JPH077308Y2 - コークス炉集塵装置のフードダンパ開閉装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は多数の窯を列設したコークス炉の窯出作業時に
コークガイド車側に発生する含塵ガスを集塵するコーク
ス炉集塵装置のフードダンパ開閉装置に関するものであ
る。

＜従来の技術＞ 一般にコークス炉においてはコークス炉に配設された各
窯に装炭車により石炭を装入し、その窯内で一定時間乾
留した後に、コークスを押出機によって炉前面側に押し
出して窯出しし、その赤熱したコークスをコークガイド
車を介して消火車に入れたのち消火してコークスを製造
する作業が行われる。

この炉作業は多数配設する窯において順次行われるため
ほぼ連続作業になり、その作業中はたえずあちこちから
含塵ガスが発生するが、特にコークス窯出し作業中には
一段と多量の含塵ガスが発生する。このようなコークス
窯出し作業中における含塵ガスは集塵フードによって集
塵されている。

ところで２ポイント方式のコークガイド車には、コーク
ス炉のドアリフタと窯から押し出されるコークスを消火
車に導くコークガイドウエイが数窯分だけ離して装備さ
れているため、蓋取外し→コークス押し出し→蓋取付け
の各段階でコークガイド車をシフトさせる必要がある。

本来、炉蓋取り外し，コークス押し出し，蓋取り付けの
窯出し全期間に亘って集塵するのが好ましいが、前述の
ようにコークガイド車をシフトする必要があるので、従
来ガイドウエイが押し出し窯の炉口芯に合致しているコ
ークス押出し作業中のみ集塵を行い炉蓋の取り外し、取
り付け時には集塵できないという欠点があった。

上記欠点を解決するものとして特開昭51−49202号公報
にはコークス炉の炉蓋を取り外す時からコークス押し出
し作業を完了し炉蓋を取り付け時までの間に発生する含
塵ガスを捕集する手段が提案されている。

すなわち上記手段は、コークス炉からコークスをコーク
ガイド車を介して消火車へ押し出す際に発生する含塵ガ
スを消火車上を覆う如く配設した集塵フードで捕集し、
かつその集塵フードの接続口から吸引ダクトを介して集
塵機に吸引する。

それと共に、コークガイド車にこの蓋取り機による炉蓋
脱着作業時コークス炉の炉口外側を覆う炉口フードを設
け、かつこの炉口フードの接続口を前記集塵フードの接
続口と隣接させて吸引ダクトに接続可能に配設すると共
に、この炉口フードの接続口に吸引ダクトの吸引口開閉
機構を設ける。

炉口フード接続口の吸引口蓋開閉機構によって吸引口蓋
を開閉操作し、コークス炉の炉蓋取り外し時から集塵を
始め、コークガイド車のシフト時には複数個（例えば４
個）の吸引ダクトの吸引口が順次炉口フード接続口から
集塵フード接続口に移動する。このようにすることによ
って炉蓋取り時から窯出作業完了時までの間に発生する
含塵ガスを除去できるようにしたものである。

また実開昭59−33746号公報には第５図に示すコークス
炉集塵装置が開示されている。

第５図に示す例では、コークス炉１の窯出口端上方に列
設した集塵フード10にフードダンパ11をコークガイド車
２上に設置したダンパ駆動シリンダ14によって開閉する
ようになっている。集塵フード10に接続した集塵ダクト
12にブラケツト16を突設し、ダンパ開閉レバー保持フッ
ク17をその上端でピン18によりブラケツト16に枢着して
垂下し、ダンパ開閉レバー保持フック17の自重による垂
下位置において下端掛合部19がダンパ解放位置13′にあ
るダンパ開閉レバー13上の掛合杆または突起20に掛合し
てダンパ開閉レバー13をダンパ解放位置に保持するよう
構成する。

ダンパ開閉レバー13と保持フック17の掛合を外すための
手段として、コークガイド車２上に設けた支柱21上に釈
放用シリンダ22を固設し、シリンダ22のロッド23を伸長
することによって保持フック17を実線図示の掛合位置か
ら鎖線図示の釈放位置に押し出すよう構成している。な
お、保持フック17の作動を確実にするため、スプリング
24が設けられている。

＜考案が解決しようとする課題＞ しかるに前記特開昭51−49202号公報により提案されて
いる手段は、集塵フードの接続口と炉口フードの接続口
の２組の接続口を必要とするため、固定された吸引ダク
トの荷重負担が増大し、またコークガイド車走行時の抵
抗も増大する他、設備が複雑でかつ大掛かりとなるため
設備費が嵩むという問題点があった。

また前記実開昭59−33746号公報により提案されている
手段はダンパ開閉レバー13を開閉する開閉シリンダ14の
他に保持フック17を前後に回動させる釈放用シリンダ22
を必要とするばかりでなくダンパ開閉レバー13とスプリ
ング４が設けられた保持フック17を掛合わせたり、取り
外したりする機構が複雑で故障し易く、操作も煩雑であ
るという問題点があった。

本考案は前記従来技術の問題点を解消し、簡単な構造に
よって炉蓋脱着時およびコークス押し出し時の全作業工
程に亘り集塵が可能なコークス炉集塵装置のフードダン
パ開閉装置を提供することを目的とするものである。

＜課題を解決するための手段＞ 上記目的を達成するための本考案は、コークス炉の窯出
口端上方に列設された各集塵フードにフードダンパを経
て集塵ダクトが接続されているコークス炉集塵装置のフ
ードダンパ開閉装置において、前記フードダンパの開閉
レバーに接続してコークス炉側にフードダンパ開閉機構
を設置し、前記フードダンパ開閉機構に組み込まれた操
作ロッドの後端部に励磁鉄片を取り付ける一方、コーク
ガイド車の上部に当該コークガイド車のドアリフタが押
出窯の芯に合致して停止したときに前記コークス炉側に
設置した操作ロッドの励磁鉄片に対向する位置にロッド
先端部に電磁石を取り付けたダンパ開閉用シリンダを設
置してなることを特徴とするものである。

なお、本考案ではフードダンパ開閉機構としてフードダ
ンパに開閉レバーを介してダンパ駆動シリンダが接続さ
れると共にコークス炉側に前記開閉シリンダを開閉操作
するレバー操作式電磁切換弁が設置され、かつ前記レバ
ー操作式電磁切換弁のレバーを切換操作する操作ロッド
を設置すると共に、前記操作ロッドの後端部に励磁鉄片
を取り付けたもの、あるいはフードダンパの開閉レバー
に接続して操作ロッドを設置すると共に、前記操作ロッ
ドの後端部に励磁鉄片を取り付けたものを使用すること
ができる。

＜作用＞ コークガイド車をドアリフタが押出窯の芯に合致して停
止させた後、コークス炉のコークス窯出しに際して、コ
ークガイド車に設置したダンパ開閉用シリンダを前進操
作し、コークス炉側に設置した操作ロッドを押し込むこ
とによってフードダンパを閉から開に切り替え、窯出し
時に発生する含塵ガスをコークス炉の窯出口端上方の集
塵フードを介して集塵ダクトに導き集塵する。

コークス窯出しが終了したら、再びコークガイド車上の
ダンパ開閉用シリンダをコークス炉側の操作ロッドの位
置まで前進させ、ダンパ開閉用シリンダのロッド先端部
に組み込んだ電磁石を励磁して、操作ロッドの後端部に
取り付けた励磁鉄片を吸着させた後、ダンパ開閉用シリ
ンダを操作ロッドと共に後退させることによってフード
ダンパを開から閉に切り換え、集塵フードからの集塵を
終了する。

＜実施例＞ 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。第２
図および第３図において、１はコークス炉、２は炉前デ
ッキ３上のレール４によって炉前デッキ３に沿って移動
するコークガイド車である。このコークガイド車２には
コークス炉１の窯出口に装着した炉蓋５を脱着するドア
リフタ６とコークス炉１から押し出されるコークスを消
火車（図示せず）にガイドするコークガイドウエイ７と
が互いに数窯分だけ離して装備されている。

コークス炉１内のコークスを窯出しする際に発生する含
塵ガスを集塵するためコークス炉１の各窯出口端に対応
して上方に集塵フード10が列設されており、各集塵フー
ド10はフードダンパ11を経て集塵ダクト12が接続されて
いる。

第１図は第２図のＡ部詳細図であり、フードダンパ開閉
装置の構成例を示している。第１図において、フードダ
ンパ11にはダンパ軸８および開閉レバー13を介してダン
パ駆動用シリンダ14が接続されている。このダンパ駆動
用シリンダ14と対をなしてレバー操作式の切換弁９が設
置されており、ダンパ駆動用シリンダ14と切換弁９とは
配管15によって接続されていて、切換弁９を切り換える
ことによってダンパ駆動用シリンダ14を伸縮するように
なっている。

切換弁９のレバー9aの先端ローラ9bに嵌合する一対の爪
30aを有する切換弁操作ロッド30が軸受30bに支承されて
いると共に操作ロッド30の後端部には励磁鉄片31が取付
けてある。

以上の構成部品は各窯出口に対応したフードダンパ11毎
に１組ずつ設けられ、これらは集塵ダクト12またはコー
クス炉１等のコークス炉側に固定した支持フレーム（図
示せず）に支持されている。

一方、ガイド車２の上部にはロッド32の先端部に電磁石
33を取り付けたダンパ開閉用シリンダ34が設置されてお
り、その取り付け位置は、コークガイド車２のドアリフ
タ６が押出窯の芯に合致して停止したとき、当該窯出口
のダンパ切換弁操作ロッド30の後端部に取り付けた励磁
鉄片31に対向する位置となるようにしてある。また、コ
ークガイド車２が走行する時の干渉を避けるため、ダン
パ開閉用シリンダ34を後退時に電磁石33と励磁鉄片31と
の間には100〜200mm程度の間隔S₁を確保しておく必要が
ある。

次にコークス炉１の乾留を完了した窯から赤熱コークス
を押し出す窯出作業の工程に従って本実施例の作用を説
明する。

まずコークガイド車２は炉蓋５を取り外すため押出窯出
口の芯に合致する位置に停車する。引き続き、コークガ
イド車２上部のダンパ開閉用シリンダ34を作動してロッ
ド32を前進させて操作ロッド30を押し込むと爪30aによ
って切換弁９のレバー9aが実線位置から点線位置に回転
し、これによって配管15がダンパ駆動シリンダ14を前進
させる回路側に切り替わる。このためダンパ駆動シリン
ダ14の前進駆動によってフードダンパ11が閉状態から開
状態となる。

ダンパ開閉用シリンダ34は、操作ロッド30の押し込み完
了後、即座に後退させるが、操作ロッド30は押し込まれ
た位置に静止しており、フードダンパ11は開状態が維持
される。上記フードダンパ11の開工程と並行して、集塵
ダクト12に接続された集塵機（図示せず）をコークガイ
ド車２からの指令信号により低速運転から高速運転に切
り替える。

以上の動作により押出窯出口上方の集塵フードが吸引状
態となったらドアリフタ６により炉蓋５を取り外すと、
コークス炉１の窯出口から上昇する含塵ガスは集塵フー
ド10に吸引され集塵される。次にコークガイド車２は押
出コークスを消火車に誘導するために、ガイドウェイ７
の芯を押出窯芯に合致する位置にシフトする。引き続き
押出機（図示せず）によりコークス炉１内のコークスが
押し出される。この間も、窯出口上方のフードダンパ11
は解放されており、ガイドウェイ７を通過するコークス
からの含塵ガス上昇流を集塵フードで吸引して集塵して
いる。

コークスの押し出し完了後、コークガイド車２は再びド
アリフタ６芯を押出窯芯に合致する位置にシフトし、炉
蓋５を装着と同時に集塵機に低速指令を出し、低速運転
に戻す。

この時点で、ダンパ開閉用シリンダ34を再度前進させ、
前進端到達時にシリンダロッド32の先端に取り付けた電
磁石33を励磁することにより操作ロッド30の後端部に取
り付けた励磁鉄片31を吸着状態とする。この状態でダン
パ開閉用シリンダを後退させることにより操作ロッド30
が引き戻され、切換弁９がダンパ駆動シリンダ14の後退
回路に切り替わり、フードダンパ11は閉塞状態になる。
なお、操作ロッド30には切換弁９のレバー9aのストロー
クS₂に合わせてストッパ機能を設けることにより過度の
押し込み・引き戻しを防止することができる。

上述の実施例では、フードダンパ11を駆動するダンパ駆
動用シリンダ14およびダンパ開閉用シリンダ34を設ける
他に切換弁９を介在させて操作する方式について説明し
たが、軽微な操作力で作動できるフードダンパであれ
ば、第４図に示すように操作ロッド30の先端部を開閉レ
バー13に直結しフードダンパを前記実施例に準ずる手順
で開閉する構成も可能である。

＜考案の効果＞ 以上説明したように本考案によれば、フードダンパ開閉
用シリンダに電磁石を付加するのみの簡単な構造により
操作ロッドを引き戻すことが可能であり、経済的であ
る。また電磁石と励磁鉄片との結合のためコークガイド
車の停止位置誤差やレベル誤差を全て吸引できるばかり
でなく、２ポイント式コークガイド車においてコークス
押出全工程に亘り集塵が可能となり環境改善の効果が多
大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す線図的側面図（第２図
のＡ部詳細）、第２図は本考案の全体配置を示す概略側
面図、第３図は本考案の全体配置を示す概略正面図、第
４図は本考案の他の一実施例を示す線図的側面図、第５
図は従来例を示す線図的側面図である。 １…コークス炉、２…コークガイド車、５…炉蓋、６…
ドアリフタ、７…ガイドウェイ、９…レバー操作式切換
弁、10…集塵フード、11…フードダンパ、12…集塵ダク
ト、13…開閉レバー、14…ダンパ駆動シリンダ、30…操
作ロッド、31…励磁鉄片、32…ロッド、33…電磁石、34
…ダンパ開閉用シリンダ。

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】コークス炉の窯出口端上方に列設された各
   集塵フードにフードダンパを経て集塵ダクトが接続され
   ているコークス炉集塵装置のフードダンパ開閉装置にお
   いて、前記フードダンパの開閉レバーに接続してコーク
   ス炉側にフードダンパ開閉機構を設置し、前記フードダ
   ンパ開閉機構に組み込まれた操作ロッドの後端部に励磁
   鉄片を取り付ける一方、コークガイド車の上部に当該コ
   ークガイド車のドアリフタが押出窯の芯に合致して停止
   したときに前記コークス炉側に設置した操作ロッドの励
   磁鉄片に対向する位置にロッド先端部に電磁石を取り付
   けたダンパ開閉用シリンダを設置してなることを特徴と
   するコークス炉集塵装置のフードダンパ開閉装置。
2. 【請求項２】フードダンパに開閉レバーを介してダンパ
   駆動シリンダが接続されると共にコークス炉側に前記駆
   動シリンダを開閉操作するレバー操作式電磁切換弁が設
   置され、かつ前記レバー操作式電磁切換弁のレバーを切
   換操作する操作ロッドを設置すると共に、前記操作ロッ
   ドの後端部に励磁鉄片を取り付けてなることを特徴とす
   る請求項（１）記載のコークス炉集塵装置のフードダン
   パ開閉装置。
3. 【請求項３】フードダンパの開閉レバーに接続して操作
   ロッドを設置すると共に、前記操作ロッドの後端部に励
   磁鉄片を取り付けてなることを特徴とする請求項（１）
   記載のコークス炉集塵装置のフードダンパ開閉装置。