JPH077968A - インバータのパルス幅変調方法およびその装置 - Google Patents

インバータのパルス幅変調方法およびその装置

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JPH077968A
JPH077968A JP5147994A JP14799493A JPH077968A JP H077968 A JPH077968 A JP H077968A JP 5147994 A JP5147994 A JP 5147994A JP 14799493 A JP14799493 A JP 14799493A JP H077968 A JPH077968 A JP H077968A
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広之 山井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 デッドタイムTdの大きなインバータ用いて
高キャリア周波数fcで駆動しても波形歪みを抑制でき
る方法を提供する。 【構成】 リアルタイム処理可能なPWM演算式に基づ
いてPWM制御パターンの基準パルス幅を算出し、駆動
されるモータの負荷力率および位相角φに対応してデッ
ドタイムTdにより生ずる誤差電圧を補償する補償誤差
パルス幅のデータを読み出し、PWM演算式に基づいて
算出された基準パルス幅を補償誤差パルス幅のデータに
基づいて補正し、補正されたパルス幅のデータに基づい
てインバータのスイッチング素子を駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、インバータのパルス
幅変調方法およびその装置に関し、さらに詳細にいえ
ば、所定のPWM演算に基づいてリアルタイム処理によ
りPWM制御パターンを算出する方式のパルス幅変調方
法およびパルス幅変調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、汎用モータの回転速度を広範
囲にわたって簡単にコントロールできるというメリット
からインバータが広く使用されている。また、近年、安
価な1チップの制御用マイコンを使用して、所望の出力
電圧、出力周波数に対応するPWM制御パターンを発生
する各種方法が盛んに研究されている。
【0003】これらの方法は制御用マイコンを用いてキ
ャリア周波数と出力電圧値に基づいてインバータのスイ
ッチング素子のオン、オフ期間を決定するのであるが、
インバータのキャリア周波数を高めるとデッドタイムに
よる誤差電圧の影響で、基本波振幅の低下や低次高調波
の増加を招き、効率が低下するという問題が発生する。
【0004】この問題を解決するためにパルス幅がデッ
ドタイムに比べ、比較的長くなるように予めPWM制御
パターンを算出しておいてROM等に記憶しておき、運
転時において、順番にそのPWM制御パターンをROM
等から引き出して出力する方法が提案されている(「電
圧形PWMインバータの一制御法」岩路、福田、新居、
平成元年電気学会全国大会講演論文集、No5,5−9
7)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法はPWM波のオン、オフ期間のデータを予めROM等
に記憶しておく方法であるため、出力電圧と出力周波数
との関係、すなわち、異なるV/fパターンを持つモー
タにおいては、モータ毎に新たなPWM制御パターンの
生成が必要となって仕様の変更が煩雑となる。また、波
形を記憶するための大きなメモリ容量(キャリア周波数
fc=3.6kHzで2〜3kbyte)が必要になる
とともに、キャリア周波数が高くなるにしたがってメモ
リ容量が増えるのであるから、コスト的にも不利である
という問題がある。
【0006】さらに、PWM波のオン、オフ期間のデー
タを予めROMに記憶しておく方法であるから、波形の
瞬時制御が必要なベクトル制御等の高機能制御への対応
が困難であるという問題もある。
【0007】
【発明の目的】この発明は上記の問題点に鑑みてなされ
たものであり、デッドタイムの大きなインバータを用い
て高キャリア周波数で駆動しても波形歪みを抑制するこ
とができ、瞬時波形制御が適用できるとともに、低コス
トで実現できる、インバータのパルス幅変調方法および
その装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの請求項1のインバータのパルス幅変調方法は、イン
バータのデッドタイムによって生じる誤差電圧を補償す
る補償誤差パルス幅を位相角に対応して予め得ておき、
所定のPWM演算に基づいてリアルタイムでPWM制御
パターンの基準パルス幅を算出し、算出された基準パル
ス幅を補償誤差パルス幅に基づいて補正し、補正された
パルス幅に基づいてインバータを駆動する。
【0009】上記の目的を達成するための請求項2のイ
ンバータのパルス幅変調装置は、インバータのデッドタ
イムによって生じる誤差電圧を補償する補償誤差パルス
幅を位相角に対応して記憶している記憶手段と、所定の
PWM演算に基づいてリアルタイムでPWM制御パター
ンの基準パルス幅を算出するPWM制御パターン算出手
段と、算出された基準パルス幅を記憶手段の補償誤差パ
ルス幅に基づいて補正する補正手段とを有する。
【0010】
【作用】請求項1のパルス幅変調方法であれば、インバ
ータのデッドタイムによって生じる誤差電圧を補償する
補償誤差パルス幅を位相角に対応して予め得ておき、リ
アルタイムで算出されたPWM制御パターンの基準パル
ス幅をその補償誤差パルス幅に基づいて補正し、補正さ
れたパルス幅に基づいてインバータを駆動することによ
り、デッドタイムによって生じる誤差電圧の悪影響、す
なわち、基本波振幅の低下や低次高調波の増加などを抑
制することができる。よって、デッドタイムの大きなイ
ンバータを用いてキャリア周波数を高くしても、波形歪
みを抑制して効率を良くすることができる。また、PW
M制御パターンをリアルタイムで算出するので、瞬時波
形制御が可能になる。さらに、予めデッドタイムによっ
て生じる誤差電圧を補償する補償誤差パルス幅を位相角
に対応して得ておくので、前記補正のための演算は加減
算のような極めて簡単な演算で行なうことができ、マイ
コンなどの制御手段にほとんど負担をかけずに行なうこ
とができる。また、従来のようなPWM制御パターンを
記憶するような大きなメモリ容量が不要となり、コスト
的にも有利である。
【0011】請求項2のパルス幅変調装置であれば、P
WM制御パターン算出手段が所定のPWM演算に基づい
てリアルタイムでPWM制御パターンの基準パルス幅を
算出し、補正手段が算出された基準パルス幅を記憶手段
の補償誤差パルス幅に基づいて補正する。このように補
正されたパルス幅に基づいてインバータを駆動すること
により、デッドタイムによって生じる誤差電圧の悪影
響、例えば、基本波振幅の低下や低次高調波の増加など
を抑制することができる。したがって、上記パルス幅変
調方法と同様にデッドタイムの大きなインバータ用いて
高キャリア周波数で駆動しても波形歪みを抑制すること
ができ、瞬時波形制御が適用できるとともに、低コスト
で実現できる、インバータのパルス幅変調装置を提供で
きる。
【0012】
【実施例】以下、実施例を示す添付図面によって詳細に
説明する。図1はこの発明のインバータのパルス幅変調
装置を示す概略ブロック図、図2は電気回路図であり、
このパルス幅変調装置は3つの巻線2a,2b,2cを
Y接続した三相巻線2を有する誘導電動機1と、この誘
導電動機1に接続される電圧形のインバータ3と、三相
電源5の三相交流を整流してインバータ3に供給する整
流回路6と、インバータ3をPWM制御する1チップ・
マイコン8とを有している。
【0013】インバータ3は誘導電動機1の三相巻線2
に接続されたトランジスタ・ブリッジ回路4を有してお
り、このブリッジ回路4は、それぞれ還流ダイオードD
+〜Dc-を有する複数個(6個)のスイッチング・ト
ランジスタTra+,Tra-,Trb+,Trb-,Tr
+,Trc-を有している。また、1チップ・マイコン
8はブリッジ回路4の6個のスイッチング・トランジス
タTra+〜Trc-のオン時間、つまりPWM制御パタ
ーンを生成する1チップのマイコンであって、各スイッ
チング・トランジスタTra+〜Trc-をオンオフ動作
させるベースドライバ8aを有しており、スイッチング
・トランジスタTra+〜Trc-をオンオフ制御するこ
とにより、直流をパルス幅変調するようにしている。
【0014】図3は1チップ・マイコン8の構成を概略
的に示したブロック図であり、1チップ・マイコン8
は、リアルタイムにPWM制御パターンを算出するPW
M制御パターン算出部11と、後述する表1に示すよう
な補償誤差パルス幅を記憶しておくROMなどの記憶部
12と、PWM制御パターン算出部11からのPWM制
御パターンを記憶部12に記憶されている補償誤差パル
ス幅に基づいて補正して補正されたPWM制御パターン
を生成する補正部13とを有している。なお、1チップ
・マイコン8においては、誘導電動機1の負荷力率およ
び位相角φに応じてインバータ3のa,b,c相の補償
誤差パルス幅が予め算出され、記憶部12に記憶されて
いる。
【0015】図4は上記パルス幅変調装置の動作の一例
を示すフローチャートである。上記フローチャートにし
たがってパルス幅変調装置の動作について説明する。ま
ず、ステップSP1において、リアルタイム処理可能な
PWM演算式に基づいてPWM制御パターン算出部11
がPWM制御パターンの基準パルス幅を算出し、ステッ
プSP2において誘導電動機1の負荷力率および位相角
φに対応して記憶部12からa,b,c相の補償誤差パ
ルス幅のデータを読み出し、ステップSP3においてP
WM演算式に基づいて算出された基準パルス幅を補償誤
差パルス幅のデータに基づいて補正し、ステップSP4
において補正されたパルス幅のデータに基づいてスイッ
チング・トランジスタTra+〜Trc-をベース・ドラ
イバ8aによって駆動してスイッチング動作を行なうこ
とによりパルス幅変調を行なう。
【0016】図5は図4のフローチャートにおいてステ
ップSP3の処理の一例の詳細を示すフローチャートで
あり、ステップSP3aにおいてPWM演算式に基づい
て算出された基準パルス幅に対応するスイッチング・ト
ランジスタの上アームの導通時間τ+から補償誤差パル
ス幅の誤差パルス時間τTdを減算することにより補正し
た上アームの導通時間τh+を算出し、ステップSP3
bにおいて補正された導通時間τh+が少なくとも0よ
りも大きく、かつキャリア周期Tcよりも小さくなるよ
うに上限と下限を設定する。これは0よりも小さいパル
スおよびキャリア周期Tcより長いパルスを出すことは
できないことによる制限である。
【0017】この実施例のパルス幅変調方法について、
さらに詳しく説明する。まず、ステップSP1のPWM
制御パターンの生成について説明する。PWM制御パタ
ーンの生成は出力電圧の時間積分の軌跡を円軌跡に近づ
けるようにPWM制御パターンを決定して行なうもので
ある。ここで、インバータ3の出力端子の電位をva,
vb,vc、三相巻線2の中性点の電位をvnとし、ま
た、数1で定義される出力電圧ベクトルVp、および数
2で示されるこの電圧ベクトルVpの時間積分λpを考
える。
【0018】
【数1】
【0019】
【数2】
【0020】今、誘導性電動機1の三相巻線2に数3で
示す角周波数ωの平衡三相電圧、
【0021】
【数3】
【0022】(但し、V1は基本波電圧の実効値)が印
加される時の電圧ベクトルVpおよびその時間積分λp
は複素平面上を円軌跡を描く。一方、電圧形インバータ
3では各相アーム中のいずれか一方のトランジスタは必
ずオン状態にあるので、便宜上、上アーム側(+と表記
する)のオン状態を「1」、下アーム側(−と表記す
る)のオン状態を「0」で表わし、a相,b相,c相の
順に「101」、「011」等と表記すると、インバー
タの状態は8通り存在する。この各状態の電圧ベクトル
Vp(p=0〜7)は大きさが(2/3) 1/2・Vd
(Vdは整流器の直流電圧)であり、その方向は図6に
示す方向となる。ここで、V0,V7は|V0|=|V7|
=0の零ベクトルである。上記電圧ベクトルの時間積分
λpはdλp/dt=Vpであるから、インバータの駆
動時の時間積分λpは、電圧ベクトルVpの方向に、|
Vp|=(2/3)1/2・Vdの速度で動く。但し、零ベ
クトルの場合は停止する。
【0023】以上から、電圧形インバータ3のPWM制
御パターンは電圧ベクトルの時間積分λpの複素平面上
でのベクトル軌跡が指定半径Rの円周に沿って角速度ω
で動くように電圧ベクトルVpを適宜選定して決定す
る。指定半径Rは基本波電圧の線電圧の実効値をV1、
角周波数をωとすると、R=V1/ωである。つまり、
例えば、図7に示すように角度φが0≦φ≦π/3の範
囲では電圧ベクトルV4,V6および零ベクトル(例え
ば、V0)を用い、点P0において時間τだけ留まり
(この状態を記号○で示す)、その後、V4を時間τ4
だけ取って点q1に達し、さらにV6を時間τ6だけ取
って点P1に到達する場合を考える。この場合、ΔP0
q1P1において、
【0024】
【数4】
【0025】であり、また、τ0+τ4+τ6=Tcで
あるから、数4を解いて、キャリア周期Tc内での電圧
ベクトルV4,V6,V0を取る時間τ4,τ6,τ0
が得られる。したがって、マイコン処理に適したPWM
制御パターンの基本式は、
【0026】
【数5】
【0027】となる。但し、Ksは電圧制御率であっ
て、Ks=21/2・V1/Vdである。数5は角度φが
0≦φ≦π/3の範囲での関係式であるが、他の区間で
はインバータが対称三相の動作を行なうことから、各符
号を置換することにより、0≦φ≦2πの範囲での関係
式が得られる。次に、数5の電圧ベクトルの時間τに基
づいて各スイッチング・トランジスタTra+〜Trc-
のオンオフパターン(PWM制御パターン)を求める。
この場合、電圧ベクトルの時間τとPWM制御パターン
との関係は、電圧ベクトルを取る順序に応じて変化する
から、今、簡単のため、各キャリア周期Tcでは同一パ
ターンを繰り返すとともに、各キャリア周期Tc内での
スイッチング・トランジスタのオンオフ切換えは1度の
みという制約条件を加えると、PWM制御パターンは図
8(A)〜(D)に示す4パターンに代表される。な
お、図中、τ+は、各相の上アームのスイッチング・ト
ランジスタのオン時間を、τ-は下アーム側のスイッチ
ング・トランジスタのオン時間をそれぞれ示す。
【0028】このような考え方に基づいてPWM制御パ
ターン算出部11においてPWM制御パターンの算出が
行なわれる。次に、図4のステップSP2およびステッ
プSP3の処理について説明する。図9および図10
は、図8(D)のPWM制御パターンを採用した場合に
おいて、位相角φが0≦φ≦π/3の範囲を考えた場合
に、スイッチング・トランジスタのスイッチング動作に
伴って生ずるデッドタイムTdと誤差電圧の現れ方を説
明するための図である。
【0029】図9を参照して分かるようにインバータの
アームに流れる電流iによりTd期間中(上下アームオ
フ中)は出力電圧vが決定する。そして図10に示すよ
うに、例えば、力率角30°の負荷で位相角φが0≦φ
≦π/3の範囲ではia>0,ib<0,ic<0とな
り、指令により各相がオンオフするとき、図示のように
各相の誤差電圧が発生する。但し、c相はこの区間では
オンオフしないので、誤差電圧は0になる。したがっ
て、これら誤差電圧を補正するように指令のパルス幅を
予め、増減しておけば誤差電圧による悪影響を軽減する
ことが可能になる。
【0030】このように実際上、問題となる誤差電圧の
出方を位相角度φが0≦φ≦2πにおいてa,b,cの
各相においてそれぞれ調べたのが図11に示す誤差パル
ス列31,32,33である。なお図11において符号
34,35,36は各相の起電圧、符号37,38,3
9は制御時の基本波電流をそれぞれ示している。図11
からデッドタイムTdにより生じる出力に重畳される誤
差電圧をパルス幅に読み換えて考えてみると、負荷力率
cos30°〜cos90°の範囲では下記表1のよう
になることが理解できる。
【0031】
【表1】
【0032】この表1に基づいて、各相において誤差電
圧を相殺するスイッチング・トランジスタの導通時間τ
Td,τbTd,τcTdをそれぞれ各相の上アームの導通
時間τa+,τb+,τc+から減算してやることによ
り、誤差電圧の影響を排除できることがわかる。上記関
係を各相の補正された導通時間をτh+で示し、および
各相の誤差電圧に相当する導通時間をτTdで示せば、τ
+=τ+−τTdとなる(図5のステップSP3a参
照)。また、補正されたτh+は、0よりも小さくでき
ないとともに、キャリア周期Tcよりも長い周期でパル
スは出せないことも考慮する必要がある。したがって、
τh+=min[max[τh+,0],Tc]となる
(図5のステップSP3a参照)。
【0033】このようにして、前記した方法で算出され
るPWM制御パターンの基準パルス幅から補償パルス幅
を減算することで補正し、その補正されたPWM制御パ
ターンでインバータ3を駆動することにより、デッドタ
イムTdの悪影響を抑制することができる。なお、この
方法において、キャリア周期Tc間で一相がオン、オフ
しないようにパルスの並び換えを行なっても表1に示す
関係は変わらない。
【0034】また、力率cos0°〜cos30°の負
荷では力率角により、表1を修正する必要があるが、一
般に誘導性負荷(図1に示す誘導性電動機1など)では
力率は最高でも高々cos26°なので、表1の補正で
実用上十分な特性を得ることができる。すなわち、特性
が悪くなる範囲は4°なので、その程度は無視しても十
分な特性を得ることができる。
【0035】図12(A)はキャリア周波数fc=10
kHz、直流電圧260V(したがって線間電圧62
V)、電圧制御率Ks=0.24、被変調波周波数f1
=30Hz、インピーダンスZ=2.5Ω、デッドタイ
ムTd=5μsとして、負荷力率cos35°の場合に
おいて従来の出力線間電圧を示した図であり、図12
(B)はこの実施例のパルス幅変調方法によって補正し
た後の出力線間電圧を示した図である。なお、上記
(A),(B)において誤差電圧による歪みの影響を分
かり易くするためにキャリア周波数fcはローパスフィ
ルタで除去している。
【0036】補正のない(A)においては符号51に示
す誤差電圧に起因する歪みが顕著に現われ、設定された
62ボルトの振幅が小さくなって効率が低下しているの
に対し、補正のある(B)においては歪みが低減される
とともに、振幅も設定通りの62ボルトの電圧値が得ら
れ、効率の低下が抑制されていることが理解できる。図
13(A)は図11と同じ条件で、負荷力率cos26
°の最悪の場合の従来の出力線間電圧を示した図であ
り、図13(B)はこの実施例の方法によって補正した
後の出力線間電圧を示した図である。補正のある(B)
においても符号52で示すような歪みが見られるが、補
正のない場合(A)の歪み53に比べれば軽減されてい
る。また、補正のある(B)においては振幅は設定通り
の62ボルトの電圧値が得られていることが分かる。
【0037】以上説明したように、この実施例のインバ
ータ3のパルス幅変調装置によれば、従来と同じように
算出されたPWM制御パターンに補正部13が記憶部1
2に記憶された補償誤差パルス幅に基づいてデッドタイ
ムTdの悪影響を抑制するように補正を行なうのである
から、デッドタイムTdの大きなインバータ3を用いて
キャリア周波数fcを高くしても、波形歪みを抑制して
効率を良くすることができるともに、騒音を従来のイン
バータに比べて押さえることができる。
【0038】また、PWM制御パターン算出部11はリ
アルタイムにPWM制御パターンを算出し、そのPWM
制御パターンを補正部13において加減算という簡単な
演算により補正するように構成しているので、1チップ
・マイコン8の負荷は殆ど増えず、高いキャリア周波数
fcでも対処できるとともに、瞬時波形制御が可能にな
りベクトル制御等の高機能制御にも適用することができ
る。
【0039】さらに、前記した「電圧形PWMインバー
タの一制御法」においては、波形を記憶するために大き
なメモリ容量が必要であり、また、モータ(V/f比変
更)を変えると新たにPWM制御パターンを記憶し直す
ことが必要であるのに対して、このインバータのパルス
幅変調装置によればキャリア周波数fcに関係せず少な
いメモリ容量で十分であるとともに、モータの仕様変更
にも柔軟に対処することができる。
【0040】なお、この発明は上記実施例に限定される
ものではなく、この発明の要旨を変更しない範囲内にお
いて種々の設計変更を施すことが可能である。例えば、
前記実施例ではPWM制御パターンとして図8(D)に
示すパターンを採用したが、その他のパターンを採用す
るパルス幅変調方法においても同様に本発明の方法を適
用することができる。
【0041】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明は、リア
ルタイムで算出されたPWM制御パターンの基準パルス
幅をその補償誤差パルス幅に基づいて補正し、補正され
たパルス幅に基づいてインバータを駆動することによ
り、デッドタイムによって生じる誤差電圧の悪影響を除
去できるので、デッドタイムの大きなインバータ用いて
高キャリア周波数で駆動しても波形歪みを抑制すること
ができ、瞬時波形制御が適用できるとともに、低コスト
で実現できるインバータのパルス幅変調方法を提供でき
るという特有の効果を奏する。
【0042】請求項2の発明も、補正手段がリアルタイ
ムで算出されたPWM制御パターンの基準パルス幅をそ
の補償誤差パルス幅に基づいて補正し、補正されたパル
ス幅に基づいてインバータを駆動することにより、デッ
ドタイムによって生じる誤差電圧の悪影響を除去できる
ので、デッドタイムの大きなインバータ用いて高キャリ
ア周波数で駆動しても波形歪みを抑制することができ、
瞬時波形制御が適用できるとともに、低コストで実現で
きるインバータのパルス幅変調方法を提供できるという
特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のインバータのパルス幅変調装置を示
す概略ブロック図である。
【図2】この発明のインバータのパルス幅変調装置を示
す電気回路図である。
【図3】1チップ・マイコンの構成を概略的に示したブ
ロック図である。
【図4】この発明のインバータのパルス幅変調装置の動
作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図4の補償誤差パルス幅によるPWM制御パタ
ーンの補正の詳細を説明するためのフローチャートであ
る。
【図6】電圧形インバータの各種状態を8種の電圧ベク
トルで表示した図である。
【図7】電圧ベクトルの時間積分の複素平面上ので軌跡
を円軌跡に近づけるための電圧ベクトルの制御の説明図
である。
【図8】(A)〜(D)はそれぞれ位相角φが0≦φ≦
π/3の範囲内で取り得るPWM制御パターンの種類の
説明図である。
【図9】インバータの回路図である。
【図10】図8(D)のPWM制御パターンを採用した
場合において、位相角φが0≦φ≦π/3の範囲を考え
た場合に、スイッチング・トランジスタのスイッチング
動作に伴って生ずるデッドタイムと誤差電圧の現われ方
を示したタイムチャートである。
【図11】三相の誤差電圧の現われ方と、各相の起電
圧、基本波電流をそれぞれ示す図である。
【図12】負荷力率cos35°の場合において(A)
は従来の出力線間電圧を示した図、(B)は実施例のパ
ルス幅変調方法によって補正した後の出力線間電圧を示
した図である。
【図13】負荷力率cos26°の場合において(A)
は従来の出力線間電圧を示した図、(B)は実施例のパ
ルス幅変調方法によって補正した後の出力線間電圧を示
した図である。
【符号の説明】
3 電圧形インバータ 11 PWM制御パターン算
出部 12 記憶部 13 補正部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インバータ(3)のデッドタイムによっ
    て生じる誤差電圧を補償する補償誤差パルス幅を位相角
    に対応して予め得ておき、所定のPWM演算に基づいて
    リアルタイムでPWM制御パターンの基準パルス幅を算
    出し、算出された基準パルス幅を補償誤差パルス幅に基
    づいて補正し、補正されたパルス幅に基づいてインバー
    タ(3)を駆動することを特徴とするインバータのパル
    ス幅変調方法。
  2. 【請求項2】 インバータ(3)のデッドタイムによっ
    て生じる誤差電圧を補償する補償誤差パルス幅を位相角
    に対応して記憶している記憶手段(12)と、所定のP
    WM演算に基づいてリアルタイムでPWM制御パターン
    の基準パルス幅を算出するPWM制御パターン算出手段
    (11)と、算出された基準パルス幅を記憶手段(1
    2)の補償誤差パルス幅に基づいて補正する補正手段
    (13)とを有することを特徴とするインバータのパル
    ス幅変調装置。
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