JPH0776876B2 - 楽音合成装置 - Google Patents

楽音合成装置

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JPH0776876B2
JPH0776876B2 JP1202630A JP20263089A JPH0776876B2 JP H0776876 B2 JPH0776876 B2 JP H0776876B2 JP 1202630 A JP1202630 A JP 1202630A JP 20263089 A JP20263089 A JP 20263089A JP H0776876 B2 JPH0776876 B2 JP H0776876B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この発明は、特に管楽器音の合成に用いて好適な楽音合
成装置に関する。
「従来の技術」 自然楽器の発音メカニズムをシミュレートすることによ
り得られたモデルを動作させ、これにより、自然楽器の
楽音を合成する方法が知られている。クラリネット等の
管楽器の最も基本的なモデルとしては、リードの弾性特
性をシミュレートした非線形増幅素子と、共鳴管をシミ
ュレートした双方向伝送回路とを接続した閉ループ構造
のモデルが知られている。このモデルでは、非線形増幅
素子から信号が出力されると、この信号は進行波信号と
して双方向伝送回路に入力され、双方向伝送回路の終端
部で反射され、この反射波信号が双方向伝送回路を介
し、非線形増幅素子に帰還される。このように、非線形
増幅素子と双方向伝送回路とからなる閉ループ回路によ
って、管楽器における空気圧力波の伝播が忠実にシミュ
レートされる。
また、実際の管楽器には、音高操作用の孔、いわゆるト
ーンホールが設けられているが、このトーンホールをも
含めて管楽器をシミュレートしたモデルが知られてい
る。このモデルでは、トーンホールに対応し、各双方向
伝送回路間に信号散乱ジャンクション(以下、ジャンク
ションと略す)と呼ばれる信号処理回路が介挿される。
そして、各ジャンクションにより、隣接する双方向伝送
回路からの各入力信号に対し係数乗算等の演算処理が行
われ、演算結果が隣接する双方向伝送回路に供給され
る。この演算処理における乗算係数等は当該トーンホー
ルの開閉状態に対応し切り換えられる。
この場合、非線形増幅素子に帰還される信号は、各ジャ
ンクションにおいて折り返された成分の総和となる。し
かも、上述したように、各ジャンクションにおける演算
用の乗算係数は当該トーンホールの開閉状態に対応して
切り換えるので、結局、非線形増幅素子から双方向伝送
回路側を見た場合の伝送量周波数特性はトーンホールの
開閉状態に対応して切り換えられる。
この伝送量周波数特性は、非線形増幅素子の出力信号が
解放状態のトーンホールに対応したジャンクションにお
いて折り返されて非線形増幅素子に帰還されるまでの遅
延時間に対応した周波数(1次)、およびその整数倍の
各周波数(高次)に共振周波数を有する多峰性の特性と
なる。なお、この種の技術は、例えば特開昭63−40199
号公報に開示されている。
「発明が解決しようとする課題」 ところで、実際の管楽器の吹奏においては、例えば吹奏
圧の強弱調整等の操作によって、共鳴管をトーンホール
の開放位置によって決まる1次の共振周波数で共振させ
たり、高次の共振周波数で共振させたり切り換えること
が比較的容易である。しかしながら、上述した従来の楽
音合成装置は、多峰性の共振特性が得られるものの、高
次の共振周波数での共振が得られるように制御すること
が難しいという問題があった。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであ
り、容易に高次の共振周波数で共振するように制御する
ことができる楽音合成装置を提供することを目的として
いる。
「課題を解決するための手段」 上記課題を解決するため、この発明は、正逆双方向の各
入力信号に対し、所定の信号処理を施して各々出力する
複数の信号処理手段と、 前記各信号処理手段を接続する手段であって、 (a)当該信号処理手段の各出力信号に対し所定の係数
を乗算して各乗算結果を加算する積和演算手段、および (b)前記積和演算結果と当該信号処理手段の出力信号
とに基づいて当該信号処理手段への入力信号を演算し出
力する分配手段 を有する複数の信号散乱ジャンクションと、 前記複数の信号処理手段および複数の信号散乱ジャンク
ションを接続してなる手段に対して励振信号を入力する
励振手段と を具備すると共に、前記各信号散乱ジャンクションの
内、前記励振手段から入力された励振信号が最初に入力
される信号散乱ジャンクションに接続される信号処理手
段の1つに対し、信号を所定量減衰する手段を介挿した
ことを特徴とする。
「作用」 上記構成によれば、励振手段から出力された励振信号
は、最初に到達する信号散乱ジャンクションにおいて一
部が折り返されて励振手段に帰還される。そして、最初
の信号散乱ジャンクションを通過した信号はさらにそれ
以降の各信号散乱ジャンクションを通過し、その通過す
る各信号散乱ジャンクションにおいて一部が折り返され
て励振手段に帰還される。従って、励振手段に帰還され
る信号は、各信号散乱ジャンクションにおいて折り返さ
れた各成分によって構成され、前記各信号処理手段およ
び各信号散乱ジャンクションからなる手段を励振手段か
ら見た場合の伝送量周波数特性は複数の共振周波数を有
する多峰性の特性となる。そして、上述したように、最
初の信号散乱ジャンクションに信号処理手段として入力
信号を所定量減衰する手段を介挿すると、上記多峰性の
伝送量周波数特性において、1次の共振周波数における
伝送利得を低くすることができる。従って、このように
することで、励振手段、各信号処理手段および各信号散
乱ジャンクションからなる系が、高次の共振周波数で共
振するように制御することができる。
「実施例」 以下、図面を参照し、本発明の一実施例を説明する。
第1図はこの発明の一実施例による楽音合成装置の構成
を示すブロック図である。また、第2図はこの楽音合成
装置がシミュレートするクラリネットの物理モデルの構
成図である。
まず、第2図の物理モデルについて説明する。第2図に
おいて、1は管楽器の共鳴管(管部)、2はマウスピー
ス部、2aはリード、THは共鳴管1に形成された1個のト
ーンホール、RTCはレジスタチューブを示す。
以下、この物理モデルを参照し、クラリネットの発音メ
カニズムを説明する。吹奏者がマウスピース部2をくわ
え、息を吹き込むと、その吹奏圧Pおよび自身の弾性特
性によりリード2aに変位が生ずる(矢印2S)。この結
果、リード2aの管内側に空気の圧力波(粗密波)が発生
し、これが進行圧力波Fとなって共鳴管1の終端部1Eに
向かって送出される。そして、進行圧力波Fは共鳴管1
内の各所および終端部1Eにおいて反射され、反射圧力波
Rとなってリード2aに戻り、リード2aは反射圧力波Rか
らの圧力PRを受ける。従って、吹奏中、リード2aが受け
る全圧力PAは、反射圧力波Rの圧力をPRとすると、 PA=P−PR ……(1) となり、結局、リード2aは自身の弾性特性と上記圧力PA
とにより振動する。そして、リード2aの振動と共鳴管1
内の圧力波FおよびRの往復運動とが共振状態となるこ
とにより楽音が発生される。
この時の1次の共振周波数は、共鳴管1に形成されたト
ーンホールTHの開閉操作により切り換えられる。すなわ
ち、トーンホールのTHの開閉操作が行われると、それに
伴ってトーンホールTH近傍における圧力波の流れが変化
し、共鳴管1の実効的な長さが変化することによって共
振周波数の切換がなされる。
以下、共鳴管1のトーンホールTHの近傍点jにおける空
気圧力波の状態について説明する。
<トーンホールTHが開状態の場合> トーンホールTHが開状態の場合、点jの空気圧Pjは、 となる。ここで、 は共鳴管1のリード2a側から点jに流入する空気圧力波
の圧力、 は共鳴管1の終端部1E側から点jに流入する空気圧力波
の圧力、また、 はトーンホールTHから流入する空気圧力波の圧力を示
す。また、a1off,a2offおよびa3offは、点jに流入する
各空気圧力波の点jの空気圧Pjへの寄与度に相当する係
数であり、下記式(3)〜(5)で与えられる。
a1off=2φ1 2/(φ1 2+φ2 2+φ3 2) ……(3) a2off=2φ2 2/(φ1 2+φ2 2+φ3 2) ……(4) a3off=2φ3 2/(φ1 2+φ2 2+φ3 2) ……(5) ここで、φは共鳴管1のリード2a側の部分の直径、φ
は共鳴管1の終端部1E側の直径、φはトーンホール
THの直径を示す。
一方、第2図において、点jから共鳴管1のリード2a方
向に流出する空気圧力波の圧力 共鳴管1の終端部1E方向に流出する空気圧力波の圧力 およびトーンホールTHへと流出する空気圧力波の圧力を とすると、これらは各々 となる。
点jから終端部1E側へと伝播する空気圧力波 は、やがて終端部1Eに到達して一部がリード2a側へ反射
されるが、クラリネット等のように終端が開いた管楽器
の場合、この反射の際、位相の反転が行われる。また、
トーンホールTHが開状態の場合、j点からトーンホール
THの外側に向けて流出された空気圧力波 は開口部において反射されるが、この場合も、進行波は
逆相で反射される。
<トーンホールTHが閉状態の場合> この場合、トーンホールTHの直径φが0になった状態
と等価であると考えられる。従って、上記式(3)〜
(5)にφ=0を代入することにより、トーンホール
THが閉状態の場合における各空気圧力波の空気圧Pjへの
寄与度に相当する係数a1on,a2on,a3onが、下記式(9)
〜(11)のように導かれる。
a1on=2φ1 2/(φ1 2+φ2 2) ……(9) a2on=2φ2 2/(φ1 2+φ2 2) ……(10) a3on=0 ……(11) そして、点jの空気圧Pjは、 となる。
リード2aには、上述のようにして共鳴管1の各所におい
て反射された信号が帰還され、その中の最も有効な成分
によって1次の共振周波数が決定される。そして、トー
ンホールTHが開状態の場合、1次の共振周波数はリード
2aとトーンホールTHとの間を空気圧力波が往復する所要
時間によって決定される。また、この場合の共鳴管1の
伝送量周波数特性は、1次の共振周波数、およびその3
倍、5倍、…の高次の共振周波数において伝送利得が極
大になる多峰性の特性となる。
次にレジスタチューブRTCについて説明する。上述した
ように、管楽器の共鳴管1は多峰性の伝送量周波数特性
を有するが、レジスタチューブRTCは、共鳴管1におけ
る高次の共振周波数での共振を促進するために設けられ
たものである。実在の管楽器の中にも、1オクターブ以
上の音高切換を容易にするために、レジスタチューブRT
Cに相当する孔(オクターブキーと呼ばれる)を備えた
管楽器が存在する。第2図に示すように、レジスタチュ
ーブRTCの近傍点kでは、空気圧力波の散乱が発生す
る。
は近傍点kに流入する空気圧力波の圧力、 は近傍点kから流出する空気圧力波の圧力である。レジ
スタチューブRTCが閉じた状態の場合、リード2aに帰還
される空気圧力波の成分は、トーンホールTHあるいは終
端部1Eにおいて反射されて帰還するものが支配的とな
る。一方、レジスタチューブRTCが開状態になると、レ
ジスタチューブRTCでの空気圧力波の散乱が著しくなる
ので、リード2aに帰還される空気圧力波において、レジ
スタチューブRTCにおいて反射された成分が強調され
る。なお、この点kにおける空気圧力波の散乱は、上述
したトーンホールTHの近傍点jにおける場合と同様であ
るので、ここでの重複した定量的説明は省略する。
次に第2図の物理モデルに基づいて構成された第1図の
楽音合成装置について説明する。同図において、励振回
路10は第2図におけるマウスピース部2に対応してお
り、共振回路30は共鳴管1に対応している。また、励振
回路10と共振回路30との間に介挿されるジャンクション
20は、マウスピース部2と共鳴管1との接続部における
空気圧力波の散乱をシミュレートしたものである。この
ジャンクション20では、共振回路30からの出力信号と励
振回路10の出力信号が加算器18によって加算されて共振
回路30に入力され、加算器18の出力信号と共振回路30の
出力信号が加算器19によって加算されて励振回路10に入
力されるようになっている。
励振回路10は、減算器11、フィルタ12および13、加算器
14、ROM15、乗算器16、17およびINVとで構成される。そ
して、楽音発生時、楽音制御回路100から吹奏圧P、エ
ンブシュアE(マウスピースを口にくわえる時の圧力)
に相当する情報が与えられる。減算器11には、共振回路
30からジャンクション20を介して入力される信号、すな
わち、第2図における共鳴管1からの反射波Rの空気圧
PRに相当する信号と、吹奏圧Pに相当する信号が入力さ
れる。そして、上記式(1)の演算が行われ、リード2a
に加わる空気圧PAに相当する信号が得られる。
減算器11の出力信号はフィルタ12によって帯域制限され
る。このフィルタ12は1次のローパスフィルタによって
構成されており、励振回路10と共振回路30との間を循環
する信号の振幅が特定周波数において著しく大きくなら
ないようにするために介挿されている。そして、フィル
タ12の出力信号P1はフィルタ13に入力されると共に、乗
算器INVによって反射されて乗算器16に入力される。信
号P1はフィルタ13を介すことにより、高周波成分が除去
される。これにより、急激な圧力変化を吸収するリード
2aの応答特性がシミュレートされる。
そして、加算器14によって、フィルタ13の出力信号P2
対し、エンブシュアEに相当する信号が加算され、実際
にリードに加えられる圧力に相当する信号P3が求められ
る。そして、この信号P3がROM15にアドレスとして与え
られる。これにより、ROM15内に予め記憶された非線形
関数のテーブルが参照され、リード2aとマウスピース部
2との間隙の断面積、すなわち、空気流に対するアドミ
ッタンスに相当する信号Yが出力される。そして、信号
Yと信号−P1とが乗算器16によって乗算され、リード2a
とマウスピース部2との間隙を通過する空気の流速に相
当する信号FLが得られる。
そして、信号FLに対し、乗算器17によって乗算係数Gが
乗じられる。ここで、乗算係数Gは共鳴管1におけるマ
ウスピース部2の取り付け部付近の管径に応じて決めら
れる定数であり、空気流の通りにくさ、すなわち、空気
流に対するインピーダンスに相当するものである。従っ
て、乗算器17からは、共鳴管1のマウスピース側の入口
において発生する空気の圧力変化に相当する信号が得ら
れる。そして、この信号がジャンクション20を介し、共
振回路30に入力される。
共振回路30において、遅延回路Djf,Dkf,Dmf、Dmr,Dkr,D
jrは、各々、第2図の共鳴管1内における空気圧力波の
伝播経路に対応している。さらに詳述すると、リード2a
とレジスタチューブRTCとの間の空気圧力波の伝播遅延
が遅延回路DjfおよびDjrによってシミュレートされ、レ
ジスタチューブRTCとトーンホールTHとの間の伝播遅延
が遅延回路DkfおよびDkrによってシミュレートされ、ト
ーンホールTHと終端部1Eとの間の伝播遅延が遅延回路Dm
fおよびDmrによってシミュレートされる。
共振回路30の出力信号が終端回路TRMに入力されると、
ローパスフィルタMLによって帯域制限され、さらに乗算
器IVによって負の係数γが乗算されて共振回路30に戻さ
れる。このようにして、終端部1Eにおける音響損失の周
波数特性および反射に伴う位相反転がシミュレートされ
る。
共振回路30におけるジャンクションJTHは、第2図にお
けるトーンホールTHの近傍点jにおける空気圧力波の散
乱をシミュレートしたものであり、加算器Aj、乗算器
M1,M2,M3,M4、減算器A1,A2,A3、遅延回路DTH1,DTH2、ロ
ーパスフィルタLPFTHとで構成される。加算器Ajには、
遅延回路Dkfの出力信号(第2図の圧力 に対応)に乗算器M1によって係数a1を乗じた信号、遅延
回路Dmrの出力信号(第2図の圧力 に対応)に乗算器M2によって係数a2を乗じた信号、およ
び遅延回路DTH2の出力信号(第2図の圧力 に対応)に乗算器M3によって係数a3を乗じた信号が入力
される。また、各係数a1,a2,a3としては、当該トーンホ
ールTHが開状態の場合は、楽音制御回路100から上記式
(3)〜(5)に従った係数a1off,a2off,a3offが与え
られ、当該トーンホールTHが閉状態の場合は、上記式
(9)〜(11)に従った係数a1on,a2on,a3onが与えられ
る。
そして、加算器Ajの加算結果、すなわち、点jの空気圧
Pjに相当する信号は、減算器A1、A2およびA3に入力され
る。そして、減算器A1では加算器Ajの出力信号から遅延
回路Dkfの出力信号 が減算され、減算結果 が遅延回路Dkrに送られる。また、減算器A2では加算器A
jの出力信号から遅延回路Dmrの出力信号 が減算され、減算結果 が遅延回路Dmfに送られる。さらに、減算器A3では加算
器Ajの出力信号から遅延回路DTH2の出力信号 が減算され、減算結果 が遅延回路DTH1に送られる。
そして、遅延回路DTH1に入力された信号は所定時間遅延
されてローパスフィルタLPFTHに入力され、トーンホー
ル開口部における音響損失が付与される。そして、ロー
パスフィルタLPFTHの出力信号に対し、トーンホールTH
開口部における空気圧力波に対する反射係数thcが乗算
器M4によって乗算される。この反射係数thcは楽音制御
回路100から供給され、当該トーンホールTHが開状態の
場合は−1に、閉状態の場合は1に切り換えられる。そ
して、乗算器M4の乗算結果は遅延回路DTH2によって遅延
されて減算器A3および乗算器M3に入力される。遅延回路
DTH1およびDTH2の遅延時間はトーンホールTHの高さ、す
なわち、空気圧力波がトーンホールTHの筒状部分を往復
するのに要する時間に等しい。このようにして上述した
トーンホールTHの近傍点jにおける空気圧力波の伝播が
シミュレートされる。
ジャンクションJRTCはレジスタチューブRTCの空気圧力
波の散乱を演算するために設けたものである。ここで、
各乗算係数b1,b2,b3は、レジスタチューブRTCに対応し
た各径φ1b,φ2b,φ3bに基づいて決められる。また、LP
FRTCはレジスタチューブRTC開放時の音響損失を与える
ローパスフィルタ、DRTC1およびDRTC2はレジスタチュー
ブRTCの高さに応じた遅延時間を有する遅延回路であ
る。また、反射係数rtcはレジスタチューブRTCの開閉に
対応し切り換えられる。なお、ジャンクションJRTCの構
成は、ジャンクションJTHと全く同じであり、以上説明
したように演算に用いられる各係数に相異があるだけで
ある。従って、ジャンクションJRTCに関する詳細な構成
の説明は省略する。
さて、この楽音合成装置における遅延回路Djf,Djr,Dkf,
Dkr,Dmf,Dmrは各々複数遅延素子を有すると共に、信号
遅延に寄与する遅延素子の段数を切換制御可能な構成と
なっている。そして、遅延回路DjfおよびDjrには遅延段
数データl1が、遅延回路DkfおよびDkrには遅延段数デー
タl2が、遅延回路DmfおよびDmrには遅延段数データm
が、楽音制御回路100から与えられ、開放するトーンホ
ールTHの位置に対応じてこれらの遅延時間の配分が切り
換えられるようになっている。なお、この種の遅延時間
の制御可能な遅延回路の具体的回路としては、例えば入
力信号を所定周期のシフトクロックによって駆動される
シフトレジスタに入力し、シフトレジスタの各段出力の
内、所望の遅延時間に対応したものをセレクタ等によっ
て選択して出力するといった方式のものを用いることが
できる。
ここで、上述のトンホールの開閉操作に対応した遅延時
間の配分の制御について詳述する。今、第2図における
トーンホールTHが、共鳴管1に多数設けられたトーンホ
ールの内、開状態であり、かつ、最もリード2a寄りのト
ーンホールであるものとする。この場合、遅延段数デー
タl1とl2は、両データの和が、リード2aから当該トーン
ホールTHまでの距離に対応した遅延段数nと等しくな
り、かつ、遅延段数l1の遅延段数nに対する比が一定値
となるように設定される。なお、この遅延段数l1と遅延
段数nとの関係については後述する。また、共鳴管1の
全長に対応した遅延段数がlsの場合、m=ls−nなる段
数データmが遅延回路DmfおよびDmrに供給される。この
ようにして、各遅延回路の遅延時間が設定される。そし
て、ジャンクションJTHには、係数a1off,a2off,a3offが
供給されると共に反射係数thcとして−1が供給され
る。一方、トーンホールをすべて指でふさいだ場合は、
最も終端部1E寄りのトーンホール位置に対応し、段数デ
ータnおよびmが決められる。そして、ジャンクション
JTHには、係数a1on,a2on,a3onが供給されると共に反射
係数thcとして1が供給される。また、レジスタチュー
ブRTCの開閉操作に対応し、ジャンクションJRTCにおけ
る反射係数rtcおよび積和演算用の乗算係数b1,b2,b2
切り換えられる。
以上説明した第1図の構成の楽音合成装置を試作し、楽
音波形の評価を行った。以下、今回の評価において試作
品に設定した各パラメータを列挙し説明する。
<設計パラメータ一覧> [フィルタ類] ◇トーンホールTH用ローパスフィルタLPFTHのカットオ
フ周波数fcTH=2500[Hz] ◇レジスタチューブRTC用ローパスフィルタLPFRTCのカ
ットオフ周波数 fcRTC=7000[Hz] ◇終端部1E用ローパスフィルタMLのカットオフ周波数fc
ML=2000[Hz] ◇フィルタ13(ローパスフィルタ)のカットオフ周波数
fcdcf=1500[Hz] [遅延回路の段数(シフトレジスタ段数)] ◇遅延回路Djf,DkfおよびDmf(遅延回路Djr,DkrおよびD
mr)の総遅延段数(共鳴管1の全長に対応)ls=82 ◇遅延回路DjfおよびDkf(遅延回路DjrおよびDkr)の総
遅延段数(リード2aからトーンホールTHまでの距離に対
応)n=40 ◇遅延回路Djf(遅延回路Djr)の遅延段数(リード2aか
らレジスタチューブRTCまでの距離に対応)l1=10 ◇遅延回路DTH1およびDTH2の各々の遅延段数(トーンホ
ールTHの高さに対応)lTH=1 ◇遅延回路DRTC1およびDRTC2の各々の遅延段数(レジス
タチューブRTCの高さに対応)lRTC=1 [トーンホールTH関連の各パラメータ] φ=24[mm] φ=24[mm] φ=16[mm] これら各径の値に基づいて上記乗算係数a1off,a2off,a3
offを演算し、ジャンクションJTHに設定した。
また、乗算器M4の乗算係数(反射係数)thcは−1(ト
ーンホールTHが開放した状態に対応)とした。
[レジスタチューブRTC関連の各パラメータ] φ1b=19[mm] φ2b=19[mm] φ3b=3[mm] これらの各径の値に基づいて上記乗算係数b1off,b2off,
b3off,b1on,b2on,b3onを演算し、ジャンクションJRTCに
設定した。
[その他のパラメータ] ◇反転回路IVの乗算係数(終端部1Eの反射係数)γ=−
0.9 ◇乗算器17の乗算係数(共鳴管1の空気流に対するイン
ピーダンス)G=0.3 そして、上記各パラメータを設定した状態で、ジャンク
ションJRTCにおける反射係数rtcを、各種の値に切り換
え、第1図の楽音合成装置の評価を行った。今回の評価
では、第1図の楽音合成装置から励振回路10を切り離
し、点t1からインパルスを入力し、点t2においてその応
答を観測し、そのインパルス応答に対してFFT(高速フ
ーリエ変換)を適用し、第3図(a),(b)に示す伝
送量周波数特性を得た。第3図(a)に示すように、反
射係数が1の時(レジスタチューブRTC閉状態)は、1
次の共振周波数f1において伝送利得が最大となる。従っ
て、楽音合成装置は1次の共振周波数f1に従って共振す
る。レジスタチューブRTCの開放に対応し、反射係数rtc
を−1にすると、1次の共振周波数が若干高周波側にシ
フトする(周波数f1a)。しかし、この共振周波数f1aに
おいて最大利得となってしまうので、レジスタチューブ
RTCを開放したにも拘わらず、高次の共振周波数による
共振が行われない。第3図(b)に示すように、反射係
数rtcを−0.9あるいは−0.8にすると、これら各場合に
おいて、1次の共振周波数f1bおよびf1cにおける利得は
低減され、3次の共振周波数f3における利得が最大とな
る。このように、今回の評価の結果、レジスタチューブ
RTCが開状態の場合には、絶対値が1より小さい係数、
すなわち、減衰係数を含んだ反射係数rtcをジャンクシ
ョンJRTCに与えることにより、容易に高次の周波数での
共振動作が得られることが分かった。
この楽音合成装置では、このようにして得られた評価結
果に基づいて、レジスタチューブRTCの開放時の反射係
数rtcが決められている。従って、レジスタチューブRTC
が閉状態の場合、励振回路10とジャンクションJTHとの
間に介挿される遅延回路の総遅延時間に対応した1次の
共振周波数での共振動作が得られ、当該音高の楽音が発
生される。また、レジスタチューブRTCが開かれ、ジャ
ンクションJRTCにおける反射係数rtcが減衰を含んだ負
の係数に切り換えられると、最大利得の得られる共振周
波数は高次の周波数に切り換わり、高次の周波数での共
振動作が得られる。
なお、上述した実施例では、進行波の遅延時間と反射波
の遅延時間を等しくした場合について説明したが、励振
回路10から出力された信号が、ジャンクションJRTCある
いはJTH、あるいは終端回路TRMを介して励振回路10に帰
還されるまでの時間の総和が一定であるならば、進行波
に対する遅延時間と反射波に対する遅延時間との配分を
不均衡にしても構わない。
「発明の効果」 以上説明したように、この発明によれば、正逆双方向の
各入力信号に対し、所定の信号処理を施して各々出力す
る複数の信号処理手段と、前記各信号処理手段を接続す
る手段であって、 (a)当該信号処理手段の各出力信号に対し所定の係数
を乗算して各乗算結果を加算する積和演算手段、および (b)前記積和演算結果と当該信号処理手段の出力信号
とに基づいて当該信号処理手段への入力信号を演算し出
力する分配手段を有する複数の信号散乱ジャンクション
と、前記複数の信号処理手段および複数の信号散乱ジャ
ンクションを接続してなる手段に対して励振信号を入力
する励振手段とを具備すると共に、前記各信号散乱ジャ
ンクションの内、前記励振手段から入力された励振信号
が最初に入力される信号散乱ジャンクションに接続され
る信号処理手段の1つに対し、信号を所定量減衰する手
段を介挿したので、高次の共振周波数に従った楽音を容
易に発生することができる楽音合成装置を実現すること
ができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の一実施例による楽音合成装置の構成
を示すブロック図、第2図は同実施例がシミュレートす
るクラリネットの物理モデルを示す図、第3図は同実施
例におけるt1,t2点から共振回路30側を見た場合の伝送
量周波数特性を示す図である。 JTH……トーンホール用ジャンクション、JRTC……レジ
スタチューブ用ジャンクション、Dnf,Dmf,Dmr,Dnr,Djf,
Dkf,Dkr,Djr……遅延回路、100……楽音制御回路。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正逆双方向の各入力信号に対し、所定の信
    号処理を施して各々出力する複数の信号処理手段と、 前記各信号処理手段を接続する手段であって、 (a)当該信号処理手段の各出力信号に対し所定の係数
    を乗算して各乗算結果を加算する積和演算手段、および (b)前記積和演算結果と当該信号処理手段の出力信号
    とに基づいて当該信号処理手段への入力信号を演算し出
    力する分配手段 を有する複数の信号散乱ジャンクションと、 前記複数の信号処理手段および複数の信号散乱ジャンク
    ションを接続してなる手段に対して励振信号を入力する
    励振手段と を具備すると共に、前記各信号散乱ジャンクションの
    内、前記励振手段から入力された励振信号が最初に入力
    される信号散乱ジャンクションに接続される信号処理手
    段の1つに対し、信号を所定量減衰する手段を介挿した
    ことを特徴とする楽音合成装置。
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