JPH0776726A - 脆性亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板の製造法 - Google Patents

脆性亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板の製造法

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JPH0776726A
JPH0776726A JP5223610A JP22361093A JPH0776726A JP H0776726 A JPH0776726 A JP H0776726A JP 5223610 A JP5223610 A JP 5223610A JP 22361093 A JP22361093 A JP 22361093A JP H0776726 A JPH0776726 A JP H0776726A
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Japan
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plate
rolling
crack propagation
brittle crack
ferrite
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JP5223610A
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Atsuhiko Yoshie
淳彦 吉江
Takashi Fujita
崇史 藤田
Masaaki Fujioka
政昭 藤岡
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は脆性亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板
の製造法を提供するものである。 【構成】 所定の成分を含有する鋼を熱間圧延する場合
に圧延途中で表層部を冷却してα1相あるいはγ/α2
相温度域まで温度を低下させた後圧延を加え、板表面温
度が復熱によりAc3 点以上まで上昇した時点で圧延を
終了し、引き続き繰り返し曲げ加工により下式で与えら
れる歪を付与し微細なγ粒に加工歪を付与した後変態さ
せ微細なα粒を得ることにより脆性亀裂伝播停止特性の
良い厚鋼板を製造する。 ε≧1.65×10-3T−0.5 ただしε:繰り返し曲げ加工により板表層部が受ける歪
みの総和(%) T:繰り返し曲げ加工を行う際の板表面温度(℃)。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は構造物の部材として使用
される脆性亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板の製造法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】脆性破壊が生じた場合の脆性亀裂伝播停
止特性におよぼす冶金学的な要因としては、結晶粒の微
細化が脆性亀裂伝播停止特性を向上させることが良く知
られている。このため結晶粒を微細化する試みは従来か
ら多く行われており、例えば低温域での制御圧延法およ
び圧延後に引き続いて冷却を行う加速冷却法により結晶
粒の微細な厚鋼板の製造が可能となってきた。こういっ
た技術に特公昭49−7291号公報、特公昭57−2
1007号公報、さらに特公昭59−14535号公報
等がある。
【0003】また脆性亀裂伝播停止特性の向上には板表
層部の結晶粒の細粒化が極めて有効であることから、圧
延途中の水冷と圧延を組み合わせた微細化方法として、
特開昭61−235534号公報、特願平4−6751
4号、さらに特願平4−67515号等がある。これら
の技術はいずれも圧延の途中で板の表層部を水冷してオ
ーステナイト/フェライト2相状態またはフェライト1
相状態にした後に、板表層部温度が板内部の熱伝導によ
り復熱して上昇する過程で圧延を行いフェライト結晶粒
を細粒化しかつオーステナイトに圧延歪みを導入し、結
果として変態後の板表層部の結晶粒を微細化する手法で
ある。
【0004】しかるに特願平4−67514号および特
願平4−67515号で示されている手法では、板表層
部の結晶粒径をより微細とするために水冷後の復熱によ
る最高到達板表層部温度をAc3 点未満とすることを必
須としているため、フェライトの加工組織が残存し靭性
が劣化するという問題があった。
【0005】一方、特開昭61−235534号公報で
は水冷後板表層部温度を板内部の熱伝導により、Ac3
点以上まで復熱させることを必須として加工組織の残存
を防止しているが、復熱温度が高温側であるため得られ
る結晶粒は特願平4−67514号および特願平4−6
7515号の手法に比して大きくなり、脆性亀裂伝播停
止特性も劣る傾向があるという問題が生ずる。
【0006】また特開昭59−182916号公報にも
圧延途中に冷却する手法が示されており、冷却後の板表
層部温度がAc3 点未満となることが示唆されているた
め、この手法では特願平4−67514号および特願平
4−67515号記載の方法と同様の問題が生じること
は明らかである。
【0007】一方、熱間加工の方法には種々の方法があ
り、曲げ加工もその1つである。曲げ加工を繰り返すこ
とにより板厚を変化させずに歪みを付与することが可能
であるが、一般に曲げ加工で付与できる歪みは板表層部
で大きく板厚方向中心部では十分な歪みが付与されない
という問題点があるため、材質を向上させる目的で使用
されることはなく、板の平坦度改善に使われる場合が多
い。また特公平1−16210号公報には細粒フェライ
トを熱間成形加工することにより孔拡げ比を向上させる
技術が開示されているが、熱間成形加工時の歪みと結晶
粒の結晶条件等は示されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような問
題点を解消し、脆性亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板の製
造法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような課
題を熱間圧延と曲げ加工の組み合わせにより、オーステ
ナイト/フェライト2相あるいはフェライト1相で加工
された後再びオーステナイト1相状態に変態した金属組
織をレベラー加工により加工硬化せしめ、引き続いての
変態の核生成サイトを多く確保して変態後の金属組織を
著しく微細にすることにより、脆性亀裂伝播停止特性の
良い厚鋼板を製造することを特徴とする。
【0010】すなわち、本発明の要旨とするところは、
次の通りである。 (1)重量%でC:0.02〜0.30%、Si:0.
01〜2.0%、Mn:0.30〜3.5%、Al:
0.003〜0.10%、残部がFeおよび不可避的不
純物からなる鋼塊あるいは鋼片を鋳造後直接あるいは再
加熱後の圧延開始前および/または圧延の途中で板の両
表面を1回以上水冷して、表面から板厚の5%以上の厚
みの部分をオーステナイト/フェライト2相状態または
フェライト1相状態にした後に累積圧下率で20%以上
の圧延を行い、板表面温度が復熱によりAc3 点以上ま
で上昇した後に圧延を終了し、引き続きAr3 点以上の
温度域での繰り返し曲げ加工により下式で与えられる歪
みを付与することを特徴とする脆性亀裂伝播停止特性の
良い厚鋼板の製造法。 ε≧1.65×10-3T−0.5 ただし、ε:繰り返し曲げ加工により板表層部が受ける
歪みの総和 T:繰り返し曲げ加工を行う際の板表面温度(℃)。 ただしT≧Ar3 点。
【0011】(2)重量%でNb:0.001〜0.1
0%を含有することを特徴とする前記(1)記載の脆性
亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板の製造法。 (3)重量%でTi:0.001〜0.10%を含有す
ることを特徴とする前記(1)または(2)のいずれか
1つに記載の脆性亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板の製造
法。 (4)重量%でCu:0.05〜3.0%、Ni:0.
05〜10.0%、Cr:0.05〜10.0%、M
o:0.05〜3.5%、Co:0.05〜10.0
%、W:0.05〜2.0%の1種または2種以上を含
有することを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれ
か1つに記載の脆性亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板の製
造法。 (5)重量%でV:0.002〜0.10%を含有する
ことを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれか1つ
に記載の脆性亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板の製造法。 (6)重量%でB:0.0002〜0.0025%を含
有することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれ
か1つに記載の脆性亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板の製
造法。
【0012】(7)重量%でRem:0.002〜0.
10%、Ca:0.0003〜0.0040%の1種ま
たは2種を含有することを特徴とする前記(1)乃至
(6)のいずれか1つに記載の脆性亀裂伝播停止特性の
良い厚鋼板の製造法。
【0013】ここで、オーステナイト/フェライト2相
状態またはフェライト1相状態での累積圧下率=(ts
−tf )/ts 。ただし、ts :オーステナイト/フェ
ライト2相状態またはフェライト1相状態での圧延開始
板厚、tf :オーステナイト/フェライト2相状態また
はフェライト1相状態での圧延終了板厚。また、繰り返
し曲げ加工により板表層部が受ける曲げ歪みの総和と
は、繰り返し曲げ加工は引張りと圧縮の歪みを交互に受
けるため、板表層部における引張り歪み、圧縮歪み全て
を加算したものを板表層部が受ける歪みの総和とする。
レベラーを用いた曲げ加工の場合の累積歪み量の算出は
以下に従うものとする。
【0014】図1はレベラーのロール配置を示したもの
である。lはロール間隔、RGはロールギャップであ
り、通常lは設備により固定されておりRGが可変であ
る。表1はi番目のロールのロールギャップRGiに基
づく圧下量(押し込み量)Xiを算定したものである。
RGiと板厚tから変数Xiが決まる。表1では4本目
のロールに沿って曲げる場合に最大加工度となる条件を
示したが、同様の手法で他のロールに沿って曲げる場合
に最大加工度となる条件についても計算できる。
【0015】即ち最大加工度となるロールの番号をim
ax、その場合の圧下量をXimax、総ロール本数をN、
i番目のロールの圧下量をXi 、加工度αi を板に付与
するための新の圧下量(mm)、σy :材料の降伏応力
(kg/mm2 )、l:ロールピッチの1/2(mm)、
αi :i番目のロールの加工度、RGi:i番目のロー
ルのロールギャップ、t:材料の板厚(mm)、E:材料の
ヤング率(kg/mm2 )、G:レベラーのガタ(0.3mm
とした)、A:ミルスプリング、P:矯正反力(ton)、
K:係数(3とした)。
【0016】とすると、以下の式を連続的に計算するこ
とにより求まる。 Ximax=t−RGimax−G−AP (RGimaxを設定す
ることにより決定) XN-1 =σy 2 /3tE (最終より1本前のロー
ルの圧下量を計算) i<imaxの場合 Xi =Ximax+(Ximax−XN-1 )/(N−1−ima
x)×(imax−i) i>imaxの場合 Xi =Ximax−(Ximax−XN-1 )/(N−1−ima
x)×(i−imax) αi =3tE/σy 2 ×X
i ただし、1番目のロールとN番目のロールでは加工度が
0、N−1番目のロールでは加工度が1となる。すなわ
ち、α1 =0、αN =0、αN-1 =1、各ロール毎の加
工度αi と歪みεi の関係 εi =σy /E×αi 総歪み量(本発明の請求項に記載された式中のεに相
当) ε=Σεi =σy /E×Σαi またその他の手段で曲げ加工を施した場合の累積歪み量
の算出は、図2に従うものとする。曲げ加工であるから
板の表面と裏面では正負逆の歪みがかかるが、それらが
繰り返し付与されるため、歪みの絶対値の総和を累積歪
み量とする。即ち板表層部が受ける歪みの総和=Σ|ε
tension i or εcompression i |となる。 i:曲げ加工の順番
【表1】
【0017】
【作用】本発明鋼の成分限定理由について説明する。C
は鋼材を強化するために不可欠の元素であって、0.0
2%未満では所要の高強度が得られにくく、また0.3
0%を超えると溶接部の靭性が損なわれるため0.02
%以上0.30%以下に限定した。Siは脱酸を促進し
かつ強度をあげることで効果的な元素であるので0.0
1%以上添加するが、添加しすぎると溶接性を劣化させ
るため2.0%以下にとどめる。
【0018】Mnは低温靭性を向上させる元素として有
効であるので0.3%以上添加するが、3.5%超添加
すると溶接割れを促進させるおそれがあるので、3.5
%以下にとどめる。Alは脱酸剤として有効であるので
0.003%以上添加しても良いが、過量のAlは材質
にとって有害な介在物を生成するため上限を0.1%と
した。Nbは微量でオーステナイトの圧延再結晶を抑制
する元素で、未再結晶圧延の強化に有効であるため、
0.001%以上添加するが、過度の添加は溶接継手靭
性を劣化させるため、0.1%以下にとどめる。
【0019】Tiは微量の添加で結晶粒の微細化に有効
であるので0.001%以上添加するが、溶接部靭性を
劣化させない程度の量を添加しても良い。そのため添加
量の上限は0.10%とする。Cu,Ni,Cr,M
o,Co,Wはいずれも焼入れ性を向上させる元素とし
て知られており、本発明鋼に添加した場合鋼の強度を上
昇させることができるので0.05%以上添加するが、
過度の添加は溶接性を損なうことになるため、Cuは
3.0%以下、Niは10%以下、Crは10%以下、
Moは3.5%以下、Coは10%以下、Wは2%以下
に限定した。
【0020】Vは析出効果により強度の上昇に有効であ
り0.002%以上添加するが、過度の添加は靭性を損
なうことになるため、上限を0.10%とした。Bは焼
入れ性を向上させる元素として知られており本発明鋼に
添加した場合鋼の強度を上昇させることができ0.00
02%以上添加するが、過度の添加はBの析出物を増加
させて靭性を損なうことになるため、上限を0.002
5%とした。RemとCaはSの無害化に有効であり、
Remは0.002%以上、Caは0.0003%以上
添加するが、過度の添加は靭性を損なうことになるた
め、上限をそれぞれ0.10%、0.0040%とし
た。
【0021】次に本発明の根幹をなす技術思想について
述べる。一般にフェライトは熱間圧延を施しても再結晶
しにくいが、フェライトの高温域で1パスあたりの圧下
率を極めて大きくとれば再結晶する場合があるが、圧延
機能力、温度保持等操業上の面で無理な場合が多い。ま
た高温故にたとえ再結晶が開始したとしても異常粒成長
をおこしたり混粒組織となりやすい。さらに圧延による
総圧下量は圧延前の鋳片厚と圧延後の板厚により決まる
ため、圧延のみでフェライトを再結晶させるには限界が
ある。
【0022】しかるに本発明者らは、圧延と圧延後の繰
り返し曲げ加工の組み合わせにより、フェライトを再結
晶させた場合と同等以上に微細なフェライト粒を得る方
法を見出した。曲げ加工は板厚を変化させずに歪みを付
与することが可能であるために鋳片厚と圧延後の板厚の
制約を受けない。圧延前あるいは圧延途中の板表層部の
冷却により、オーステナイト/フェライト2相温度域で
の圧延により圧下を加え、フェライト→オーステナイト
変態の駆動力を増加させておく。しかる後に板内部から
の復熱により板表層部の温度をAc3 点以上まで上昇さ
せることにより、極めて微細なオーステナイト粒径を得
る。
【0023】オーステナイト粒径はその前の圧下量に依
存し圧下量が大きいほど微細になるが、圧下量が20%
あれば10μm程度まで微細化される。この場合のオー
ステナイトは微細であるが、このまま再度変態させて得
られるフェライト粒径は、前述の特開昭61−2355
34号公報と同程度にしか微細化しない。しかし、この
微細なオーステナイト粒を引き続きオーステナイト1相
温度域で繰り返し曲げ加工(例えばホットレベラーによ
る加工)を加えれば、板表層部に歪みが付与されその後
のオーステナイト→フェライト変態により極めて微細な
粒径数μm程度のフェライト結晶粒が得られる。
【0024】これは圧延の効果をフルにオーステナイト
粒径の微細化に費やした後に、板表層部のみを繰り返し
曲げ加工により加工硬化せしめることにより、変態後の
フェライト粒径が微細化するという新たなる発見に基づ
くものである。さらに繰り返し曲げ加工後に加速冷却ま
たは直接焼き入れを行う場合は、繰り返し曲げ加工と冷
却間の時間を短縮することにより、フェライト→オース
テナイト変態後のオーステナイト粒の粒成長による粗大
化も防止することが可能となる。
【0025】次に本発明の製造条件の限定理由を詳細に
説明する。本発明においては鋳片を直接圧延しても再加
熱後圧延しても良い。圧延開始前または圧延の途中で板
の表層部を1回以上水冷するのは、板表層部の温度をフ
ェライト1相あるいはフェライト/オーステナイトの2
相域まで冷却し、しかる後に板内部が熱伝導による復熱
により上昇する過程において、フェライト/オーステナ
イトの2相またはフェライト1相温度域で圧延を加え
る。その際に、板表層部を再び完全にオーステナイト1
相状態とするために復熱温度の下限をAc3 点とする。
【0026】また板両表面より板厚の各5%以上を冷却
により、フェライト1相あるいはフェライト/オーステ
ナイトの2相域とするのは、基本的にフェライト1相あ
るいはフェライト/オーステナイトの2相域となった
後、圧延加工を受ける部分が脆性亀裂伝播停止特性を向
上させるため、板厚の各5%以下では十分に脆性亀裂伝
播停止特性が向上しないためである。
【0027】この場合の板の冷却はスプレイ、ラミナー
等を用いた水冷、水浸漬冷却、水以外の溶融塩等を用い
た冷却等通常工業的に行われる手法を用いれば良く特に
限定する必要はない。また、冷却条件は冷却開始時の板
温度、冷却能力(冷却速度)等の影響を受けるため一律
に規定することはできない。本発明では冷却される板の
表面から板厚の5%以上が上記の金属組織の状態になれ
ば良い。
【0028】またフェライト1相あるいはフェライト/
オーステナイトの2相域での累積圧下率が小さいと、そ
の後のフェライト→オーステナイト変態の際にオーステ
ナイト粒径が十分微細化しないため、累積圧下率で20
%以上の圧下を加える。繰り返し曲げ加工は圧延終了後
に引き続いて行うが、繰り返し曲げ加工時の板温度が低
いと再びフェライトが生成し、しかもそのフェライトが
曲げ加工を受けて靭性を劣化させる場合があるため、曲
げ加工温度はAr3 点以上が好ましい。
【0029】さらに繰り返し曲げ加工により付与する歪
み量は温度が高いとその効果の滅衰が速いため、加工温
度が高いほど大きくする必要があり、その歪み量を下式
で規定する。 ε≧1.65×10-3T−0.5 ただし、ε:繰り返し曲げ加工により板表層部が受ける
歪みの総和 T:繰り返し曲げ加工を行う際の厚鋼板の表面温度
(℃) 繰り返し曲げ加工後は放冷しても、圧延後引き続き加速
冷却または直接焼き入れ、さらには焼戻しをしても効果
がある。フェライト−パーライト、フェライト−ベイナ
イト鋼を製造する場合は繰り返し曲げ加工終了後、可及
的速やかに冷却を開始し500℃程度まで冷却すること
が好ましい。
【0030】冷却速度は大きい方が好ましいが、本発明
は繰り返し曲げ加工終了後、放冷しても効果が認められ
るため有効な冷却速度に下限はない。またベイナイト、
マルテンサイト主体の鋼を製造する場合は繰り返し曲げ
加工終了後可及的速やかに焼き入れを開始し焼戻し温度
は通常行われている範囲で行えば良い。曲げ加工はホッ
トレベラー、ロールベンディングを用いた繰返し加工に
より実施することができる。
【0031】
【実施例】表2に示す成分の本発明鋼について表3に示
す本発明方法および比較方法を適用した場合、表3中に
示した強度、靭性およびKca値となる。ここでKca
値は温度勾配型ESSO試験により測定した(例えば木
原博監修:脆性破壊2、培風館、p41参照)。表3に
よると、同一成分、同一板厚の厚鋼板で同一試験温度で
整理すると、本発明鋼のKca値が100kgf/mm1.5
上向上しており、かつ母材の強度はほぼ同等以上、破面
遷移温度は10℃以上向上している。表3より、明らか
に本発明鋼は良好な材質特性を示し、本発明は有効であ
る。繰り返し曲げ加工はホットレベラーを用いて行っ
た。
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
【発明の効果】本発明により広い範囲の鋼種の脆性亀裂
伝播停止特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レベラーのロール配置の説明図。
【図2】一般の繰り返し曲げ加工の場合の板表層部が受
ける歪みの総和の算出法を示した説明図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年2月16日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】すなわち、本発明の要旨とするところは、
次の通りである。 (1)重量%でC:0.02〜0.30%、Si:0.
01〜2.0%、Mn:0.30〜3.5%、Al:
0.003〜0.10%、残部がFeおよび不可避的不
純物からなる鋼塊あるいは鋼片を鋳造後直接あるいは再
加熱後の圧延開始前および/または圧延の途中で板の両
表面を1回以上水冷して、表面から板厚の5%以上の厚
みの部分をオーステナイト/フェライト2相状態または
フェライト1相状態にした後に累積圧下率で20%以上
の圧延を行い、板表面温度が復熱によりAc3 点以上ま
で上昇した後に圧延を終了し、引き続きAr3 点以上の
温度域での繰り返し曲げ加工により下式で与えられる歪
みを付与することを特徴とする脆性亀裂伝播停止特性の
良い厚鋼板の製造法。 ε≧1.65×10-3T−0.5 ただし、ε:繰り返し曲げ加工により板表層部が受ける
歪みの総和(%) T:繰り返し曲げ加工を行う際の板表面温度(℃)。 ただしT≧Ar3 点。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】さらに繰り返し曲げ加工により付与する歪
み量は温度が高いとその効果の滅衰が速いため、加工温
度が高いほど大きくする必要があり、その歪み量を下式
で規定する。 ε≧1.65×10-3T−0.5 ただし、ε:繰り返し曲げ加工により板表層部が受ける
歪みの総和(%) T:繰り返し曲げ加工を行う際の厚鋼板の表面温度
(℃) 繰り返し曲げ加工後は放冷しても、圧延後引き続き加速
冷却または直接焼き入れ、さらには焼戻しをしても効果
がある。フェライト−パーライト、フェライト−ベイナ
イト鋼を製造する場合は繰り返し曲げ加工終了後、可及
的速やかに冷却を開始し500℃程度まで冷却すること
が好ましい。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】
【表7】 なお、表中の熱処理パターン(圧延後または繰り返し曲
げ加工後)は次のとおりであった。 a:7℃/Sで500℃まで加速冷却 b:14℃/Sで460℃まで加速冷却 c:放冷 d:27℃/Sで505℃まで加速冷却 e:室温まで直接焼入れ後660℃で焼き戻し f:15℃/Sで室温まで加速冷却後460℃で焼き戻
また、引張試験、衝撃試験ともJIS4号試験片を使用
(板厚方向1/4部のL方向(圧延方向)から採取し
た)。表中L方向:圧延方向、T方向、圧延方向と直角
方向である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で C :0.02〜0.30%、 Si:0.01〜2.0%、 Mn:0.30〜3.5%、 Al:0.003〜0.10%、 残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼塊あるいは
    鋼片を鋳造後直接あるいは再加熱後の圧延開始前および
    /または圧延の途中で板の両表面を1回以上水冷して、
    表面から板厚の5%以上の厚みの部分をオーステナイト
    /フェライト2相状態またはフェライト1相状態にした
    後に累積圧下率で20%以上の圧延を行い、板表面温度
    が復熱によりAc3 点以上まで上昇した後に圧延を終了
    し、引き続きAr3 点以上の温度域での繰り返し曲げ加
    工により下式で与えられる歪みを付与することを特徴と
    する脆性亀裂伝播特性の良い厚鋼板の製造法。 ε≧1.65×10-3T−0.5 ただし、ε:繰り返し曲げ加工により板表層部が受ける
    歪みの総和 T:繰り返し曲げ加工を行う際の板表面温度(℃)。 ただしT≧Ar3 点。
  2. 【請求項2】 重量%でNb:0.001〜0.10%
    を含有することを特徴とする請求項1記載の脆性亀裂伝
    播停止特性の良い厚鋼板の製造法。
  3. 【請求項3】 重量%でTi:0.001〜0.10%
    を含有することを特徴とする請求項1または請求項2い
    ずれか記載の脆性亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板の製造
    法。
  4. 【請求項4】 重量%で Cu:0.05〜3.0%、 Ni:0.05〜10.0%、 Cr:0.05〜10.0%、 Mo:0.05〜3.5%、 Co:0.05〜10.0%、 W :0.05〜2.0% の1種または2種以上を含有することを特徴とする請求
    項1乃至請求項3のいずれかの項に記載の脆性亀裂伝播
    停止特性の良い厚鋼板の製造法。
  5. 【請求項5】 重量%でV:0.002〜0.10%を
    含有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいず
    れかの項に記載の脆性亀裂伝播停止特性の良い厚鋼板の
    製造法。
  6. 【請求項6】 重量%でB:0.0002〜0.002
    5%を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5
    のいずれかの項に記載の脆性亀裂伝播停止特性の良い厚
    鋼板の製造法。
  7. 【請求項7】 重量%で Rem:0.002〜0.10%、 Ca:0.0003〜0.0040% の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1
    乃至請求項6のいずれかの項に記載の脆性亀裂伝播停止
    特性の良い厚鋼板の製造法。
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