JPH0771840A - 煙管式高温再生器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】限界熱負荷に対し、燃焼ガス流入部のＬｉＢｒ
水溶液側にフィン部９ａ，突起部９ｂ等の既知の沸騰熱
伝達向上の手段を設け、燃焼ガスからの伝熱をＬｉＢｒ
水溶液には沸騰熱伝達の限界より十分低い熱負荷で伝え
る。 【効果】これにより燃焼ガス流入部の熱負荷が高くと
れ、ガス流速も高速化できるので、出口部でも熱伝達を
高くでき、全体として高温再生器の小形化が図れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、吸収冷温水機用の高温
再生器に係り、特に、ＬｉＢｒ水溶液に接する壁面の熱
負荷の均一化を図ることにより、小形で起動時の立上り
特性向上を図ることにある。

【０００２】

【従来の技術】従来の構成の煙管式高温再生器では、燃
焼ガスが煙管内に流入する部分（煙管を支える壁と煙管
の上流側の端部）は高温の燃焼ガスと燃焼室内の火炎か
らの輻射熱のために非常に高い面積当りの熱量（以下、
熱負荷と呼ぶ。）を受けるものであり、例えば、日本ボ
イラ協会発行のボイラ便覧のＰ.３２１〜Ｐ.３２２に示
される図１０.５，図１０.６ 炉筒煙管組合せボイラの
様な構造となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】一般ボイラのように水
を加熱する場合には、沸騰によって高い熱負荷を処理で
きるが、ＬｉＢｒ水溶液では、沸騰によって高い熱負荷
を処理しようとするとＬｉＢｒ水溶液特有の現象である
腐食の発生し易い状況となる限界熱負荷を越える心配が
ある。このため、煙管の燃焼ガス流入部では熱負荷を低
く抑える事より、多くの伝熱面積の確保と多数の煙管を
配列する必要が生じていた。

【０００４】また、流入部で熱負荷を低く抑えるために
煙管の出口部では、燃焼ガス温度低下によってガス流速
も低減し、伝熱量が減少することより煙管長を確保して
高温再生器を大形化しないと、必要な伝熱量を得られな
いものであった。

【０００５】大形化した高温再生器はそれ自体コストの
点で不利であるが、多量のＬｉＢｒ水溶液が必要となり
コスト以外にも定格状態になるまでの起動時の立上り時
間を要する事より性能的にも問題となっていた。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、限界熱負荷に
対し、燃焼ガス流入部のＬｉＢｒ水溶液側にフィン部，
突起部等の既知の沸騰熱伝達向上の手段を設け、燃焼ガ
スからの伝熱をLiBr水溶液に沸騰熱伝達の限界より十分
低い熱負荷で伝える構造としたものである。

【０００７】

【作用】これにより燃焼ガス流入部の熱負荷が高くと
れ、ガス流速も高速化できるので、出口部でも熱伝達を
高くでき、全体として高温再生器の小形化が図れる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明す
る。

【０００９】図１は、本発明の高温再生器の断面図であ
る。

【００１０】この種類の高温再生器（以下、全体を炉筒
煙管式高温再生器と呼ぶ。）は、外筒１に加熱源の炉筒
２（炉筒前方部＝燃焼室３・炉筒後方部＝煙管４）と受
熱側のＬｉＢｒ水溶液５を内装してなり、燃焼室３には
バーナ６が接合し、燃焼室３と煙管４を管板７で接合し
ている。一方、ＬｉＢｒ水溶液５は、給液管８によって
外部より適時供給されている。

【００１１】ここで、燃焼ガスが煙管４内に流入する部
分（煙管を支える管板７と煙管４の上流側の端部）のＬ
ｉＢｒ水溶液５に面した部分は、本発明によるフィン部
９ａ，突起部９ｂ等の既知の沸騰熱伝達向上の手段を設
けている。

【００１２】バーナ６の燃焼により発生する火炎１０
は、燃焼室３内で燃焼を完了し、輻射熱を放出して温度
の低下した燃焼ガスとして煙管４に流入し、煙管４を経
て管外に排出される。ここで発生した熱は、燃焼室３，
煙管４と外筒１との間で保有されるＬｉＢｒ水溶液５を
加熱し、水溶液の水分のみを蒸気として発生させること
によって濃度の高いＬｉＢｒ水溶液５を再生するもので
ある。

【００１３】一方、低濃度のＬｉＢｒ水溶液５は給液管
８によって、外部より補給される構成となっている。

【００１４】この様な、加熱源と受熱側の関係の中で最
も熱負荷の高い部分は、熱流が急縮小する煙管４内に流
入する部分（煙管を支える管板７と煙管４の上流側の端
部）となっている。

【００１５】また、ここは火炎１０よりの輻射熱を直接
受ける事より構造的にも熱負荷が高い部位となってい
る。

【００１６】ここで、本発明のフィン部９ａ，突起部９
ｂ等の形状の部品をＬｉＢｒ水溶液５側に設け液側の熱
伝達の向上を図るものである。

【００１７】これによつて、煙管４からＬｉＢｒ水溶液
側５をみた熱負荷は十分に小さく、熱的に安全な形態で
伝熱するため、逆に燃焼ガスの流入速度を高く設定して
熱伝達を上げる事も可能となる。

【００１８】図１（Ａ部詳細）は、煙管４の上流端の構
造詳細を示すもので、管板７に開口がありこれに臨む煙
管４が対峙して連なり、溶接部１３のように溶接されて
いる。

【００１９】溶接部１３の煙管４を取りつける開口の外
周側と煙管４の外側にフィン９ａ・９ｂがつけられ、Ｌ
ｉＢｒ水溶液５に接する表面積を増加させている。この
ため流入する燃焼ガスの温度が高く、流速が早く伝えら
れる熱量が大きくても液に接する面積が大きいので、Ｌ
ｉＢｒ水溶液５の側の熱負荷は小さい。

【００２０】図２，図３は煙管４の下流部の熱伝達増策
の一例である。

【００２１】図２は、管板７の直後は滑らかな煙管４の
内壁で、続いて内面に螺旋状の突起１１（図示しないが
円形の突起や断続した突起など同様な効果をもつ内面形
状としてもよい）、さらに下流には熱伝達の面積を増加
させる内装フィン１２を設けてある。

【００２２】図３は、乱流・旋回流を発生させるフィン
形態であり、フィン１４は既知の種々の形状でよいが、
煙管管内を機械的にとりはずし可能なものが望ましい。
この際フィン１４の外周が管の内周の押し付けられ、乱
流・旋回流の発生はもちろん伝達管の伝熱用隆起として
役立つことが望ましい。

【００２３】

【発明の効果】本発明によると煙管４の外側にあるＬｉ
Ｂｒ水溶液５の熱負荷を高くしないで煙管４下流の管内
熱伝達を上げられる事ができ、比較的全体が均一に近い
熱負荷とすることができる。

【００２４】このことより炉筒煙管式高温再生器に於い
て、熱負荷条件(小形化と高熱負荷)により限界となって
いたので、本発明により大幅な小形化が計れ、相乗効果
として定格状態になるまでの起動時の立上り時間を短縮
する事が可能となるため、性能向上も図れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の高温再生器の断面図。

【図２】煙管の下流部の説明図。

【図３】煙管の下流部の説明図。

【符号の説明】

４…煙管、７…管板、９…フィン部（９ａ），突起部
（９ｂ）、１２…煙管内の内装フィン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ＬｉＢｒ水溶液の加熱源と、前記加熱源と
   接続して成る燃焼室及び煙管と給液管より流入する希釈
   ＬｉＢｒ水溶液、燃焼室・煙管を内装する外筒とで構成
   され、前記燃焼室・前記煙管の周囲にある前記希釈Ｌｉ
   Ｂｒ水溶液を加熱して濃LiBr水溶液に変換する吸収冷温
   水機用の煙管式高温再生器に於いて、燃焼ガスが流れる
   前記燃焼室と前記煙管部分の接合する前記燃焼室の終端
   の壁、前記煙管の燃焼ガス流入口のいずれか或いは両方
   のＬｉＢｒ水溶液に接する壁面に、突起・フィン等の熱
   伝達を増加させる手段を設けてなることを特徴とする煙
   管式高温再生器。