し、引火点が1
00℃以上、かつ25℃における水に対する溶解度が2
0重量%以上のモノアルコール類・多価アルコール類・
カルボン酸類・アルキルフェノール類のアルキレンオキ
サイド誘導体がある。これらは単品もしくは2種以上併
用してもよい。これらのうちモノアルコール類たとえば
オクチルアルコール、ラウリルアルコール、パルミチル
アルコール、ステアリルアルコールのエチレンオキサイ
ド付加物がとくに優れている。水に対する溶解度は20
重量%(25℃)であることが、そのすすぎ性の点から
必要である。又、親油性洗浄剤(A)に対する溶解除去
性能を損なわない0〜25重量%の範囲で該親水性非イ
オン性洗浄剤(B)に水を配合することも可能である。
又、親油性洗浄剤の場合と同様、本発明に記載のない成
分も少量添加してもかまわない。例えば消泡剤の添加
は、洗浄工程を円滑に行うため有用なことが多い。上記
親油性洗浄剤と親水性非イオン洗浄剤を用いて洗浄する
場合、被洗浄物をまず親油性洗浄剤を入れた槽に浸漬す
る。この場合撹拌、超音波、ジェット等の物理的な手段
で洗浄を加速してもよい。スプレー洗浄も有効な方法と
いえる。浴温は被洗浄物にもよるが、通常室温〜130
℃程度の範囲で選択される。また洗浄に要する時間は、
撹拌機を備えた洗浄槽で通常数10秒程度である。次に
被洗浄物は親水性洗浄剤を入れた槽に移される。この槽
では、親油性洗浄剤槽で被洗浄物表面に付着した親油性
洗浄剤並びにこの中に含まれる汚染物を除去すると共に
親油性洗浄剤で除去してなかった汚染物を除去する。洗
浄方法は基本的には第1槽の場合と同じである。次に水
すすぎ工程並びに乾燥工性であるが、これについては通
常の水系洗浄剤で実施されている方法と変わりはない。
ただ本発明の洗浄剤を使用した場合、洗浄率が非常によ
いため、被洗浄物表面の水切れがよく、乾燥負荷は軽く
なる。
【0005】[実施例]以下に実施例を掲げ、本発明に
具体的な説明を与えるが、これに限定するものではな
い。 洗浄条例 1.本発明における親油性洗浄剤(A)を第1槽、親水
性非イオン洗浄剤(B)を第2槽に準備し、第1槽と第
2槽の液温を60℃に、第3・第4槽の水すすぎの水温
を50℃に設定した。 2.被洗浄物は第1槽で1分間、第2槽で30秒間浸漬
揺動の後、第3槽で超音波洗浄による水すすぎを1分
間、第4槽で揺動のみによる水すすぎを30秒間行い乾
燥した。なお比較例1の場合は、被洗浄物は第1槽のみ
使用し、25℃で1分30秒洗浄した。また比較例2.
3の場合は第1槽で液温60℃で1分間浸漬揺動のの
ち、第3槽で50℃で超音波による水すすぎを1分間、
第4槽で50℃30秒水すすぎを行い乾燥した。 3.金属加工油の洗浄性評価は、日本石油製のプレス油
を50mm×50mmの鋼板に0.1000g塗布し、
これを洗浄・乾燥後、残存量を測定して以下の基準で3
段階に分類することにより行った。 ◎:残存物を金く認めず。 残存量:0.0000
g〜 ○:残存物はほとんどなし。 残存量:0.0001
g〜 ×:僅少認められる。 残存量:0.0010
g〜 4.フラックス洗浄性の評価は、タムラ製作所製ロジン
フラックスをガラスエポキシ製プリント基板に塗布し、
ハンダ付けの後、洗浄・乾燥しオメガメーターによるN
aCl換算の測定値として基板上に残存するイオン量を
測定、イオン量を以下の基準で3段階に分類することに
より行った。 ◎:残存イオン濃度が5μg/inch 未満 ○:残存イオン濃度が10μg/inch 未満 ×:残存イオン濃度が10μg/inch 以上 洗浄試験結果 第1槽には親油製洗浄剤(A)の単品を使用し、第2槽
では親水性非イオン性洗浄剤(B)として以下の配合物
を用いて洗浄試験を行った。 実施例1〜8 すすぎ水の再生 実施例3においてプリント基板を洗浄したのち、第3槽
の水すすぎ工程で発生する洗浄剤ならびにフラックスを
含有するすすぎ水の再生結果を面す。 [洗浄工程後のすすぎ水の組成] ラウリルアルコールエチレンオキサイド20モル付加物 2重量パーセント パルミチン酸 0.3重量パーセント フラックス(固形分として) 0.02重量パーセント [すすぎ水の再生操作]断面積100cm、高さ12
0cmの円柱型で、液保温用ヒーターおよび底部はにコ
ックを有する容器に、パルミチン酸5lを注入し、75
℃に保温する。続いて75℃に加温した洗浄工程を終え
たすすぎ水を、円柱容器上部からシャワーノズルを用い
て粒径約3mmの水滴となしつつ毎分1lの流量で注入
後、下層部の水層5lをコックから回収した。 [再生すすぎ水の組成]再生後のすすぎ水中に残存する
洗浄剤ならびに不純物の量は以下のとおりで、第3槽に
使用するすすぎ水としては十分再使用に耐える水質のも
のであった。 ラウリルアルコールエチレンオキサイド5モル付加物 0.42重量パーセント パルミチン酸 0.13重量パーセント フラックス 検出されず 実施例9〜17 第1槽の親油性洗浄剤(A)として2種のものを組合せ
使用し、第2槽は実施例1〜8と同じものを使用して洗
浄試験を行った。なお、洗浄は1〜8の場合と同一条件
で行った。
【0006】[発明の効果]電気・電子部品、機械・金
属部品の汚染物除去に、本発明の洗浄材及び洗浄法を用
いることにより、環境保護面、衛生面、火災面のいずれ
に対しても問題なく、かつ従来の水系洗浄材に比べ洗浄
性にすぐれ、かつ水すすぎにより発生する廃水の処理の
容易な洗浄システムの構築を可能にする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H05K 3/26 7511−4E

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 [請求項1]引火点が150℃以上、かつ25℃におけ
    る水への溶解度が1重量%未満であるエステル類、カル
    ボン酸類、アルコール類、アルキルフェノール類、ポリ
    エーテル類から選択配合された油性洗浄剤(A)と、該
    油性洗浄剤と相溶し、引火点が100℃以上で、かつ2
    5℃における水への溶解度が、20重量%以上であるモ
    ノアルコール類、多価アルコール類、カルボン酸類、ア
    ルキルフェノール類のアルキレンオキサイド誘導体から
    選択配合された水溶性非イオン性洗浄剤(B)の2液か
    らなる硬質表面上の汚染物除去に適した洗浄剤。 [請求項2]汚染された硬質表面をもつ被洗浄物を、ま
    ず請求項1記載の該油性洗浄剤(A)で、ついで請求項
    1記載の水溶性非イオン性洗浄剤(B)を用いて洗浄
    し、ついで水を用いて洗浄する方法。
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Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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