JPH0779936B2 - フィルターの清浄化処理方法 - Google Patents

フィルターの清浄化処理方法

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JPH0779936B2
JPH0779936B2 JP2295437A JP29543790A JPH0779936B2 JP H0779936 B2 JPH0779936 B2 JP H0779936B2 JP 2295437 A JP2295437 A JP 2295437A JP 29543790 A JP29543790 A JP 29543790A JP H0779936 B2 JPH0779936 B2 JP H0779936B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、流体物を濾過処理するフィルター濾過孔を
清浄化する方法であって、特に鏡検に供するプレパラー
トを作成するためのフィルターの濾過孔に堆積される残
留色素や赤血球その他の不純物を除去しうるフィルター
の清浄化処理方法に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、体腔液、髄液あるいは尿などの細胞診断に供する
プレパラートの作成方法の一種として、ポアフィルター
法が知られているところである。
この方法は、たとえば5±1.2μm程度の微細径の透孔
を開設した薄膜からなるフィルター上で流体状検体の濾
過処理を行ない、診断に供する細胞を捕捉し、標本を作
成するものである。
即ち、第5図に示すように、細胞を捕捉し、これをドラ
イヤーなど適宜の乾燥処理手段により、細胞が変質しな
いよう配慮しつつ乾燥処理して固定し、染色処理すると
共に、不要な染色色素についてはこれを洗滌して除去
し、スライドガラス上にカバーガラスなどを利用して封
入してプレパラートを作成し、これを鏡検に供するもの
であって、この方法によれば、たとえば遠心沈澱法を採
用した場合のように、特に含有タンパク質の量が僅少な
液状検体を湿固定処理する際には、細胞の集積率および
固定率が低下して、精密な細胞診断が期待できず、ま
た、細胞含有率の低い検体についてみれば、細胞分布密
度の小さい標本しか得られず、鏡検の際の時間の損失が
大きいものであったが、この点については、このポアフ
ィルター法であれば、細胞を十分高密度に紛失しない状
態で捕捉しうるものであって、有用性が高いものであ
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
ところで、前記したポアフィルター法にあっても依然と
して解決を求められている問題点が存していた。
即ち、この方法によって作成されたプレパラートを鏡検
に供した際には、検診者の視界には第4図(イ)に見る
ように、細胞Wの他に染色色素などの残留物像Rがリン
グ状に視認され、これを細胞核と誤認するおそれもあ
り、鏡検作業に支障を来すものであった。
ところで、この残留物像Rの発現要因は、細胞染色時の
色素が、フィルターの濾過孔内に滞留し、その表面張力
の強さの故に洗滌処理によっても除去されないまま堆積
して形成されるもので、殊に濾過孔を覆うように位置す
る細胞Wの下面において残留色素となってプレパラート
内に封入されてしまうこととなり、これがため当該色素
がフィルターの濾過孔の存在を誇示するようにリング状
に視認されることとなるのである。
しかして、特にギムザ(Giemsa)染色法による場合に
は、アズールブルーとメチレンブルーとエオジンとをグ
リヤリンメタノールを溶剤として溶解させて得られたギ
ムザ原液を緩衝液で希釈したものを標本に供給し、その
後この標本の一側から給水し、余剰の色素を洗い流し、
竪型状に配設し、乾燥させるものであるが、この場合に
は青紫色状に細胞Wが染色されて鏡検に供されるもので
あって、この際にも同色状のリング状の残留物像Rが鮮
やかに視認されることとなり、正確な細胞診にとっては
真に不都合な支障となるものであった。
〔問題点を解決する手段,作用〕
この発明は、従来のポアフィルター法による宿命的とも
言えるこの問題点を完璧に解決しうる優れた方法を提供
できるものであって、その特徴点は、流体状の清浄化材
をフィルターの一方の表面に付設するに当って、フィル
ターの濾過孔内にもこの清浄化材が十分侵入するように
強制し、次にこの清浄化材が硬化した後これをフィルタ
ーから剥脱する点にあるもので、この結果、濾過孔に浸
入・硬化した清浄化材が濾過孔内の残留物を剥離させ、
搬出しうるものであるから、フィルターに透設した微細
な濾過孔は、単純な処理手法によって、安全に清浄化処
理しうるものであり、特にポアフィルター法に利用され
る細胞を担持しうるフィルターにあっては、その濾過孔
内に滞留する色素などの残留物が完全に除去されうるも
のであるから、このフィルターを利用したプレパラート
を鏡検した際には、残留物像Rによる誤診が発生せず、
精度診断が可能となったものである。
〔実 施 例〕
次に、この発明の内容を、その実施例を示す図面に基づ
いて説明する。
多数の極微細な濾過孔1Aを透設した透光性の薄葉シート
材からなるフィルター1の表面1B上に細胞Wを捕捉し、
該フィルター1上に担持させた状態で細胞Wに染色処理
を施こす工程については、前記した従来技術の方法と格
別異なるところはないので、ギムザ染色法について、こ
の発明を実施した具体的内容を以下に説明する。
(1) 捕捉工程 第2図および第3図に示すようなステンレス製の支持枠
10に、微細な濾過孔1Aを透設したフィルター1を一体的
に連着し、該フィルター1を検体処理手段の筒体H内に
気密状に装填し、矢印に示すように検体を供給して濾過
処理し、所望のサイズの細胞Wのみをその表面1B上に捕
捉する。
(2) 乾燥工程 次でこのフィルター1上の細胞Wに小型ドライヤーなど
により約3〜5分間送風し、細胞Wが変質しないように
してこれを強制乾燥させる。
(3) 固定工程 前工程で十分乾燥処理された細胞Wをメタノールなどの
溶液に浸漬させて固定させる。
(4) 染色工程 染色処理にあたっては、水で10倍程度に希釈したpH6.2
程度の緩衝液約10mlに対し、前記のギムザ原液を数滴供
与し15〜20分間程度放置して細胞Wを十分均質に染色処
理させる。
(5) 洗滌工程 この状態で染色処理された細胞Wに給水し余剰の色素を
洗い流し処理する。
(6) 乾燥工程 次で、このフィルター1を個別的に傾斜状に配設して数
分間放置し、細胞Wからの水分の自然流出を図り乾燥さ
せる。
この結果、細胞Wはフィルター1上に固定された状態で
十分に染色処理されることとなるが、第1図(イ)に見
られるように、洗滌処理によっても流失しなかった残留
色素などがその表面張力によりフィルター1の濾過孔1A
の殊に細胞Wの下面に臨む個所に残留物1Dとなって滞留
することとなる。
(7) 清浄化工程 (7−1) 清浄化材の付設(圧着,噴射他) 次にフィルター1の裏面1C(細胞Wが担持された表面1B
の対向面)上に液状もしくはゲル状などの清浄化材Cを
塗布ローラーもしくはコテなどを利用して加圧状態で塗
着させる。
この処理によって、第1図(ロ)にみるようにフィルタ
ー1の裏面1Cのみならず、フィルター1の濾過孔1A内に
もこの清浄化材Cが侵入し、付着される。
なお、この場合利用した清浄化材Cの組成分についてみ
れば、なによりも細胞Wもしくはフィルター1を損傷さ
せ、あるいは変質させるおそれのないものであって、し
かも剥脱工程の際に、引張力を与えても容易に破断され
ることがないよう弾力性を具備し、加えて前記の残留物
1Dを搬出するための微粘稠性を帯びたものであることが
望ましいものである。このため、この実施例において
は、プロピレングリコールのような保湿剤,パラペンな
どの防腐剤,パラフィンあるいは酢酸トコフェロールな
どに、ゴムもしくはシリコン系の弾力性付与剤を適量添
加してなる素材を主成分とし、これにイソプロ,キシレ
ン,アルコールもしくは水などの溶剤を注加して溶解さ
せてスラリー状(ゲル状)となしたものとし、これをフ
ィルター1に塗着させるようにして以下に述べるような
良好な結果が得られた。
(7−2) 乾燥 前工程で塗着したフィルター1の裏面1C上の清浄化材C
を約20分間自然乾燥させるものであるが、ドライヤーな
どを利用した強制乾燥を施こす際は、3〜4分程度で十
分に乾燥され硬化される結果が確認された。(第1図
(ロ)) (7−3) 清浄化材の剥脱 前工程によって幾分弾力性を保有した状態で硬化された
清浄化材Cを第1図(ハ)に示すように矢印方向にゆっ
くりと剥脱させる。
この結果、清浄化材Cは、フィルター1の裏面1Cから少
し宛剥離されると同時に、フィルター1の濾過孔1A内に
侵入して硬化した部分が突起CAとなって該濾過孔1Aから
抜脱されることとなる。
この際にこの濾過孔1A内に付着されていた残留物1Dは、
濾過処理時に滞留したまま残存している赤血球の溶血し
た後のカスなどその他の不純物と共に一挙に該濾過孔1A
の内壁から剥離させて除去されるものである。
(8) 封入工程 次で、フィルター1上で十分乾燥済みの細胞W上に封入
剤を適当量だけ滴下させて封入処理する。
(9) プレパラート化工程 最後にこの細胞Wをフィルター1と共に、スライドガラ
ス上でカバーガラスで被覆させ、プレパラートを完成す
る。
(10)鏡検工程 前記の如くにフィルター1の濾過孔1A内より剥脱された
清浄化材Cにより残留物1Dは完全に除去されているた
め、検診者による鏡検の際には、第4図(ロ)にみるよ
うに染色処理された細胞Wのみが鮮明に視認できるもの
であり、従来例を示す第4図(イ)に見られるようなリ
ング状の残留色素などの残留物像Rの存在により恰も細
胞Wの核が視認されるかの如き誤診断を下すおそれはな
く、極めて精密に細胞Wの鏡検をなしうるものである。
以上、この発明の方法について、鏡検に提供するポアフ
ィルターの汚損を清浄化する場合について、実施例を挙
げて詳しく説明を試みたが、この発明に係る方法は、微
細孔(Fine Mesh)を清浄に処理しうる技術の創意・工
夫に係るものであって、たとえば、液状物に限定される
ことなく粉粒状物をも濾過処理しうる汎用の濾過機器な
どの目詰りを処理し、濾過の効率化を図るものとして広
く活用できるものであることは例示するまでもないこと
である。またこの場合、微細孔に付着した不純物の剥脱
を容易にするため、予め溶解処理剤を噴射,滴下,その
他の方法によってフィルター上に供与した後、清浄化材
を付着させ、次で該清浄化材を固形化させた後、これを
剥離するようにすれば、一層効果的に微細孔の清浄処理
を達成しうるものである。
なお、清浄化材の付設方法としては、(7−1)工程に
よる圧着,噴射処理の他にも各種の手法が挙げられるも
ので、たとえば、第6図に示すように、フィルム状基材
F上に乾燥化処理された清浄化材Cを層状に付設し、使
用に当っては、この清浄化材Cに水その他の溶剤Lを注
加して清浄化材Cをゲル状化させ、フィルター1の下面
に矢印に示すように圧着させ、次でこれを剥離させるよ
うにして濾過孔1Aを清浄化処理するようにするものや、
もしくは、ゲル状のままの清浄化材Cを乾燥化しないよ
うにフィルム状基材F上に担持させ、これをそのままフ
ィルター1に付設する方法などが同一技術思想として把
握されうるものである。
〔発明の効果〕
この発明は、以上詳述した通りの清浄化処理方法に係る
ものであって、流体状の清浄化材をフィルターの微細孔
に侵入させて固形化させ、次でこれを剥脱するだけで微
細孔内に付着された残留物が除去できるものであり、そ
の処理工程は極めて単純で、安全且つ速やかにこれを実
施できるものであって、真に有用性が高いものであり、
殊に極微細孔を具有するポアフィルターにこの方法を実
施した際にも、そのフィルター透孔は、容易にしかも完
璧に清浄化処理でき、このポアフィルターを利用したプ
レパラートを鏡検すると、残留色素などによるリング状
の残留物は全く視認されることがなく、細胞核の存在を
誤認するかの如きおそれが皆無となり、効率的に精密で
誤診のない細胞診をなしうるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図(イ)〜(ハ)は、この発明の実施例における清
浄化処理工程の説明図、第2図は、支持枠付フィルター
の平面図、第3図は、前記フィルターを検体処理手段に
装填した一部縦断面図、第4図(イ),(ロ)は、鏡検
の際視認される細胞の平面図、第5図は、ポアフィルタ
ー法による鏡検に至る処理工程説明図、第6図は、清浄
化材の他の実施例の説明図を示すものである。 1……フィルター 1A……濾過孔 1B……表面 1C……裏面 1D……残留物 C……清浄化材 CA……突起

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流体を濾過処理するフィルターの清浄化処
    理方法であって、塩化ビニールなどのビニール系もしく
    は、ポリエチレンなどのポリマー系の素材を、たとえば
    キシレン,アルコールあるいは水などの溶剤により溶解
    させた液状の清浄化材を、フィルターの濾過孔内に該清
    浄化材が十分侵入されるように付勢して当該フィルター
    の一方の表面に付設して硬化させ、次でこの清浄化材を
    フィルターより剥脱させ、この際、前記濾過孔内に侵入
    して硬化した清浄化材が濾過孔内面に付着した不純物を
    剥離して搬出するようにした清浄化処理方法。
  2. 【請求項2】プレパラートを作成するためにフィルター
    上に捕捉した細胞などの検体を染色した後、洗滌処理し
    た該フィルターを清浄化処理する請求項1記載のフィル
    ターの清浄化処理方法。
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