JPH0776238B2 - neu遺伝子産物のためのリガンド - Google Patents
neu遺伝子産物のためのリガンドInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
本発明は細胞の代謝を変えるのに有用な物質の分野に関
する;特に本発明は細胞の代謝を変えるのに有用な蛋白
様物質に関する。
する;特に本発明は細胞の代謝を変えるのに有用な蛋白
様物質に関する。
本出願は1990年4月6日に出願された米国特許出願番号
第505,837号の一部継続出願であり、それは本出願の譲
渡人に譲渡されており、本明細書において上記出願の援
用がなされている。
第505,837号の一部継続出願であり、それは本出願の譲
渡人に譲渡されており、本明細書において上記出願の援
用がなされている。
neu遺伝子産物はトランスメンブラン増殖因子受容体様
チロシンキナーゼ(transmembrane growth-factor-rece
ptor-like tyrosine kinase)である。それは最初妊娠
期間中にとびとびにエチルニトロソ尿素に暴露された齧
歯類の子供中に発生した化学物質誘発ラット神経芽腫か
ら単離された。化学物質誘発突然変異はneu遺伝子中ヌ
クレオチドレベルで点突然変異(アデニンがチミジン
へ)を生じneu遺伝子産物のトランスメンブラン領域中
での一つのアミノ酸が置換されるように翻訳される(バ
リンがグルタミン酸へ)。ラットneu遺伝子産物のチロ
シンキナーゼ領域はこの点突然変異によりそのトランス
メンブラン領域が構成上活性化されるようになる。neu
遺伝子はチロシンキナーゼ活性を持ち、ヌクレオチドお
よびアミノ酸レベルで上皮増殖因子受容体(epidermal
growth factor receptor:EGFR)と構造的に類似してい
る185kdの表面糖蛋白質(p185と称されている)をコー
ドしている。しかしながら、詳細な分子分析および染色
体位置決定研究によりneu遺伝子は上皮増殖因子受容体
コード遺伝子(c-erb-B遺伝子)とは異なっていること
が示されている。上皮増殖因子受容体(EGFR)とのneu
遺伝子産物が類似していることはp185もまたまだ同定さ
れていない増殖調節因子の増殖因子受容体であることを
示唆している。ラットおよびヒトのneu遺伝子は90%相
同である。それらの蛋白生成物の相対分子量はわずかに
異なっており、ラット蛋白質はMr=185KDaでありヒト蛋
白質は190KDaである。この不一致は翻訳後修飾での種間
の相違により生じると考えられている。neu発癌遺伝
子、その生成物および機能の総説としてはGreene、M.I.
et al.“神経系の組織における受容体システム”、Immu
nological Reviews、100号、1987年12月、を参照された
い。 本明細書においてneu遺伝子およびneu遺伝子産物とは本
遺伝子のすべての哺乳類および脊椎動物相同体およびそ
の蛋白質産物を意味している。本明細書で使用される場
合、ラットneu遺伝子産物の癌遺伝子形はp185neuとして
示されるであろう。正常細胞非癌遺伝子遺伝子産物はp1
85c-neuとして示されるであろう。ラットneu遺伝子産物
のヒト同族体は本明細書ではc-erb-B-2またはヒトneuと
して示される。単にp185と書かれている時は本明細書で
はラットおよびヒトおよびラットneu遺伝子産物の他の
哺乳類同族体を広く示している。異常増殖にp185が関係
していることおよびその増殖因子受容体様特質はp185蛋
白質が発現されている細胞の正常および異常な増殖およ
び分化においてp185蛋白質が重要な役割を果たしている
ことを示唆している。 p185は発育期にあるおよび成熟した動物由来の種々の組
織中に発育段階および組織特異的様式で見い出されてい
る、Kokai,Y.et al.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.
84:8498-8501;Maguire,H.C.,et al.,(1989)J.Inves
tigative Dermatology 92:786-790;Cohen,J.A.et al.,
(1989),Oncogene 4:81-88。成熟ラットおよびヒト
中でのp185の発現は腸絨毛、皮膚の基底層および毛嚢、
肺細気管支、近位尿細管、ファロピー管(fallopian tu
bes)、乳腺管、膀胱および子宮内膜の上皮層中および
いくつかの発育期および成熟末梢および中心グリア細胞
中に検出されている。神経および結合組織は妊娠中期か
ら後期の比較的狭い時間枠の間にneuを発現するが、成
熟しては発現しない。他の器官の分泌性上皮層において
はneu遺伝子の発現は成人期まで持続する。リンパ系組
織はどの発育段階においてもneu遺伝子を発現しないよ
うである。 185-neuは多数の正常細胞型の表面およびある種の腫瘍
の表面上に発現される。p185c-neuの微小発現(minimal
expression)は脳室上衣、脈絡叢、毛様体、終末細気
管支上皮、卵巣間質上皮、およびヘレン係蹄で観察され
た。泌尿生殖器上皮および正常皮膚付属器ではわずかに
高く発現されていた。これらの組織には膀胱移行上皮、
ファロピー管上皮、胆管、集合管、子宮内膜腺上皮、表
皮、毛嚢、皮脂腺および尿道上皮が含まれる。p185のよ
り高い発現は胸部および胃腸組織の急速に分裂している
組織で観察された。これらの構造物には胸部肺胞および
乳管上皮、肝細胞、近位および遠位尿細管、ランゲルハ
ンス島細胞および胃粘膜が含まれる。p185が最も高いレ
ベルで発現されているのは分泌上皮の急速に分裂してい
る組織で観察されており、眼のマイボーム腺、角膜、腸
絨毛上皮、膵腺房、膵管上皮、および唾液管上皮が含ま
れる。いくつかの型の組織でp185の異なった発現が観察
されている。腎臓においては近位および遠位尿細管は高
い発現を持つが、一方ヘレン係蹄(the Loop of Henl
e)においては発現は少ない。小腸上皮において、腺窩
では微小な発現しかないが、柔突起先端にいくほど発現
が徐々に増加している。皮膚において、基底層では微小
な発現しかないが表皮においては発現は増加している。
毛嚢においてもまた染色が見られる。 ヒトおよびラット組織において、静的組織および成人細
胞代謝回転の遅い速度を持つ組織はp185を発現しない。
これらの組織は内胚葉および中胚葉起原でありリンパ組
織が含まれる。p185を発現しない組織には副腎、血管、
脳実質、軟骨、精巣上体、心臓、リンパ節、脾臓、横紋
筋、精巣、胸腺および甲状腺が含まれる。 neu遺伝子はクローン化されているが、その蛋白産物に
対する1次リガンドの同定は困難であった。いくつかの
内因性p185調節因子が存在するかもしれないが、p185に
対する1次リガンドの影響はEGFおよびPDGF受容体に対
するEGFおよびPDGFの影響と類似してなくてはならない
(なぜなら、これらの受容体はp185に非常に関連してい
るチロシンキナーゼである)。Yarden,Y.,(1988)Annu
al Review of Biochemistry 57:443;YardenおよびSchl
essinger(1987)Biochem. 26:1443;Bishayee,et al.,
(1989)J.Biol.Chem. 264:11699。 哺乳類、特にヒト、の細胞代謝を変える物質および方法
を提供することが本発明の目的である。哺乳類腫瘍、特
にヒト腫瘍を処置するための物質を提供することも本発
明の目的である。現在の腫瘍処置はほとんどの場合薬剤
の細胞毒性効果および放射線療法に頼っている。これら
の処置はいく人かの患者に軽快化および治癒をもたらす
が、それらは腫瘍細胞を殺すだけでなくいくつかの正常
非腫瘍細胞もまた殺すので重大な副作用を不幸にも示す
ことがある。主として腫瘍細胞に影響し、正常細胞およ
び細胞機能にはほとんど相互作用しない哺乳動物腫瘍処
置に対する強い要求がある。細胞表面上にp185を発現し
ている腫瘍診断法を提供するのも本発明の更なる目的で
ある。ヒトneu遺伝子の増幅および続いてのヒトneu遺伝
子産物の過剰発現は乳、胃、結腸直腸、卵巣および膵臓
組織を含むいくつかの組織型中の腺癌とかかわりがある
とされている。そのため、C-erbB-2蛋白質発現レベルは
乳房、卵巣および肺癌の有用な予後指標のようである。
これらおよび他の目的は本明細および付随する請求の範
囲を見ることにより当業者には明らかになるであろう。 〔発明の要約〕 本発明はneu遺伝子の翻訳生成物であるp185と選択的に
結合可能な精製された蛋白様物質および蛋白様物質の精
製法を提供する。本発明の蛋白様物質はNAFと名付けら
れており、それは“neu蛋白質活性化因子”を表わして
いる。本明細書で言及する場合、“NAF"、“neu蛋白質
活性化因子”および“蛋白様物質”は等価であり同一の
化合物を表わす。NAFはp185中に含まれているチロシン
キナーゼの活性を増加させるが上皮増殖因子受容体のチ
ロシンキナーゼの活性は増加させない。蛋白様物質はp1
85二重化およびインターナリゼーションを誘発する。さ
らに本発明の蛋白様物質はneuを運ぶ細胞の増殖にも影
響する。NAFは56℃および100℃で熱安定性であり、ある
種のプロテアーゼにより分解可能である。その最も小さ
い活性/単離可能形の分子量は約7,000および約14,000
ダルトンの間である。約30,000ダルトンまでの分子量を
持つNAFの形が存在し、第2の活性範囲は約14,000およ
び約24,000の間に存在すると同定されている。これらの
より大きな形は最も小さい活性/単離可能形のオリゴマ
ー形を表わしているのであろう。 他の実施態様において、本発明は哺乳類の代謝状態を変
えるのに有効な量の蛋白様物質またはその断片を哺乳類
に投与することを含む、哺乳類の代謝状態を変えるため
の哺乳類の処置方法も提供する。本発明はさらにp185を
発現している哺乳類腫瘍の処置方法を提供する。本発明
の蛋白様物質および方法はp185を正常に(変形された形
として)、または変化されたレベルで発現している任意
の型の細胞の処置に有用である。 本発明は付随する請求の範囲によりより特別に示され以
下のその好適な実施態様で説明される。 〔発明の詳細な説明〕 NAFはヒトT細胞リンパ栄養性ウイルス−1(HTLV-1)
により形質転換されているT細胞により条件付けられた
培地から精製されるであろう。好適な細胞株(cell lin
e)はATL-2,インターロイキン−2−非依存性HTLV
(+)T細胞株である。ATL-2細胞株はアメリカンタイ
プカルチャーコレクション、Rockville、Maryland、に1
990年3月23日に寄託され、CRL10388の受入番号を持っ
ている。この因子の内因性源はつかまえ所がないことが
証明されており、多分因子の量がここに記載したアッセ
イによっては検出されないほど非常に低いためであろ
う。 本発明の好適な実施態様において、ATL-2細胞は2回PBS
で洗浄され、続いて血清を含まないRPMI1640培地(Whit
taker M.A.Bioproducts,Inc.,Walkersville,Maryland)
中3×105/mlで72時間培養された。この培養上清液は
“条件付け培地”(conditioned medium:C.M.)と呼ば
れNAFの精製に使用された。ATL-2細胞増殖を支えるであ
ろう他の培地もまた細胞の培養に使用してもよい。 NAFは1,000ダルトンの孔径を持つ膜を用いる条件付け培
地の限外過により製造されるであろう。条件付け培地
は企画されYM-2膜(Amicon,Danvers,Massachusetts)を
用いる限外過により100倍に濃縮された。1,000ダルト
ン未満の分子量を持つ条件付け培地中の成分は膜を通過
する;一方1,000ダルトンより大きな分子量を持つ条件
付け培地の成分は濃縮条件付け培地中に残る。NAFはフ
ィルターに保持され、1,000ダルトンより大きな分子量
を持つ成分を含む条件付け培地の分画中に見い出され
る。 NAFは条件付け培地の過に続いての陰イオン交換クロ
マトグラフィー、好適には高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)によるジエチルアミノエチル(DEAE)セルロー
スを用いて更に精製される。実施例7に記載したインビ
トロ免疫複合体キナーゼ技術または他のチロシンキナー
ゼ活性を測定する適当なアッセイを用いて決定された活
性分画をプールし、濃縮して逆相クロマトグラフィー
(好適にはC18のようなシリカマトリックスカラム(Wat
ers,Inc.,Milford,MA)を用いて)にかける。実施例7
に記載したようなインビトロ免疫複合体キナーゼまたは
類似の技術により活性であると決定された分画は最初の
ATL-2条件付けの培地の約1,000倍の相対比活性を持って
いる。NAFは第2のシリカマトリックスカラム、好適に
はC18(ここではC18#2と称される)、を用いる逆相ク
ロマトグラフィーによりさらに精製されるであろう。ポ
リアクリルアミド勾配ゲルを用いるゲル電気泳動(Inte
grated Separation Systems,Hyde Park,MDまたはAmersh
am,Arlington Heights,ILによるPHorecast System)、
続いての活性分画の銀染色によりNAFに特徴的である3
つの独特なバンドが10KD,20KDおよび26KDに示された。 本発明の蛋白様物質はそのp185に対する結合特異性、そ
のneu蛋白質の活性に対する影響およびp185を運ぶ細胞
に対する影響などの物理性質により特徴付けられるであ
ろう。NAFはp185neu、p185c-neuおよびc-erbB-2のチロ
シンキナーゼ活性を促進させる。チロシンキナーゼ活性
の増加は実施例7に詳述されているような免疫複合体キ
ナーゼアッセイまたはチロシンキナーゼ活性を測定する
他の適当なアッセイにより試験されるであろう。 本発明の蛋白様物質は少くとも100℃まで加熱しても安
定である。この安定性はC.M.を56℃および100℃で30分
間処理することにより決定された。蛋白様物質は両方の
処理後でも正常な活性を示した。加えて、キモトリプシ
ンおよび細菌プロテアーゼ処理では本発明の蛋白様物質
はプロテアーゼ感受性を示した。 p185チロシンキナーゼ活性のNAF活性化はそのp185への
特異的結合に依存している。p185の細胞外領域上の異な
ったエピトープに特異的であり、それを阻止する抗体を
用いた試験は蛋白様物質が特定の細胞外領域でp185を認
識することを示した。 NAFはその標的蛋白質の二量体形成または集合を起こす
ことが観察されている。これは受容体チロシンキナーゼ
がその同起原のリガンドに応答して起こす普通の反応で
ある。ホモダイマーおよびヘテロダイマーの両方が形成
される。本明細書に記載されている架橋研究はPN-NR6細
胞においてp185ホモダイマーの形成をNAFが用量依存的
に増加させることを示している。M1細胞のようにEGFお
よびNAFの両方を発現する細胞においてはヘテロダイマ
ー受容体構造(p185/EGFR)の形成がEGFまたはNAFによ
る処理に対し用量依存的である。 いくつかの試験はEGFのような他のチロシンキナーゼリ
ガンドと類似しているNAFの特徴を示した。これらの試
験はNAFおよびEGFは類似の機構および機能を持っている
が、お互いに別個のものであることを示した。その同起
原リガンドへの暴露に応答してp185のような受容体チロ
シンキナーゼは細胞表面からダウンレギュレーションさ
れる(down-regulated)。NAFはp185のダウンレギュレ
ーションを起こす。NAFへの暴露はPN-NR6細胞によるp18
5の表面発現を減少させた。NE-19上のEGFRの表面発現は
EGFの添加により下方調節されたが、NAFでは起こらなか
った。NAFおよびEGFとのインキュベーションにおいて37
℃でインキュベートされた細胞のダウンレギュレーショ
ンは起こったのに対し4℃でインキュベートされた細胞
のダウンレギュレーションは起こらなかったのでこの応
答は温度感受性であるようである。 最後にp185を発現する細胞に対するNAFの影響が調べら
れた。NAFはp185を発現するPN-NR6細胞の軟寒天増殖能
力を増加させることが示された。NAFはp185を発現しな
いNE-19細胞に対しては何の影響も及ぼさなかった。NAF
またはEGFのどちらも、EGFRもp185も発現しない親NR-6
細胞に対しては増殖促進効果を示さなかった。他の増殖
因子が試験されたがこの増殖応答とは無関係であること
が示された。TGF−α,TGF−βおよびPDGFのような増殖
因子はPN-NR6またはNR6細胞の増殖は起こさなかつた。 本発明の蛋白様物質は最初にヒト細胞株から精製された
が、同一または実質的に同一の結合親和性を持ち、また
はp185neuまたはp185c-neuと結合できる他の種の細胞か
らの蛋白様物質もまた本発明の範囲である。ゲル過ク
ロマトグラフィーおよび限外過膜分析に基づくと、NA
Fは約7,000から約14,000ダルトンの分子量を持ってい
る。NAFは約14,000から約24,000ダルトンの分子量を持
つ形でもまた存在してもよい。ポリアクリルアミド勾配
ゲルを用いるゲル電気泳動(Integrated Separation Sy
stems,Hyde Park,MDまたはPHorecast System,Amersham,
Arlington Heights,IL)続いての銀染色は第2のC18精
製工程を通して精製されたNAF試料中に10KD,20KDおよび
26KDの3つの独特のバンドを示していた。NAFの分子量
の変化はそれがオリゴマー形、即ち二量体または三量体
形で存在しているかもしれないことを示唆している。蛋
白様物質のすべてのサブユニット(より小さなまたはよ
り大きな分子量形であるにしろ)およびサブユニットの
集合形も本発明の範囲内である。化学合成、組換えDNA
技術、精製蛋白様物質の分解または修飾またはこれらの
組合せを含む任意の方法により製造されたNAFの断片ま
たは一部もp185neuに結合できるものは本発明の範囲内
である。さらに、化学的に修飾されている、または融合
蛋白質として遺伝子工学的に形成されたまたは蛋白様物
質に由来しないアミノ酸を含む蛋白様物質の断片または
一部もまた本発明の範囲内である。 指摘したごとく、本発明の蛋白様物質の二量体または三
量体形のサブユニットの組合せもまた本発明の範囲内で
ある。二量体または三量体は二つまたは三つの同じサブ
ユニットから成っていても(すなわち、ホモダイマーま
たはホモトライマー)または二つまたは三つの異なった
サブユニットから成っていてもよい(すなわち、ヘテロ
ダイマーまたはヘテロトライマー)。サブユニットは天
然起源からの精製、組換えDNA技術、化学合成またはこ
れらの方法の組合せを含む適した方法により製造される
であろう。適したサブユニットにはまた蛋白様物質の断
片または一部が含まれる。サブユニットはまた随意に化
学修飾されていてもよいし、本発明の蛋白様物質から由
来しないアミノ酸を含んでいてもよくまたは融合蛋白質
として合成由来のアミノ酸配列を含んでいてもよい。p1
85に結合し表面にp185を発現している細胞に影響を及ぼ
す本発明の蛋白様物質の一部または断片(本発明の蛋白
様物質の任意の他の形を含む)の能力は本明細書の実施
例に記載されている検定法を用いて都合よく決定できる
であろう。 本発明の蛋白様物質はその表面にp185を発現している細
胞の哺乳類疾患および状態の処置に有用であると期待さ
れる。特別の理論または作動様式に結びつけられること
を望んではいないが、現在のとろこ本発明の蛋白様物質
は細胞の表面上のp185に結合することにより細胞の機能
を調節するであろうし、それは次に細胞の酵素活性を変
化させるであろうし、結果的に細胞の機能を変化させる
と信じられている。 例えば、分泌上皮細胞はその表面に正常細胞p185を発現
している。火傷または他の型の細胞破壊のように細胞の
再増殖が必要とされる場合、または皮膚の小胞からの再
生毛増殖のような効果のある細胞の代謝生成物を増加ま
たは再刺激することが望まれている場合のような状況に
おいては細胞増殖または代謝を刺激するこの受容体に結
合可能な物質は有用であろう。 本発明の蛋白様物質は処置される特定の障害、個々の患
者の状態、蛋白様物質の送り届け部位、投与方法および
開業医には既知の他の因子に従って処方および適用量が
決定されるであろう。すなわち、本明細書の目的のため
の蛋白様物質の有効量とは細胞代謝を刺激するのに有効
な量であり、病的状態の予防、悪化を少くする、緩和す
るまたは治癒させるために蛋白様物質が投与される。 本発明の蛋白様物質は無菌の水、塩溶液または他の緩衝
液または乳化剤のような薬学的に受容可能な担体と組合
わせて哺乳類へ投与されるであろう。本発明の蛋白様物
質はその表面にp185を発現している哺乳類の細胞へ、経
口、静脈内、皮下、局所および他の投与様式のような都
合のよい経路により投与されるであろう。本発明の蛋白
様物質は哺乳類患者に細胞の代謝を調節するのに十分な
濃度および時間の間投与される。与えられる特定の濃度
はそれが与えられる病的状態、受容者の年令および体重
および投与様式のような因子に依存するであろう。 蛋白様物質は放射標識分子(radiolabeled molecules)
およびp185を発現している細胞に対して蛋白様物質の効
果を増加させるための腫瘍処置のために使用される他の
化合物のような細胞毒性物質と組み合わせてもよい。 腫瘍細胞の表面上にp185neuを過剰発現している腫瘍ま
たはp185の異常形を発現している腫瘍の処置のために
は、本発明の蛋白様物質またはその活性な断片または一
部が腫瘍または腫瘍に効果を持つと期待される腫瘍の部
位に投与される。 本発明の蛋白様物質はまた腫瘍細胞の表面にp185および
上皮増殖因子受容体の両方を発現している腫瘍の処置に
も使用されるであろう。本発明のこの実施態様において
は、蛋白様物質またはその活性な断片または一部および
上皮増殖因子受容体に特異的な抗体が腫瘍増殖を減少さ
せるのに有効な量そのような腫瘍を持つ哺乳動物に投与
される。そのような腫瘍の処置のための方法および試薬
はMark I.Greeneの名前で“抗受容体抗体による癌性細
胞の処置法”と題して1989年7月27日に出願された出願
番号07/386,820号の同時係属中の出願に記載されている
(その記載はここにそのまゝ完全に示されているように
特別に援用する)。本発明の蛋白様物質はp185に対して
特異的な抗体で置換され、単独で、または上皮増殖因子
受容体に特異的な抗体と組合わせて投与される。 本発明の蛋白様物質はある種の腺癌、乳、肺および卵巣
癌のように細胞の表面にp185を発現する腫瘍の診断およ
びp185を発現している細胞の同定に使用できるであろ
う。本発明の蛋白様物質とそのような腫瘍細胞を含むと
疑われる組織試料を本蛋白様物質の組織試料への結合を
可能にする条件下に接触させる。p185発現腫瘍細胞の組
織試料中での存在を示す組織試料中の細胞への蛋白様物
質の結合は次に酵素、蛍光分子、放射性標識、フェリチ
ンのような電子が密な化合物コロイド状金のような光散
乱粒子または以上のものの組合せまたは置換で標識され
た蛋白様物質に対し特異的な抗体のような市販品として
入手可能な試薬および常法を用いて検出される。蛋白様
物質に特異的な抗体はポリクローナルおよびモノクロー
ナル抗体を作製する標準技術により産生されるであろ
う。 〔実施例〕 略語 p185neu、ラットneu癌遺伝子の生成物;p185c-neu、ラッ
トneu原癌遺伝子の生成物;c-erb-B-2、ラットneu遺伝子
産物のヒト同族体;p185、広くラット、ヒトおよび他の
哺乳動物からの癌遺伝子性および原癌遺伝子性neu遺伝
子産物およびneu遺伝子産物の脊椎動物同族体;HTLV-1、
ヒトT細胞リンパ栄養性ウイルス−1;FCS、ウシ胎児血
清;EGFR、上皮増殖因子受容体。 以下の実施例は例示であり本発明を制限するものではな
い。実施例1および2は本発明の蛋白様物質の製造およ
び物理特性を説明している。実施例4から14で実施され
たアッセイにおいては条件付け培地または一部精製され
た条件付け培地が使用された。実施例15から21ではより
精製された形の本発明の蛋白様物質が使用された。 実施例1 蛋白様物質の製造および精製 ATL-2細胞株はIL-2−非依存性HTLV-1(+)T細胞株で
ある。マイコプラズマを含まないATL-2細胞は10%FCSを
含むRPMI1640培地(10%FCS-RPMI1640)を培養培地と
し、37℃で5%CO2を含む加湿した雰囲気下にて維持さ
れた。 蛋白様物質の精製のために、ATL-2細胞は1×PBSで2度
洗浄され、血清を含まないRPMI1640培地/2mM L−グルタ
ミン中3×105/mlで72時間培養され、続いて細胞はペレ
ット化された。このようにして作られた培養上清液は
“条件付け培地”(C.M.)と称される。 1000dカットオフ(cut off)を持つYM-2 Diafloメンブ
ラン(membrane)(Amicon、Boston、MA)を用いてC.M.
を100分の1に濃縮した(1リットルから10mlへ)。い
くつかのアッセイに使用するため、1000MWより多い成分
を含む濃縮C.M.をRPMI培地にて本来の量まで再希釈し
た。ポリアクリルアミド勾配ゲル(Integrated Separat
ion System,Hyde Park,MDまたはAmersham,Arlington He
ights,ILによるPHorecast System)を用い、続いて1リ
ットル調整液からのいくつかのこの2カラム精製物質の
銀染色により、少くとも4つからの5つのバンド(10KD
および20KDバンド)はこの物質に独特であったことが示
された。1000MW未満の成分を含む通過したC.M.は希釈な
しで使用された。 濃縮されたC.M.は、45μユニフロ(uniflo)フィルター
(Schleicher and Schuell,Keene,NH)を用いて過滅
菌され、次に前もって10mMトリス−Cl、pH8.1で平衝化
されているDEAE-SW陰イオン交換樹脂(Waters,Inc,Milf
ord,MA)を用いて更に精製された。HPLC実験当り、1リ
ットルの最初のATL-2条件付け培地分の濃縮C.M.蛋白質
をカラムに吸着させ、次に0mMから400mM Naclの直線濃
度勾配、4ml/分の流速で溶出した。適当なDEAE分画(1
カラム精製物質)の10%または適当なc18分画(2カラ
ム精製物質)の1%を用い、実施例7に記載したような
インビトロ免疫複合体キナーゼアッセイを用いて分画を
検定した。実施例7に記載したインビトロ免疫複合体キ
ナーゼアッセイを用いて用量依存様式でp185C-neuのチ
ロシンキナーゼ活性を増加させる活性は、220から240mM
のNacl濃度付近の4から5分画(36-40)に渡る1つの
おもなピークとして溶出された。HPLC-DEAE精製後、活
性分画中の蛋白質を濃縮してプールし、濃縮し、c18
(シリカマトリックス)逆相クロマトグラフィー(Wate
rs,Inc.Milford,MA)にかけた(C18#1工程または2カ
ラム精製物質と称される)。0.1%TFAに対する2−プロ
パノールの直線濃度勾配により溶出を実施した。すべて
の分画をRPMI1640培地に対して透析して2−プロパノー
ルを除去し、実施例7に記載されているインビトロ免疫
複合体キナーゼアッセイおよび適当な分画の1%濃度を
用いて検定した。p185c-neuのチロシンキナーゼ活性を
増加させた活性は2つのピークとして溶出された。1つ
は分画11-13に溶出し、一方、わずかに活性が低い第2
のピークの活性は分画20-23に溶出した。これらの2つ
のピークは各々大体5から7%イソプロパノールおよび
11から14%イソプロパノールに対応する。c18#1によ
る分画11-13が物質の確認研究に使用された。2番目の
クロマト工程からの活性分画はプールされ、蛋白様物質
試料と称された。 20リットルの調製液(preparation)が同じ精製戦略で
使用された。DEAE活性分画35-41がプールされ上記のよ
うにc18クロマトグラフィーにかけられた。c18#1分画
11-13および21-24の両方とも用量依存性活性を持ってい
た。分画11-13をプールしたものはさらにc18クロマトグ
ラフィー工程にかけられた(c18#2または3カラム精
製物質と称される)。再び分画11-13および21-24が活性
を持っていた。実施例7に記載したようなインビトロ免
疫複合体キナーゼアッセイにより決定されたような分画
23の用量応答は分画23の容量の0.005%および分画23の
容量の0.05%を加えることにより得られるであろう。こ
のことは最大の純度が達成されたことを示している。 分子量範囲はゲル過クロマトグラフィーおよび限外
過膜に基づいて決定された。10,000分子量カットオフフ
ィルターではチロシンキナーゼ活性のほとんど等しい量
が保持されまた通過した。30,000分子量カットオフフィ
ルターによってはほとんどすべての活性が通過した。活
性なクロマトグラフィー分画の分子量範囲は用量依存性
neu−活性化活性を含む分画を、一組の蛋白質分子量標
品(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)の溶出プロフィ
ールと比較することにより決定された。活性の低分子量
領域は7,000および14000ダルトンの間と同定された。活
性の第2の範囲は約14,000から約24,000ダルトンにわた
っていた。 ポリアクリルアミド勾配ゲル(Integrated Separation
Systems,Hyde Park,MDまたはAmersham,Arlington Heigh
ts,ILによるPHorecast System)を用いるゲル電気泳動
後、市販品として入手可能な銀染色キット(Biorad,Roc
kville Centre,NY)により3カラム精製物質(c18#
2)の銀染色が実施された。20リットル調製液のc18#
2精製からの分画21,22,23および24がマーカーとともに
実験された。分画22および23は最も強い用量応答を示し
た。これらの分画に独特ないくつかのバンドが分子量10
KD,20KDおよび26KDのところに現れた。 実施例2 相対比活性 表1に示したごとく、試料の相対比活性は推定1000倍お
よび精製後3500倍ほど増加した。 相対比活性は定量されたneu−キナーゼ活性の用量依存
的増加を発生させるのに必要とされる最初のATL-2条件
付け培地中の活性量を、等しい応答を発生させるのに必
要とされる単一クロマトグラフィー工程精製物質および
2クロマトグラフィー工程精製物質と比較することによ
り決定された。比活性とはp185バンド強度を増加させる
のに必要とされるNAF含有試料中の総蛋白質のμgであ
り、実施例7に記載されたようなインビトロ免疫複合体
キナーゼアッセイで非処理試料に比較して2.5倍とデン
シトメーター(LKB Ultrascan,Pharmacia LKB Biotechn
ology,Piscataway,NJ)を用いて定量される。インビト
ロ免疫複合キナーゼアッセイは実施例7に記載されてい
る。p185バンド強度の2.5倍の増加は容量で最初のATL-2
条件付け培地の10%、容量でプールされたDEAE活性分画
の1%、およびc18#1活性分画の0.01%で得られた。c
18#1と称される活性分画は生化学的および細胞の確認
に使用された。最初のATL-2条件付け培地の活性は7000
単位と独断的に称された(最初のATL-2上清液ml当り7
単位)。続いてのDEAEおよびc18精製工程における活性
の総単位値は、10容量%で検定された場合の最初のATL-
2上清液での増加と同じバンド強度増加を発生させるの
に必要とされる物質の減少量に基づいている(DEAE試料
については容量で1%、およびc18#1物質については
容量で0.01%)。これらの数字を用いると、最初のATL-
2条件付け培地に比較してDEAEおよびc18#1試料には各
々ml当り10倍以上の単位数および1000倍以上の単位数が
あると見積もられた。約4倍のDEAE精製物質および約25
0倍のc18#1精製物質の比活性の増加はこれらの2つの
クロマトグラフィー技術の分離能力と矛盾しない。 相対比活性の増加に伴なって、高まった純度の2つの他
の指標もまた注目されるであろう。第1に、プールされ
たc18#1分離物の活性は最初の上清液よりはるかに高
い。二重化、ダウンモジュレーションおよび分裂実験は
何も示さずおよびc18#1物質でより容易に再現可能で
あることは純度が増加したことを示唆している。精製さ
れた分子は用量応答研究においてより低い温度(<27
℃)でさえも活性であった。低温で増加した活性および
機能もまた蛋白様物質の純度の上昇を反映している。 実施例3 細胞株の維持および確認 すべての細胞株は10%FCSおよび2mM L−グルタミンを含
むRPMI1640培地中37℃で5%CO2を含む加湿した雰囲気
下で維持された。NR6細胞は検出可能なレベルのEGFRを
発現しないスイス3T3細胞のサブクローンであり、EGFに
応答せずp185を発現しない。NR6細胞はCa++リン酸塩沈
澱技術によりPSV2-NEOおよびPSV2-neuNで同時トランス
フェクションされた。得られる細胞株、PN-NR6と称され
る(癌原遺伝子性neu)、はp185c-neuを高水準で発現す
る。NE-19細胞はヒトEGFR遺伝子でトランスフェクトさ
れたNR6細胞であり、EGFRを高水準で発現する。M1細胞
株はNR6細胞から誘導され、EGFRおよびp185c-neuを高水
準で発現する。これらの細胞株はKokai et al.,(198
9)Cell 58:287により記載されている。A431細胞(ア
メリカン タイプ カルチャーコレクション)はヒト表
皮癌腫由来細胞株であり、高水準のEGFRを発現する。SK
BR111細胞はヒト乳腺癌腫由来細胞株であり、EGFRおよ
びc-erbB-2の両方を発現する。B104細胞はエチルニトロ
ソ尿素誘発ラット神経外胚葉性腫瘍から誘導された。B1
04-1′‐1′細胞はDNAでトランスフェクトされたNIH/w
細胞であり、最初はB104細胞株から単離され、その後ne
u癌遺伝子をコードしていることが発見された。NIH/w細
胞株はNIH3T3細胞サブクローンであり、低頻度の自発的
腫瘍形成を示し、EGFRが欠けている。 実施例4 足場依存性(anchorage-independent)増殖
アッセイ 足場依存性増殖能力は軟寒天内に懸濁した細胞のコロニ
ー形成効率を算定することにより決定された。コロニー
形成効率を決定するためのすべての実験は3mlの細胞を
含まない細胞支持層および細胞が懸濁される1mlの上層
を含む60mmの組織培養皿を用いて実施された。細胞支持
層は10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミンを補給した
0.24%アガロースRPMI-1640から構成されていた。重積
層は10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミンを補給した
0.18%アガロースRPMI-1640中に1×104細胞を含んでい
た。蛋白様物質を含む試料が軟寒天培養物に添加された
場合それは上層内のみに含まれていた。直径が0.5mmよ
り大きなコロナーを7日目に解剖顕微鏡を用いて計数し
た。各々の6cmの皿から無作意に4つの視野(×100)を
選んだ。各々の6cm皿を代表させるためこれらの4つの
視野からの平均値が決定された。各々の実験群は3つの
皿の平均を表わしている。表においては括弧は3つの試
料の標準偏差を示している。 実施例5 足場依存性増殖アッセイ−熱処理条件付け培
地 条件付け培地(C.M.)は56℃にまたは100℃に30分間加
熱された。表2に示したごとく、非処理および熱処理C.
M.の両方においてB104-1′‐1′細胞のコロニー形成を
増加させた。この活性は熱処理後においてさえも安定で
あった。 実施例6 分画された条件付け培地の足場依存性増殖能
力 B104-1′‐1′のコロニー形成を増加させる能力はYM-2
メンブランにより濃縮されたC.M.中に含まれており、そ
れは1000ダルトンより大きな分子量を持つ成分を含んで
いる。分画された条件付け培地の足場依存性増殖能力は
表3に示されている。 実施例7 免疫複合体キナーゼアッセイ このアッセイは種々の量のATL-2条件付け培地(C.M.)
または蛋白様物質とのPN-NR6細胞溶解物の前インキュベ
ーションにより誘導される免疫沈降p185の自己リン酸化
活性の相違を反映し、以後neu活性化活性と称される。
細胞株は詳細に実施例3に記載されている。 免疫複合体キナーゼアッセイに使用される細胞株はKoka
i et al.,Cell 58:287-292(1989年7月28日)(その
発表内容はそのまゝここに完全に示されているように引
例として含まれている)およびMark I.Greeneの名前で
“抗容受体抗体による癌性細胞の処置方法”と題して19
89年7月27日に出願された米国特許出願第386,820号
(その開示内容はそのまゝここに完全に示されているよ
うに引例として含まれている)に記載されている方法に
従って入手、調製および培養された。 細胞株はすべて5%FCSを含むDMEM培地中(5%FCS-DME
M)、37℃で5%CO2を含む加湿した雰囲気下で維持され
た。 150mm培養皿中の細胞の密培養物は2度冷PBSで洗浄し、
10mlの凍結乾燥緩衝液(150mM NaCl,1mM MgCl2,20mMヘ
ペス、pH7.2、10%グリセロール、1mM EGTA、1%アプ
ロチニン)内へ削り入れ、遠心分離した(600×6,10
分)。細胞ペレットは1mlの溶解緩衝液(50mMヘペス,pH
7.5、150mM NaCl,3%Brij35,1mM MEDTA、1.5mM MgCl2,1
mM MEGTA、30μM Na3VO4、10グリセロール)に再懸濁
し、4℃で30分間回転させた。すべての化学薬品は特に
指示しない限り、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO、か
らのものであった。不溶性物質は40,000×gで30分間遠
心分離して除去された。続いて使用される透明な上清液
は細胞溶解物と称される。 細胞溶解物は50μlの50%(容量/容量)蛋白質A−セ
ファロース(Sigma Chemical Co.,St.Louis,Missouri)
と15分間インキュベートし、2分間遠心分離して溶解物
を前透明化した。前透明化細胞溶解物の一部50μlの条
件付け培地、蛋白様物質または特定された他の因子と溶
解緩衝液で1mlの最終容量とした後15分間氷上でインキ
ュベートされた。試料は次に5μgの7.16.4モノクロー
ナル抗体(p185neuおよびp185-neuの細胞外領域を認識
する)または他の適当な抗体と氷上で20分間インキュベ
ートし、続いて4℃で回転させながら50μlの50%(容
量/容量)蛋白質A−セファロースと20分間インキュベ
ートした。免疫複合体は遠心分離により集め、500μl
の洗浄緩衝液50mMヘペス,pH7.5、0.1%Brij35,150mM Na
Cl,2mM MEDTA、1%アプロンチニン、30μM Na3VO4、)
で4回洗浄し、次に反応緩衝液(50mMヘペス,pH7.4、3m
M MuCl2および0.1%Brij35,30μM Na3VO4)で2度洗浄
した。ペレットは50μlの反応緩衝液に再懸濁し、〔ガ
ンマー32P〕ATP(Amersham,Arlington Heights IL)を
最終濃度0.2μMになるように添加した。試料は27℃で2
0分間またはより純粋な試料に対しては4℃で25分間イ
ンキュベートした。2mM ATPおよび2mM EDTAを含む3×S
DS試料緩衝液を加え、100℃で5分間インキュベートす
ることにより反応を終結させた。試料は10%アクリルア
ミドゲル上SDS-PAGE分析にかけた。ゲルを染色し、乾燥
し増感紙(intensifying screens)を持つKodak XARま
たはXRPフィルムに暴露させた。 実施例8 PN-NR6およびM1細胞のキナーゼ活性に対する
C.M.の影響 PN-NR6およびM1細胞の溶解物は実施例7に記載したよう
に処理され、次のものが添加された:添加なし(対
照);0.1%のC.M.;1.0%のC.M.;または10%のC.M.。条
件付け培地の添加は条件付け培地のすべての濃度でPN-N
R6およびM1細胞からのp185c-neuのチロシンキナーゼ活
性を増加させた。条件付け培地で処理されていないレー
ンに比較して10%条件付け培地処理レーンではp185バン
ド強度が2から4倍増加していた。 実施例9 上皮増殖因子受容体のチロシンキナーゼ活性
に対する条件付け培地の影響 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載した免疫複合体
キナーゼアッセイを用いて決定した。A431細胞の溶解物
が前記のように処理され、以下のものが添加された:添
加なし(対照);0.1ng/mlのEGF;1.0ng/mlのEGF;10ng/ml
のEGF;0.1%のC.M.;1.0%のC.M.;または10%のC.M.。EG
Fの添加はA431細胞からのEGFRのチロシンキナーゼ活性
を増加させた。条件付け培地の添加はA431細胞からのEG
FRのチロシンキナーゼ活性を増加させなかった。上皮増
殖因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼ活性はEGFの
添加により増加するが条件付け培地では増加しない。こ
のことはその因子の受容体特異性を示している。 実施例10 p185c-neuのキナーゼによるヒストンのリン
酸化に対する条件付け培地の影響 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載した免疫複合体
キナーゼアッセイを用いて決定された。PN-NR6細胞の溶
解物が前記のように処理され、以下のものが添加され
た:添加なし;1.0%のC.M.;または10%のC.M.。p185c-n
euのチロシンキナーゼの基質として32P‐r-ATPとともに
2μlのヒストン(2mg/ml)が添加された。p185c-neu
のチロシンキナーゼによるヒストンのリン酸化は条件付
け培地の添加により2から6倍増加した。 実施例11 p185c-neuのチロシンキナーゼに対する熱処
理の影響 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載した免疫複合体
キナーゼアッセイを用いて決定された。C.M.は56℃でま
たは100℃で30分間処理された。PN-NR6細胞の溶解物は
前記のように処理され以下のものが添加された:添加な
し;1%の熱処理または未処理C.M.;10%の熱処理または
未処理C.M.。C.M.に含まれている活性は56℃または100
℃での30分間の熱処理後も安定であった。それ故C.M.中
のp185c-neuチロシンキナーゼ活性化活性は熱処理によ
り影響されなかった。 実施例12 分画された条件付け培地のチロシンキナーゼ
活性 条件付け培地は実施例1に記載したように濃縮された。
1000MWより大きな成分を含んでいる濃縮C.M.は蒸留水に
より最初の容量に再希釈されアッセイに使用された。10
00MW未満の成分を含む通過C.M.は希釈することなく使用
された。 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載された免疫複合
体キナーゼアッセイを用いて決定された。PN-NR6細胞の
溶解物は前記のように処理され、以下のものが添加され
た:添加なし;1.0%のC.M.;10%のC.M.;未処理C.M.;濃
縮C.M.;通過C.M.。p185c-neuのチロシンキナーゼの増加
は1000より大きな分子量を持つ濃縮されたC.M.中で観察
された。10,000分子量カットオフフィルターではほとん
ど等しい量の活性が保持されまた通過した。ほとんどす
べての活性が30,000分子量カット オフ フィルターで
は通過した。 実施例13 条件付け培地のチロシンキナーゼ活性に対す
るプロテアーゼの影響 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載した免疫複合体
キナーゼアッセイを用いて決定した。C.M.の第1の部分
は100μgのアルファーキモトリプシン(Sigma,ST.Loui
s,MO)で2時間37℃に処理された。2倍モル過剰のキモ
トリプシン阻害剤(Sigma,ST.Louis,MO)の添加により
反応を停止させた。C.M.の第2の部分は100μgの細菌
プロテアーゼ(Sigma,ST.Louis,MO)で2時間37℃にて
処理された。反応は5分間煮沸してプロテアーゼを熱不
活性化することにより停止された。PN-NR6細胞の溶解物
は前記のように処理され、以下のものが添加された:A)
添加なし;B)キモトリプシンで処理されたC.M.、阻害剤
なし;C)キモトリプシン−阻害剤のみで処理されたC.
M.;D)キモトリプシン処理に続いて阻害剤で処理された
C.M.;E)キモトリプシン阻害剤で前もって不活性化され
ているキモトリプシンで処理されたC.M.;F)細菌プロテ
アーゼにより処理され続いて熱不活性化されたC.M.;G)
熱処理により前もって不活性化されている細菌プロテア
ーゼにより処理されたC.M.;およびH)未処理C.M.。 SDS/PAGE後、プロテアーゼ処理p185c-neu試料のバンド
強度はプロテアーゼで処理されていない試料のものより
は小さかった。プロテアーゼ処理試料のバンドはまたプ
ロテアーゼ阻害剤または熱処理により全部または一部が
不活性化されているプロテアーゼで処理された試料のバ
ンドよりもより弱かった。これらのデータはC.M.中のp1
85c-neu特異性活性はキモトリプシンおよび細菌プロテ
アーゼによる消化に敏感であることを示している。 実施例14 p185c-neuに対する抗体の結合活性に対する
条件付け培地の影響 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載した免疫複合体
キナーゼアッセイを用いて決定された。免疫沈降前にC.
M.に7.16.4モノクローナル抗体を添加した。モノクロー
ナル抗体7.16.4はp185neuおよびp185c-neuの細胞外領域
を認識する。p185c-neu(PN-NR6細胞から)は7.16.4モ
ノクローナル抗体により免疫沈降され、免疫複合体は一
度洗浄緩衝液で洗浄され、次に免疫複合体はC.M.と4℃
にて15分間インキュベートされた。これらの工程後、実
施例7に示した免疫複合体キナーゼアッセイが前記のよ
うに実施された。PN-NR6の溶解物は前記のように処理さ
れ以下のものが添加された:添加なし;1.0%のC.M.;お
よび10%のC.M.。C.M.のチロシンキナーゼ活性は7.16.4
モノクローナル抗体による前処理により阻害された。こ
れらのデータは条件付け培地中の成分がp185c-neuと結
合することを示している。 実施例15 p185c-neuのキナーゼ活性に対するATL-2分泌
性増殖調節物質の影響 ATL-2細胞株から分泌されるADF(IL-2受容体誘導因
子)、TGF−α(形質転換増殖因子α)、TGF−β(形質
転換増殖因子β)、PDGF(血小板由来増殖因子)、IL-1
(インターロイキン1)およびIL-6(インターロイキン
6)のような増殖調節物質(growth modulating substa
nces)が実施例7に示したインビトロ免疫複合体キナー
ゼアッセイを用いて試験された。これらの因子のどれも
p185c-neuのキナーゼ活性に影響を及ぼさなかった。得
られた代表的な結果はPN-NR6溶解物を10または100単位
のIL-1または25または250単位のIL-6で処理したもの
で、それらはキナーゼ活性を増加させなかった。 実施例16 p185のホスホチロシン含量および同一の線維
芽細胞バックグラウンドにおいて発現されたEGFRに対す
るNAFおよびEGFの影響 Wada et al,(1990)Cell 61:1339に記載されているよ
うなウエスタンブロット分析がNAFの添加により特異的
に増加したp185中のホスホチロシンの量を示すために用
いられた。無傷のPN-NR6(p185+/GERF−)およびNE-19
(EGRF+/p185−)細胞(2×106)を10cmの培養皿中、
容量で0.01または1.0%のNAFまたは0.10または100ng/ml
のEGFと37℃で8分間インキュベートした。細胞を400ED
TA、10mMピロリン酸ナトリウム、10mMフッ化ナトリウム
および400μMオルトバナジン酸ナトリウムを含む冷リ
ン酸緩衝化塩溶液で3回洗浄し、PI/RIPA緩衝液中(1
%トリトンX-100、1%デオキシコレート、0.1%SDS、
0.15M NaCl、0.01Mピロリン酸ナトリウムpH7.4、1%ト
ラシロール、1μM PMSF、2mM EBTA、10mMフッ化ナトリ
ウム、10mMヨードアセトアミドおよび1mM ATP)30分間
溶解させた。前透明化上清液を各々モノクローナル抗体
7.16.4(ラットp185と特異的に反応)または抗EGFRカル
ボキシ末端抗体(Stuart Decker博士、Rockefeller大
学、New York、NY、から提供を受けた)と免疫沈降させ
た。免疫沈降物は洗浄緩衝液(0.1%トリトンX-100、0.
4mM EDTA、10μMフッ化ナトリウム、10mMピロリン酸ナ
トリウム、400μMオルトバジン酸ナトリウム、0.01Mリ
ン酸ナトリウム、pH7.4)で2回洗浄した。洗浄免疫沈
降物はSDS−試料緩衝液(pH6.8)(3%SDS、10%グリ
セロール、5%2ME、0.4%ブロモフェノールブルー)中
で煮沸し、10%SDS-PAGEゲル上で分析した。Wada et a
l.,(1990)Cell 61:1339に記載されているように、蛋
白質をニトロセルロースに移し、抗ホスホチロシン抗体
PY-20MAb(ICN Biomedicals、Inc.,Costa Mesa,CA)に
より検出した。 PN-NR6細胞(p185+/EGFR−)からのp185c-neu中のホス
ホチロシン量は0.1%または1.0%NAFの添加により用量
依存様式で増加したが、一方、10および100ng/ml EGFの
添加は同一条件下何の影響も及ぼさなかった。NE-19細
胞(EGFR+/p185−)からのEGFR中の検出可能なホスホ
チロシンの量は10または100ng/ml EGFの添加により増加
したが0.1%または1.0%NAFの添加では増加しなかっ
た。NAFはNR6細胞バックグラウンド(PN-NR6細胞)中に
発現されたp185c-neuのチロシンキナーゼ活性に影響し
たが、同じNR6細胞バックグラウンド(NE-19細胞)中の
EGFRには影響を及ぼさず再び観察された影響がEGFおよ
びその受容体により誘発されていることを示している。
NAFまたはEGFを添加しなかった対照では両方の細胞株に
おいて応答がみられなかった。 実施例17 NAFとneu蛋白質p185の細胞外領域との相互作
用 実施例7に記載したような免疫複合体キナーゼアッセイ
を用いてp185の細胞外領域上の異なったエピトープに対
し特異的なモノクローナル抗体の、NAF誘発p185キナー
ゼ活性増加の阻害に対する能力を試験した。PN-NR6細胞
を1μg/ml抗体とまたは抗体なしで(対照)4℃にて30
分間前もってインキュベートし、冷PBSで2回洗浄し
た。細胞は次に1%(容量)NAFとまたはNAFなしで(対
照)37℃にて10分間インキュベートした。細胞を溶解
し、7.16.4抗p185抗体でp185を免疫沈降させ、免疫複合
体キナーゼアッセイを実施例7に記載されているように
実施した。 精製p185細胞外領域特異性モノクローナル抗体7.16.4
(Drebin et al.,(1984)Nature 312;545;Drebin et
al.,(1985)Cell 41:695)とのPN-NR6細胞(p185+/E
GFR−)のプレインキュベーションはp185のNAF誘発活性
化を阻止したが、一方アイソタイプが合っていないモノ
クローナル抗体9BG5、レトロウイルスタイプ3、ヘマグ
ルタニンと反応性のIgG2aモノクローナル抗体(Drebin
et al.,(1988)、Oncogene 2:273)、はp185のNAF誘
発活性化を阻止しなかった。モノクローナル抗体7.9.5
はp185の異なった細胞外領域を認識し(Drebin et al.,
(1988)Oncogene 2:273)p185のNAF誘発活性化を部
分的にのみ阻止した。同様にEGFおよびPDGFのその受容
体への結合を阻止することが示されている(Yardenおよ
びWeinberg、(1989)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 8
6:3179およびL.T.Williams.et al.,(1984)J.Biol.Che
m. 259:5287)スラミンと細胞とのプレインキュベーシ
ョンp185のNAF誘発活性化を阻止した。さらに、p185-D4
と称されp185c-neuの細胞外領域の第2のシステインに
富む領域のアミノ酸475から648(読みわく内)に対応す
る523塩基対欠失を含む突然変異体p185を用いて抗ホス
ホチロシンモノクローナル抗体とのウエスタンブロット
分析が実施された。NAFはp185c-neuの細胞外推定リガン
ド結合領域の部分が欠けたこのp185突然変異体(NR6細
胞内へトランスフェクトされた)のギナーゼ活性を増加
させなかった。これらの結果を総合すると、NAFはneu蛋
白質細胞外領域の離散した部分と相互作用していること
が示されている。 実施例18 p185二量化に対するNAFの影響 受容体チロシンキナーゼはその同起原のリガンドにより
誘導され受容体凝集体を形成する。p185-neuのモホダイ
マーおよびヘテロダイマー種がすでに記載されている。
p185-neuのトランスメンブラン領域中の点突然変異(残
基664でのアデニンからグルタミン酸への)はホモダイ
マー形成を容易にすることができる。(Weiner,et al
(1989)、Nature 339:230)。 p185二量化に対するNAFの影響を決定するために架橋研
究が実施された。Wada et al.,(1990)Cell 61:1339
に記載されているように化学的架橋形成が行われた。10
cm培養皿中に3×106の細胞を入れ、5%FCSと一夜イン
キュベートした。培地をITS-DMEMに替え一夜培養した。
示された量のNAFまたはEGFを含むまたは含まないITS含
有または非含有DMEMと細胞を37℃で8分間インキュベー
トし、冷PBSで2度洗浄した。4mM BS3(Pierce,Rockfor
d,FL)を含む5mlのPBSを細胞に加え、22℃で30分間イン
キュベートした。反応停止緩衝液の添加により架橋反応
を停止させた。細胞を可溶化し、その溶解物を7.16.4抗
体での免疫沈降に用いた。蛋白質を4%−7.5%勾配SDS
-PAGEミニゲル上で分離し、ニトロセルロースに移し
た。p185c-neuの単量および二量体は抗ホスホチロシンM
Ab PY-20(ICN Biomedicals,Inc,Costa Mesa,CA)およ
びDBW2(抗p185細胞内領域)抗体で検出した。抗体は
125I−蛋白質A(Neu England Nuclear,Boston,MA)で
検出した。 架橋研究はPN-NR6細胞(p185+/EGFR−)中のp185c-neu
ホモダイマーの量は0.1%または1.0%NAFへの暴露に対
し用量依存様式で増加したことを明らかにした。NAFを
添加しない対照物では応答が起きなかった。p185c-neu
モホダイマー中のホスホチロシンの量もまた0.1%また
は1.0%NAFの添加に対して用量依存様式で増加した。p1
85c-neuのヘテロダイマー種は最近Kokai et al,(198
9),Cell 58:287,Wada et al,(1990)Cell 61:1339
に記述された。p185c-neuおよびEGFRの両方を高水準で
発見するM1細胞において、Kokai,et al,(1989)Cell
58:287,p185c-neu/EGFRヘテロダイマーが存在し、M1細
胞のEGF処理はまた用量依存様式でp185c-neu/EGFRヘテ
ロダイマーの検出可能な量を増加させていた。 実施例19 p185およびEGFRインターナリゼーションに対
するNAFおよびEGFの影響 同起原リガンドに対しての暴露に応答して受容体チロシ
ンキナーゼは細胞表面でダウンレギュレーションされ
る。PN-NR6細胞の表面からのp185c-neu下方調節に対す
るNAFの能力が、NAF処理後のPN-NR6細胞上の細胞表面p1
85の量を免疫学的に定量的に算定することにより試験さ
れた。 YardenおよびWeinberg(1989)Proc.Natl Acad,Sci,US
A. 86:3179に記載されているようなp185c-neu下方調節
アッセイが実施された。細胞はITS含有DMEM中で一夜培
養し、示された時間NAFまたはEGFとインキュベートし
た。1×105PN-NR6またはNE19細胞を24をウェルディッ
シュ(Costar,Cambridge,MA)に播種し、5%ウシ胎児
血清(FCS)を含むDMEM培地中で一夜インキュベートし
た。これらの細胞はDMEMで洗浄し、DMEMで1時間インキ
ュベートし、続いて1%NAF(容量)を含むまたは含ま
ない、または50ng/ml EGFを含む結合緩衝液〔20mMヘペ
ス(pH7.2)および0.1%ウシ血清アルブミンを補給した
DMEM〕とインキュベートした。37℃でのインキュベーシ
ョン後、単層をDMEMで洗浄後、4℃で2μg/mlの7.16.4
または抗−EGFR抗体とインキュベートした。このモノク
ローナル抗体はヒトEGF受容体の細胞外領域を認識し、W
ister研究所Philadelphia,PA,のM.Herlyn博士から提供
を受けた。2時間のインキュベーションの後、細胞結合
抗体は125I標識蛋白質Aと45分間インキュベーションす
ることにより決定された。 PN-NR6細胞上のp185c-neuの表面発現はNAF添加後30分で
30%および90分で40%減少したが、EGFはこれらの同じ
細胞中のp185c-neuのインターナリゼーション(interna
lization)に対して何の影響も与えなかった。NE-19細
胞上の表面EGFRはEGFの添加により下方調節されたが、
蛋白様物質によっては下方調節されなかった。細胞がNA
FまたはEGFと37℃ではなく4℃でインキュベートされた
場合、p185c-neuまたはEGFRのどちらも両方の細胞上で
下方調節できなかった。 実施例20 〔3H〕−チミジン取り込みで測定された細胞
増殖に対するNAFおよび他の因子の影響 細胞の増殖に対するNAFの影響が、トリチウム化チミジ
ン取り込みを用いて評価された。 サブコンフルエント細胞をトリプシン処理し、1×104
細胞を10%FCSを含むDMEM培地中に懸濁し、96ウェルプ
レートに播種した。一夜細胞を付着させた後ITSを補給
したDMEM培地(インシュリン,トランスフェリンおよび
セレンの3つの最も共通の成分として持つと定義された
培養培地、Collaborative Research,Bedford,MA)に置
き替えた。この血清を含まない培地中更に48時間インキ
ュベーションを続けた。その後、細胞をNAF,EGF(上皮
増殖因子)、TGF−α(形質転換増殖因子α)、TGF−β
(形質転換増殖因子β)、またはPDGF(血小板由来増殖
因子)因子に16時間暴露した。細胞は6時間パルスで採
取に先立って〔3H〕チミジン(0.5μCi/ml)を受けた。 NAFはPN-NR6細胞(p185+/EGFR−)の培養物のDNA合成
の相対レベルを上昇させた。1.0%NAFはDNA合成を3倍
増加させた。NAFはNE-19細胞(p185−/EGFR+)の培養
物のDNA合成のレベルには影響しなかった。NE-19細胞の
培養物DNA合成はEGFを10ng/mlから100ng/mlに増加させ
ることにより2倍増加した。EGF,TGF−α(10ng/mlまた
は100ng/ml)、TGF−β(10ng/ml)またはPDGF(10ng/m
l)因子はPN-NR6細胞の培養物のDNA合成にはどれも有意
には影響しなかった。 実施例21 足場依存性増殖アッセイ−因子類の能力 PN-NR6,NE-19およびNR-6細胞株に対するNAF,EGF,TGF−
α、TGF−βおよびPDGFの増殖能力を決定するため実施
例4に記載した足場依存性増殖アッセイが実施された。
結果は表4に示されている。 PN-NR6細胞は本来軟寒天中ではコロニーを形成しない
が、NIH/3T3トランスフェクト体(EGFRを過剰発現す
る)はEGFを添加した時のみ軟寒天中にコロニーを形成
する(DiFiore et al.,(1987)Cell 51:1063)。NAF
もまたPN-NR6細胞(p185+/EGFR−)の軟寒天増殖能を
増加させたがNE-19細胞(EGFR−/p185−)には何の影響
も及ぼさなかった。逆にEGFはNE-19細胞の軟寒天増殖能
力を増加させたが、neuを運ぶPN-NR6には何の効果もな
かった。親NR-6細胞(p185−/EGFR−)はEGFによっても
またはNAFによっても影響を受けなかった。すなわち、
蛋白様物質の増殖促進効果はp185c-neuを発現する細胞
においてのみ見られた。さらに、TGF−α、TGF−βおよ
びPDGFは軟寒天中PN-NR6まはたNR6細胞を増殖させてコ
ロニーを形成させることがなかつたので他の因子がこれ
らの結果に関係することはありそうもない。
チロシンキナーゼ(transmembrane growth-factor-rece
ptor-like tyrosine kinase)である。それは最初妊娠
期間中にとびとびにエチルニトロソ尿素に暴露された齧
歯類の子供中に発生した化学物質誘発ラット神経芽腫か
ら単離された。化学物質誘発突然変異はneu遺伝子中ヌ
クレオチドレベルで点突然変異(アデニンがチミジン
へ)を生じneu遺伝子産物のトランスメンブラン領域中
での一つのアミノ酸が置換されるように翻訳される(バ
リンがグルタミン酸へ)。ラットneu遺伝子産物のチロ
シンキナーゼ領域はこの点突然変異によりそのトランス
メンブラン領域が構成上活性化されるようになる。neu
遺伝子はチロシンキナーゼ活性を持ち、ヌクレオチドお
よびアミノ酸レベルで上皮増殖因子受容体(epidermal
growth factor receptor:EGFR)と構造的に類似してい
る185kdの表面糖蛋白質(p185と称されている)をコー
ドしている。しかしながら、詳細な分子分析および染色
体位置決定研究によりneu遺伝子は上皮増殖因子受容体
コード遺伝子(c-erb-B遺伝子)とは異なっていること
が示されている。上皮増殖因子受容体(EGFR)とのneu
遺伝子産物が類似していることはp185もまたまだ同定さ
れていない増殖調節因子の増殖因子受容体であることを
示唆している。ラットおよびヒトのneu遺伝子は90%相
同である。それらの蛋白生成物の相対分子量はわずかに
異なっており、ラット蛋白質はMr=185KDaでありヒト蛋
白質は190KDaである。この不一致は翻訳後修飾での種間
の相違により生じると考えられている。neu発癌遺伝
子、その生成物および機能の総説としてはGreene、M.I.
et al.“神経系の組織における受容体システム”、Immu
nological Reviews、100号、1987年12月、を参照された
い。 本明細書においてneu遺伝子およびneu遺伝子産物とは本
遺伝子のすべての哺乳類および脊椎動物相同体およびそ
の蛋白質産物を意味している。本明細書で使用される場
合、ラットneu遺伝子産物の癌遺伝子形はp185neuとして
示されるであろう。正常細胞非癌遺伝子遺伝子産物はp1
85c-neuとして示されるであろう。ラットneu遺伝子産物
のヒト同族体は本明細書ではc-erb-B-2またはヒトneuと
して示される。単にp185と書かれている時は本明細書で
はラットおよびヒトおよびラットneu遺伝子産物の他の
哺乳類同族体を広く示している。異常増殖にp185が関係
していることおよびその増殖因子受容体様特質はp185蛋
白質が発現されている細胞の正常および異常な増殖およ
び分化においてp185蛋白質が重要な役割を果たしている
ことを示唆している。 p185は発育期にあるおよび成熟した動物由来の種々の組
織中に発育段階および組織特異的様式で見い出されてい
る、Kokai,Y.et al.,(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA.
84:8498-8501;Maguire,H.C.,et al.,(1989)J.Inves
tigative Dermatology 92:786-790;Cohen,J.A.et al.,
(1989),Oncogene 4:81-88。成熟ラットおよびヒト
中でのp185の発現は腸絨毛、皮膚の基底層および毛嚢、
肺細気管支、近位尿細管、ファロピー管(fallopian tu
bes)、乳腺管、膀胱および子宮内膜の上皮層中および
いくつかの発育期および成熟末梢および中心グリア細胞
中に検出されている。神経および結合組織は妊娠中期か
ら後期の比較的狭い時間枠の間にneuを発現するが、成
熟しては発現しない。他の器官の分泌性上皮層において
はneu遺伝子の発現は成人期まで持続する。リンパ系組
織はどの発育段階においてもneu遺伝子を発現しないよ
うである。 185-neuは多数の正常細胞型の表面およびある種の腫瘍
の表面上に発現される。p185c-neuの微小発現(minimal
expression)は脳室上衣、脈絡叢、毛様体、終末細気
管支上皮、卵巣間質上皮、およびヘレン係蹄で観察され
た。泌尿生殖器上皮および正常皮膚付属器ではわずかに
高く発現されていた。これらの組織には膀胱移行上皮、
ファロピー管上皮、胆管、集合管、子宮内膜腺上皮、表
皮、毛嚢、皮脂腺および尿道上皮が含まれる。p185のよ
り高い発現は胸部および胃腸組織の急速に分裂している
組織で観察された。これらの構造物には胸部肺胞および
乳管上皮、肝細胞、近位および遠位尿細管、ランゲルハ
ンス島細胞および胃粘膜が含まれる。p185が最も高いレ
ベルで発現されているのは分泌上皮の急速に分裂してい
る組織で観察されており、眼のマイボーム腺、角膜、腸
絨毛上皮、膵腺房、膵管上皮、および唾液管上皮が含ま
れる。いくつかの型の組織でp185の異なった発現が観察
されている。腎臓においては近位および遠位尿細管は高
い発現を持つが、一方ヘレン係蹄(the Loop of Henl
e)においては発現は少ない。小腸上皮において、腺窩
では微小な発現しかないが、柔突起先端にいくほど発現
が徐々に増加している。皮膚において、基底層では微小
な発現しかないが表皮においては発現は増加している。
毛嚢においてもまた染色が見られる。 ヒトおよびラット組織において、静的組織および成人細
胞代謝回転の遅い速度を持つ組織はp185を発現しない。
これらの組織は内胚葉および中胚葉起原でありリンパ組
織が含まれる。p185を発現しない組織には副腎、血管、
脳実質、軟骨、精巣上体、心臓、リンパ節、脾臓、横紋
筋、精巣、胸腺および甲状腺が含まれる。 neu遺伝子はクローン化されているが、その蛋白産物に
対する1次リガンドの同定は困難であった。いくつかの
内因性p185調節因子が存在するかもしれないが、p185に
対する1次リガンドの影響はEGFおよびPDGF受容体に対
するEGFおよびPDGFの影響と類似してなくてはならない
(なぜなら、これらの受容体はp185に非常に関連してい
るチロシンキナーゼである)。Yarden,Y.,(1988)Annu
al Review of Biochemistry 57:443;YardenおよびSchl
essinger(1987)Biochem. 26:1443;Bishayee,et al.,
(1989)J.Biol.Chem. 264:11699。 哺乳類、特にヒト、の細胞代謝を変える物質および方法
を提供することが本発明の目的である。哺乳類腫瘍、特
にヒト腫瘍を処置するための物質を提供することも本発
明の目的である。現在の腫瘍処置はほとんどの場合薬剤
の細胞毒性効果および放射線療法に頼っている。これら
の処置はいく人かの患者に軽快化および治癒をもたらす
が、それらは腫瘍細胞を殺すだけでなくいくつかの正常
非腫瘍細胞もまた殺すので重大な副作用を不幸にも示す
ことがある。主として腫瘍細胞に影響し、正常細胞およ
び細胞機能にはほとんど相互作用しない哺乳動物腫瘍処
置に対する強い要求がある。細胞表面上にp185を発現し
ている腫瘍診断法を提供するのも本発明の更なる目的で
ある。ヒトneu遺伝子の増幅および続いてのヒトneu遺伝
子産物の過剰発現は乳、胃、結腸直腸、卵巣および膵臓
組織を含むいくつかの組織型中の腺癌とかかわりがある
とされている。そのため、C-erbB-2蛋白質発現レベルは
乳房、卵巣および肺癌の有用な予後指標のようである。
これらおよび他の目的は本明細および付随する請求の範
囲を見ることにより当業者には明らかになるであろう。 〔発明の要約〕 本発明はneu遺伝子の翻訳生成物であるp185と選択的に
結合可能な精製された蛋白様物質および蛋白様物質の精
製法を提供する。本発明の蛋白様物質はNAFと名付けら
れており、それは“neu蛋白質活性化因子”を表わして
いる。本明細書で言及する場合、“NAF"、“neu蛋白質
活性化因子”および“蛋白様物質”は等価であり同一の
化合物を表わす。NAFはp185中に含まれているチロシン
キナーゼの活性を増加させるが上皮増殖因子受容体のチ
ロシンキナーゼの活性は増加させない。蛋白様物質はp1
85二重化およびインターナリゼーションを誘発する。さ
らに本発明の蛋白様物質はneuを運ぶ細胞の増殖にも影
響する。NAFは56℃および100℃で熱安定性であり、ある
種のプロテアーゼにより分解可能である。その最も小さ
い活性/単離可能形の分子量は約7,000および約14,000
ダルトンの間である。約30,000ダルトンまでの分子量を
持つNAFの形が存在し、第2の活性範囲は約14,000およ
び約24,000の間に存在すると同定されている。これらの
より大きな形は最も小さい活性/単離可能形のオリゴマ
ー形を表わしているのであろう。 他の実施態様において、本発明は哺乳類の代謝状態を変
えるのに有効な量の蛋白様物質またはその断片を哺乳類
に投与することを含む、哺乳類の代謝状態を変えるため
の哺乳類の処置方法も提供する。本発明はさらにp185を
発現している哺乳類腫瘍の処置方法を提供する。本発明
の蛋白様物質および方法はp185を正常に(変形された形
として)、または変化されたレベルで発現している任意
の型の細胞の処置に有用である。 本発明は付随する請求の範囲によりより特別に示され以
下のその好適な実施態様で説明される。 〔発明の詳細な説明〕 NAFはヒトT細胞リンパ栄養性ウイルス−1(HTLV-1)
により形質転換されているT細胞により条件付けられた
培地から精製されるであろう。好適な細胞株(cell lin
e)はATL-2,インターロイキン−2−非依存性HTLV
(+)T細胞株である。ATL-2細胞株はアメリカンタイ
プカルチャーコレクション、Rockville、Maryland、に1
990年3月23日に寄託され、CRL10388の受入番号を持っ
ている。この因子の内因性源はつかまえ所がないことが
証明されており、多分因子の量がここに記載したアッセ
イによっては検出されないほど非常に低いためであろ
う。 本発明の好適な実施態様において、ATL-2細胞は2回PBS
で洗浄され、続いて血清を含まないRPMI1640培地(Whit
taker M.A.Bioproducts,Inc.,Walkersville,Maryland)
中3×105/mlで72時間培養された。この培養上清液は
“条件付け培地”(conditioned medium:C.M.)と呼ば
れNAFの精製に使用された。ATL-2細胞増殖を支えるであ
ろう他の培地もまた細胞の培養に使用してもよい。 NAFは1,000ダルトンの孔径を持つ膜を用いる条件付け培
地の限外過により製造されるであろう。条件付け培地
は企画されYM-2膜(Amicon,Danvers,Massachusetts)を
用いる限外過により100倍に濃縮された。1,000ダルト
ン未満の分子量を持つ条件付け培地中の成分は膜を通過
する;一方1,000ダルトンより大きな分子量を持つ条件
付け培地の成分は濃縮条件付け培地中に残る。NAFはフ
ィルターに保持され、1,000ダルトンより大きな分子量
を持つ成分を含む条件付け培地の分画中に見い出され
る。 NAFは条件付け培地の過に続いての陰イオン交換クロ
マトグラフィー、好適には高速液体クロマトグラフィー
(HPLC)によるジエチルアミノエチル(DEAE)セルロー
スを用いて更に精製される。実施例7に記載したインビ
トロ免疫複合体キナーゼ技術または他のチロシンキナー
ゼ活性を測定する適当なアッセイを用いて決定された活
性分画をプールし、濃縮して逆相クロマトグラフィー
(好適にはC18のようなシリカマトリックスカラム(Wat
ers,Inc.,Milford,MA)を用いて)にかける。実施例7
に記載したようなインビトロ免疫複合体キナーゼまたは
類似の技術により活性であると決定された分画は最初の
ATL-2条件付けの培地の約1,000倍の相対比活性を持って
いる。NAFは第2のシリカマトリックスカラム、好適に
はC18(ここではC18#2と称される)、を用いる逆相ク
ロマトグラフィーによりさらに精製されるであろう。ポ
リアクリルアミド勾配ゲルを用いるゲル電気泳動(Inte
grated Separation Systems,Hyde Park,MDまたはAmersh
am,Arlington Heights,ILによるPHorecast System)、
続いての活性分画の銀染色によりNAFに特徴的である3
つの独特なバンドが10KD,20KDおよび26KDに示された。 本発明の蛋白様物質はそのp185に対する結合特異性、そ
のneu蛋白質の活性に対する影響およびp185を運ぶ細胞
に対する影響などの物理性質により特徴付けられるであ
ろう。NAFはp185neu、p185c-neuおよびc-erbB-2のチロ
シンキナーゼ活性を促進させる。チロシンキナーゼ活性
の増加は実施例7に詳述されているような免疫複合体キ
ナーゼアッセイまたはチロシンキナーゼ活性を測定する
他の適当なアッセイにより試験されるであろう。 本発明の蛋白様物質は少くとも100℃まで加熱しても安
定である。この安定性はC.M.を56℃および100℃で30分
間処理することにより決定された。蛋白様物質は両方の
処理後でも正常な活性を示した。加えて、キモトリプシ
ンおよび細菌プロテアーゼ処理では本発明の蛋白様物質
はプロテアーゼ感受性を示した。 p185チロシンキナーゼ活性のNAF活性化はそのp185への
特異的結合に依存している。p185の細胞外領域上の異な
ったエピトープに特異的であり、それを阻止する抗体を
用いた試験は蛋白様物質が特定の細胞外領域でp185を認
識することを示した。 NAFはその標的蛋白質の二量体形成または集合を起こす
ことが観察されている。これは受容体チロシンキナーゼ
がその同起原のリガンドに応答して起こす普通の反応で
ある。ホモダイマーおよびヘテロダイマーの両方が形成
される。本明細書に記載されている架橋研究はPN-NR6細
胞においてp185ホモダイマーの形成をNAFが用量依存的
に増加させることを示している。M1細胞のようにEGFお
よびNAFの両方を発現する細胞においてはヘテロダイマ
ー受容体構造(p185/EGFR)の形成がEGFまたはNAFによ
る処理に対し用量依存的である。 いくつかの試験はEGFのような他のチロシンキナーゼリ
ガンドと類似しているNAFの特徴を示した。これらの試
験はNAFおよびEGFは類似の機構および機能を持っている
が、お互いに別個のものであることを示した。その同起
原リガンドへの暴露に応答してp185のような受容体チロ
シンキナーゼは細胞表面からダウンレギュレーションさ
れる(down-regulated)。NAFはp185のダウンレギュレ
ーションを起こす。NAFへの暴露はPN-NR6細胞によるp18
5の表面発現を減少させた。NE-19上のEGFRの表面発現は
EGFの添加により下方調節されたが、NAFでは起こらなか
った。NAFおよびEGFとのインキュベーションにおいて37
℃でインキュベートされた細胞のダウンレギュレーショ
ンは起こったのに対し4℃でインキュベートされた細胞
のダウンレギュレーションは起こらなかったのでこの応
答は温度感受性であるようである。 最後にp185を発現する細胞に対するNAFの影響が調べら
れた。NAFはp185を発現するPN-NR6細胞の軟寒天増殖能
力を増加させることが示された。NAFはp185を発現しな
いNE-19細胞に対しては何の影響も及ぼさなかった。NAF
またはEGFのどちらも、EGFRもp185も発現しない親NR-6
細胞に対しては増殖促進効果を示さなかった。他の増殖
因子が試験されたがこの増殖応答とは無関係であること
が示された。TGF−α,TGF−βおよびPDGFのような増殖
因子はPN-NR6またはNR6細胞の増殖は起こさなかつた。 本発明の蛋白様物質は最初にヒト細胞株から精製された
が、同一または実質的に同一の結合親和性を持ち、また
はp185neuまたはp185c-neuと結合できる他の種の細胞か
らの蛋白様物質もまた本発明の範囲である。ゲル過ク
ロマトグラフィーおよび限外過膜分析に基づくと、NA
Fは約7,000から約14,000ダルトンの分子量を持ってい
る。NAFは約14,000から約24,000ダルトンの分子量を持
つ形でもまた存在してもよい。ポリアクリルアミド勾配
ゲルを用いるゲル電気泳動(Integrated Separation Sy
stems,Hyde Park,MDまたはPHorecast System,Amersham,
Arlington Heights,IL)続いての銀染色は第2のC18精
製工程を通して精製されたNAF試料中に10KD,20KDおよび
26KDの3つの独特のバンドを示していた。NAFの分子量
の変化はそれがオリゴマー形、即ち二量体または三量体
形で存在しているかもしれないことを示唆している。蛋
白様物質のすべてのサブユニット(より小さなまたはよ
り大きな分子量形であるにしろ)およびサブユニットの
集合形も本発明の範囲内である。化学合成、組換えDNA
技術、精製蛋白様物質の分解または修飾またはこれらの
組合せを含む任意の方法により製造されたNAFの断片ま
たは一部もp185neuに結合できるものは本発明の範囲内
である。さらに、化学的に修飾されている、または融合
蛋白質として遺伝子工学的に形成されたまたは蛋白様物
質に由来しないアミノ酸を含む蛋白様物質の断片または
一部もまた本発明の範囲内である。 指摘したごとく、本発明の蛋白様物質の二量体または三
量体形のサブユニットの組合せもまた本発明の範囲内で
ある。二量体または三量体は二つまたは三つの同じサブ
ユニットから成っていても(すなわち、ホモダイマーま
たはホモトライマー)または二つまたは三つの異なった
サブユニットから成っていてもよい(すなわち、ヘテロ
ダイマーまたはヘテロトライマー)。サブユニットは天
然起源からの精製、組換えDNA技術、化学合成またはこ
れらの方法の組合せを含む適した方法により製造される
であろう。適したサブユニットにはまた蛋白様物質の断
片または一部が含まれる。サブユニットはまた随意に化
学修飾されていてもよいし、本発明の蛋白様物質から由
来しないアミノ酸を含んでいてもよくまたは融合蛋白質
として合成由来のアミノ酸配列を含んでいてもよい。p1
85に結合し表面にp185を発現している細胞に影響を及ぼ
す本発明の蛋白様物質の一部または断片(本発明の蛋白
様物質の任意の他の形を含む)の能力は本明細書の実施
例に記載されている検定法を用いて都合よく決定できる
であろう。 本発明の蛋白様物質はその表面にp185を発現している細
胞の哺乳類疾患および状態の処置に有用であると期待さ
れる。特別の理論または作動様式に結びつけられること
を望んではいないが、現在のとろこ本発明の蛋白様物質
は細胞の表面上のp185に結合することにより細胞の機能
を調節するであろうし、それは次に細胞の酵素活性を変
化させるであろうし、結果的に細胞の機能を変化させる
と信じられている。 例えば、分泌上皮細胞はその表面に正常細胞p185を発現
している。火傷または他の型の細胞破壊のように細胞の
再増殖が必要とされる場合、または皮膚の小胞からの再
生毛増殖のような効果のある細胞の代謝生成物を増加ま
たは再刺激することが望まれている場合のような状況に
おいては細胞増殖または代謝を刺激するこの受容体に結
合可能な物質は有用であろう。 本発明の蛋白様物質は処置される特定の障害、個々の患
者の状態、蛋白様物質の送り届け部位、投与方法および
開業医には既知の他の因子に従って処方および適用量が
決定されるであろう。すなわち、本明細書の目的のため
の蛋白様物質の有効量とは細胞代謝を刺激するのに有効
な量であり、病的状態の予防、悪化を少くする、緩和す
るまたは治癒させるために蛋白様物質が投与される。 本発明の蛋白様物質は無菌の水、塩溶液または他の緩衝
液または乳化剤のような薬学的に受容可能な担体と組合
わせて哺乳類へ投与されるであろう。本発明の蛋白様物
質はその表面にp185を発現している哺乳類の細胞へ、経
口、静脈内、皮下、局所および他の投与様式のような都
合のよい経路により投与されるであろう。本発明の蛋白
様物質は哺乳類患者に細胞の代謝を調節するのに十分な
濃度および時間の間投与される。与えられる特定の濃度
はそれが与えられる病的状態、受容者の年令および体重
および投与様式のような因子に依存するであろう。 蛋白様物質は放射標識分子(radiolabeled molecules)
およびp185を発現している細胞に対して蛋白様物質の効
果を増加させるための腫瘍処置のために使用される他の
化合物のような細胞毒性物質と組み合わせてもよい。 腫瘍細胞の表面上にp185neuを過剰発現している腫瘍ま
たはp185の異常形を発現している腫瘍の処置のために
は、本発明の蛋白様物質またはその活性な断片または一
部が腫瘍または腫瘍に効果を持つと期待される腫瘍の部
位に投与される。 本発明の蛋白様物質はまた腫瘍細胞の表面にp185および
上皮増殖因子受容体の両方を発現している腫瘍の処置に
も使用されるであろう。本発明のこの実施態様において
は、蛋白様物質またはその活性な断片または一部および
上皮増殖因子受容体に特異的な抗体が腫瘍増殖を減少さ
せるのに有効な量そのような腫瘍を持つ哺乳動物に投与
される。そのような腫瘍の処置のための方法および試薬
はMark I.Greeneの名前で“抗受容体抗体による癌性細
胞の処置法”と題して1989年7月27日に出願された出願
番号07/386,820号の同時係属中の出願に記載されている
(その記載はここにそのまゝ完全に示されているように
特別に援用する)。本発明の蛋白様物質はp185に対して
特異的な抗体で置換され、単独で、または上皮増殖因子
受容体に特異的な抗体と組合わせて投与される。 本発明の蛋白様物質はある種の腺癌、乳、肺および卵巣
癌のように細胞の表面にp185を発現する腫瘍の診断およ
びp185を発現している細胞の同定に使用できるであろ
う。本発明の蛋白様物質とそのような腫瘍細胞を含むと
疑われる組織試料を本蛋白様物質の組織試料への結合を
可能にする条件下に接触させる。p185発現腫瘍細胞の組
織試料中での存在を示す組織試料中の細胞への蛋白様物
質の結合は次に酵素、蛍光分子、放射性標識、フェリチ
ンのような電子が密な化合物コロイド状金のような光散
乱粒子または以上のものの組合せまたは置換で標識され
た蛋白様物質に対し特異的な抗体のような市販品として
入手可能な試薬および常法を用いて検出される。蛋白様
物質に特異的な抗体はポリクローナルおよびモノクロー
ナル抗体を作製する標準技術により産生されるであろ
う。 〔実施例〕 略語 p185neu、ラットneu癌遺伝子の生成物;p185c-neu、ラッ
トneu原癌遺伝子の生成物;c-erb-B-2、ラットneu遺伝子
産物のヒト同族体;p185、広くラット、ヒトおよび他の
哺乳動物からの癌遺伝子性および原癌遺伝子性neu遺伝
子産物およびneu遺伝子産物の脊椎動物同族体;HTLV-1、
ヒトT細胞リンパ栄養性ウイルス−1;FCS、ウシ胎児血
清;EGFR、上皮増殖因子受容体。 以下の実施例は例示であり本発明を制限するものではな
い。実施例1および2は本発明の蛋白様物質の製造およ
び物理特性を説明している。実施例4から14で実施され
たアッセイにおいては条件付け培地または一部精製され
た条件付け培地が使用された。実施例15から21ではより
精製された形の本発明の蛋白様物質が使用された。 実施例1 蛋白様物質の製造および精製 ATL-2細胞株はIL-2−非依存性HTLV-1(+)T細胞株で
ある。マイコプラズマを含まないATL-2細胞は10%FCSを
含むRPMI1640培地(10%FCS-RPMI1640)を培養培地と
し、37℃で5%CO2を含む加湿した雰囲気下にて維持さ
れた。 蛋白様物質の精製のために、ATL-2細胞は1×PBSで2度
洗浄され、血清を含まないRPMI1640培地/2mM L−グルタ
ミン中3×105/mlで72時間培養され、続いて細胞はペレ
ット化された。このようにして作られた培養上清液は
“条件付け培地”(C.M.)と称される。 1000dカットオフ(cut off)を持つYM-2 Diafloメンブ
ラン(membrane)(Amicon、Boston、MA)を用いてC.M.
を100分の1に濃縮した(1リットルから10mlへ)。い
くつかのアッセイに使用するため、1000MWより多い成分
を含む濃縮C.M.をRPMI培地にて本来の量まで再希釈し
た。ポリアクリルアミド勾配ゲル(Integrated Separat
ion System,Hyde Park,MDまたはAmersham,Arlington He
ights,ILによるPHorecast System)を用い、続いて1リ
ットル調整液からのいくつかのこの2カラム精製物質の
銀染色により、少くとも4つからの5つのバンド(10KD
および20KDバンド)はこの物質に独特であったことが示
された。1000MW未満の成分を含む通過したC.M.は希釈な
しで使用された。 濃縮されたC.M.は、45μユニフロ(uniflo)フィルター
(Schleicher and Schuell,Keene,NH)を用いて過滅
菌され、次に前もって10mMトリス−Cl、pH8.1で平衝化
されているDEAE-SW陰イオン交換樹脂(Waters,Inc,Milf
ord,MA)を用いて更に精製された。HPLC実験当り、1リ
ットルの最初のATL-2条件付け培地分の濃縮C.M.蛋白質
をカラムに吸着させ、次に0mMから400mM Naclの直線濃
度勾配、4ml/分の流速で溶出した。適当なDEAE分画(1
カラム精製物質)の10%または適当なc18分画(2カラ
ム精製物質)の1%を用い、実施例7に記載したような
インビトロ免疫複合体キナーゼアッセイを用いて分画を
検定した。実施例7に記載したインビトロ免疫複合体キ
ナーゼアッセイを用いて用量依存様式でp185C-neuのチ
ロシンキナーゼ活性を増加させる活性は、220から240mM
のNacl濃度付近の4から5分画(36-40)に渡る1つの
おもなピークとして溶出された。HPLC-DEAE精製後、活
性分画中の蛋白質を濃縮してプールし、濃縮し、c18
(シリカマトリックス)逆相クロマトグラフィー(Wate
rs,Inc.Milford,MA)にかけた(C18#1工程または2カ
ラム精製物質と称される)。0.1%TFAに対する2−プロ
パノールの直線濃度勾配により溶出を実施した。すべて
の分画をRPMI1640培地に対して透析して2−プロパノー
ルを除去し、実施例7に記載されているインビトロ免疫
複合体キナーゼアッセイおよび適当な分画の1%濃度を
用いて検定した。p185c-neuのチロシンキナーゼ活性を
増加させた活性は2つのピークとして溶出された。1つ
は分画11-13に溶出し、一方、わずかに活性が低い第2
のピークの活性は分画20-23に溶出した。これらの2つ
のピークは各々大体5から7%イソプロパノールおよび
11から14%イソプロパノールに対応する。c18#1によ
る分画11-13が物質の確認研究に使用された。2番目の
クロマト工程からの活性分画はプールされ、蛋白様物質
試料と称された。 20リットルの調製液(preparation)が同じ精製戦略で
使用された。DEAE活性分画35-41がプールされ上記のよ
うにc18クロマトグラフィーにかけられた。c18#1分画
11-13および21-24の両方とも用量依存性活性を持ってい
た。分画11-13をプールしたものはさらにc18クロマトグ
ラフィー工程にかけられた(c18#2または3カラム精
製物質と称される)。再び分画11-13および21-24が活性
を持っていた。実施例7に記載したようなインビトロ免
疫複合体キナーゼアッセイにより決定されたような分画
23の用量応答は分画23の容量の0.005%および分画23の
容量の0.05%を加えることにより得られるであろう。こ
のことは最大の純度が達成されたことを示している。 分子量範囲はゲル過クロマトグラフィーおよび限外
過膜に基づいて決定された。10,000分子量カットオフフ
ィルターではチロシンキナーゼ活性のほとんど等しい量
が保持されまた通過した。30,000分子量カットオフフィ
ルターによってはほとんどすべての活性が通過した。活
性なクロマトグラフィー分画の分子量範囲は用量依存性
neu−活性化活性を含む分画を、一組の蛋白質分子量標
品(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)の溶出プロフィ
ールと比較することにより決定された。活性の低分子量
領域は7,000および14000ダルトンの間と同定された。活
性の第2の範囲は約14,000から約24,000ダルトンにわた
っていた。 ポリアクリルアミド勾配ゲル(Integrated Separation
Systems,Hyde Park,MDまたはAmersham,Arlington Heigh
ts,ILによるPHorecast System)を用いるゲル電気泳動
後、市販品として入手可能な銀染色キット(Biorad,Roc
kville Centre,NY)により3カラム精製物質(c18#
2)の銀染色が実施された。20リットル調製液のc18#
2精製からの分画21,22,23および24がマーカーとともに
実験された。分画22および23は最も強い用量応答を示し
た。これらの分画に独特ないくつかのバンドが分子量10
KD,20KDおよび26KDのところに現れた。 実施例2 相対比活性 表1に示したごとく、試料の相対比活性は推定1000倍お
よび精製後3500倍ほど増加した。 相対比活性は定量されたneu−キナーゼ活性の用量依存
的増加を発生させるのに必要とされる最初のATL-2条件
付け培地中の活性量を、等しい応答を発生させるのに必
要とされる単一クロマトグラフィー工程精製物質および
2クロマトグラフィー工程精製物質と比較することによ
り決定された。比活性とはp185バンド強度を増加させる
のに必要とされるNAF含有試料中の総蛋白質のμgであ
り、実施例7に記載されたようなインビトロ免疫複合体
キナーゼアッセイで非処理試料に比較して2.5倍とデン
シトメーター(LKB Ultrascan,Pharmacia LKB Biotechn
ology,Piscataway,NJ)を用いて定量される。インビト
ロ免疫複合キナーゼアッセイは実施例7に記載されてい
る。p185バンド強度の2.5倍の増加は容量で最初のATL-2
条件付け培地の10%、容量でプールされたDEAE活性分画
の1%、およびc18#1活性分画の0.01%で得られた。c
18#1と称される活性分画は生化学的および細胞の確認
に使用された。最初のATL-2条件付け培地の活性は7000
単位と独断的に称された(最初のATL-2上清液ml当り7
単位)。続いてのDEAEおよびc18精製工程における活性
の総単位値は、10容量%で検定された場合の最初のATL-
2上清液での増加と同じバンド強度増加を発生させるの
に必要とされる物質の減少量に基づいている(DEAE試料
については容量で1%、およびc18#1物質については
容量で0.01%)。これらの数字を用いると、最初のATL-
2条件付け培地に比較してDEAEおよびc18#1試料には各
々ml当り10倍以上の単位数および1000倍以上の単位数が
あると見積もられた。約4倍のDEAE精製物質および約25
0倍のc18#1精製物質の比活性の増加はこれらの2つの
クロマトグラフィー技術の分離能力と矛盾しない。 相対比活性の増加に伴なって、高まった純度の2つの他
の指標もまた注目されるであろう。第1に、プールされ
たc18#1分離物の活性は最初の上清液よりはるかに高
い。二重化、ダウンモジュレーションおよび分裂実験は
何も示さずおよびc18#1物質でより容易に再現可能で
あることは純度が増加したことを示唆している。精製さ
れた分子は用量応答研究においてより低い温度(<27
℃)でさえも活性であった。低温で増加した活性および
機能もまた蛋白様物質の純度の上昇を反映している。 実施例3 細胞株の維持および確認 すべての細胞株は10%FCSおよび2mM L−グルタミンを含
むRPMI1640培地中37℃で5%CO2を含む加湿した雰囲気
下で維持された。NR6細胞は検出可能なレベルのEGFRを
発現しないスイス3T3細胞のサブクローンであり、EGFに
応答せずp185を発現しない。NR6細胞はCa++リン酸塩沈
澱技術によりPSV2-NEOおよびPSV2-neuNで同時トランス
フェクションされた。得られる細胞株、PN-NR6と称され
る(癌原遺伝子性neu)、はp185c-neuを高水準で発現す
る。NE-19細胞はヒトEGFR遺伝子でトランスフェクトさ
れたNR6細胞であり、EGFRを高水準で発現する。M1細胞
株はNR6細胞から誘導され、EGFRおよびp185c-neuを高水
準で発現する。これらの細胞株はKokai et al.,(198
9)Cell 58:287により記載されている。A431細胞(ア
メリカン タイプ カルチャーコレクション)はヒト表
皮癌腫由来細胞株であり、高水準のEGFRを発現する。SK
BR111細胞はヒト乳腺癌腫由来細胞株であり、EGFRおよ
びc-erbB-2の両方を発現する。B104細胞はエチルニトロ
ソ尿素誘発ラット神経外胚葉性腫瘍から誘導された。B1
04-1′‐1′細胞はDNAでトランスフェクトされたNIH/w
細胞であり、最初はB104細胞株から単離され、その後ne
u癌遺伝子をコードしていることが発見された。NIH/w細
胞株はNIH3T3細胞サブクローンであり、低頻度の自発的
腫瘍形成を示し、EGFRが欠けている。 実施例4 足場依存性(anchorage-independent)増殖
アッセイ 足場依存性増殖能力は軟寒天内に懸濁した細胞のコロニ
ー形成効率を算定することにより決定された。コロニー
形成効率を決定するためのすべての実験は3mlの細胞を
含まない細胞支持層および細胞が懸濁される1mlの上層
を含む60mmの組織培養皿を用いて実施された。細胞支持
層は10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミンを補給した
0.24%アガロースRPMI-1640から構成されていた。重積
層は10%ウシ胎児血清、2mM L−グルタミンを補給した
0.18%アガロースRPMI-1640中に1×104細胞を含んでい
た。蛋白様物質を含む試料が軟寒天培養物に添加された
場合それは上層内のみに含まれていた。直径が0.5mmよ
り大きなコロナーを7日目に解剖顕微鏡を用いて計数し
た。各々の6cmの皿から無作意に4つの視野(×100)を
選んだ。各々の6cm皿を代表させるためこれらの4つの
視野からの平均値が決定された。各々の実験群は3つの
皿の平均を表わしている。表においては括弧は3つの試
料の標準偏差を示している。 実施例5 足場依存性増殖アッセイ−熱処理条件付け培
地 条件付け培地(C.M.)は56℃にまたは100℃に30分間加
熱された。表2に示したごとく、非処理および熱処理C.
M.の両方においてB104-1′‐1′細胞のコロニー形成を
増加させた。この活性は熱処理後においてさえも安定で
あった。 実施例6 分画された条件付け培地の足場依存性増殖能
力 B104-1′‐1′のコロニー形成を増加させる能力はYM-2
メンブランにより濃縮されたC.M.中に含まれており、そ
れは1000ダルトンより大きな分子量を持つ成分を含んで
いる。分画された条件付け培地の足場依存性増殖能力は
表3に示されている。 実施例7 免疫複合体キナーゼアッセイ このアッセイは種々の量のATL-2条件付け培地(C.M.)
または蛋白様物質とのPN-NR6細胞溶解物の前インキュベ
ーションにより誘導される免疫沈降p185の自己リン酸化
活性の相違を反映し、以後neu活性化活性と称される。
細胞株は詳細に実施例3に記載されている。 免疫複合体キナーゼアッセイに使用される細胞株はKoka
i et al.,Cell 58:287-292(1989年7月28日)(その
発表内容はそのまゝここに完全に示されているように引
例として含まれている)およびMark I.Greeneの名前で
“抗容受体抗体による癌性細胞の処置方法”と題して19
89年7月27日に出願された米国特許出願第386,820号
(その開示内容はそのまゝここに完全に示されているよ
うに引例として含まれている)に記載されている方法に
従って入手、調製および培養された。 細胞株はすべて5%FCSを含むDMEM培地中(5%FCS-DME
M)、37℃で5%CO2を含む加湿した雰囲気下で維持され
た。 150mm培養皿中の細胞の密培養物は2度冷PBSで洗浄し、
10mlの凍結乾燥緩衝液(150mM NaCl,1mM MgCl2,20mMヘ
ペス、pH7.2、10%グリセロール、1mM EGTA、1%アプ
ロチニン)内へ削り入れ、遠心分離した(600×6,10
分)。細胞ペレットは1mlの溶解緩衝液(50mMヘペス,pH
7.5、150mM NaCl,3%Brij35,1mM MEDTA、1.5mM MgCl2,1
mM MEGTA、30μM Na3VO4、10グリセロール)に再懸濁
し、4℃で30分間回転させた。すべての化学薬品は特に
指示しない限り、Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO、か
らのものであった。不溶性物質は40,000×gで30分間遠
心分離して除去された。続いて使用される透明な上清液
は細胞溶解物と称される。 細胞溶解物は50μlの50%(容量/容量)蛋白質A−セ
ファロース(Sigma Chemical Co.,St.Louis,Missouri)
と15分間インキュベートし、2分間遠心分離して溶解物
を前透明化した。前透明化細胞溶解物の一部50μlの条
件付け培地、蛋白様物質または特定された他の因子と溶
解緩衝液で1mlの最終容量とした後15分間氷上でインキ
ュベートされた。試料は次に5μgの7.16.4モノクロー
ナル抗体(p185neuおよびp185-neuの細胞外領域を認識
する)または他の適当な抗体と氷上で20分間インキュベ
ートし、続いて4℃で回転させながら50μlの50%(容
量/容量)蛋白質A−セファロースと20分間インキュベ
ートした。免疫複合体は遠心分離により集め、500μl
の洗浄緩衝液50mMヘペス,pH7.5、0.1%Brij35,150mM Na
Cl,2mM MEDTA、1%アプロンチニン、30μM Na3VO4、)
で4回洗浄し、次に反応緩衝液(50mMヘペス,pH7.4、3m
M MuCl2および0.1%Brij35,30μM Na3VO4)で2度洗浄
した。ペレットは50μlの反応緩衝液に再懸濁し、〔ガ
ンマー32P〕ATP(Amersham,Arlington Heights IL)を
最終濃度0.2μMになるように添加した。試料は27℃で2
0分間またはより純粋な試料に対しては4℃で25分間イ
ンキュベートした。2mM ATPおよび2mM EDTAを含む3×S
DS試料緩衝液を加え、100℃で5分間インキュベートす
ることにより反応を終結させた。試料は10%アクリルア
ミドゲル上SDS-PAGE分析にかけた。ゲルを染色し、乾燥
し増感紙(intensifying screens)を持つKodak XARま
たはXRPフィルムに暴露させた。 実施例8 PN-NR6およびM1細胞のキナーゼ活性に対する
C.M.の影響 PN-NR6およびM1細胞の溶解物は実施例7に記載したよう
に処理され、次のものが添加された:添加なし(対
照);0.1%のC.M.;1.0%のC.M.;または10%のC.M.。条
件付け培地の添加は条件付け培地のすべての濃度でPN-N
R6およびM1細胞からのp185c-neuのチロシンキナーゼ活
性を増加させた。条件付け培地で処理されていないレー
ンに比較して10%条件付け培地処理レーンではp185バン
ド強度が2から4倍増加していた。 実施例9 上皮増殖因子受容体のチロシンキナーゼ活性
に対する条件付け培地の影響 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載した免疫複合体
キナーゼアッセイを用いて決定した。A431細胞の溶解物
が前記のように処理され、以下のものが添加された:添
加なし(対照);0.1ng/mlのEGF;1.0ng/mlのEGF;10ng/ml
のEGF;0.1%のC.M.;1.0%のC.M.;または10%のC.M.。EG
Fの添加はA431細胞からのEGFRのチロシンキナーゼ活性
を増加させた。条件付け培地の添加はA431細胞からのEG
FRのチロシンキナーゼ活性を増加させなかった。上皮増
殖因子受容体(EGFR)のチロシンキナーゼ活性はEGFの
添加により増加するが条件付け培地では増加しない。こ
のことはその因子の受容体特異性を示している。 実施例10 p185c-neuのキナーゼによるヒストンのリン
酸化に対する条件付け培地の影響 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載した免疫複合体
キナーゼアッセイを用いて決定された。PN-NR6細胞の溶
解物が前記のように処理され、以下のものが添加され
た:添加なし;1.0%のC.M.;または10%のC.M.。p185c-n
euのチロシンキナーゼの基質として32P‐r-ATPとともに
2μlのヒストン(2mg/ml)が添加された。p185c-neu
のチロシンキナーゼによるヒストンのリン酸化は条件付
け培地の添加により2から6倍増加した。 実施例11 p185c-neuのチロシンキナーゼに対する熱処
理の影響 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載した免疫複合体
キナーゼアッセイを用いて決定された。C.M.は56℃でま
たは100℃で30分間処理された。PN-NR6細胞の溶解物は
前記のように処理され以下のものが添加された:添加な
し;1%の熱処理または未処理C.M.;10%の熱処理または
未処理C.M.。C.M.に含まれている活性は56℃または100
℃での30分間の熱処理後も安定であった。それ故C.M.中
のp185c-neuチロシンキナーゼ活性化活性は熱処理によ
り影響されなかった。 実施例12 分画された条件付け培地のチロシンキナーゼ
活性 条件付け培地は実施例1に記載したように濃縮された。
1000MWより大きな成分を含んでいる濃縮C.M.は蒸留水に
より最初の容量に再希釈されアッセイに使用された。10
00MW未満の成分を含む通過C.M.は希釈することなく使用
された。 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載された免疫複合
体キナーゼアッセイを用いて決定された。PN-NR6細胞の
溶解物は前記のように処理され、以下のものが添加され
た:添加なし;1.0%のC.M.;10%のC.M.;未処理C.M.;濃
縮C.M.;通過C.M.。p185c-neuのチロシンキナーゼの増加
は1000より大きな分子量を持つ濃縮されたC.M.中で観察
された。10,000分子量カットオフフィルターではほとん
ど等しい量の活性が保持されまた通過した。ほとんどす
べての活性が30,000分子量カット オフ フィルターで
は通過した。 実施例13 条件付け培地のチロシンキナーゼ活性に対す
るプロテアーゼの影響 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載した免疫複合体
キナーゼアッセイを用いて決定した。C.M.の第1の部分
は100μgのアルファーキモトリプシン(Sigma,ST.Loui
s,MO)で2時間37℃に処理された。2倍モル過剰のキモ
トリプシン阻害剤(Sigma,ST.Louis,MO)の添加により
反応を停止させた。C.M.の第2の部分は100μgの細菌
プロテアーゼ(Sigma,ST.Louis,MO)で2時間37℃にて
処理された。反応は5分間煮沸してプロテアーゼを熱不
活性化することにより停止された。PN-NR6細胞の溶解物
は前記のように処理され、以下のものが添加された:A)
添加なし;B)キモトリプシンで処理されたC.M.、阻害剤
なし;C)キモトリプシン−阻害剤のみで処理されたC.
M.;D)キモトリプシン処理に続いて阻害剤で処理された
C.M.;E)キモトリプシン阻害剤で前もって不活性化され
ているキモトリプシンで処理されたC.M.;F)細菌プロテ
アーゼにより処理され続いて熱不活性化されたC.M.;G)
熱処理により前もって不活性化されている細菌プロテア
ーゼにより処理されたC.M.;およびH)未処理C.M.。 SDS/PAGE後、プロテアーゼ処理p185c-neu試料のバンド
強度はプロテアーゼで処理されていない試料のものより
は小さかった。プロテアーゼ処理試料のバンドはまたプ
ロテアーゼ阻害剤または熱処理により全部または一部が
不活性化されているプロテアーゼで処理された試料のバ
ンドよりもより弱かった。これらのデータはC.M.中のp1
85c-neu特異性活性はキモトリプシンおよび細菌プロテ
アーゼによる消化に敏感であることを示している。 実施例14 p185c-neuに対する抗体の結合活性に対する
条件付け培地の影響 チロシンキナーゼ活性は実施例7に記載した免疫複合体
キナーゼアッセイを用いて決定された。免疫沈降前にC.
M.に7.16.4モノクローナル抗体を添加した。モノクロー
ナル抗体7.16.4はp185neuおよびp185c-neuの細胞外領域
を認識する。p185c-neu(PN-NR6細胞から)は7.16.4モ
ノクローナル抗体により免疫沈降され、免疫複合体は一
度洗浄緩衝液で洗浄され、次に免疫複合体はC.M.と4℃
にて15分間インキュベートされた。これらの工程後、実
施例7に示した免疫複合体キナーゼアッセイが前記のよ
うに実施された。PN-NR6の溶解物は前記のように処理さ
れ以下のものが添加された:添加なし;1.0%のC.M.;お
よび10%のC.M.。C.M.のチロシンキナーゼ活性は7.16.4
モノクローナル抗体による前処理により阻害された。こ
れらのデータは条件付け培地中の成分がp185c-neuと結
合することを示している。 実施例15 p185c-neuのキナーゼ活性に対するATL-2分泌
性増殖調節物質の影響 ATL-2細胞株から分泌されるADF(IL-2受容体誘導因
子)、TGF−α(形質転換増殖因子α)、TGF−β(形質
転換増殖因子β)、PDGF(血小板由来増殖因子)、IL-1
(インターロイキン1)およびIL-6(インターロイキン
6)のような増殖調節物質(growth modulating substa
nces)が実施例7に示したインビトロ免疫複合体キナー
ゼアッセイを用いて試験された。これらの因子のどれも
p185c-neuのキナーゼ活性に影響を及ぼさなかった。得
られた代表的な結果はPN-NR6溶解物を10または100単位
のIL-1または25または250単位のIL-6で処理したもの
で、それらはキナーゼ活性を増加させなかった。 実施例16 p185のホスホチロシン含量および同一の線維
芽細胞バックグラウンドにおいて発現されたEGFRに対す
るNAFおよびEGFの影響 Wada et al,(1990)Cell 61:1339に記載されているよ
うなウエスタンブロット分析がNAFの添加により特異的
に増加したp185中のホスホチロシンの量を示すために用
いられた。無傷のPN-NR6(p185+/GERF−)およびNE-19
(EGRF+/p185−)細胞(2×106)を10cmの培養皿中、
容量で0.01または1.0%のNAFまたは0.10または100ng/ml
のEGFと37℃で8分間インキュベートした。細胞を400ED
TA、10mMピロリン酸ナトリウム、10mMフッ化ナトリウム
および400μMオルトバナジン酸ナトリウムを含む冷リ
ン酸緩衝化塩溶液で3回洗浄し、PI/RIPA緩衝液中(1
%トリトンX-100、1%デオキシコレート、0.1%SDS、
0.15M NaCl、0.01Mピロリン酸ナトリウムpH7.4、1%ト
ラシロール、1μM PMSF、2mM EBTA、10mMフッ化ナトリ
ウム、10mMヨードアセトアミドおよび1mM ATP)30分間
溶解させた。前透明化上清液を各々モノクローナル抗体
7.16.4(ラットp185と特異的に反応)または抗EGFRカル
ボキシ末端抗体(Stuart Decker博士、Rockefeller大
学、New York、NY、から提供を受けた)と免疫沈降させ
た。免疫沈降物は洗浄緩衝液(0.1%トリトンX-100、0.
4mM EDTA、10μMフッ化ナトリウム、10mMピロリン酸ナ
トリウム、400μMオルトバジン酸ナトリウム、0.01Mリ
ン酸ナトリウム、pH7.4)で2回洗浄した。洗浄免疫沈
降物はSDS−試料緩衝液(pH6.8)(3%SDS、10%グリ
セロール、5%2ME、0.4%ブロモフェノールブルー)中
で煮沸し、10%SDS-PAGEゲル上で分析した。Wada et a
l.,(1990)Cell 61:1339に記載されているように、蛋
白質をニトロセルロースに移し、抗ホスホチロシン抗体
PY-20MAb(ICN Biomedicals、Inc.,Costa Mesa,CA)に
より検出した。 PN-NR6細胞(p185+/EGFR−)からのp185c-neu中のホス
ホチロシン量は0.1%または1.0%NAFの添加により用量
依存様式で増加したが、一方、10および100ng/ml EGFの
添加は同一条件下何の影響も及ぼさなかった。NE-19細
胞(EGFR+/p185−)からのEGFR中の検出可能なホスホ
チロシンの量は10または100ng/ml EGFの添加により増加
したが0.1%または1.0%NAFの添加では増加しなかっ
た。NAFはNR6細胞バックグラウンド(PN-NR6細胞)中に
発現されたp185c-neuのチロシンキナーゼ活性に影響し
たが、同じNR6細胞バックグラウンド(NE-19細胞)中の
EGFRには影響を及ぼさず再び観察された影響がEGFおよ
びその受容体により誘発されていることを示している。
NAFまたはEGFを添加しなかった対照では両方の細胞株に
おいて応答がみられなかった。 実施例17 NAFとneu蛋白質p185の細胞外領域との相互作
用 実施例7に記載したような免疫複合体キナーゼアッセイ
を用いてp185の細胞外領域上の異なったエピトープに対
し特異的なモノクローナル抗体の、NAF誘発p185キナー
ゼ活性増加の阻害に対する能力を試験した。PN-NR6細胞
を1μg/ml抗体とまたは抗体なしで(対照)4℃にて30
分間前もってインキュベートし、冷PBSで2回洗浄し
た。細胞は次に1%(容量)NAFとまたはNAFなしで(対
照)37℃にて10分間インキュベートした。細胞を溶解
し、7.16.4抗p185抗体でp185を免疫沈降させ、免疫複合
体キナーゼアッセイを実施例7に記載されているように
実施した。 精製p185細胞外領域特異性モノクローナル抗体7.16.4
(Drebin et al.,(1984)Nature 312;545;Drebin et
al.,(1985)Cell 41:695)とのPN-NR6細胞(p185+/E
GFR−)のプレインキュベーションはp185のNAF誘発活性
化を阻止したが、一方アイソタイプが合っていないモノ
クローナル抗体9BG5、レトロウイルスタイプ3、ヘマグ
ルタニンと反応性のIgG2aモノクローナル抗体(Drebin
et al.,(1988)、Oncogene 2:273)、はp185のNAF誘
発活性化を阻止しなかった。モノクローナル抗体7.9.5
はp185の異なった細胞外領域を認識し(Drebin et al.,
(1988)Oncogene 2:273)p185のNAF誘発活性化を部
分的にのみ阻止した。同様にEGFおよびPDGFのその受容
体への結合を阻止することが示されている(Yardenおよ
びWeinberg、(1989)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 8
6:3179およびL.T.Williams.et al.,(1984)J.Biol.Che
m. 259:5287)スラミンと細胞とのプレインキュベーシ
ョンp185のNAF誘発活性化を阻止した。さらに、p185-D4
と称されp185c-neuの細胞外領域の第2のシステインに
富む領域のアミノ酸475から648(読みわく内)に対応す
る523塩基対欠失を含む突然変異体p185を用いて抗ホス
ホチロシンモノクローナル抗体とのウエスタンブロット
分析が実施された。NAFはp185c-neuの細胞外推定リガン
ド結合領域の部分が欠けたこのp185突然変異体(NR6細
胞内へトランスフェクトされた)のギナーゼ活性を増加
させなかった。これらの結果を総合すると、NAFはneu蛋
白質細胞外領域の離散した部分と相互作用していること
が示されている。 実施例18 p185二量化に対するNAFの影響 受容体チロシンキナーゼはその同起原のリガンドにより
誘導され受容体凝集体を形成する。p185-neuのモホダイ
マーおよびヘテロダイマー種がすでに記載されている。
p185-neuのトランスメンブラン領域中の点突然変異(残
基664でのアデニンからグルタミン酸への)はホモダイ
マー形成を容易にすることができる。(Weiner,et al
(1989)、Nature 339:230)。 p185二量化に対するNAFの影響を決定するために架橋研
究が実施された。Wada et al.,(1990)Cell 61:1339
に記載されているように化学的架橋形成が行われた。10
cm培養皿中に3×106の細胞を入れ、5%FCSと一夜イン
キュベートした。培地をITS-DMEMに替え一夜培養した。
示された量のNAFまたはEGFを含むまたは含まないITS含
有または非含有DMEMと細胞を37℃で8分間インキュベー
トし、冷PBSで2度洗浄した。4mM BS3(Pierce,Rockfor
d,FL)を含む5mlのPBSを細胞に加え、22℃で30分間イン
キュベートした。反応停止緩衝液の添加により架橋反応
を停止させた。細胞を可溶化し、その溶解物を7.16.4抗
体での免疫沈降に用いた。蛋白質を4%−7.5%勾配SDS
-PAGEミニゲル上で分離し、ニトロセルロースに移し
た。p185c-neuの単量および二量体は抗ホスホチロシンM
Ab PY-20(ICN Biomedicals,Inc,Costa Mesa,CA)およ
びDBW2(抗p185細胞内領域)抗体で検出した。抗体は
125I−蛋白質A(Neu England Nuclear,Boston,MA)で
検出した。 架橋研究はPN-NR6細胞(p185+/EGFR−)中のp185c-neu
ホモダイマーの量は0.1%または1.0%NAFへの暴露に対
し用量依存様式で増加したことを明らかにした。NAFを
添加しない対照物では応答が起きなかった。p185c-neu
モホダイマー中のホスホチロシンの量もまた0.1%また
は1.0%NAFの添加に対して用量依存様式で増加した。p1
85c-neuのヘテロダイマー種は最近Kokai et al,(198
9),Cell 58:287,Wada et al,(1990)Cell 61:1339
に記述された。p185c-neuおよびEGFRの両方を高水準で
発見するM1細胞において、Kokai,et al,(1989)Cell
58:287,p185c-neu/EGFRヘテロダイマーが存在し、M1細
胞のEGF処理はまた用量依存様式でp185c-neu/EGFRヘテ
ロダイマーの検出可能な量を増加させていた。 実施例19 p185およびEGFRインターナリゼーションに対
するNAFおよびEGFの影響 同起原リガンドに対しての暴露に応答して受容体チロシ
ンキナーゼは細胞表面でダウンレギュレーションされ
る。PN-NR6細胞の表面からのp185c-neu下方調節に対す
るNAFの能力が、NAF処理後のPN-NR6細胞上の細胞表面p1
85の量を免疫学的に定量的に算定することにより試験さ
れた。 YardenおよびWeinberg(1989)Proc.Natl Acad,Sci,US
A. 86:3179に記載されているようなp185c-neu下方調節
アッセイが実施された。細胞はITS含有DMEM中で一夜培
養し、示された時間NAFまたはEGFとインキュベートし
た。1×105PN-NR6またはNE19細胞を24をウェルディッ
シュ(Costar,Cambridge,MA)に播種し、5%ウシ胎児
血清(FCS)を含むDMEM培地中で一夜インキュベートし
た。これらの細胞はDMEMで洗浄し、DMEMで1時間インキ
ュベートし、続いて1%NAF(容量)を含むまたは含ま
ない、または50ng/ml EGFを含む結合緩衝液〔20mMヘペ
ス(pH7.2)および0.1%ウシ血清アルブミンを補給した
DMEM〕とインキュベートした。37℃でのインキュベーシ
ョン後、単層をDMEMで洗浄後、4℃で2μg/mlの7.16.4
または抗−EGFR抗体とインキュベートした。このモノク
ローナル抗体はヒトEGF受容体の細胞外領域を認識し、W
ister研究所Philadelphia,PA,のM.Herlyn博士から提供
を受けた。2時間のインキュベーションの後、細胞結合
抗体は125I標識蛋白質Aと45分間インキュベーションす
ることにより決定された。 PN-NR6細胞上のp185c-neuの表面発現はNAF添加後30分で
30%および90分で40%減少したが、EGFはこれらの同じ
細胞中のp185c-neuのインターナリゼーション(interna
lization)に対して何の影響も与えなかった。NE-19細
胞上の表面EGFRはEGFの添加により下方調節されたが、
蛋白様物質によっては下方調節されなかった。細胞がNA
FまたはEGFと37℃ではなく4℃でインキュベートされた
場合、p185c-neuまたはEGFRのどちらも両方の細胞上で
下方調節できなかった。 実施例20 〔3H〕−チミジン取り込みで測定された細胞
増殖に対するNAFおよび他の因子の影響 細胞の増殖に対するNAFの影響が、トリチウム化チミジ
ン取り込みを用いて評価された。 サブコンフルエント細胞をトリプシン処理し、1×104
細胞を10%FCSを含むDMEM培地中に懸濁し、96ウェルプ
レートに播種した。一夜細胞を付着させた後ITSを補給
したDMEM培地(インシュリン,トランスフェリンおよび
セレンの3つの最も共通の成分として持つと定義された
培養培地、Collaborative Research,Bedford,MA)に置
き替えた。この血清を含まない培地中更に48時間インキ
ュベーションを続けた。その後、細胞をNAF,EGF(上皮
増殖因子)、TGF−α(形質転換増殖因子α)、TGF−β
(形質転換増殖因子β)、またはPDGF(血小板由来増殖
因子)因子に16時間暴露した。細胞は6時間パルスで採
取に先立って〔3H〕チミジン(0.5μCi/ml)を受けた。 NAFはPN-NR6細胞(p185+/EGFR−)の培養物のDNA合成
の相対レベルを上昇させた。1.0%NAFはDNA合成を3倍
増加させた。NAFはNE-19細胞(p185−/EGFR+)の培養
物のDNA合成のレベルには影響しなかった。NE-19細胞の
培養物DNA合成はEGFを10ng/mlから100ng/mlに増加させ
ることにより2倍増加した。EGF,TGF−α(10ng/mlまた
は100ng/ml)、TGF−β(10ng/ml)またはPDGF(10ng/m
l)因子はPN-NR6細胞の培養物のDNA合成にはどれも有意
には影響しなかった。 実施例21 足場依存性増殖アッセイ−因子類の能力 PN-NR6,NE-19およびNR-6細胞株に対するNAF,EGF,TGF−
α、TGF−βおよびPDGFの増殖能力を決定するため実施
例4に記載した足場依存性増殖アッセイが実施された。
結果は表4に示されている。 PN-NR6細胞は本来軟寒天中ではコロニーを形成しない
が、NIH/3T3トランスフェクト体(EGFRを過剰発現す
る)はEGFを添加した時のみ軟寒天中にコロニーを形成
する(DiFiore et al.,(1987)Cell 51:1063)。NAF
もまたPN-NR6細胞(p185+/EGFR−)の軟寒天増殖能を
増加させたがNE-19細胞(EGFR−/p185−)には何の影響
も及ぼさなかった。逆にEGFはNE-19細胞の軟寒天増殖能
力を増加させたが、neuを運ぶPN-NR6には何の効果もな
かった。親NR-6細胞(p185−/EGFR−)はEGFによっても
またはNAFによっても影響を受けなかった。すなわち、
蛋白様物質の増殖促進効果はp185c-neuを発現する細胞
においてのみ見られた。さらに、TGF−α、TGF−βおよ
びPDGFは軟寒天中PN-NR6まはたNR6細胞を増殖させてコ
ロニーを形成させることがなかつたので他の因子がこれ
らの結果に関係することはありそうもない。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12P 21/00 C12R 1:91) (72)発明者 デービス,ジェームズ・ジー アメリカ合衆国ペンシルバニア州19104, フィラデルフィア,チェスナット・ストリ ート 3900,チェス ナット・ホール,ア パートメント 1006 (72)発明者 羽室 淳爾 神奈川県横浜市旭区今宿町2561―1
Claims (1)
- 【請求項1】p185に結合可能である精製蛋白様物質 (ここで該蛋白様物質は p185に含まれているチロシンキナーゼの活性を増加させ
るが上皮増殖因子受容体のチロシンキナーゼの活性は増
加させず; p185の二量化を誘導し; p185のインターナリゼーションを誘導し; p185を発現する細胞の増殖に用量依存性様式で影響し; 約56℃から約100℃で熱安定であり; プロテアーゼで分解可能であり;および クロマトグラフィー条件に依存して約7,000から約14,00
0ダルトンの分子量を持つ) または、p185に対する結合親和性を持つその断片。
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