JPH0771778B2 - パレット交換装置の安全装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、パレット交換装置の安全装置に関する。更
に詳しくは、工作機械において、工作物を搭載するため
のパレットを工作機械に待機位置との間で自動交換する
ためのパレット交換装置の安全装置に関する。

［従来技術］ マシニングセンタなどの工作機械は、パレットに工作物
を取付け、このパレットを工作機械のテーブル上に固定
して加工される。加工開始時と加工終了時には、加工済
の工作物が取付けられたパレットと、未加工の工作物が
取付けられたパレットとを交換する必要がある。このパ
レットの交換は、パレット交換装置で行なわれる。パレ
ットの交換は、工作機械の非加工時間の短縮という点か
ら高速度で交換できるものが望ましい。

パレット交換装置には種々のタイプのものが知られてい
るが、この中でパレットに設けられた断面が略台形状の
係合溝と、交換アームに設けられ、この係合溝に対応す
る形状を有する係合爪とを交換アームの上昇動作で係合
させるのみで両パレットの一端を支持して交換するタイ
プが知られている。

このタイプのパイレット交換装置は、きわめて簡単な構
造であることから、動作も簡単であり交換時間も短い。
しかし、パレットを支持する構造が簡単なゆえに、係合
溝と係合爪との係合が不完全な状態でパレット交換され
ることがあり、作業者の安全および機械の破損などの点
から若干問題がある。

［発明が解決しようとする課題］ この発明は、以上のような背景で発明されたものであ
り、以下の目的を達成する。

この発明の目的は、安全にパレット交換を行うためのパ
レット交換装置の安全装置を提供するものである。

［前記課題を解決するための手段］ 前記課題を解決するために次のよう手段を採る。

パレット（45）を支持し旋回するための交換アーム（1
0）と、この交換アーム（10）に固定された回転軸
（４）と、この回転軸（４）を回転駆動するための回転
駆動手段（６），（22）と、前記回転軸（４）を前記回
転軸（４）の軸線方向に上下駆動させるための上下駆動
手段（７），（20）と、前記交換アーム（10）の両端に
設けられた係合爪（13）と、この係合爪（13）により前
記パレット（41）を支持したときの前記係合爪（13）と
前記パレット（41）の係合部（46）との密着を検知する
ための密着検知手段（48），（52a），（52b），（53）
と、この密着検知手段（48），（52a），（52b），（5
3）が密着してない状態を検知すると前記上下駆動手段
（７），（20）および前記回転駆動手段（６），（22）
の動作を停止させる制御装置（66）とからなるパレット
交換装置の安全装置である。

断面がＶ字状の前記係合爪（13）と、前記パレットに形
成した前記係合爪（13）に対応するＶ字状の係合溝（4
6）と、前記係合爪（13）と前記係合溝（46）との間の
密着を空気の噴出の有無により検知するための前記密着
検知手段（48），（52a），（52b），（53）とを設ける
と更に効果的である。

［作 用］ 交換アーム10の上昇により、交換アーム10の係合爪13が
係合溝46内に挿入させられる。仮に、正常に係合されな
いときは、空気噴出口52a,52bからの空気の噴出は止め
られないので、空気路49,50,51内の内圧は高くなること
はないので、圧力スイッチ48はこれを検知しないので、
次の動作には移らずアラームなど発する。

係合爪13と係合溝46との係合が正常なときは、空気噴出
口52a,52bからの空気の噴出が止められ、圧力スイッチ4
8がこれを検知し、次の動作に入る。

［実施例］ パレット交換装置 以下、この発明の実施例を図面にしたがって説明する。
第１図はパレット交換装置の断面図、第２図はパレット
交換装置の平面図、第３図は安全装置の説明図である。
本実施例のパレット交換装置は、工作機械の本体である
ベッド１に一体に設けてある。ベッド１に固定された本
体２には、移動しない固定軸３が設けらえている。固定
軸３には、回転軸４の下端部が回転自在に挿入されてい
る。

回転軸４の中間部と上端部外周の２か所には、軸受５が
設けられ、回転軸４を回転自在に支持している。回転軸
４の下端には、ピニオン６が設けられている。回転軸４
の中間部には、ピストン７が挿入されている。ピストン
７は、下部カラー８と上部カラー９とに挟まれて固定さ
れている。ただし、下部カラー８、上部カラー９、ピス
トン７および回転軸４は、一体の部材で製作しても良
い。上部カラー９の最上部の回転軸４には、交換アーム
10が挿入され、接続キー11、固定用キャップ12により回
転軸４に固定されている。

交換アーム10の両端には、２本の係合爪13がそれぞれ一
体に設けてある。係合爪13は、断面が略台形状の形をし
たものである。係合爪13は、後述するようにパレット45
に設けられた係合溝46に挿入されて密着し、パレット45
を支持する。交換アーム10の下面の両端には、位置決め
穴14,14が形成されている。一方ピストン７は、本体２
に形成されたシリンダ室20内に挿入されている。シリン
ダ室20の上端の本体２には、スラスト軸受21が配設され
ている。

スラスト軸受21は、ピストン７が上昇したときピストン
７の上端に接触し、軸線方向の荷重を受け止めるもので
ある。固定軸３の近傍の本体２には、シリンダ60のピス
トンロッド61（第３図に連結されて駆動されるラック22
が設けてある。ピスト７が上昇したとき、ラック22とピ
ニオン６とは噛み合い、ラック22によりピニオン６が回
転駆動される。

本体２には、交換アーム10に設けた位置決め穴14に挿入
する位置決めピン23が固定されている。位置決めピン23
は、交換アーム10の位置決め穴14に挿入されて交換アー
ム10を位置決め固定するためのものである。回転軸４と
平行に本体２には、検知棒24が上下動自在に設けられて
いる。検知棒24には、ドッグ25が形成されており、この
ドッグ25の位置は３個のセンサ26a,26b,26cにより検出
される。

センサ26は交換アーム10が待機位置にあることを検知
し、センサ26bは交換アーム10の係合爪13が係合溝46に
挿入される位置を検出し、センサ26cは交換アーム10が
パレット45を持ち上げた位置を検知する。検知棒24のド
ッグ25と本体２との間には、コイルスプリング27が介在
されている。このコイルスプリング27は、検知棒24を常
に上方に移動するように設けられている。

パレット待機ステーション パレット交換装置の隣には、パレット待機ステーション
Ａが配設されている。パレット待機ステーションＡは、
オペレータによるワーク着脱、地具の着脱、パレットの
載せ換えなどのワークの段取り換えを行うためのステー
ションである。この段取り換えは、通常ワークを工作機
械で加工中に行うものである。段取り作業を素速く行う
ためには、パレット45の旋回が自由に行われる必要があ
る。以下に説明する機構は、このパレット45の旋回機構
である。

本体２には、回転軸４と平行な回転軸30の下端が挿入さ
れ固定されている。固定軸30の上端には、軸受31を介し
て円板状の旋回台32が回転自在に支持されている。旋回
台32の上面には、位置決めピン33が設けられている。位
置決めピン33は、パレット45の下面に設けられた位置決
め穴に挿入されて、パレット45を旋回台32上に位置決め
するものである。

旋回台32の外周下面には、旋回台32を回転割出しするた
めに等角度に４個すなわち90度ごとに割出し穴34が設け
られている。一方、固定軸30の上端に張り出して旋回台
32の割出装置本体35が一体に固定されている。この本体
35には、割出し穴34に挿入される割出しピン36が上下動
自在に設けられている。割出しピン36と本体35との間に
は、コイルスプリング37が介在されており、割出しピン
36を常に割出し穴34に挿入する方向に押圧している。

割出しピン36の下端には、レバー38の中間部分が軸39に
より回転自在には設けられている。レバー38の先端は、
本体35に固定されたＬ字材40の一端に挿入されている。
結局、レバー38は、Ｌ字材40を中心に揺動するテコ機構
を構成する。一方、パレット交換装置を挟んでパレット
待機ステーションＡの対向側には、工作機械に設けられ
たパレットクランプ装置41が配置されている。パレット
クランプ装置41は、ガイド43,43に案内されて移動自在
でボールスクリュー44、図示しないサーボモータ、制御
装置66により移動位置を制御され、パレット交換時には
パレット交換装置を挟んでパレット待機ステーションＡ
と対向する位置に位置決めされる。パレットクランプ装
置41の構造、機能は公知であるのでここでは詳記しな
い。

パレット45は、ほぼ板状の正四角形をしたものであり、
下面にはパレットクランプ装置41でクランプするために
クランプ爪、位置決め用の突起などが設けてあるもの
で、公知の構造である。

パレット45の一端には、交換アーム10の係合爪13を挿入
するために係合溝46が２か所に設けられている。係合溝
46は、断面が略台形状の形をしており、係合爪13とは凹
凸逆の関係で係合する。係合爪13と係合溝46との係合
は、テーパー係合のため、両者の係合は強固である。

しかし、このテーパー係合面に切粉などの異物が入った
り、または係合角度、位置が正しくないとき両者は密着
しない。次に示す安全装置は、この係合面の密着を確認
し、パレット交換動作の安全をチェックするためのもの
である。

密着確認装置 第３図は、安全装置の説明図である。係合溝46の上部に
は、押圧ピン53が上下動自在に設けらえており、押圧ピ
ン53はスプリング54により常時下方に移動するように押
圧されている。係合爪13が係合溝46内に正常に挿入され
ると、係合爪13の上端が押圧ピン53の下端面に接触し、
スプリング54に抗して押圧ピン53を押し上げる。

他方、固定軸３の中心には、空気路49が形成されてい
る。空気路49には、空気源47から一定圧力の空気が供給
されている。空気路49中には、分岐されて空気の圧力を
検知する圧力スイッチ48が接続されている。圧力スイッ
チ48は、空気路49内の空気が一定圧力以上になるのを検
出する。固定軸３の空気路49は、回転軸４の中心に設け
た空気路50と接続されるように設けられている。固定軸
３と回転軸４とは相対回転運動を行うので、両者は流体
継手を構成する。

空気路50は、回転軸４の上部の固定用キャップ12の空気
路を通り、更に交換アーム10の空気路51に接続されてい
る。空気路51からの空気は、各々の係合爪13の空気噴出
口52a,52bから噴出される。空気噴出口52aは、係合爪13
の頂部に設けてあり、空気噴出口52aは正常のときは押
圧ピン53の下端面により閉そくされる。空気噴出口52b
は、係合溝46と係合爪13のテーパ係合面に噴出される
が、正常な係合のときは空気は噴出しない。

空気噴出口52a,52bがすべて閉そくされ噴出しないとき
は、空気路49,50,51内の圧力が高くなり圧力スイッチ48
が作動する。シリンダ室20は、電磁方向切換弁64を介し
て油圧源63に接続されている。シリンダ60は、電磁方向
切換弁65を介して油圧源63に接続されている。電磁方向
切換弁64,65のソレノイド64a,64b,65a,65bは、制御装置
66に接続されて制御されている。

交換アーム10の上昇位置を検知するセンサ26a,26b,26c
と、交換アーム10の180゜旋回位置と検知するセンサ62
a,62bは、制御装置66に接続されている。制御装置66は
これらのセンサ26a,26b,26c,62a,62bおよび圧力スイッ
チ48からの検知信号を受け、必要に応じてソレノイド64
a,64b,65a,65bを励磁し、パレット交換装置を制御す
る。

なお、パレット交換装置の上部には、工作機械側とパレ
ット待機ステーションＡ側とを仕切るためにカバー55が
配置されている。カバー55は、切粉など飛散を防ぐ。

作 動 パレット交換の指令が数値制御装置66により発せられる
と、サーボモータ、ボールスクリュ44を制御しパレット
クランプ装置41を交換位置に移動させる。次に制御装置
66は指令を発し、ソレノイド64aを励磁してピストン７
の下部のシリンダ室20に圧油を供給する。ピストン７
は、回転軸４、交換アーム10と共に上昇させられる。交
換アーム10の上昇により、交換アーム10の係合爪13が係
合溝46内に挿入させられる。交換アーム10の上昇により
係合爪13の上端は、押圧ピン53の下端をスプリング554
に抗して押し上げる。

このとき押圧ピン53の下端は、空気噴出口52aの出口を
ふさぐ。更に、空気噴出口52bは、係合溝46の側面によ
り空気の噴出が止められる。中間のセンサ26bは、この
位置すなわち係合爪13と係合溝46とが完全に係合する位
置を検知するようにセットされている。中間のセンサ26
bからの検知信号を受けると、制御装置66は圧力スイッ
チ48の検知状態から、係合爪13と係合溝46との係合が正
常か否かを判断する。

仮に、係合が正常でないときは、空気噴出口52a,52bか
らの空気の噴出が止められないので、空気路49,50,51内
の内圧は高くなることはない。このため、圧力スイッチ
48は何も検知せず、制御装置66は係合が正常でないは判
断し、交換アーム10はこれ以上の動作を停止させ、アラ
ームを発する。

係合爪13と係合溝46との係合が正常なときは、空気噴出
口52a,52bからの空気の噴出が止められ、圧力スイッチ4
8がこれを検知するので制御装置66は係合が正常である
と判断し、次の動作に入る。シリンダ室20に更に圧油が
供給され交換アーム10がパレット待機ステーションＡと
パレットクランプ装置41側の両パレット45,45を第１図
の２点鎖の位置まで上昇させ停止する。この交換アーム
10の上昇端は、センサ26cにより検知され制御装置66に
より確認される。

このとき、ピニオン６はラック22とかみ合う位置に移動
している。次に制御装置66はソレノイド65aあるいは65b
を励磁してラック22を駆動するシリンダ60に油圧を供給
する。これによってピストンロッド61を介して、ラック
22が移動しピニオン６が回転駆動させられる。この交換
アーム10の回転により両パレット45,45は、180度旋回さ
せられパレット待機ステーションＡとパレットクランプ
装置41との間で交換させられる。この180度旋回位置は
センサ62aあるは62bによって検知され制御装置66より確
認される。

制御装置66はセンサ62a,62bからの信号を受けると、再
度空気噴出口52a,52bからの空気の噴出があるか否かチ
ェックを行う。噴出していれば、異常であると判断し、
全てのソレノイドの励磁を解き、直ちにサイクル停止を
行い、アラームを発する。空気噴出口52a,52bからの空
気の噴出がなく正常であれば、ソレノイド64bを励磁し
てピストン７の上部のシンダ室20に圧油を供給し、交換
アーム10を下降させパレット交換装置の交換サイクルは
終了する。この後、パレットクランプ装置41は、パレッ
ト45をクランプする。

パレット待機ステーションＡでは、オペレータはパレッ
ト45上の工作物を取り付け、取り外しを行う。また、必
要があれば、レバー38を下方に下げて割出しピン36を割
出し穴34から引き抜いて旋回台32を回して、所望の角度
位置に割り出す。

［その他の実施例］ 前記した実施例の係合爪13と係合溝46との連結は、断面
が略台形状の部材によりテーパ係合であったが、断面が
略円形状のテーパ係合でも良い。また、交換アーム10の
空気噴出口は52aあるいは52bのいずれか一方でも良い。

また交換アーム10の上昇端すなわち、センサ26cが検知
したときに空気の噴出があるか否かをチェックし、正常
であるか否か判断してもよく、各動作の節目すべて行っ
てもよい。また係合爪13と係合溝46の係合している間は
常に圧力スイッチ48の検知状態をチェックしていてもよ
い。

［発明の効果］ 以上詳記したように、この発明は交換アームとパレット
との係合を確認しながらパレットの自動交換を行うので
安全にパレット交換ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はパレット交換装置とパレット待機ステーション
の断面図、第２図は第１図の平面図、第３図は安全装置
の説明図である。 １……ベッド、２……本体、３……固定軸、４……回転
軸、５……軸受、６……ピニオン、７……ピストン、８
……下部カラー、９……上部カラー、10……交換アー
ム、11……接続キー、12……固定用キャップ、13……把
握爪、14……位置決め穴、20……シリンダ室、48……圧
力スイッチ、52a,52b……空気噴出口、49,50,51……空
気路、66……制御装置

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】パレット（45）を支持し旋回するための交
   換アーム（10）と、この交換アーム（10）に固定された
   回転軸（４）と、この回転軸（４）を回転駆動するため
   の回転駆動手段（６），（22）と、前記回転軸（４）を
   前記回転軸（４）の軸線方向に上下駆動させるための上
   下駆動手段（７），（20）と、前記交換アーム（10）の
   両端に設けられた係合爪（13）と、この係合爪（13）に
   より前記パレット（41）を支持したときの前記係合爪
   （13）と前記パレット（41）の係合部（46）との密着を
   検知するための密着検知手段（48），（52a），（52
   b），（53）と、この密着検知手段（48），（52a），
   （52b），（53）が密着してない状態を検知すると前記
   上下駆動手段（７），（20）および前記回転駆動手段
   （６），（22）の動作を停止させる制御装置（66）とか
   らなることを特徴とするパレット交換装置の安全装置。
2. 【請求項２】請求項１において、断面がＶ字状の前記係
   合爪（13）と、前記パレットに形成した前記係合爪（1
   3）に対応するＶ字状の係合溝（46）と、前記係合爪（1
   3）と前記係合溝（46）との間の密着を空気の噴出の有
   無により検知するための前記密着検知手段（48），（52
   a），（52b），（53）であることを特徴とするパレット
   交換装置の安全装置。