JPH0770764A - ステンレス鋼部材、溶融炭酸塩型燃料電池用セパレータ、及びステンレス鋼部材の製造方法 - Google Patents

ステンレス鋼部材、溶融炭酸塩型燃料電池用セパレータ、及びステンレス鋼部材の製造方法

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JPH0770764A
JPH0770764A JP5228746A JP22874693A JPH0770764A JP H0770764 A JPH0770764 A JP H0770764A JP 5228746 A JP5228746 A JP 5228746A JP 22874693 A JP22874693 A JP 22874693A JP H0770764 A JPH0770764 A JP H0770764A
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JP
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stainless steel
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resistant layer
corrosion resistant
steel member
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JP5228746A
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English (en)
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Hiroshi Tateishi
浩史 立石
Kiyoshi Imai
潔 今井
Yoshihiro Akasaka
芳浩 赤坂
Hideyuki Ozu
秀行 大図
Kazuaki Nakagawa
和明 中川
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は、表面に耐食性が形成され、
優れた耐食性を有するステンレス鋼部材 【構成】 本発明は、クロムを含むステンレス鋼からな
る基材と、前記基材表面に形成されアルミニウムと前記
基材の構成元素の少なくとも一種からなる規則合金にク
ロムを含む粒状異種相が析出された構成を有する耐食層
とを具備することを特徴とするステンレス鋼部材であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、表面に耐食層が形成さ
れたステンレス鋼部材、溶融炭酸塩型燃料電池に電解質
板と共に組み込まれ、前記電解質板と接する面に耐食層
が形成されたエッジシール板を備える溶融炭酸塩型燃料
電池用セパレータ、及びステンレス鋼部材の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より各種の燃料電池が提案および実
用化されている。中でも、溶融炭酸塩型燃料電池は高効
率で、かつ燃料ガスとして石炭ガスが利用できるため、
広く研究、開発がなされている。
【0003】前記溶融炭酸塩型燃料電池は、例えば燃料
極、酸化剤極、電解質板および集電板により構成された
複数の単セルを積層し、これら単セル間にセパレータを
それぞれ配置して仕切った構造を有する。前記各セパレ
ータは、前記電解質板の周縁部を挟むように配置された
2枚のエッジシール板を備えている。前記エッジシール
板は、前記電解質板の周縁部と接してウェットシールを
形成し、前記単セルの発電部品を外部雰囲気からシール
ドする役目をなす。また、前記エッシシール板はそれぞ
れ前記電解質板の周縁部の挟持部においてスプリング部
材により所定の面圧が両側から加えられることにより、
前記ウェットシール性が確保されている。
【0004】前記エッジシール板は、従来、比較的耐食
性の優れたステンレス鋼から形成されている。ステンレ
ス鋼の中でもSUS316、SUS316L、またはS
US310Sは特に耐食性が優れているため、汎用され
ている。
【0005】しかしながら、前記電解質板の周縁部と接
するエッジシール板は、腐食性の高い溶融炭酸塩に直接
接している。このため、前記エッジシール板の材料であ
るステンレス鋼が激しく腐食する。その結果、腐食生成
物により燃料極側のエッジシール板およひ酸化剤極側の
エッジシール板の間の短絡が起こり、電池の長寿命化が
妨げられるという問題があった。
【0006】このようなことから、ステンレス鋼からな
る基材の表面をアルミニウムで被覆し、900℃以上の
温度で熱処理してアルミニウムを前記基材に拡散させて
耐食層を形成することにより耐食性を改善したエッジシ
ール板を作製することが行われている。しかしながら、
前記耐食層には基材のステンレス鋼に達する亀裂が形成
されるため、前記亀裂が達するステンレス鋼部分で腐食
が進行して、電池の寿命に悪影響を与えるという問題が
あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、表面
に耐食層が形成され、優れた耐食性を有するステンレス
鋼部材を提供しようとするものである。本発明の別の目
的は、電解質板と接する面に耐食層が形成され、優れた
耐食性を有するエッジシール板を備える溶融炭酸塩型燃
料電池用セパレータを提供しようとするものである。
【0008】本発明の別の目的は、表面に耐食層が形成
され、優れた耐食性を有するステンレス鋼部材を極めて
簡単に製造することができる方法を提供しようとするも
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によると、クロム
を含むステンレス鋼からなる基材;および前記基材表面
に形成され、アルミニウムと前記基材の構成元素の少な
くとも一種とからなる規則合金にクロムを含む粒状異種
相が析出された構成を有する耐食層;を具備するステン
レス鋼部材が提供される。
【0010】本発明によると、クロムを含むステンレス
鋼からなる基材と、前記基材の少なくとも電解質板周縁
部と接する表面層にアルミニウムと前記ステンレス鋼の
構成元素の少なくとも一種からなる規則合金にクロムを
含む粒状異種相が析出された構成を有する耐食層とを具
備するエッジシール板を備えたことを特徴とする溶融炭
酸塩型燃料電池用セパレータが提供される。
【0011】また、本発明によるとクロムを含むステン
レス鋼からなる基材の表面にアルミニウム層を形成する
工程;および非酸化性雰囲気中、670〜840℃の温
度で熱処理することにより前記基材表面にアルミニウム
と前記基材の構成元素との規則合金にクロムを含む粒状
異種相が析出された構成を有する耐食層を形成する工
程;を具備するステンレス鋼部材の製造方法が提供され
る。
【0012】本発明に係わるステンレス鋼部材は、クロ
ムを含むステンレス鋼からなる基材;および前記基材表
面に形成され、アルミニウムと前記基材の構成成分とか
らなる規則合金にクロムを含む粒状異種相が析出された
構成を有する耐食層;を具備する。
【0013】前記基材は、10〜27重量%のクロム、
0.1〜30重量%のニッケル、0.08重量%以下の
コバルト、2.0重量%以下のマンガン、1.5重量%
以下のシリコン、残部鉄および0.1重量%以下の不可
避的不純物元素の組成を有するステンレス鋼からる。前
記ステンレス鋼は、必要に応じてモリブデン、ニオブ、
チタン、ハフニウム、ボロンおよびアルミニウムから選
ばれる少なくとも1種の元素を5重量%以下含むことを
許容する。
【0014】前記規則合金とは、組成がほぼ均一であ
り、結晶構造が均一な合金を指し、例えばアルミニウム
と前記基材の主要構成成分である鉄およびニッケルとを
含むもの、またはアルミニウムと前記基材の主要構成成
分である鉄、ニッケルおよびクロムとを含むものからな
る。
【0015】前記粒状異種相は、15〜60重量%のク
ロムを含み、残部が前記規則合金の構成元素であること
が好ましい。ただし、前記粒状異種相の中のシリコン
(Si)の量は5重量%以下に抑えることが好ましい。
特に、前記粒状異種相はX線回折法で検出されるAl8
Cr5 を含むことが好ましい。
【0016】前記粒状異種相は、0.5〜15μmの粒
径を有することが好ましい。前記粒状異種相の粒径を
0.5μm未満にすると前記耐食層に前記基材表面に達
する亀裂が生じるおそれがある。一方、前記粒状異種相
の粒径が15μmを越えると前記耐食層に耐食性が不十
分な箇所が生じるおそれがある。より好ましい前記粒状
異種相の粒径は1.0〜10μmである。
【0017】前記耐食層は、20〜100μm、より好
ましくは35〜100μmの厚さを有することが望まし
い。このような厚さを有する耐食層において、前記粒状
異種相は前記基材と前記耐食層の界面から前記耐食層に
向けて5〜40μmの厚さの領域に分布されていること
が好ましい。前記粒状異種相がAl8 Cr5 を含む場
合、前記粒状異種相は前記耐食層に前記界面と平行とな
るように連鎖状に分布することを許容する。
【0018】前述した本発明に係わるステンレス鋼部材
は、例えば溶融炭酸塩型燃料電池に組込まれるエッジシ
ール板に適用される。このようなエッジシール板を備え
た溶融炭酸塩型燃料電池を図6を参照して次に説明す
る。図6は、複数の単セルを積層した構造を有する溶融
炭酸塩型燃料電池のスタックの一部を示す断面図であ
る。電解質板1は、燃料極2と酸化剤極3の間に配置さ
れている。前記電解質板1は、多孔質体にアルカリ炭酸
塩からなる電解質を含浸させることにより形成されてい
る。凹凸を有する集電板4、5は、前記燃料極2および
酸化剤極3の前記電解質板1と反対側の面にそれぞれ配
置されている。燃料ガス(H2 とCO2 )は、前記燃料
極2と前記集電板4とで形成された流路6を流通する。
酸化剤ガス(空気とCO2 )は、前記酸化剤極3前記集
電板5とで形成された流路7を流通する。前記電解質極
1、燃料極2、酸化剤極3および集電板4、5により単
セルを構成している。セパレータは、積層された複数の
前記単セルの間に配置され、それら単セルを仕切りとし
て機能する。前記セパレータは、前記各流路6、7を分
離するためのインターコネクタ8と、前記電解質板1の
周縁部を挟むように配置された2枚のエッジシール板
9、10とから構成されている。前記エッジシール板
9、10は、前記電解質板1の周縁部と接してウェット
シールを形成し、前記単セルの発電部品を外部雰囲気か
らシールドする役目をなす。また、前記エッジシール板
9、10はそれぞれ前記電解質板1の周縁部の挟持部に
おいてスプリング部材11、12により通常5kg/c
2 以下の面圧が両側から加えられることにより、前記
ウェットシール性が確保されている。
【0019】また、本発明に係わるステンレス鋼部材の
製造方法は、クロムを含むステンレス鋼からなる基材の
表面にアルミニウム層を形成する工程;および非酸化性
雰囲気中、670〜840℃の温度で熱処理することに
より前記基材表面にアルミニウムと前記基材の構成元素
との規則合金にクロムを含む粒状異種相が析出された構
成を有する耐食層を形成する工程;を具備する。
【0020】前記基材は、10〜27重量%のクロム、
0.1〜30重量%のニッケル、0.08重量%以下の
コバルト、2.0重量%以下のマンガン、1.5重量%
以下のシリコン、残部鉄および0.1重量%以下の不可
避的不純物元素の組成を有するステンレス鋼からる。前
記ステンレス鋼は、必要に応じてモリブデン、ニオブ、
チタン、ハフニウム、ボロンおよびアルミニウムから選
ばれる少なくとも1種の元素を5重量%以下含むことを
許容する。
【0021】前記アルミニウム層は、例えば前記基材表
面にアルミニウム粉末およびバインダを含むスラリーを
塗布し、前記バインタを除去することにより形成され
る。ここに用いるアルミニウム粉末は、例えば1〜50
μmの粒径を有することが望ましい。前記バインダとし
ては、例えばスチレン樹脂、またはポリビニルブチラー
ルにフタル酸−n−ジブチルを添加したもの等を用いる
ことができる。
【0022】前記アルミニウム層は、前記方法の他に、
真空蒸着、スパッタ蒸着などの物理的蒸着法、または電
気メッキ法等により前記基材表面に形成される。前記ア
ルミニウム層は、スラリーを用いて形成する場合、10
0μm以上の厚さを有することが望ましい。ただし、形
成された耐食層の亀裂発生を抑制する観点から、前記ア
ルミニウム層の上限厚さは、1500μmにすることが
望ましい。
【0023】また、前記アルミニウム層は、物理蒸着
や、電気メッキ等を用いた場合は15μm以上の厚さを
有することが望ましい。また、形成された耐食層の亀裂
発生を抑制する観点から上限厚さは100μmとするこ
とが好ましい。
【0024】前記熱処理工程における非酸化性雰囲気と
しては、Ar、He、Neなどの不活性ガス、窒素ガ
ス、または水素と不活性ガスもしくは窒素ガスとの混合
ガス(還元性ガス)を用いることにより実現される。
【0025】前記熱処理工程での温度を規定したのは、
次のような理由によるものである。前記熱処理温度を6
70℃未満にすると、アルミニウムの前記基材への拡散
が充分に進行せず、初期目的の耐食層を形成することが
困難になる。一方、前記熱処理温度が840℃を越える
と形成された耐食層に前記基材表面まで達する亀裂が生
じる。また、耐食層に前述したクロムを含む異種相が生
成し難くなる。より好ましい熱処理温度は、780〜8
20℃の範囲である。
【0026】前記熱処理工程は、その時間をH(h
r)、その温度をT(K)とした時、0.1≦H≦0.
02×10(3300/T)の関係を満たすようになされること
が好ましい。前記熱処理時間Hを0.1hr未満にする
と前記基材表面全体に均一な耐食層を形成することが困
難になる。一方、前記熱処理時間が0.02×10
(3300/T)を越えると形成された耐食層に前記基材表面ま
で達する亀裂が生じ易くなる。
【0027】
【作用】本発明によれば、クロムを含むステンレス鋼か
らなる基材表面にアルミニウムと前記基材の構成元素の
少なくとも一種とからなる規則合金にクロムを含む粒状
異種相が析出された構成を有する耐食層を形成すること
によって、耐食性の優れたステンレス鋼部材を提供でき
る。このような本発明に係わるステンレス鋼部材は、電
解質板周縁部と接する腐食性の高い環境下で使用される
エッジシール板に有効に活用できる。その結果、前記エ
ッジシール板を備えた溶融炭酸塩型燃料電池は長寿命化
が図られる。また、本発明に係わるステンレス鋼部材は
自動車用マフラーや燃焼触媒用担持体、耐熱性フィルタ
等に有効に適用できる。
【0028】さらに本発明方法によれば、クロムを含む
ステンレス鋼からなる基材の表面にアルミニウム層を形
成した後、非酸化性雰囲気中、特定の温度で熱処理する
ことにより前記基材表面にアルミニウムと前記基材の構
成元素の少なくとも一種との規則合金にクロムを含む粒
状異種相が析出され、基材表面に達する亀裂が存在しな
い耐食層を形成することによって、優れた耐食性を有す
るステンレス鋼部材を製造できる。
【0029】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明
する。 実施例1 平均径が10μmのアルミニウム粉末70重量%、スチ
レン系のバインダ30重量%をケトン系溶剤で分散させ
たアルミニウムスラリーを、厚さ0.4mmのステンレ
ス鋼(SUS316L)からなる薄板材の表面に一定量
塗布した後、前記溶剤を揮散して厚さ200μmのアル
ミニウム含有層を形成した。つづいて、薄板材を3%の
水素を含むアルゴン雰囲気の炉に設置し、490℃の温
度で12時間熱処理することにより前記アルミニウム含
有層中のバインダを除去した。さらに、750℃の温度
まで昇温し、その温度にて5時間熱処理し、1℃/分の
降温速度で炉冷することにより前記薄板材表面に厚さ2
5μmの耐食層が形成されたステンレス鋼部材を製造し
た。
【0030】得られたステンレス鋼部材からレーザー法
にて10cm角の複数の試料とを取り出した。前記試料
のうちいくつかを常温硬化型の樹脂に埋め込んだ。残り
の試料は、X線回折用試料としてマイクロカッターにて
切り出し、X線回折により耐食層の組成を調べた。その
結果、回折強度が一番強い規則合金としてAl13Fe4
構造野物質が検出された。
【0031】また、前記樹脂に埋め込んだ試料をマイク
ロカッターにて切り出し、切り出した面を研磨して断面
観察用試料を作製した。図1は、ステンレス鋼薄板材上
に形成された耐食層の断面図を示す。図1中の21は、
ステンレス鋼薄板材、22は耐食層、23はAl13Fe
4 構造の規則合金である。さらに、前記耐食層の断面を
X線マイクロアナライザーを用いて定量分析した。その
結果を下記表1に示す。なお、表1中のa、b、c、
d、eは図1のa、b、c、d、eの箇所の定量分析結
果を示す。また、表1においてAl、Cr、Fe、Ni
およびSiの合計が100wt%になるように表示し
た。
【0032】
【表1】
【0033】前記表1から明らかなように実施例1のス
テンレス鋼部材は、その表面に形成された耐食層には高
濃度のシリコンが検出されなかった。また、図1に示す
ように耐食層22にはb及びcで示す箇所にクロムを多
く含む0.5μm以上の大きさの異種相が析出され、亀
裂が存在しなかった。この結果は、断面観察用試料の全
体においても同じであった。
【0034】実施例2 蒸着法を用いて厚さ25μmの金属アルミニウム層を厚
さ0.3mmのステンレス鋼(SUS310S)からな
る薄板材の表面に蒸着した。つづいて、前記薄板材を3
%水素、残部アルゴンからなる雰囲気の炉内に設置した
後、800℃の温度にて10時間熱処理し、毎分1.5
℃の速度で炉冷することにより前記薄板材表面に厚さ2
2μmの耐食層が形成されたステンレス鋼部材を製造し
た。
【0035】得られたステンレス鋼部材から実施例1と
同様にX線回折用試料と断面観察用の試料を作製した。
前記X線回折用試料からX線回折にて耐食層の組成を調
べた。その結果、規則合金であるAl(Fe,Ni)と
クロムを含む異種相であるAl8 Cr5 が検出された。
【0036】図2は、前記断面観察用試料の断面図を示
す。図2中の24は、Al(Fe,Ni)からなる規則
合金、25はCrを多く含む異種相のAl8 Cr5 であ
る。図2から明らかなように実施例2のステンレス鋼部
材の耐食層22の中には、亀裂が存在しないことがわか
る。この結果は、断面観察用試料の全体において同じで
あった。
【0037】実施例3 蒸着法を用いて厚さ25μmの金属アルミニウム層を厚
さ0.3mmのステンレス鋼(SUS310S)からな
る薄板材の表面に蒸着した。つづいて、前記薄板材を3
%水素、残部アルゴンからなる雰囲気の炉内に設置した
後、800℃の温度にて25時間熱処理し、毎分1.5
℃の速度で炉冷することにより前記薄板材表面に厚さ3
7μmの耐食層が形成されたステンレス鋼部材を製造し
た。
【0038】得られたステンレス鋼部材から実施例1と
同様にX線回折用試料と断面観察用試料を作製した。前
記X線回折用試料からX線回折にて耐食層の組成を調べ
た。その結果、規則合金であるAl(Fe,Ni)は検
出されたが、クロムを含む異種相はAl8 Cr5 が僅か
に検出された程度であった。
【0039】また、実施例3の断面観察用試料の断面は
前述した図2と類似した形態を示した。ただし、クロム
を含む異種相はその大きさが実施例2の場合より小さく
なっていた。また、実施例3のステンレス鋼部材は耐食
層中に少数の亀裂が認められたが、前記亀裂は前記耐食
層のみに存在し、前記薄板材表面に達していなかった。
【0040】比較例1 蒸着法を用いて厚さ25μmの金属アルミニウム層を厚
さ0.3mmのステンレス鋼(SUS310S)からな
る薄板材の表面に蒸着した。つづいて、前記薄板材を3
%水素、残部アルゴンからなる雰囲気の炉内に設置した
後、950℃の温度にて5時間熱処理し、毎分0.5℃
の速度で炉冷することにより前記薄板材表面に厚さ60
μmの耐食層が形成されたステンレス鋼部材を製造し
た。
【0041】得られたステンレス鋼部材から実施例1と
同様にX線回折用試料と断面観察用の試料を作製した。
前記X線回折用試料からX線回折にて耐食層の組成を調
べた。その結果、規則合金であるAl(Fe,Ni)は
検出されたが、クロムを含む異種相は検出されなかっ
た。
【0042】また、図3に前記断面観察用試料の断面図
を示す。図3から明らかなように比較例1のステンレス
鋼部材は耐食層22中に前記薄板材21に達する亀裂2
6が多数認められた。
【0043】比較例2 蒸着法を用いて厚さ25μmの金属アルミニウム層を厚
さ0.3mmのステンレス鋼(SUS310S)からな
る薄板材の表面に一定量蒸着した。つづいて、前記薄板
材を3%水素、残部アルゴンからなる雰囲気の炉内に設
置した後、850℃の温度にて5時間熱処理し、毎分
0.25℃の速度で炉冷して前記薄板材表面に厚さ24
μmの耐食層を形成してステンレス鋼部材を製造した。
【0044】得られたステンレス鋼部材から実施例1と
同様にX線回折用試料と断面観察用の試料を作製した。
前記X線回折用試料からX線回折にて耐食層の組成を調
べた。その結果、規則合金であるAl(Fe,Ni)は
検出されたが、クロムを多く含む異種相は検出されなか
った。
【0045】また、図4に前記断面観察用試料の断面を
示す。図4から明らかなように比較例2のステンレス鋼
部材は耐食層22中に前記薄板材21に達する亀裂26
が多数認められた。
【0046】比較例3 実施例1と同様な方法により厚さ350μmのアルミニ
ウム含有層を厚さ0.3mmのステンレス鋼(SUS3
10S)からなる薄板材の表面に形成した。つづいて、
前記薄板材を3%水素、残部アルゴンからなる雰囲気の
炉内に設置した後、500℃の温度で12時間熱処理す
ることにより前記アルミニウム含有層中のバインダを除
去してアルミニウム層を形成した。さらに、660℃の
温度まで昇温し、その温度にて1時間熱処理し、毎分
0.25℃の速度で徐冷してステンレス鋼部材を製造し
た。なお、前記薄板材上に形成されたアルミニウム層の
大部分は前記ステンレス鋼部材を前記炉から取り出す際
に剥離された。
【0047】得られたステンレス鋼部材から実施例1と
同様にX線回折用試料と断面観察用の試料を作製した。
前記X線回折用試料からX線回折にて表面の組成を調べ
た。その結果、規則合金であるAl(Fe,Ni)は殆
ど検出されず、クロムを多く含む異種相も検出されなか
った。検出されたのは、ステンレス鋼(SUS310
S)を示すγ−Feであった。
【0048】また、前記断面観察用試料の断面からステ
ンレス鋼(SUS310S)からなる薄板材の表面に規
則合金が島状に分布していることが確認された。一方、
厚さ0.3mmのステンレス鋼(SUS310S)から
なる薄板材に実施例1〜3および比較例1、2と同様な
方法により厚さ60μmの耐食層をそれぞれ形成するこ
とによりエッジシール板を作製した。また、厚さ0.3
mmのステンレス鋼(SUS310S)からなる薄板材
に比較例3と同様な方法により処理することによりエッ
ジシール板を作製した。このエッジシール板の表面に
は、島状に分布した規則合金が形成されていた。得られ
た各エッジシール板を用いて前述した図6に示すスタッ
ク構造の溶融炭酸塩型燃料電池を組み立てた。前記各燃
料電池について、常圧下、電流密度が150mA/cm
2 の条件下で発電試験を実施した。その結果を図5に示
す。
【0049】図5から明らかなように実施例1、2の方
法で耐食層が形成されたエッジシール板を組込んだ溶融
炭酸塩型燃料電池は、10000時間を越えても電池電
圧の劣化がほとんど見られず、0.8V以上の高い値を
示すことがわかる。また、実施例3の方法で耐食層が形
成されたエッジシール板を組込んだ溶融炭酸塩型燃料電
池は、約8000時間から電池電圧が低下し、1000
0時間でエッジシール板の基材であるステンレス鋼が腐
食し、腐食生成物による燃料極側のエッジシール板と、
酸化剤極側のエッジシール板間の短絡が起こり、電池電
圧が急激に低下した。
【0050】これに対し、比較例1〜3の方法で耐食層
が形成されたエッジシール板を組込んだ溶融炭酸塩型燃
料電池は、5000時間以下の短い時間でエッジシール
板の基材であるステンレス鋼が腐食し、腐食生成物によ
る燃料極側のエッジシール板と酸化剤極側のエッジシー
ル板間の短絡が起こり、電池電圧が急激に低下した。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係わるステ
ンレス鋼部材は、優れた耐食性を有し、腐食性の強い溶
融炭酸塩に直接接して使用される溶融炭酸塩型燃料電池
のエッジシール板等に有効に利用できる。
【0052】また、本発明に係わる溶融炭酸塩型燃料電
池用セパレータは、電解質板に接する面に耐食層が形成
されているため、腐食性の強い溶融炭酸塩に直接接して
も腐食しにくく、燃料電池の長寿命化、及び信頼性の向
上を達成することができる。
【0053】また、本発明方法によればステンレス鋼か
らなる基材表面に前記基材に達する亀裂を生じることの
ない耐食層を形成することができ優れた耐食性を有する
ステンレス鋼部材を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の耐食層が形成されたステ
ンレス鋼薄板材からなる断面観察用試料の断面図。
【図2】 本発明の実施例2の耐食層が形成されたステ
ンレス鋼薄板材からなる断面観察用試料の断面図。
【図3】 比較例1の耐食層が形成されたステンレス鋼
薄板材からなる断面観察用試料の断面図。
【図4】 比較例2の耐食層が形成されたステンレス鋼
薄板材からなる断面観察用試料の断面図。
【図5】 実施例1〜3および比較例1〜3と同様な方
法により耐食層を表面に形成したエッジシール薄板を用
いて単セルを構成し、前記単セルが組込まれた溶融炭酸
塩型燃料電池における発電時間と電池電圧との関係を示
す特性図。
【図6】 溶融炭酸塩型燃料電池のスタックの一部を示
す断面図。
【符号の説明】
21…ステンレス鋼薄板材 22…耐食層 23…規則合金 24…規則合金 25…異種相 26…亀裂 1…電解質板 2…燃料極 3…酸化剤極 4…集電板 5…集電板 6…ガス流路 7…ガス流路 8…インターコネクタ 9…エッジシール板 10…エッジシール板 11…スプリング部材 12…スプリング部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大図 秀行 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 中川 和明 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロムを含むステンレス鋼からなる基材
    と、前記基材表面に形成されアルミニウムと前記基材の
    構成元素の少なくとも一種からなる規則合金にクロムを
    含む粒状異種相が析出された構成を有する耐食層とを具
    備することを特徴とするステンレス鋼部材。
  2. 【請求項2】 クロムを含むステンレス鋼からなる基材
    と、前記基材の少なくとも電解質板周縁部と接する表面
    層にアルミニウムと前記ステンレス鋼の構成元素の少な
    くとも一種からなる規則合金にクロムを含む粒状異種相
    が析出された構成を有する耐食層とを具備するエッジシ
    ール板を備えたことを特徴とする溶融炭酸塩型燃料電池
    用セパレータ。
  3. 【請求項3】 ステンレス鋼からなる基材の表面にアル
    ミニウム層を形成する工程と、非酸化雰囲気中、670
    ℃以上840℃以下の温度で熱処理することにより前記
    基材表面にアルミニウムと前記基材の構成成分との規則
    合金にクロムを含む粒状異種相が析出された構成を有す
    る耐食層を形成する工程を具備することを特徴とするス
    テンレス鋼部材の製造方法。
JP5228746A 1992-09-14 1993-09-14 ステンレス鋼部材、溶融炭酸塩型燃料電池用セパレータ、及びステンレス鋼部材の製造方法 Pending JPH0770764A (ja)

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