JPH0774426B2 - 耐摩耗性被覆膜の製造方法 - Google Patents

耐摩耗性被覆膜の製造方法

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JPH0774426B2
JPH0774426B2 JP62199408A JP19940887A JPH0774426B2 JP H0774426 B2 JPH0774426 B2 JP H0774426B2 JP 62199408 A JP62199408 A JP 62199408A JP 19940887 A JP19940887 A JP 19940887A JP H0774426 B2 JPH0774426 B2 JP H0774426B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、フライス加工々具,切削加工々具,穿孔工具
等の工具類における表面コーティング材として有用な耐
摩耗性被覆膜を、カソードアーク方式のイオンプレーテ
ィング法を用いて効率良く製造することのできる方法に
関するものである。
[従来の技術] 高速工具鋼や超硬合金鋼等からなる工作加工々具の分野
では、工具表面に物理的蒸着法(PVD法)や化学的蒸着
法(CVD法)によってTi窒化物やTi炭化物等の金属化合
物からなる耐摩耗性皮膜を形成し、工具の性能を更に高
める技術が知られている。上述の耐摩耗性皮膜における
金属成分として利用される金属としては、Tiの他周期律
表のIVa族,Va族,VIa族の金属、あるいはB,Si,Al等が例
示されるが、以下の説明ではTiを代表例としてとりあげ
る。但し本発明はこれによって限定解釈されるものでは
ない。
上記成膜法のうちCVD法では、耐摩耗性皮膜形成の為のT
i源として四塩化チタンガスを使用し、900〜1100℃の高
温条件で処理する必要がある。その為PVD法に比べると
母材との密着性に優れた耐摩耗性皮膜を形成することが
できるが、超硬合金鋼では母材表面に極めて脆弱な脱炭
層(例えばW3Co3C等)が生成する為、特にフライス加工
用工具には適用することができないとされている。又CV
D法の場合は上述の如く処理温度が高温となるので母材
の軟質化や熱変形を招き易く、精密工具への適用は避け
るのが無難である。
そこで上記工具に対する皮膜コーティングに当たっては
CVD法と比べて低温の条件で皮膜を形成することのでき
るPVD法を採用することが一般的な手法となっている。
しかるにPVD装置の一つであるスパッタリング装置によ
って低温で形成された膜は、Thorntonの実験で知られて
いる様に隙間の多いテーパー状の結晶粒からなるポーラ
スな膜となることがあり、この場合構造的に脆く従って
耐摩耗性は低い。又電子ビーム式や実用機として普及率
の高いホロカソード方式のイオンプレーティング装置に
よる膜も同様の膜構造を呈し得る場合が多く、満足でき
る耐摩耗性を得ることはできていない。
他方上記方式のイオンプレーティング装置では、るつぼ
内の蒸発源を溶融蒸発させて母材表面に蒸着させる為、
溶融金属の垂れ落ちを避ける必要性から蒸発源の設置位
置に制約を受ける。その結果複雑な形状をした母材の影
になる部分への成膜効率が悪く、当該部分までも十分に
被覆しようとすると成膜に長時間を要するという欠点が
あった。
[発明が解決しようとする問題点] 耐摩耗性の優れた膜構造については、種々研究が行なわ
れており、例えばTiNの様なB1結晶構造のものでは原子
密度が最も高い<111>面に配向した膜が耐摩耗性に優
れているとか、ランダム結晶構造のものが最も優れてい
るといった見解があり、さらに被膜組成との関係もあっ
て耐摩耗性の優れた膜、殊にその膜構造について研究が
重ねられているが未だ解明されるには至っていない。
一方成膜速度を向上させるという観点からも種々研究が
なされ、その1つとしてカソードアーク方式イオンプレ
ーティング法が提案されている。即ちこの方法は、蒸発
源をカソードとして配置し、基材との間にアーク放電に
よるプラズマ状態を形成して蒸発源金属のイオン化効率
を高める方法であり、又蒸発源の溶融なしにイオン化が
進行するので蒸発源を自由な位置に配置することがで
き、複雑な形状の基材に対しても効率良く成膜すること
ができるとされている。
しかるに耐摩耗性の優れた被覆膜については、カソード
アーク方式のイオンプレーティング法においても未だそ
の研究が進んでおらず、満足し得る被覆膜を提供するに
は至っていない。
本発明はこうした事情に着目してなされたものであっ
て、その目的は、カソードアーク方式のイオンプレーテ
ィング法を用いることによって、耐摩耗性に優れた膜を
効率良く成膜することができる方法を提供することにあ
る。
[問題点を解決する為の手段] しかして本発明被覆膜は、ガス圧力:1×10-3〜3×10-1
Torr、基板バイアス電圧:−50V〜−1500Vとするカソー
ドアーク方式のイオンプレーティング法を用いることに
よって膜厚方向に指向した緻密な繊維状組織を有する耐
摩耗性被覆膜を製造する点に要旨を有するものである。
[作用] 耐摩耗性を高める為には、結晶構造的に緻密な膜を形成
することが有効であると考えられるが、従来のイオンプ
レーティング法によって形成した膜は、たとえ緻密化を
はかったとしても硬度が低いレベルに低迷し、従って十
分な耐摩耗性を示さない。即ち従来のイオンプレーティ
ング法における緻密化手段としては、成膜中の真空度を
上げ粒子の平均自由工程を大きくすることによって粒子
間の衝突確率を下げ、可能な限り基板に突入する粒子の
運動エネルギーを上げるといった手段が講じられるが、
こうして得られた膜の破断面組織を観察すると、結晶の
配向は認められるものの全体としては無組織であり、耐
摩耗性の点では効果が低い。
これに対して本発明は、カソードアーク方式のイオンプ
レーティング法を採用することによって、膜厚方向に指
向した繊維状組織が緻密に並列した状態の膜組織を有す
る耐摩耗性被覆膜を得ることができたのである。
上記カソードアーク方式イオンプレーティング法は数十
A以上の大電流領域での蒸着方式である為、蒸発粒子の
イオン化効率が高く、基材到達時の粒子エネルギーが非
常に大きいので、耐摩耗性に優れた上記皮膜を製造する
のに最も好ましいものである。
成膜条件的には、ガス圧力を1×10-3〜3×10-1Torrに
設定する必要がある。この様に比較的高いガス圧力下で
のアーク放電にもかかわらず高いイオン率を有する為、
金属イオンプラズマが広い領域で起こり、複雑な形状の
基材に対する蒸着が容易になると共に大面積基材に対し
ても十分に成膜することができる。そしてガスイオンと
金属イオンの存在バランスが保持されるので所望の膜組
成の耐摩耗性膜を得ることができるのである。
一方、基板に印加するバイアス電圧は−50V〜−1500Vと
する必要があり、これによってイオンの運動エネルギー
による基板の昇温を防止することができる。その結果、
基板温度上昇による基板強度の劣化や脱炭層の生成を防
止することができる。
この様に上記成膜条件を採用することにより、複雑な形
状基材への成膜、基材温度の上昇防止等を一層有効に発
揮させることができるのである。
そして、この様な成膜条件下で膜形成を行なうと、膜形
成時の実効的な膜表面温度が上昇し、膜表面における金
属拡散が活発に起こる。こうして得られた膜の縦断面構
造を見ると膜厚方向に繊維状組織が緻密に並んだ状態を
示し、耐摩耗性に優れた組織となっている。即ち繊維状
組織は、その特性として、その長手方向に対して略直交
する方向からの摩擦に対する抵抗は小さいが、長手方向
からの摩擦に対しては相当に大きな抵抗力を示す。本発
明で得られる膜はこの様な繊維状組織が膜厚方向を指向
して緻密に並列した集合組織を呈するので、多数の繊維
状組織が協力して摩擦力に抵抗することになり、大きな
耐摩耗性を発揮する訳である。
この繊維集合組織は膜厚3〜4μmで5000倍以下の倍率
で観察することができ、繊維間隙は最大で1μmであ
る。尚耐摩耗性を発揮する上で膜厚に特に制限はない
が、好ましくは3〜7μmの膜厚に形成することが望ま
れる。又この被覆膜の結晶配向性をX線回折によって調
べた結果、TiNの様なB1結晶構造を有する物質では結晶
粒は<111>方位に形状異方性を有するものが大部分で
あるが、一部に<200>方位も観測された。この原因に
ついては明らかでないが、基板に突入する粒子の入射角
度の違い、即ちすべての粒子が基板に対して垂直に入射
するのではなく、斜め方向からの入射による影響が含ま
れている為と推察される。
[実施例] 8×10-3Torrの高純度N2ガス雰囲気のアーク放電式イオ
ンプレーティング装置内に、Tiカソード電極を配置し、
これに対向する基板ホルダーに超硬合金製チップ試料を
取りつけた。試料を400℃に加熱しつつ、基板ホルダー
に−50Vのバイアス電圧を印加してTiアーク放電を開始
し、試料上に厚さ4μmのTiN膜を成膜した。比較例と
して同一試料上へRFイオンプレーティング法によりTiN
膜を成膜した。尚このときの成膜条件は、雰囲気ガスと
してAr/N2混合ガスを8×10-3Torrまで導入し、基板に
は−50Vの電圧を印加した。
冷却後取り出した試料の各被覆膜の縦断面を観察すると
第1図(実施例)及び第2図(比較例)に示す通りであ
り、第1図では膜厚方向に指向した繊維状組織が全域に
亘って緻密に存在するのが確認された。一方第2図では
繊維状組織は全く観察されなかった。
実施例及び比較例に係る試料を、切削試験に供したとこ
ろ第1表に示す結果が得られた。
(切削条件) 被削材 S50C 切削速度 170m/分 送り速度 0.25mm/rev 切り込み 0.1mm 第1表に示す様に本発明法によって得られる膜は耐摩耗
性に優れたものであることが確認された。
[発明の効果] 本発明は以上の様に構成されており、耐摩耗性に卓越し
た被覆膜を効率良く得ることができ、該被覆膜を形成し
た耐摩耗性工具類等を効率良く提供することができた。
【図面の簡単な説明】
第1図(a),(b)は本発明法によって得られた被覆
膜の縦断面金属組織を示す図面代用顕微鏡写真、第2図
(a),(b)は従来法によって得られた被覆膜の同図
面代用顕微鏡写真である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガス圧力:1×10-3〜3×10-1Torr、基板バ
    イアス電圧:−50V〜−1500Vとするカソードアーク方式
    のイオンプレーティング法を用いることによって、膜厚
    方向に指向した緻密な繊維状組織を有する耐摩耗性被覆
    膜を製造することを特徴とする耐摩耗性被覆膜の製造方
    法。
JP62199408A 1987-08-10 1987-08-10 耐摩耗性被覆膜の製造方法 Expired - Lifetime JPH0774426B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS5380379A (en) * 1976-12-27 1978-07-15 Tsuneo Nishida Ion plating apparatus
JPS56156767A (en) * 1980-05-02 1981-12-03 Sumitomo Electric Ind Ltd Highly hard substance covering material

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